生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_3層構造を有する非経口用製剤
出願番号:2001585731
年次:2012
IPC分類:A61K 9/50,A61K 47/32,A61K 47/34,A61K 47/38,A61K 38/22,A61K 38/00,A61K 38/27,A61K 38/23,A61K 38/28,A61K 39/08,A01N 25/28


特許情報キャッシュ

高田 寛治 JP 4990465 特許公報(B2) 20120511 2001585731 20010524 3層構造を有する非経口用製剤 ▲高▼田 ▲寛▼治 592176169 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 高田 寛治 JP 2000156227 20000526 20120801 A61K 9/50 20060101AFI20120712BHJP A61K 47/32 20060101ALI20120712BHJP A61K 47/34 20060101ALI20120712BHJP A61K 47/38 20060101ALI20120712BHJP A61K 38/22 20060101ALI20120712BHJP A61K 38/00 20060101ALI20120712BHJP A61K 38/27 20060101ALI20120712BHJP A61K 38/23 20060101ALI20120712BHJP A61K 38/28 20060101ALI20120712BHJP A61K 39/08 20060101ALI20120712BHJP A01N 25/28 20060101ALI20120712BHJP JPA61K9/50A61K47/32A61K47/34A61K47/38A61K37/24A61K37/02A61K37/36A61K37/30A61K37/26A61K39/08A01N25/28 A61K 9/50 A01N 25/28 A61K 38/00 A61K 38/22 A61K 38/23 A61K 38/27 A61K 38/28 A61K 39/08 A61K 47/32 A61K 47/34 A61K 47/38 特開平05−043453(JP,A) 特開平10−182442(JP,A) 特開平09−194395(JP,A) 特開昭58−011135(JP,A) 実開昭58−126815(JP,U) 5 JP2001004355 20010524 WO2001089486 20011129 8 20080523 淺野 美奈 技術分野本発明は、目的物質のほぼ100%の封入効率を達成することができる三層構造から成る不均一なマイクロカプセル、ミリカプセル又はフィルム型の非経口用製剤、並びにその製造方法に関する。背景技術不安定な化学物質の安定化を達成したり、徐放性を付与するために、W/O型、O/W型、又はW/O/W型のエマルジョンから液中乾燥法などの方法によりマイクロカプセルを調製するという従来のマイクロカプセルの製造法では、ほぼ真球で均一なマイクロカプセルしか作製することができない。本発明者は先に医薬品製剤として三層構造を有する不均一なマイクロカプセルあるいはミリカプセルを発明した(Kanji Takada、国際出願番号PCT/JP99/06602、An oral formulation for gastrointestinal drug delivery)。このようなマイクロカプセルあるいはミリカプセルを量産するには、上に述べた従来の調製方法では不可能である。さらに、目的物質の封入率をほぼ100%にまで高めることも従来の調製方法では不可能に近い。従来のマイクロカプセルの製造法だと、マイクロカプセルに封入する目的物質の封入率が低い上に、得られるマイクロカプセルの粒子サイズの変動が大きいためにサイジングにより収率はさらに低下する。W/O/W型エマルジョンの液中乾燥法を含む多数のマイクロカプセルの製造法が今日迄に開発されてきている。しかし、これらの技術によって製造できるのは均一なほぼ真球状のマイクロカプセルに限定されている。また、従来の方法では、目的物質を100%の封入率でマイクロカプセルに封入することは極めて困難であった。発明の開示本発明者は先に三層構造からなる経口粘膜付着性製剤を発明した(Kanji Takada、国際出願番号PCT/JP99/06602、An oral formulation for gastrointestinal drug delivery)。この経口粘膜付着性製剤は、主として、経口投与で使用するためのフィルム剤又はあるいは不均一なマイクロあるいはミリカプセル剤に関するものである。しかし、経口医薬以外の薬物、香料(芳香剤)、蚊の忌避薬、細胞(例えば、人工細胞等)又は抗原から選択される目的物質を収容する製剤を量産するためには、封入率を高めて不均一なマイクロカプセル、ミリカプセル又はフィルム剤を製造する方法を確立する必要がある。即ち、本発明が解決しようとする課題は、マイクロカプセル、ミリカプセルおよびフィルムに徐放性以外の機能、すなわち標的性や接着性の機能を付与するとともに、封入するべき目的物質をほぼ100%の効率で封入することができる製剤及びその製造方法を提供することである。本発明はまた、上記製剤の量産方法を提供することも解決すべき課題とした。本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基底層、目的物質を包含するための保持層、および表層の三層構造を有することを特徴とする不均一なマイクロカプセル、ミリカプセル又はフィルム剤を製造することにより上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、ポリマーから成る基底層;薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原から選択される目的物質を収容するための保持層;および表層の三層構造を有し、保持層が基底層と表層の間に存在することを特徴とする非経口用製剤が提供される。本発明の第1の態様では、基底層、保持層及び表層はそれぞれフィルム状であり、上記3層が積層して形成されている。本発明の第2の態様では、基底層は、半球形状をなし、該半球形態の内部空間に保持層が存在し、該半球形態の開口部分を表層が被覆している。好ましくは、基底層のポリマーは水不溶性ポリマー又は生分解性ポリマーである。好ましくは、基底層は、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ乳酸、ポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、又はメタアクリル酸コポリマー−S(Eudragit S)からなるフィルムである。好ましくは、保持層に収容される目的物質は、顆粒球増殖因子(G−CSF)、エリスロポエチン、インターロイキン類、成長ホルモン、カルシトニン、インスリン、オレンジ油、N,N−ジエチルトルアミド、ボツリヌストキシン、又は膵臓ランゲルハンス島である。好ましくは、表層は、pHに感応して溶解するポリマー、水不溶性ポリマー又は生分解性ポリマーからなる。また、本発明によれば、水不溶性ポリマー又は生分解性ポリマーを用いて作成したフィルムから成る基底層にミクロンサイズ又はミリサイズの窪みを作り;薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原から選択される目的物質を該窪みに入れ;接着剤を塗布したポリマーフィルムから成る表層を前記窪みの上部に接着して窪みに蓋をし;得られた3層構造のフィルムをマイクロ又はミリサイズに切断する:ことを含む、非経口用製剤の製造方法、並びに該製造方法により製造される非経口用製剤が提供される。さらにまた、本発明によれば、水不溶性ポリマー又は生分解性ポリマーを用いて作成したフィルムから成る基底層の上に、薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原から選択される目的物質と粘着性物質との混練物を塗布し;上記で塗布された混練物の上部にポリマーフィルムから成る表層を塗布し;加熱したマイクロあるいはミリサイズの口径を持つパンチャーでプレスすることにより上下のポリマーフィルムを圧着かつ切断する;ことを含む、非経口用製剤の製造方法、並びに該製造方法により製造される非経口用製剤が提供される。発明を実施するための最良の形態本発明の三層構造を有することを特徴とする非経口用製剤は、例えば、先ずミリもしくはマイクロサイズの窪みを有する基底層を作り、次に薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原から選択される目的物質を入れ、最後に粘着剤を塗った上層フィルムを用いて蓋をし、マイクロあるいはミリサイズで切り出しを行うことにより量産が可能となる。また、目的物質が耐熱性を有する場合には、水不溶性ポリマーや生分解性ポリマーなどを用いて作成したフィルム(基底層)の上に、薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原から選択される目的物質を粘着性物質と練って塗りつけ、その上から種々のポリマーフィルム(表層)をかぶせ、加熱したマイクロあるいはミリサイズの口径を持つパンチャーでプレスすることにより上下のポリマーフィルムを圧着・切断してマイクロ、ミリカプセルもしくはフィルムを量産することができる。本発明の非経口用製剤は、基底層、保持層及び表層から成る3層構造を有し、好ましくは不均一なマイクロカプセル、ミリカプセル又はフィルムの形態で供給される。基底層は、内包する目的物質を保護したり、放出制御をかけるのに必要な水不溶性ポリマーや生分解性ポリマーでできた茶碗状のマイクロあるいはミリサイズの容器である。上記したマイクロあるいはミリサイズの容器の中には保持層が提供され、薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原(ワクチン)から選択される目的物質を封入するためのスペースが確保される。保持層内における目的物質の保持を高めるために、セルロース製スポンジ、ティッシュペーパー、繊維などを入れることができる。表層はマイクロあるいはミリ容器内に入れた目的物質が漏出するのを防止したり、標的部位への特異性を付与したりするための各種のポリマーで調製したフィルムである。例えば、環境のpHを感応して溶解するヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP−55)、メタアクリル酸コポリマーL(Eudragit L)、メタアクリル酸コポリマーLD(Eudragit LD)、メタアクリル酸コポリマーS(Eudragit S)などのポリマーフィルムである。表層の厚さは特には限定されないが、例えば、10〜100μm程度であり、好ましくは20〜70μm程度であり、より好ましくは30〜50μm程度であるる。基底層を構成するポリマーは、水不溶性ポリマーであるエチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(Eudragit E)、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS(Eudragit RS)、酢酸セルロース、キチン、キトサンなどや、ポリ乳酸などの生分解性のポリマーを用いる。基底層のフィルムの厚さは特には限定されないが、例えば、10〜100μm程度であり、好ましくは20〜70μm程度であり、より好ましくは30〜50μm程度である。基底層は完全なフィルムであっても、フィルムに窪みを形成したものでも使用可能である。窪みの場合には、深さ10〜1000ミクロン、口径20〜8000ミクロンのマイクロあるいはミリ容器とするのが好ましい。フィルムから調製する場合には、ポリマーをエタノールなどの有機溶媒に溶解してテフロン製枠にカーストし、溶媒を蒸発留去することにより先ずフィルムを調製する。例えば、エチルセルロース550mg、クエン酸トリエチル25μlを塩化メチレン:メタノール(4:1)の混液5mlにて溶解し、テフロン板上にカーストして調製する。できたフィルムを、規則的に無数に並んだミクロンもしくはミリ単位の突起物を形成した金属製の型板の上に載せ、高温で加熱下、数時間放置、その後、冷却することにより、口径20〜8000ミクロン、深さ10〜1000ミクロンのマイクロあるいはミリ容器を作成する。マイクロあるいはミリ容器内に薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原から選択される目的物質を入れるには、固相法と液相法の二通りの方法が可能である。固相法では、目的物質および粘着剤としてのカルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸シルクフィブロイン共重合樹脂、マクロゴール、アクリル酸メチル・アクリル酸−2−エチルヘキシル共重合樹脂、アラビヤゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリイソプレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸、アルファー化デンプン、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、シクロデキストリンなどの粘着性ポリマーやゴムを混和し、その一定量をマイクロあるいはミリ容器内に固体状態で充填する。液相法としては、目的物質および上述の粘着剤に水などの溶解用溶媒を加え、いったん溶液として、ナノインジェクターやマイクロインジェクターを用いて分注することによりマイクロあるいはミリ容器内に液体状態で充填する。表層には、環境のpHに感応して溶解するポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP−55)、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート(HPMCT)、メタアクリル酸コポリマーL(Eudragit L)、メタアクリル酸コポリマーLD(Eudragit LD)、メタアクリル酸コポリマーS(Eudragit S)、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(Eudragit E)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどのポリマーにて調製した厚さ約30〜50ミクロンのフィルムを用いてもよい。例えば、HP−55(信越化学社製)の225mg、クエン酸トリエチルの25μlに塩化メチレン:メタノール(4:1)の混液の5mlを加えて溶解し、10×10cmの広さのテフロン板上にカーストして作成したフィルムである。また、一例として、Eudragit S100もしくはEudragit L100の225mgにクエン酸トリエチル25μlを加え、塩化メチレン:メタノール(1:1)の混液の5mlを加えて溶解し、同様のテフロン板上にカーストして作成したフィルムなどを使用する。表層が付着部位を指定せず、単に放出速度を制御するためだけであれば、エチルセルロースなどの水不溶性ポリマーあるいはポリ乳酸などの生分解性ポリマーなどで調製した膜厚30〜60ミクロンのフィルムを用いてもよい。その他、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS(Eudragit RS)、酢酸ビニル樹脂などの水不溶性ポリマーで作成したフィルムなども使用できる。表層とマイクロあるいはミリ容器との接着には、Carbopol、Polycarbophil、Hiviswako、Noveon、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ−N−ビニルアセトアミド(PNVA)、ポリビニルアルコール、アクリル酸・アクリル酸オクチルコポリマー、アクリル酸−2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体、アクリル酸シルクフィブロイン共重合樹脂、アラビアゴム、アルファー化デンプン、カルメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メタアクリル酸・アクリル酸n−ブチルコポリマーなどの粘着剤の溶液を表層フィルムに塗り、目的物質を入れたマイクロあるいはミリ容器に接着することにより行う。目的物質が耐熱性を有する場合には、基底層にマイクロあるいはミリ容器をあえて作成する必要はない。水不溶性ポリマーや生分解性ポリマーなどを用いて作成したフィルム(基底層)の上に、目的物質を上述の粘着剤と練って塗りつけ、その上から表層フィルムをかぶせ、加熱したマイクロあるいはミリサイズの口径を持つエッジ処理を施したパンチャーで回転を加えるなどの方法でプレスすることにより、上下のポリマーフィルムを圧着・切断してマイクロあるいはミリカプセルおよびフィルムを調製することができる。また、エッジ処理を施したパンチャーを数十から数百ケ配置したプレートを加温した上に、三層構造からなるフィルムを載せ、テフロン製のローラを転送することによっても上下のポリマーフィルムを圧着・切断してマイクロ、ミリカプセルもしくはフィルムを調製することができる。あるいは、基底層および表層用のポリマーフィルムを幅3mm、長さ1mに切断し、重ねた後、左右を約0.2mm幅で加熱・圧着する。さらに、3mm間隔で0.2mm幅の圧着を約330個施す。約330個の袋に切断した後、目的物質と粘着性ポリマーの混練物を充填し、上部を熱圧着して封をすることによっても調製することができる。基底層にマイクロあるいはミリ容器を形成して、目的物質を充填した場合には、切り離して個々のマイクロあるいはミリカプセルとするために、機械的もしくはレーザーを用いて個別に切断することにより、不均一なマイクロあるいはミリカプセルおよびフィルムを調製する。保持層にG−CSF、インスリン、カルシトニン、エリスロポエチン、成長ホルモンなどの組換え遺伝子産物から成る薬物以外に、クエン酸、ポリオキシエチレン硬化ひまし油誘導体、カプリン酸、ウルソデオキシコール酸などの吸収促進剤を配合することにより、蛋白質・ペプチド性薬物の投与時のバイオアベイラビリティを高めることもできる。香料、蚊の忌避薬、化粧品用色素などを粘着性ポリマーと練って保持層とし、表層および基底層の間に入れて貼り付け、加熱したパンチャーで接着・打ち抜くことにより、マイクロカプセル化、ミリカプセル化、およびフィルム化を行うことができる。マイクロあるいはミリ容器内に膵臓ランゲルハンス島などの生細胞入れることにより、ほぼ100%の高い封入率で人工臓器を作ることができる。また、マイクロあるいはミリ容器内にボツリヌス毒素やDNAワクチンなどの抗原を入れることにより、高い封入率でワクチンのマイクロあるいはミリカプセルを作ることができる。本発明の非経口製剤は、被験者又は被験物に経口以外の経路で投与することができ、例えば、直腸内、腟内、静脈内、筋肉内、皮下、眼窩内、腹腔内、鼻孔内などの種々の経路により、あるいは、例えば、皮膚パッチなどを用いて皮膚を通して投与することができる。本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例によっては限定されない。実施例実施例1:エチルセルロース(EC)550mg、クエン酸トリエチル25μlに、塩化メチレンとエタノール(4:1)の混液5mlを加えて溶かした。得られた溶液を10×10cmのテフロン板の上に流し込み、溶媒を蒸発させて、厚さ約50μmのECフィルムを作成した。長さ9cm及び幅3.5cm広さのアルミ板上に口径200μm高さ100μmの突起を20×50=1000個作成した金属製の型に、流動パラフィンを薄く塗布して90℃に加熱しておき、その上にECフィルムを置き、10kgの重しをのせて、30分間プレスした。冷却後、はがして窪みの出来たEC型フィルムを得た。マラリア蚊の忌避薬であるN,N−ジエチルトルアミドの溶液(東京化成の市販品)50nlずつを1000ヶ所の窪みにナノインジェクターを使って注入する。先と同じ方法により作ったECフィルムに、2%ハイビスワコー103の水溶液を接着剤として塗ったのち、EC膜フィルム上に貼り付けた。貼り付けたEC膜フィルムの上にさらに2%ハイビスワコー103水溶液を接着剤として塗る。pH6.0で溶解するポリマーであるEudragit L−100の300mg、クエン酸トリエチルの25μlを塩化メチレンとエタノールの混合液(4:1)の10mlで溶かし、10×10cmのテフロン板上に流し込んで作ったフィルムを貼り付けた。予め90℃に熱した25Gの注射針と同じサイズの金属性パンチャーで打ち抜いてマイクロカプセルを取り出すことにより、皮膚に長時間付着する徐放性のマラリヤ蚊の忌避カプセル剤を得た。実施例2:オイドラギットRSの550mg、クエン酸トリエチル25μlに、塩化メチレンとエタノール(4:1)の混液5mlを加えて溶かした。得られた溶液を10×10cmのテフロン板の上に流し込み、溶媒を蒸発させて、厚さ約50μmのオイドラギットRS製フィルムを作成する。長さ9cm及び幅3.5cm広さのアルミ板上に口径200μm高さ100μmの突起を20×50=1000個作成した金属製の型に、流動パラフィンを薄く塗布して90℃に加熱しておき、その上にオイドラギットRS製フィルムを置き、10kgの重しをのせて、30分間プレスした。冷却後、はがして窪みの出来たオイドラギットRSフィルムを得た。オレンジ油50nlを1000ヶ所の窪みにナノインジェクターを使って注入した。表層膜としては、オイドラギットL−100のフィルムを用いた。オイドラギットL−100のフィルムに、2%ハイビスワコー103の水溶液を接着剤として塗ったのち、オイドラギットRSフィルム上に貼り付けた。予め90℃に熱した25Gの注射針と同じサイズの金属性パンチャーで打ち抜いてマイクロカプセルを取り出すことにより、芳香剤を含有する徐放性のマイクロカプセルを得た。実施例3:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油誘導体(HCO−60)150mg、クエン酸200mg、ハイビスワコー103の150mgに水5mlを加え、乳鉢内にて混練した後、遺伝子組換えヒト顆粒球増殖因子G−CSF(500μg/ml溶液)の200μlを加えて混練した。10×10cmのサイズのエチルセルロース製フィルム上に塗った。室温にて2時間放置した後に表層フィルムを貼った。表層フィルムとしては、pH5.5で溶解するポリマーであるHP−55製のフィルムを用いた。予め90℃に熱した口径3.0mmの金属性パンチャーで打ち抜くことにより、ミリカプセルを取り出した。ケイ酸マグネシウム粉末中で滑沢処理を行った後、市販の00サイズのゼラチンカプセル内に充填した。必要な場合には、ゴマ油などで空隙を満たした後、バンドシールを施した。実施例4常法(大山孝雄ら、移植vol.34、No.4、pp.174−185、1999)によりラット膵臓ランゲルハンス島を得た。膵臓ランゲルハンス島を分散させた1%カルボキシメチルセルロース液をマイクロインジェクター内に充填した。実施例1に準じて作成したECフィルム上に形成した直径2mm及び深さ1mmの窪みの中に膵臓ランゲルハンス島をマイクロインジェクターで注入した。実施例1に準じて作成したHP−55フィルムを作成した。ハイビスワコー103で調製した接着剤をHP−55フィルムに塗布し、マイクロ容器の中に生細胞を入れたECフィルムに貼りつけた。マイクロ容器の周りを直径約3mmの円状にレーザー光で切り出し、三層構造を有する不均一なミリカプセルを得た。産業上の利用の可能性本発明により、目的物質をほぼ100%の効率で封入できる三層構造を有する不均一なマイクロあるいはミリカプセルおよびフィルムを提供することが可能になった。即ち、本発明によれば、目的物質をサンドイッチ状に挟み込んで保持している表層と基底層の2層のポリマーフィルムを圧着、打ち抜くことにより、3層構造を有する製剤を量産することが可能になった。封入できる目的物質としては、液体・固体を問わず、薬物、香料、蚊の忌避薬、色素(特には、化粧品用色素など)、細胞(生細胞等)又は抗原から選択することができる。表層に、溶解pH閾値を異にする各種のポリマーフィルムを選択することにより、付着部位に標的性を持たせたり、また、塗布した後、長時間にわたって皮膚表面に付着させることもできる。その他、眼粘膜、鼻腔粘膜、口腔内粘膜などに付着させることも可能である。三層構造を有する不均一なマイクロあるいはミリカプセルおよびフィルムの量産を行うことができる。中に含有する目的物質を選択することにより、あらゆる用途に適用できる。例えば、医薬品の用途であれば、遺伝子組換え蛋白質・ペプチド薬物のバイオアベイラビリティの改善ができる。また、ワクチン、人工臓器、徐放性点眼薬、徐放性点鼻薬などを開発することができる。化粧品の用途であれば、目的物質として化粧品用色素を選べば、落ちにくい口紅、アイシャドーなどを開発できる。防虫剤の用途であれば、長時間にわたり皮膚に付着する徐放性の蚊の忌避剤などを開発できる。本発明により、三層構造から成る不均一なマイクロカプセル剤、ミリカプセル剤又はフィルム剤が提供されると同時にその量産法も確立された。本発明によれば、基底層にマイクロあるいはミリカプセル容器を作成し、その中へ目的物質を封入するので、ほぼ100%の効率で目的物質を封入することができる。さらに、種々の性質を有するポリマーフィルムを用いて表層膜として覆うので、マイクロあるいはミリカプセルに徐放性以外の機能、すなわち標的部位指向性を持たせることが可能になる。封入率は少し低下するが、粘着層に目的物質を練り込み、表層および基底層で挟んだ後、パンチング機械やレーザー光にて加熱圧着・切り出しを行うことによっても本発明の製剤を量産することができる。 ポリマーから成る基底層;薬物、香料、蚊の忌避薬、色素、細胞又は抗原から選択される目的物質を収容するための保持層;および表層の三層構造を有し、保持層が基底層と表層の間に存在し、基底層は深さ10〜1000ミクロン、口径20〜8000ミクロンのマイクロあるいはミリ容器であり、基底層が半球形状をなし、該半球形態の内部空間に保持層が存在し、該半球形態の開口部分を表層が被覆してなり、基底層及び表層が接着されていることを特徴とする非経口用製剤。 基底層のポリマーが水不溶性ポリマー又は生分解性ポリマーである請求項1に記載の非経口用製剤。 基底層が、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ乳酸、ポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、又はメタアクリル酸コポリマー-S(Eudragit S)からなるフィルムである、請求項1又は2に記載の非経口用製剤。 保持層に収容される目的物質が、顆粒球増殖因子(G-CSF)、エリスロポエチン、インターロイキン類、成長ホルモン、カルシトニン、インスリン、オレンジ油、N,N−ジエチルトルアミド、ボツリヌストキシン、又は膵臓ランゲルハンス島である、請求項1から3の何れか1項に記載の非経口用製剤。 表層が、pHに感応して溶解するポリマー、水不溶性ポリマー又は生分解性ポリマーからなる、請求項1から4の何れか1項に記載の非経口用製剤。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る