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タイトル:特許公報(B2)_脂肪酸塩の製造方法及び該脂肪酸塩を含有する畜産用飼料
出願番号:2001561708
年次:2011
IPC分類:C07C 51/41,C07C 53/126,C07C 57/12,A23K 1/16,A23K 1/18,C11C 1/02


特許情報キャッシュ

中田 正秀 JP 4653372 特許公報(B2) 20101224 2001561708 20010223 脂肪酸塩の製造方法及び該脂肪酸塩を含有する畜産用飼料 油化産業株式会社 393004085 大谷 保 100078732 中田 正秀 JP 2000047728 20000224 JP 2000281134 20000918 20110316 C07C 51/41 20060101AFI20110224BHJP C07C 53/126 20060101ALI20110224BHJP C07C 57/12 20060101ALI20110224BHJP A23K 1/16 20060101ALI20110224BHJP A23K 1/18 20060101ALI20110224BHJP C11C 1/02 20060101ALN20110224BHJP JPC07C51/41C07C53/126C07C57/12A23K1/16 301FA23K1/18 BC11C1/02 C07C 51/41 C07C 53/126 C07C 57/12 A23K 1/16 A23K 1/18 特開昭64−71836(JP,A) 国際公開第01/28354(WO,A1) 3 JP2001001351 20010223 WO2001062698 20010830 11 20070323 爾見 武志 【0001】技術分野 本発明は、脂肪酸塩の製造方法に関し、詳しくは、プラスチック、紙などの添加剤、離型材、繁殖用雌ブタ用、雌牛用などの畜産用飼料などに用いられる脂肪酸塩を連続的かつ効率的に得ることのできる脂肪酸塩の製造方法に関する。【0002】背景技術 従来、脂肪酸と金属酸化物あるいは金属水酸化物とを反応させて脂肪酸塩を製造する方法としては、(1) 湿式直接法、(2) 復分解法、あるいは(3) 乾式直説法などの方法が知られている(例えば、吉田時行他編、金属せっけんの性質と応用、幸書房、1988年)。 このうち、(1) の湿式直接法は、金属水酸化物微粉を分散させた水中に、攪拌しながら液体の脂肪酸を滴下し中和反応を行い脂肪酸塩を得る方法である。また、(2) の復分解法は、ナトリウム、カリウムなどのいわゆるアルカリ金属の水酸化物を溶解、分散させた水中に、脂肪酸を攪拌しながら滴下しアルカリ石鹸を合成した後、この水溶液に金属の塩化物や硫酸化物の水溶液を滴下し、アルカリ石鹸と金属とを反応させて脂肪酸塩を得る方法である。この方法は、極めて定量的に反応を完結させることができ、従来脂肪酸塩合成の主たる方法となっている。 (3) の乾式直説法は液体の脂肪酸と金属酸化物あるいは金属水酸化物の微粉とを高速攪拌などでよく混合した後所定量の水を加え、一時に反応させる方法である。この方法は上記(1) 、(2) の方法と比較するとろ過工程がなく、また大量の熱量を必要とする乾燥工程をより簡略化できるという利点を有している。【0003】発明の開示 しかしながら、上記の3つの方法のうち(1) または(2) の方法は、いずれもバッチ法であり、大量の水を必要とする。このため、大量の排水を生じ、1バッチ当たりの生産量が少なくなるなどの理由から製造コストが高くなるという問題があった。また、(3) の方法についても、上記(1) 、(2) の方法に比べれば工程上の有利さはあるが、一方で、反応中の攪拌が不十分なため得られる製品が不均一になりやすいという問題がある。更に、(3) の方法においては、大豆油、コーン油、菜種油など不飽和脂肪酸を多く含む脂肪酸塩を効率よく得ることは困難である。すなわち、不飽和脂肪酸を多く含むこれらの脂肪酸は融点が低いため、得られる脂肪酸塩の融点も低くなり、また粘性のある固体であるため反応率が低くなったり、反応器の壁面に付着し回収が不十分になるなど、収率が著しく低下するからである。【0004】 本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、生産性が高くかつ効率のよい脂肪酸塩の連続製造方法を提供することにあり、また、不飽和脂肪酸を多く含み融点の低い脂肪酸塩を効率よく製造しうる方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、繁殖用雌ブタ、雌牛等の畜産用飼料に適した脂肪酸塩を製造する方法、及び該脂肪酸塩を含有する上記畜産用飼料を提供することにある。 本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、脂肪酸と金属酸化物又は金属水酸化物とを反応させるに際し、混合・反応器としてエクストルーダを用いることにより上記本発明の目的を達成することができることを見出し本発明を為すに至った。【0005】 即ち、本発明は、脂肪酸と金属酸化物又は金属水酸化物とを反応させるに際し、少なくとも原料供給帯域、混練・反応帯域及び冷却帯域を有するエクストルーダを用いることを特徴とする脂肪酸塩の製造方法を提供するものである。また、本発明は上記製造方法により得られた脂肪酸塩を含有する家畜用飼料、とりわけ雌牛用飼料を提供するものである。【0006】発明を実施するための最良の形態 以下に、本発明を更に詳細に説明する。 本発明の方法に用いられるエクストルーダは、加圧押出機の一種であり、円筒内に回転する1個のスクリューを挿入した1軸形式のものと、断面が8の字型の筒内に同方向あるいは異方向に回転する2個のスクリューを挿入した2軸形式のものが使用可能である。特に、本発明においては、混練能力の点から2軸形式のものが好ましく用いられる。この2軸形式のエクストルーダのスクリューは、通常、送り込み、リバース(逆行)、ニーディング(混練)などの操作を行うことのできる複数の部品を適宜組み合わせてなるように設計されており、本発明においてはこれらの部品を適宜組み合わせたものを使用することができる。【0007】 図1には、本発明の製造方法に用いることのできるエクストルーダの一例の断面図を示す。本発明で用いることのできるエクストルーダの円筒部は、例えば、原料供給帯域A、混練・反応帯域B及び冷却帯域Cなどに相当する複数のバレルに分かれており、それぞれのバレルの外周には外部ジャケット2、3、4が装備され、各バレル毎に上記帯域のいずれにも適応できるよう加熱・冷却のいずれも可能な仕様をとることができる。本発明の製造方法は、脂肪酸と、金属酸化物あるいは金属水酸化物と、水とを上記原料供給帯域Aの原料供給口1に適宜導入し、これらを混練・反応帯域Bにおいて反応させ脂肪酸塩を得、更に冷却帯域Cにおいてこれを冷却することにより行われる。【0008】 上記混練は、少なくとも混練・反応帯域で行われることが必要であるが、原料供給帯域及び冷却帯域でも行われることが好ましい。 また、混練・反応帯域におけるスクリューは、上述のように送り込み、リバース(逆行)、ニーディング(混練)などの操作を行うことのできる複数の部品を適宜組み合わせたものが使用でき、またそれにより混練・反応帯域中の反応体の滞留時間、混合程度を適宜調整することができる。【0009】 本発明の製造方法は、上記原料供給帯域の温度を20〜80℃、好ましくは30〜70℃、混練・反応帯域の温度を80〜200℃、好ましくは100〜190℃、更に、冷却帯域の温度を−20〜5℃、好ましくは−15〜0℃で行うことができる。各帯域において上記の温度範囲を逸脱する場合は、本発明の目的とする効果が得られないことがある。 また、反応体のエクストルーダ内における反応時間は、その目的に応じて適宜設定できるが、本発明の前記目的を達成するためには、例えば、5〜120秒、更に10〜100秒であることが好ましい。このような反応時間は、反応体を混練・反応帯域に例えば上記時間滞留させることにより達成することができる。【0010】 本発明の方法において原料として用いられる脂肪酸としては、牛脂,豚脂,魚油などの動物油、大豆油,コーン油,菜種油,ヒマワリ油,紅花油,亜麻仁油,ごま油,パーム油、月見草油、ボラージ油などの植物油、各種微生物が生産する油脂などを分解、精製して得られる脂肪酸及びその混合物を挙げることができる。また、オレイン酸、リノール酸、ビスホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコペンタエン酸、リノレン酸などの精製された単体脂肪酸及びその混合物あるいは配合物も用いることができる。【0011】 本発明の方法は、上記の脂肪酸の中でも、特に不飽和脂肪酸含有量が高く、融点が−50〜40℃、好ましくは−45〜39℃の範囲内にある脂肪酸、例えば、魚油、大豆油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、紅花油、ごま油、パーム油、月見草油、ボラージ油、亜麻仁油などを分解、精製して得られる脂肪酸、エイコサペンタエン酸、オレイン酸、リノール酸、ビスホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、リノレン酸などの単体脂肪酸を使用する場合にその効果を有効に発揮する。【0012】 金属酸化物及び金属水酸化物としては、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、アルミニウム、亜鉛などの金属の酸化物あるいは水酸化物が用いられ、具体的には、水酸化カルシウム、水酸化ニッケル、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどが好ましく用いられる。本発明の脂肪酸塩の製造方法は、油性の脂肪酸と固体の金属酸化物あるいは金属水酸化物と水との3者の反応であり、十分な攪拌、混合が必要となることを考慮すれば、上記金属酸化物あるいは金属水酸化物としては微粉状の形態を有するものが好ましく用いられる。 本発明における上記脂肪酸と金属酸化物あるいは金属水酸化物の使用量は、脂肪酸1モルに対し、金属酸化物あるいは金属水酸化物0.55〜1.0モル、更に0.6〜0.9モルの割合であることが好ましい。【0013】 本発明における脂肪酸と金属酸化物あるいは金属水酸化物との反応においては、水を添加することが必要である。 脂肪酸と金属酸化物との反応においては、化学量論的には、通常金属酸化物1モルに対し1モルの水の添加が必要である(酸化アルミニウムの場合は3モル)。従って、本発明においては、例えば、エクストルーダの原料供給帯域の最初のバレル(以下、第1バレルという)上部より1.0〜4.0モル(酸化アルミニウムの場合は3.0〜12モル)の水を添加する。この水の量は反応温度、系内の滞留時間などを考慮して適宜調整することができる。 また、脂肪酸と金属水酸化物との反応においては、反応を開始させるため、少量の水の添加が必要である。この場合もまた、上記第1バレル上部より金属水酸化物1モルに対し0.2〜1.0モル(水酸化アルミニウムの場合は、0.6〜3.0モル)の水を添加する。【0014】 本発明の製造方法により得られた脂肪酸塩は、プラスチック、紙などの添加剤、離型材、あるいは繁殖用雌ブタ用飼料などの畜産用飼料の特定成分として利用することができ、例えば、これを一頭当たり一日20〜200gの割合で、人工受精後3週間までの間に給与することなどにより、発情再帰日数の短縮、産子数、離乳頭数の増加など繁殖成績を向上させることができ、子豚の生産性を大幅に改善することができる。【0015】 また、上記脂肪酸塩は雌牛用飼料の特定成分として利用することもできる。例えば、人工授精による場合、未経産牛では人工授精予定日の2週間前から人工授精実施後3〜6週間、1頭当り1日100〜300gの割合で給与することにより、受胎率の向上がはかられ、経産牛では分娩直後から人工授精実施後3〜6週間、1頭当り1日100〜300gの割合で給与することにより、発情再帰日数の短縮、空胎日数の短縮、受胎率の大幅な改善がはかられる。受精卵移植による場合、ドナー牛に人工授精の2週間前から採卵まで延べ3週間、1頭当り1日100〜300g給与することにより、採卵個数、正常卵個数を大幅に改善することができ、レシピエント牛については、移植予定の2週間前から移植後3〜6週間、1頭当り1日100〜300g給与することで授精卵の着床に有効に働き、受胎率が大幅に改善できる。【0016】 上記脂肪酸塩はミキサーを用いて容易に飼料に混合することができる。また、給与時に飼料にトッピングすることも可能である。【0017】 本発明の製造方法によれば、生産性が高くかつ効率のよい脂肪酸塩の連続製造方法を提供することができる。また、従来バッチ法でしか製造できなかった不飽和脂肪酸含有量が高く、融点の低い脂肪酸塩を連続反応により効率よく製造することができる。 以上のように、本発明の製造方法によれば、これまで生産性の低かった脂肪酸塩を効率的に製造することができ、産業上有利になる。【0018】 また、本発明の製造方法により製造された脂肪酸塩は、プラスチック、紙などの添加剤、離型材、繁殖用雌ブタ用飼料、雌牛用飼料などの畜産用飼料などに使用することができる。 次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。【0019】実施例1 EA−100型エクストルーダ〔(株)スエヒロEPM製〕の第1バレル原料投入口より、予め40℃に加温した大豆油脂肪酸(融点−2℃)を100kg/h、水酸化カルシウムを20kg/hの割合で供給した。水は第1バレル上部にある注入口より3kg/hで供給した。第1、第2バレル(原料供給部)ジャケットの温度を70℃、第3、第4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度を180℃、第5、第6バレル(冷却部)ジャケットの温度を−10℃にそれぞれ設定し、スクリュー回転数120回転/分で5時間の連続反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸カルシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量を第1表に示す。【0020】実施例2 実施例1において、大豆油脂肪酸をコーン油脂肪酸(融点−10℃)に、水酸化カルシウム20kg/hを水酸化ニッケル25kg/hに、第3、第4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度180℃を150℃に、第5、第6バレル(冷却部)ジャケットの温度−10℃を−5℃にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸ニッケル製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0021】実施例3 実施例1において、大豆油脂肪酸をエイコサペンタエン酸〔融点−44℃、日本油脂(株)製〕に、水酸化カルシウム20kg/hを水酸化マグネシウム16kg/hに、スクリュー回転数120回転/分を100回転/分にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸マグネシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0022】実施例4 実施例1において、大豆油脂肪酸を菜種油脂肪酸(融点−5℃)に、水酸化カルシウム20kg/hを水酸化マグネシウム16kg/hに、第3、第4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度180℃を120℃に、第5、第6バレル(冷却部)ジャケットの温度−10℃を−15℃にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸マグネシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0023】実施例5 実施例1において、大豆油脂肪酸をヒマワリ油脂肪酸(融点−18℃)に、水酸化カルシウム20kg/hを水酸化亜鉛24kg/hに、第5、第6バレル(冷却部)ジャケットの温度−10℃を−5℃に、スクリュー回転数120回転/分を150回転/分にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸亜鉛製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0024】実施例6 実施例1において、大豆油脂肪酸をエクストラリノレニック−70〔融点−25℃、日本油脂(株)製〕に、水酸化カルシウム20kg/hを水酸化マグネシウム13kg/hに、第3、第4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度180℃を100℃に、第5、第6バレル(冷却部)ジャケットの温度−10℃を−5℃にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸マグネシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0025】実施例7 実施例1において、大豆油脂肪酸を紅花油脂肪酸(融点−15℃)に、第3、第4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度180℃を160℃にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸カルシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0026】実施例8 実施例1において、大豆油脂肪酸をごま油脂肪酸(融点−5℃)に、水酸化カルシウム20kg/hを水酸化アルミニウム25.6kg/hに、第3、第4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度180℃を190℃に、第5、第6バレル(冷却部)ジャケットの温度−10℃を−5℃にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸アルミニウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0027】実施例9 実施例1において、大豆油脂肪酸をヒマワリ油脂肪酸(融点−18℃)に、水酸化カルシウム20kg/hを水酸化アルミニウム25.6kg/hに、第3、第4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度180℃を190℃に、第5、第6バレル(冷却部)ジャケットの温度−10℃を−5℃にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸アルミニウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0028】実施例10 実施例1において、大豆油脂肪酸をパーム油脂肪酸(融点38℃)に、第3、4バレル(混練・反応部)ジャケットの温度180℃を170℃に、スクリュー回転数120回転/分を80回転/分にした以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸カルシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0029】比較例1(湿式直接法による脂肪酸カルシウムの合成) 1000L容の攪拌機、ジャケット付き反応釜に水400kg、水酸化カルシウムの微粉末20.3kgを加え均一に分散させた。この分散液を60℃に加温した後攪拌しながら、予め40℃に加温した大豆油脂肪酸(融点−2℃)100kgをこの分散液中に30分間で滴下し、そのまま1時間攪拌して熟成反応を行った。この時点で反応はほぼ終了しており、釜中の反応液体積は約600Lとなっていた。その後、100L容加圧ろ過器を用いて計6回のろ過を行い、含水率70%の反応生成物約380kgを得た。この反応生成物を連続式熱風乾燥器で乾燥して第1表に示すような反応率、収量、収率で油脂肪酸カルシウムを得た。その所要日数及び生産量を第1表に示す。【0030】比較例2(湿式直接法による脂肪酸ニッケルの合成) 比較例1において、水酸化カルシウムの微粉末20.3kgを水酸化ニッケルの微粉末25.4kgに、大豆油脂肪酸(融点−2℃)をコーン油脂肪酸(融点−10℃)に代えた以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸ニッケル製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0031】比較例3(湿式直接法による脂肪酸マグネシウムの合成) 比較例1において、水酸化カルシウムの微粉末20.3kgを水酸化マグネシウムの微粉末14.8kgに、大豆油脂肪酸(融点−2℃)をエイコサペンタエン酸〔融点−44℃、日本油脂(株)製〕に代えた以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸マグネシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0032】比較例4(復分解法による脂肪酸マグネシウムの合成) 1000L容の攪拌機、ジャケット付き反応釜に水400kg、水酸化ナトリウム16.1kgを加え溶解させた。この溶液を80℃に加温した後攪拌しながら、予め40℃に加温した菜種油脂肪酸(融点−5℃)100kgをこの溶液中に30分間で滴下し、そのまま1時間攪拌して中和・熟成反応を行い、脂肪酸ナトリウムを合成した。次に、硫酸マグネシウム33.0kgを水100kgに溶解させた溶液を別の容器に準備し、これを得られた脂肪酸ナトリウム水溶液に攪拌しながら1時間で滴下し反応させた。その後、更に1時間攪拌して熟成反応を行った。この時点で反応液は約800Lとなっていた。100L容加圧ろ過器を用いて計8回のろ過を行い、含水率70%の脂肪酸マグネシウム363kgを得た。この反応生成物を連続式熱風乾燥器で乾燥して第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸マグネシウムを得た。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0033】比較例5(復分解法による脂肪酸亜鉛の合成) 比較例4において、水酸化ナトリウム16.1kgを水酸化カリウム22.6kgに、硫酸マグネシウム33.0kgを硫酸亜鉛44.3kgに、菜種油脂肪酸(融点−5℃)をヒマワリ油脂肪酸(融点−18℃)に代えた以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸亜鉛製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0034】比較例6(復分解法による脂肪酸マグネシウムの合成) 比較例4において、水酸化ナトリウム16.1kgを水酸化カリウム22.6kgに、菜種油脂肪酸(融点−5℃)をエクストラリノレニック−70〔融点−25℃、日本油脂(株)製〕に代えた以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸マグネシウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0035】比較例7(乾式直説法による脂肪酸カルシウムの合成) 攪拌機、ジャケット付き反応釜に紅花油脂肪酸(融点−15℃)100kgを入れ80℃に加温した。酸化カルシウム微粉末15.4kgを加え、よく攪拌して均一分散液にする。更に、水19.8kgを加え、攪拌しながら一気に反応させる。1時間の反応の後、ジャケット温度を105℃に上げ、攪拌しながら乾燥を3時間行う。内容物を掻き出し第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸カルシウムを得た。その所要日数及び生産量を第1表に示す。ここで終了収率が低い原因は、未反応の脂肪酸や粘りのある反応生成物が釜の内壁と攪拌羽根に付着し、完全には回収できなかったためである。【0036】比較例8(乾式直説法による脂肪酸アルミニウムの合成) 比較例7において、紅花油脂肪酸(融点−15℃)をごま油脂肪酸(融点−5℃)に、酸化カルシウム微粉末15.4kgを酸化アルミニウム37.3kgに代えた以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸アルミニウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0037】比較例9(乾式直説法による脂肪酸アルミニウムの合成) 比較例7において、紅花油脂肪酸(融点−15℃)をヒマワリ油脂肪酸(融点−18℃)に、酸化カルシウム微粉末15.4kgを酸化アルミニウム微粉末37.3kgに代えた以外は同様に反応を行った。反応終了後、第1表に示すような反応率、収量、収率で脂肪酸アルミニウム製品が得られた。その所要日数及び生産量も第1表に示す。【0038】【表1】【0039】【表2】【0040】【表3】*1: エイコサペンタエン酸*2: エクストラリノレニック−70*3: 所要日数は1日8時間として全所要時間を8時間で除して求め*4: 生産性(kg/日)=収量(kg)/所要日数(日)【0041】 第1表の結果から明らかなように、湿式直接法、復分解法はいずれも水系の反応であるため、反応率や収率は高いが、ろ過工程、乾燥工程に長時間を要し、生産効率が低い。また、乾式直説法では、工程が簡略化できる反面、反応率、収率が低くなってしまう。これに対して、本発明の方法は、反応率や収率が高く、工程も簡略化でき、なおかつ生産性が著しく優れたものであった。【0042】産業上の利用可能性 本発明は、脂肪酸塩の製造方法に関し、詳しくは、プラスチック、紙などの添加剤、離型材、繁殖用雌ブタ用、雌牛用などの畜産用飼料などに用いられる脂肪酸塩を連続的かつ効率的に得ることのできる脂肪酸塩の製造方法に関する。 繁殖用雌ブタ用飼料として用いる場合、例えば、これを一頭当たり一日20〜200gの割合で、人工受精後3週間までの間に給与することなどにより、発情再帰日数の短縮、産子数、離乳頭数の増加など繁殖成績を向上させることができ、子豚の生産性を大幅に改善することができる。 また、雌牛用飼料として用いる場合、例えば、人工授精による場合、未経産牛では人工授精予定日の2週間前から人工授精実施後3〜6週間、1頭当り1日100〜300gの割合で給与することにより、受胎率の向上がはかられ、経産牛では分娩直後から人工授精実施後3〜6週間、1頭当り1日100〜300gの割合で給与することにより、発情再帰日数の短縮、空胎日数の短縮、受胎率の大幅な改善がはかられる。受精卵移植による場合、ドナー牛に人工授精の2週間前から採卵まで延べ3週間、1頭当り1日100〜300g給与することにより、採卵個数、正常卵個数を大幅に改善することができ、レシピエント牛については、移植予定の2週間前から移植後3〜6週間、1頭当り1日100〜300g給与することで授精卵の着床に有効に働き、受胎率が大幅に改善できる。【図面の簡単な説明】【0043】 図1は、本発明に用いるエクストルーダの一例を示す断面図である。 融点が−50〜40℃の範囲にある脂肪酸と金属酸化物又は金属水酸化物とを反応させるに際し、少なくとも原料供給帯域、混練・反応帯域及び冷却帯域を有するエクストルーダを用い、前記エクストルーダの原料供給帯域の温度が20〜80℃、混練・反応帯域の温度が80〜200℃、冷却帯域の温度が−20〜5℃であり、かつ、原料供給帯域、混練・反応帯域及び冷却帯域で混練を行うことを特徴とする畜産飼料用脂肪酸塩の製造方法。 脂肪酸が、大豆油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、紅花油、ごま油、パーム油あるいは魚油を分解及び/又は精製して得られる脂肪酸の少なくとも1種からなるものである請求項1記載の脂肪酸塩の製造方法。 金属酸化物又は金属水酸化物が、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、アルミニウム又は亜鉛の酸化物又は水酸化物である請求項1又は2に記載の脂肪酸塩の製造方法。


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