生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_タマネギまたはニンニクの口臭を減少させるための硫黄吸着剤
出願番号:2001516483
年次:2004
IPC分類:7,A61K7/16,A23G3/30,B01J20/22


特許情報キャッシュ

バーグ, ケネス エイ. JP 3595797 特許公報(B2) 20040910 2001516483 20000814 タマネギまたはニンニクの口臭を減少させるための硫黄吸着剤 ピーキュー ホールディング, インコーポレイテッド 500422115 山本 秀策 100078282 バーグ, ケネス エイ. US 60/149,031 19990816 20041202 7 A61K7/16 A23G3/30 B01J20/22 JP A61K7/16 A23G3/30 B01J20/22 A 7 A61K 7/00-7/50 A23G 3/30 A61L 9/01 特開昭60−129054(JP,A) 特開平2−180633(JP,A) 特開平4−159211(JP,A) 特開平2−184615(JP,A) 国際公開第99/17735(WO,A1) 6 US2000022388 20000814 WO2001012136 20010222 2003506469 20030218 7 20020214 福井 悟 【0001】(技術分野)本発明は、概して、食品および医薬が摂取された場合に生成される硫黄含有化合物によって生じる口臭を除去または減少させるための組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、ニンニクまたはタマネギを含む食物中に含まれる硫黄含有化合物ならびにそれらの成分および誘導体を吸着することによって、口臭を除去または減少させることに関する。【0002】(発明の背景)多くの化学製品および食品は、硫黄含有化合物を含み、これらは強い臭いを有する。これらの化学製品または食品の摂取は、しばしば、経口摂取された化合物もしくはそれらの代謝産物のいずれか、またはその両方からの望ましくない臭いを有する息を生じる。ニンニクおよびタマネギは、特に強い硫黄臭を有する食物であり、そして特に望ましくない口臭を生じる。【0003】ニンニクならびに他の食品および化学製品は、種々の硫黄含有成分(アリシン、アリイン、およびジアリルジスルフィドを含む)を含むかまたは生成する。ニンニクまたは他の食品および化学製品の摂取により生じることが見出された硫黄含有化合物としては、アリルメルカプタン、ジアリルジスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、メチルアリルジスルフィド、アリルメチルスルフィド、ジアリルスルフィド、ジメチルトリスルフィド、メチルアリルトリスルフィド、およびアリルチオールが挙げられる。【0004】硫黄臭(ニンニクおよびタマネギのような食物からの臭い、および医薬からの臭いを含む)の除去は、種々の化学化合物およびプロセスを用いて試みられてきた。これらの試みの多くは、個体の息から臭いを除去する工程を包含した。【0005】クロロフィルおよびレモンジュースの両方が、ニンニクの消費に関連する臭いを除去することが報告された。さらに、カルダモンの種子、メントール、コリアンダー、精油、およびクロロフィルの組み合わせは、臭い息を防ぐために使用されてきた。緑茶フラボノイドおよびシクロデキストリンはいずれも、息をさわやかにするために使用されてきた。さらに、シクロデキストリンは、ニンニク抽出物を脱臭するために使用されてきた。コリノイドはまた、特定の医薬品中の硫黄臭を防ぐために使用されてきた。【0006】無臭のニンニクを得るための試みは、エタノールおよびα酵素;乾燥卵黄および卵殻;ヘキサリン酸ミオイノシトールエステル、卵粉末、またはその両方;水酸化マグネシウム;カルシウム塩(および/またはマグネシウム塩)、アルギン酸塩、ゼオライト、およびケイ藻土の懸濁物;炭酸水素ナトリウムおよび有機酸混合物;α,β−不飽和有機酸;豚挽肉および粉末にんじん葉;シリカゲル、フィチン酸、および亜鉛塩;炭酸塩および酢酸;みりん、酢、クエン酸、および卵白の溶液;ビタミンCおよび種々の乾燥植物部分;酸化マグネシウム粉末;を用いて処理する工程ならびに二酸化炭素雰囲気中で加熱することによって乾燥する工程、を包含した。多くのこれらの組成物および方法に関する共通の問題は、これらが、食物または経口摂取される医薬に組み込まれた場合に、これらの食物または医薬の風味を変えることである。【0007】さらに、硫黄吸着剤は一般的に、ニンニクおよびその派生物中に一般に見出される還元形態の硫黄(例えば、硫化水素、メルカプタン、およびアリルスルフィド)ではなく、二酸化硫黄の除去のために使用されてきた。一般的に、以前に使用された化合物としては、炭素および銅、酸化銅、セルロース上の炭酸銅、シャプチロ沸石、ならびにケイ酸アルミニウム上に支持された銅が挙げられる。これらは、食物には組み込まれていない。【0008】従って、硫黄含有化合物を吸着するためおよび硫黄臭(例えば、ニンニクおよびタマネギならびにそれらの派生物および代謝産物中に見出される硫黄臭)を除去または減少させるための組成物およびプロセス(これらは、食物および経口摂取される医薬に組み込まれ得る)の必要性がなお存在する。硫黄に基づく臭いを除去するための従来の吸着剤および処理の欠点を克服するために、息から硫黄臭を除去または減少させるための新規な硫黄吸着組成物および方法が提供される。【0009】(発明の要旨)これらおよび他の目的を達成するために、本発明は、硫黄含有化合物を吸着して、ニンニク、タマネギ、および他の食物または医薬によって生じる口臭を除去または減少させるための組成物を提供する。これらの組成物は、種々の形態(例えば、ガム、スプレー、ミント、またはうがい薬)で、それらの香味を妨げることなく提供され得る。これらの組成物は、水性環境において低い溶解度を有する金属錯体であり、基質および配位子、ならびに必要に応じて支持体を含む。配位子は、その側鎖が硫黄、窒素またはカルボン酸を含むアミノ酸を含み得;基質は、配位子と錯体をつくる金属を含み得る。必要に応じて、この錯体はキャリア中に含有される。さらに、金属イオンに錯体化した、ポリスチレンに基づく強カチオン交換体は、硫黄化合物吸着剤として機能する。【0010】本発明のさらなる実施形態においては、錯体は、天然に存在するアミノ酸、改変された天然に存在するアミノ酸、または天然に存在しないアミノ酸(これらの側鎖の各々は、硫黄、窒素、またはカルボン酸を含む)および錯化金属を含む。この錯体は、水または他の水性環境に実質的に不溶性であり、シリカゲル全体に分散される。全体に分散された錯体を有するゲルキャリアは、水性環境において錯体自体よりも可溶性が低い。【0011】本発明のなお別の実施形態においては、食物(例えば、ニンニクおよびタマネギ)または医薬の消費に関連する硫黄臭を除去または減少させるための方法が提供される。これらの方法は、本発明の硫黄吸着組成物を、硫黄臭を発する食物または医薬を消費した個体に経口投与する工程を包含する。【0012】前述の一般的な記載および以下の詳細の記載はいずれも、本発明の例示であるが、限定ではないことが理解されるべきである。【0013】(発明の詳細な説明)本発明の硫黄吸着組成物は、2つの成分:基質および配位子の錯体を含む。配位子は、一般的にアミノ酸であり、そして基質は、この配位子と錯体をつくる金属である。この吸着組成物の成分は、好ましくは水における低い溶解度を有し、そしてキャリア中に含有される。この錯体の低い溶解度は、この吸着剤が吸着の部位(例えば、口の中)でより長く存在することを可能にする。【0014】アミノ酸は、その側鎖が硫黄を含むアミノ酸(例えば、システインまたはメチオニン);その側鎖が窒素を含むアミノ酸(例えば、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、またはヒスチジン);またはその側鎖がカルボン酸であるアミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)であり得る。アミノ酸の天然に存在する形態および改変された形態の両方が、この錯体において使用され得る。さらに、その側鎖が、硫黄、窒素、またはカルボン酸を含む、天然に存在しないアミノ酸は、この錯体に組み込まれ得る。例えば、システインに類似しているが、CH2−SH側鎖のメチル基が類似のアルキル基(例えば、エチル基またはプロピル基)で置換された、天然に存在しないアミノ酸が使用され得る。【0015】改変された形態のアミノ酸は、官能性においていかなる実質的な変化も生じない、アミノ酸の小さな変化を意図する。酸化は、天然に存在するアミノ酸になされ得る改変の1つの型である。システインは、酸化によって改変されてジアミノ酸シスチンを形成し得る。【0016】錯化剤は、金属、好ましくは、銅、亜鉛、鉄、または任意の他の適切な錯化金属である。キャリアは、ゲル(例えば、シリカゲル)または任意の他の適切なキャリア材料であり得る。好ましい吸着剤は、シリカゲル中にシスチン(またはシスチンHCl)と銅との錯体を含む。【0017】この錯体は、水または他の水性環境において低い溶解度を有する。例えば、唾液と接触した場合、この錯体は、少なくとも1時間、ヒトの口の代表的な条件下で実質的に溶解していない固体のままである。【0018】この組成物は、硫黄含有化合物によって生じる口臭の排除または除去に有効である。このような臭いの例は、ニンニクの置換基および代謝産物によって引き起こされる臭いである。これらは、硫化アリル(例えば、アリシンおよびアリイン)からなり得る。【0019】この組成物は、それらのチューインガム、ミントもしくは他の製品への組み込みを可能にする粉末の形態、または代替の固体もしくは液体の形態(例えば、うがい薬もしくはスプレー)であり得る。この組成物は、それらが組み込まれたガムまたは他の製品の香味に影響を与えない。詳細には、本発明の硫黄吸着組成物は、チューインガム、ミント処方物、またはうがい薬中にしばしば存在するミント油の芳香に影響を与えない。【0020】アミノ酸以外の物質との金属錯体もまた、有効な硫黄臭減少組成物であり得る。官能基として強カチオン交換体(例えば、スルホン酸)を有する化合物は、金属イオンと錯体を作り、硫黄含有化合物からの臭いの除去に活性な錯体を形成し得る。本明細書中で使用される場合、句「強カチオン交換体」は、その従来の意味(すなわち、カチオンがその化合物と別の化合物との間で交換される可逆的化学反応を容易に起こす化合物)を意味する。強カチオン交換体の1つの型は、モノマー(C6H5CHCH2)nから形成され、そして好ましくは、3’位にSO3−基を有する、ポリスチレンに基づく強カチオン交換体である。例えば、金属イオンと錯体をつくる場合、ポリスチレンに基づく強カチオン交換樹脂であるDowex(登録商標)50W(Dow Chemical Company製)が、有効な硫黄吸着剤である。【0021】本発明の組成物は、ガム、ミント、スプレー、うがい薬、またはこの組成物を送達するための他のビヒクルの口内配置によって投与される。好ましくは、この組成物は、硫黄に関連する臭いを除去または減少させるために十分な時間(約1時間まで)、口の中に残る。【0022】ガム、ミント、うがい薬、またはスプレー中のこの吸着剤の濃度は、広い範囲にわたって変化し得、各状況と共に変化する因子の数に依存し得る。これらの因子としては、錯体の型、減少させるべき臭い、食物の形態、および効力の所望の持続期間が挙げられる。1つの例においては、シスチン−銅は、0.3重量%の濃度でガムに添加された。また、キャリアが使用される場合、キャリア中の金属錯体の濃度はまた、広い範囲にわたって変化し得る。この濃度は、キャリアのゲル化に悪影響を与えるほど高いべきではないが、効果がないほど低いべきでもない。キャリア中の20重量%錯体の濃度が適切であることが見出された。【0023】本明細書中において、吸着および吸着剤に対する言及がなされているが、これは、臭いを減少させるために生じる他の機構を排除するように読まれるべきではない。吸着は、臭いを減少させるための主な機構であるが、他の機構(例えば、吸収)もまた生じ得ると考えられる。【0024】(実施例)(実施例1:)(シスチン−銅錯体の合成)40mlの水と4.42グラムのシステインHClとを合わせ、それを1M NaOHで10のpHにすることによって、シスチンの溶液を作製した。1滴の1M硫酸銅(II)を加え、紫色の溶液が緑色に変わるまで、この溶液を通して室温で酸素をバブリングした。塩酸を用いて、pHをpH6〜8に調整した。【0025】4.32gの塩化銅(II)二水和物と10mlの水とを合わせることによって、金属塩の溶液を作製した。この金属溶液とアミノ酸溶液とを攪拌しながらゆっくり合わせると、すぐに不溶性錯体が形成された。1M水酸化ナトリウムを用いて、pHをpH6〜8に調整した。この錯体を水で洗浄し、Buechner漏斗で濾過によって取り出した。この錯体を、オーブン中60℃で一晩乾燥させた。【0026】(実施例2:)(シリカ支持シスチン−銅錯体の合成)実施例1のシスチン−銅錯体の水性懸濁液(50ml中5g)を、希釈したケイ酸ナトリウム(200mlのケイ酸ナトリウム(3:22の比のSiO2:Na2O w/w、37.6%固体)+200mlの水)と混合し、これに約20mlの8N硫酸を迅速に加えて混合した。懸濁液は、3分以内にゲル化した。室温で60分間のインキュベーションの後、固体を粉砕し、650μシーメンス(Seimens)の伝導率まで水で洗浄し、60℃で乾燥し、次いで粉末になるまで粉砕した。【0027】(実施例3:)(ポリスチレンに基づくカチオン交換体−銅錯体の合成)Dowex(登録商標)50W(H+型、200〜400メッシュ)のアリコート(2.0g)を、50mlの0.1M塩化銅(II)と共に室温で2分間攪拌した。10N水酸化ナトリウムおよび1N水酸化ナトリウムでpHを中性に調整し、そしてさらに10分間攪拌を続けた。次いで緑色固体を濾過し、500mlの水で3回洗浄し、60℃で一晩乾燥した。【0028】(実施例4:)(シスチン−銅錯体の活性)すべての希釈操作は、蓋をしたボトル中、窒素下で、水を用いて行った。硫化水素をシリンジ中で気体として測定し、脱酸素水を含む密封ボトル中に注入した。振とう後、すべての硫化水素(H2S)が水中に溶解したと想定して、この気体の密度を用いて濃度(ppb w/w)を計算した。【0029】すべての液体化合物は、シリンジで取り扱った。チオールの濃度を、その比重が1であると想定して報告する。実施例1によって作製した吸着剤を、乾燥粉末としてボトルに量り取り、その後、密封し、そしてその後、室温の希硫化物溶液を加えた。20分間の振とう後、ボトルを開封し、注意深く中身の臭いを嗅いだ。【0030】表1は、ミント油を等しく存在させた下での硫黄化合物の吸着を示す。この実験の目的は、チオール臭を除去するが、ミント油の芳香は除去しないことであった。吸着剤は3つの硫黄化合物すべての臭いを除去したのみならず、ミント油の芳香は全く減少させなかった。【0031】【表1】(表1.ミント油の存在下での硫黄化合物の吸着。硫化水素(50ppb)を除くすべての硫黄化合物は、5ppb(w/v)で存在した。ミント油は、50ppbレベルで加えた。吸着剤は、0.1% w/vであった。)(実施例5:)(他の金属−アミノ酸錯体の活性)2.74gのアミノ酸を40mlの水に溶解することによって、各アミノ酸溶液を作製した。金属との錯体を、実施例1の第2工程に記載されるように合成した。【0032】水中に627nmolのアリルメルカプタンを含む溶液5mlを用いて、臭い除去を試験した。金属錯体の懸濁液をメルカプタン溶液と混合し、密封したバイアル中、室温で10分間反応させ、次いで残留臭を嗅いだ。【0033】表2は、銅錯体に加えて、第二鉄錯体および亜鉛錯体が、アリルメルカプタンの臭いの除去にいくらかの活性を有したことを示す。【0034】【表2】(表2.ニンニク臭の除去における金属錯体の活性。記号;++=完全な臭い除去;+=わずかな臭いが残っている;−=臭いの除去なし;NA=錯体は不溶性ではなかった;?=アリルメルカプタン臭は、メチオニン臭によってマスクされた。)上記に示され、そして表2に示されるように、アミノ酸以外の物質との金属錯体は有効である。官能基として強カチオン交換体(例えば、スルホン酸)を有する化合物は、金属イオンと錯体をつくり、硫黄含有化合物からの臭いの除去に活性な錯体を形成し得る。例えば、ポリスチレンに基づく強カチオン交換樹脂である、Dowex(登録商標)50(粒径38〜75μm、Dow Chemical Companyから入手した)は、金属イオンと錯体をつくる場合、有効な硫黄吸着剤である。【0035】本明細書中で、ある特定の実施形態を参照して例示および記載されるが、それにも関わらず、本発明は、示された詳細に限定されることを意図されない。むしろ、特許請求の範囲の範囲内および特許請求の範囲の均等の範囲内で、かつ本発明の精神から逸脱することなく、詳細において種々の改変がなされ得る。 シリカゲルを含むキャリア中にシスチンHClと銅との錯体を含み、かつ水性環境において低い溶解度を有する、硫黄を吸着するための組成物。 ガム、ミント、うがい薬、またはスプレー中に含有される、請求項1に記載の組成物。 個体に請求項1に記載の組成物を投与する工程を包含する、硫黄含有化合物の口臭を除去または減少させるための方法。 前記錯体が、前記キャリア中に20重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。 本質的にシリカゲルを含むキャリア中のシスチンHClと銅との錯体からなり、かつ水性環境において低い溶解度を有する、硫黄を吸着するための組成物。 前記錯体が、前記キャリア中に20重量%の濃度で存在する、請求項5に記載の組成物。


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