生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_カロテノイド結晶の単離
出願番号:2001555042
年次:2013
IPC分類:C07C 403/24,C12P 23/00


特許情報キャッシュ

シベイーン ミエケ ウォルフ ヨハネス ヘンドリック シャープ アルベルト JP 5220255 特許公報(B2) 20130315 2001555042 20010129 カロテノイド結晶の単離 コニンクリーケ デーエスエム ナムローゼ フェンノートシャップ 500054868 山田 行一 100094318 野田 雅一 100123995 清水 義憲 100128381 シベイーン ミエケ ウォルフ ヨハネス ヘンドリック シャープ アルベルト EP 00200308.5 20000127 20130626 C07C 403/24 20060101AFI20130606BHJP C12P 23/00 20060101ALI20130606BHJP JPC07C403/24C12P23/00 C07C 403/24 C12P 23/00 国際公開第98/050574(WO,A1) 特開平08−214870(JP,A) 特開平06−105657(JP,A) 特開平05−292897(JP,A) 特表平11−508603(JP,A) 国際公開第98/003480(WO,A1) 5 EP2001000975 20010129 WO2001055100 20010802 2003520847 20030708 8 20080124 佐久 敬 (発明の分野) 本発明は、結晶性カロテノイドの結晶格子内に取り込まれた有機溶剤の実質的な量を含まない純度95%以上の結晶性カロテノイド化合物及びその製造方法に関する。 (発明の背景) カロテノイドは、自然界で見出される顔料の最も多く且つ広範囲に分布する群である。カロテノイドの幾つかの特定の例としては、β−カロテン、β−アポ−4´−カロテナール、β−アポ−8´−カロテナール、β−アポ−12´−カロテナール、β−アポ−8´−カロテン酸、アスタキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、シトラナキサンチン、ルテイン、リコペン、トルラロジン−アルデヒド、トルラロジン−エチルエステル、ニューロスポラキサンチン−エチルエステル、ζ−カロテン及びデヒドロプレクタニアキサンチンが挙げられる。更に、カロテノイドは、食品、化粧品、医薬用の着色用として広く使用される顔料の一つである事も知られている。 カロテノイド結晶は、一般に、通常の化学的方法によって製造される。然しながら、今日では、自然界の資源に由来する製品に対するかなりの要望がある。自然界の資源に由来する場合、カロテノイドは、殆どが油状抽出物(パーム油、藻類油)の形態である。又、自然界の資源、例えば、野菜(例えば、ニンジン)又は微生物(例えば、藻類(デュナリエラ(Dunaliella)))又は真菌(ブラケスレア(Blakeslea))から、結晶性カロテノイド、例えば、β−カロテンを得る事もできるが、これら自然界の資源から比較的に純粋な結晶を得る為に現在利用されている方法には重大な欠点がある。 例えば、β−カロテンの様な結晶性カロテノイドの自然界の資源からの単離には、例えば、国際特許出願WO9803480に記載されている様な前記自然界の資源からのβ−カロテンの抽出工程と、更なる精製工程が含まれる。この抽出工程は、様々な有機溶剤、例えば、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、二塩化メタン又はヘキサン、植物油、又は、プロパンの様な超臨界流体、エチレン又は二酸化炭素で行われる。比較的純粋なβ−カロテン製剤を得る為には、抽出物の更なる精製が必要である。幾つかの精製方法が開示されていて、その中には、クロマトグラフィー、吸着/放出方法及び結晶化又は沈殿がある。 例えば、溶剤の蒸発によって、適当な自然界の資源の溶剤抽出後に得られた抽出物から結晶化されるカロテノイド結晶は、出発物質の独特の臭いを有し、一般に、幾らかの不純物、例えば、溶剤それ自身及び抽出工程を発生源とする不純物を含む。その様な場合には、例えば、米国特許第3,268,606号明細書及び第4,439,629号明細書に開示されている様な再結晶化が必要となる。再結晶化の主たる欠点は、カロテンを溶解するのに多量の溶剤を必要とする事である。更に、十分に高い収率でカロテンを再結晶化させる為には、多量の抗溶剤(沈殿溶剤)を同様に必要とする。従って、これらの方法は、多量の溶剤を必要とする事及びカロテンのかなりの損失が起こる点で不利である。更に、溶剤は結晶性カロテノイドの結晶格子内に取り込まれる。 国際特許出願WO9850574には、微生物量から結晶性カロテノイド化合物を単離する方法が開示されていて、この方法は、微生物量の洗浄を含めて、微生物の細胞壁を破壊する工程及びカロテノイド含有残さから細胞砕片を分離する工程を含む。破壊された細胞量又はカロテノイド含有残さは、脂質を除去する為に適当な溶剤で処理され、得られたカロテノイド結晶を水中に懸濁させて結晶を浮遊させる。その後、結晶性生成物が分離され、任意に、更に精製される。国際特許出願WO9843620、WO9723436及びWO9731894には、含油樹脂からのカロテノイド化合物の製造方法が開示されていて、この方法は、有機媒体中でアルカリ試薬での処理、次いで、結晶性カロテノイド化合物を得る為の抗溶剤の添加を含む。溶剤中での破壊された細胞量の溶解及び抗溶剤の添加の主たる欠点はカロテノイド結晶中に溶剤を包含する事である。 驚くべきことに、本発明者は、結晶格子中に殆ど溶剤のない極めて純粋なカロテノイド結晶が、抽出/抗溶剤方法の使用なしに、微生物資源の結晶性懸濁液から効率良く単離でき、少なくとも95%の純度のカロテノイド結晶を得る事ができる事を見出した。 (発明の開示) 本発明は、純度95%以上、好ましくは96%以上、更に好ましくは97%以上、尚好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の結晶性カロテノイドであって、結晶格子中に実質的に溶剤を含まない結晶性カロテノイドに関する。「実質的に溶剤を含まない」とは、溶剤の量が0.5%(w/w)未満、好ましくは0.2%(w/w)未満、更に好ましくは0.1%(w/w)未満、最も好ましくは0.05%(w/w)未満である事を意味する。 更に、前記カロテノイド化合物の単離、好ましくは微生物細胞からの単離の為の効率的で且つ好ましい方法が開示される。本発明方法によれば、カロテノイド結晶は微生物細胞から、結晶格子中に溶剤を取り込む事なしに、結晶性カロテノイド懸濁液中に存在する全ての不純物を除去することによって精製される。 本発明方法は、以下の工程を含む。(a)カロテノイド含有細胞、好ましくは微生物資源からの細胞を破壊して、油状結晶性カロテノイド懸濁液を分離する工程、(b)該油状結晶性カロテノイド懸濁液を、pH9〜12のアルカリで、10〜95℃の温度で、好ましくは30〜85℃、最も好ましくは50〜75℃の温度で、任意に、低級アルコールの存在下で処理する工程、(c)該アルカリ処理された結晶性カロテノイド懸濁液に塩を添加する任意の工程、(d)該結晶性カロテノイド懸濁液を液相から分離する任意の工程、(e)該結晶性カロテノイド懸濁液を、塩を含む水溶液で任意に洗浄する工程、(f)該結晶性カロテノイド懸濁液を低級アルコールで第一洗浄工程において洗浄する工程((b)〜(e)の工程と(f)の工程の実施順序は任意である)、(g)(a)〜(f)の処理工程から得られる粗カロテノイド結晶を、水又は低級アルコールと水との混合物で第二洗浄工程において洗浄する工程、(h)該結晶を新鮮な溶剤で洗浄する工程、及び、(i)該結晶を乾燥する工程。 カロテノイド含有微生物細胞は、選抜きのカロテノイド産生微生物の適当な培養法から得ても良い。カロテノイド含有微生物は、バクテリア、真菌、藻類又は酵母であっても良い。好ましくは、ムコラレス目(Mucorales)の真菌であり、好ましくは、ブラケスレア−トリスポラ(Blakeslea trispora)、デュナリエラ属の藻類、又は、ファフィア属(Phaffia)の酵母、好ましくはファフィア−−ロドチマ(Phaffia rhodozyma)である。 微生物細胞と培養液を含む培養ブロスは、直接、カロテノイド結晶の単離に使用されても良い。或いは、本発明方法を実施する前に、微生物細胞は、適当な方法、例えば濾過又は遠心分離によって培養液から分離されてもよい。 カロテノイド含有微生物細胞は、機械的、化学的及び/又は酵素処理手段によって細胞壁を破壊する事よって開かれる。例えば、細胞は、均質化処理、超音波処理、自己融解処理、浸透圧融解処理(osmolysis)及び/又はプラズマ融解処理(plasmolysis)に掛けられても良く、任意に、界面活性剤、酸、塩基、酵素、自己融解促進物質、塩の様な浸透圧融解剤、及び/又はプラズマ融解剤を添加しても良い。この方法で、油状結晶性カロテノイド懸濁液が細胞から放出され、それによって油状結晶性カロテノイド懸濁液が細胞砕片から、好ましくは遠心分離によって分離される。 この様にして得られた油状結晶性カロテノイド懸濁液は、次いで、更に、精製される。次の精製工程を適用する前に、油状結晶性カロテノイド懸濁液は、水で一度以上洗浄されても良い。 次の精製工程は、アルカリでの油状結晶性カロテノイド懸濁液の処理から成る。アルカリ処理は、pH9〜12を有するアルカリ水溶液の油状カロテノイド懸濁液への添加及び、好ましくは、適当な時間、10〜95℃、好ましくは30〜85℃、更に好ましくは50〜75℃の温度で、攪拌下でのその後の培養を含む。アルカリ溶液/油状カロテノイド懸濁液の比は、約5:1〜約1:1(w/w)が好ましい。アルカリ処理の期間は、処理中に適用されるpHと温度が低ければ低い程、処理時間は益々長くなるので、一般的に、適用するpHと温度に依存する。例えば、アルカリ処理は、pH12で温度75℃では2時間、pH10で温度50℃では8時間行われても良い。任意に、アルカリ処理は、低級アルコールの存在下で行われても良い。 アルカリ処理後、水溶性塩、例えば、塩化ナトリウムが、アルカリ処理された結晶性カロテノイド懸濁液に添加されても良い。次いで、結晶性カロテノイド懸濁液は液相から分離され、任意に、塩含有水溶液で洗浄されても良い。結晶性カロチノイド懸濁液の分離は、当該技術分野において公知の方法、例えば、濾過、遠心分離又は冷却によって行っても良い。 次いで、結晶性カロテノイド懸濁液は、懸濁液を低級アルコールで洗浄して粗カロテノイド結晶を生成する事を含む第一洗浄工程に掛けられても良い。この第一洗浄工程は一回以上繰返されても良い。 一般的に、本発明により行われる洗浄工程は、洗浄液と共に(油状)結晶性カロテノイド懸濁液又は(粗)カロテノイド結晶を攪拌する工程及び、続いて、液相から(油状)結晶性カロテノイド懸濁液又は結晶を分離する工程を含む。 本発明の一つの実施態様では、粗カロテノイド結晶は先の工程とは別の順序で得られる。 破壊された細胞からの、結晶の分離後に得られる油状結晶性カロテノイド懸濁液は、先ず初めに水で一回以上洗浄され、次いで、前述のアルカリ処理される。アルカリ処理は、低級アルコールの存在下で任意に行われる。或いは、低級アルコールでの第一洗浄は、pH9〜12のアルカリ水で、任意に低級アルコールの存在下で、そして、任意に昇温において結晶性カロチノイド懸濁液を一回以上洗浄した後に行われる。 次いで、結晶性カロテノイド懸濁液が液相から分離されて粗カロテノイド結晶が生成される。 好ましくは、上述の処理工程(a)〜(f)は、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順序で実施される。 本発明を通して、低級アルコールとは、1〜6個の炭素原子のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールである。本発明で使用される低級アルコールは単独のアルコールでも、或いは、二種以上のアルコールの混合物であっても良い。好ましくは、低級アルコールは、エタノール、1−ブタノール又は1−ブタノールとエタノールとの混合物である。 粗カロテノイド結晶は、更に、結晶を水又は低級アルコールと水との混合物で一回以上洗浄する事を含む第二洗浄工程を適用する事によって精製される。洗浄溶液のpHは、好ましくは1〜5、更に好ましくは2〜4の値を有する。水は、適当な酸、例えば、硫酸又は塩酸で、或いは酸性緩衝溶液、例えば、ボレート/塩酸又はシトレート/塩酸緩衝液で酸性化されても良い。低級アルコール/水混合物中における低級アルコール/水の比は、好ましくは5:1〜1:5、更に好ましくは1:1〜1:2である。 結晶は、次いで、適当な方法、例えば、濾過或いは遠心分離によって液相から分離される。 この後に、結晶は新鮮な溶剤で一回以上洗浄される。この新鮮な溶剤は低級アルコールであり、好ましくは、エタノール、又は低級アルコールのアセテートエステル、好ましくは酢酸エチルである。更に好ましくは、新鮮な溶剤は食品等級の溶剤である。 本発明の好ましい実施態様では、結晶性カロテノイド懸濁液の最初の二つの洗浄工程で使用される低級アルコールと結晶の最後の洗浄工程で使用される新鮮な溶剤とは同じ溶剤である。 本発明方法の最終工程で結晶が乾燥される。 本発明方法は、食品化学規格(Food Chemical Codex)(FCC)(page 90, EditionIV (1996), National Academy Press, Washington DC)に記載されている様な方法によって少なくとも95%の純度の結晶をもたらす。 結晶性カロテノイドの単離の為の従来の抽出/結晶化方法と比較して、本発明の重要な利点は、カロテノイドの抽出の為の有機溶剤の使用が避けられる点である。その結果、得られるカロテノイド化合物の結晶格子中に溶剤は実質的に導入されない。 本発明のその他の観点では、本発明方法は、粗結晶性カロテノイド、好ましくは粗結晶性カロテノイド懸濁液のカロテノイド含有量を増加させる為に使用される。 β−カロテン及びアスタキサンチンは本発明の好ましいカロテノイド化合物である。 実施例1 ブラケスレア−トリスポラの均質化された培養ブロスから得られた結晶性β−カロテン懸濁液からβ−カロテン結晶の調製 (I)β−カロテンを0.9g/l含むブラケスレア−トリスポラの培養ブロスを、ホモジナイザー(APV Gaulin)で600barで一度均質化した。次いで、均質化されたブロスを円板遠心分離機で遠心分離した。β−カロテン結晶を含む最上層を遠心分離機から分離し、この最上層を様々な実施例の出発材料として使用した。 (II)3000mlの水を、このβ−カロテン含有量上層2200gに添加し、次いで、この混合物を、pH12(8N−NaOHでpH調整した)で75℃で2時間培養した。反応混合物を室温まで冷却し、350gの塩化ナトリウムを添加した。得られた混合物を5分間、5000rpmで遠心分離した。この様にして得られた結晶性β−カロテン懸濁液をpH7の緩衝液で一度洗浄して、それに50g/lの塩化ナトリウムを添加した。 遠心分離後、β−カロテン懸濁液を、2.5容量(約5000ml)の新鮮な1−ブタノールで四回洗浄した。遠心分離後に回収されて得られた結晶を、緩衝液/ブタノールの比が2:1の、1−ブタノールとpH2の緩衝液(シトレート/塩酸)との混合物で三回洗浄した。 最後に、β−カロテンが濃縮された中間物を2500mlの96%エタノールで二度洗浄した。遠心分離後に得られた湿潤結晶を一晩、真空下で42℃で乾燥した。 得られた結晶のFCC法(Food Chemical Codex, Edition IV (1996), National Academy Press, Washington DC, page 90に記載されている)による分析結果は次の通りである。 実施例2 1−ブタノール、エタノール及び水の混合物で結晶生成物を洗浄する事による、β−カロテン結晶を含有する最上層から結晶性β−カロテンの調製 1000mlの水を、実施例1で回収されたβ−カロテン懸濁液250gに添加し、pH12で75℃で培養した。室温に冷却後、50gの塩化ナトリウムをこの反応混合物に添加し、得られた混合物を5分間、5000rpmで遠心分離した。 この様にして得られたβ−カロテン懸濁液をpH7の緩衝液で洗浄し、それに50g/lの塩化ナトリウムを添加した。遠心分離後、懸濁液を2.5容量(=500ml)の新鮮な1−ブタノールで洗浄した。この工程を三回繰返した。 1−ブタノールで洗浄後、ペレットを、1−ブタノールとエタノールと水が2:3:1の比の混合物250mlで三回洗浄した。最後に、β−カロテンが濃縮されたペレットを50mlの96%エタノールで二度洗浄した。遠心分離後に得られたペレットを一晩真空下で40℃で乾燥した。FCC法で決定された得られたβ−カロチン結晶の純度は98%であり、結晶中の溶剤量は870ppmであった。 実施例3 最初に1−ブタノールで、続いて1−ブタノールとpH10の緩衝液との混合物で懸濁液を洗浄する事による、結晶性β−カロテン懸濁液から結晶性β−カロテンの調製 実施例1の(I)で回収された最上層の250gを2.5容量(=500ml)の新鮮な1−ブタノールで洗浄した。この工程を三度繰返した。 1−ブタノールで洗浄後、結晶性β−カロチン懸濁液を、1−ブタノールとpH10の緩衝液との混合物250mlに室温で懸濁した。遠心分離後、β−カロテン懸濁液を、1−ブタノールとpH10の緩衝液との混合物で二度洗浄した。最後に、β−カロテンが濃縮された懸濁液を50mlの96%エタノールで、50℃の温度で30分間、二度にわたって洗浄した。遠心分離後に得られた結晶を一晩、真空下で40℃で乾燥した。FCC法により決定されたβ−カロチテン結晶の純度は96%であった。 実施例4 1−ブタノールと水での洗浄を繰返し行う事による、β−カロテン結晶を含む懸濁液から結晶性β−カロチンの単離 β−カロテン含有量が平均して1g/lのブラケスレア−トリスポラの五つの異なる培養ブロスを900barで一度均質化した。様々なブロスの均質化されら混合物を遠心分離して、β−カロテン結晶を含む約600mlの最上層を得た。この最上層を約600mlの脱塩水で三回洗浄した。 次いで、900mlの水を、回収されたβ−カロテン懸濁液50gに添加した。pHを8N−水酸化ナトリウムで12に調整した。このpHで75℃で二時間の培養後、反応混合物を室温に冷却した。 250mlの1−ブタノールを500mlの反応混合物に添加し、5分間攪拌後、1−ブタノール層をデカントし、250mlの新鮮な1−ブタノールを添加した。更に5分間攪拌後、混合物を遠心分離した。β−カロテン結晶を含有する中間物を分離し、20mlの水と15mlの1−ブタノールとの混合物に懸濁し、5分間攪拌し、β−カロテン結晶を含む中間層を遠心分離で分離した。この工程を5回繰返した。この後、β−カロテン結晶を40mlのエタノール(96%)で洗浄し、真空下で16時間、35℃で乾燥した。FCC法による得られた結晶の純度は97%であり、溶剤の濃度は340ppmであった。 結晶性カロテノイド化合物の製造方法であって、(a)微生物資源からのカロテノイド含有微生物細胞を破壊して、油状結晶性カロテノイド懸濁液を分離する工程であって、前記微生物資源が、真菌ブラケスレア−トリスポラ(Blakeslea trispora)であり、前記分離する工程において、有機溶媒を用いない、工程、(b)該油状結晶性カロテノイド懸濁液を、pH9〜12のアルカリで、10〜95℃の温度で、処理する工程、(c)該アルカリ処理された結晶性カロテノイド懸濁液に塩を添加する工程、(d)該結晶性カロテノイド懸濁液を液相から分離する工程、(e)該結晶性カロテノイド懸濁液を、塩を含む水溶液で洗浄する工程、(f)該結晶性カロテノイド懸濁液を低級アルコールで第一洗浄工程において洗浄する工程、(g)(a)〜(f)の処理工程から得られる粗カロテノイド結晶を、水又は低級アルコールと水との混合物で、pH2〜4で、第二洗浄工程において洗浄する工程、(h)該結晶を新鮮な溶剤で洗浄する工程、及び、(i)該結晶を乾燥する工程、を含み、 (a)〜(f)の工程が、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順序で実施されることを特徴とする方法。 低級アルコールが、エタノール及び1−ブタノールから成る群から選ばれる、請求項1に記載の方法。 工程(h)で結晶を洗浄するのに使用される新鮮な溶剤がエタノール又は酢酸エチルである、請求項1又は2に記載の方法。 工程(a)〜(g)で使用される低級アルコールと工程(h)で使用される新鮮な溶剤が同じ溶剤である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。 カロテノイド化合物がβ−カロテンである、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る