| タイトル: | 特許公報(B2)_ヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質に基づく製剤と製剤および製剤ベースの使用。 |
| 出願番号: | 2001587745 |
| 年次: | 2013 |
| IPC分類: | A61K 31/726,A61K 31/727,A61K 47/12,A61K 47/14,A61K 47/32,A61K 47/34,A61K 47/38,A61P 1/04,A61P 7/02,A61P 9/00,A61P 9/06,A61P 9/10,A61P 11/00,A61P 13/12,A61P 19/02,A61P 27/02,A61P 29/00,A61P 35/00,A61P 35/04,A61P 37/06 |
ローゼンベルグ,イェルグ ブライテンバッハ,イェルグ ヘール,ディーター ラウクス,フォルカー ヘガー,ロベルト JP 5198708 特許公報(B2) 20130215 2001587745 20010529 ヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質に基づく製剤と製剤および製剤ベースの使用。 アボット ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー 506382275 特許業務法人 信栄特許事務所 110001416 内藤 照雄 100116182 ローゼンベルグ,イェルグ ブライテンバッハ,イェルグ ヘール,ディーター ラウクス,フォルカー ヘガー,ロベルト DE 100 26 699.1 20000530 20130515 A61K 31/726 20060101AFI20130418BHJP A61K 31/727 20060101ALI20130418BHJP A61K 47/12 20060101ALI20130418BHJP A61K 47/14 20060101ALI20130418BHJP A61K 47/32 20060101ALI20130418BHJP A61K 47/34 20060101ALI20130418BHJP A61K 47/38 20060101ALI20130418BHJP A61P 1/04 20060101ALI20130418BHJP A61P 7/02 20060101ALI20130418BHJP A61P 9/00 20060101ALI20130418BHJP A61P 9/06 20060101ALI20130418BHJP A61P 9/10 20060101ALI20130418BHJP A61P 11/00 20060101ALI20130418BHJP A61P 13/12 20060101ALI20130418BHJP A61P 19/02 20060101ALI20130418BHJP A61P 27/02 20060101ALI20130418BHJP A61P 29/00 20060101ALI20130418BHJP A61P 35/00 20060101ALI20130418BHJP A61P 35/04 20060101ALI20130418BHJP A61P 37/06 20060101ALI20130418BHJP JPA61K31/726A61K31/727A61K47/12A61K47/14A61K47/32A61K47/34A61K47/38A61P1/04A61P7/02A61P9/00A61P9/06A61P9/10 103A61P11/00A61P13/12A61P19/02A61P27/02A61P29/00A61P35/00A61P35/04A61P37/06 A61K 31/00 A61K 47/00 A61K 9/00 特開昭60−054313(JP,A) 特表平09−501652(JP,A) 特表平08−507759(JP,A) 特表平09−510182(JP,A) YEH P-Y,PHARMACEUTICAL RESEARCH,米国,1994年,V11N8,P1148-1154 18 EP2001006115 20010529 WO2001091729 20011206 2003534370 20031118 23 20080520 福井 悟 【0001】本発明は、少なくとも1種のヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質に基づく製剤、および脂質成分およびポリマー成分を含有する製剤ベースに関する。また、少なくとも1種のヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質の経口投与のための薬剤形態としてのこの製剤の使用に関する。本発明はまた、該製剤成分を混合して可塑性混合物(plastic mixture)を生成し、必要により製剤を薬剤の形態に製造する製剤の製造工程についても記載する。また、ヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質の経口投与における製剤ベースの使用に関する。【0002】活性成分の経口投与(これは患者に好まれる)の利点は、胃腸管で活性成分が十分に吸収され得るために摂取されなければならない分量が原因で低減することが多い。治療的に有効な量の血中レベルを得るためには、相対的に高い1日投与量(数回の投与に分割する)が必要な場合がある。製薬の技術部門で明らかにされ、提案されている解決法では、活性成分を選択された添加剤と共に調製することを必要とする。これらの添加剤は通常、かなり高いHLB値を有する非イオン性界面活性剤、例えばCremophor(登録商標)、Tween(登録商標)などである。【0003】これらの添加剤は一般に化学的に不活性であるとされているが、欠点があることが知られており、これは、特に高い投与量での局所的毒性および/または全身性毒性により明らかになりうる。【0004】局所的な刺激(例えば腸管壁の)の他、これらの安定化剤の吸収に起因する胃腸管外でのこれらの物質による好ましくない副作用を防ぐことは不可能である。【0005】エマルションは溶解度の低い活性成分をコロイド状に可溶化する能力を有することが知られており、それによってそれらの活性成分の生物学的利用能を向上することが可能である。腸管外(parentally)投与できるエマルションは通常、乳化リン脂質、特にレシチンを使用する。しかしながら、リン脂質は化学的安定性が不十分なため、これらのエマルションは保存中の安定性の問題をかなり伴いうる。更に、それらのエマルションの調製は複雑である。従って、他のエマルション成分、例えば脂質または脂質誘導体と共に高圧下で(例えば数百バールで)リン脂質を水中に均質化させる必要がありうる。【0006】上記の液体エマルションに加え、“固体”エマルションも知られている。これらの製剤は一般に自己乳化系(self-emulsifying systems)と呼ばれる。なぜならそれらは水性の系で溶解してエマルションを生成するためである(M.O. Bachynskyら, “自己乳化経口運搬系の効率に影響する因子(Factors Affecting the Efficiency of a Self-Emulsifing Oral Delivery System)”, Drug Development and Industrial Pharmacy, 23 (8), 1997, 809-816参照)。最初に述べた安定化促進添加剤もこれらのケースでは主に使用されており、既知の欠点を伴う。低分子量の界面活性剤(例えばTween(登録商標)。これが特に使用される)の他に、高分子グリセリド界面活性剤に基づく自己乳化系も記載されている(A.T.M. Serajuddin, “界面活性自己乳化ビヒクル中の固体分散による低水溶性薬剤の生物学的利用能の向上(Bioavailability Enhancement of poorly Water-Soluble Drugs by Solid Dispersion in Surface Active and Self-Emulsifying Vehicles)”, Bulletin Technique Gattefosse, No.90, 1997, pp.43-50)。これらの高分子グリセリドは、その高いHLB値(例えばGelucire(登録商標)44/14はHLBが14)ゆえに、界面活性剤として作用しうる。半固体のコンシステンシーのため、これらの製剤の多くはゼラチンカプセルに充填しなければならない。これは、特に通常、融点の低いグリセリド界面活性剤の使用に適用される。【0007】しかしながら溶解性の高い活性成分でも、状況によっては吸収が困難でありうる。そのような場合、WO 99/42086号はHLB値が8より高い吸収促進剤、特にポリグリコシル化グリセリド、例えば既に上に記載したGelucire(登録商標)の使用を提案している。これらの溶解性の高い活性成分には、ヘパリンと共に、長年の間、特に血栓の兆候の分野において標準的な療法となっている活性成分がある。周知のような、ヘパリンが経口投与された後の生物学的利用能が極度に低いということを克服するために多くの努力が成されてきたにもかかわらず、現在まで、市場に適した製品は開発されていない。ヘパリンを、混合したアミノ酸の直線熱縮合ポリマーから成る一定のプロテイノイド(proteinoid)マイクロスフェアに封入するか(米国特許第4,925,673号参照)、または一定の合成脂質誘導体(例えばβ-(ヒドロキシベンゾイル)アミノオクタン酸;J. Med. Chem. 41, (1998), 1163)と同時に投与すると、ヘパリンの経口投与後にAPTT試験で観察される凝固時間は、静脈内投与後の凝固時間に匹敵するというのは事実である。これらの製剤の欠点は、極度に多量の添加剤および活性成分を投与しなければならないことであり、そのためその製剤は一般に液体でなければ摂取できない。【0008】本発明が基本とするヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質の経口投与のための薬剤形態を提供する目的は、意外にも、その製剤ベースが脂質成分およびポリマー成分を含有するような製剤によって達成される。【0009】従って本発明は以下の成分:i)少なくとも1種のヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質、および必要により他の活性成分および以下を含有する製剤ベース:ii)脂質成分;iii)ポリマー成分;およびiv)必要により、他の製薬上許容される添加剤に基づく製剤に関する。【0010】“製剤”という用語は本発明の枠内では成分i)、ii)、iii)、および必要によりiv)から成る混合物をいう。【0011】ヘパリンという用語は一群の硫酸化(スルホン化)ムコ多糖類をいい、これらはまたグリコサミノグリカンとも呼ばれる。ヘパリンの構造の特徴は、α-1,4-グリコシド結合したD-グルコサミンおよびL-イズロン酸ユニットから成る二糖ユニット、およびα-1,4-グリコシド結合したD-グルコサミンおよびD-グルクロン酸ユニットから成る二糖ユニットである。スルフェート基(スルホ基)の位置および数はいずれも可変である。それらは酸素(O-硫酸化)および窒素(N-硫酸化)を介して結合してもよい。イズロン酸残基は多くの場合2-O-硫酸化され、グルコサミン残基は多くの場合N-硫酸化されるが、必要により6-O-硫酸化もされる。グルクロン酸残基は多くの場合硫酸化されない。次に、その二糖ユニットは互いにα-1,4-グリコシド結合してヘパリン分子を形成する。これらの二糖ユニットの数および配列は同様に可変である。従ってヘパリンという用語は多くの構造的に異なる分子を表し、それらは例えば元素分析によって、またはその鎖長、分子量、もしくは電荷に基づいて区別できる。ヘパリンという用語は特に、上記のタイプの構造的に異なるヘパリン分子(α-ヘパリン)の混合物を指し、これは必要により、他の成分、例えばいわゆるβ-ヘパリン(コンドロイチン硫酸Bまたはデルマタン硫酸とも呼ばれる)および/または他の細胞成分(特にタンパク質)を含有してもよい。このタイプの混合物を同様に上記のパラメーターによって特性を決定してもよく、これは通常、平均および/または分布(例えば下限/上限)で表される。【0012】ヘパリンは遊離酸として、または生理学上許容される塩の形態で存在してもよい。ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩が好ましい。【0013】天然物由来のヘパリン(必要によって修飾したもの)を一般に投与する。ウシまたはブタの肺、肝臓、または腸粘膜由来のヘパリンを使用できるが、ブタ腸粘膜およびウシ肺由来のヘパリンが多くの場合使用される。【0014】ヘパリン分子の分子量は通常、200から30,000Daの範囲である。本発明に従って活性成分として使用できるヘパリンは、この全分子量範囲、またはその一部のみ、特に低分子量の範囲であってもよい。いわゆるLMWヘパリン、すなわち重量平均分子量が約500から約10,000Daであるヘパリン分子の混合物が好ましい。広範な分子量分布を有する未分画ヘパリンは通常約10,000から17,000Daの重量平均分子量を有するが、LMWヘパリンの重量平均分子量は明らかにそれより低く、通常約2,000から8,000、特に約3,000から約8,000、約4,000から約6,000、または約4,000から約5,000Daである。【0015】本発明に使用できる低分子量ヘパリンは、広範な分子量分布もしくはより高い重量平均分子量を有するヘパリンの分画、または好ましくは断片化、例えば解重合によって得る。特に出発物質として使用するヘパリンは天然の供給源から得たもの、特にそのカルシウム塩またはナトリウム塩である。分画はエタノール抽出によって行うことができ、断片化は好ましくはヘパリンの制御された部分的な化学的または酵素的(例えばヘパリナーゼ)または物理的(例えば超音波)開裂によって行う。化学的開裂は、例えば硝酸ナトリウムを用いて行うことができ、また、特定の酵素(通常、例えばフラボバクテリウム由来の、細菌性ヘパリナーゼである)を使用して酵素的開裂を行うことができる。【0016】グリコサミノグリカンは二糖の1,4-結合したユニットから成る負に帯電した多糖(グリカン)であり、該多糖中、ウロン酸、例えばD-グルクロン酸およびL-イズロン酸がN-アセチル化したアミノ糖(グリコサミン)の3位または4位にグリコシド結合している。【0017】ヘパリン類似物質という用語はヘパリンのような作用を有する一群の物質をいう。すなわちヘパリン類似物質は血液の凝固および血栓の生成を阻害する。これらには、例えば硫酸化した植物性オリゴ糖および多糖、例えばアルギン酸、ペクチン、キシラン、デンプン、およびデキストランから調製した多硫酸エステル、または硫酸化した動物性グリコサミノグリカンがある。特に言及すべきものは以下である:ペントサン多硫酸エステル、例えばペントサンスルホン酸ナトリウム、硫酸キシラン、例えばβ-1,4-D-キシラン-2,3-ビス(硫酸水素塩)、キシランポリ(硫酸水素塩)およびそのナトリウム塩、硫酸デキストラン、硫酸キチン、多硫酸コンドロイチン(多硫酸ムコ多糖とも呼ばれる)、ポリビニルスルホン酸(ポリエチレンスルホン酸とも呼ばれる)、例えばナトリウムアポレート(sodium apolate)、硫酸ポリガラクツロン酸(メチルエステルメチルグルコシド)、硫酸アルギン酸塩(alginate sulfates)、例えば硫酸アルギン酸ナトリウム、および硫酸ポリマンヌロン酸。【0018】ヘパリン類似物質は天然物から得るか、または半合成もしくは完全合成して調製してもよく、合成は通常、上記の植物性または動物性多糖の硫酸化により、例えばクロロスルホン酸と反応させ、遊離した塩酸を塩基で中和して行う。【0019】水への溶解性は良好であるが、胃腸管からはわずかしか吸収されないというのは、ヘパリンおよびヘパリン類似物質に共通している。吸収性が不十分であるというのは、特にヘパリンおよびヘパリン類似物質が負に帯電しているという事実に起因し得る。本発明の製剤は、まさにこのタイプである活性成分、すなわち水に可溶で、特に負に帯電した物質、特に相当する硫酸化多糖に特に有利で好適である。活性成分が水に可溶なのは、本発明の趣旨では、特に活性成分の1部が10から30部以下、好ましくは1から10部以下、特に1部未満の水に溶解し得る場合である。【0020】本発明の固体製剤の活性成分i)は、好ましくはヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質タイプの凝固阻止物質を少なくとも1種含有し、またヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質タイプの他の凝固阻止物質、並びに他のタイプの凝固阻止物質(例えばクマリン誘導体、例えばワルファリン、フェンプロクーモン、およびアセノクマロール)、および他の異なる作用の活性成分(例えばエルゴタミンおよびジヒドロエルゴタミン、例えばメシル酸ジヒドロエルゴタミン、トロンビン阻止物質、例えばアルガトロバン(argatroban)およびメラガトラン(melagatran)を含有してもよい。本発明のある実施形態は、ヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質を活性成分として含有する単一製剤(monopreparations)を含む。【0021】活性成分は一般に固体製剤の1から60重量%、好ましくは5から40重量%、特に10から30重量%である。特に記載しない限り30重量%は製剤の総重量に関係する。【0022】本発明の製剤の製剤ベースは製薬上許容される添加剤、すなわち少なくとも1種の脂質、少なくとも1種のポリマー、そして必要により他の製薬上許容される添加剤を含有する。製薬上許容される添加剤は、製薬部門で使用できることが知られているもの、特に関連する薬局方(例えばドイツ薬局方、ヨーロッパ薬局方、英国薬局方、米国薬局方)に記載されているもの、そしてその特性が製薬上の用途を妨げない他の添加剤である。【0023】本発明の製剤の脂質成分は少なくとも1種の脂質を含有するが、これは脂質誘導体および脂質含有混合物も指すことを意図する。【0024】脂質という用語は脂肪および脂肪様物質の集合的な名称である。脂肪との類似性は、特に溶解特性によって規定される。従って、脂肪様物質は脂肪そのもののように、例えば実質的に水に不溶である。物質が水に不溶というのは、本発明の趣旨では特に少なくとも1,000から10,000部、好ましくは少なくとも10,000部の水が、1部の物質を溶解するのに必要である場合である。それらはまた、親油性または疎水性ともいわれる。【0025】好ましい脂質は治療すべき生体が消化できるもの、すなわち例えば吸収し、必要によって代謝できるものである。この意味では、胃腸管を介して吸収され得るこれらの脂質および脂質誘導体は本発明の特定の実施形態に関係する。天然の脂質および天然の脂質の誘導体(植物由来または動物由来であってもよい)が好ましい。【0026】脂質成分の少なくとも1種の脂質は内因性脂質、特にグリセリドおよび脂肪酸またはその誘導体から選択されるのが好ましい。内因性脂質には、特に偶数の炭素原子を有する脂肪酸に基づく脂質がある。【0027】脂肪酸という用語は一群の脂肪族飽和または不飽和カルボン酸をいう。鎖は一般に枝分かれしておらず、6から30、好ましくは8から22、特に8から18個の炭素原子を有する。飽和脂肪酸には、例えばカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、およびメリシン酸がある。不飽和脂肪酸は1価以上、特に1価、2価、3価、4価、5価、または6価の不飽和であってもよい。1価の不飽和脂肪酸の例にはパルミトオレイン酸、オレイン酸、およびエルカ酸があり、2価の不飽和脂肪酸の例にはソルビン酸およびリノール酸、3価の不飽和脂肪酸の例にはリノレン酸およびエレオステアリン酸、4価の不飽和脂肪酸の例にはアラキドン酸、5価の不飽和脂肪酸の例にはクルパノドン酸、6価の不飽和脂肪酸の例にはドコサヘキサエン酸がある。【0028】1価または多価不飽和脂肪酸は特にオレイン酸、パルミトオレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸が好ましい。【0029】グリセリドという用語はグリセロールのエステルをいう。エステル基の数によってモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドと呼ばれる。モノグリセリド中の酸残基は1位または2位であってもよく、ジグリセリドおよびトリグリセリドの酸残基は同一であっても異なってもよく、またグリセロールの3つの可能な位置の中で考えられるどのような配置であってもよい。酸残基は好ましくは上記の脂肪酸である。モノグリセリドの例にはモノベヘン酸グリセロール、モノカプリン酸グリセロール、モノココ酸グリセロール(glycerol monococoate)、モノエルカ酸グリセロール、モノイソステアリン酸グリセロール、モノラノリン酸グリセロール(glycerol monolanolate)、モノラウリン酸グリセロール、モノリノール酸グリセロール、モノミリスチン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール、モノパルミチン酸グリセロール、モノリシノール酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロールがあり、ジグリセリドの例にはジカプリル酸グリセロール、ジラウリン酸グリセロール、ジミリスチン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、ジパルミチン酸グリセロール、およびジステアリン酸グリセロールがあり、トリグリセリドの例にはトリカプリル酸グリセロール、トリラウリン酸グリセロール、トリミリスチル酸グリセロール、トリオクタン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、トリリシノール酸グリセロール、およびトリステアリン酸グリセロールがある。【0030】不飽和脂肪酸残基を有するモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、特に好ましくは本発明に従って使用できる脂肪酸残基、特にモノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロールが好ましい。【0031】本発明の製剤の脂質成分は好ましくは少なくとも1種の上記の脂質、または少なくとも2種の上記の脂質の混合物を含有し、このタイプの他の脂質および他のタイプの脂質を含有してもよい。【0032】本発明のある実施形態では、脂質成分は上記の脂質の1種から成る。【0033】本発明の別の実施形態では、脂質成分は少なくとも2種の上記の脂質の脂質混合物、特に脂肪酸混合物、グリセリド混合物、または脂肪酸/グリセリド混合物から成る。【0034】天然の脂質の誘導体(植物または動物由来であってもよい)には、特に化学的および/または物理的に処理した天然の脂質がある。好適な化学的処理は例えばグリセリド中の不飽和脂肪酸または脂肪酸残基の水素化である。好適な物理的処理は、例えば天然の脂質の混合物の分画である。【0035】本発明に使用できる脂質には脂質を含有する天然物質の抽出物もあり、これは脂肪以外に他の成分を含有してもよい。ここで言及すべきものは、特に関連する薬局方に記載された脂質および脂質混合物、およびその誘導体、例えば植物油または動物性脂肪、例えばオリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、落花生油、アーモンド油、亜麻仁油、カカオ脂、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド(triglycerida mediocatenalia)、ベヘン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、中鎖部分グリセリド(partialglycerida mediocatenalia)、長鎖部分グリセリド(partialglycerida longicatenalia)があり、これらはまた、必要により、水素化ヒマシ油または精製ヒマシ油のように水素化されていても、または精製されてもよい。ここでも不飽和脂肪酸または脂肪酸残基を有する脂質が好ましい。【0036】特定の実施形態では、脂質成分は12以下、好ましくは8以下、特に5以下のHLBを有する。HLB系(親水性親油性バランス系)は表面活性物質に対して数値が与えられたものであり、;親油性物質のHLB値は低く、親水性物質のHLB値は高い(Fielder, H. B., Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik, und angrenzende Gebiete, 第4版, Aulendorf:ECV-Editio-Cantor-Verlag (1996))。特に、脂質成分は水に不溶であるか、または溶解性が低い。従って、この実施形態は特に上記の脂肪酸およびグリセリドで行うことができる。【0037】別の好ましい実施形態では、脂質成分は50℃以下、好ましくは40℃以下であり、特に30℃より低い融点を有する。従ってこの実施形態は特に脂肪酸、例えばトリデカン酸、ラウリン酸、エレオステアリン酸、好ましくはウンデカン酸、カプリン酸、エルカ酸、特にペラルゴン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、クルパノドン酸、およびドコサヘキサエン酸、そしてグリセリド、例えばモノラウリン酸グリセロール、モノリノール酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール、モノパルミチン酸グリセロール、モノリシノール酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、トリオレイン酸グリセロール、およびトリリシノール酸グリセロールで行うことができる。【0038】特に好ましくは、少なくとも一部の脂質成分および少なくとも一部のポリマー成分が本発明の製剤において分子分散を形成する。脂質含有量がポリマー含有量より多い場合、ポリマーの脂質中分子分散という。脂質含有量は好ましくはポリマー含有量より少なく、その場合、脂質のポリマー中分子分散という。【0039】“分子分散”という用語は当業者に周知であり、本質的に物質(この場合は脂質成分またはポリマー成分の少なくとも一部、そして好ましくはその主な部分)が溶媒中に均質に分散しているような系をいう。そのような場合、通常溶媒はマトリックスを形成し、これは、本発明によればポリマー成分もしくは脂質成分、またはポリマー成分もしくは脂質成分の少なくとも主要な部分で生成される。本発明の製剤中の脂質結晶の含有量は通常12%未満、特に5%未満である。結晶の含有量に関係する記載はそれぞれの成分の総量に基づく。【0040】特定の実施形態では分子分散系は固体であり、この場合それらは固溶体と呼ばれる。【0041】本質的に脂質の結晶を含有しない本発明の製剤は、本発明の特定の実施形態を表す。この状態はマトリックス中で脂質またはポリマーが最大限に均質化しているのに相当する。分子分散系において界面はない。【0042】別の特定の実施形態では、活性成分の少なくとも一部は分子分散の形態である。本発明の製剤中の活性成分の結晶の含有量は通常12%未満、特に5%未満である。これらの製剤には特に活性成分の結晶が本質的に含有されないものがある。この状態は製剤ベース中の活性成分が最大限に均質化しているのに相当する。【0043】本発明の製剤で脂質および活性成分の結晶を本質的に含有しないもの、特にいずれの成分の結晶性含有物も本質的に存在しないもの(本質的に無晶形または結晶未含有製剤)は本発明の別の特定の実施形態を示す。この状態は製剤成分が最大限に均質化しているのに相当する。分子分散である製剤には界面はない。【0044】既知の分析法を使用して、それらの分子分散、特に固溶体の状態を研究することができ、これは例えば示差走査熱量測定(DSC)または広角X線散乱測定(WAXS測定)である。分子分散のDSC分析測定では、融点ピーク(純粋な結晶性の物質で起こり、通常吸熱である)がない。分子分散を同定するための別の可能性はWAXS分析での典型的なX線回折シグナルの強度の低下および/または喪失である。【0045】製剤中の脂質成分の含有量は通常3から50重量%、好ましくは6から35重量%、特に11から30重量%である。【0046】脂質の最適量を確立するための1つの判定基準は、本発明の製剤の溶融体における均質性である。特に上限に関して、脂質が相分離することなく溶融体に均質に取り込まれることを確実にすべきである。【0047】本発明の特定の実施形態では、ポリマー成分に基づく脂質成分の含有量は40重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に25重量%以下である。【0048】本発明の製剤のポリマー成分は、少なくとも部分的にポリマーマトリックスを形成するポリマー結合剤として理解することもできる。本発明の目的のための結合剤は固体の、溶融可能な溶媒である。ポリマーマトリクスは特に脂質成分の少なくとも一部を吸収、とりわけ溶解する役割を果たす。好ましくはこれによって分子分散が生じる。この点については、脂質成分に関係する上記の記述を参照されたい。【0049】好ましくはポリマー成分は生理学的環境で、すなわち特に胃腸管内、とりわけ小腸の上部および好ましくは十二指腸で、少なくとも部分的に可溶または膨潤可能である。膨潤とは本質的に、固体(例えば本発明の固体製剤)の体積および/または形状が液体、蒸気、および気体への暴露に際して、すなわち本発明によれば一般に体液(特に胃腸管液)への暴露に際して変化する過程を意味する。膨潤可能または可溶とは、特に、少なくとも表面に水を蓄積し、そして/または(主に吸収によって)ポリマー鎖の間に水を取り込むことのできる親水性ポリマーに適用される。限定された膨潤では一般にゲルが形成され、このため、限定された膨潤が可能で本発明に使用できるポリマーは、ゲル形成剤として一般に知られるポリマーから選択できる。無制限な膨潤では、一般に溶液またはコロイド状溶液が形成され、このため、無限定な膨潤が可能で本発明に使用できるポリマーは生理学的環境で、特に胃腸管液で少なくともコロイド状溶液を形成するポリマーから選択できる。特に、胃腸管に関しては生理学的条件(特にpH)に局所的な差異がありうることを考慮しなければならない。例えば活性成分が主に十二指腸で吸収されるのが好ましい場合、ポリマー成分は十二指腸内の一般的な条件下で膨潤可能であるのが都合がよい。特に、胃腸管の前の部分、特に胃においてわずかしか膨潤しないが、または好ましくは本質的に膨潤しないのが好都合である。しかしながら、現時点では、本発明の製剤の投与後のそれらの挙動は、上記のような場合には例えば胃液に耐性があるコーティング剤または多層製剤(活性成分を含有する最も内部の層が必要な部位でのみ膨潤または溶解するように暴露される)を用いた他の方法で確実にすることができることが認められている。【0050】特定の実施形態では、ポリマー成分は製剤を使用する条件下でミセルを形成しない。CMC(臨海ミセル濃度)に達しない。【0051】製造において技術的に好ましいポリマー成分は、融解の処理可能なものである。【0052】ポリマー成分の少なくとも1種のポリマーは以下から選択されるのが好ましい:合成ポリマー、例えばポリビニルラクタム、特にポリビニルピロリドン(PVP);ビニルラクタム(例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、およびN-ビニル-ε-カプロラクタム、しかし特にN-ビニルピロリドン)とアクリル酸(メタクリル酸)および/またはアクリル酸エステル(メタクリル酸エステル)(例えば長鎖アクリレート(メタクリレート)、例えばアクリル酸(メタクリル酸)ステアリル、アクリル酸(メタクリル酸)ジアルキルアミノアルキル(4価(quaternized)であってもよい)、無水マレイン酸、ビニルエステル、特に酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、スルホン酸ビニル(vinylsulfonic acid)、または4価のビニルイミダゾール)のコポリマー;酢酸ビニルおよびクロトン酸のコポリマー;部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコール;アクリル(メタクリル)樹脂(例えばポリアクリル酸(メタクリル酸)ヒドロキシアルキル、ポリアクリレート(メタクリレート)、アクリル酸コポリマー(例えばアクリル酸アルキルとアクリル酸(メタクリル酸)からのコポリマー)、およびアクリル酸ジメチルアミノエチルおよびメタクリル酸エステルのコポリマー(例えばEudragitタイプ));ポリアルキレングリコール(例えばポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールで、好ましくは分子量1,000以上、特に好ましくは2,000以上、より特に好ましくは4,000以上を有する(例えばポリエチレングリコール6,000));ポリアルキレンオキサイド(例えばポリプロピレンオキサイド、特にポリエチレンオキサイド、好ましくはより高い分子量の、特に重量平均分子量が100,000より高いもの);メタクリル酸メチルおよびアクリル酸のコポリマー;ポリアクリルアミド、ポリビニルホルムアミド(必要により部分的または完全に加水分解されたもの);修飾した天然のポリマー、例えば加工デンプンおよび加工セルロース、例えばセルロースエステル、および好ましくはセルロースエーテル、例えばメチルセルロースおよびエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、特にヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルエチルセルロース、フタル酸セルロース、特にフタル酸酢酸セルロースおよびフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;そして天然または主として天然のポリマー、例えばゼラチン、ポリヒドロキシアルカノエート、例えばポリヒドロキシ酪酸、およびポリ乳酸、ポリアミノ酸、例えばポリリジン、ポリアスパラギン、ポリジオキサン、およびポリペプチド、並びにマンナン、特にガラクトマンナン。【0053】これらのうち修飾した天然のポリマー、そして特に合成のポリマーが好ましい。【0054】ポリマー成分の少なくとも1種のポリマーは以下から選択されるのが特に好ましい:ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル・コポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、フタル酸セルロース、ポリアルキレングリコール、アクリル(メタクリル)樹脂:例えば商標名Kollidon(登録商標)で重量平均分子量が約2,000から約1.5x106であるポリビニルピロリドン、例えば商標名Kollidon(登録商標)17 PFで重量平均分子量が約7,000から約11,000であるポリビニルピロリドン;ビニルピロリドン/酢酸ビニル・コポリマー、特にビニルピロリドン:酢酸ビニルの比率が約30:70から約70:30であるもの、例えば商標名Kollidon(登録商標)VA 64でビニルピロリドン:酢酸ビニルの比率が約60:40である製品;アルキル部分に1個から3個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルセルロース、特にヒドロキシプロピルセルロース、例えば商標名Klucel(登録商標)のヒドロキシプロピルセルロース;アルキル部分に1個から3個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルアルキルセルロース;特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばメチルセルロースおよびメチルセルロース誘導体の混合物で商標名がMethocel(登録商標)であり、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、およびカルボキシメチルエーテル基を含有するもの、フタル酸セルロース、特にフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルキレン部分に2個および/または3個の炭素原子を有するポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコール、例えば商標名Lutrol(登録商標)で平均分子量が2,000から約20,000までのポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびメタクリル酸エステル、例えばメタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルに基づくコポリマー、例えば商標名Eudragit(登録商標)でメタクリル酸ジメチルアミノエチルに基づくアクリル樹脂、重量平均分子量が約150,000のアクリル酸(メタクリル酸)メチルおよびブチル、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルに基づくアニオン性のコポリマー、例えば商標名Eudragit(登録商標)LおよびSで重量平均分子量がそれぞれ約250,000および135,000であるアクリル樹脂。【0055】上記のポリビニルピロリドンおよびセルロース誘導体、特にKollidon(登録商標)VA64および低分子量ヒドロキシプロピルセルロース、例えば重量平均分子量が約45,000から約70,000または約80,000であるKlucel(登録商標)EF、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばMethocel(登録商標)E3、E5、およびE7が非常に好ましい。【0056】本発明の製剤のポリマー成分は、好ましくは上記のポリマーを少なくとも1種を含有する。これらのタイプおよび/または他のタイプの別のポリマーを含有してもよい。本発明の製剤の特性は選択するポリマーの性質、または異なるポリマーの混合によって変更することができる。特に、この方法で活性成分の放出を制御することが可能である。【0057】本発明のある実施形態では、ポリマー成分は上記のポリマーの1種から成る。本発明の別の実施形態では、ポリマー成分は上記のポリマーの少なくとも2種の混合物から成る。【0058】ポリマー結合剤として使用するのに有利なポリマーはK値(H. Fikentscher, Cellulose-Chemie 13 (1932), pp58-64および71-74)が10から100の範囲、特に15から80の範囲のものである。【0059】本発明の固体製剤中のポリマー成分の含有量は通常、5から96重量%、好ましくは10から80重量%、特に20から70重量%である。【0060】本発明の製剤はポリマー成分および脂質成分の他に、更なる製薬上許容される添加剤(添加剤成分iv)を含有してもよい。それらの添加剤は製剤の製造を容易にし、そして/またはその特性を調整しうる。その性質および量は、本発明の製剤および分子分散、(特に必要によって存在する固溶体)の特別な特性の施与を損なうことのないように、あるいはこの系の不安定化の原因とならないように都合よく選択する。【0061】添加剤は、例えば慣例的な医薬品添加剤であってもよく、その総量はポリマー成分に基づいて100重量%までであってよい。それらは例えば以下である:増量剤、例えば上記の糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトールおよびイソマルト(isomalt)(ドイツ薬局方195 36 394参照)、タルク、スクロース、ラクトース、穀物デンプンまたはトウモロコシデンプン、ジャガイモ粉(特に、混合物の総重量に基づいて0.02から50重量%、好ましくは0.20から20重量%の濃度で存在する);潤滑剤、平滑化剤(glidants)、および離型剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、およびステアリン酸カルシウム、タルク、およびシリコン、並びに動物性または植物性脂肪、特に加水分解された形態で、室温で固体のもの。これらの脂肪は好ましくは30℃以上の融点を有する。溶融物押出加工に関して技術的に好ましいものは、ドイツ薬局方197 31 277に記載されるように、C12、C14、C16、およびC18脂肪酸のトリグリセリド、または加工特性を向上するためのレシチン(ドイツ薬局方195 36 394においてイソマルト含有ポリマー/活性成分溶融物の押出に関して記載されている)である。カルナウバワックスのようなワックスを使用することもできる。これらの脂肪およびワックスは単独、またはモノおよび/もしくはジグリセリドまたはホスファチド、特にレシチンと共に好適に混合してもよい。モノグリセリドおよびジグリセリドは好ましくは上記の脂肪酸タイプから誘導する。本発明により存在する脂質は一般にこれらの添加剤の機能を果たすので、潤滑剤、平滑化剤、および離型剤は添加剤として製剤に少量しか、好ましくは全く添加されない。存在する場合、潤滑剤および離型剤の形態での添加剤の総量は好ましくは混合物の総重量に基づいて0.1から10重量%、特に0.1から1重量%である;流動調整剤、例えばケイ藻土、特に商標名Aerosil(登録商標)の高純度シリコンジオキシド。存在する場合は、特に混合物の総重量に基づいて0.1から5重量%の量で存在する;染料、例えばアゾ染料、天然物由来の有機または無機の顔料または染料。無機顔料が好ましく、存在する場合は混合物の総重量に基づいて0.001から10重量%、好ましくは0.5から3重量%の濃度である;安定化剤、例えば抗酸化剤、光安定化剤、ヒドロペルオキシド分解剤、ラジカル中和剤、微生物汚染に対する安定化剤;可塑剤、特に以下に記載するもの。【0062】また、以下を添加することも可能である:湿潤剤、保存剤、崩壊剤、吸収剤、および離型剤、並びに界面活性剤、特に陰イオン性および非イオン性界面活性剤、例えば石けんおよび石けん様界面活性剤、硫酸アルキルおよびアルキルスルホネート、胆汁酸の塩、アルコキシル化した脂肪アルコール、アルコキシル化したアルキルフェノール、アルコキシル化した脂肪酸、および脂肪酸グリセロールエステル(アルコキシル化されてもよい)、並びに可溶化剤、例えばCremophor(ポリエトキシル化したヒマシ油)、Gelucire、ビタミンE、、TPGS、およびTween(エトキシル化したソルビタン脂肪酸エステル)(例えばH. Suckerら, Pharmazeutische Technologie, Thieme-Verlag, Stuttgart 1978参照)。本発明の製剤は水または水性溶媒と接触するとエマルションを形成するため、界面活性を有する添加剤、特にHLB値の高い(特に8、10、とりわけ15より高い)物質の添加を少量に(通常、1重量%未満の量に)抑えることができる。それらの物質の添加を行わないことが可能であり、有益である。【0063】また、本発明の目的のための添加剤は、医薬活性成分を含有する固溶体を生成するための物質を意味する。これらの添加剤の例はペンタエリスリトールおよびテトラ酢酸ペンタエリスリトール、尿素、リン脂質(例えばレシチン)、糖アルコール(例えばキシリトールおよびマンニトール)、クエン酸およびコハク酸、胆汁酸、ステアリン、および例えばJ. L. Ford, Pharm. Acta. Helv. 61, (1986), pp69-88に記載される他の添加剤である。【0064】活性成分の溶解性を調節するための酸および塩基の添加物も医薬添加剤とみなされる(例えばK. Thomaら, Pharm. Ind. 51, (1989), pp98-101参照)。【0065】本発明の趣旨における添加剤は、薬剤形態に特有の、すなわち特定の薬剤形態(特に経口、とりわけ錠剤およびカプセル)に好適なビヒクル、また低融点または液体添加剤、例えば低分子量のポリアルキレングリコール、特に重量平均分子量が1,000未満であるポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール、水または好適な水性の系である。【0066】マスキング香料および臭気マスキング剤、特に甘味料および着香料のような添加剤を添加することも可能である。【0067】このタイプの実施形態は、例えばFiedler, H. B., Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik, und angrenzende Gebiete,第4版, Aulendorf:ECV-Editio-Cantor-Verlag (1996)に記載されるような専門知識に基づいている。【0068】本発明の固体製剤中の添加剤成分は上記のような別の添加剤の少なくとも1種を含有する。これらのタイプおよび/または他のタイプの別の添加剤を含有してもよい。【0069】本発明のある実施形態は添加剤成分を含有する製剤ベースを含有する。この場合、本発明の製剤中の他の製薬上許容される添加剤の含有量は91重量%まで、好ましくは60重量%まで、特に40重量%まで可能である。【0070】本発明の特定の実施形態は以下を含有する製剤を含有する:i)低分子量ヘパリン、特に重量平均分子量が約500から約10,000のヘパリン;ii)少なくとも1種の不飽和脂肪酸(好ましくはオレイン酸、リノール酸、および/もしくはリノレン酸、または相当するモノもしくはジグリセリドから選択される);iii)ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・コポリマー(特に酢酸ビニルとのコポリマー)、またはセルロース誘導体(特にヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース)から選択される少なくとも1種のポリマー;およびiv)必要により、他の添加剤、例えば流動調整剤。【0071】本発明の製剤は、好ましくは5重量%未満、特に1重量%未満の水を含有する。特定の実施形態は本質的に無水の製剤である。【0072】本発明の製剤は好ましくは固体のコンシステンシーを有する。この点について“固体”という用語は、好適な薬局方に医薬品に関して示される意味を有する。本発明の製剤は半固体または強粘液のコンシステンシーであってもよい。“半固体”および“強粘液”という用語は、本発明の枠内では、医薬品に関して好適な薬局方に示される意味を有する。例えば本発明の製剤は、脂質、特に低融点の脂質の含有量が相対的に高い場合、半固体のコンシステンシーでありうる。半固体、および必要によっては強粘液のコンシステンシーは、周知のように好適な添加剤、特に低融点または液体ビヒクルの添加によって得られる。【0073】従って本発明は、少なくとも1種のヘパリン、グルコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質の経口投与のための薬剤形態としての本発明の製剤の使用にも関する。【0074】従って、本発明の製剤は主にヒトおよび獣医学部門のいずれの医薬にも使用される。この点では、製剤を薬剤形態として、または薬剤形態中に使用する。すなわち、本発明の製剤は必要により他の添加剤と共に、製薬上の調製に好適な添加剤形態を有する。【0075】従って、“薬剤形態”という用語は生体(好ましくは哺乳動物、特にヒト、および農業用動物または家畜)に活性成分を投与するためのいずれかの投与形態をいう。【0076】慣例的な薬剤形態には特に(アルファベット順に)エマルションおよびミクロエマルション、顆粒、カプセル、ペレット、粉末、懸濁液、坐薬、錠剤、特にコーティング錠がある。【0077】エマルションおよびミクロエマルションは水中油型または油中水型であってもよく、分散相または被分散相として(as disperse or dispersing phase)本発明の製剤を含有する。これらのエマルションまたはミクロエマルションを、この目的で使用されることが知られている乳化剤の存在によって安定化してもよい。しかしながら、本発明の製剤の1つの利点は、通常少量の乳化剤しか添加されないことであり、本発明の特定の実施形態では、乳化剤、特にHLB値が10より高い、特に15より高いO/W乳化剤の添加を省くことが可能である。【0078】顆粒は本発明の製剤の固体粒子から成り、それぞれの粒子は粉末粒子の塊である。顆粒は好ましくは薬剤形態として経口での使用を意図する。使用者に1回分の投与量の製剤(例えば小袋(サシェ)、紙袋、または小瓶に封入した顆粒)、または複数回投与のための製剤(好適なdimensionsを必要とする)を提供することができる。しかしながら多くの場合、それらの顆粒は実際の薬剤形態ではなく、特定の薬剤形態の製造の中間物である。例えば錠剤用顆粒は圧縮して錠剤とし、カプセル用顆粒は硬質ゼラチンカプセルに封入し、またはインスタント顆粒(instant granules)もしくは経口投与用懸濁液のための顆粒では摂取の前に水に懸濁させる。【0079】カプセルとして、本発明の製剤は通常、互いにフィットする2つのピースからなる硬質の殻、または軟質の1ピースの閉じた殻に封入するが、この形状およびサイズは様々でありうる。同様に、本発明の製剤は好適なポリマー中のマトリクスに封入もしくは包含、または包埋されてもよく、これはすなわちマイクロカプセルおよびマイクロスフェア(microspherules)である。硬質および軟質カプセルは主にゼラチンから成るが、後者は好適な含有量の可塑化物質、例えばグリセロールまたはソルビトールを含有する。硬質ゼラチンカプセルは固体のコンシステンシーを有する本発明の製剤(例えば顆粒、粉末、またはペレット)を収容するために使用される。軟質ゼラチンカプセルは半固体のコンシステンシー、および必要によっては粘液のコンシステンシーを有する製剤に特に好適である。【0080】本発明の製剤のペレットおよび顆粒は直径約0.5から2mmの範囲の粒子サイズである。狭い範囲の粒子サイズ分布、好ましくは0.8から1.2mmであるもの、および本質的に球形であるものは共に好ましい。【0081】半固体の製剤では、本発明の製剤を好適なビヒクルに吸収させる。好適なベースは製薬業界の技術者に知られている。【0082】坐薬は直腸、経膣、または尿道投与のための固体製剤である。投与経路に好適なように、これらの薬剤形態においては、通常、本発明の製剤を好適なビヒクル、例えば体温で融解する脂肪、例えば硬質脂質(hard fat)、マクロゴール、すなわち様々な比率の1,000から3,000の分子量のポリエチレングリコール、グリセロールゼラチンなどに取り込む。【0083】錠剤は特に経口で使用される固体製剤である。本発明の枠内での経口(oral)の意味は特に“経口(peroral)”という用語の意、すなわち活性成分が胃腸管で吸収または作用するための錠剤である。特定の実施形態はコーティング錠、多層錠、ラミネート錠、活性成分の放出を改変した錠剤、マトリックス錠、発泡性錠剤、咀しゃく錠、またはピルである。本発明の製剤は通常、必要な錠剤添加剤、例えば結合剤、増量剤、平滑化剤、および潤滑剤、そして崩壊剤の少なくとも一部を含有する。本発明の製剤の錠剤は必要によって他の好適な添加剤を含有してもよい。この点に関して錠剤化を補助する添加剤について言及すべきであり、例えば潤滑剤および平滑化剤(例えば上記のもの)では、特に圧縮を容易にするためにはステアリン酸マグネシウムが好ましい。【0084】コーティング錠は好適なコーティング物質、例えばコーティング助剤を含有するフィルムコーティング剤、特に下記のものを更に含有する。コーティング錠には、特に糖衣錠およびフィルムコーティング錠がある。【0085】粉末は、本発明の製剤の微細分散固体であり、通常1mm未満の粒子サイズである。顆粒に関する上の記載が同様に適用される。【0086】本発明によれば、本発明の製剤の粉砕した顆粒、粉末、またはペレットを充填したカプセル、本発明の製剤を含有し、マスキング香料を添加した経口用懸濁液のためのインスタント顆粒および顆粒、そして特に錠剤が好ましい。【0087】本発明の薬剤形態は通常、好適な形態で包装される。固体製剤のためのプラスチックおよび/または金属製の押出し包装(pushout packs)が多くの場合使用される。【0088】本発明はまた、成分i)、ii)、iii)、および必要によりiv)を混合して可塑性混合物を生成することによる、本発明の製剤の製造工程にも関する。従って、可塑性混合物を生成するためには少なくとも2つの処理が必要であり、一方は成分を混合して混合物を生成することであり、他方はその可塑化、すなわちその可塑状態への変換である。これらの処理は、1つ以上の成分または成分の部分で連続的に、かみ合わせて(intermeshingly)、交互に、または別の方法で行ってもよい。従って、原理的には可塑状態への変換を混合過程と同時に行うか、または最初に混合して混合物とし、次いで可塑状態に変換することができる。組成の異なる複数の可塑性混合物を加工の際に生成してもよく、互いに、および/または他の成分もしくは成分の部分と混合する。例えば成分の一部(例えば脂質成分およびポリマー成分)のプレミックスを顆粒化して可塑性混合物を生成することができ、次いで他の成分(例えば活性成分)を添加して顆粒を別の可塑性混合物に変換することができる(その組成は製剤のそれに相当してもよい)。まず全ての成分を合一し、次いで混合と同時に可塑状態に変換するか、またはまず混合し、その後可塑状態に変換することもできる。【0089】可塑性混合物の生成は溶解によって、または混合物の融点未満において機械的エネルギーの更なる投入、例えばニーディング、混合、または均質化によって行うことができる。可塑性混合物は好ましくは220℃未満の温度で生成する。可塑性混合物の生成は通常、1つ以上の成分がペーストに変換するか、または液体もしくは溶媒で部分的に溶解するような状態では行われず、主に、またはもっぱら成分に対する熱的もしくは熱的/機械的作用によって、すなわち熱的可塑化によって行う。可塑性混合物は好ましくは押出、特に好ましくは融解物の押出によって生成される。可塑化の加工段階は本来知られる方法、例えばEP-A-0 240 904号、EP-A-0 337 256号、EP-A-0 358 108号、WO 97/15290号、およびWO 97/15291号に記載されているように行うことができる。これらの文献の内容、および特にその中にある融解物の押出についての記載は参照により本明細書に組み入れられる。【0090】ポリマー成分を全ての成分の完全混合物中、30から200℃、好ましくは40から170℃の範囲で可塑状態にすることができるべきである。従って混合物のガラス転移温度は220℃未満、好ましくは180℃未満であるべきである。必要により、これを慣例的な製薬上許容される可塑化添加剤で低下させる。【0091】それらの可塑化剤の例:有機(好ましくは不揮発性)化合物、例えばC7-C30-アルカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ブタンジオール、ペンタノール、例えばペンタエリトリトール、およびヘキサノール、ポリアルキレングリコールで好ましくは分子量が200から1,000のもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリエチレン/プロピレングリコール、シリコーン、芳香族カルボン酸エステル(例えばフタル酸ジアルキル、トリメリト酸エステル、安息香酸エステル、テレフタル酸エステル)または脂肪族ジカルボン酸エステル(例えばアジピン酸ジアルキル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、および酒石酸エステル)、脂肪酸エステル、例えばモノ、ジ、もしくはトリ酢酸グリセロールまたはスルホコハク酸ジエチルナトリウム。可塑化剤の濃度は、存在する場合は一般にポリマーおよび可塑化剤の総重量に基づいて0.5から30、好ましくは0.5から10重量%である。【0092】便宜上、可塑化剤の量はポリマーおよび可塑化剤の総重量に基づいて30重量%以下であり、(固体剤形の分野では)保存安定性製剤で、低温流れ(cold flow)を示さない薬剤形態が生成される。本発明に従って存在する脂質成分は可塑化の特性を有するため、一般に可塑化の目的で可塑化剤を添加する必要はない。【0093】本発明の工程は200℃未満、好ましくは170℃未満で室温(25℃)より高い、好ましくは40℃より高い温度で便宜に実施できる。本発明の製剤の押出に好ましい温度範囲は80から150℃である。工程は特に、成分の混合物の軟化点から上下に40℃、好ましくは30℃、特に好ましくは20℃までの温度範囲で実施する。【0094】ある場合には、成分または成分の一部を溶液または溶媒中の懸濁液として添加するのが便宜でありうる。特に好適なのは低分子量の揮発性溶媒、例えば水、C1-C6-モノアルコールおよびそのエーテル、C1-C6-モノアルカノールとC1-C6-カルボン酸のエステル、アルカンである。使用できる別の溶媒は液体CO2である。水溶性の活性成分は水溶液として使用するか、または好ましくはポリマー成分(またはその一部)の水溶液もしくは分散液に溶解させる。使用される成分の液体の形態が有機溶媒に基づくものである場合、相当する記載は言及した溶媒の1つに可溶な活性成分に適用される。本発明に従って使用される成分は少量の溶媒を含有してもよく、これは例えば吸湿性、補捉された溶媒または結晶水のためである。可塑性混合物の総溶媒含有量は好ましくは15%未満、特に10%未満、特に好ましくは5%未満である。可塑性混合物は好ましくは溶媒を添加せずに、すなわち、特に溶媒未含有融解物の押出によって生成される。【0095】成分、すなわち活性成分、脂質、およびポリマー、そして必要により他の添加剤を最初に混合し、次いで可塑状態に変換し、均質化できる。これは攪拌容器、攪拌機、固形物ミキサーなどのような器具を順次操作して行うことができる。その後、感受性の高い活性成分を、好ましくは滞留時間が非常に短い可塑相での“集中ミキサー”で、混合(均質化)できる。1種以上の活性成分をそのまま、すなわち特に固体で、または溶液、懸濁液、もしくは分散液として使用してもよい。【0096】本発明の方法の特定の実施形態では、活性成分および脂質を最初に混合し、その後可塑化したポリマーに添加するのが便宜でありうる。この方法は特に、活性成分および/または脂質が熱的に不安的な場合、便宜でありうる。可塑化、融解、および/または混合はこの目的に通常使用される器具で行う。押出機、または攪拌機のついた加熱可能な容器、例えば混練機(下記に記載するタイプのもののような)は特に好ましい。【0097】混合器具として可塑技術で混合のために使用される器具を使用することも可能である。好適な器具は、例えば“Mischen beim Herstellen und Verarbeiten von Kunststoffen”, H. Pahl, VDI-Verlag, 1986に記載されている。特に好適な混合器具は押出機、動的ミキサー、静的ミキサー、そして攪拌容器、ストリッパー機構のあるシングルシャフト攪拌機、特にペーストミキサー、マルチシャフト攪拌機、特にPDSMミキサー、固形物ミキサー、そして好ましくはミキサー/ニーダー反応器(例えばListのORP、CRP、AP、DTB、Krauss-MaffeiのReactotherm、またはBussのKo-Kneader)、スルー(trough)ミキサーもしくは密閉式ミキサー、またはローター/平衡システム(例えばIKAのDispax)である。【0098】混合および可塑化、すなわち特に融解の加工段階は同一器具内で、または2つ以上の器具を順次、別々に使用して行うことができる。プレミックスの調製は上記の、および特に顆粒化に一般に使用される混合器具の1つで実施できる。次いで、それらのプレミックスを例えば押出機に直接注入し、その後、必要により他の成分を添加して、押出を行うことができる。【0099】以下を押出機として本発明の方法に使用できる:シングルスクリュー押出機、インターメッシング(intermeshing)スクリュー押出機、またはマルチスクリュー押出機、特にツインスクリュー押出機の共回転または逆回転のもので必要によりニーディングディスクを搭載したもの。押出において溶媒を蒸発させる必要がある場合、押出機には一般に蒸発部分を搭載させる。使用できる押出機の例はWerner & PfleidererのZSKシリーズのものである。【0100】混合器具にはそのデザインによって慣例的な方法で連続的に、またはバッチワイズで充填する。粉末成分は、例えば秤量注入器を介して、フリー注入で導入できる。可塑組成物は押出機から直接か、または歯車ポンプを介して注入でき、これは粘度および圧力が高い場合には特に好適である。液体基質は好適なポンプユニットによって測量できる。【0101】液体成分は上記のように連続的に、またはバッチワイズで製剤に導入できる。従ってまず、ポリマー成分(マトリックス)の少なくとも一部を脂質成分の少なくとも一部のための担体として使用し、その後本発明に従ってプレミックスとして調製し、必要によって他の成分を添加し、好ましくは押出によって、可塑性混合物を生成する。脂質成分の少なくとも一部を可塑性混合物に連続的に添加するのが好ましい。これは、本発明に従って使用する脂質が半固体または液体で加工される場合に特に好ましい。従って上記の脂質で相対的に低融点であるものも技術的理由から加工において好ましく、また同様にこれらのうちで室温、すなわち約20から30℃で半固体(ろう様)であるもの、特に液体(油)のコンシステンシーであるものが好ましい。これらは混合器具、特に押出機中に直接測量するのが好ましい。これによって顆粒化段階を別に行うのを省略してもよい。【0102】ポリマー成分、活性成分、脂質成分、そして必要により他の添加剤の混合、および可塑状態への変換によって得られた混合物は粘度が高い、または粘度が低い(熱可塑性)ペースト状であり、従って押出を行うことができる。混合物のガラス転移温度は有利には混合物中に存在する全成分の溶解(decomposition)温度より低い。【0103】本発明の製剤は可塑性混合物として(必要によって冷却または固化後)、特に押出物として、従来の薬剤形態を製造するための全ての慣例的な方法に好適である。【0104】本発明はまた、本発明の製剤の薬剤形態を製造するための加工に関し、ここにおいては製剤を上記の加工によって生成でき、製剤を、必要によって他の添加剤を添加して、所望の薬剤形態に変換する。これは成形加工の手段、例えば可塑性混合物の成形を使用して、特に押出または融解物押出、および可塑性混合物、特に押出物の成形により、必要によって冷却または固化した後、例えば顆粒化、粉砕、圧縮、鋳造、注入成形、圧迫下での錠剤化、加熱・加圧下での錠剤化によって行うことができる。製剤を好適なビヒクルに導入することによって所望の薬剤形態に変換することが可能である。従って好適なビヒクルの添加によって固体製剤を半固体または液体製剤に加工することも可能である。【0105】多くの特に固形薬剤がこの方法で製造できる。例えば固化した、または少なくとも部分的に固化した可塑性混合物を粉砕または細切することによって粉末または顆粒を製造でき、これを直接治療に使用するか、または必要によって慣例的な添加剤を添加して更に加工して上記の薬剤形態、特に錠剤にすることができる。【0106】薬剤形態は好ましくは可塑性混合物の固化の前に成形し、これが、必要によって慣例的な方法でコーティングした後、治療に使用できる形態となる。【0107】固化前の薬剤形態への成形は可塑性混合物の粘度によって種々の方法で、例えば鋳造、注入成形、圧縮、ニッピング(nipping)、またはカレンダー掛け(calendering)によって行うことができる。これは上記の可塑性混合物を本発明にかかる加工において1つ以上の成形段階まで運搬させて行う。運搬はプレス、ポンピングにより、例えば歯車ポンプで、または好ましくは押出機で行うことができる。【0108】特に好ましくは可塑性混合物を1つ以上(好ましくは1つ)の押出機で生成し、そしてそれより後の、または下流の押出機によって成形段階に運搬する。多くの場合、下りの傾斜面に押出し、そして/または必要により押出物の運搬のためのガイドチャンネルを提供して、安全な運搬を確実にし、押出物の破裂を防ぐのが有利であることが確認されている。【0109】使用する活性成分の数および融和性によって、多層押出物、例えばWO 96/19963号に記載されるような共押出物を本発明の加工に使用するのも便宜でありうる。【0110】多層固形薬剤形態は、特に共押出によって生成することができ、この場合、上記の成分の1つ以上の混合物の多くを押出鋳型に共に運搬し、所望の層構造となるようにする。種々のポリマーが種々の層に使用するのに好ましい。【0111】多層薬剤形態は好ましくは2または3層を含有する。これらは開放型または閉鎖型形態、特に開放型または閉鎖型多層錠であってもよい。【0112】成形を共押出によって行う場合、個別の押出機または他のユニットからの混合物を共通の共押出鋳型に注入し、押出を行う。共押出鋳型の形状は必要とされる薬剤形態による。好適な鋳型の例はスリット鋳型と呼ばれる扁平口を有するもの、および環状口断面を有する鋳型である。鋳型の設計は使用する製剤ベース、特にポリマー成分、および所望の薬剤形態による。【0113】最初の成形段階は押出機から押出物が出る際に、好適に成形された鋳型、draw plates、または他の開口部を通して、例えば粉砕プレート(breaker plate)、円形鋳型、またはスリット鋳型を通して行うのが有利である。これによって通常、好ましくは一定の横断面で、例えばリボンまたは鎖の形態で、好ましくは円形、楕円形、丸みを帯びた、またはフラットで広い横断面を有する連続的な押出となる。【0114】押出物に好適な下流の成形段階は、例えば冷切断(すなわち少なくとも部分的に固化した後に押出物を切断または細切する)、熱切断(すなわち可塑性の形態のうちに押出物を切断または細切する)、または押出物が可塑状態のうちにニップ(nip)装置で挟み切るものがある。熱または冷切断によって、例えば顆粒(熱または冷顆粒化)またはペレットを得ることができる。通常、熱顆粒化では直径0.5から3mmの薬剤形態(ペレット)が得られ、冷顆粒化では一般に長さと直径の比が1から10であり、直径が0.5から10mmである円柱状の産物が得られる。この方法で単層となるが、共押出を使用すれば開放型または閉鎖型の多層の薬剤形態、例えば長楕円形の錠剤、香錠、およびペレットも製造できる。下流の加工段階において、慣例的な方法によって薬剤形態にコーティングを施与することができる。フィルムコーティングに好適な物質はポリマー結合剤として言及したポリマー、特にポリアクリレート(例えばEudragit(登録商標)タイプ)、セルロースエステル(例えばフタル酸ヒドロキシプロピルセルロース)、およびセルロースエーテル(例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはヒドロキシプロピルセルロース)、およびゼラチンである。続いて更なる成形段階を行ってもよく、これは例えば、DE-A-196 29 753号に記載されるように、丸め装置を使用して熱または冷切断によって得られたペレットを丸める段階である。【0115】全ての成形段階をまだ可塑状態である混合物または押出物で行うのが特に好ましい。熱切断をし、必要により続いて丸めを行う他に、特に好適な加工は可塑性混合物を鋳造カレンダー(molding calender)で投与形態に成形するものである。これは、まだ可塑状態である混合物または押出物を好適な鋳造カレンダーに運搬することによって行う。好適な鋳造カレンダーは通常、成形のための鋳造ロールおよび/またはベルトを有し、少なくとも1つの鋳造ロールおよび/または少なくとも1つのベルトは可塑性混合物を受けて成形するためのくぼみを有する。逆回転鋳造ロールを有し、鋳造ロールの少なくとも1つが可塑性混合物を受けて成形するためのくぼみをその表面に有するような鋳造カレンダーを使用するのが好ましい。好適な鋳造カレンダーおよび鋳造ロールを含む装置は一般に、例えばEP-A-0 240 904号、EP-A-0 240 906号、およびWO 96/19962号に開示されており、好適なベルトおよびベルトを含む装置は一般にEP-A-0 358 105号に開示されているが、これらは明らかに参照によって本明細書に組み入れられる。【0116】まだ可塑状態である混合物または押出物の成形は、220℃未満、特に好ましくは180℃未満、そして非常に好ましくは150℃未満の温度で、例えば可塑性混合物を生成するのに必要な温度範囲またはそれより低い温度で行う。成形をより低い温度で行う場合、5から70℃、好ましくは10から50℃、特に好ましくは15から40℃で、可塑性混合物の生成の際に到達する最高温度より低く、しかし好ましくは可塑性混合物の固化温度より高い温度で行うのが有利である。【0117】本発明にかかる製剤の製造および薬剤形態の調製は、その全部または一部を無菌の操作条件下で、例えばクリーンルームで滅菌した装置(例えば計量器、ミキサー、押出機、および成型器、例えばカレンダー、ニップ装置、および細切機)を使用して行うことができる。出発物質を無菌の形態で、必要によって好適な抗菌性および/もしくは抗ウィルス性添加剤を添加して、工程に導入することができ、そして/または加工条件、特に温度を、無菌製剤または薬剤形態が得られるように選択することができる。次いで得られる無菌投与形態を、同様に無菌条件下で、例えばプリスターパックまたはシーリングによって直接包装できる。成形および包装は同時に、特に鋳造ロールでカレンダー掛けによる可塑性混合物の成形を行うときに実施してもよい。これはそれぞれの場合に可塑性混合物に加えてシート状の物質を融解物と鋳造ロールの間に導入することによって行い、これによって可塑性混合物の投与形態への成形と投与形態の封入(enveloping)および/または包装を同時に行うことができる。これはWO 96/19963号に記載されており、これは参照によって本明細書に組み入れられる。【0118】本発明は更に、少なくとも1つの水に可溶な活性成分、特にヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質の投与、特に経口投与のための本発明の製剤ベースの使用に関する。この使用の目的は、特に活性成分の薬理作用を向上することである。従ってこの使用は特に、少なくとも1つのヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質の投与、特に経口投与のために活性成分の薬理作用を向上するための加工を、本発明の製剤ベースの使用と共に含む。これには、好ましくは上記の加工の1つを使用して、少なくとも1つのヘパリン、グリコサミノグリカン、またはヘパリン類似物質を製剤ベースに導入することが必要とされる。特に、製剤ベースのポリマーマトリックスは、本発明の固体製剤の製造において少なくとも1つの脂質を受け、活性成分の薬理作用を向上する役目を果たす。薬理作用の向上を、特にヘパリン、グリコサミノグリカン、および/またはヘパリン類似物質を含有する製剤ベースの哺乳動物(特にヒト、農業用または家畜用動物)への経口投与に適用する。【0119】ポリマーマトリックスは上記のポリマー成分、または少なくともその一部によって生成する。少なくとも1つの脂質(上記の脂質成分の構成要素であるもの)をこのポリマーマトリックスに吸収させる。吸収の結果、脂質がポリマーマトリックス中に本質的に分子分散するのが特に好ましい。マトリックス中の脂質の均質な分散は、特に脂質の活性成分促進性に関して、有利である。これらの利点は分子分散中に活性成分が存在しなくても得られる。活性成分の薬理作用を向上するために使用できる脂質は、特に吸収促進剤として当業者に周知である。当業者は脂質成分の少なくとも一部を、例えばそれらの中から、選択できる。更に、脂質成分の説明に関係する上の記載を参照されたい。【0120】本発明にかかる使用は、活性成分促進作用が脂質の投与と同時に起こりうるような方法で活性成分を投与する場合はいつでも、有利である。これは特に投与経路に関係し、それらには胃腸管、すなわち特に腸内、とりわけ直腸内、そして好ましくは経口投与がある。本発明にかかる使用は、この経路によって好適な手段(少なくとも1つの脂質の添加)無しで、投与する活性成分が不十分な量しか使用できない場合に特に有利である。これは水溶性の活性成分、例えばヘパリン、グリコサミノグリカン、およびヘパリン類似物質の場合である。【0121】本発明の薬剤形態、および活性成分の有効量を治療すべき個体、好ましくは哺乳動物、特にヒト、並びに農業用または家畜用動物に投与する。それらの治療が必要であるかどうか、そして何の形態をとるかは個々の場合によって決まり、以下のような医学的評価(診断)が必要である:存在する兆候、症状、および/または機能障害、一定の兆候、症状、および/または機能障害が発生するリスク、そして他の因子。本発明の薬剤形態は通常、1日1回以上、他の製品と共に、または交互に、治療すべき個体が治療を可能とする量の日毎投与が受けられるような方法で投与される。【0122】本発明の製剤は主に凝固阻止剤として使用される。これには以下がある:血塞栓障害(例えば動脈および静脈の血栓および塞栓)の予防および治療、心筋梗塞の初期および長期治療(特に血塞栓合併症のリスクが高い場合)、体外循環における血栓を防ぐための術前および術後の血栓予防(例えば血液透析および血液濾過の際)、消費性凝固障害(特に過凝固性状態での)、および血液凝固に対する阻害作用が必要とされる同様の状態。他の分野の兆候の例には以下がある:深在静脈血栓症、肺塞栓、心血管障害、不安定狭心症、心筋梗塞、卒中、不整脈、炎症、リウマチ性関節炎、クローン病、炎症性腸疾患、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎障害、移植拒絶反応、脈管形成阻害、転移阻害、および癌。【0123】ここで本発明について以下の実施例によって説明するが、本発明は該実施例に制限されるものではない。【0124】実施例1:実験室用ツインスクリュー押出機(Haake、スクリュー直径16mm)で、20重量%のLMWH(低分子量ヘパリン。分子量分布2,000から10,000;レビパリン)、64重量%のKollidon(登録商標)VA-64、16重量%のオレイン酸、および1重量%のAerosil 200の混合物を110℃の温度で押出し、白色の均質な融解物を得、これを冷却後、実験室用ミルで粉砕した。得られた顆粒状粉末E1を水に溶解してエマルションを生成した。この調製品のエマルション滴のサイズを、Mastersizer装置(Malvern, UK)を使用して測定した。粒子の90%は25μm未満のサイズであり、50%の粒子は1.8μm未満であった(2頂の分布)。【0125】実施例2:実施例1と同様に、20重量%のLMWH(低分子量ヘパリン。分子量分布2,000から10,000;レビパリン)、70重量%のヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標)EF)、10重量%のオレイン酸、および1重量%のAerosil 200の混合物を130℃の温度で押出した。白色の融解物が得られ、冷却後に固化したが、これを実験室用ミルで粉砕して顆粒状粉末E2を得、これは水に可溶でエマルションを生成した。この調製品におけるエマルション滴のサイズを、Mastersizer装置(Malvern, UK)を使用して測定した。粒子の90%は32μm未満のサイズであり、50%の粒子は12μm未満であった。【0126】実施例3:LMWHの代わりに20重量%の硫酸デキストラン(ICN)を使用し、110℃で実施例1と同様に押出を行い、象牙色の押出物を得、冷却後、ミルで粉砕した。【0127】実施例4:LMWHの代わりに20重量%の硫酸デキストラン(ICN)を使用し、150℃で実施例2と同様に押出を行い、薄黄色の押出物を得、冷却後、ミルで粉砕した。【0128】実施例5:20重量%のパルミチン酸および20重量%のオレイン酸の混合物を加熱容器中、70℃の温度で完全に液化し、3重量%のヒドロキシプロピルセルロースおよび57重量%の低分子量ヘパリンを攪拌/ニーディングによって均質に混入した。混合物を温かいうちに硬質ゼラチンカプセルに封入した。【0129】実施例6:実施例1および2で混入したレビパリンは元来、136 IU/mgの特異的抗Xa活性を有する。その後の押出物中のレビパリン含有量の確認をHPLCで行い、押出したレビパリンの生物学的活性を、TEIEN, A. N.らの方法(色素生産性物質を使用する血漿中のヘパリンのアッセイ(Assay of heparin in plasma using a chromogenic substrate), Thromb. Res. 8, 413-416 (1976))によって凝集因子Xaに対する阻害作用として測定した。かくして、活性成分の含有量がそれぞれ23.4%および17.7%である押出物E1およびE2は、それぞれ31.3 IU/mgおよび24.1 IU/mgの活性を有することが明らかになった。これは元の活性のそれぞれ98%および100%に相当する。【0130】実施例7:融解した押出物E1またはE2、レビパリン、またはプラシーボ(生理食塩水)をオスのウィスター(Wistar)ラットに強制栄養で胃内投与した。各物質群で20匹の動物を使用した。活性物質の投与量は各ケースで0.025mg/kg体重とした。試験物質投与の4時間後、大静脈および腹部大動脈を麻酔下で動物から除去した。血管内皮をHiebertおよびJaques(Artery, 2, 26, 1976)に記載されるように調製した。内皮に結合したレビパリンの含有量を、Jaquesら(J Lab Clin Med, 115, 422, 1990)に記載されているようにアガロースゲル電気泳動法によって測定した。顕著に高濃度のレビパリンがE1およびE2の投与後に内皮上で観察された。【0131】実施例8:オスのウィスターラットに一時的に麻酔を施与した。頸動脈上部の皮膚を切開した後、5滴のホルマリン/メタノール溶液を適用した(10/65容量%)。Blakeら(J Clin Path, 12, 118, 1959)が記載するように、これによって化学的に血栓が誘導される。血栓誘導の4時間後、頸動脈を硬い血餅の存在について試験した。各群で20匹の動物を使用した。血栓誘導の24時間前に実験動物に押出物E1もしくはE2、レビパリン、またはプラシーボ(生理食塩水)を強制栄養によって胃内投与した。投与量は7.5mg/kg体重とした。【0132】各群における血栓の発生率を評価のために使用した(図2)。押出物E1およびE2の投与後の血栓生成の阻害は、レビパリンのみの投与後より明らかに高いことが見出された。【図面の簡単な説明】【図1】 プラシーボ(0)、低分子量ヘパリン(レビパリン)、本発明の製剤E1およびE2の胃内投与後のオスのウィスターラットにおける大静脈および腹部大動脈の内皮で観察されたヘパリン濃度を示す。【図2】 プラシーボ(0)、低分子量ヘパリン(レビパリン)、本発明の製剤E1およびE2の投与後のオスのウィスターラットにおける血栓の発生率を示す。 i)少なくとも1種のヘパリンまたはグリコサミノグリカンを含む活性成分を、5〜40重量%; ii)脂肪酸、トリグリセリド、ジグリセリド、およびモノグリセリドから選択される少なくとも1種の脂質から形成される脂質成分であって、HLBが12以下の脂質成分; および iii)ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、フタル酸セルロース、アクリル(メタクリル)樹脂から選択される1種以上のポリマーから形成される固体ポリマー成分を10〜80重量%、を含んでなる製剤であり、該製剤が水を1重量%未満含有し、HLBが15より大きい界面活性を有する添加剤の含有量が1重量%未満である、経口投与のための製剤。 ヘパリンが、重量平均分子量が500〜10,000の低分子量ヘパリンである、請求項1記載の製剤。 活性成分の結晶の含有量が5重量%未満である、請求項1または2記載の製剤。 活性成分の結晶が含有されない、請求項3記載の製剤。 脂肪酸が不飽和である、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。 脂質成分のHLBが8以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の製剤。 脂質成分の融点が30℃より低い、請求項1〜6のいずれかに記載の製剤。 脂質成分の少なくとも一部が分子分散の形態である、請求項1〜7のいずれかに記載の製剤。 脂質成分が3〜50重量%含まれる、請求項1〜8のいずれかに記載の製剤。 ポリマー成分に基づく脂質成分の含有量が40重量%以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の製剤。 ポリマー成分中、脂質成分の少なくとも一部が分子分散の形態である、請求項1〜10のいずれかに記載の製剤。 HLBが15より大きい界面活性を有する添加剤を1重量%未満含む、請求項1〜11のいずれかに記載の製剤。 固体である、請求項1〜12のいずれかに記載の製剤。 i)重量平均分子量が500から10,000である低分子量ヘパリンを5〜40重量%; ii)オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及び、これらのいずれかの酸のモノもしくはジグリセリドから選択される少なくとも1種の不飽和脂肪酸; および iii)ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される少なくとも1種のポリマーから形成されるポリマー成分を10〜80重量%、を含み、水を1重量%未満含有する、経口投与のための固体製剤。 さらに、iv)少なくとも1種の他の製薬上許容される添加剤を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の製剤。 増量剤、潤滑剤、平滑化剤、離型剤、流動調整剤、染料、安定化剤、可塑剤、保存剤、崩壊剤、吸収剤、および界面活性剤から選ばれる添加剤を更に含む、請求項1〜15のいずれかに記載の製剤。 成分i)、ii)、およびiii)を含む混合物の溶融物押出により得られる、請求項1〜16のいずれかに記載の製剤。 少なくとも1種のヘパリンまたはグリコサミノグリカンの経口投与のための薬剤形態として使用するための、請求項1〜17のいずれかに記載の製剤。