生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_血糖上昇抑制剤
出願番号:2002001369
年次:2009
IPC分類:A61K 31/718,A61K 31/702,A61K 45/00,A61P 3/10


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楳原 典光 花岡 良晃 原 浩祐 須賀 逸人 笠井 收一 JP 4362260 特許公報(B2) 20090821 2002001369 20020108 血糖上昇抑制剤 テルモ株式会社 000109543 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 楳原 典光 花岡 良晃 原 浩祐 須賀 逸人 笠井 收一 20091111 A61K 31/718 20060101AFI20091022BHJP A61K 31/702 20060101ALI20091022BHJP A61K 45/00 20060101ALI20091022BHJP A61P 3/10 20060101ALI20091022BHJP JPA61K31/718A61K31/702A61K45/00A61P3/10 A61K31/702-31/721 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平06−166622(JP,A) 特開平06−032802(JP,A) 小暮起子,高齢,糖尿病患者に液状総合栄養食タピオンがインスリン減量に有効であった一例,栄養評価と治療,2003年 4月15日,Vol.20, No.2,pp.233-236 4 2003206231 20030722 8 20040916 佐々木 秀次 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はブドウ糖、ショ糖等とともに摂取することにより、これらの糖に基づく血糖上昇を抑制する医薬又は栄養剤に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】糖尿病は、インスリンの働きが低下する、又はインスリンそのものが出なくなる病気であり、症状として多飲、多尿、体重減少を伴う。このため血液中の糖分(血糖)が異常に高い状態(高血糖)を示し(空腹時血糖≧126mg/dL,2時間値≧200mg/dL)、高血糖が続くと様々な血管障害(糖尿病性腎症、眼血管障害、動脈硬化症など)が起こる。糖尿病患者にとって、食事療法は糖質の供給量を少なくすることを前提に行われる。しかしながら、炭水化物は生体にとって必要な栄養素であるが、ブドウ糖、ショ糖を制限して行われる糖尿病食事療法では、生体にとって必要な炭水化物の摂取を制限せざるを得ない。従って、ブドウ糖、ショ糖等を摂取しても血糖値の上昇を抑制できる医薬又は栄養剤の開発が望まれていた。【0003】【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、ブドウ糖やショ糖とともに種々の成分を投与し、血糖値の変化を測定してきたところ、タピオカデキストリンは、それ単独では消化され吸収されるものの、これをブドウ糖やショ糖とともに投与すると血糖値の上昇を抑制するという全く意外な効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。【0004】すなわち、本発明はタピオカデキストリンを含有する血糖上昇抑制剤を提供するものである。【0005】【発明の実施の形態】本発明で用いられるタピオカデキストリンは、タピオカデンプンを酵素又は酸で加水分解して得られるデキストリンであり、粘度:75〜350cps(50%水溶液、Brookfield粘度計:20回転/毎秒)であるのが好ましい。当該タピオカデキストリンは、市販品、例えばパインデックス1(松谷化学工業社)、パインデックス2(松谷化学工業社)、TK−6(松谷化学工業社)、ND−S(タピオカ由来、但し工業用;日澱化学)として入手可能である。【0006】タピオカデキストリンは、後記実施例に示すように単独投与するとブトヴ糖やショ糖と同様に血糖値を上昇させる。すなわち、タピオカデキストリンは消化性であり、栄養となり得る。しかし、タピオカデキストリンは、ブドウ糖やショ糖と併用すると、ブドウ糖やショ糖を単独で投与した場合に比べて血糖値の上昇を有意に抑制する作用を有する。従って、タピオカデキストリン、あるいはこれと単糖類及び/又は二糖類を含有する組成物は、糖尿病患者又は血糖値の高い人に投与するための医薬又は栄養剤として有用である。【0007】本発明の血糖上昇抑制剤は、タピオカデキストリンを、摂取する単糖類及び/又は二糖類100重量部に対して5重量部以上、特に5〜50重量部摂取できる形態であるのが望ましい。また、タピオカデキストリンをカロリーに換算したときにカロリー全体の35〜70%含有するのが好ましい。より具体的には、単糖類及び/又は二糖類100重量部に対し、タピオカデキストリンを5重量部以上、特に5〜40重量部配合するのが好ましい。【0008】本発明の血糖上昇抑制剤に配合される単糖類としては、食品又は医薬品に許容されるものであれば如何なる単糖類であってもよく、具体的にはグルコース(d−グルコース)、フラクトース、(d−フラクトース)、d−ガラクトース、l−ガラクトース、dl−ガラクトース、l−アラビノース、d−リボース、d−キシロース、l−キシルロース、6−デスオキシ−d−グルコース、l−ラムノース、l−フコース、d−マンノース、l−ソルボース、d−タガトース、d−マンノヘブチュロース、セドヘプチュロース等が挙げられる。これらの中では特に好ましくはグルコース(d−グルコース)、フラクトース(d−フラクトース)、d−ガラクトース、l−ガラクトース、dl−ガラクトース、d−キシロースが挙げられる。二糖類としては、食品又は医薬品に許容されるものであれば如何なる二糖類であってもよく、具体的にはスクロース、トレハロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、ゲンチオビース、キトビオース、メリビオース、プリムヴェロース、ヴィシアロース、ルチノース、ツラノース、ラミナリビオース、ソフォロース等が挙げられる。これらの中で特に好ましくは、スクロース、トレハロース、マルトース、イソマルトース、ラクトース等が挙げられる。【0009】また本発明の血糖上昇抑制剤には、更に食物繊維、オリゴ糖、脂質、ビタミン及びミネラルから選ばれる1種又は2種以上を配合できる。食物繊維としては、食品又は医薬品に許容されるものであれば、水溶性食物繊維、非水溶性食物繊維、複合型食物繊維の如何なる食物繊維であってもよく、穀粒、穀類、果実、野菜、キノコ類、海藻等の食物性やエビやカニの甲羅の成分等の動物性など天然物由来の食物繊維であってもよく、また、化学修飾多糖類、化学合成多糖類等の合成及び半合成の食物繊維であってもよい。具体例としては、ペクチン、アラビヤガム、ペクチン質、アルギン酸、マンナン、コンニャクマンナン、グルコマンナン、グアーガム、コラーゲン、カラギーナン、寒天、難消化性デキストリン、ヘミセルロース由来のもの、カルボキシメチルセルロース、ポリデキストロース、グアーガム分解物、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、不溶性ペクチン質、大豆皮、大豆ふすま、とうもろこしふすま、小麦ふすま、米糠、シリウム、コンブ末、アップルファイバー、ビートファイバー、コーンファイバー、小麦ファイバー、さつまいもファイバー、パインファイバー、キサンタンガム、プルラン、マルチトール、ガラクトオリゴ糖、乾燥オカラ、キチン、キトサン、結晶セルロース等を挙げることができる。これらの中で特に好ましくは、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、難消化性デキストリン、ヘミセルロース由来のもの、グアーガム分解物、セルロース、ガラクトオリゴ糖が挙げられる。【0010】オリゴ糖としては、食品又は医薬品に許容されるものであれば二糖類を含まない如何なるオリゴ糖であってもよく、3〜約10個の単糖がO−グリコシド結合で縮合したものであればよい。具体的には、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、セロオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、レバンオリゴ糖、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチンオリゴ糖、寒天オリゴ糖(アガロオリゴ糖)、シアリルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、カップリングシュガー、ラクトスクロース、ラクトシュクロース、パノース、ヘミセルロース消化物等が挙げられる。これらの中で特に好ましくは、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖が挙げられる。【0011】脂質としては、食品又は医薬品に許容されるものであれば如何なる脂質であってもよく、具体的には、大豆油、シソ油、綿実油、米油、カカオ脂、とうもろこし油、ナタネ油、ココヤシ油、ゴマ油、エゴマ油、サフラワー油、ヒマワリ油、オリーブ油、ヤシ油、ナッツ油、パーム油、落花生油等の植物性油脂、バター、ラード、牛脂、乳脂肪、魚油等の動物性脂肪、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、エイコサペンタエン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、リノール酸等の高度不飽和脂肪酸等を挙げられる。【0012】ビタミンとしては、食品又は医薬品に許容されるものであれば如何なるビタミンであってもよく、具体的には、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシン等)、ビタミンB5(パントテン酸等)、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンH(ビオチン等)、ビタミンA及びレチノイドとこれらの誘導体が挙げられる。【0013】ミネラルとしては、食品又は医薬品に許容されるものであれば如何なるミネラルであってもよく、具体的には、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン等が挙げられる。【0014】本発明の血糖上昇抑制剤は、乳化型もしくは懸濁型の液状物、流動物、半流動物、固形物、顆粒、粉末等の形態で医薬又は食品等として用いることができる。【0015】医薬として用いる場合、投与形態としては経口及び経腸等が挙げられるが、経口投与用医薬が好ましい。具体的には散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤等の固形製剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等が挙げられる。これらの経口投与剤は、上記タピオカデキストリン、単糖、二糖類の他、経口投与剤の形態に応じて一般に用いられる、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料等を添加し、常法に従って製造することができる。【0016】食品としては、健康食品、機能性食品、特定保健用食品等が挙げられる。かかる食品は、上記タピオカデキストリン、単糖、二糖類の他に、食品の種類に応じて一般に用いられる食品原料を添加し、常法に従って製造することができる。【0017】【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。【0018】実施例1雄性ラット(7週齢)1群5匹を20時間絶食して用いた。タピオカデキストリン及びグルコースのそれぞれを5.52kcal/kgを経口投与し、血糖値を測定した(測定機器:メディセーフリーダー:テルモ GR−101)。その結果、図1に示すようにグルコースとタピオカデキストリンの血糖値の上昇の推移から、生物学的利用能はタピオカデキストリンでもグルコースと同じである。グルコース:1.5g/kg(5.52kcal)タピオカデキストリン:1.47g/kg(5.52kcal)【0019】実施例2雄性ラット(7週齢)1群5匹を20時間絶食して用いた。タピオカデキストリンとショ糖のそれぞれを5.52kcal/kgを経口投与し、血糖値を測定した(測定機器:メディセーフリーダー:テルモ GR−101)。その結果、図2に示すようにショ糖とタピオカデキストリンの血糖値の上昇の推移から、生物学的利用能(0→∞)はタピオカデキストリンでもショ糖と同じである。【0020】実施例3雄性ラット(7週齢)1群5匹を20時間絶食して用いた。ショ糖1.5g/kgにタピオカデキストリンを0、0.075(5%)、0.15(10%)、0.6(40%)、1.5g/kg(100%)を組み合せて経口投与し、血糖値を測定した(測定機器:メディセーフリーダー:テルモ GR−101)。その結果を表1に示す。1.5gのショ糖に0.075g(5%)、0.15g(10%)、0.6g(40%)のタピオカデキストリンを加えて投与しても、血糖値は上昇しなかった。しかし、100%(1.5gショ糖+1.5gタピオカデキストリン)では、血糖値は明らかに上昇した。従って、タピオカデキストリンを全体のカロリーの40%以下にすれば血糖値の上昇が抑制されることが判明した。【0021】【表1】【0022】同様に試験して得られた、タピオカデキストリン、ショ糖の配合比(総量1.5g)を変えた時の投与後60分の血糖値の推移を表2に示す。その結果、タピオカデキストリン30%とショ糖70%の負荷をした群はショ糖100%の群と比較し有意に低い値を示した。【0023】【表2】【0024】実施例4下記表3に示す処方の経腸栄養剤を調製した。これを用いて実施例3と同様にして、糖質量として5.52kcal/kg投与したときの血糖値の変化を図3に示す。その結果、この栄養剤は、血糖値の上昇を抑え、そのピークは60分後となり、緩やかに糖質が吸収されていることがわかる。【0025】【表3】【0026】【発明の効果】本発明の血糖上昇抑制剤は、単糖類、二糖類摂取による血糖の上昇を防止するとともに生物学的に利用もされる。【図面の簡単な説明】【図1】タピオカデキストリン又はグルコース投与による血糖上昇作用を示す図である。【図2】タピオカデキストリン又はショ糖投与による血糖上昇作用を示す図である。【図3】表3の栄養剤投与による血糖上昇作用を示す図である。 タピオカデキストリンを、摂取する単糖類又は二糖類100重量部に対して5〜40重量部含有する血糖上昇抑制剤。 タピオカデキストリンをカロリーに換算したときにカロリー全体の35〜70%含有するものである請求項1記載の血糖上昇抑制剤。 投与形態が、経腸又は経口投与である請求項1又は2記載の血糖上昇抑制剤。 さらに食物繊維、オリゴ糖、脂質、ビタミン及びミネラルから選ばれる1種又は2種以上を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の血糖上昇抑制剤。


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