タイトル: | 特許公報(B2)_組換えタンパク質をリフォールディングするための凡用的な手順 |
出願番号: | 2001561026 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07K 1/14,C12N 15/09 |
リン, シンリ JP 3929777 特許公報(B2) 20070316 2001561026 20001228 組換えタンパク質をリフォールディングするための凡用的な手順 オクラホマ メディカル リサーチ ファウンデーション 594003676 OKLAHOMA MEDICAL RESEARCH FOUNDATION 山本 秀策 100078282 リン, シンリ US 60/177,836 20000125 US 60/178,368 20000127 US 60/210,292 20000608 US 60/210,306 20000608 20070613 C07K 1/14 20060101AFI20070524BHJP C12N 15/09 20060101ALI20070524BHJP JPC07K1/14C12N15/00 A C07K 1/14 C12N 15/09 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus(JDream2) Protein Expression and Purification, 1998, Vol.12, pp.305-314 18 US2000035632 20001228 WO2001055174 20010802 2003523363 20030805 12 20020724 飯室 里美 【0001】(発明の背景)本発明は、一般に組換えタンパク質の製造のための方法の分野にあり、そして特に、E.coliのような原核生物発現系の封入体において発現される組換えタンパク質のリフォールディングの分野にある。【0002】「プロテオミクス」として称される、天然の生物学的活性および構造を有する組換えタンパク質の発現は、いくつかの生物についてのゲノム配列決定の完了およびヒトゲノム配列決定の近い完了と供にますます重要になる。プロテオミクスの1つの局面は、商業的適用と同様に、構造的かつ機能的な研究のために大量のタンパク質を発現することである。組換えタンパク質を発現するのに最も安価でかつ最も効率的な方法は、E.coliにおいてタンパク質を発現することである。タンパク質は、細胞内に発現されるか、またはペリプラズム空間に分泌されるかのいずれかである。前者では、特にタンパク質が、ジスルフィド結合を有する場合、このそのタンパク質は、しばしば封入体に蓄積される。【0003】しかし、E.coliにおける哺乳動物タンパク質の発現における問題の1つは、発現されたタンパク質の多くが、不溶性の封入体を形成することである。この問題は、種々の哺乳動物の発現系または昆虫の発現系を使用することによって回避され得るが、E.coliを増殖することは、哺乳動物細胞および昆虫細胞の培養と比較して、より早くかつ安価である。さらに、いくつかのタンパク質は、天然の形態で発現される場合、その宿主に有害であり、従って、不溶性の封入体としての発現が、大量の組換えタンパク質を得るための唯一の方法である。重要なことに、高いレベルの発現は、多くのタンパク質について達成され得る。1リットルの細菌培養物あたり400〜600mgの封入体が、通常、達成され得、この方法を使用して、9,700mg/Lまでが報告されている(Jeong KL;Lee SY,1999.Appl.Environ.Microbiol.65:3027−32)。封入体は、単なる凍結/溶解および界面活剤での洗浄手順を使用して、90%以上に容易に精製され得る。【0004】細胞を光学顕微鏡下で観察する場合、封入体は、高密度な細胞質顆粒として見える。代表的には、細胞は、細胞の機械的な破壊によって溶解され、次いで4700gで30分間遠心分離される。封入体は、低い重力で沈降し、そして多くの他の細胞内タンパク質から分離され得る。さらなる精製は、細胞破壊の際に使用された緩衝液でペレットを洗浄することによってか、または40〜50%のグリセロール中で再懸濁されたペレットを遠心分離することによって行なわれ得る。【0005】真核生物の多くの細胞内タンパク質は、ジスルフィド結合を含む。複数のジスルフィド結合を有するタンパク質は、その還元種からフォールディングする間に、非ネイティブのジスルフィド結合を形成し得る。次いで、さらなるフォールディングは、その誤ったジスルフィド結合が、外部のチオールでの還元によってかまたはタンパク質チオールからの攻撃によって切断されない限り、ブロックされる。ジスルフィド含有タンパク質を分泌する真核生物体はまた、適切なジスルフィド結合形成を保証するための機構を有する。封入体としての原核生物における組換えタンパク質の発現の別の短所は、タンパク質がそのネイティブ状態で得られず、そして、代表的には機能的に活性でないことである。種々の方法を使用して、タンパク質を再可溶化しそしてタンパク質をリフォールディングして、活性なタンパク質を再形成していた。ペレット化した組換えタンパク質の溶解は、通常、7Mの塩酸グアニジンまたは8Mの尿素のような変性剤の使用を必要とする。タンパク質が、変性剤中の置かれている場合、大量の凝集物が、時間と供に増加し続け得る(KelleyおよびWinkler,「Folding of Eukaryotic Proteins Produced in Esherichia coli」Genetic Engineering 12,1〜19,6項(1990))。透析または脱塩カラムによる可溶化封入体からの変性剤の除去は、そのネイティブタンパク質がリフォールディングされるのに必要とする条件下で、そのタンパク質の沈殿を引き起こす。ミスフォールドされたタンパク質溶液はまた、生物学的なアッセイにおいて非常に低い比活性を有する。【0006】封入体としてのE.coliにおける種々のタンパク質の発現およびリフォールディングの多くの報告があるが、タンパク質リフォールディングの誤解のひとつは、固有のリフォールディング方法が、各々の個々のタンパク質のために開発されなければならないということである(KelleyおよびWinkler,6項を参照のこと)。別の誤解は、多くの哺乳動物のタンパク質が、封入体からリフォールディングされ得ないということである(総説に関して、Rudolph R,Lilie H,1996.FASEB J 10:49〜56;Lilie H,Schwarz E,Rudolph R,1996.Curr Opin Biotechnol 9:497〜501を参照のこと)。公開された研究は、E.coli由来の封入体のリフォールディングにおける多くの「成功した」話であるので、哺乳動物のタンパク質の何パーセントが、この手順によって精製され得るかについて一般的な考えを得ることは不可能である。【0007】おそらく、文献において報告されたリフォールディングされるタンパク質よりも多くのリフォールディング法がある(総説に関して、Rudolph R,Lilie H,1996.FASEB J 10:49−56;Lilie H,Schwarz E,Rudolph R,1996.Curr Opin Biotechnol 9:497−501;Huxtableら,Protein Expression and Purification 12:305−314(1998);Tichyら,Protein Expression and Purification 4:59−63(1993)を参照のこと)。異なるシャペロン、変性剤およびカオトロピック試薬は、リフォールディングを助けるのに使用される。さらに、pH、イオン強度、温度、緩衝液処方、および還元剤/酸化剤は、すべてリフォールディングをもたらし得る。プロテオミクスまたは構造ゲノミクスにおける研究に必要とされるような、大量のタンパク質のリフォールディングのためのこれらすべての条件を試験するにはコストがかかる。【0008】従って、組換え系(特にE.coliのような系において封入体を形成する組換え系)において発現されるタンパク質の多くをリフォールディングする単一の簡略化された手順が必要とされる。【0009】従って、本発明の目的は、タンパク質、特に組換えタンパク質、特に細菌宿主における封入体に存在する組換えタンパク質をリフォールディングするための「凡用的な」方法を提供することである。【0010】(発明の要旨)封入体として細菌に発現される種々の非常に異なるタンパク質のリフォールディングにおいて効果的であると実証された凡用的なフォールディング方法が、開発された。溶解され、そして生物学的に活性な形態(ネイティブな構造を有する)にリフォールディングされ得る代表的なタンパク質を、表Iに示す。この方法は、封入体に発現されるタンパク質をほどき、次いでリフォールディングする2つの重要な工程を有する。第1の工程は、変性剤の存在下で9、好ましくは10より高いpHまでタンパク質溶液のpHを上昇させることである。このタンパク質溶液は、その上昇したpHにおいて約24時間まで維持され得るか、または即座に、その溶液が約8.0のpHに達するまで、0.2pH単位/24時間の増分において、pHをゆっくりと低下させ得るか、または両方の工程を使用し得る。好ましい実施形態において、精製された封入体を、8M 尿素、0.1M トリス、1mM グリシン、1mM EDTA、10mM β−メルカプトエタノール、10mM ジチオトレイトール(DTT)、1mM 還元型グルタチオン(GSH)、0.1mM 酸化型グルタチオン(GSSH)、pH10中で溶解する。このタンパク質溶液の280nmにおける吸光度(OD280)は、5.0である。この溶液を、迅速に20容量の20mMのトリス塩基に希釈する。この得られた溶液を、1MのHClでpH9.0に調整し、そしてこの溶液を、4℃で24時間維持する。pHをpH8.8に調整し、そしてこの溶液を4℃でさらに24時間維持する。このプロセスを、pHが8.0に調整されるまで繰り返す。24時間後にpH8.0で、このリフォールディングされたタンパク質を限外濾過によって濃縮し、そして精製のためにゲル濾過カラムにアプライする。【0011】(発明の詳細な説明)(組換えタンパク質の発現)組換えタンパク質は、プラスミド、バクテリオファージのような標準的な発現ベクターまたは裸のDNAでさえをも使用して、代表的には適切な宿主(例えば、E.coliまたは他のタイプの細菌のような原核生物発現系)において発現され、そのプラスミドまたはその宿主の染色体に組み込まれたDNAから発現される。適切な細菌株は、市販されて得るか、またはAmerican Type Culture Collection,Rockville,MD.(「ATCC」)から入手され得る。【0012】適切なベクターは、ATCCを含む、多くの供給源から入手され得る。これらは、そのDNAが宿主において発現されるのを確実にするためのプロモーターを必要とし、そして他の調節配列を含み得る。ベクターはまた、その組換えタンパク質の精製を容易にするために、検出のための手段(例えば、抗生物質耐性マーカー、緑色蛍光タンパク質タグ、または抗原タグ)を含み得る。【0013】一旦、精製されるべきタンパク質をコードするDNAが、宿主に導入されると、その宿主は、十分な量の組換えタンパク質が得られるまで、適切な条件下で培養される。【0014】(リフォールディング/精製方法)一旦、タンパク質を最大量で発現させると、このタンパク質は、その細菌の宿主から分離および単離されなければならない。このタンパク質を、一般には、細胞を溶解し(例えば、変性剤中で懸濁して、リゾチームを添加し)、次いで、凍結することによって(例えば、20mlのTN/1%TritonTMX−100中に細胞を懸濁し、10mgのリゾチームを添加し、そして−20℃で一晩凍結することによって))、解凍しそしてDNAaseを添加して、全ての細菌DNAを分解し、次いで緩衝化溶液中でその得られた沈殿物を洗浄することによって単離する。次いで、この沈殿物を、リフォールディングのために、以下に議論されるような適切な溶液に溶解する。【0015】次いで、この単離されたタンパク質をリフォールディングする。凡用的なリフォールディング方法にいくつかの重大な局面がある。【0016】(i 高pHリフォールディング)多くの公開された手順は、生理学的なpH(一般には、pH7.4〜8.0)において還元カオトロピック剤(例えば、8Mの尿素)を使用してタンパク質をリフォールディングする。これは、一般に、大量の沈殿物および凝集物を生じて、これが、リフォールディングを不可能にするか、または非常に低収率にする。いくつかのタンパク質は、生理学的なpHではリフォールディングが、最初のリフォールディングpHが高い場合(少なくともpH9.0であるが、より高いpH(例えば、pH10.0)が、所望され得る)にリフォールディングされ得ないことが見出されている。このストラテジーは、最初、ペプシノゲンが、pH8.0と9.0の間で、可逆的に変性/再生され得るという事実によって示唆された。高いpH(例えば、pH9.0)において、タンパク質が、いくつかの二次構造をとり得、これが、リフォールディング溶液の酸性度が生物学的なpHより低い場合に、そのタンパク質がより効率的にリフォールディングされるのを可能にするということが、推定される。後に、生理学的なpHでリフォールディングされ得るタンパク質についてでさえ、高いpHでのリフォールディングが、より好収率を生じることが見出された。さらに、高pHリフォールディングは、最初の大量の沈殿を防止するための優れた方法である。【0017】(ii 非変性カオトロピック剤濃度)非変性濃度のカオトロピック試薬(例えば、0.5〜1.0Mの尿素、塩酸グアニジンおよびL−アルギニン)を使用して、リフォールディングを補助し、そしてリフォールディングされたタンパク質を安定化し得ることが、いくつかの研究室において示されている(Rudolphら、1996,FASEB J 10:49〜56)。カオトロピック試薬の好ましい濃度は、0.4Mであるが、その濃度は、0〜4Mの範囲であり得る。リフォールディング/精製手順における中程度の濃度の尿素は、タンパク質に対する変性効果を有さないことが見出されている。【0018】(iii 還元/酸化試薬)ジスルフィド結合を含む哺乳動物タンパク質のための封入体は、還元剤の存在下で溶解されることを必要とする。代表的な還元剤としては以下が挙げられる:β−メルカプトエタノール(0.1mM〜100mMの範囲、好ましくは10mM);DTT(0.1mMから10mMの範囲、好ましくは10mM);還元型グルタチオン(GSH)(0.1mM〜10mMの範囲、好ましくは1mM);および酸化型グルタチオン(GSSG)(0.1mM〜10mMの範囲、好ましくは1mM)。β−メルカプトエタノールは、好ましい還元試薬である。さらに、ジチオトレイトールおよび/または還元型/酸化型グルタチオン(GSH、GSSG)はまた、間違ってリフォールディングされた中間体シスルフィド結合の「酸化シャフッリング(oxido−shuffling)」を容易にするために含まれ得る。【0019】(iv pH制御)タンパク質溶液を、タンパク質をリフォールディングするのに十分な時間、pHが高い状態に保つことが重要である。これは、好ましくは、24時間あたり0.2pH単位増分において、ゆっくりとpHを低下することによって達成される。この方法において、このタンパク質溶液を、高いpHに、好ましくは、少なくとも9.0以上に、10に、またはやや好ましくは11に調整する。このタンパク質は、好ましくは、少なくとも24時間各pHで維持されるが、同様の効果は、より短い時間(例えば、3、6、9、12、18または20時間、最も好ましくは、少なくとも12時間)で達成され得る。pHは、酸の添加によってか、またはより低いpHへの透析もしくは希釈によって調整され得る。酸の添加が好ましい。【0020】上で議論される4つの条件は、「凡用的な」リフォールディング手順のための基礎的なプロトコールの最も本質的な局面だと考えられる。【0021】【表1】【0022】【表2】本発明は、以下の非限定的な実施例を参照することによってさらに理解される。【0023】(実施例1:組換えタンパク質をリフォールディングするための好ましい方法)(A.試薬:)ZB培地:10gのN−Z−アミンA,5gのNaCl/LLB培地:10gのトリプトン、5gの酵母抽出物、10gのNaCl/L、pH7.58Mの尿素:8Mの尿素、0.1MのTRISTM、1mMのグリシン、1mMのEDTA、pH10TN緩衝液:0.05mMのTRISTM、0.15MのNaCl、pH7.5。【0024】(B.組換えタンパク質の発現:)1.発現プラスミドを、適切な宿主(例えば、E.coliのBL21(DE3)株)にトランスフェクトし、そして所望の組換え生物体を選択する、ZB/アンピシリンプレートにプレートすべきである。各構築物由来のシングルコロニーを、100mlのZB/アンピシリン培地に播種し、そして37℃で16時間増殖させる。【0025】2.1LのLB/アンピシリンに20mlの一晩培養した培養物を播種し、そしてOD600が0.4〜0.6に達するまで37℃で振盪する。0.5mMになるようにIPTGを加え、次いで3時間振盪する。【0026】3.遠心分離し、そして20mlのTN/1%のTritonTMX−100中に細胞を再懸濁する。10mgのリゾチームを加え、そして−20℃で一晩凍結する。【0027】4.凍結細胞を解凍し、20μlの1M MgSO4、100μgのDNAaseを加え、細菌のDNAを完全に溶解するまで攪拌する。【0028】5.250mlのTN/1%のTritonを加え、そして2〜4時間攪拌する。遠心分離し、そしてもう1度Triton洗浄を繰り返す。【0029】6.10mlの8M尿素溶液中にペレットを溶解し、100mMになるようにβ−メルカプトエタノールを添加する。この溶液を限外濾過し得、次いでリフォールディングの準備が整う。【0030】(C.リフォールディングおよび精製:)封入体を含む溶液のOD280を、8Mの尿素溶液を使用して5.0に調節する。最終溶液は、以下の還元剤を含む:10mMのβ−メルカプトエタノール10mMのDTT(ジチオトレイトール)1mMの還元型グルタチオン(GSH)0.1mMの酸化型グルタチオン(GSSG)この溶液の最終pHは、10.0である。【0031】1.上記の溶液を、迅速に20容量の20mMのTRISTM塩基に希釈し、pHを9.0に調節し、次いでゆっくりと1MのHClを使用して8.0に調節する(pHが8.0になるまで、24時間で8.8に、次いで24時間で8.6に、などにpHを調節することによって)。あるいは、このタンパク質を、透析を使用してリフォールディングし得る。8Mの尿素溶液のOD280を、0.5に調節し、そして20容量のTRISTM塩基に対して透析する。この溶液のpHを、再度ゆっくりと8.0に調節する。【0032】2.次いで、リフォールディングされた物質を、限外濾過によって濃縮し、そしてゲル濾過によって分離する(例えば、20mMのTRISTM、HCl、0.4Mの尿素、pH8.0で平衡化されたSEPHACRYLTMS−300カラムにおいて)。【0033】3.S−300の画分を、非還元型SDS−PAGEにおいて泳動することによって確認し得る。誤ってリフォールディングされたタンパク質は、非常に高分子量で泳動するが、リフォールディングされたタンパク質は正常な分子量で泳動する。【0034】4.S−300カラムからのリフォールディングピークを、20mMのTRISTM−HCl(Resource−STMのためのHEPES緩衝液)、0.4Mの尿素、pH8.0で平衡化されるFPLC Resource−QTMカラム、またはResource−STMカラムを使用してさらに精製し得る。この酵素を、NaClの直線勾配を使用してカラムから溶出する。表Iは、直接的にか、または封入体としてリフォールディングされた全てのタンパク質を列挙する。【0035】(実施例2:メマプシン2(memapsin2)の発現およびリフォールディング)プロ−メマプシン2をPCR増幅し、そしてpET11aベクターのBamHI部位にクローニングした。この得られたベクターは、Ala−8pからAla326までの配列を有するプロ−メマプシン2を発現する。2つの発現ベクター(pET11−メマプシン2−T1(本明細書中で以後、T1)およびpET11−メマプシン2−T2(本明細書中で以後、T2))を構築した。両方のベクターにおいて、発現した組換えタンパク質のN末端の15残基は、発現ベクター由来である。プロ−メマプシン2残基は、残基Ala−16で始まる。この2つの組換えプロ−メマプシン2sは、C末端の長さが異なる。クローンT1は、Thr−454で終わり、そしてクローンT2はAla−419で終わる。T1構築物は、T2構築物由来のC−末端伸長を含むが、推定される膜貫通ドメイは全く発現しない。【0036】このT1発現ベクターおよびT2発現ベクターを、E.coli株BL21(DE3)に別々にトランスフェクした。トランスフェクト細菌の培養、組換えタンパク質の合成のための誘導ならびに組換えタンパク質を含む封入体の回収および洗浄のための手順は、本質的に、Linら、1994 Methods in Enzymology 214,195〜224に記載される通りである。基本的には、封入体を、1%(v/v)のTritonX−100および0.1MのTrisTM−HCl、pH7.4中の0.15MのNaClで洗浄して、不溶性タンパク質を、8Mの尿素、0.05Mのシクロヘキシルアミノプロペンスルホン酸、10mMの2−メルカプトエタノール、10mMのDTT(ジチオトレイトール)、1mMの還元型グルタチオン(GSH)、0.1mMの酸化型グルタチオン(GSSG)、1mMのグリシンおよび1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA),pH10.5を含む溶液に溶解して、約5mg/mlのタンパク質濃度にする。この溶液を20容量の迅速に攪拌した20mMのTris塩基に滴下する。希釈溶液のpHを、1MのHClを使用して9.0に再調節し、そして4℃で24時間維持する。次いで、pHを1MのHClを使用して8.8に調節し、そして4℃で再度24時間維持する。このプロセスを、pHが、8.0に調節されるまで繰り返す。【0037】この3つの異なるリフォールディング法は、良好な結果を生じた。【0038】(i 急速希釈法)OD280nm=5を有する、8Mの尿素/10mMのDTT(ジチオトレイトール)、1mMの還元型グルタチオン(GSH)、0.1mMの酸化型グルタチオン(GSSH)中のプロ−メマプシン2を、迅速に20容量の20mMのTris塩基に希釈した。この溶液を、ゆっくりと1MのHClを使用してpH8に調節した。次いで、リフォールディング溶液を、精製に進める前に、4℃で24〜48時間維持した。【0039】(ii 逆透析法)等量の20mMのTrisTM、0.5mMの酸化型グルタチオン/1.25mMの還元型グルタチオン,pH9.0を、OD280nm=5を有する、8Mの尿素/10mMのβ−メルカプトエタノール中の迅速に攪拌したプロ−メマプシン2に加える。このプロセスを、1時間の間隔でさらに3回繰り返す。次いで、この得られた溶液を、最終尿素濃度が0.4Mとなるような十分な容量の20mMのTRISTM塩基に対して透析する。次いで、この溶液のpHを、1MのHClを使用して8.0にゆっくりと調節する。【0040】(iii リフォールディングのための好ましい方法)封入体を、8Mの尿素、0.1MのTRISTM、1mMのグリシン、1mMのEDTA、100mMのβ−メルカプトエタノール、pH10.0に溶解する。封入体のOD280を、β−メルカプトエタノールを含まない8Mの尿素溶液を使用して5.0に調節する。最終の溶液は、以下の還元剤を含む:10mMのβ−メルカプトエタノール、10mMのDTT(ジチオトレイトール)、1mMの還元型グルタチオン、および0.1Mの酸化型グルタチオン。溶液の最終pHは、10.0である。【0041】上記の溶液を、迅速に20容量の20mMのTRISTM塩基に希釈し、pHを9.0に調製し、そして得られた溶液を4℃で16時間維持する。この溶液を、再度6時間で室温に平衡化し、そしてpHを8.5に調節する。この溶液を18時間で再度4℃に戻す。【0042】この溶液を、6時間で室温に再度平衡化し、そしてpHを8.0に調節する。この溶液を4〜7日で再び4℃に戻す。【0043】(組換えプロ−メマプシン2−T1の精製)リフォールディングされた物質を、限外濾過によって濃縮し、20mMのTRISTMHCl、0.4Mの尿素、pH8.0で平衡化されたSEPHACRYLTMS−300カラムで分離する。S−300カラムからのリフォールディングピーク(第2のピーク)を、20mMのTRISTM−HCl、0.4Mの尿素、pH8.0で平衡化される、FPLC RESOURCE−QTMカラムを使用してさらに精製し得る。この酵素を、NaClの直線勾配を使用してカラムから溶出する。S−300からのリフォールディングピークをまた、さらなる精製の前に活性化し得る。活性化のために、この画分を、等量の0.2Mの酢酸ナトリウム、70%のグリセロール、pH4.0と混合する。この混合物を、22℃で18時間インキュベートし、次いで、20容量の20mMのBis−TRISTM、0.4Mの尿素、pH6.0に対して2回透析する。次いで、この透析された物質を、20のBis−TRISTM、0.4Mの尿素、pH6.0で平衡化したFPLC RESOURCE−QTMカラムでさらに精製する。この酵素を、NaClの直線勾配を使用して溶出する。【0044】これらの方法の改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。 組換えタンパク質をリフォールディングするための方法であって、該方法は、以下の工程: 1つ以上のカオトロピック剤および還元剤の存在下で、9.0以上のpHで該タンパク質を維持する工程であって、ここで、該1つ以上のカオトロピック剤は、変性効果を有さない濃度で、かつ、0.4〜4Mの尿素、0.4〜4Mの塩酸グアニジン、0.4〜4MのL−アルギニンからなる群より選択される、工程;ならびに、 該タンパク質の少なくとも一部が、該タンパク質に特徴的な生物学的な活性および構造を定性的に示すように、少なくとも24時間の期間にわたり徐々にpH8.0まで溶液のpHを低下させて、該タンパク質の少なくとも一部の再生を誘導する工程、を包含する、方法。 前記pHが、24時間あたり0.2pH単位に相当する増分において低下する、請求項1に記載の方法。 前記タンパク質を、9.0より高いpHで少なくとも24時間の期間にわたり維持する、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。 前記pHが、酸の添加によって低下する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 前記pHが、より低いpHの溶液への希釈または透析によって増分が低下する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 前記還元剤が、β−メルカプトエタノール、DTT、還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 前記カオトロピック剤および還元剤が、0.4Mと1.0Mの間の尿素、0.1mM〜100mMのβ−メルカプトエタノール、0. 1mM〜100mMのDTT、0.1mM〜10mMの還元型グルタチオン、および0.1mM〜10mMの酸化型グルタチオンからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 前記タンパク質を、最初に細菌の封入体から抽出する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 前記細菌が、E.coliである、請求項8に記載の方法。 前記封入体を、9.0と10.0との間の最終pHで溶解する、請求項8または9に記載の方法。 前記タンパク質を、10.0より高いpHにおいて維持される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。 前記タンパク質を、11.0より高いpHにおいて維持される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 前記タンパク質を、12.0より高いpHにおいて維持される、請求項1〜12に記載の方法。 前記pHが、少なくとも36時間の期間にわたり低下する、請求項1〜13に記載の方法。 前記溶液のpHを、より高いpHではより急速に低下させ、そして、前記タンパク質の生理学的pH範囲付近ではより緩徐に低下させる、請求項1〜14に記載の方法。 不活性なタンパク質種、または誤ってフォールディングされたタンパク質種から、生物学的な活性を示すタンパク質種を分離するさらなる工程を包含する、請求項1〜15に記載の方法。 前記封入体は、8M尿素、0.1M Tris、1mMグリシン、1mM EDTA,10mMβ−メルカプトエタノール、10mMジチオスレイトール、1mM還元型グルタチオン、0.1mM酸化型グルタチオン、pH10.0中に溶解される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。 前記溶液の280nmでの吸光度を5.0に調節する工程;および20容量の20mM Tris Base中に該溶液を迅速に希釈し、その後、該溶液の該pHを減少させる工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。