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タイトル:特許公報(B2)_寄生性原虫類の蔓延から生ずる疾患の処置のためのトリアジノン化合物
出願番号:2001541510
年次:2012
IPC分類:A61K 31/53,A61P 33/00,A01N 43/64,A01P 1/00


特許情報キャッシュ

グライフ,ギゼラ JP 5031163 特許公報(B2) 20120706 2001541510 20001121 寄生性原虫類の蔓延から生ずる疾患の処置のためのトリアジノン化合物 バイエル・アニマル・ヘルス・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング 509063029 特許業務法人小田島特許事務所 110000741 グライフ,ギゼラ DE 199 58 388.9 19991203 20120919 A61K 31/53 20060101AFI20120830BHJP A61P 33/00 20060101ALI20120830BHJP A01N 43/64 20060101ALI20120830BHJP A01P 1/00 20060101ALI20120830BHJP JPA61K31/53A61P33/00 171A01N43/64 105A01P1/00 A61K 31/53 A61P 33/00 A01N 43/64 A01P 1/00 CAPLUS/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 米国特許第05830893(US,A) 米国特許第05883095(US,A) 国際公開第99/020303(WO,A1) 特表2002−532544(JP,A) 特表2002−532545(JP,A) 特表2002−532552(JP,A) 特開平02−164873(JP,A) HABERKORN, A.,Chemotherapy of human and animal coccidioses: state and perspectives,Parasitol Resarch,1996年,Vol.82,p.193-9 LINDSAY, D. S. et al.,Examination of the activities of 43 chemotherapeutic agents against Neospora caninum tachyzoites in cultured cells,American Journal of Veterinary Research,1994年,Vol.55 No.7,p.976-81 蜂須孝政ら,日獣会誌,1991年,Vol.44,p.324-7 MATSUNO, T. et al.,J. Vet. Med. Sci.,1996年,Vol.58, No.2,p.129-33 1 EP2000011837 20001121 WO2001039778 20010607 2003515563 20030507 22 20071114 清水 紀子 【0001】本発明は、胎児死亡を生ずるか又は神経疾患を起こす寄生虫に感染している動物を、特に予防的に処置するためのトリアジノン化合物に関する。特に、本発明は、胎児死亡を生ずるか又は神経疾患を起こす球虫類のような寄生性原虫類の処置に適したトリアジノン化合物に関する。極めて特定的には、本発明はネオスポラ(Neospora)感染の処置に適したトリアジノン化合物に関する。【0002】トリアジンジオン類、例えばジクロズリル及びトリアジントリオン類、例えばトルトラズリルのようなトリアジノン化合物は、広範囲の原虫類により引き起こされる疾患に対して広範囲の哺乳類、昆虫及び魚類を処置するために用いられた;米国特許第4,631,218;4,933,341;4,935,423;5,114,938;5,141,938;5,188,832、5,196,562、5,256,631及び5,464,837号あるいは他にEP A 170 316を参照されたい。これらの化合物に感受性の原虫類には鳥類、哺乳類及び昆虫の内蔵に感染する寄生虫が含まれ、下痢、活力不足、吐き気及び嘔吐の形態で現れる。一般にトリアジノン類の作用様式は、腸壁細胞及び内蔵壁細胞中に存在する寄生虫の中間段階(intermediate stage)を攻撃し、それにより寄生虫の小胞体、核の回りの領域及びミトコンドリアを増大させることにある。これはおそらく核が分裂する能力を妨げ、それによりシゾント(schizonts)及びミクロガモント(microgamonts)が小さいままであり、それぞれ少数のメロゾイト及び小配偶子を形成するのみとなる。最終的結果は、これらのより後期寄生虫段階(later parasitic stages)が新しい哺乳類細胞に入り込む能力を失い、それによって宿主における寄生虫の増殖が有効に防がれることである。【0003】70年代以来、動物において神経疾患を引き起こし及び/又は胎児死亡を生ずると考えられてきたある種の原虫類は特に重要である。これらの原虫類のいくつかの単離及び試験管内培養の成功は難しいことが証明された。例えば脳液及び脊髄液が成功裏に単離されたのは80年代後期になって初めてである。神経疾患が脳に感染する寄生虫によって引き起こされ得、胎児死亡を生ずる疾患が胎児−感染性寄生虫によって引き起こされ得ることに疑いがなくなるとすぐに、損害を与える副作用を引き起こすことなく血液脳関門及び胎盤関門を横切ることができる有効な抗原虫薬が必要となった。非常に少数の薬のみが動物の血液脳関門又は胎盤関門を横切ることができる。寄生虫の脳感染を有効に処置するために血液脳関門及び/又は胎盤関門を横切ることができる先行技術の薬の多くは損害を与える副作用を有し、従って高い危険性の心構えなしで用いることはできない。従ってそのような神経疾患及び胎児死亡を生ずる疾患の有効な処置を構成する有効な薬は今日まで承認されたことがない。下記は寄生虫によって引き起こされる疾患の短い記述である。【0004】ネオスポラ・カニヌム(Neospora caninum)は1984年にBJERKAS et al.Natural infectionsによりノルウェー犬において最初に記載された原虫類の群からの新しい寄生虫であり、犬及び牛と別に、羊、やぎ及び馬においも見いだされた(Dubey and Rommel 1992,Dubey and Lindsay 1993)。犬及び牛と別に、きつね、猫、羊及びマウスも実験的感染に成功した。ネオスポラ・カニヌムの固有宿主はおそらく犬であるが(McAllister et al.1998)、完全な生活史への詳細な研究はまだ得られない。【0005】多種の細胞、例えばマクロファージ、好中球、線維芽細胞、血管の内皮細胞、筋細胞、腎細管の上皮細胞、肝細胞及び神経細胞がネオスポラ・カニヌムのための宿主細胞として働くことができる。しかしながら、タキゾイト(tachyzoites)を介する繁殖は好ましくは筋肉及び神経細胞のような細胞小器官において起こる。従って、自然の感染に続く病理学的症状が支配的であるのはこれらの組織においてである。5〜6週令であり、且つその期間に及んで自然に感染している犬はかくして神経根炎の故の過敏性の兆候及び増進する後肢のびっこを有する疾患症状を示す。さらに神経系において、主に脳及び脊髄において組織病理学的異常が見いだされる。ここでは、広範囲の非−化膿性炎症、グリアの増殖ならびに単核細胞(マクロファージ、リンパ球、いくつかのプラスマ細胞)、いくつかの場合には又、好酸球及び好中球の血管周囲浸潤が支配する。裸眼で筋系における壊死性−変性性変化さえ見ることができる。気付くことは、多少顕著な萎縮の他に、長くて色の薄い縦縞である。これは特に後肢に当てはまる。組織学的には、変化は少しの壊死及び非−化膿性小胞炎を伴う顕著な筋細胞炎(myocytis)を構成する。これらの変化は前肢の筋系、横隔膜及び舌の筋系においてもあまり顕著でない形態で観察される。これらの症状を有する5〜12週令の犬は安楽死させねばならない(Dubey et al.1988)。ネオスポラ感染は繰り返される経胎盤伝達により次の世代に伝達される。疾患は決して必ずしも一腹の動物のすべてに影響を与えるわけではない。妊娠21日に6個の雌犬に実験的に感染させると、1個の雌犬は3個の生存子犬を産んだが、他の5個はN.カニヌム−陽性胎児を流産した。生きて産まれた3個の子犬において寄生虫は検出され得なかった(Cole et al.1995)。【0006】牛における今までで最初の記述はThilsted and Dubey(1989)によるニューメキシコからの流産した胎児の脳組織におけるものであった。さらに牛からの単離が合衆国(Conrad et al.1993,Barr et al.1993,Marsh et al.1995)、日本(Yamane et al.1996)及びスウェーデン(Stenlund et al.1996)で行われた。カリフォルニア及びオーストラリアで、ネオスポラ・カニヌム感染は牛の群れにおける胎児死亡に関する主な原因であると考えられている(Barr et al.1990)。【0007】多分、ほとんどのネオスポラ−感染牛は3〜9月令の時に流産する。これらの胎児において、実質的数で見いだされるのは主にタチゾイトである。今まで、産まれた牛においては嚢子が立証されたのみである。感染した牛は出産後(post−partum)遅くとも3〜17日に死亡する。疾患症状は犬におけるものに類似している。運動失調が観察され、関節反射が大きく減退し、後肢の、いくつかの場合には四肢全部のびっこが観察される。組織学的知見は犬におけるものと類似している:非−化膿性髄膜炎及び脊髄炎が支配的である。犬及び他の動物においてそうであると同様に、脳において、特に血管周囲領域において単核細胞が浸潤し、壊死が見いだされた。寄生虫、特にタキゾイト又はタキゾイトを有する偽嚢(pseudocysts)は特に−しかしほとんどの場合に少数で、神経組織における、まれな場合にはまた、筋細胞における病巣として見いだされる。顕著なのは、そしてトキソプラスマと明白に対照的なのは、ネオスポラが母から子孫に繰り返し伝達され得ることである。これは犬及び牛において立証された(Bjerkas et al.1984,Dubey and Rommel 1992,Dubey et al.1988)。【0008】犬及び牛からのN.カニヌム単離物の間の比較はこれまで、形態学的超微細構造のレベルでも、タンパク質分析のレベルでも、続くrRNA又はITSI配列の分子−生物学的配列整列のレベルでも、相違を明らかにしなかった(Holmdahl and Mattsson 1996)。分布及び経済的重要性1984年にN.カニヌムが発見されて以来、それは世界中で同定されてきた(Review Dubey/Lindsay)。カリフォルニアの場合、N.カニヌムによって引き起こされる牛における胎児死亡の割合は特に高いと見積もられる。468個の流産した胎児の中で、45.5%がネオスポラ・カニヌム感染によるものであった(Dubey and Lindsay 1993)。スイスでは流産した胎児の29%の脳においてネオスポラ−特異的DNAが検出された;従って年間の損失は1千20万スイスフラン(Gottstein/Bern)及びオーストラリアでは1億ドル(Johnson/Sydney)と見積もられる。カリフォルニアでは、疾患率は12月から2月の冬の間にピークがある。ニュージーランドに関して類似の知見が得られた(Thornton et al.1991)。ここでは、N.カニヌムにより引き起こされる流産のほとんどが5月から7月に報告された。N.カニヌム感染を、特に予防的に処置する有効な方法はこれまで開示されたことがない。【0009】ウマ原虫性脊髄脳炎(EPM)はストレス下にある若い馬(例えばサラブレッド競走馬及び純血種の馬術馬(performance horses))において主に見いだされる神経学的疾患であり、従って乗馬経済(equestrian economy)に実質的な財政上の影響を有する疾患である。70年代に疾患として最初に同定されたEPMは、EPM馬から1991年もの遅くに培養され、サルコシスチス・ニューロナ(Sarcocystis neurona)と命名された。1997年に、現在ネオスポラ・フゲシ(Neospora hugesi)と呼ばれているネオスポラ種がEPM馬の脳から単離された。従って現在、EPMはこの新しく同定された生物によってのみか、サルコシスチス・ニューロナによってのみか、あるいはこれらの生物の組合わせによって引き起こされ得ることが提案されている。最も多くの場合、EPMは非対称運動失調、虚弱及び痙性を生ずる。疾患は神経学的状態を模してい得る。疾患は超急性又は慢性の形態で起こり得る。慢性の形態は多くの場合に開始時に潜行性であり、疾患における後期まで診断が困難であり、死に至り得る。最も穏やかな場合、唯一の臨床的兆候は病気が限定する腰肢のびっこ(ill defined hip limb lameness)又は小さい呼吸雑音であり得る。最も重症の場合、馬は嚥下できないか、又は立てない。現在、最も重症の場合には寄生虫、例えばS.ニューロナが脳に感染し、そこでそれがかなりの損傷を引き起こすことが知られている。臨床的兆候は寄生虫による直接の神経損傷(脳及び脊髄における)ならびにメロゾイト(merozoites)及びメロンテス(merontes)に関連する炎症性細胞の浸潤の故の脳損傷、水腫及び中枢神経系(CNS)における神経死により引き起こされる。現在EPMの抑制のための有効な予防はない。人間における使用に関して承認されている薬トリメトプリム及びスルホンアミドの組合わせが用いられた。しかしながら処置は高価であり、多くの繰り返し投薬が必要である。【0010】球虫類の群に属するさらに別の寄生虫、トキソプラスマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)はしばらく前から既知であり、最初に猫の内蔵及び筋肉組織から単離された。この寄生虫の固有宿主は猫であり、それは長期間に及んでその生物を宿し得るが、接合子嚢は牛、羊、豚及び人間を含む他の動物に広がる。羊、牛及び人間の感染は胎児死亡を生ずる疾患及び主に中枢神経系を攻撃する先天的疾患を伴ってきた。最も最近には、それは胎児死亡及び感染した母からの子猫における、感染の前の妊娠中には血清陰性であった奇形も伴った。牛、羊、豚及び人間のような非−猫宿主は接合子嚢を作らないが、タチゾイト及びブラディゾイトが現れ、筋肉及び脳はこれにより侵入され得、タチゾイト及びブラディゾイトは神経学的症状及び胎児奇形を伴う胎児死亡である疾患の臨床的兆候を引き起こす。すべての猫の60%がT.ゴンジイに関して血清学的に陽性であることが報告された。この場合も、トキソプラスマ症の処置、特に予防的処置は存在しない。【0011】特にサルコシスチダエ(Sarcocystidae)科からの球虫類への感染の危険にさらされる動物を、許容され得ない副作用なしで処置する、特に予防的に処置するためのジクラズリル、トルトラズリル又はトルトラズリルスルホン(最近は新しい名前「ポナズリル」の下に既知である)のようなトリアジノン化合物の使用は、冒頭で挙げた文献を含む先行技術の文献に開示されていないか、又はそこに記載されていない。従って目的は、上記の寄生虫への感染の危険にさらされる動物のための有効な処置、特に予防的処置を提供することであった。【0012】驚くべきことに今回、処置、特に予防的処置のためにトリアジノン類を用いることにより、寄生性原虫類への感染からの広範囲の保護が達成されることが見いだされた。【0013】従って本発明は、製薬学的に活性な量のトリアジノン化合物を動物に適用することを特徴とする、神経学的疾患あるいは胎児死亡を生ずる疾患として現れる寄生虫病への感染の危険にさらされる動物を、特に予防的に処置する方法に関する。そのような動物は例えば馬、牛、猫、犬、豚、羊、鳥類、昆虫及び人間であるが、制限ではない。【0014】感染又は疾患を引き起こす寄生虫はサルコシスチダエ科の球虫類であり、それは神経学的疾患又は胎児死亡を生ずる疾患として現れる。例えば、サルコシスチス種、ネオスポラ種及びトキソプラスマ種より成る群から、制限として分類するわけではない例を選ぶことができる。典型的には、サルコシスチダエはS.ニューロナ、N.フゲシ、N.カニヌム及びT.ゴンジイより成る群から、特にネオスポラ種の群から選ばれる。原虫類感染又は原虫性疾患にはEPM、ネオスポラ症及びトキソプラスマ症が含まれるが、それらに限られるわけではない。【0015】本発明を行うと、本明細書に記載する原虫類により引き起こされる寄生虫感染もしくは疾患に対する動物の処置、特に予防的処置がそれらに伴う症状及び疾患の予防を生ずる。一般にこれらの疾患の症状にはびっこ、運動失調、麻痺、胎児死亡、虚弱新生児及び他の関連する障害が含まれる。典型的には、処置に約1〜30日、好ましくは約1〜20日、特に好ましくは1〜10日そして特別に好ましくは1〜6日かかる。当然、処置、特に予防的処置のための処置案は、状況及び病原性寄生虫の種に依存して1日1回、1日2回又は1日数回、隔日1回あるいは実に週に1回であることができる。【0016】好ましい投薬量は処置されるべき動物の体重のkg当たり1〜500mgの活性化合物であり、特に好ましいのは10〜200mg/kgの投薬量、そして特別に好ましいのは20〜150mg/kgの投薬量である。【0017】1つの特定の理論に縛られることは望まないが、本明細書に記載する処置、特に予防的処置の予想に反した成功は、トリアジノン化合物が血液脳関門又は胎盤関門を横切る能力の故であると思われる。本発明の化合物は容易に血液脳関門を横切り、且つ又胎盤中に入り込むことができ、脳において、及び脊髄内の脊髄液においてその場で原虫類を殺すと思われる。【0018】これまで、動物における毒性又は突然変異原性のような許容され得ない副作用なく、これらの疾患に対して有効に保護するために、安価で容易に投与される薬は得られなかった。ここで下記の本文においてトリアジノン化合物を、特にトルトラズリル化合物に関して記載するが、制限としてではない。特許請求する本開示及び発明はさらに、トルトラズリル化合物の意味で有用な他のトリアジノン化合物を含む。【0019】本発明に従って用いることができるトリアジントリオン類であるトルトラズリル類は式(I)【0020】【化1】【0021】[式中、R1はハロゲノアルキルチオ、ハロゲノアルキルスルフィニル又はハロゲノアルキルスルホニルであり、R2は水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルメルカプト、ハロゲン、ハロゲノアルキル又は場合により置換されていることができるスルファモイル基、例えばジアルキルスルファモイル基であり、R3及びR4は同一もしくは異なることができ、水素、アルキル、アルケニル又はアルキニルを示し、XはO又はSを示す]を有し、ならびにそれらの生理学的に許容され得る塩である。【0022】さらに、特に以下の、R1がハロゲノ(C1−C4)アルキルチオ、ハロゲノ(C1−C4)アルキルスルフィニル又はハロゲノ(C1−C4)アルキルスルホニルを示し、R2が水素、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルコキシ、ハロゲン、(C1−C4)アルコキシ−(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキルメルカプト、(C1−C4)ジアルキルアミノスルホニル又はハロゲノ−(C1−C4)アルキルを示し、R3及びR4が同一もしくは異なることができ、水素 (C1−C4)アルキル又は(C1−C4)アルケニルを示し、XがO又はSを示す式(I)のトリアジントリオン類であるトルトラズリル類を本発明に従って用いることができることが見いだされた。【0023】本発明に従ってやはり用いることができるトリアジンジオン類であるジクラズリル類は式(Ia)【0024】【化2】【0025】[式中、R1a、R2a及びR3aはそれぞれ互いに独立して水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルキルオキシ、C1−C6−アルキルチオ又はC1−C6−アルキルスルホニルを示し、R4a及びR5aはそれぞれ互いに独立して水素、ハロゲン、トリフルオロメチル又はC1−C6−アルキルを示し、Rは水素、C1−C6−アルキル、シクロ−C3−C6−アルキル又はフェニルを示し、それは場合によりハロゲン、トリフルオロメチル、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルキルオキシ、C1−C6−アルキルチオもしくはC1−C6−アルキルスルホニルより成る群から互いに独立して選ばれる最高で3個の置換基を有することができる]を有する。【0026】好適に用いられる式(Ia)の化合物は、R1a及びR2aがそれぞれ互いに独立して水素、ハロゲン、トリフルオロメチル又はC1−C6−アルキルを示し、R3aが水素を示し、Rが水素、C1−C6−アルキル、フェニル又はハロゲノフェニルを示し、R4a及びR5aがそれぞれ互いに独立して水素、ハロゲン、トリフルオロメチル又はC1−C6−アルキルを示す化合物である。【0027】特に好適に用いられる式(Ia)の化合物は、R1aが4−ハロゲンを示し、R2a及びR3aが水素を示し、Rが水素又はメチルを示し、R4a及びR5aがそれぞれ互いに独立して水素、ハロゲン又はトリフルオロメチルを示し、ここでR4a及びR5aはそれらが結合しているフェニル基の2−及び6−位にある化合物である。【0028】特に好適に用いられる化合物は、特定的に【0029】【化3】【0030】である。【0031】化合物トルトラズリル及びポニズリルが特別に好適に用いられる。【0032】さらに、(a)式Iの化合物は式II【0033】【化4】【0034】[式中、R1、R2、R3及びXは上記の意味を有する]の化合物を式III【0035】【化5】【0036】[式中、R5はハロゲン原子、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す]の置換カルボン酸イソシアナートと反応させ、得られる式IV【0037】【化6】【0038】[式中、R1、R2、R3及びXは上記の意味を有する]の置換1,3,5−トリアジン誘導体を適宜単離し、適宜式VA−Z (V)[式中、Aはアルキル、アルケニル又はアルキニルを示し、Zはハロゲンを示す]の化合物と反応させると得られるか;あるいは(b)式Iの化合物は、R1、R2、R3及びXが上記の意味を有する式IIの化合物を式VI【0039】【化7】【0040】[式中、R6はアルキルを示す]のビス(クロロカルボン酸)アミンと、適宜酸受容体の存在下で反応させると得られるか、あるいは(c)置換基R2、R3及びR4ならびにXが上記の意味を有し、R1がハロゲノアルキルスルフィニル又はハロゲノアルキルスルホニルである式Iの化合物を得るために式【0041】【化8】【0042】[式中、R2、R3及びR4は上記の意味を有し、R1’はハロゲノアルキルチオである]の化合物を適した量の適した酸化剤と反応させることが見いだされた。【0043】変法(a)において、N−[3−クロロ−4−(4’−トリフルオロメチルチオフェノキシ)−フェニル]−N’−メチルウレア及びクロロカルボニルイソシアナートを用いると、反応の経路を次式により表すことができる:【0044】【化9】【0045】変法(b)において、N−[3−エトキシ−4−(4’−トリフルオロメチルチオフェノキシ)−フェニル]−チオウレア及びN−メチル−ビス−(クロロカルボン酸アミン)を出発材料として用いると、反応の経路を次式により示すことができる:【0046】【化10】【0047】R1がハロゲノアルキルチオを示し、XがOを示し、且つ変法(a)又は(b)に従って得られる式Iの化合物を変法(c)に従って酸化し、対応するハロゲノアルキルスルフィニル又はハロゲノアルキルスルホニル誘導体を得ることができる。酸化剤として過酸化水素を用いると、該方法の経路を次式により示すことができる:【0048】【化11】【0049】式I、II、IV、V、VI及びVIIにおいて、R2、R3、R4、R6又はA中で定義したアルキルは、好ましくは1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルである。挙げることができる例は場合により置換されていることができるメチル、エチル、n−及びi−プロピルならびにn−、i−及びt−ブチルである。【0050】式I、II、IV、V及びVIIにおいて、R3、R4又はAに関して定義したアルケニルは、好ましくは2〜6個、特に2〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルケニルを示す。挙げることができる例は場合により置換されていることができるエテニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル及びブテン−3−イルである。【0051】式I、II、IV、V及びVIIにおいて、R3、R4又はAに関して定義したアルキニルは、好ましくは2〜6個、特に2〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルキニルを示す。挙げることができる例は場合により置換されていることができるエチニル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イル及びブチン−3−イルである。【0052】式I、II、III、IV及びVIIにおいて、R2又はR5に関して定義したアルコキシは、好ましくは1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシを示す。挙げることができる例は場合により置換されていることができるメトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシならびにn−及びi−ブトキシである。【0053】式I、II、III、IV、V及びVIIにおいて、R2、R5又はZに関して定義したハロゲンは好ましくはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素、特に塩素及び臭素を示す。【0054】式I、II、IV及びVIIにおいて、R1に関して定義したハロゲノアルキルチオは、好ましくは1〜4個、特に1もしくは2個の炭素原子及び好ましくは1〜5個、特に1〜3個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有し、ハロゲン原子は好ましくはフッ素、塩素及び臭素、特にフッ素及び塩素である。挙げることができる例はトリフルオロメチルチオ、クロロジフルオロメチルチオ、ブロモメチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ及びペンタフルオロエチルチオである。【0055】式I、II及びIVにおいて、R1に関して定義したハロゲノアルキルスルフィニルは、好ましくは1〜4個、特に1もしくは2個の炭素原子及び好ましくは1〜5個、特に1〜3個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するハロゲノアルキニルスルフィニルを示し、ハロゲン原子は好ましくはフッ素、塩素及び臭素、特にフッ素及び塩素である。挙げることができる例はトリフルオロメチルスルフィニル、クロロジフルオロメチルスルフィニル、ブロモメチルスルフィニル、2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル及びペンタフルオロエチルスルフィニルである。【0056】式I、II及びIVにおいて、R1に関して定義したハロゲノアルキルスルホニルは、好ましくは1〜4個、特に1もしくは2個の炭素原子及び好ましくは1〜5個、特に1〜3個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するハロゲノアルキニルスルホニルを示し、ハロゲン原子は好ましくはフッ素、塩素及び臭素、特にフッ素及び塩素である。挙げることができる例はトリフルオロメチルスルホニル、クロロジフルオロメチルスルホニル、ブロモメチルスルホニル、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル及びペンタフルオロエチルスルホニルである。【0057】式I、II及びIVにおいて、R2に関して定義した場合により置換されていることができるスルファモイルは、好ましくは以下の基の1つを示す:【0058】【化12】【0059】式IIIにおいて、R5に関して定義したアリールオキシは、好ましくは単環式炭素環式アリールオキシ又は二環式炭素環式アリールオキシ、特にフェノキシを示す。【0060】式IIIにおいて、R5の意味におけるアリールオキシは好ましくはフェノキシを示す。出発材料として用いられる式IIの置換ウレアもしくはチオウレアのほとんどは今日まで未知であったが、それ自体既知の方法により、(a)不活性溶媒中で、0℃〜100℃に温度において置換4−アミノジ−フェニルエーテルを対応する置換イソシアナート又はイソチオシアナートと反応させるか、あるいは逆の順序で(b)同じ条件下でアンモニア又は置換アミン及び対応する置換イソシアナートジフェニルエーテル又は4−イソチオシアナートジフェニルエーテルを互いに反応させるか、あるいは(c)ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド又はヘキサメチルリン酸トリアミドのような非プロトン性溶媒中で、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム及び他のような塩基の存在下に、20℃〜150℃の温度で、置換4−ヒドロキシフェニル−ウレア又は−チオウレアを活性ハロゲン−置換芳香族化合物との縮合反応に供することにより、容易に製造することができる。【0061】適した溶媒が選ばれた場合、反応生成物は一般に溶液を冷却すると結晶化する。しかしながら代わりに以下の参照文献:Methoden der Org.Chemie[Methods in organic chemistry](Houben−Weyl) IVth Edition,Volume VIII,pages 157−158に記載されている通り、アミンとイソシアナートからウレアを製造することもできる。【0062】方法(b)において本発明に従って用いることができる式VIのビス(クロロカルボン酸)−アミンのいくつかは既知であり(Synthesis 1970,pages 542−543中の論文を参照されたい)、今日まで未知であったものは類似して環状ジアシルジスルフィドから、不活性有機溶媒、好ましくは四塩化炭素中における塩素化により製造することができる。【0063】式IIのウレアもしくはチオウレアの式IIIのカルボン酸イソシアナート(変法a)又は式VIのビス(クロロ−カルボン酸)アミン(変法b)との反応のために、ならびに式IVの1,3,5−トリアジン誘導体の式A−Zの化合物との反応のために用いることができる希釈剤は、これらの反応に対して不活性なすべての有機溶媒である。【0064】それらには、ピリジンの他に好ましくは芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン及びジクロロベンゼンならびにエーテル類、例えばテトラヒドロフラン及びジオキサンが含まれる。【0065】反応の間に生成し得る塩酸は気体の形態で逃げるか、あるいは有機もしくは無機酸受容体により結合され得る。これらの酸受容体には好ましくは第3級有機塩基、例えばトリアルキルアミン類、例えばトリエチルアミン、芳香族N−複素(単−もしくは二)環式アミン類、例えば単−もしくは二環式ピリジンアザシクロアルキルアミン類、例えばジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン及び他の多く、あるいは無機塩基、例えばアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物が含まれる。【0066】上記の反応段階のための反応温度は広い限度内で変わることができる。一般に反応は約0℃〜約150℃、好ましくは約20℃〜約100℃において行われる。【0067】大気圧下又は加圧下で上記の反応段階を行うことができる。一般にそれらは大気圧下で行われる。【0068】Yが酸素を示す式(I)のトリフルオロメチルチオ化合物の、対応するスルフィニル又はスルホニル化合物を得るための変法(c)に従う反応のために可能な酸化剤は、それぞれの場合にH2O2/氷酢酸、H2O2/無水酢酸、H2O2/メタノール、過酸、例えばm−クロロ過安息香酸ならびに又、クロム酸、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、硝酸アンモニウムセリウム(IV)及び硝酸である。【0069】式(Ia)の化合物の製造はEP A 170 316及びUS 4,631,278に記載されている。これらの化合物はそこに記載されている方法により得られ得る。【0070】得られる式(I)又は式(Ia)の化合物を、例えば無機もしくは有機塩基との反応により、対応する付加塩に転換することができる。【0071】本発明を行う場合、トリアジノン化合物を動物に投与するために所望の方法で調製することができる。これに関して好ましい経口的投与に適した調剤は、溶液、懸濁剤、錠剤、カプセル、ジェル剤、塗布剤、大型丸薬あるいは粉末、顆粒もしくはペレットの形態の調製物である。さらに別の投与の可能性は、非経口的、局所的、筋肉内及び粘膜内投与あるいは熟練者に既知の他の投与経路である。ポア−オン製品(pour−on product)の形態における局所的投与も好ましい。【0072】特に有効な適用は、式(I)及び(Ia)の活性化合物と寄生性原虫類に対する、特にネオスポラ種に対する生もしくは死菌ワクチンとの組合わせである。そのような場合には活性−増進効果を観察することもできる。【0073】組成物及び調剤は、撹拌容器及び他の適した設備のような適した装置において成分を混合することにより調製される。【0074】制限ではなくて例として示される以下の実施例により本発明をさらに詳細に記述する。【0075】【実施例】ネオスポラ・カニヌム感染ネオスポラ・カニヌムの診断及びトキソプラスマ・ゴンジイに対する限界決定の基礎は臨床的、顕微鏡的、免疫組織化学的及び分子−生物学的パラメーターである。臨床的には、四肢の麻痺及び繰り返される経胎盤伝達が観察される。筋系及び神経組織において顕微鏡下でタチゾイト及び嚢子を見ることができる。顕著な壁厚の嚢子壁を有する嚢子が神経組織においてのみ少数みつかる。細胞培養中で生産されるタチゾイトを用いる間接的免疫蛍光試験(IFAT)において、1:200からの力価が特異的であると考えられる。臨床的症状が存在したら、最高で1:20000の力価が見いだされ得る。分子生物学によっては、ITS1領域(インターナルトランスクライバースペーサー 1(internal transcriber spacer 1))の試験管内増幅によりネオスポラ・カニヌムを迅速且つ明確に同定することができる(Holmdale and Mattsson 1996)。試験官内試験システムの記述VERO宿主細胞の培養ネオスポラ・カニヌムは絶対細胞内寄生虫(obligatory intracellular parasite)である。標準化及び規定ができる条件下において寄生虫を繁殖させるための補助としてVERO細胞(アフリカミドリザル腎細胞、ATCC No.:CCL 81 Vero)を用いた。Vero細胞を以下の培地中で生育させた:87% RPMI 1648(ICN,12−602−54) 10% FCS(胎児ウシ血清、ICN,29−101−49) 1% 200mM L−グルタミン(ICN,15−801−13) 1% 重炭酸ナトリウム(ICN,16−883−49) 1% ペニシリン/ストレプトマイシン(ICN,16−700−49)。非感染培養を25cm2(Falcon,B 769031)及び75cm2(Falcon,B 769051)組織培養フラスコ中で保持し、継代培養した。Vero細胞を37℃において、CO2インキュベーター(Heraeus)中で5%CO2雰囲気下で、細胞単層が得られるまで生育させた。ED細胞の培養ED細胞(ウマ皮膚細胞、ATCC No.CCL 57)を以下の培地中で生育させた:87% EMEM(ICN,12−106−54) 10% FCS(胎児ウシ血清、ICN,29−101−49)、1% 200mM L−グルタミン(ICN,15−801−13)、1% NEA(非必須アミノ酸、Gibco,11140−035)、1% ペニシリン/ストレプトマイシン(ICN,16−700−49)。非感染培養を25cm2(Falcon,B 769031)及び75cm2(Falcon,B 769051)組織培養フラスコ中で保持し、継代培養した。ED細胞を37℃において、インキュベーター(Hereus)中でCO2雰囲気なしで、細胞単層が得られるまで生育させた。細胞の継代培養宿主細胞を継代培養し、すなわち培養が完全に密集した細胞叢を形成したら、新しい細胞培養容器に分配した。培地が10% FCSを含有すると、これは通常1週当たり2回のことであった。最初に培地をデカンテーションして捨て、細胞叢を5ml トリプシン−EDTA(ICN,16−891−49)で洗浄し、さらに5mlのトリプシン−EDTAと一緒にCO2インキュベーター中で37℃において、細胞が基質から離れるまで5〜10分間インキュベーションした。トリプシン−EDTA細胞懸濁液をあらかじめ温められた1〜2mlのFCSと一緒に1500rpmで5分間遠心した(Varifuge 3.0,Heraeus)。上澄み液を捨て、ペレットを15mlの培地(92% RPMI 1640、5% FCS、1% L−グルタミン、1% 重炭酸ナトリウム、1% ペニシリン/ストレプトマイシン)中に溶解した。それぞれの組織培養フラスコに関して3個の新しいフラスコにそれぞれ5mlの細胞懸濁液を接種し、すなわち分割比は1:3であった。液体窒素中における細胞の低温保存培養フラスコからの細胞をC541培地(50% RPMI 1640、40% 胎児ウシ血清(FCS)、10% ジメチルスルホキシド(DMSO、Merck 9578)中又はC2培地(86% RPMI 1640、10% DMSO、2% FCS、1% L−グルタミン、1% ストレプトマイシン/ペニシリン)中で凍結した。あらかじめ細胞を記載した通りに(上記を参照されたい)トリプシンで処理し、離れた細胞を遠心し、3mlのC541凍結培地又はC2培地中に再懸濁させ、2mlのクリオチューブ(cryotube)中に移した。最終的保存は−196℃における液体窒素中であり、そこで細胞を無限に保つことができる。液体窒素中における最終的保存の前に、低温管を細胞系と一緒に1cmの壁厚を有するStyroporボックス中で−80℃にゆっくり冷却した。Styroporボックスは1分当たり1〜2℃の継続的冷却速度を可能にし、浸透圧によって細胞にそれらの細胞内水を失わせる。これは細胞の生存能力のために決定的に重要なことである。低温保存された細胞の解凍液体窒素からの低温管の解凍プロセスは37℃の温度を有する水浴中で可能な限り迅速に行われた。細胞懸濁液を10mlの培地中にピペットで入れ、続いて2つの50ml組織培養フラスコ中に均一に分割した。細胞培養条件は37℃及び5% CO2における条件であった。24時間後、細胞培養培地を変え、低温培地(cryogenic medium)中に存在するDMSOを除去した。細胞培養のネオスポラ・カニヌムへの感染細胞培養の感染のために以下のネオスポラ・カニヌム単離物を用いた:NC−1(犬からの単離物(canine isolate)DUBEY(1988)及びNC Swe B−1/第9継代(牛からの単離物(bovine isolate);National Veterinary Institute Uppsala,Sweden)。用いられた感染材料は窒素保存(上記を参照されたい)からの感染した細胞培養又は感染した培養の精製されたタキゾイト(下記を参照されたい)であった。Sephadexを用いる細胞培養からのタキゾイトの単離ネオスポラ・カニヌムを感染したVEROもしくはED単層から無菌条件下で単離した。最初に感染した細胞培養をスパチュラ(Tec No Mara,3010)を用いてフラスコの底から離し、23−ゲージのカニューラ(Luer 23 Gx1,0.6x25mm)を用いて10mlの使い捨てシリンジ中に採取した。この手順の間に、宿主細胞及びそこに含有される組織の嚢子は機械的に破壊された。続いて細胞懸濁液を1500rpmで7分間遠心し(Varifuge 3.0,Heraeus)、上澄み液を捨て、試料ペレットを正確に2.5mlの生理学的リン酸塩緩衝液(PBS:1mM PO4、12mM NaCl、0.87mM KCl、pH 7.4)中に再懸濁させた。次の単離段階をSephadexカラム(PD−10TM/Sephadex G−25M,Pharmacia Biotech,17−0851)を用いて行った。カラムを最初に25mlのPBSで平衡化し、試料容積を2.5mlのPBS中において適用し、次いで5mlのPBSを用いて溶離を行った。タチゾイトはカラムを介して迅速に移動し、最初の3mlの溶離物中に見いだされるが、Sephadexカラムからの高分子量の細胞破片及び膜の溶離は遅れる。望ましくない細胞小器官及び遊離の宿主細胞のDNAを除去するために、試料を1500rpmで7分間遠心し、上澄み液を捨て、ペレットを40mlのPBS中で3回洗浄した。感染したネオスポラ・カニヌム細胞培養上における物質の試験96−ウェル平板(Falcon 3872)において物質を試験し、それはこのシステムでは少量の出発材料(約1mg)しか必要でないからである。最初に、宿主細胞(Vero又はED)の細胞培養単層を細胞培養平板上で確立した。この目的のために、確立された非感染単層を有する2つの50ml組織培養フラスコ(合計細胞培養面積 50cm2)が必要であった。この培養の細胞叢をCO2インキュベーター中で37℃において5mlのトリプシン−EDTA(Gibco,45300−019)を用いて離した。10分間のインキュベーション期間の後、細胞のほとんどが離れた。約1mlの温められた胎児ウシ血清が入れられた50mlの遠心管(Greiner,B769331)中に、5mlのピペットを用いて細胞懸濁液を移した。1500rpmにおける5分間の遠心(Varifuge 3.0,Heraeus)の後、上澄み液を捨て、細胞ペレットを100mlのRPMI培地(95% RPMI 1640、2% FCS、1% L−グルタミン、1% 重炭酸ナトリウム、1% ペニシリン/ストレプトマイシン)中に再懸濁させた。この細胞懸濁液の150μlを95−ウェル平板の各ウェル中にピペットで入れた。6個のマイクロウェル平版をコーティングするのに100mlの培地が十分である。コーティングされた細胞培養平板をインキュベーター中で37℃において、5%CO2中で24時間培養した。次いでそれらを精製されたネオスポラ・カニヌムのタチゾイトにウェル当たり48000個のタチゾイトの濃度で感染させ、さらに37℃及び5% CO2において24時間インキュベーションした。試験物質を1.5mlのEppendorf管中に量り込み、物質の重量は0.5〜1.5mgであった。次いで物質のmg当たり1mlのDMSOをピペットで加え、それは1x10-3g/mlの希釈に相当した。残る希釈系列を行った処置培地は87% RPMI 1640、10% FCS、1% L−グルタミン、1% 重炭酸ナトリウム、1% ペニシリン/ストレプトマイシンから成った。最初のスクリーニングにおいて、10ppm、25ppm及び50ppmの濃度を用いた。ネオスポラ・カニヌムへの感染から24時間後に希釈調製物を150μl/ウェルの容積で細胞培養平板に移した。第1列では未処置の培地を用い、この列は感染標準及び非感染標準の両方を含有した。次いで細胞平板を37℃及び5% CO2において5日間インキュベーションした。この時間の間に、タチゾイトは宿主細胞内で増殖し、かくして単層の破壊を引き起こした。ある物質が完全に活性な場合、タチゾイトが破壊され、単層が保持される。タンパク質結合試験(生体染色(live staining))において無損傷の単層を検出することができる。用いることができる方法の1つは0.25% Crystal Violet(Sigma C 3886)を用いる染色である。染色の前に、試験平板を100μlのPBSで洗浄し、100μlのメタノールを用いて固定した。処置の開始から4日後及び感染−後5日に、倒立顕微鏡下で25x10の倍率において、以下のキー(key)を用いて顕微鏡分析を行った:評価 視覚的外観0=効果なし 単層は完全に破壊されている1=いくらかの効果 単層は部分的に破壊され、寄生虫の巣が認められる2=完全な作用 単層は破壊されず、タチゾイトは認められない3=細胞毒性 細胞が死亡し、丸くなっている(rounded up)【0076】【表1】【0077】*100mlの溶液は:2.50gのトルトラズリル30.00gのトリエタノールアミン80.70gのポリエチレングリコールを含有し、成分は簡単に混合される。評価 視覚的外観0=効果なし 単層は完全に破壊されている1=いくらかの効果 単層は部分的に破壊され、寄生虫の巣が認められる2=完全な作用 単層は破壊されず、タチゾイトは認められない3=細胞毒性 細胞が死亡し、丸くなっているII.生体内有効性適切な生体内試験システムがまだ開発されるべき状態なので、物質の生体内有効性に関してはまだ非常に少ない情報しか得られない。実験的に感染したマウスにおいて、スルファジアジン(飲料水を介して投与された)のみが、処置が予防的に、すなわち感染前に開始された場合に有効であった。この場合、寄生虫学的意味における回復が起こらずに臨床的症状が予防された。もっと遅い処置の開始は成功しなかった(Bjerkas et al.1984,Dubey et al.1988,Lindsay and Dubey 1989,Lindsay and Dubey 1990)。犬においては、スルファジアジン及びクリンダマイシンを用いる処置のみが、第2胃炎による最初の臨床的症状が観察される非常に初期に処置が開始されると、成功のチャンスを有する。マウスにおける試験モデルの記述Dr.Simone Eperon & Prof.Bruno Gottstein,Department of Parasitology,Faculty of Veterinary Medicine and Medicine,University of BerneがBAYER AGにより実験を企画して実施するように委託された(Eperon et al.1999,Parasite Immunology 21:225−236)。マウス雌のWt C57BL/6−マウス、処置の時点における令:7 1/2週。ネオスポラ・カニヌムタチゾイトネオスポラ・カニヌムタチゾイトをVERO細胞を介して継代培養し、カラムクロマトグラフィーにより単離し、100μl当たり2x106個の寄生虫の濃度を有するアリコートを無菌PBS中で調製した。Trypan Blueを用いる生体染色は、97%の生存可能なタチゾイトを明らかにした。予防に用いられる物質(表2)純粋なトルトラズリル活性化合物を10mlのH2O+100μlのCremophor当たりに50mgを有する倍液として作り上げた。0.1mlのこの溶液の適用当たりに0.5mgの純粋な活性化合物が存在した。20gのマウスにおいて、これは25mg/kgの使用濃度に相当する。物質を連続6日間、強制飼養(gavage)によって経口的に投与し、それはマウス当たり150mgの合計摂取に相当する。【0078】トルトラズリル2.5%調製溶液(100mlの溶液は:2.50gのトルトラズリル、30.00gのトリエタノールアミン、80.70gのポリエチレングリコールを含有し;成分は簡単に混合される):2.5%溶液の6.25mlを250mlの水中で希釈し、連続6日間、飲料水を介してマウスに投与した。感染予防的処置の開始から4時間後、各マウスを100μlの無菌PBS当たりに2x106個の寄生虫段階(parasite stages)を用いて感染させた。安楽死感染−後14日に、CO2を用いて試験マウスを犠牲にした。評価の間、無作為な配列を保持するために(盲検評価)、それらに無作為に番号を付けた。血清を得るために、心筋層から血液を採取した。脳を注意深く切開し、半分をPCR分析用に−80℃で保存した。残りを免疫組織学的研究(IFAT)のために4%パラホルムアルデヒド/PBS中で固定した。結果1.血清中のIgG(表3)Eperon et al.,1999,Parasite Immunology 21:225−236の方法に従い、ELISAによって抗−N.カニヌム全免疫グロブリンG(IgG)を決定した。処置された群を非感染及び感染標準群と比較した。正の標準のマウスにN.カニヌムタチゾイトの粗抽出物を接種し、続いて106個のN.カニヌム段階に感染させた。寄生虫−特異的IgG値はこのマウスにおいて特に高かった。【0079】トルトラズリル(純粋な活性化合物)で処置されたマウスは、感染且つ未処置標準群におけるより低いネオスポラ・カニヌム−特異的IgG抗体の濃度を明らかにした。この濃度はトルトラズリル2.5%調製溶液で処置されたマウス(非感染標準群を近似している)におけるより顕著に低かった。2.PCR分析(表4)Eperon et al 1999,Parasite Immunology 21:225−236により記載されている通りに、感染マウスの脳からDNAを単離し、ネオスポラ・カニヌム−特異的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。非感染マウスのすべてがN.カニヌム−特異的PCR反応において陰性であった。感染標準マウスのすべてがPCR−陽性であった。トルトラズリル純粋活性化合物を用いて予防的に処置された群中の4/7のマウスがPCR−陰性であった。2.5%調製トルトラズリル溶液を用いて処置された群中のマウスのすべてがPCR陰性であった。3.免疫蛍光試験(IFAT、表4)パラホルムアルデヒド−固定脳試料をパラフィン中に埋め込み、脱水した。3つの連続的矢状切断を行った。1つの切片をヘマトキシリン−エオシンで染色し、他の2つを以下の修正を行って免疫蛍光標識のために処理した(Eperon et al.,1999,Parasite Immunology 21:225−236):第1抗体がPBS中の1%BSA中において1:400で希釈された全N.カニヌムタチゾイトに対するウサギポリクローナル抗体であった。第2抗体はPBS中の0.5%BSA中における1:100の濃度におけるヤギ−抗−ウサギFITC−標識抗体であった。【0080】ヘマトキシリン−エオシン−染色された切片のすべての群において、少しの病巣又は異常な変化も観察されず、それが脳組織中の寄生虫の段階を標識するために特異的N.カニヌム抗体を用いる免疫標識を用いた理由である。評価のために切片全体を調べた。存在するいずれの段階の寄生虫も計数し、以下の得点を用いた:得点(−)=タチゾイトなし得点(+)=10個未満のタチゾイト得点(++)=10〜200個のタチゾイト得点(+++)=200個より多い寄生虫得点(+++)は正の標準で見られたのみであった。正の標準はノック−アウト突然変異体(knock−out mutant)(μMTマウス)であり、それは抗体を生産せず、感染−後31日に感染のために死亡した。すべての非感染マウスはIFAT試験において陰性であった。すべてのトルトラズリル−処置群はIFAT試験において陰性であった。【0081】【表2】【0082】【表3】【0083】【表4】 トルトラズリル又はポナズリルを有効成分として含有するネオスポラ・カニヌム(Neospora caninum)に対する動物の予防的処置のための組成物。


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