タイトル: | 特許公報(B2)_高温耐性コリネ型細菌の耐熱性アミノ酸生合成系酵素遺伝子 |
出願番号: | 2001528599 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12N 15/09,C07K 14/34,C12N 9/04,C12N 9/12,C12N 9/26,C12N 9/88,C12P 13/04 |
平野 聖子 野中 源 松崎 友美 秋好 直樹 中村 佳苗 木村 英一郎 大住 剛 松井 和彦 河原 義雄 倉橋 修 中松 亘 杉本 愼一 JP 4337298 特許公報(B2) 20090710 2001528599 20001004 高温耐性コリネ型細菌の耐熱性アミノ酸生合成系酵素遺伝子 味の素株式会社 000000066 遠山 勉 100089244 松倉 秀実 100090516 川口 嘉之 100100549 平野 聖子 野中 源 松崎 友美 秋好 直樹 中村 佳苗 木村 英一郎 大住 剛 松井 和彦 河原 義雄 倉橋 修 中松 亘 杉本 愼一 JP 1999282716 19991004 JP 1999311147 19991101 JP 2000120687 20000421 20090930 C12N 15/09 20060101AFI20090903BHJP C07K 14/34 20060101ALI20090903BHJP C12N 9/04 20060101ALI20090903BHJP C12N 9/12 20060101ALI20090903BHJP C12N 9/26 20060101ALI20090903BHJP C12N 9/88 20060101ALI20090903BHJP C12P 13/04 20060101ALI20090903BHJP JPC12N15/00 AC07K14/34C12N9/04C12N9/12C12N9/26C12N9/88C12P13/04 C12N 15/09 C12N 9/00-99 C07K 14/34 C12P 13/04 GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq SwissProt/PIR/GeneSeq BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特公平07−063383(JP,B2) 特開平04−004887(JP,A) 特開昭63−240779(JP,A) 特開平05−056782(JP,A) 国際公開第92/018635(WO,A1) 米国特許第5250434(US,A) K.TAKAI,MICROBIOLOGY,1998年,V144 N5,P1423-1434 Jacqueline M. Muir, et al.,Citrate synthase from the hyperthermophilic Archaeon, Pyrococcus furiosus,Protein Engineering,1995年,vol.8, no.6,pages 583-592 D.WEREECKE,GENE,1994年,V145 N1,P109-114 DIETER J. REINSCHEID, ET AL.,Characterization of the Isocitrate Lyase Gene from Corynebacterium glutamicum and Biochemical Analysis of the Enzyme,Journal of Bacteriology,1994年 6月,pages 3474-3483 E.R.BOERMANN,MOL.MICROBIOL.,1992年,V6,P317-326 8 JP2000006913 20001004 WO2001025447 20010412 166 20060313 冨士 良宏 技術分野本発明は、高温耐性コリネ型細菌であるコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの耐熱性酵素遺伝子、特にL−グルタミン酸等のL−アミノ酸生合成系酵素及び取り込み系遺伝子に関する。背景技術現在、L−グルタミン酸等のL−アミノ酸の製造は、コリネ型細菌による発酵生産が主流となっている。アミノ酸の発酵生産は、生産能に優れた菌株の育種や発酵技術の開発によって、コストダウンが図られている。従来、コストダウン実現の方向性は、高収率化が主なものであるが、発酵におけるコストとしては、原料以外にも培養中に発生する発酵熱の冷却エネルギーを無視することはできない。すなわち、発酵に用いられている通常の微生物は、発酵中に自らが発生する発酵熱により培地の温度が上昇し、発酵に必要な酵素が失活したり生産菌が死滅したりするために、発酵中に培地を冷却することが必要となっている。したがって、冷却費用を低減するために、高温での発酵に関する検討が古くから行われている。また、高温で発酵を行うことが可能となれば、反応速度を向上させることができる可能性もある。しかし、これまでのところ、L−アミノ酸発酵において、有効な高温培養は実現していない。コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacterium thermoaminogenes)は、L−アミノ酸の発酵に汎用されているコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum) (ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum))等と同様にコリネ型細菌に分類される細菌であるが、生育至適温度はコリネバクテリウム・グルタミカムの30〜35℃に対して37〜43℃と高く、L−グルタミン酸生成の至適温度も42〜45℃とかなり高温側にシフトしている(特開昭63−240779号)。ところで、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属細菌において、エシェリヒア・コリ又はコリネバクテリウム・グルタミクム由来のL−アミノ酸合成系酵素をコードする遺伝子を導入することにより、同L−アミノ酸の生産能を増強する技術が開発されている。例えば、このような酵素として、例えば、L−グルタミン酸生合成系酵素であるクエン酸シンターゼ(特公平7−121228号)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(特開昭61−268185号)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、アコニット酸ヒドラターゼ遺伝子(特開昭63−214189号)等がある。しかし、高温耐性のコリネ型細菌由来のL−アミノ酸生合成酵素及びそれらをコードする遺伝子は報告されていない。発明の開示本発明は、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス由来の酵素、好ましくはコリネバクテリウム・グルタミカムよりも高い温度で機能する酵素をコードする遺伝子を提供することを課題とする。本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのアミノ酸生合成系酵素をコードする遺伝子、又はアミノ酸の細胞内への取り込みに関与するタンパク質をコードする遺伝子を単離することに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下のとおりである。(1)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、50℃、5分の熱処理後に30%以上の残存活性を有するイソシトレートリアーゼ活性を有するタンパク質。(2)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスに由来するアシルCo−Aカルボキシラーゼ活性に関与するタンパク質。(3)配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスに由来するDtsR活性を有するタンパク質。(4)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスに由来するDtsR活性を有するタンパク質。(5)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、60℃で30℃における活性と同等又はそれ以上のホスホフルクトキナーゼ活性を有するタンパク質。(6)配列番号94に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスにシュークロース資化能を付与する活性を有するタンパク質。(7)配列番号17〜20に記載のアミノ酸配列のいずれかを有するタンパク質、又は、前記アミノ酸配列のいずれかにおいて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスに由来するグルタミン酸の取り込みに関与する機能を有するタンパク質。(8)配列番号22に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスに由来するピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。(9)配列番号24に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスに由来するピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。(10)配列番号26に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、45℃、5分の熱処理後に50%以上の残存活性を有するホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。(11)配列番号28に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、50℃、3分の熱処理後に30%以上の残存活性を有するアコニターゼ活性を有するタンパク質。(12)配列番号30に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、45℃、10分の熱処理後に50%以上の残存活性を有するイソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。(13)配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスに由来するジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。(14)配列番号34に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、50℃、10分の熱処理後に30%以上の残存活性を有する2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。(15)配列表の配列番号80に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、42℃で37℃における活性と同等又はそれ以上のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。(16)配列表の配列番号90に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、37℃で23℃における活性と同等又はそれ以上のクエン酸シンターゼ活性を有するタンパク質。(17)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、イソシトレートリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(18)下記(a1)又は(b1)に示すDNAである(17)のDNA。(a1)配列表の配列番号1に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b1)配列表の配列番号1に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、イソシトレートリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(19)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アシルCo−Aカルボキシラーゼ活性に関与するタンパク質をコードするDNA。(20)下記(a2)又は(b2)に示すDNAである(19)のDNA。(a2)配列表の配列番号3に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b2)配列表の配列番号3に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アシルCo−Aカルボキシラーゼ活性に関与するタンパク質をコードするDNA。(21)配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、DtsR活性を有するタンパク質をコードするDNA。(22)下記(a3)又は(b3)に示すDNAである(21)のDNA。(a3)配列表の配列番号5に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b3)配列表の配列番号5に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、DtsR活性を有するタンパク質をコードするDNA。(23)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、DtsR活性を有するタンパク質をコードするDNA。(24)下記(a4)又は(b4)に示すDNAである(23)のDNA。(a4)配列表の配列番号7に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b4)配列表の配列番号7に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、DtsR活性を有するタンパク質をコードするDNA。(25)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ホスホフルクトキナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(26)下記(a5)又は(b5)に示すDNAである(25)のDNA。(a5)配列表の配列番号9に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b5)配列表の配列番号9に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ホスホフルクトキナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(27)配列番号93に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、インベルターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(28)下記(a6)又は(b6)に示すDNAである(27)のDNA。(a6)配列表の配列番号93に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b6)配列表の配列番号93に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、インベルターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(29)配列番号17〜20に記載のアミノ酸配列のいずれかを有するタンパク質、又は、前記アミノ酸配列のいずれかにおいて、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、グルタミン酸の取り込みに関与する機能を有するタンパク質、をコードするDNA。(30)下記(a7)又は(b7)に示すDNAである(29)のDNA。(a7)配列表の配列番号16に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b7)配列表の配列番号16に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グルタミン酸の取り込みに関与する機能を有するタンパク質をコードするDNA。(31)配列番号22に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(32)下記(a8)又は(b8)に示すDNAである(32)のDNA。(a8)配列表の配列番号21に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b8)配列表の配列番号21に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(33)配列番号24に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(34)下記(a9)又は(b9)に示すDNAである(33)のDNA。(a9)配列表の配列番号23に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b9)配列表の配列番号23に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(35)配列番号26に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(36)下記(a10)又は(b10)に示すDNAである(35)のDNA。(a10)配列表の配列番号25に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b10)配列表の配列番号25に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(37)配列番号28に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、アコニターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(38)下記(a11)又は(b11)に示すDNAである(37)のDNA。(a11)配列表の配列番号27に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b11)配列表の配列番号27に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、アコニターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(39)配列番号30に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(40)下記(a12)又は(b12)に示すDNAである(39)のDNA。(a12)配列表の配列番号27に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b12)配列表の配列番号27に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(41)配列番号32に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(42)下記(a13)又は(b13)に示すDNAである(41)のDNA。(a13)配列表の配列番号31に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b13)配列表の配列番号31に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ジヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(43)配列番号34に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(44)下記(a14)又は(b14)に示すDNAである(43)のDNA。(a14)配列表の配列番号33に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b14)配列表の配列番号33に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(45)配列表の配列番号80に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、42℃で37℃における活性と同等又はそれ以上のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(46)下記(a15)又は(b15)に示すDNAである(45)のDNA。(a15)配列表の配列番号79に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b15)配列表の配列番号79に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、42℃で37℃における活性と同等又はそれ以上のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(47)配列表の配列番号90に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、37℃で23℃における活性と同等又はそれ以上のクエン酸シンターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(48)下記(a16)又は(b16)に示すDNAである(47)のDNA。(a16)配列表の配列番号89に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b16)配列表の配列番号89に記載の塩基配列又は同塩基配列から調製されるプライマーとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、37℃で23℃における活性と同等又はそれ以上のクエン酸シンターゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。(49)L−アミノ酸生産能を有し、かつ、(17)〜(48)のいずれかのDNAが導入された微生物を培地に培養し、L−アミノ酸を培地に生成蓄積させ、該培地よりL−アミノ酸を採取することを特徴とするL−アミノ酸の製造法。以下、上記の各DNAのいずれか、又はこれらを総称して、本発明のDNAということがある。以下、本発明を詳細に説明する。本発明のDNAの塩基配列及び遺伝子名、並びに本発明のDNAがコードするタンパク質を表1に示す。尚、配列番号3、23、25、31及び33におけるオープン・リーディング・フレーム(ORF)、及び配列番号16の4番目のORFはいずれもGTGから始まっている。配列表にはこのGTGによりコードされるアミノ酸はバリンとして記載されているが、メチオニンである可能性がある。また、配列番号16は4つのORFを含み、5’側から順にgluA、gluB、gluC及びgluDに対応する。上記の各DNAは、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株(FERM BP−1542)の染色体DNAから単離されたものである。但し、AJ12310株は、インベルターゼ活性及びシュークロース資化性を持たず、同株から単離したscrB遺伝子断片には、オープンリーディングフレームが存在しなかったため、配列番号11及び13に示すDNAは、インベルターゼ活性及びシュークロース資化性を有するコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12340株(FERM BP−1539)及びAJ12309株(FERM BP−1541)からそれぞれ単離されたものである。コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株(YS−314株とも称される)及びAJ12309株(YS−155株とも称される)は、1987年3月10日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(郵便番号305−8566日本国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に、各々順にFERM P−9246及びFERM P−9245の受託番号で寄託され、1987年10月27日にブタペスト条約に基づく国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−1542及びFERM BP−1541が付与されている。AJ12340株(YS−40株とも称される)は、1987年3月13日に工業技術院生命工学工業技術研究所(郵便番号305−8566日本国茨城県つくば市東一丁目1番3号)にFERM P−9277の受託番号で寄託され、1987年10月27日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP−1539が付与されている。尚、配列番号11、13及び15に示す塩基配列は、scrBの部分配列であって、配列番号11及び13は配列番号12及び14に示すインベルターゼの部分アミノ酸配列をコードしている。目的とする遺伝子の部分断片を含むDNAは、すでに報告されているブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム等の種々の微生物の目的とする遺伝子の塩基配列の比較を行い、塩基配列がよく保存されている領域を選択し、その領域の塩基配列に基づいて設計したプライマーを用い、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの染色体DNAを鋳型とするPCRを行うことによって、取得することができる。得られたDNA断片又はその配列に基づいて作製したプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの染色体DNAライブラリーをスクリーニングすることによって、目的とする遺伝子全長を含むDNA断片を得ることができる。また、得られた遺伝子の部分断片を用いてゲノムウォーキングを行うことによっても、目的とする遺伝子全長を含むDNA断片を得ることができる。ゲノムウォーキングと、市販のキット、例えばTaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(宝酒造(株)製)を用いて行うことができる。例えば、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(以下、「GDH」ともいう)をコードするDNA(以下、「gdh」ともいう)は、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス、例えばコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株の染色体DNAから、該染色体DNAを鋳型とし、配列表の配列番号77及び78に示す塩基配列を有するプライマーを用いたPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)により部分断片を取得することができる。さらに、得られた部分断片を用いてゲノムウォーキングを行うことにより、gdh遺伝子全体を取得することができる。また、クエン酸シンターゼ(以下「CS」ともいう)をコードするDNA(以下、「gltA」ともいう)は、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス、例えばコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株の染色体DNAから、該染色体DNAを鋳型とし、配列表の配列番号83及び84に示す塩基配列を有するプライマーを用いたPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション)により部分断片を取得することができる。さらに、得られた部分断片を用いてゲノムウォーキングを行うことにより、gltA遺伝子全体を取得することができる。上記プライマーの塩基配列は、すでに報告されている種々の微生物のgdh遺伝子又はgltA遺伝子の塩基配列の比較を行い、塩基配列がよく保存されている領域を見出し、その領域の塩基配列に基づいて設計したものである。同様に、他の酵素をコードするDNAも、表1に示すプライマーを用いてそれらの酵素をコードする部分断片を取得することができ、得られた部分断片を用いて目的とする遺伝子全長を得ることができる。本発明のDNAは、上記のようにして取得されたものであるが、本発明のDNAの塩基配列に基づいて作製したオリゴヌクレオチドをプローブとするハイブリダイゼーションによって、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの染色体DNAライブラリーから取得することもできる。染色体DNAの調製、染色体DNAライブラリーの作製、ハイブリダイゼーション、PCR、プラスミドDNAの調製、DNAの切断及び連結、形質転換等の方法は、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.,Maniatis,T.,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1.21(1989)に記載されている。また、ゲノムウォーキングは、市販のキット、例えばTaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(宝酒造(株)製)を用いて行うことができる。次に、本発明のDNAを取得する具体的な方法を例示する。まず、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの染色体DNAを、適当な制限酵素、例えばSau3AIで消化し、アガロースゲル電気泳動により分画して約4〜6kbのDNAフラグメントを取得する。得られたDNAフラグメントをpHSG399等のクローニングベクターに挿入し、得られた組換えプラスミドでエシェリヒア・コリを形質転換して、染色体DNAのプラスミドライブラリーを作製する。一方、プラスミドライブラリーから目的の遺伝子を含むクローンをPCRにより選択するために用いるプライマーを作製する。このプライマーは、目的とする遺伝子に対応する種々の微生物の既知の遺伝子配列の間でアミノ酸レベルで保存されている領域に基づいて設計する。その際、コリネ型細菌のコドンユーセージを考慮してプライマーを複数組づつ設計する。次に、作製されたプライマーの適正を調べるために、これらのプライマーを用いて、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの染色体DNAを鋳型としてPCRを行う。そして、増幅断片が得られたプライマーをスクリーニング用プライマーとして用い、プラスミドライブラリーから調製した組換えプラスミドを鋳型としてPCRを行い、目的とするDNA断片を含むクローンを選択する。この操作は、一次スクリーニングとして形質転換体数十株を含むバッチ毎に行い、二次スクリーニングとして増幅断片が得られたバッチについてコロニーPCRを行うことにより、迅速に行うことができる。尚、増幅された遺伝子の断片長は、表2〜7に記載した。上記のようにして選択された形質転換体から組換えDNAを調製し、挿入断片の塩基配列をダイ・デオキシ・ターミネーション法等により決定し、塩基配列を既知の遺伝子配列と比較することによって、目的の遺伝子を含むことを確認する。得られたDNA断片が、目的とする遺伝子の一部を含んでいる場合には、ゲノムウォーキングにより欠失部分を取得する。本発明のDNAは、コードされるタンパク質が本来の機能を有する限り、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むタンパク質をコードするものであってもよい。ここで、「数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、一般的に、それぞれのタンパク質のアミノ酸配列全体に対し、30から40%以上、好ましくは55〜65%以上の相同性を有することが好ましい。具体的には、前記「数個」は、2〜数百個、好ましくは、2〜数十個、より好ましくは2〜10個である。塩基配列及びアミノ酸配列の相同性解析は、例えば、LipmanとPeasonの方法(Science,227,1435−1441,1985)等により、市販のソフトウェア(Genetyx−Mac computer program、Software Development Co.,Tokyo,Japan)を用いて計算することができる。GDHは、GDHを構成するアミノ酸配列全体に対し、40〜80%以上、好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、42℃で37℃におけるGDH活性と同等又はそれ以上の活性を有するものであってもよい。また、前記「数個」は、2から300個、好ましくは、2から50個、より好ましくは2から10個である。CSは、CSを構成するアミノ酸配列全体に対し、40〜80%以上、好ましくは80〜90%以上の相同性を有し、37℃で23℃におけるCS活性と同等又はそれ以上の活性を有するものであってもよい。また、前記「数個」は、2から300個、好ましくは、2から50個、より好ましくは2から10個である。上記のような本来のタンパク質と実質的に同一のタンパク質をコードするDNAは、例えば部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むように、それぞれのタンパク質をコードするDNAの塩基配列を改変することによって得られる。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている変異処理によっても取得され得る。変異処理としては、目的の遺伝子をコードするDNAをヒドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、及び目的の遺伝子をコードするDNAを保持する微生物、例えばエシェリヒア属細菌を、紫外線照射またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理する方法が挙げられる。また、上記のような塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等には、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの菌株の違い等に基づく場合などの天然に生じる変異(mutant又はvariant)も含まれる。変異を有するDNAを、適当な細胞で発現させ、発現産物のタンパク質の活性又は機能を調べることにより、本来のタンパク質と実質的に同一のタンパク質をコードするDNAが得られる。また、そのようなDNAは、変異を有するタンパク質をコードするDNAまたはこれを保持する細胞から、例えば表1に示す各配列番号の塩基配列を有するDNAもしくはそのコード領域又はその塩基配列から調製されるプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、当該タンパク質が本来有する活性を示すタンパク質をコードするDNAを単離することによっても得ることができる。前記活性としては、GDHでは42℃で、CSでは37℃で、各々の酵素活性を示すことが好ましい。上記プローブは、表1に示す各配列番号の塩基配列を有するDNA、又はそれらの塩基配列を有するDNAから、適当なプライマーを用いてPCRにより調製することができる。上記でいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。このような条件でハイブリダイズする遺伝子の中には途中にストップコドンが発生したものや、活性中心の変異により活性を失ったものも含まれるが、それらについては、市販の活性発現ベクターにつなぎ、活性又は機能を調べることによって容易に取り除くことができる。本発明のDNAを、適当な宿主−ベクター系を用いて発現させることにより、それぞれのDNAに対応したタンパク質を製造することができる。遺伝子の発現に用いる宿主としては、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス等のコリネ型細菌、エシェリヒア・コリ、バチルス・ズブチリスをはじめとする種々の原核細胞、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)をはじめとする種々の真核細胞、動物細胞、植物細胞が挙げられるが、これらの中では原核細胞、特にコリネ型細菌及びエシェリヒア・コリが好ましい。本発明のDNAは、エシェリヒア・コリ及び/又はコリネ型細菌等の細胞内において自律複製可能なベクターDNAに接続して組換えDNAを調製し、これをエシェリヒア・コリ細胞に導入しておくと、後の操作がしやすくなる。エシェリヒア・コリ細胞内において自律複製可能なベクターとしては、プラスミドベクターが好ましく、宿主の細胞内で自立複製可能なものが好ましく、例えばpUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG399、pHSG398、RSF1010等が挙げられる。コリネ型細菌の細胞内において自律複製可能なベクターとしては、pAM330(特開昭58−67699号公報参照)、pHM1519(特開昭58−77895号公報参照)等が挙げられる。また、これらのベクターからコリネ型細菌中でプラスミドを自律複製可能にする能力を持つDNA断片を取り出し、前記エシェリヒア・コリ用のベクターに挿入すると、エシェリヒア・コリ及びコリネ型細菌の両方で自律複製可能ないわゆるシャトルベクターとして使用することができる。このようなシャトルベクターとしては、以下のものが挙げられる。尚、それぞれのベクターを保持する微生物及び国際寄託機関の受託番号をかっこ内に示した。pAJ655 エシェリヒア・コリAJ11882(FERM BP−136)コリネバクテリウム・グルタミクムSR8201(ATCC39135)pAJ1844 エシェリヒア・コリAJ11883(FERM BP−137)コリネバクテリウム・グルタミクムSR8202(ATCC39136)pAJ611 エシェリヒア・AJ11884(FERM BP−138)pAJ3148 コリネバクテリウム・グルタミクムSR8203(ATCC39137)pAJ440 バチルス・ズブチリスAJ11901(FERM BP−140)pHC4 エシェリヒア・コリAJ12617(FERM BP−3532)本発明のDNAとコリネ型細菌で機能するベクターを連結して組み換えDNAを調製するには、本発明のDNAの末端に合うような制限酵素でベクターを切断する。連結は、T4DNAリガーゼ等のリガーゼを用いて行うのが普通である。上記のように調製した組み換えDNAをコリネ型細菌等の宿主に導入するには、これまでに報告されている形質転換法に従って行えばよい。例えば、エシェリヒア・コリ K−12について報告されているような、受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過性を増す方法(Mandel,M.and Higa,A.,J.Mol.Biol.,53,159(1970))があり、バチルス・ズブチリスについて報告されているような、増殖段階の細胞からコンピテントセルを調製してDNAを導入する方法(Duncan,C.H.,Wilson,G.A.and Young,F.E.,Gene,1,153(1977))がある。あるいは、バチルス・ズブチリス、放線菌類及び酵母について知られているような、DNA受容菌の細胞を、組換えDNAを容易に取り込むプロトプラストまたはスフェロプラストの状態にして組換えDNAをDNA受容菌に導入する方法(Chang,S.and Choen,S.N.,Molec.Gen.Genet.,168,111(1979);Bibb,M.J.,Ward,J.M.and Hopwood,O.A.,Nature,274,398(1978);Hinnen,A.,Hicks,J.B.and Fink,G.R.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75 1929(1978))も応用できる。コリネ型細菌においては、電気パルス法(特開平2−207791号公報参照)が有効である。また、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス等の高温耐性コリネ型細菌の形質転換は、宿主細胞の細胞壁の構造を変化させる薬剤で処理し、細胞壁の構造が変化した細胞とDNAを含む溶液に電気パルスを印加することにより、効率よく形質転換を行うことができる。前記薬剤とは、薬剤で処理した細菌とDNAを含む溶液に電気パルスを印加したときに、同細菌がDNAを取り込むことができるように、細胞壁の構造を変化させることができる薬剤(以下、「細胞壁処理剤」ということがある)であり、細菌の正常な細胞壁の合成を阻害する薬剤、又は、細菌の細胞壁を溶解する薬剤が挙げられる。具体的には、リゾチーム、ペニシリンG、グリシン等が挙げられる。細胞壁処理剤は1種でもよく、2種以上を用いてもよい。前記薬剤の中では、リゾチーム又はペニシリンGが好ましく、リゾチームが特に好ましい。さらに、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスの形質転換は、細胞壁を超音波処理(FEMS Microbiology Letters,151,135−138(1987))等の物理的な方法で弱化させた宿主細胞とDNAを含む溶液に電気パルスを印加することによっても、行うことができる。本発明のDNAに含まれる遺伝子の発現を効率的に実施するために、これらの遺伝子のコード領域の上流に、宿主細胞内で働くlac、trp、PL等のプロモーターを連結してもよい。ベクターとして、プロモーターを含むベクターを用いると、各遺伝子と、ベクター及びプロモーターとの連結を一度に行うことができる。上記のようにして製造され得る本発明のタンパク質は、必要に応じて、菌体抽出液又は培地からイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、塩析、溶媒沈殿等、通常の酵素の精製法を用いて精製することができる。本発明のタンパク質は、コリネバクテリウム・グルタミカム等の対応するタンパク質に比べて、熱安定性に優れているか、又は高温下で高い活性を示すことが期待される。例えば、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのGDHが37℃付近で最もGDHの比活性が高く、42℃付近で活性は著しく低下するのに対し、本発明のGDHは、42℃で37℃における活性と同等又はそれ以上のGDH活性を示す。好ましい実施態様では、本発明のGDHは、42℃付近で最も比活性が高く、45℃でも活性を示す。GDH活性は、例えば、100mM Tris−HCl(pH8.0)、20mM NH4Cl、10mM α−ケトグルタル酸ナトリウム、0.25mM NADPHに酵素を加え、340nmにおける吸光度の変化を測定することによって、測定することができる(Molecular Microbiology(1992)6,317−326)。また、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのCSが23℃付近で最もCSの比活性が高く、33℃付近で活性が著しく低下するのに対し、本発明のCSは、37℃で23℃における活性と同等又はそれ以上の活性を示す。好ましい実施態様では、本発明のCSは、37℃付近までは反応温度に依存して高い比活性を示し、40℃でも37℃における活性の約4割の活性を示す。CS活性は、例えば、Methods in Enzymol.,13,3−11(1969)に記載の方法によって測定することができる。さらに、本発明の他のタンパク質は、典型的には以下の性質を有する。イソシトレートリアーゼは、50℃、5分の熱処理後に30%以上の残存活性を有する。ホスホフルクトキナーゼは、60℃で30℃における活性と同等又はそれ以上の活性を有する。ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼは、45℃、5分の熱処理後に50%以上の残存活性を有する。アコニターゼは、50℃、3分の熱処理後に30%以上の残存活性を有する。イソクエン酸デヒドロゲナーゼは、45℃、10分の熱処理後に50%以上の残存活性を有する。2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼは、50℃、10分の熱処理後に30%以上の残存活性を有する。本発明のタンパク質は、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス、例えばコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株の菌体破砕液から、それぞれの活性を指標として、通常の酵素の精製法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、塩析、溶媒沈殿等の方法で精製することによって、取得することもできる。本発明のDNAのうち、pfk、pdhA、pc、ppc、acn、icd、gdh及びgltA(これらの遺伝子がコードする酵素名は表1に示す)は、コリネ型細菌等のL−アミノ酸生産菌に導入することによって、L−アミノ酸生産能を高めることができる。また、本発明のDNAが導入されたコリネ型細菌は、通常よりも高い温度でのL−アミノ酸の生産が可能となることが期待される。L−アミノ酸としては、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸、L−リジン、L−アルギニン、L−プロリン及びL−グルタミン等が挙げられる。例えば、gdh遺伝子又はgltA遺伝子を、コリネ型細菌等のL−グルタミン酸生産菌に導入することによって、通常よりも高い温度でのL−グルタミン酸の生産が可能となることが期待される。また、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムのCSは、通常の培養温度、例えば31.5℃では十分に機能していない可能性があるが、本発明のgltA遺伝子を導入することによって、活性を高めることができる。また、dtsR1及びdtsR2は、コリネ型細菌に界面活性剤に対する耐性を付与する蛋白質(DTSR蛋白)をコードする遺伝子であり、これらの遺伝子が破壊されたコリネ型L−グルタミン酸生産菌は、野生株がほとんどL−グルタミン酸を生成しない量のビオチンが存在する条件においても著量のL−グルタミン酸を生成する。また、L−リジン生産能を有するコリネ型L−グルタミン酸生産菌は、dtsR1及びdtsR2遺伝子を増幅すると、著量のL−リジンを生産する能力が付与される(WO95/23224号国際公開パンフレット、特開平10−234371号公報)。scrB遺伝子は、シュークロースを含む培地でコリネ型細菌を用いてL−アミノ酸を製造する場合に、同コリネ型細菌の育種に用いることができる。コリネ型細菌等のL−グルタミン酸生産菌において、aceA、accBC、lpd又はodhAを欠失させることにより、L−グルタミン酸生産性を高めることができる。また、gluABCDはL−グルタミン酸の取り込み系の遺伝子クラスターであり、コリネ型L−グルタミン酸生産菌において、gluA、gluB、gluCもしくはgluD、又はこれらの1種、2種、3種もしくは4種を欠失させることにより、培地に蓄積されるL−グルタミン酸量を増大させることができる。本発明のaceA、accBC、lpd、odhA及びgluABCDは、染色体上のこれらの遺伝子を破壊するのに用いることができる。上記のようにして本発明のDNAが導入された微生物を用いてL−アミノ酸を製造するのに用いる培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機微量栄養素を含有する通常の培地である。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、シュクロース、廃糖蜜、澱粉加水分解物などの炭水化物、エタノールやイノシトールなどのアルコール類、酢酸、フマール酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸類を用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、アンモニア、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。無機イオンとしては、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。有機微量栄養素としては、ビタミンB1などの要求物質または酵母エキス等を必要に応じ適量含有させることが望ましい。培養は、振とう培養、通気撹拌培養等による好気的条件下で16〜72時間実施するのがよく、培養温度は30℃〜47℃に、培養中pHは5〜9に制御する。培養温度は、本発明のDNAが導入されていない微生物の培養に適した温度、又はそれよりも高い温度で培養する。尚、pH調整には無機あるいは有機の酸性あるいはアルカリ性物質、更にアンモニアガス等を使用することができる。発酵液からのL−アミノ酸の採取は、L−アミノ酸の種類に応じてイオン交換樹脂法、沈澱法、晶析法その他の公知の方法を組み合わせることにより実施できる。発明を実施するための最良の形態以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例1<1>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのプラスミドライブラリーの作製コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株を、CM2B液体培地(イーストエキストラクト(Difco社製)1g/dl、ポリペプトン(日本製薬製)1g/dl、NaCl 0.5g/dl、ビオチン10μg/dl、pH7.0(KOHで調整))で37℃にて15時間培養し、10mlの培養液から、染色体DNAを染色体DNA抽出キット(Bacterial Genome DNA Purification Kit(Advanced Genetic Technologies社製)を用いて取得した。取得したDNAを、制限酵素Sau3AIを用いて部分消化し、0.8%アガロースゲル電気泳動を行い、DNAを分画した後に、約4〜6kbのDNAフラグメントをゲルから切り出し、DNAゲル抽出キット(GIBCO BRL社、ConcertTM Rapid Gel Extraction System)を用いて、目的サイズのDNA断片を取得した。プラスミドpHSG399(宝酒造(株)製)をBamHIで完全消化し、末端をアルカリフォスファターゼ(CIAP;宝酒造(株)製)を用いて脱リン酸化した。このベクター断片と、上記の染色体DNA断片を宝酒造社製DNAライゲーションキットを用いて連結し、得られた組換えベクターを用いてエシェリヒア・コリJM109を形質転換した。形質転換体の選択は、30μg/mlのクロラムフェニコール、0.04mg/mlのIPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)、0.04mg/mlのX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)を含むLB寒天培地(寒天1.5g/dlを含む)上にて行い、白色コロニーを約4000コロニー取得した。<2>各遺伝子断片増幅用プライマーの設定上記で得られたプラスミドライブラリーから目的の遺伝子を含むクローンをPCRにより選択するために用いるプライマーを設計した。目的とする遺伝子は前記のとおりである。プライマーは、コリネ型細菌の既知の遺伝子配列をベースとして、他の微生物の相当する遺伝子との間でアミノ酸レベルで保存されている領域に基づいて設計した。その際、コリネ型細菌のコドンユーセージを考慮してプライマーを複数組づつ設計した。作製されたプライマーの適正を調べるために、これらのプライマーを用いて、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株の染色体DNAを鋳型としてPCRを行い、遺伝子断片を増幅した。その結果、いずれの遺伝子も、表2〜表7の上段に示すプライマーを用い、各表中に「部分断片取得のPCR」として示した条件及びポリメラーゼでPCRを行った場合に、増幅断片が認められた。各プライマーの末尾のカッコ内の数字は、配列表中の配列番号を示す。これらのプライマーを、後述のスクリーニング用プライマーとして用いた。<3>PCRによるプラスミドライブラリーのスクリーニング前記のプラスミドライブラリーから目的の遺伝子を含むクローンを、PCRにより選択した。プラスミドライブラリーから、コロニーを60個ずつピックアップし、2枚づつのLB寒天培地プレートにレプリカした。各プレートのコロニー60個づつをまとめて、4mlのLB液体培地を含む試験管に接種し、15時間培養した後、プロメガ社製プラスミドDNA抽出キットを用いてそれぞれプラスミドの混合物を取得した。このプラスミド混合物を鋳型とし、各目的遺伝子毎に作製したスクリーニング用プライマーを用いて、各表中に「スクリーニングPCRの条件」として示した条件でPCRを行い、染色体DNAを鋳型とするPCRと同じ大きさのDNA断片が増幅されるクローンを選択した。増幅されたDNA断片は、パーキンエルマー社製ビッグダイ・ダイターミネーターサイクルシークエンスキットを用いて塩基配列を決定し、既知の遺伝子情報との相同性を比較することにより、目的遺伝子の取得の成否を確認した。尚、lpdについては、<2>で作製したプライマーでは目的のDNA断片が増幅されなかったので、決定された塩基配列に基づいて、スクリーニング用プライマーを別途作製した。<4>コロニーPCRによる目的遺伝子保持クローンの選択目的の遺伝子断片の増幅が確認されたプラスミド混合物が由来するプレートを用いて、コロニーPCRを行い、遺伝子断片を含むクローンを選択した。コロニーPCRは、表2〜7に示す条件で行った。選択された形質転換体からプラスミドDNAを回収し、挿入DNA断片の塩基配列を決定した。挿入DNA断片に目的遺伝子の全長が挿入されておらず、遺伝子の上流域、下流域またはこれらの両方が欠失している場合は、判明した塩基配列を利用してプライマーを作製し、TaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(宝酒造(株))を用いて、目的遺伝子の全領域の遺伝子断片を取得し、塩基配列を決定した。LA PCRクローニングの概要は以下のとおりである。挿入DNA断片のうち2つの領域の塩基配列を有する2種のプライマーを作製する。コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株の染色体DNAを各種制限酵素で切断し、各制限酵素に対応したカセットプライマーと連結する。これを鋳型として、作製されたプライマーのうち欠失部分から遠い位置に対応するプライマー(S1)と、カセットプライマーの外側の位置に対応するカセットプライマー(C1)を用いてPCRを行う。次に、作製されたプライマーのうち欠失部分に近い位置に対応するプライマー(S2)と、カセットプライマーの内側の位置に対応するカセットプライマー(C2)を用いてPCRを行う。こうして、欠失部分を含むDNA断片が得られる。得られたDNA断片と既に取得されいるDNA断片を連結することにより、目的遺伝子全長を含むDNA断片を得ることができる。尚、カセットの5’末端にはリン酸基が付いていないので、DNA断片の3’末端とカセットの5’末端との接続部位にはニックができる。そのため、1回目のPCRではプライマーC1からのDNA合成はこの接続部分でストップし、非特異的な増幅は起こらないため、特異的な増幅を行うことができる。LA PCRクローニングに用いたプライマーと反応条件は、表2〜7に示した。表中「(N’)」は上流側の欠失部分のクローニングに用いたプライマーを、「(C’)」は下流側の欠失部分のクローニングに用いたプライマーを、それぞれ示す。また、PCR反応はLA PCRクローニングキットの説明書に従い、2回行った。表に示したプライマーのうち、上段には1回目の反応に用いたプライマー(S1)を、下段には2回目の反応に用いたプライマー(S2)を示す。上記のようにして得られた各遺伝子を含むDNA断片の塩基配列を、前記と同様にして決定した。それらの塩基配列及び同塩基配列がコードし得るアミノ酸配列を、配列番号1〜34に示す。各配列番号に記載された配列は、後記〔配列表の説明〕に示したとおりである。scrBについては、オープン・リーディング・フレームが見つからなかった。コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株は、インベルターゼ活性を有しておらず、シュークロース資化性を持たないため、シュークロース資化性を有するコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12340株及びAJ12309株から、同様にしてscrB遺伝子断片を取得した。その結果、いずれの株からもオープン・リーディング・フレームを有するDNA断片が得られた。実施例2 gdh、及びgltA遺伝子の取得<1>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのGDH活性の検討CM−2B寒天培地(イーストエキストラクト(Difco社製)1g/dl、ポリペプトン(日本製薬製)1g/dl、NaCl 0.5g/dl、ビオチン10μg/dl、寒天1.5g/dl、pH7.0(KOHで調整))で生育させたコリネバクテリウム・サーモアミノゲネス野生株であるAJ12310株の菌体を、下記組成のフラスコ用培地を20ml入れた500ml容フラスコに接種し、37℃で17時間(残糖が1g/dl程度になるまで)培養した。同様に、CM−2B寒天培地で生育させたブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株(ATCC13869)の菌体を31.5℃で17時間培養した。〔フラスコ用培地〕グルコース 3 g/dlKH2PO4 0.1 g/dlMgSO4・7H2O 0.04g/dlFeSO4・7H2O 1 mg/dlMnSO4・4H2O 1 mg/dlビタミンB1−HCl 200 μg/Lビオチン 50 μg/L(NH4)2SO4 1.5 g/dl大豆蛋白加水分解液 48mg/dl(Memeno(T−N))CaCo3(局方) 5 g/dl(別殺菌)pH8.0(KOHで調整)上記培養液約1mlを1000rpmで1分遠心してCaCO3を除去した後、菌体を200mMK−リン酸緩衝液(pH6.9)で2回洗浄し、同緩衝液300μlに懸濁させた。得られた菌体懸濁液を5分間超音波処理して菌体を破砕した後、1000rpmで30分遠心し、上清を粗酵素液として得た。上記粗酵素液を用いてGDH活性の至適反応温度及び熱安定性を調べた。GDH活性の測定は、反応液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、20mM NH4Cl、10mMα−ケトグルタル酸ナトリウム、0.25mM NADPH)に粗酵素液を加え、340nmにおける吸光度の変化を測定することによって行った。また、粗酵素液のタンパク質濃度を、Bradford法(Bio−Rad Protein Assay Kitを使用)により、ウシ血清アルブミンを標準として、595nmでの吸光度を測定することによって定量した。吸光度の測定は、HITACHI U−2000(日立製作所製)を用いて行った。種々の反応温度で測定したGDH活性を、図1に示す。ATCC13869株では、37℃付近で最もGDHの比活性が高く、42℃付近で活性が著しく低下するのに対し、AJ12310株では42℃付近で最も比活性が高く、45℃でも活性を示した。次に、GDHの熱安定性を調べた。反応前に、粗酵素液を0〜30分間65℃においた後、30℃における酵素活性を測定した。その結果を図2に示す。この結果から明らかなように、ATCC13869株のGDHは5分間の熱処理で失活したのに対し、AJ12310株のGDHは30分間の熱処理でも活性が維持された。尚、AJ12310株の粗酵素液は、少なくとも65℃、90分の熱処理後にもGDH活性にほとんど変化が認められなかった(データは示さない)。<2>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのCS活性の検討実施例1と同様にコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株の菌体及びブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株から調製した粗酵素液を用いて、CSの反応至適温度及び熱安定性を調べた。CS活性の測定は、反応液(100mM Tris−HCl(pH 8.0),0.1mM DTNB(5,5’−dithiobis−(2−nitrobenzoic acid)),200mML−グルタミン酸ナトリウム、0.3mMアセチルCo−A)に粗酵素液を加え、412nmにおける吸光度の変化を測定することによって行った。種々の反応温度で測定したCS活性を、図3に示す。ATCC13869株では23℃付近で最もCSの比活性が高く、33℃付近で活性が著しく低下するのに対し、AJ12310株では37℃付近までは反応温度に依存して高い比活性を示し、40℃でも37℃における活性の約4割の活性を示した。次に、CSの熱安定性を調べた。反応前に、粗酵素液を33〜55℃で5分間おいた後、30℃における酵素活性を測定した。その結果を図4に示す。ATCC13869株のCSは35〜40℃の熱処理で失活したのに対し、AJ12310株のCSは50℃の熱処理でも約4割の活性が維持された。<3>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのgdh遺伝子の取得すでに報告されている種々の微生物のgdh遺伝子の塩基配列の比較を行った。そして、塩基配列がよく保存されている領域を見出し、その領域の塩基配列に基づいて配列番号77及び78に示す塩基配列を有するプライマーを作製した。コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株からBacterial Genome DNA Purification Kit(Advanced Genetic Technologies社製)を用いて調製した染色体DNAを鋳型とし、前記プライマーを用いてPCRを行った。得られたDNA断片をもとに、TaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(宝酒造(株)製)を用いてゲノムウォーキングを行い、gdh遺伝子全体を取得し、全塩基配列を決定した。結果を配列番号79に示す。また、この塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号80に示す。同様にして、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株のgdh遺伝子を取得し、塩基配列を決定した。結果を配列番号81に示す。また同塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を配列番号82に示す。上記のようにして決定されたコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株のgdh遺伝子の塩基配列及びGDHのアミノ酸配列と、公知のコリネバクテリウム・グルタミカム(C.glutamicum)ATCC13032株のgdh遺伝子及びGDHのアミノ酸配列(Molecular Microbiology(1992)6,317−326)との相同性を調べた。結果を表8(塩基配列)及び表9(アミノ酸配列)に示す。<4>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのgltA遺伝子の取得すでに報告されている種々の微生物のgltA遺伝子の塩基配列の比較を行った。そして、塩基配列がよく保存されている領域を見出し、その領域の塩基配列の基づいて配列番号83及び84に示す塩基配列を有するプライマーを作製した。コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株(FERM BP−1542)からBacterial Genome DNA Purification Kit(Advanced Genetic Technologies社製)を用いて調製した染色体DNAを鋳型とし、前記プライマー7、8を用いてPCRを行い、増幅した約0.9kbの塩基配列を決定した。得られたコリネバクテリウム・グルタミカムのgltA遺伝子の塩基配列(Microbiol.,140,1817−1828(1994))をもとに、配列番号85、86、87、及び88のプライマーを作成し、上記と同様にAJ12310の染色体DNAを鋳型にし、配列番号85、86、87、及び88のプライマーを用いてPCRを行い、増幅したDNA断片の塩基配列を決定し、gltA遺伝子全体の全塩基配列を決定した。結果を配列番号89に示す。また、この塩基配列から予想されるアミノ酸配列を配列番号90に示す。同様にして、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株のgltA遺伝子を取得し、塩基配列を決定した。結果を配列番号91に示す。また同塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を配列番号92に示す。上記のようにして決定されたコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869株のgltA遺伝子の塩基配列及びCSのアミノ酸配列と、公知のコリネバクテリウム・グルタミカム(Microbiol.,140,1817−1828(1994))ATCC13032株のgltA遺伝子及びCSのアミノ酸配列との相同性を調べた。結果を表10(塩基配列)及び表11(アミノ酸配列)に示す。実施例3 コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのscrB遺伝子の取得実施例1に示したように、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12309株からscrB遺伝子断片が得られたので、同遺伝子の全配列の取得を行った。まず、実施例1と同様にして、配列番号45及び配列番号46に示すプライマーを用いて部分断片の取得を行った。これらのプライマーは、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株のscrB配列(特開平08−196280)をもとに合成した。一方、AJ12309株からBacterial Genome DNA Purification Kit(Advanced Genetic Technologies Corp.)を用いて染色体を調製した。この染色体DNAを0.5μg、前記プライマーを各々50pmol、dNTP mixture(各2.5mM)4μl、10×Z−Taq Buffer(宝酒造)5μl、Z−Taq 2U(宝酒造)に滅菌水を加えて全量50μlのPCR反応液を調製した。この反応液を用いて、サーマルサイクラーGeneAmp PCR System 9600(PE)を使用して、変性98℃5秒、会合50℃10秒、伸長反応72℃20秒の条件で30サイクルのPCRを行い、scrBの部分断片約600bpを増幅した。次にLA PCR in vitro Cloning Kit(宝酒造)を用いてscrB全配列を決定した。方法はすべて、LA PCR in vitro Cloning Kitに従った。取得した部分配列をもとに、配列番号97、98、99、100に示すプライマーを合成した。上流部分の配列決定のための1回目のPCR反応は、配列番号95、97に示すプライマーを、鋳型DNAとしてEcoT14Iで処理したAJ12309株染色体DNAを用いた。2回目のPCR反応は、配列番号96、98に示すプライマーを用いた。下流部分の配列決定のための1回目のPCR反応は、配列番号95、99に示すプライマーを、鋳型DNAとしてSalI(宝酒造)で処理したAJ12309株染色体DNAを用いた。2回目のPCR反応は、配列番号96、100に示すプライマーを用いた。以上の操作から、scrBのORFを含む全長1656bpの配列を決定した。この塩基配列を配列番号93に、アミノ酸配列を配列番号94に示す。実施例4 イソシトレートリアーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、アコニターゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼの熱安定性の検討コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス由来の下記の酵素について、熱安定性を調べた。尚、本実施例では、タンパク質濃度は、Bradford法(Bio−Rad Protein Assay Kitを使用)により、標準タンパク質に牛血清アルブミンを用いて測定した。また、吸光度の測定は、特記しない限りHITACHI U−2000(日立製作所)を用いて行った。<1>イソシトレートリアーゼコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来イソシトレートリアーゼ(以下、「ICL」ともいう)とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株(ATCC13869)由来ICLの活性の熱安定性を調べた。活性測定には、表12に示した培地にて完全に糖を消費し尽くす前に培養を終了させた菌体を用いた。活性測定方法は、Dieter J.Reinscheid et al.,J.Bacteriol.,176(12),3474(1994))に従った。具体的には、菌体を50mMトリス緩衝液(pH7.3)にて洗浄後、同バッファーに懸濁し、超音波破砕(KUBOTA社製 INSONATOR201Mを使用、200W、5分)を行った。超音波破砕後、遠心分離(13000×g、30分)を行い、未破砕菌体を取り除いたものを粗酵素液とした。50mM MOPS−NaOH(pH7.3)、5mMジチオスレイトール、15mM MgCl2、1mM EDTA、5mM D−threo−isocitrate、0.2mM NADH、18U LDH(ラクテートデヒドロゲナーゼ)を含む反応系に粗酵素液を添加し、各温度(30、40、50、60、70℃)における340nmの吸収を日立分光光度計U−3210にて測定した。反応温度を変化させた測定結果を図5に示す。また、粗酵素液を50℃にて前処理(前処理時間5分、又は15分)し、37℃における活性を測定した結果を図6に示す。その結果、2256株のICLは50℃近辺に最大活性を示すのに対し、AJ12310株のICLは60℃で最大活性を示した。また、2256株のICLは前処理時間5分で完全に失活しているのに対し、AJ12310株のICLは前処理時間5分では約半分の活性を維持していたことから、AJ12310株のICLの高温での安定性が確認された。<2>ホスホフルクトキナーゼコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来ホスホフルクトキナーゼ(以下、「PFK」ともいう)とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株由来PFKの活性の熱安定性について調べた。活性測定には、表13に示した培地にて完全に糖を消費し尽くす前に培養を終了させた菌体を用いた。活性測定方法は、Michiko Mori et al.,Agric.Biol.Chem.,51(10),2671(1994))に従った。具体的には、菌体を0.1Mトリス緩衝液(pH7.5)にて洗浄後、同緩衝液に懸濁し、超音波破砕(KUBOTA社製 INSONATOR201Mを使用、200W、5分)を行った。超音波破砕後、遠心分離(13000×g、30分)を行い、未破砕菌体を取り除いたものを粗酵素液とした。100mMトリス緩衝液(pH7.5)、0.2mM NADH、10mM MgCl2、2mM NH4Cl、10mM KCl、0.2mMホスホエノールピルビン酸、6.4mMフルクトース6リン酸、1mM ATP、40μg LDH/PK(ピルビン酸キナーゼ)を含む反応系に粗酵素液を添加し、各温度(30、40、50、60、70℃)における340nmの吸収を日立分光光度計U−3210にて測定した。反応温度を変化させた測定結果を図7に示す。また、粗酵素液を50℃にて前処理(前処理時間1、3、5、10分)し、37℃における活性を測定した結果を図8に示す。以上の結果、2256株のPFKは30℃近辺で最大活性を示すことに対し、AJ12310株のPFKは50℃近辺で最大活性を示したことから、AJ12310のPFK株の至適温度は高温域にあることが確認された。<3>ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(以下、「PEPC」ともいう)とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株由来のPEPC活性の熱安定性について検討した。CM−2B寒天培地で生育させたAJ12310株の菌体を、フラスコ用培地(グルコース8g/dl、KH2PO4 0.1g/dl、MgSO4・7H2O 0.04g/dl、FeSO4・7H2O 1mg/dl、MnSO4・4H2O 5mg/dl、(NH4)2SO4 3g/dl、TN(大豆タンパク質加水分解液)48mg/dl、ビタミンB1 200μg/l、ビオチン300μg/l、GD−113(消胞剤)50μl/l、CaCO3 5g/dl(局方、別殺菌)、pH8.0(KOHで調整))を20ml入れた500ml容フラスコに接種し、37℃で培養した。同様に、CM−2B寒天培地で生育させた2256株の菌体を31.5℃で培養した。対数増殖期まで生育させた上記培養液を1000rpmで1分間遠心してCaCO3を除去した後、菌体を洗浄緩衝液(100mM Tris/HCl pH8.0、10mM MgSO4、1mM DTT、20%glycerol)で3回洗浄、超音波で破砕し、15krpmで10分間遠心し破砕片を除去し、上清をさらに60krpmで1時間遠心し、上清を粗酵素液として得た。上記粗酵素液を用いてPEPC活性の至適反応温度及び熱安定性を調べた。PEPC活性の測定は、反応液(100mM Tris/H2SO4(pH8.5)、5mMホスホエノールピルビン酸、10mM KHCO3、0.1mM acetyl−CoA、0.15mM NADH、10mM MgSO4、10Uリンゴ酸脱水素酵素、0.1mM DTT)に粗酵素液を添加し、反応液量800μl中で340nmにおける吸光度の変化を測定することによって行った。種々の反応温度で測定したPEPC活性を図9に示す。2256株では40℃で活性が著しく低下するのに対し、AJ12310株では40℃でも活性の低下はほとんど認められなかった。次に、PEPCの熱安定性を調べた。反応前に、粗酵素液を0〜20分間45℃においた後、20℃における酵素活性を測定した。その結果を図10に示す。この結果から明らかなように、2256株では10分間の熱処理後にはPEPC活性はほとんど失われてしまったが、AJ12310株では20分間の熱処理後でも活性は維持されていた。これらの結果からAJ12310のPEPCの高温での安定性が示された。<4>アコニターゼコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来アコニターゼ(以下、「ACN」ともいう)とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株由来ACNを測定し、その熱安定性について検討した。CM−2B寒天培地で生育させたAJ12310株の菌体を、<3>と同じ組成のフラスコ用培地を20ml入れた500ml容フラスコに接種し、37℃で培養した。同様に、CM−2B寒天培地で生育させた2256株の菌体を31.5℃で培養した。対数増殖期まで生育させた上記培養液を1000rpmで1分間遠心してCaCO3を除去した後、菌体を50mM Tris/HCl pH7.5で3回洗浄、超音波で破砕し、15krpmで10分間遠心した上清を粗酵素液として得た。上記粗酵素液を用いてACN活性の至適反応温度及び熱安定性を調べた。ACN活性の測定は反応液(20mM Tris/HCl(pH7.5)、50mM NaCl、20mM isocitrate・3Na)に粗酵素液を添加し反応液量800μl中で240nmにおける吸光度の変化を測定することによって行った。種々の反応温度で測定したACN活性を図11に示す。AJ12310株はより高温において2256株よりも高い活性を示した。次に、ACNの熱安定性を調べた。反応前に、粗酵素液を0〜15分間50℃においた後、30℃における酵素活性を測定した。その結果を図12に示す。この結果から明らかなように、AJ12310株のACNは2256株のACNよりも熱処理による活性の低下が少なかった。これらの結果からAJ12310のACNの高温での熱安定性が確認された。<5>イソクエン酸デヒドロゲナーゼコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(以下、「ICDH」ともいう)とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株由来ICDHの活性の熱安定性について検討した。CM−2B寒天培地で生育させたAJ12310株の菌体を、<3>と同じ組成のフラスコ用培地を20ml入れた500ml容フラスコに接種し、37℃で培養した。同様に、CM−2B寒天培地で生育させた2256株の菌体を31.5℃で培養した。対数増殖期まで生育させた上記培養液を1000rpmで1分間遠心してCaCO3を除去した後、菌体を50mM Tris/HCl pH7.5で3回洗浄、超音波で破砕し、15krpmで10分間遠心した上清を粗酵素液として得た。上記粗酵素液を用いてICDH活性の至適反応温度及び熱安定性を調べた。ICDH活性の測定は反応液(35mM Tris/HCl、0.35mM EDTA(pH7.5)、1.5mM MnSO4、0.1mM NADP、1.3mM isocitrate・3Na)に粗酵素液を添加し反応液量800μl中で340nmにおける吸光度の変化を測定することによって行った。種々の反応温度で測定したICDH活性を図13に示す。2256株では70℃で活性が著しく低下するのに対し、AJ12310株では70℃でも活性の低下はほとんど認められなかった。次に、ICDHの熱安定性を調べた。反応前に、粗酵素液を0〜15分間45℃においた後、30℃における酵素活性を測定した。その結果を図14に示す。この結果から明らかなように、2256株では15分間の熱処理後には15%ほどのICDHの活性が残存するだけであったが、AJ12310株では約60%のICDHの活性が残存していた。これらの結果から、AJ12310のICDHの高温での熱安定性が示された。<6>2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼ(以下、「ODHC」ともいう)とブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株由来ODHCを測定し、その熱安定性について調べた。活性測定には、表14に示した培地にて完全に糖を消費し尽くす前に培養を終了させた菌体を用いた。活性測定方法は、Isamu Shiio et al.,Agric.Biol.Chem.,44(8),1897(1980))に従った。具体的には、菌体を0.2%塩化カリウムにて洗浄後、100mM TES−NaOH(pH7.5)、30%グルセロール溶液に懸濁し、超音波破砕(KUBOTA社製 INSONATOR201Mを使用、200W、5分)を行った。超音波破砕後、遠心分離(10000×g、30分)を行い、未破砕菌体を取り除いたものをSephadex−G25を用いて、同バッファーにてゲルろ過することによって調製したものを粗酵素液とした。100mM TES−NaOH(pH7.7)、5mM MgCl2、0.2mM Coenzyme A、0.3mMコカルボキシラーゼ、1mM α−ケトグルタル酸、3mM L−システイン、1mM アセチルピリジン−アデニン−ジヌクレオチドを含む反応系に粗酵素液を添加し、各温度(30、40、50、60、70℃)における365nmの吸収を日立分光光度計U−3210にて測定した。粗酵素液を50℃にて前処理(前処理時間1、3、5、10分)し、37℃における活性を測定した結果を図15に示す。その結果、2256株のODHCは前処理時間10分で完全に失活しているのに対し、AJ12310のODHCは前処理時間に関係なく、ほぼ一定の活性を有しており、高温処理に対する安定性が確認された。実施例5 scrB遺伝子導入によるシュークロース資化能の付与コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株は、インベルターゼ活性及びシュークロース資化性を持たないため、同株に、AJ12309株由来のscrB遺伝子を導入することによってシュークロースに対する資化能を付与できるのかを調べた。<1>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12309株由来scrB搭載プラスミドの作製scrB遺伝子断片を取得するために、配列番号93に示す塩基配列をもとに、両端にSmaI配列を連結した配列番号101、102に示すプライマーを合成した。AJ12309株染色体DNAを0.5μg、前記オリゴヌクレオチドを各々50pmol、dNTP mixture(各2.5mM)4μl、10×Pyrobest Buffer(宝酒造)5μl、Pyrobest polymerase 2U(宝酒造)に滅菌水を加えて全量50μlのPCR反応液を調製した。この反応液を用いて、サーマルサイクラーGeneAmp PCR System 9600(PE)を使用して、変性98℃10秒、会合55℃30秒、伸長反応72℃2分の条件で30サイクルのPCRを行い、scrB ORFを含む約1.7kbを増幅した。次に、上記の増幅断片をSmaI(宝酒造)にて消化し、脱リン酸化処理したコリネ型細菌で機能する複製起点を搭載したプラスミドpSAC4をSmaIで切断したものと連結し、pSCR155を作製した。pSCR155の構築を図16に示す。なおpSAC4は、以下のようにして作製した。エシェリヒア・コリ用ベクターpHSG399(宝酒造(株))をコリネ型細菌で自律複製可能にするために、既に取得されているコリネ型細菌で自律複製可能なプラスミドpHM1519(Miwa,k.et al.,Agric.Biol.Chem.,48(1984)2901−2903)由来の複製起点(特開平5−7491号公報)を導入した。具体的には、pHM1519を制限酵素BamHIおよびKpnIで消化し、複製起点を含む遺伝子断片を取得し、得られた断片を宝酒造(株)製Blunting kitを用いて平滑末端化した後、SalIリンカー(宝酒造(株)製)を用いて、pHSG399のSalIサイトに挿入し、pSAC4を得た。<2>AJ12310株へのscrB遺伝子搭載プラスミドの導入上記で作製したpSCR155、及び、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム由来scrB遺伝子を搭載したプラスミドpSSM30BS(特開平08−196280号)を、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株に導入した。形質転換は、以下の手順で行った。菌体を、20%シュクロースを含むCM−2B培地にOD660=0.1となるように接種し、OD660=0.3まで37℃で振盪培養した後、100μg/mlになるようにリゾチームを添加し、さらに2時間培養した。菌体を20%シュクロースで3回洗浄後、20%シュクロースに懸濁し、エシェリヒア・コリJM110から回収したプラスミドを加えよく混合し、電気パルス(18KV/cm 300msec)をかけ、DNAを導入した。20%シュクロースを含むCM−2B培地で一晩回復培養を行なった後、クロラムフェニコール5μg/mlを含むCM−2B寒天培地で形質転換体を選択した。具体的には、電気パルス法(特開平12−204236号)を用い、形質転換体の選択は5μg/mlのクロラムフェニコールを含むCM2Bプレート培地で、37℃にて行った。その結果、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム由来scrB搭載プラスミドpSSM30BSを保持する形質転換体は得られず、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス由来scrBを搭載プラスミドpSCR155を保持する形質転換体のみが取得出来た。この株をAJ12310/pSCR155と命名した。<3>AJ12310/pSCR155株のシュークロースを糖源とする培養評価上記で作製したAJ12310/pSCR155を、表15に示す組成の培地に接種し、37℃にて22時間振とう培養した。培養後の培地の吸光度(OD)及び残糖(RS)を測定した結果を表16に示す。その結果、AJ12310株は、シュークロースを資化出来ず、生育が不能であるのに対し、scrB遺伝子導入株AJ12310/pSCR155株はシュークロースを資化出来るようになったことが確認された。実施例6 pdhA遺伝子増幅株によるL−グルタミン酸生産<1>由来pdhA搭載プラスミドpPDHA−2の構築コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株のPdhA遺伝子は、プラスミドライブラリのスクリーニングにより取得した。具体的には、プラスミドライブラリ混合物を鋳型として、実施例1の表4に示した条件にてPCRを行い、染色体DNAを鋳型とするPCRと同じ大きさのDNA断片が増幅されるクローンp21Aを選択した。このプラスミドのDNA配列を決定することによりpdhAの全長が含まれていることを確認した。p21AをXbaI、KpnIで消化し、pdhA遺伝子の全長とプロモーター領域を含む4kbのDNA断片を切り出した。このpdhA遺伝子を含むDNA断片を、pHSG299(宝酒造)のXbaI,KpnIサイトに挿入した。次にこのプラスミドをXbaIで消化し、pXK4をXbaIで処理した断片を挿入してpPDHA−2を作成した。pPDHA−2の構築の過程を図17に示す。ライゲーション反応はDNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造)を、遺伝子操作のホストにはエシェリヒア・コリJM109株(宝酒造)を用いた。尚、前記pXK4は、以下のようにして作製した。コリネ型細菌とエシェリヒア・コリのシャトルベクターpHK4(特開平5−7491号)を制限酵素BamHI、KpnIで消化して、複製起点を持つDNA断片を取得して、得られた断片をDNA平滑末端化キット(宝酒造社製、Blunting Kit)を用いて平滑末端化したあと、XbaIリンカー(宝酒造社製)を結合し、pHSG299のXbaIサイトに挿入し、プラスミドpXK4を得た。<2>AJ12310株へのpdhA遺伝子搭載プラスミドの導入上記で作製したプラスミドpPDHA−2をコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株に導入し、pdhA遺伝子増幅株を作製した。形質転換は実施例5と同様にして行い、形質転換体はカナマイシン25μg/mlを含むCM−2B寒天培地で選択し、AJ12310/pPDHA−2株を取得した。<3>pdhA増幅株によるL−グルタミン酸生産CM−2B寒天培地で生育させたAJ12310株、及び上記で取得したpdhA遺伝子増幅株AJ12310/pPDHA−2株を、表17に示す種培養フラスコ用培地を20ml入れた500ml容フラスコに接種し、37℃でグルコースを完全消費するまで振盪培養した。この培養液を、表17に示す本培養フラスコ用培地を20ml入れた500ml容フラスコに2ml接種し、37℃及び44℃において本培養を行なった。本培養はグルコースを完全消費するまで行い、培養終了後、培養液のOD620及びL−グルタミン酸の蓄積量を測定し、遺伝子増幅による菌体形成及びグルタミン酸の生産に対する効果を検討した。ODの測定は分光光度計HITACHI U−2000(日立製作所)を、L−グルタミン酸濃度の測定はグルタミン酸アナライザーAS−210(旭化成)を用いた。結果を図18に示す。pdhA遺伝子増幅株AJ12310/pPDHA−2株では、AJ12310株に比べ、L−グルタミン酸蓄積、ODともに上昇し、pdhA遺伝子の増幅がL−グルタミン酸生産に有効であることが明らかとなった。実施例7 icd遺伝子増幅株によるL−グルタミン酸生産<1>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来icd搭載プラスミドpICD−4の構築配列番号29記載のAJ12310株のicd遺伝子配列をもとに、配列番号103及び配列番号104に示すプライマーを合成した。この両プライマーの5’端にはBglIIサイトを導入した。一方、Genomic DNA Purif.Kit(Edge BioSystems社)を用いて、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株のゲノムDNAを調製した。このゲノムDNAを鋳型として、上記プライマーをそれぞれ100pmol、dNTP mixture(各2.5mM)8μl、10×Pyrobest Buffer II(宝酒造)10μl、Pyrobest DNA polymerase(宝酒造)2.5Uに滅菌水を加えて全量100μlのPCR反応液を調製した。この反応液を用いて、サーマルサイクラーTP240(宝酒造)を使用して、変性98℃10秒、会合55℃1分、伸長反応72℃4分の条件で30サイクルのPCRを行い、icd遺伝子及びそのプロモーターを含む3.3kbのDNA断片を増幅した。このicd遺伝子を含むDNA断片をBglIIで処理し、pHSG299(宝酒造)のBamHIサイトに挿入した。次にこのプラスミドをXbaIで処理し、pXK4をXbaIで処理した断片を挿入してpICD−4を構築した。pICD−4の作製の手順は図19に示す。ライゲーション反応は、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造)を、遺伝子操作のホストにはエシェリヒア・コリJM109株(宝酒造)を用いた。<2>AJ12310株へのicd遺伝子搭載プラスミドの導入上記で作製したプラスミドpICD−4を、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株に導入し、icd遺伝子増幅株を作製した。形質転換は、実施例5と同様にして行い、形質転換体は、カナマイシン25μg/mlを含むCM−2B寒天培地で選択し、AJ12310/pICD−4株を取得した。<3>icd増幅株によるL−グルタミン酸生産AJ12310株、およびそのicd増幅株であるAJ12310/pICDについて、実施例6記載の培養方法により培養評価を行った。結果を図20に示す。icd遺伝子増幅株AJ12310/pICD−4株では、野生株AJ12310株に比べ、L−グルタミン酸蓄積、ODともに上昇し、icd遺伝子の増幅はグルタミン酸生産に有効であることが示された。実施例8 gdh遺伝子増幅株によるL−グルタミン酸生産<1>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株由来のgdh遺伝子搭載プラスミドの作製配列番号79に記載のAJ12310株のgdh遺伝子の配列をもとに、配列番号105および配列番号106に示すプライマーを合成した。一方、Bacterial Genome DNA Purification Kit(Advanced Genetic Technologies Corp.)を用いてAJ12310の染色体DNAを調製した。この染色体DNAを0.5μg、前記オリゴヌクレオチドをそれぞれ10pmol、dNTP mixture(各2.5mM)8μl、10×LA Taq Buffer(宝酒造)5μl、LA Taq(宝酒造)2Uに滅菌水を加えて全量50μlのPCR反応液を調製した。この反応液を用いて、サーマルサイクラーTP240(宝酒造)を使用して、変性94℃30秒、会合55℃1秒、伸長反応72℃3分の条件で30サイクルのPCRを行ない、gdh遺伝子およびそのプロモーターを含む約2KbpのDNA断片を増幅した。得られた増幅断片をPstI(宝酒造社製)で消化し、これとpHSG299(宝酒造)をPstIで完全分解したものを混合し連結した。連結反応は宝酒造社製DNA ligation kit ver2にて行なった。連結した後、エシェリヒア・コリJM109のコンピテントセル(宝酒造社製)を用いて形質転換を行い、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)10μg/ml、X−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)40μg/ml及びクロラムフェニコール40μg/mlを含むL培地(バクトトリプトン10g/l、バクトイーストエキストラクト5g/l、NaCl 5g/l、寒天15g/l、pH7.2)に塗布し、一晩培養後、出現した白色のコロニーを釣り上げ、単コロニー分離し、形質転換株を得た。形質転換株からアルカリ法(生物工学実験書、日本生物工学会編、105頁、培風館、1992年)を用いてプラスミドを調製し、制限酵素地図を作成し、図21に示す制限酵素地図と同等であるものをpHSG299YGDHと名付けた。このpHSG299YGDHにコリネ型細菌で機能する複製起点を導入した。具体的には、pXC4を制限酵素XbaIにて消化し、pHM1519由来の複製起点を含む断片を取得し、pHSG299YGDHをXbaIで完全分解したものと混合し連結した。上記と同様の方法でプラスミドを調製し、図21に示す制限酵素地図と同等であるものをpYGDHと名付けた。尚、pXC4は、pHSG299の代わりにpHSG399(Cmr)を用いた以外は、実施例6に記載したpXK4と同様にして構築した。<2>AJ12310株へのgdh遺伝子搭載プラスミドの導入上記で作製したプラスミドを、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株に導入し、gdh遺伝子増幅株を作製した。形質転換は、実施例5と同様にして行い、形質転換体はカナマイシン25μg/mlを含むCM−2B寒天培地で、31℃にて選択し、AJ12310/pYGDHを取得した。<3>gdh増幅株によるL−グルタミン酸生産CM−2B寒天培地で生育させたAJ12310株及び上記で取得したgdh遺伝子増幅株AJ12310/pYGDH株を、表18に示す種培養フラスコ用培地を20ml入れた500ml容フラスコに接種し、37℃でグルコースを完全消費するまで振盪培養した。この培養液を、表19に示す本培養フラスコ用培地を20ml入れた500ml容フラスコに2ml接種し、37℃及び44℃において本培養を行なった。本培養はグルコースを完全消費するまで行い、培養終了後、培養液のOD620及びL−グルタミン酸の蓄積量を測定し、遺伝子増幅による菌体形成及びグルタミン酸の生産に対する効果を検討した。ODの測定は分光光度計HITACHI U−2000(日立製作所)を、L−グルタミン酸濃度の測定はグルタミン酸アナライザーAS−210(旭化成)を用いた。培養結果を表20、表21に示す。37℃では、gdh増幅株は、糖消費速度が、親株のAJ12310株と比較して速く、生育も良く、到達ODが上昇した。またL−グルタミン酸蓄積に関しても、収率に関しても37℃では3〜5%と大幅に向上した。44℃においても収率が向上し、また到達ODも上昇した。一方、gdh増幅株では副生物であるα−ケトグルタル酸の蓄積が減少していることが確認された。これらの結果から、gdhの増幅がL−グルタミン酸収率の向上および副生物の低減に有効であることが示された。実施例9 gltA遺伝子増幅株によるL−グルタミン酸生産<1>コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス由来gltA遺伝子搭載プラスミドの作製配列番号89記載のAJ12310株由来のgltA遺伝子の配列をもとに、配列番号107および配列番号108に示すプライマーを合成した。一方、Bacterial Genome DNA Purification Kit(Advanced Genetic Technologies Corp.)を用いてコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310の染色体DNAを調製した。この染色体DNAを0.5μg、前記オリゴヌクレオチドをそれぞれ10pmol、dNTP mixture(各2.5mM)8μl、10×Pyrobest−Taq Buffer(宝酒造)10μl、Pyrobest Taq(宝酒造)2Uに滅菌水を加えて全量100μlのPCR反応液を調製した。この反応液を用いて、サーマルサイクラーTP240(宝酒造)を使用して、変性94℃30秒、会合45℃30秒、伸長反応72℃3分の条件で30サイクルのPCRを行ない、gltA遺伝子およびそのプロモーターを含む約2KbpのDNA断片を増幅した。得られた増幅断片をKpnI(宝酒造)で消化し、これとpHSG299(宝酒造)をKpnIで完全分解したものを混合し連結した。連結反応は宝酒造社製DNA ligation kit ver2にて行なった。連結した後、エシェリヒア・コリJM109のコンピテントセル(宝酒造社製)を用いて形質転換を行い、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)10μg/ml、X−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)40μg/ml及びクロラムフェニコール40μg/mlを含むL培地(バクトトリプトン10g/l、バクトイーストエキストラクト5g/l、NaCl 5g/l、寒天15g/l、pH7.2)に塗布し、一晩培養後、出現した白色のコロニーを釣り上げ、単コロニー分離し、形質転換株を得た。形質転換株からアルカリ法(生物工学実験書、日本生物工学会編、105頁、培風館、1992年)を用いてプラスミドを調製し、制限酵素地図を作成し、図22に示す制限酵素地図と同等であるものをpHSG299YCSと名付けた。このpHSG299YCSにコリネ型細菌内で複製出来る複製起点を導入した。具体的には、pXC4を制限酵素XbaIにて消化し、pHM1519の複製起点を含むDNA断片を取得し、pHSG299YCSをXbaIで完全分解したものと混合、連結した。上記と同様の方法でプラスミドを調製し、図22に示す制限酵素地図と同等であるものをpYCSと名付けた。<2>AJ12310株へのgltA遺伝子搭載プラスミドの導入上記で作製したプラスミドを、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株を導入し、gltA遺伝子増幅株を作製した。形質転換は、実施例5と同様にして行い、形質転換体の選択は25μg/mlのカナマイシンを含むCM2B寒天培地で、31℃にて選択し、AJ12310/pYCSを取得した。<3>gltA増幅株によるL−グルタミン酸生産CM−2B寒天培地で生育させたAJ12310株及び上記で取得したgltA遺伝子増幅株AJ12310/pYCS株を、実施例8と同様にして培養した。培養結果を表22、表23に示す。CS増強株では、37℃、44℃いずれの培養温度においても、親株よりL−グルタミン酸蓄積が向上していることが確認された。また、gltA増幅株はオキサロ酢酸から合成されるL−アスパラギン酸、L−リジンが減少していた。以上の結果から、gltAの増幅がL−グルタミン酸の収率向上および副生物低減に有効であることが示された。〔配列表の説明〕配列番号1:aceA 塩基配列配列番号2:aceA アミノ酸配列配列番号3:accBC 塩基配列配列番号4:accBC アミノ酸配列配列番号5:dtsR1 塩基配列配列番号6:dtsR1 アミノ酸配列配列番号7:dtsR2 塩基配列配列番号8:dtsR2 アミノ酸配列配列番号9:pfk 塩基配列配列番号10:pfk アミノ酸配列配列番号11:scrB(AJ12340株)塩基配列配列番号12:scrB(AJ12340株)アミノ酸配列配列番号13:scrB(AJ12309株)塩基配列配列番号14:scrB(AJ12309株)アミノ酸配列配列番号15:scrB(AJ12310株)塩基配列配列番号16:gluABCD 塩基配列配列番号17:gluABCD アミノ酸配列配列番号18:gluABCD アミノ酸配列配列番号19:gluABCD アミノ酸配列配列番号20:gluABCD アミノ酸配列配列番号21:pdhA 塩基配列配列番号22:pdhA アミノ酸配列配列番号23:pc 塩基配列配列番号24:pc アミノ酸配列配列番号25:ppc 塩基配列配列番号26:ppc アミノ酸配列配列番号27:acn 塩基配列配列番号28:acn アミノ酸配列配列番号29:icd 塩基配列配列番号30:icd アミノ酸配列配列番号31:lpd 塩基配列配列番号32:lpd アミノ酸配列配列番号33:odhA 塩基配列配列番号34:odhA アミノ酸配列配列番号79:gdh(AJ12310株) 塩基配列配列番号80:gdh(AJ12310株) アミノ酸配列配列番号81:gdh(2256株) 塩基配列配列番号82:gdh(2256株) アミノ酸配列配列番号89:gltA(AJ12310株)塩基配列配列番号90:gltA(AJ12310株)アミノ酸配列配列番号91:gltA(2256株) 塩基配列配列番号92:gltA(2256株) アミノ酸配列配列番号93:scrB(AJ12309株)塩基配列配列番号94:scrB(AJ12309株)アミノ酸配列産業上の利用可能性本発明により、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスのアミノ酸生合成系酵素をコードする遺伝子、又はアミノ酸の細胞内への取り込みに関与するタンパク質をコードする遺伝子が提供される。本発明の遺伝子は、前記酵素又はタンパク質の製造、又はアミノ酸生産菌の育種に利用することができる。【配列表】【図面の簡単な説明】図1は、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12310株及びブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム2256株のグルタミン酸デヒドロゲナーゼの活性の温度による変化を示す図である。図2は、AJ12310株及び2256株のグルタミン酸デヒドロゲナーゼの熱安定性を示す図である。図3は、AJ12310株及び2256株のクエン酸シンターゼの活性の温度による変化を示す図である。図4は、AJ12310株及び2256株のクエン酸シンターゼの熱安定性を示す図である。図5は、AJ12310株及び2256株のイソシトレートリアーゼの活性の温度による変化を示す図である。図6は、AJ12310株及び2256株のイソシトレートリアーゼの熱安定性を示す図である。図7は、AJ12310株及び2256株のホスホフルクトキナーゼの活性の温度による変化を示す図である。図8は、AJ12310株及び2256株のホスホフルクトキナーゼの熱安定性を示す図である。図9は、AJ12310株及び2256株のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性の温度による変化を示す図である。図10は、AJ12310株及び2256株のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの熱安定性を示す図である。図11は、AJ12310株及び2256株のアコニターゼの活性の温度による変化を示す図である。図12は、AJ12310株及び2256株のアコニターゼの熱安定性を示す図である。図13は、AJ12310株及び2256株のイソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性の温度による変化を示す図である。図14は、AJ12310株及び2256株のイソクエン酸デヒドロゲナーゼの熱安定性を示す図である。図15は、AJ12310株及び2256株の2−オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼの熱安定性を示す図である。図16は、scrB遺伝子搭載プラスミドpSCR155の構築を示す図図17は、pdhA遺伝子搭載プラスミドpPDHA−2の構築を示す図である。図18は、pdhA遺伝子増幅株によるL−グルタミン酸生産性を示す図である。(a):37℃ (b):44℃図19は、icd遺伝子搭載プラスミドpICD−4の構築を示す図である。図20は、icd遺伝子増幅株によるL−グルタミン酸生産性を示す図である。(a):37℃ (b):44℃図21は、プラスミドpHSG299YGDH及びpYGDHの構築を示す図である。図22は、プラスミドpHSG299YCS及びpYCSの構築を示す図である。 配列表の配列番号80に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1から10個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、42℃で37℃における活性と同等又はそれ以上のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質。 配列表の配列番号80に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、又は、同アミノ酸配列において、1から10個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、42℃で37℃における活性と同等又はそれ以上のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。 下記(a)又は(b)に示すDNAである請求項2記載のDNA。(a)配列表の配列番号79に記載の塩基配列からなる塩基配列を含むDNA。(b)配列表の配列番号79に記載の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。 請求項2又は3に記載のDNAで形質転換された微生物を培地に培養し、L−アミノ酸を培地に生成蓄積させ、該培地よりL−アミノ酸を採取することを特徴とするL−アミノ酸の製造法。 前記微生物が前記DNAを含むベクターを用いて形質転換されている、請求項4に記載のL−アミノ酸の製造法。 前記微生物がコリネ型細菌に属する、請求項4又は5に記載のL−アミノ酸の製造法。 前記微生物がコリネバクテリウム・グルタミカム又はコリネバクテリウム・サーモアミノゲネスである、請求項4から6の何れか一項に記載のL−アミノ酸の製造法。 前記L−アミノ酸がL−グルタミン酸である、請求項4から7の何れか一項に記載のL−アミノ酸の製造法。