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タイトル:特許公報(B2)_保護されたチオールを脱保護する方法
出願番号:2001511418
年次:2011
IPC分類:C07K 1/06,C07K 7/08,C07K 7/16


特許情報キャッシュ

カスバートン、アラン JP 4738683 特許公報(B2) 20110513 2001511418 20000719 保護されたチオールを脱保護する方法 ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ 396019387 荒川 聡志 100137545 カスバートン、アラン GB 9916919.5 19990719 GB 0003926.3 20000218 GB 0007865.9 20000331 20110803 C07K 1/06 20060101AFI20110714BHJP C07K 7/08 20060101ALI20110714BHJP C07K 7/16 20060101ALI20110714BHJP JPC07K1/06C07K7/08C07K7/16 CA/REGISTRY(STN) BIOSIS/WPIDS(STN) Tetrahedron Lett.,Vol.32,No.9(1991)p.1223-1226 Chem.Pharm.Bull.,Vol.41,No.6(1993)p.1030-1034 J.Am.Chem.Soc.,Vol.115,No.22(1993)p.10203-10210 Tetrahedron Lett.,Vol.41,No.19(2000.May)p.3661-3663 J.Pept.Res.,Vol.54,No.6(1999.Dec.)p.468-479 Lett.Pept.Sci.,Vol.3,No.6(1996)p.327-332 Tetrahedron Lett.,Vol.34,No.31(1993)p.4931-4934 J.Am.Chem.Soc.,Vol.113,No.17(1991)p.6657-6662 9 GB2000002796 20000719 WO2001005757 20010125 2003505368 20030212 10 20070703 高堀 栄二 【0001】本発明は、保護されたチオール化合物、特にアセトアミドメチル、4−メチルベンジルおよびt−ブチル基(本明細書では以後、それぞれAcm、MBzlおよびtBuと称する)により保護されたチオールであって、ジスルフィドを生成する脱保護されたチオールの同時酸化を伴う脱保護のための新規な方法に関する。そのような方法は、ペプチド合成において特に有用である。【0002】有機合成の間、望ましからぬ副反応における関与を防ぐためにある種の反応性官能基を保護することはまったく日常的なことである。例えば、反応性カルボニル官能基はしばしばケタールとして保護され、反応性ヒドロキシル及びカルボキシル基はしばしばエステルとして保護される。【0003】システイン中に存在する中性であるがしかし強い求核性のチオール基は、一般的に、ペプチド合成の間保護を必要とする。ベンジル、MBzl、4−メトキシベンジル、トリチル、メトキシトリチル、tBu、t−ブチルチオール、アセチル、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニルおよびAcmを含む広範なチオール保護基が公知である。それら全ての基は、ペプチド合成において有効に用いられてきたし、「ザ・ペプチド」第2巻、グロスおよびマインホッファー編集、アカデミックプレス、233〜240ページ(1980年)においてバラニーとメリフィールドにより概説されている。【0004】Acmはチオール保護基であり、それは、通常、例えば、水銀(II)、ヨウ素、銀(I)またはタリウム(III)による処理により酸化開裂(oxidative cleavage)により取り除かれる。それは一般的に酸安定性とみなされる。というのは、Acmの酸分解開裂は、無水または水性酸中で理論的に可能であるけれども、そのような反応は、硫黄原子のプロトン付加における困難さのために実際上不便なほど遅延性であるからである。【0005】このコンテキストにおいて、Chem.Pharm.Bull.41(6)、1030〜1034ページ(1993)においてフジイらは、Cys(Acm)およびトリフルオロ酢酸(TFA)/10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いるオキシトシンの合成および酸化を記述する。その著者らは、Cys(Acm)−オキシトシンが、上記TFA/DMSO混合物中の12時間処理後にほぼ無傷に持ちこたえたと述べ、Acm保護がそのような酸条件の下で安定であることを示している。S−Acm基はまた、フッ化水素酸(HF)およびヒドラジンのような強力な求核試薬に対して安定であるとして、J.Am.Chem.Soc.94、5456〜5461ページ(1972)においてビーバーらによっても報告されていた。【0006】バン・リートショーテンらは、ペプチド(1977)、522〜524ページにおいてHF−アニソールによる4つのAcm基を含むペプチドの処理は、20%の除去されたAcm基をもたらしたと報告した。より最近では、フィッシャーらは、J.Pep.Res.49(4)、341〜346ページ(1997)において、Acmの酸分解開裂によるチロシン残基に対する修飾を記載し、シンらは、テトラヘドロン・レターズ第37巻第24号4117〜4120ページ(1996)においてC末端Cys(Acm)ペプチドからのAcmの部分的酸分解開裂について報告する。それらの酸誘起脱保護反応は、ペプチド開裂の間の望ましからぬ副反応とみなされる。【0007】MBzlチオール保護基は、伝統的に、−5℃から0℃の温度でHFのような強酸を用いて開裂される。テトラヘドロン・レターズ第32巻第9号1223〜1226ページ(1991)においてオオタカらは、MBzl基はTFAに対して安定であり、MBzl保護化システインは室温でTFA/10%DMSOによる処理の際にシスチンに変換されないことを報告する。【0008】tBuチオール保護基は、典型的に、例えば水銀(II)による処理により、またはトリフルオロメタンスルホン酸による酸分解により酸化開裂により取り除かれる。その基は、TFAおよびヨウ素酸化に対して安定であると考えられる。【0009】J.Am.Chem.Soc.第114巻第11号4137〜4143ページ(1992)においてアカジらは、MBzl、tBuおよびAcmを含む様々のシステイン保護基の酸分解除去を報告するけれども、反応は、適切なシリルクロリドの存在に依存する。【0010】本発明は、特に反応温度が上昇するとき、Acm、MBzlおよびtBuチオール保護基が酸化条件の下で酸に対して不安定であるという予想しなかった発見に基づいている。したがって、tBuチオール保護基は、室温でこの方法で急速に開裂し、高温でさらにより急速に開裂しうる。AcmおよびMBzlチオール保護基は、数時間以下の反応時間で実質的に定量的な脱保護を達成することが可能であるほど、30℃を超える温度で、特に50℃以上の温度でそのような条件の下で不安定さが増大するようになる。そのような酸誘起脱保護は、そのことがAcm、MBzlおよびtBu基を除去するために現在用いられるより毒性の試薬の使用の必要を回避するという点において特に有益である。酸化剤の存在下で脱保護を行うことにより、遊離したチオール基は、直接分子間または分子内ジスルフィド基に変換される。本明細書で以下検討されるように、このことは、ジスルフィド結合を含む環状ペプチドの合成において特に有用な応用を有する。【0011】したがって、1つの側面によれば、本発明は、Acm−、MBzl−および/またはtBu−保護化チオールの脱保護のための方法であって、脱保護およびジスルフィド結合の生成をもたらすのに十分な温度で酸化剤の存在下で前記保護化チオールと酸を反応させることを含む方法を提供する。【0012】水性および無水酸の両方が本方法において用いられ得る。したがって、例えば、塩酸のような鉱酸のような水性無機酸および例えば、酢酸、またはより好ましくはTFAのような強カルボン酸のようなカルボン酸、およびメタンスルホン酸のようなスルホン酸のような水性または無水有機酸が有用であろう。【0013】DMSOは、本方法において有用な酸化剤の好ましい例である。テトラメチレンスルホキシドのような他のスルホキシドもまた有用であろう。しかしながら、カリウムスーパーオキシドまたはニッケルペルオキシドのような金属スーパーオキシドおよびペルオキシド、ナトリウムトリチオカーボネートのようなチオカーボネートおよび炭酸トリフェニルビスマスのような有機金属炭酸塩もまた有用であろう。【0014】好ましい態様において、脱保護されるチオールは、1以上のAcm−、MBzl−および/またはtBu−保護化システイン残基を含むペプチドである。【0015】ペプチドは、インビボでの疾患特異的マーカーのターゲッティングにとってきわめて適している分子のクラスを表し、顕著な関心が、標的とされる画像化薬剤(targeted imaging agent)の潜在成分としての合成ペプチドの調製に向けられている。【0016】システインを含むペプチドの合成は、ペプチド化学者に特別の挑戦の機会を提供する。というのは、そのペプチドは、還元されている状態かまたは酸化されている状態かのいずれかで存在し得るからである。2以上のシステイン残基を含む酸化されたペプチドは、ダイマー、トリマーもしくはマルチマー(multimer)のような分子内ジスルフィドまたは分子間ジスルフィドを形成し得る。したがって、例えば、6個のシステイン残基を含むペプチドは、潜在的に15のジスルフィド異性体を形成することが可能であり、それゆえ、もし正確なジスルフィド対形成がそのようなペプチドにおいて達成されるべきであるならば、注意深い計画と適切な保護ストラテジーの選択が要求される。強い親和性の受容体との結合が可能な生物学的に活性のコンフォメーションを与えるためには、正確な対形成がペプチド主鎖(backbone)の正確な折りたたみおよび側鎖官能基の付随する配向にとってしばしば重要であることが理解されるであろう。【0017】2以上のジスルフィド結合の選択的生成のための典型的な現在のストラテジーは、トリチルとAcmまたはt−ブチルチオとAcmのような保護基の組み合わせを用い、第1ジスルフィド結合はトリチルまたはt−ブチルチオ基の除去の後に生成し、第2の結合は、例えば、ヨウ素またはトリフルオロ酢酸タリウムを用いてのAcm基の酸化開裂により生成する。多橋(multibridged)ペプチドの合成の他の例には、Helv.Chim.Acta.57、2617〜2621ページ(1974)において記載されているシーバーらによるインスリンの溶液合成(solution synthesis)およびアサートンら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1、2065ページ(1985)およびアカジら、J.Am.Chem.Soc.115、11384ページ(1993)の手順が含まれる。【0018】本発明による脱保護は、2以上のジスルフィド結合が「ワンポット(one pot)」反応で生成しうるようにし、それにより部分的に酸化されたか部分的に保護されたペプチドの中間精製の必要を回避し、そうして溶媒の使用および時間の節約ならびに生成収率の改善を達成して、そのようなストラテジーの顕著な単純化を可能とする。したがって、2つの酸不安定チオール保護基(例えばトリチル基)ならびに2以上のAcmおよび/またはMBzl基を含むペプチドを調製することにより、第1のジスルフィド結合は比較的低温(例えば周囲温度)でペプチドの酸処理により生成しうるものであり、1以上の更なるジスルフィド結合は、Acmおよび/またはMBzl基が開裂するように30℃を超える温度に反応混合物の温度を高めることにより簡単に生成しうる。必要とされる酸化剤は、所望により、低温処理の前後に加えられ得る。【0019】酸不安定保護基の位置は、最初に形成されるジスルフィド結合が、残りのAcm−保護化および/またはMBzl−保護化チオール基が残りのジスルフィド結合の正確な生成を容易にする方式で近接するように、分子を折りたたまれたコンフォメーションにもたらすようにすることが有利である。【0020】上記のように、tBuチオール保護基は、酸性および酸化処理により室温で容易に開裂するので、tBuとAcmおよび/またはMBzl保護の組み合わせが用いられ得、その場合、tBu基は室温で開裂し、Acmおよび/またはMBzl基は続いて30℃を超える温度に加熱することにより除去される。それゆえ、多数のジスルフィドの特異的生成が、クロマトグラフィーによる中間体の単離の必要無しに「ワンポット」ストラテジーを用いて高収率でもたらされ得る。【0021】脱保護およびジスルフィド結合生成を促進する、例えば1から20%、例えば2〜10%のDMSO含有量のTFA/DMSO混合物の使用は、本発明のそのような態様において特に好ましい。というのは、S−保護化出発物質とジスルフィド結合した中間体と最終生成物の全ては、典型的には、そのような混合物に溶解性であるからである。TFAとDMSOの両方は、更なる使用のために容易にリサイクルされ得る。【0022】トリチルおよびメトキシトリチルのようなチオール保護基は一般的に酸不安定性であり、一方、tBuチオール保護基は酸化条件の下でのみ酸不安定性であるという事実は、位置選択的「ワンポット」酸化プロセスによる3つのジスルフィド結合を含むペプチドの合成において利用され得る。したがって、トリチル、メトキシトリチルまたは他の酸不安定性基で、tBu基で、ならびにAcmおよび/またはMBzl基でそれぞれ保護されたシステイン残基の適切に位置した対を含む、樹脂で支持された合成ペプチドは、最初は、樹脂からの開裂およびトリチル、メトキシトリチルまたは他の酸不安定性保護基の開裂をもたらすために酸で処理され得る。チオール基のこのようにして発生した対は、最初の所望のジスルフィド結合を生成するように塩基性pHの水溶液中で、または水性DMSO中で酸化され得るものであり、その後、溶媒は、真空中でまたは凍結乾燥により蒸発させることができる。次いで、上記の生成物の連続低温(例えば室温)および高温(すなわち>30℃)酸性および酸化処理は、チオール基のtBu−保護化およびAcm−および/またはMBzl−保護化対の連続反応により所望の第2および第3のジスルフィド結合の生成をもたらす。【0023】本発明の手順は、システインを含むペプチドを1mg/mlを超える濃度で酸化することを可能とし、それにより、典型的には、0.1mg/ml台のペプチド濃度を用い、それで最終精製の前に例えばイオン交換クロマトグラフィーにより生成物が濃縮されることを必要とする、Acmのヨウ素開裂および空気酸化のような現存のプロトコールと比較して溶媒体積要求を実質的に減少させる。他方、本発明の手順によれば、生成物濃縮は、真空中での溶媒蒸発により簡単に行うことができる。【0024】以下の発明を限定しない例は、発明を例示する役割を果たす。【0025】例1:α−コノトキシンSI[Cys2とCys7およびCys3とCys13を結合するジスルフィド結合を有するIle−Cys−Cys−Asn−Pro−Ala−Cys−Gly−Pro−Lys−Tyr−Ser−Cys−NH2 ]の「ワンポット」合成【化1】本ペプチドシーケンスは、1mmolアミノ酸カートリッジを用いて0.12mmol規模のリンク(Rink)アミド樹脂(ノババイオケム)で出発するABI433A自動ペプチドシンセサイザーで組み立てられた(assembled)。システイン残基2および7をトリチル基で保護し、一方、残基3および13をアセトアミドメチル基で保護した。全てのアミノ酸を、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を用いて予備活性化させた(pre−activated)。【0026】樹脂からのペプチドのおよびペプチドからの(Acmを除く)側鎖保護基の同時除去は、5%トリイソプロピルシランおよび5%の水を含むトリフルオロ酢酸(TFA)による2時間の処理により行い、130gの粗生成物を得た。粗生成物のHPLC分析(バイダック218TP54カラム)を、1ml/分の流量で20分にわたって5から30%Bの勾配(A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を用いて実施した。生成物は、>90%純粋であることが見出された。更なる生成物特性測定をMALDI質量スペクトロメトリーを用いて実施した。Acm保護化生成物についてのM+Hは、1496と予測され、1502であることが見出された。【0027】2mgの粗生成物にTFA(10ml)およびジメチルスルホキシド(DMSO)(0.1ml)を加えた。混合物を氷上で攪拌し、酸化の経路(cource)をHPLCで追跡した。出発生成物、滞留時間16.2分(20分にわたって0から30%BでA=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を16.4分の滞留時間の新たな生成物とゆっくりと置換し、2時間後、出発生成物は完全に消失した。ついで、0.05mlのアニソールをペプチド溶液に加え、混合物をさらに2時間60℃に暖め、その後TFAを真空中で除去し、ペプチドをジエチルエーテルの添加により沈殿させた。完全に酸化された粗生成物(1.4mg)は、それぞれ16.9および17.8分のHPLC滞留時間で1:5の比で2つの主生成物を含んでいた。ほぼ80%の生成物を含む17.8分生成物は、α−コノトキシンの信頼しうるサンプル(バッケム,H−1112)と共溶出することが見出された。【0028】5ml/分の流量で30分にわたっての0から30%Bの勾配(A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を用いてのバイダック218TP152010半分取カラム上での精製と続く凍結乾燥は、>90%純粋であることが見出されたコノトキシン(0.7mg、35%収率)を与えた。更なる特性測定をMALDI質量スペクトロメトリーを用いて実施した。生成物についてのM+Hは1354と予測され、1356であると見出された。【0029】例2:α−コノトキシンSIの「ワンポット」合成本ペプチドシーケンスを、システイン残基2および7をt−ブチル基で保護し、一方、残基3および13を4−メチルベンジル基で保護することを除いて例1において記載されているように組み立てた。全てのアミノ酸を、HBTUを用いて予備活性化した。【0030】樹脂からのペプチドのおよびペプチドからの(t−ブチルおよび4−メチルベンジルを除く)側鎖保護基の同時除去を、5%トリイソプロピルシランおよび5%水を含むTFAによる2時間の処理により行い、125mgの粗生成物を得た。粗生成物のHPLC分析(バイダック218TP54カラム)を1ml/分の流量で20分にわたり20から60%Bの勾配(A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を用いて実施した。生成物は、15.7分の滞留時間および>90%の純度を有することが見出された。更なる生成物の特性測定をMALDI質量スペクトロメトリーを用いて実施した。部分的に保護された生成物についてのM+Hは1680と予測され、1685であることが見出された。【0031】清浄なフラスコの中の50mgの部分的に保護された粗生成物にTFA(98ml)、DMSO(2.0ml)およびアニソール(0.1mL)を加えた。混合物を室温で40分間攪拌し、反応混合物の試料をMALDI質量スペクトロメーターに掛けた。確認された新たな生成物が現れ、これは、単一のジスルフィドであり、4−メチルベンジル保護基が残っていることを確認した。この部分的に保護された生成物についてのM+Hは1565と予測され、1568であることが見出された。【0032】次いでフラスコを油浴中に配置し、3時間70℃に加熱し、続いてTFAを真空中で除去し、ペプチドをジエチルエーテルの添加により沈殿させた。沈殿をエーテルとともに粉砕し、空気乾燥してほとんど定量的収率で完全に酸化された粗生成物(45mg)を得、>90%のHPLC純度であった。【0033】完全に酸化された粗生成物の20mgのアリコットを、9ml/分の流量で40分にわたって0から30%Bの勾配(A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を用いてバイダック218TP1022 C18分取カラム上の分取HPLCにより精製した。純粋な生成物を含む画分を集め、凍結乾燥した(10mg、50%収率)。生成物は、分析用HPLCにより>99%純粋であることが見出された。更なる特性測定をMALDIマススペクトロメトリーを用いて実施した。生成物についてのM+Hは1354と予測され、1356であることが見出された。【0034】生成物は、α−コノトキシンの信頼し得るサンプル(バッケム、H−1112)と共溶出することを示した。【0035】例3:オキシトシンの合成a)Cys(Acm)保護化オキシトシンの合成:NH2 −Cys(Acm)−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys(Acm)−Pro−Leu−Gly−NH2 【化2】本ペプチドを、1mmolアミノ酸カートリッジを用いて0.25mmol規模でリンクアミドAM樹脂で出発してABI433A自動ペプチドシンセサイザーで合成した。アミノ酸を、カップリングの前にHBTUを用いて予備活性化した。樹脂からのペプチドのおよびペプチドからの(Acmを除く)側鎖保護基の同時除去を、5%トリイソプロピルシランおよび5%水を含むTFAによる1時間の処理により行った。【0036】得られた粗生成物(300mg)を、9ml/分の流量で40分にわたって5から30%Bの勾配(A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を用いて分取HPLC(バイダックC18 218TP1022カラム)により精製した。凍結乾燥の後、166mgの純粋な生成物を得た。この精製された生成物のHPLC分析(バイダックC18 218TP54カラム)を、214nmのUVによる生成物検出により5から50%Bの勾配(A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を用いて実施した。生成物の滞留時間は14.30分であった。更なる生成物の特性測定をMALDIマススペクトロメトリーを用いて実施した。生成物についてのM+Hは、1151.0と予測され、1551.5であることが見出された。【0037】b)オキシトシン[Cys1とCys6を結合するジスルフィド結合を有するNH2 −Cys−Tyr−Ile−Gln−Asn−Cys−Pro−Leu−Gly−NH2 ]を生成するための脱保護と酸化【化3】5mgのCys(Acm)−保護化オキシトシンをTFA(2ml)中に溶解させ、次いで、60℃に予備加熱されたアニソール(40μl)、DMSO(1ml)およびTFA(18ml)の混合物に加えた。この温度で5時間後、オキシトシンへの定量的変換が生じたことを、214nmのUVによる生成物検出による5から50%Bの勾配(A=0.1%TFA/水およびB=0.1%TFA/アセトニトリル)を用いての分析用HPLC(バイダック C18 218TP54カラム)により確認した。生成物の滞留時間は12.98分であった。更なる生成物の特性測定をMALDIマススペクトロメトリーを用いて実施した。生成物についてのM+Hは1007と予測され、1011であることが見出された。生成物は、ノババイオケムから購入されたオキシトシンの信頼し得る試料とともに共溶出することが見出された。【0038】例4:室温および60℃でのシステイン保護化オキシトシン類似体の脱保護および酸化速度の比較研究例3(a)の手順を、オキシトシンのCys(tBu)−保護化およびCys(MBzl)−保護化類似体を調製するために反復した。それらの類似体およびCys(Acm)−保護化オキシトシンの脱保護および酸化を、室温および60℃で例3(b)において記載されたように実施した。以下の表は、分析用HPLCにより定量されたオキシトシンへの変換の程度を要約する。60℃で定量的変換が生じたことをMALDI質量スペクトロメトリーにより確認した。【0039】【表1】例5:熱安定性エンテロトキシンSTペプチド[Cys1とCys6、Cys2とCys10およびCys5とCys13を結合させるジスルフィド結合を有するNH2 −Cys−Cys−Glu−Leu−Cys−Cys−Asn−Pro−Ala−Cys−Ala−Gly−Cys−Tyr−OH]の「ワンポット」合成【化4】本ペプチドシーケンスを例1において記載されているのと同様の方式で組み立てた。システイン残基1および6をトリチル基で保護し、残基2および10をt−ブチル基で保護し、残基5および13を4−メチルベンジル基で保護した。ペプチドを例1において記載された固相支持体から開裂させ、190mgの粗収率を得た(システイン残基1および6はチオール形態にあり、残りのシステインはいまだ保護されたままである)。50mgの部分的に保護された粗ペプチドを400mlの水/アセトニトリル(60:40)中に溶解し、pHを希釈水酸化アンモニウムの添加により8に調節した。DMSO(10ml)を加え、続く酸化の経路を分析用HPLCおよびMALDI−TOFにより追跡した。Cys1とCys6を結合させるジスルフィド結合を有する新たな生成物が1時間以内に生成することが見出され、その後、溶媒を真空中で除去した。【0040】同じフラスコの中の得られたDMSO含有残渣に、TFA(75ml)およびアニソール(0.1ml)を加え、混合物を1時間攪拌した。MALDI−TOF分析は、t−ブチル基が除去され、Cys2とCys10を結合させる第2のジスルフィド結合が形成されたことを示した。次いで、フラスコを凝縮器に取り付け、温度を1時間70℃に上昇させた。MALDI−TOF分析は、4−メチルベンジル基の完全な開裂が起こったことを明らかにした。TFAを除去し、生成物をジエチルエーテルの添加により沈殿させた。ジエチルエーテルによる粉砕と空気乾燥に続いて粗生成物を回収した。HPLCによる精製は、30%収率で純粋な生成物を産生させた。【0041】生成物は、STペプチドの信頼し得る試料と共溶出することを示し、インビトロのスクリーニングアッセイで活性(Ki=3nM)であることを確認した。 各々の対が、アセトアミドメチル(Acm)、4−メチルベンジル(MBzl)及びt−ブチル(tBu)から選択される異なるチオール保護基で保護された少なくとも2対のチオール基を有する前駆体から少なくとも2つのジスルフィド結合を有する化合物を調製する方法であって、(i)第1の対の保護チオール基についてtBu保護チオール基の脱保護とジスルフィド結合の生成をもたらすのに十分な第1の温度において、酸化剤の存在下で、前記前駆体を酸と反応させる工程、及び(ii)工程(i)からの反応混合物の温度を、第2の対の保護チオール基についてAcm及び/又はMBzl保護チオール基の脱保護とジスルフィド結合の生成をもたらすのに十分な第2の温度に上昇させる工程を含む方法。 前記酸がトリフルオロ酢酸(TFA)である、請求項1記載の方法。 前記酸化剤がジメチルスルホキシド(DMSO)である、請求項1又は請求項2記載の方法。 脱保護を1〜20%のDMSOを含むTFA/DMSO混合物を用いて行う、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。 前記保護チオールがペプチド中に存在する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。 前記ペプチドが少なくとも2つのtBu保護チオール及び少なくとも2つのAcmもしくはMBzl保護チオールを含む、請求項5記載の方法。 tBu保護チオールが工程(i)において室温で脱保護される、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。 Acm又はMBzl保護チオールが工程(ii)において30℃以上の温度で脱保護される、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。 Acm又はMBzl保護チオールが工程(ii)において50℃以上の温度で脱保護される、請求項8記載の方法。


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