生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_αリポ酸又はその誘導体の投与による片頭痛の治療
出願番号:2001519907
年次:2011
IPC分類:A61K 31/385,A61P 25/06,A61P 43/00,A61K 31/19,A61K 31/216,A61K 31/60,A61K 31/525,C07D 339/04


特許情報キャッシュ

ショーナン,ジャン エンゲル,ユルゲン ベッセル,クラウス ペウケルト,マンフレット ロビシュ,ミヒャエル ボルベ,ハロルト JP 4773015 特許公報(B2) 20110701 2001519907 20000826 αリポ酸又はその誘導体の投与による片頭痛の治療 メダ ファーマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト 502071986 石田 敬 100077517 鶴田 準一 100092624 福本 積 100087871 西山 雅也 100082898 樋口 外治 100081330 ショーナン,ジャン エンゲル,ユルゲン ベッセル,クラウス ペウケルト,マンフレット ロビシュ,ミヒャエル ボルベ,ハロルト DE 199 41 217.0 19990830 20110914 A61K 31/385 20060101AFI20110825BHJP A61P 25/06 20060101ALI20110825BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110825BHJP A61K 31/19 20060101ALI20110825BHJP A61K 31/216 20060101ALI20110825BHJP A61K 31/60 20060101ALI20110825BHJP A61K 31/525 20060101ALI20110825BHJP C07D 339/04 20060101ALN20110825BHJP JPA61K31/385A61P25/06A61P43/00 121A61K31/19A61K31/216A61K31/60A61K31/525C07D339/04 C07D 339/ A61K 31/ CA/REGISTRY(STN) 独国特許出願公開第04327462(DE,A1) 特表2002−510604(JP,A) 国際公開第94/000135(WO,A1) 特開平06−135832(JP,A) 9 EP2000008315 20000826 WO2001015693 20010308 2003508438 20030304 7 20070817 井上 典之 【0001】本発明は、片頭痛の予防又は短期的若しくは長期的治療における活性成分としての、還元型又は酸化型のαリポ酸のラセミ体又はその鏡像異性体、あるいはその医薬上容認される塩、アミド、エステル又はチオエステルの使用に関する。【0002】片頭痛は、最も頻繁に発生している疾患の一つである。国際頭痛学会(IHS)により、片頭痛は、自律神経症状を伴う散発的な頭痛発作によって特徴づけられる疾患と定義されている。痛み発作は急に、そして散発的に発生するが、この疾患自体は慢性的であると見られている。いわゆる前兆のない一定の患者では、痛み発作は約4〜72時間続き、しばしば片側的であり、そして悪心と嘔吐、輝所恐怖症と音声恐怖症を伴う。いわゆる前兆のある患者では、痛み発作の数分前に、可逆的な神経学的徴候、例えば失語症、不全麻痺、運動失調及び目眩が起きる。疫学的研究から、人口の約8〜15%が時々又は頻繁に、軽度から重度までの片頭痛発作に悩まされている。通常、女性は男性より多く患っている。片頭痛は、標準的には、最初に20〜35才の時に現れ、子供では大人に比べてあまり一般的ではない。この診断は、医師により、病歴及び臨床データに基づいてのみ行なわれる。信頼できる診断を行う技術的又は生化学的な方法は存在しない。【0003】片頭痛の病態生理学及び病態生化学は未発達である。昔は、片頭痛は、生物学的裏付けなしに心身症と見なされ、片頭痛が身体的な疾患なのか、又は心理学的な健康上の障害なのか不明であった。しかし、大部分の専門家はもはやこれを不確かなものと見てはいない。しかし、心理学的な変化が片頭痛を誘発しうること、そして多くのその他の種々の要因、例えばホルモン上の(月経)、栄養上の(アルコール及び栄養失調)、医学的な(医薬)、環境上の(雑音)及び心理学的(ストレス)な要因が片頭痛に寄与することを常に考慮しなければならない。患者は依然として準専門的な介助、例えば同種療法又は細胞療法を必要としている。【0004】一定の患者では、脳内の限定した領域における大脳血流の低下が、片頭痛の発作に関係した(Lauritzen & Hansen, 1988)。痛みを誘発する求心性神経線維を刺激する血管周囲の変化は、種々の神経伝達物質(ノルアドレナリン、セロトニン、タキキニンなど)の変化を伴うので(Edvinsson L. et al., in : Olesen J. Edvinsson L (ed.) Basic mechanisms of headache. Elsevier Science Publishers, Amsterdam 129-144; 1988)、少くとも一定の患者では、片頭痛に寄与するものと見なされた(Moskowitz A.M. et al., Rev Neurol 145 : 181-195; 1989)。最近、片頭痛患者の脳においてミトコンドリアのリン酸化能の低下が検討されているが、この観察事実が、片頭痛の病態生理学における一次的な障害を意味するのか、又は単なる二次的な事象を表しているのか依然として不明である(Schoenen et al., Neurology 50 : 466-470; 1998)。【0005】片頭痛は、依然として対症的にのみ治療されている。いくつかの薬剤が、片頭痛発作のいわゆる誘発因子を調節するために用いられている(βブロッカー)。その他の化合物は血管作用性である(セロトニンアンタゴニスト、例えばスマトリプタン、非ステロイド性抗炎症薬、例えばアセチルサリチル酸、抗痙れん薬、例えばバルプロ酸)。しかし、エルゴタミンの血管作用性は臨床効果に寄与しない。ビタミンB2 は、ミトコンドリアの呼吸鎖の重要な補助因子であり、報告によると、患者の68%で片頭痛発作の発生を減少させた(Schoenen J. et al.前出)。しかし、片頭痛患者にビタミンB2 欠乏症は認められないし、またビタミンB2 欠乏の患者が片頭痛に匹敵する臨床症状を示すこともない。【0006】この様な全ての治療法は、少くとも一定の患者では、片頭痛の急性発作の症状を軽減するための実際的な手法である。個々の症例において臨床効果を達成するために、医薬とその他の治療との様々な組み合せが用いられる。医薬は、片頭痛発作を軽減するために短期的に、又は発作の頻度を下げるために長期的に用いられる。医学上又は環境上の誘発因子を取り除くことも同様に患者を助ける重要な手段である。しかし、片頭痛の病態生理学の理解不足から分かる様に、基礎となる片頭痛自体の病状の治療法は依然として存在しない。実際的な療法は多くの患者に有益ではあるが、それでもこの疾患が治ることはない。【0007】αリポ酸は天然に存在する抗酸化剤であり、かつグルコース代謝系のピルビン酸脱水素酵素の補助因子であり(Packer L. et al., Free Radicals in Biology & Medicine 19 (2) : 227-250, 1995)、そして糖尿病性多発性神経障害の治療のために広く用いられている(Ziegler D. et al., Diabetologia 38 : 1425-1433; 1995)。更に、αリポ酸は、長年、肝疾患(Bode J. Ch. et al., DMW 112 (9), 349-352, 1982)及び真菌による中毒(Brunn J. et al., Internist. Prax. 19 : 475-478, 1979)を治療するために用いられていた。その分子作用機序は、最近、糖尿病に特異的な抗酸化剤の作用として認められた(Nagamatsu M. et al., Diabetes Care 18 (8) : 1160-1167, 1995)。【0008】酸化型及び還元型のαリポ酸の生物学的効果及び治療効果が、代謝産物としての種々の誘導体においても、時に低下した形で、時に向上した形で見つかっている(例えば3−ケトリポ酸、1,2−ジセレノラン−3−ペンタン酸、リポアミド、オクトチアミン、2−(N,N−ジメチルアミン)エチルアミドリポエート塩酸、トコフェリルリポエート及びトコトリエニルリポエート、ガンマ−ヒドロキシブチラートリポエート、リポ酸ビタミンEエステル、リポ酸のN−アセチル−p−アミノフェノール誘導体など(Tirosh O. Sen CK, Roy S, Kobayashi S, Packer L. Neuroprotective effects of α-lipoic acid and ist positively charged amide analogue. Free Rad Biol Med 26 (11/12), 1418-1426, 1999); EP 0 855 396 A1, EP 0 869 126 A1, PCT/GB98/02155, WO99/06040, DE 43 27 462 A1)。【0009】これらの誘導体は、インビボの代謝及び分布を改良するために提唱されたものであり、また中枢神経系への分布にも用いられうる。また、いくつかの誘導体は、αリポ酸の生物学的標的(生物学的酸化還元系、例えばαケト酸脱水素酵素、Hタンパク質、チオレドキシン、グルタチオン還元酵素、又は細胞酸化還元系、例えばグルタチオン、ユビキノン、呼吸鎖の複合体I、又は酸化還元感受性及びSH感受性タンパク質及び酵素、NO系、カタラーゼ、細胞シスチン/システイン転換、ホモシステイン、チロシンキナーゼ、MAPキナーゼ、金属イオン(錯体化用)、アルファ−1−抗プロテイナーゼ、又は酸化還元感受性転写因子、例えばNF−kB若しくはAP1)に対する効果(例えば親和性や代謝回転速度)を改善することも、あるいは相乗的又は相加的な薬理学的効果のために、その他の活性な物質とαリポ酸とを連結させることもできる。【0010】従って本文では、用語「αリポ酸」は、鏡像異性体、混合ラセミ体及び鏡像異性体混合物を除いて、αリポ酸の活性なジチオラン基が、当該誘導体の生物学的効果及び医学的効果に対して部分的に役立っている限り、その誘導体(エステル、チオエステル、エーテル、塩、アミド、代謝産物など)も包含する総称として用いられる。【0011】αリポ酸を含有する医薬は長年調製されており、しかも十分な許容性を有する(tolerated)。現時点までに、多数の可能性のある使用法が試されてきたが、片頭痛の治療における有用性は報告されていない。本発明の目的は、片頭痛患者の健康状態を改善することである。【0012】この目的を、片頭痛の予防、又は短期的若しくは長期的な治療のための活性成分として、還元型又は酸化型のαリポ酸のラセミ体又は鏡像異性体、あるいはその医薬上容認されうる塩、アミド、エステル又はチオエステルを使用することによって達成する。【0013】この有効性は、片頭痛発作の重症度の低下、そして更により重要なことに、その頻度の低下に帰因する。最も好ましい例では、αリポ酸又は前記のその誘導体の長期間の使用により、全ての発作を消失させることを介して片頭痛を治療することが完全に可能となる。【0014】本発明のもう一つの重要な利点は、用いられる当該活性成分が非常に高い許容性を有することである。当該活性成分を、経口又は非経口投与用の医薬として調合することも、あるいは非経口的栄養のための食物補助剤又は治療食の形で投与することもできる。【0015】適当な調製方法が特許文献から知られており、例えば下記公報に記載されている。EP 0 858 802 A2EP 0 318 891 A1EP 0 560 092 B1US 5,650,429 AUS 5,334,612 AUS 5,569,670 A【0016】この様にして製造された製品を、使用目的を表示して市場に出すことができる。ただしこれは、専門家及び患者のための使用説明書に関する適切な国内規制に従う必要がある。この場合、当該製品は、通常、医薬に関する法規、又は、適宜、食品補助剤に関する法規に従う。【0017】活性成分の投与量は、標準的には1日あたり100〜1800、好ましくは200〜1200、特には200〜600mgのαリポ酸ラセミ体であり、あるいは、ジチオラン残基に基づいて等価な投与量のその他のいずれかの活性成分である。この全投与量を1日に1回投与するか、又は1日に2又3回に分けて投与する。【0018】還元型又は酸化型のαリポ酸の誘導体(例えば塩、エステル、チオエステル、エーテル、アミド、代謝産物)を、等価な濃度、又は標的構造(生物学的酸化還元系)に対する等価な生物学的効果が達成される投与量で投与する限り、これらの誘導体を同様に用いることができる。右旋性のαリポ酸(R(+)−α−リポ酸又はR(−)−ジヒドロリポ酸)又はその誘導体の使用が好ましい。【0019】本発明の別の好ましい態様は、当該活性成分を、片頭痛を治療するために用いられる別の1又は数個の物質と、自由な状態又は固定した状態で、組み合せて投与することである。【0020】組み合せる物質の好ましい例は、限定ではなく、スマトリプタン又はトリプタン群中の別の化合物、エルゴタミン又はその誘導体、βブロッカー、抗痙れん薬、鎮痛薬、抗嘔吐薬、又はカルシウムチャネルブロッカーである。【0021】同様に、当該活性成分を、ビタミン、抗酸化剤及び/又は生物学的に機能する補助因子と自由な状態又は固定した状態で組み合せて投与することも有益である。この場合、ビタミンB2 が特に好ましい。【0022】本発明を、限定することなく、実施例により説明する。医薬実施例実施例1:600mgのαリポ酸ラセミ体を含有する錠剤60%が100μm超であるという粒子サイズを有するαリポ酸ラセミ体1200gを、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−LH 22/Shin Etsu)120gと混合し、この混合物を純水600gによって湿らせ、そしてこねる。【0023】メッシュ幅2mmのふるいに通した後、その顆粒を乾燥し、そして再びメッシュ幅1mmのふるいにかけ、ステアリン酸マグネシウム48gを混合した後、圧縮して、重さ684g、長さ18mm、幅8mm及び曲率半径6mmの長円形の錠剤に成形する。一錠が600mgのαリポ酸ラセミ体を含有する。次に、この錠剤に、伝統的な標準的方法により、胃液中で溶ける、又は胃液を透過するフィルムコーティングを施すことができる。【0024】実施例2:10ml中にトロメタモール塩として200mgのαリポ酸ラセミ体を含有するアンプル9Lの注射用水及び200gの1,2−プロピレングリコールの混合液中に、352.3gのトロメタモール(2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)と共に、250gのαリポ酸ラセミ体を、撹拌しながら溶解した。この溶液を注射用水により12.5Lに増やし、それをグラスファイバープレフィルター付きの孔径0.2の膜フィルターにより濾過する。その濾液を、無菌条件下で滅菌済み10mlアンプルに10mlずつ分注する。1本のアンプルが、注射溶液10ml中にトロメタモール塩として200mgのαリポ酸ラセミ体を含有する。【0025】臨床実施例種々の強さの、市場で入手可能な投与剤の形で、1日に200〜600mgの投与量で短期間及び長期間、片頭痛患者にαリポ酸ラセミ体を経口投与した。この活性成分を、午前中に1回、又は1日中必要に応じて投与した。片頭痛発作の頻度及び重症度を、処置前の期間と比較した。この活性成分を、治療経験のない患者、又は、既に治療を受けている患者及び以前に別の抗片頭痛活性成分により治療したが、その治療に対して十分に応答しなかった患者に投与した。【0026】【0027】片頭痛患者の医学的治療においてこれらの観察事実を評価するために、その他の治療による経験と比較して、認められた効果が非常に著しいことを考慮しなければならない。特に、これ以外の場合には治療されない患者における効果は注目に値し、かつ驚異的である。このことから、将来の片頭痛治療において本発明の価値が強調される。 αリポ酸のラセミ体又はその医薬上容認される塩を活性成分として含有する、片頭痛の予防又は短期若しくは長期治療のための医薬。 片頭痛発作の重症度又は頻度を下げる、請求項1に記載の医薬。 前記活性成分が医薬剤の形である、請求項1又は2に記載の医薬。 前記活性成分が食物の形又は非経口的栄養用の食物補助剤の形である、請求項1又は2に記載の医薬。 1日あたり100〜1800mgの投与量でαリポ酸のラセミ体を活性成分として用いる、請求項1又は2の医薬。 1日あたり200〜1200mgの投与量でαリポ酸のラセミ体を活性成分として用いる、請求項1又は2の医薬。 1日あたり200〜600mgの投与量でαリポ酸のラセミ体を活性成分として用いる、請求項1又は2の医薬。 前記投与量を1日に1回投与するか、又は1日に2若しくは3回投与する量に分けて投与する、請求項5〜7のいずれかに記載の医薬。 前記活性成分を、片頭痛を治療するために用いられる別の1又は数個の物質と組み合せて投与する、請求項1に記載の医薬であって、前記1又は数個の物質が、バルプロエート、シクランデレート、アセチルサリチル酸及びビタミンB2から選択される、前記医薬。


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