タイトル: | 特許公報(B2)_ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法 |
出願番号: | 2002000444 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 333/16,B09B 3/00,B09C 1/02,B09C 1/08 |
土信田 章 古本 勝三 JP 3963722 特許公報(B2) 20070601 2002000444 20020107 ジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法 日本曹達株式会社 000004307 廣田 雅紀 100107984 小澤 誠次 100102255 岡 晴子 100118957 土信田 章 古本 勝三 20070822 C07C 333/16 20060101AFI20070802BHJP B09B 3/00 20060101ALN20070802BHJP B09C 1/02 20060101ALN20070802BHJP B09C 1/08 20060101ALN20070802BHJP JPC07C333/16B09B3/00 304GB09B3/00B09B3/00 304K C07C 333/00 B09B 3/00 B09C 1/00 CAplus(STN) 特開昭62−072692(JP,A) 特開昭62−072659(JP,A) 特開昭56−139451(JP,A) 特開昭55−055157(JP,A) 3 2003206275 20030722 8 20041217 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ジチオカルバミン酸塩の含有量を正確に管理できるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法に関し、特に、反応生成物を重金属固定剤として用いた場合、重金属固定剤の品質を一定に担保できるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法に係わる。【0002】【従来の技術】工場排水や、都市ゴミや産業廃棄物等の焼却プラントから排出される焼却灰や、排煙中から電気集塵機等で捕集された飛灰や、重金属汚染土壌等を処理するに際し、焼却灰や、飛灰等に含有される鉛、クロム、カドミウム、砒素、セレン等の有害な重金属の環境への放出を阻止・抑制するため、焼却灰、飛灰等をセメント固化する方法や、焼却灰、飛灰等を酸で処理し重金属を抽出する方法が知られているが、廃棄物の体積の増加や、酸により抽出した重金属の処理等の問題があった。このため、特殊な装置を必要とせず、後処理が不要である重金属固定剤による処理方法が採用されており、かかる重金属固定剤としての、ジチオカルボキシ基を官能基として有するアミン誘導体の液体キレート剤は、重金属の捕集効果も高く、雨水等に対して重金属を固定し不溶出化することができるため多用されており、ジチオカルボキシ基を官能基として有するアミン誘導体の液体キレート剤として、ジエチルジチオカルバミン酸カリウム塩を含有する水溶液等が好適に用いられていた(特開平8−332475号公報等)。【0003】このような重金属固定剤として使用されるジエチルジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液は、アミンと、水酸化アルカリ水溶液とを混合し、この混合物に二硫化炭素を滴下して反応させること等により、30重量%以上のジエチルジチオカルバミン酸塩が含有される水溶液として製造されているが、アミンが揮発性の場合、二硫化炭素の滴下時に、揮発したアミンと二硫化炭素が気相中で反応し、反応生成物が気相部分の反応槽壁に付着し、水等で洗い流さない限り反応溶媒に含有されず、液相中に目的とする量の反応生成物が得られず、水溶液のジエチルジチオカルバミン酸塩の濃度の低下が生じ、生成物の濃度の予測が不可能となってしまうという不都合があった。また、常圧下で反応を行なう場合は、生成物の付着が原因となりコンデンサーが目詰りしてしまうという問題があった。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、アミンとアルカリ金属の水溶液に、二硫化炭素を反応させることにより得られるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液を製造する際、揮発性のアミンを用いた場合であっても、気相中において二硫化炭素とアミンの反応を防止して、ジチオカルバミン酸塩を予想収率で得ることができ、チオ炭酸塩の生成を抑制し、所定の濃度のジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液を得ることができ、反応生成物を重金属固定剤としてそのまま適用する場合、一定の品質を保持した製品を製造することができるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、少なくとも1つの第一級アミノ基を有する化合物と、二硫化炭素及び金属水酸化物を水溶液中で反応させて得られるジチオカルバミン酸金属塩を主成分として含有する水溶液を製造する際、水溶液のpHを10から14の範囲に調整することにより、チオ炭酸塩等の不純物を生じさせない水溶液の製造方法を既に提案している(特開平9−183763号公報)。本発明者らは、重金属固定剤として好適なジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法について、更に研究する過程で、アミンと金属水酸化物を含有する水溶液に、二硫化炭素を滴下してジチオカルバミン酸塩を生成する反応工程において、二硫化炭素をアミンと金属水酸化物を含有する水溶液に添加する際、反応溶液の液面下に添加することにより、気相において気化したアミンと二硫化炭素との反応を排除することができることに着目し、二硫化炭素とアミンと金属水酸化物との反応により生成するジチオカルバミン酸塩の予想収率に相当する生成量を確実に得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。【0006】すなわち本発明は、アミンと、金属水酸化物と、二硫化炭素とを水溶媒中で反応させジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液を製造するに際し、アミンと、金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に二硫化炭素を添加することを特徴とするジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法に関し、好ましくは、アミンと金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に、供給孔を有する導入管を介して二硫化炭素を添加することを特徴とする請求項1記載のジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法(請求項2)や、アミンを、二硫化炭素に対して、0.01〜10モル%過剰に用いることを特徴とする請求項1又は2記載のジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法(請求項3)に関する。【0007】【発明の実施の形態】本発明のジチオカルバミン酸塩含有水溶液の製造方法としては、アミンと、金属水酸化物と、二硫化炭素とを水溶媒中で反応させジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液を製造する際、アミンと、金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に二硫化炭素を添加する方法であれば特に限定されるものではなく、上記アミンと金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に二硫化炭素を添加する方法としては、例えば、アミンと金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に、供給孔を有する導入管を介して二硫化炭素を添加する方法、アミンと金属水酸化物とを含有する水溶液の収納槽の底面又は壁面に設けられた供給孔を介して二硫化炭素を添加する方法、管状の混合ミキサー、例えばスタティクミキサー(ノリタケCo.製)を使用するクローズドシステム利用による添加方法等を例示することができるが、装置の簡便性からして、アミンと金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に供給孔を有する導入管を介して二硫化炭素を添加する方法が好ましく、この場合、導入管に流量制御機構を設けて二硫化炭素の添加量を制御することが好ましい。【0008】本発明のジチオカルバミン酸塩含有水溶液の製造方法に用いられるアミンは、特に限定されるものではないが、第一級又は第二級アミノ基を有するものが好ましく、モノアミンに限らずジアミン、トリアミン、テトラミン等複数のアミノ基を有するポリアミンを挙げることができ、これらは脂肪族アミンや、芳香族アミンであってもよく、脂肪族アミンとしては、脂肪族不飽和アミンや、脂環式アミンも挙げることができる。これらの化合物から1種又は2種以上を選択して混合して使用することができる。このようなアミンは、具体的には、第一級モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、n−アミルアミン、iso−アミルアミン、2−アミノペンタン、3−アミンペンタン、ネオペンチルアミン、1,2−ジメチルプロピルアミン、n−ヘキシルアミン、1,3−ジメチル−n−ブチルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、α−フェニルエチルアミン、β−フェニルエチルアミン、アリルアミン等の脂肪族アミンや、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等の芳香族アミン等が挙げられる。また、第二級モノアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−アミルアミン、ジアリルアミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン等が挙げられる。【0009】ポリアミンは、第一級アミノ基を有するものとしては、具体的には、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)−メチルアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン等が挙げられ、第一級アミノ基及び第二級アミノ基を有するものとしては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−イソプロピルエチレンジアミン、N−ブチルエチレンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N−プロピル−1,3−プロパンジアミン、N−イソプロピル−1,3−プロパンジアミン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−(2−アミノエチル)ピペリジン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール等が挙げられる。【0010】上記アミンは、二硫化炭素に対して、0.01〜10モル%過剰に使用されることが好ましい。アミンに対して、二硫化炭素が同当量若しくは過剰であると、アミンが揮発性を有する場合、揮発により実際に反応に供されるアミンが添加量より減少する傾向にあるため、二硫化炭素がより過剰となり、チオ炭酸塩の生成が促進されてしまう。アミンの二硫化炭素に対する過剰率が0.01モル%以上であると、チオ炭酸塩の生成を防止することができ、また、過剰率が10モル%以下であれば、低沸点アミンの場合には、反応後に未反応アミンが水溶液中に残留した場合であっても、窒素バブリングにより除去することができるし、高沸点アミンの場合には、凝固点上昇による結晶析出という問題が生じることがない。【0011】本発明に使用される二硫化炭素は、アミンと反応して、ジチオカルバミン酸を形成するものであり、二硫化炭素と上記アミンとの反応は、反応温度、溶媒のpH等に影響を受けやすく、二硫化炭素が金属水酸化物と結合して副生成物として赤褐色のチオ炭酸塩を生成するため、二硫化炭素が選択的に上記アミンと結合するように、二硫化炭素の温度、反応溶液の温度及びpHの調整等が制御され、反応が進行される。反応溶液、及び二硫化炭素の温度範囲は、二硫化炭素の沸点が46℃であることろから二硫化炭素が気化しない温度範囲であって、0〜40℃の温度範囲、特に35℃以下の温度においては、二硫化炭素はアミンと選択的に結合することから好ましい。また、反応溶媒のpHは10〜14の範囲であると、アミンとの反応が促進されるため好ましい。35℃より高温で反応が行われた場合、また、pHが10〜14の範囲外で反応が行われると、二硫化炭素はアミンと選択的に結合せず、金属水酸化物と反応してチオ炭酸塩が生成されることとなる。【0012】本発明の製造方法に使用される金属水酸化物は、ジチオカルバミン酸の金属塩を形成するものであり、本発明の反応生成物であるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液がそのまま重金属固定剤として適用できるように、ジチオカルバミン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液が重金属固定剤として好ましいところから、金属水酸化物としては、具体的には、カリウム、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。尚、これら金属水酸化物は、水溶液の他、粉末、粒状、塊状等いずれの形態のものも使用できる。金属水酸化物の水溶液を使用する場合の金属水酸化物の濃度は、使用する溶媒としての水の使用量にもよるが、高濃度のジチオカルバミン酸塩を製造するために、例えば、金属水酸化物が20〜55重量%、好ましくは30〜50重量%の範囲であるものが好ましい。【0013】本発明において使用される反応溶媒は、反応生成物を重金属固定剤として使用する場合は、ジチオカルバミン酸塩を含有する反応系が水溶液であることが好ましく、得られる反応生成物をそのまま重金属固定剤として使用できるように、水が使用される。得られたジチオカルバミン酸塩を含有する反応系が水溶液であれば、重金属固定剤に適用され、被処理体に含有される重金属が無機化合物、有機化合物いずれの形態であっても、重金属固定剤に含有されるジチオカルバミン酸と容易に結合しキレート錯体を形成し、重金属の固定・不溶出化を行なうことができる。また、溶媒としての水の使用は、溶媒水として添加するものの他、金属水酸化物を水溶液と混合して用いる場合は、金属水酸化物水溶液の溶媒を、溶媒として適用することができる。溶媒としての水の使用量は、得られる水溶液を重金属固定剤として使用する場合、加熱により分解しやすい生成物であるジチオカルバミン酸塩が濃縮等の操作をすることなく、重金属の十分な固定効果が得られるような高濃度に水溶液に含有されるように、例えば、ジチオカルバミン酸塩が30重量%以上含有されるような濃度となるような量が好ましい。【0014】上記の水溶媒中におけるアミンと、金属水酸化物と、二硫化炭素との反応は、アミンと、金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に二硫化炭素を添加して反応させることにより得られるものである。アミンと、金属水酸化物又は金属水酸化物の水溶液と、水溶媒の混合は、それぞれ全量を攪拌により混合することができる。混合の際の温度は特に限定されるものではなく、0〜40℃の範囲で適宜行なうことができる。【0015】本発明のアミンと金属水酸化物との混合溶液に、二硫化炭素を添加する反応は、 二硫化炭素を反応溶液の液面下に供給して行なわれる。二硫化炭素をアミンと金属水酸化物との混合溶液の液面下に供給する方法としては、アミンと金属水酸化物を仕込んだ反応槽の側壁の液面より下方又は底面に設けられた導入口から二硫化炭素を供給しても、また、反応槽の上方の気相から液相中に挿入される導入管を介して添加することができる。導入口又は、導入管を介して添加する際、必要に応じて二硫化炭素を圧入するようにしてもよい。導入管は液面下に供給孔を有するものであれば、どのような形状を有するものであってもよく、単に、管状のものであってもよく、導入管に管状の混合ミキサー、例えばスタティクミキサー(ノリタケCo.製)を使用するクローズドシステム利用によるものであってもよい。また、反応容器の液面に直角に液相に挿入され、底面に沿って曲げられたL字型又はT字型の管状であって、底面に沿った部分に供給口が複数設けられたものであってもよい。更に、このような管を回転機構に接続し回動可能な構造とし、反応溶液中に二硫化炭素を供給すると共に、反応溶液を攪拌しつつ添加を行なうこともできるものとしてもよい。【0016】上記二硫化炭素の添加は、アミンと金属水酸化物の添加直後に行なってもよいし、同時に行なってもよい。二硫化炭素は窒素雰囲気下、開放系において添加してもよいが、密閉系において添加するのが好ましい。添加は、35℃以下の温度条件下で行なわれることが好ましく、また、混合溶液のpHは10〜14であることが好ましい。この範囲であると、チオ炭酸塩の生成を抑制することができ、重金属固定剤として保存期間中、重金属固定処理時において二硫化炭素の発生が抑制できる。【0017】二硫化炭素の添加時間は、特に限定されるものではないが、一度に添加しても、また、長時間に亘って分割して、あるいは継続して、例えば、30分から20時間程度に亘って添加してもよい。また、アミンを含有する水溶液に、反応に用いる二硫化炭素の一部を添加した後、金属水酸化物又は金属水酸化物を含有する水溶液を添加するか、あるいは、アミンを含有する水溶液に、金属水酸化物又は金属水酸化物を含有する水溶液を添加する際に、反応に用いる二硫化炭素の一部を同時に添加した後、残りの二硫化炭素を添加してもよい。このように反応に用いる二硫化炭素の一部を、アミンを含有する水溶液に、金属水酸化物又は金属水酸化物の水溶液の添加に先だって予め添加するか、あるいは、金属水酸化物又は金属水酸化物の水溶液と同時に添加することにより、アミンが含有される混合溶液が強アルカリ性となることを回避し、アミンの金属塩の結晶の析出を防止し、また、反応溶液が高粘度になることを防止することができ、攪拌を容易に行なうことができる。二硫化炭素の添加後、熟成を行なってもよく、熟成は1時間から24時間、5℃から45℃の温度範囲で行なうのが好ましい。【0018】反応の終点は、水溶液中に分散されている二硫化炭素の粒が消失した時点を目安としてNMR等で確認して決定されるが、反応終了後、未反応の二硫化炭素や、過剰のアミンが水溶液中に存在する可能性もあり、未反応の二硫化炭素等は、重金属固定剤の加熱や、水素イオン濃度の変動等により水溶液中から分離され、未反応のアミンは臭気の発生源となるため、水溶液の窒素バブリング処理を行なうことが望ましい。バブリング処理により、水溶液から未反応の二硫化炭素や、アミンを除去することができる。また、反応終了後、水溶液をpH10以上にして保存すると、保存期間中、二硫化炭素の発生を抑制できるため好ましい。反応生成物の水溶液をpH10以上として保存するには、金属水酸化物又は金属水酸化物の水溶液等をジチオカルバミン酸塩の0.01から200モル添加することができる。【0019】本発明により得られるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液は、所期の目的の濃度でジチオカルバミン酸塩を含有するものであり、本発明により得られるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液を、重金属固定剤としてそのまま適用しても、重金属固定剤として一定の品質を有し、重金属固定剤に含まれる一定濃度のジチオカルバミン酸が鉛、水銀、クロム、カドミウム、砒素、セレン等の重金属と結合し、これらの重金属のキレート錯体が形成され、重金属が効率よく固定・不溶化される。【0020】【実施例】以下に、実施例を挙げてこの発明を更に、図面を参照して具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。図1に示すように、ジチオカルバミン酸塩の製造装置は、反応容器1と、二硫化炭素導入管2と、反応溶液の攪拌を行なう攪拌装置3とを有する。二硫化炭素導入管2は、円管であり、反応容器1中に仕込まれた反応溶液の液面に垂直に挿入される垂直部2aと、反応容器1の底面近傍で略垂直に曲げられた供給部2bとを有し、供給部2bには、二硫化炭素の供給量に応じた径を有する複数の供給孔2cが設けられる。このような、ジチオカルバミン酸塩の製造装置の反応容器1に、ジエチルアミン(純正化学(株)社製:純度99.9%)220gと48%水酸化カリウム(日本曹達(株)社製:純度48.7%)366gと仕込み、水溶液の温度を15℃以下に冷却し、攪拌下、二硫化炭素(純正化学(株)社製:純度100.0%)228gを水溶液の液面下に15℃以下を保持して2時間で添加した。30℃で1時間、熟成を行なった後、黄緑色のジエチルビスジチオカルバミン酸カリウム水溶液を得た。収率は99.7%であり、水溶液のジエチルビスジチオカルバミン酸カリウム濃度は56.2%であった。比較例実施例と同様にジエチルアミン、水酸化カリウムを仕込み、二硫化炭素を水溶液上から滴下した以外は、実施例と同様の条件で反応をおこなった。得られたジエチルビスジチオカルバミン酸カリウム水溶液の収率は94.2%であった。この収率低下の主原因はジエチルアミンと二硫化炭素が直接反応したジエチルジチオカルバミン酸、ジエチルアンモニウム塩が反応容器の内壁に白色結晶として付着したためである。【0021】【発明の効果】本発明により得られるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液は、製造工程に中において、アミンが揮発性であっても、気相中で二硫化炭素と反応して反応容器の壁などに副反応生成物が析出することがないため、シチオカルバミン酸塩を予測の収率で得ることができ、所期の目的の濃度で含有する水溶液が得られる。このため、本発明により得られるジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液を、重金属固定剤として適用しても、重金属固定剤として一定の品質を保持することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明のジチオカルバミン酸塩含有水溶液を製造する製造装置の構成を示す図である。 アミンと、金属水酸化物と、二硫化炭素とを水溶媒中で反応させジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液を製造するに際し、アミンと、金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に二硫化炭素を添加することを特徴とするジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法。 アミンと金属水酸化物とを含有する水溶液の液面下に、供給孔を有する導入管を介して二硫化炭素を添加することを特徴とする請求項1記載のジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法。 アミンを、二硫化炭素に対して、0.01〜10モル%過剰に用いることを特徴とする請求項1又は2記載のジチオカルバミン酸塩を含有する水溶液の製造方法。