タイトル: | 特許公報(B2)_親水性ポリマーの分解方法 |
出願番号: | 2001395509 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C08J11/10,C12N1/00,C08L33:02,C08L33:26 |
北國 英一 中野 勝春 田越 宏孝 石岡 信也 石井 徹弥 JP 3578138 特許公報(B2) 20040723 2001395509 20011226 親水性ポリマーの分解方法 昭和電工株式会社 000002004 柿沼 伸司 100118740 北國 英一 中野 勝春 田越 宏孝 石岡 信也 石井 徹弥 JP 2001005302 20010112 20041020 7 C08J11/10 C12N1/00 C08L33:02 C08L33:26 JP C08J11/10 C12N1/00 S C08L33:02 C08L33:26 7 C08J11/00-11/28、 B09B3/00-5/00 特開平10−075773(JP,A) 特開平08−266270(JP,A) 特開2000−239085(JP,A) 特開平09−249474(JP,A) 12 2002275307 20020925 15 20011227 中野 孝一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を好気性条件下において40℃〜95℃の温度範囲で微生物により分解させることを特徴とする親水性ポリマーの分解方法に関する。更に詳しくは親水性ポリマーまたは親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を、例えば堆肥、厩肥あるいは所謂コンポストなどのコンポスト(本発明においては発酵済みのコンポストを混合した処理前の有機性廃棄物を含むもの、堆肥または厩肥または高速堆肥リアクターなどで発酵済みのコンポストおよびコンポスト抽出液のいずれをも指す。)中に投入し、コンポスト中の微生物群等の働きにより親水性ポリマーを分解処理して再資源化するかあるいは生分解して地球上に蓄積させない処理をする方法に関するものである。【0002】【従来の技術】近年親水性ポリマーは、例えば繊維加工、増粘剤、分散剤、乳化剤、抄紙、水処理凝集剤、土壌改良剤、スラリー防止剤、紙おむつや衛生材などの吸水剤などとして広範囲の用途に使用されており、その使用量は増加してきている。これらは通常無害であるけれども、地球環境保全の考え方からすれば、多量のポリマーを埋設するか河川や海に廃棄することは好ましいことではないし、また凝集剤や吸水剤として多量に含水した被処理物を焼却する事は多量の水の蒸発を必要とし、その蒸発に多大のエネルギーを必要とするため好ましいものでないため、安価、安全であって確実にポリマーの蓄積を防げる地球環境保全に適した処理方法の開発が望まれている。【0003】地球環境中にある微生物を用いてこれら親水性ポリマー含有被処理物、例えば吸水性または水溶性ポリマー(本発明においてはこれらを一括して「親水性ポリマー」という。)を生分解できれば、安全且つ環境汚染を招くことなく処理できるので望ましいが、高分子量の吸水性または親水性ポリマーを前処理することなく直接微生物により分解処理する方法は未だ報告されていない。例えば、高分子量のアクリル酸(塩)系ポリマーに関しては、高分子量の該ポリマーが直接微生物により分解されたという発表はこれまでになかった。一方、例えばポリアクリル酸ソーダに関しては、特開平6−9721号公報に、ポリマーを酸化処理および/または光分解処理して分子量1000以下の水溶性ポリマーとし、さらに活性汚泥を用いて分解する方法が開示されている。また、特開平5−247126号公報、特開平6−47396号公報にも活性汚泥を用いて分解する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法はいずれも大容積の処理設備を必要とするばかりでなく、分解時間が長いか、あるいはほとんど分解しなかったといった問題点を有している。【0004】さらにまた、特開平5−237200号公報にはアートロバクター(Arthrobacter)属の細菌を用いて、親水性のアクリル酸系ポリマーを分解する方法について開示されているが、その実施例によれば、低分子量のポリアクリル酸ソーダを分解するに留まっている。特に何れの方法においても大量の培地に少量のポリマーを溶解して処理することが必要とされている。【0005】親水性ポリマーの分解方法に関しては、例えば、特開平5−237200号公報にはアクリル酸系ポリマーをアートロバクター(Arthrobacter)属に属する細菌がアクリル酸系ポリマーを炭素源として資化できることが見出されているが、その実施例によれば、平均分子量が2000以下のポリアクリル酸ソーダを分解させた場合、分解度は培養日数40日で、約30%(平均分子量2000)〜60%(平均分子量1000)に留まり、完全分解されているわけではない。【0006】今まで一般には、特開平5−237200号公報で開示されているようにアートロバクター属細菌の至適生育温度は30℃〜40℃であり、このような高温培養条件下では、生育できないか、あるいは生育が難しいといわれてきた。【0007】さらにまた、特開平6−47396号公報では、アクリル単量体およびアクリルオリゴマーを分解する微生物として、ミクロバクテリウム属、ザントモナス・マルトフィリアW1、アシネトバクター遺伝種が有効であるとされているが、実施例によれば、その生育温度領域は28℃〜30℃であって、本発明を構成する高温度条件下ではやはり生育できないか、あるいは生育が難しいといわれている。一般にこれらの親水性ポリマーの蓄積を防ぐため、ポリマーの分解処理方法として従来から化学的に分解する方法、生物学的に処理する方法などの検討は行われていた。【0008】例えば、親水性のアクリル酸系ポリマーをアートバクスター属の細菌を用いて分解する方法(特開平5−237200号公報)や、アクリル単量体、アクリルオリゴマーを微生物により生分解する方法(特開平6−47396号公報)などの提案があるが、処理ポリマーが水溶性であること、また処理に際しては低濃度の水溶液としての処理が必要となるためこれらの方法は大容積の処理装置を必要とするなどの問題がある。【0009】また親水性のアクリル酸ポリマーを酸化処理および/または光分解処理して分子量を1000以下とした後に活性汚泥を用いて分解する方法(特開平6−9721号公報)も提案されている。また水溶性ポリマーを酸化剤、ヒドロキノン類および鉄または銅イオン存在下に分解した後に微生物的に分解する方法(特開平11−172039号公報)の提案がなされている。しかしこれらの方法は低分子化のための酸化剤がポリマーに対して多量必要であって、経済的に成立困難な方法と思われる。【0010】一方、家庭などからの厨芥、落ち葉等の堆肥化可能な有機性廃棄物をコンポストとして再資源化していく風潮の中で、脂肪族ポリエステル等の生分解性高分子を有機性廃棄物と共にコンポスト化処理して、再資源化しようとする検討も盛んになってきている。また吸水性ポリマーの用途の大きなものとして、吸水性を活かした紙オムツなどがあるが、これら廃棄物がこのようなコンポスト化により再資源化できれば正しく画期的であり、その廃棄に纏わる環境諸問題を一挙に解決できることは間違いない。しかしながら、そのような処理方法自体は検討されてはいなかった。【0011】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、親水性ポリマーまたはそれを含む有機性廃棄物を環境を汚染することなく小規模であってもコストが安く、容易かつ効率的に分解処理または再資源化できる方法の開発を目的とする。【0012】【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、[1]親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を好気性条件下において40℃〜95℃の温度範囲で微生物により分解させることを特徴とする親水性ポリマーの分解方法、[2]微生物が、Rhizopus属、Saccharomyces属、Candida属、Aspergilllus属、Penicillium属、Trichodema属、Streptomyces属、Frankia属、Azotobacter属及びBacillus属からなる群より選ばれる1種以上の微生物を少なくとも含むことを特徴とする上記[1]に記載の親水性ポリマーの分解方法、【0013】[3]親水性ポリマーが、水溶性ポリマーまたはそれらの架橋型ポリマーである上記[1]または[2]に記載の親水性ポリマーの分解方法、[4]親水性ポリマーが、アクリル酸系のモノマー単位を含む(共)重合体である上記[1]ないし[3]のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法、【0014】[5]親水性ポリマーが重合性架橋剤または反応性架橋剤で架橋された共重合体である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法、[6]コンポスト中で分解させることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法、[7]コンポストが、有機性廃棄物をもとに製造したコンポストである上記[6]に記載の親水性ポリマーの分解方法、【0015】[8]親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物が、含水汚泥、掘削残土、建設廃泥、凝集剤で集めた凝集物、医療または産業廃液固化物のいずれかである上記[1]ないし[7]のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法、[9]親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物が、おむつ、衛生材料、ペット用尿処理剤、親水性ポリマーの凝集剤を使用した凝集物、親水性ポリマーを用いたフィルム、不織布、繊維、粘着剤、接着剤または塗料のいずれかである上記[1]〜[7]のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法、【0016】[10]被処理物が含む水量をあらかじめ調整することを特徴とする上記[1]〜[9]のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法、[11]親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を上記[1]〜[10]のいずれかに記載の分解方法により分解して得られるコンポスト、【0017】[12]農業、園芸、法面緑化または一般緑化用である上記[11]に記載のコンポスト、および[13]道路、グランドまたはゴルフ場の路盤材用である上記[11]に記載のコンポスト、を開発することにより上記の目的を達成した。【0018】【発明の実施の形態】本発明は、親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を好気性条件下において40℃〜95℃の温度範囲で微生物により分解させることを特徴とする親水性ポリマーの分解方法に関する。本発明の親水性ポリマーの分解方法において用いる微生物としては、Rhizopus属などの乳酸菌;Saccharomyces属、Candida属などの酵母菌;Aspergilllus属、Penicillium属、Trichodema属などの糸状菌; Streptomyces属、Frankia属などの放線菌;その他Azotobacter属、Bacillus属等が挙げられるが、この限りではない。本発明においては、40℃〜95℃、好ましくは50℃〜92℃、より好ましくは55℃〜90℃の温度範囲で分解させる。【0019】本発明に適用される親水性ポリマーとしては、繊維素系、水溶性ビニル系ポリマー、水溶性(メタ)アクリル酸系ポリマー、アクリルアミド系ポリマーなどのホモポリマーあるいは親水性架橋型ポリマー等の合成ポリマー等、広範な親水性ポリマーを対象とすることができる。(メタ)アクリル酸系のポリマーとは、例えば、一般式(1)【化1】(式中、Xは水素原子、1価金属、2価金属、3価金属、アンモニウム基、または有機アンモニウム基のいずれかを示し、Rは水素原子またはメチル基を示す。またXが2価または3価の金属であるときは、さらにそれぞれ1個または2個の−(CH2−CR)−COO−−の対イオンと結合している。)で表される繰り返しを含む(共)重合体である。【0020】本発明において、(共)重合体とは、単独重合体または共重合体のいずれか又は両方を意味する。好ましくは(共)重合体を構成する繰り返し単位のうち、少なくとも50モル%以上が上記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるものである。【0021】親水性ポリマーとしては、例えば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボシキメチルスターチ、アルカリ金属カルボキシメチルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、セルロースラフト重合体、架橋ゼラチン、セルロースアセテートフタレート、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、無水フタル酸変性ゼラチン、コハク酸変性ゼラチンなどをあげることができる。【0022】さらにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、メチルビニルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸塩(例えばポリ(メタ)アクリル酸ソーダ)、カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセテート−(メタ)アクリル酸(塩)共重合体、ポリビニルアセテート−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸、ポリイタコン酸、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、スチレン−マレイン酸無水物共重合体、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸共重合体などを挙げることができるがこれらに限ったものではない。【0023】また、架橋型親水性ポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸カリウムやポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸(塩)重合体、ポリ(メタ)アクリロニトリルのケン化物、(メタ)アクリル酸(塩)/ビニルアルコール共重合体、デンプン/(メタ)アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン/(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、セルロ−ス/(メタ)アクリル酸(塩)グラフト共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミドおよびその部分加水分解物、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、デンプン−(メタ)アクリル酸(塩)グラフト共重合体中和物、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸メチル共重合体ケン化物のナトリウム塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール−マレイン酸エステル系共重合体、(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸(塩)共重合体、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体、ポリアルキレンオキシド、ビニルエステル−エチレン系不飽和カルボン酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルアルコール/無水マレイン酸ナトリウム共重合体などが挙げられるがこの限りではない。【0024】これら架橋型ポリマーを製造するときに使用される架橋剤としては、重合系の場合には分子内に2個以上の不飽和結合を有する化合物を使用できる。例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の、複数個のアクリルアミド構造や(メタ)アクリル基を有する化合物、その他、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、(メタ)アクリル酸アリル等の、1分子中に不飽和基を2個以上有する化合物などがあげられる。これらの架橋剤は一種または二種以上用いることもできる。【0025】また、1分子内にビニルエステル構造を2個以上有する化合物の例としては、シュウ酸ジビニル、マロン酸ジビニル、コハク酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フマル酸ジビニル、クエン酸トリビニル、トリメリット酸トリビニル、ピロメリット酸テトラビニルなどのビニルエステル構造を2個以上有する化合物を挙げることができる。【0026】例えばテトラアリルオキシエタン、ペンタエリスリトールポリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ピロメリット酸テトラアリル、トリメリット酸トリアリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、アジピン酸ジビニル等の、1分子中に不飽和基を2個以上有する化合物を挙げることができ、これらの架橋性単量体を1種または2種以上用いることができる。【0027】上記架橋剤の使用量は、親水性ポリマーの用途に応じてその配合比が変わるので一概に範囲を確定できないが、例えば、架橋剤/単量体の比がモル比で、10/90〜0.0001/99.9999の範囲から選択され、1/99〜0.0005/99.9995の範囲が特に好ましい。架橋剤の量が架橋剤/単量体のモル比で、10/90より多い場合は得られる吸水性樹脂の架橋密度が高くなり過ぎるために膨潤率が非常に少なくなり、実質的に吸水性ポリマーとしての効果を発揮できない。【0028】また、架橋剤/単量体の比がモル比で0.0001/99.9999よりも架橋剤が少ないと、架橋にあずからない水溶性のポリマーが増大し、実質的な吸水性ポリマーとしての性能を発揮できない。【0029】樹脂の製造プロセスについては必ずしも制限はないが、合成系重合体にあっては通常は水溶液重合法、逆相懸濁重合法、逆相乳化重合法等の方法によることが望ましい。さらにまたこれら親水性ポリマー製造装置内に付着したポリマーも、本発明により容易に分解処理することができる。本発明方法は、これらの重合体の中でも最も多量に生産され、広く使用されている高分子量であり架橋型のアクリル酸(塩)系ポリマーの処理に適している。【0030】親水性ポリマーとして使用されている(メタ)アクリル酸(塩)系ポリマーの基本主鎖構造は、上記化学式(1)で示された(メタ)アクリル酸のその全部またはその一部が一種または2種以上のナトリウム、カリウム等の1価金属塩、カルシウム、マグネシウム等の2価金属塩、3価の鉄塩などの3価金属塩、アンモニウム塩、または有機アミン塩等が含まれる。本発明でいう(メタ)アクリル酸(塩)系ポリマーにはさらに、下記に記載するような方法によって処理・変性したものも含まれる。【0031】また、(メタ)アクリル酸(塩)モノマーと共重合可能な化合物を(メタ)アクリル酸(塩)と共重合して得られた(共)重合体親水性ポリマーも本発明に係わる分解方法の対照ポリマーとなりうる。この発明で用いられる(メタ)アクリル酸(塩)と共重合可能な化合物は(メタ)アクリル酸(塩)との共重合ポリマーが親水性を失わない範囲内であればその共重合量およびその化合物の種類は制限する必要はない。【0032】本発明で用いられる(メタ)アクリル酸(塩)と共重合可能な化合物の具体例として例えば、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸などのモノエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの1価金属塩、2価金属塩、3価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩等のモノエチレン性不飽和カルボン酸類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、n−ブチレン等の炭素数2〜4のα−オレフィン類;【0033】メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等の、アクリル酸およびメタクリル酸の炭素数4〜8のアルキルエステル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸およびメタクリル酸の炭素数5〜8のヒドロキシアルキルエステル;【0034】ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエーテルモノ(メタ)アクリレート;2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−スルホプロピル(メタ)アクリレート、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、1−スルホプロパン−2−イル(メタ)アクリレート、2−スルホブチル(メタ)アクリレート、3−スルホブチル(メタ)アクリレート、4−スルホブチル(メタ)アクリレート、1−スルホブタン−2−イル(メタ)アクリレート、1−スルホブタン−3−イル(メタ)アクリレート、2−スルホブタン−3−イル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−スルホプロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリレート等の、炭素数4〜10のスルホアルキル(メタ)アクリレート類;【0035】スルホエトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、スルホプロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、スルホブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の、炭素数7〜197のスルホアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類およびその1価金属塩、2価金属塩、3価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩;【0036】スチレン、p−メチルスチレン等の、炭素数8〜10の芳香族ビニル類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜10のアミノエチル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数3〜12の(メタ)アクリルアミド類;2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸等の炭素数2〜4のモノエチレン性不飽和ホスホン酸;その他(メタ)アクリロニトリル、アクロレイン、アリルアルコールなどが挙げられ、これら1種または2種以上を用いることが出来る。【0037】さらに上記の重合体に含有される官能基と反応しうる化合物で変性したポリマーも、親水性を失わない範囲内で本発明の分解方法の対象物となりうる。変性に用いる化合物の具体例をあげると、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングルコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、ヒドロキシ酢酸グリコールモノエステル、乳酸グリコールモノエステル、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルのケン化物等の多価アルコール;【0038】両末端ヒドロキシル基を含有するポリδ−カプロラクトン等の両末端ヒドロキシル基を含有するラクトン重合体;エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸のグリシジルエステルエーテル等の多価グリシジル化合物類;【0039】エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、フェニレンジアミン等の多価アミン類;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア等の多価アジリジン類、グリタルアルデヒド、グリオキサール等の多価アルデヒド類;2,4−トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート類;などが挙げられ、これら1種または2種以上が使用される。これら架橋型ポリマーの製造は、前述した架橋型親水性ポリマーと同様にして製造できる。【0040】本発明で親水性ポリマー含有被処理物は、特に限定はないが例えばコンポスト中などで分解させることができる。また、用いるコンポストについては特に限定はなく、好気的な微生物発酵により熟成されたものであればよい。以下、コンポスト中での分解を例に説明する。【0041】本発明において用いるコンポストとしては、有機性廃棄物を原料として利用するいわゆる高速堆肥が望ましい。一般的な手順としては、有機性廃棄物を発酵槽に投入し40℃〜95℃、好ましくは50℃〜92℃、より好ましくは55℃〜90℃で運転されるリアクターの中で急速に発酵させ、減容されその後室温、冷暗所で時々かき混ぜながら静置させてコンポスト化させる。この方法によるときは高温であるため、コンポストに病原菌など有害な微生物の混入のおそれがなく、特定の高温活性微生物により良質なコンポストが熟成される。【0042】本発明においては、このように得られたコンポストを混合して処理してもよいし、さらに、家庭からでる有機性廃棄物と一緒にコンポスト化処理してもよい。各家庭などから廃棄される生ゴミ等の一般有機性廃棄物を利用してコンポスト化する場合、ポリエチレンなどの非分解性プラスチック等を予め除去しなければならないが、本発明に従えば親水性ポリマーは、生ゴミや脂肪族ポリエステル等の生分解性を有するプラスチックと同様に廃棄処理することが可能となる。この場合、被処理物中に炭素源となる親水性ポリマーは単独あるいは2種以上混合されても何ら問題はない。【0043】一方、ウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜ふん尿をもとにしたコンポストも有用である。一般に家畜のふん尿は含水量が多いため通気性が悪く酸素の混入が困難となり、嫌気性発酵となり易いが、親水性ポリマー含有被処理物を混入することにより、親水性ポリマーの吸水性を利用してふん尿中の水分量を調節され、通気性の良好な条件をつくりだすことができるため、好気的な発酵が促進され、温度も上昇して、良質なコンポストをつくりだすことができる。本発明の分解方法によれば、親水性ポリマーを分解するだけではなく、このように従来、酪農産業等で問題となっていた家畜のふん尿処理問題も一挙に解決することも可能となる。【0044】このようにコンポスト化に加えられる被処理物としては、親水性ポリマーを含んだ紙オムツや衛生材料、ペット用尿処理材、含水汚泥、掘削残土、建設廃泥、凝集剤で集められた凝集物、キノコ、カルスなどの培地、芳香剤、消臭剤などの日用品雑貨に用いられたゲル、フィルム、不織布、繊維、粘着剤、接着剤、塗料、繊維処理剤、製紙廃液凝集物、土壌、培土、医療廃液凝固物、産業廃液固化物などを挙げることができる。【0045】さらに、本発明者らは親水性ポリマーの分解挙動を調べている中で、分解反応はポリマーの周囲に存在する水分により影響されることを突き止めた。本発明において、例えばコンポスト中での微生物の活性が分解に最も適する水分量としては、コンポストの最大容水量(最高に水を吸収できる重量比率(%):乾燥重量に対する割合)の30〜75%程度であり、好ましくは40〜60%である。コンポストの水分量が30%より少ないと乾燥して微生物活性が低下するため好ましくなく、水分量が75%を超えると分解能が低下するため、予めコンポストの水分を補充するなどして上記範囲に保つことが必要である。【0046】本発明の親水性ポリマーの分解方法においては、一般に用いられるコンポスター装置を用いることができる。例えば、堆肥舎、通気型堆肥舎、箱型付など堆積方式の装置;ロータリー式、スクープ式などの開放攪拌方式の装置;横型または縦型の密閉式攪拌方式装置などがあるが、これらの中でも微生物活性を高め効率よく高速に分解を進めるためには、太陽熱を利用しない密閉式攪拌方式の装置を用いることが好ましい。【0047】本発明における親水性ポリマーの分解は、該ポリマー(紙オムツなど親水性ポリマーを含むもの)をコンポストと良くかき混ぜて、堆積する。堆積中に発酵が進みコンポスト化し内部温度が上昇する。高速堆肥リアクター内では好ましくは外部から加熱して、40℃〜95℃の高温条件下で好気的に培養することで達成される。【0048】本発明の親水性ポリマーのコンポスト化において、その分解速度を制御したり、堆肥(コンポスト)を与える植物体の成長を調整したりする目的で、使用するコンポストあるいは被処理物をコンポスト化する前後に各種添加物を加えることができる。この添加物としては、土類、肥料類、基本栄養源物質、無機成分、糖類、アミノ酸類、天然物質、その他抗生物質、ビタミン類、生長調整物質、害菌防除剤などが挙げられる。【0049】土類としては、赤玉土、黒土、ピートモス、培養土、腐葉土、石灰、鹿沼土、山苔、日向土、水苔、ケト土等がある。培土などに混合する肥料としては、合成肥料、鶏糞や牛糞などの動物の糞類、発酵残渣、配合肥料、油粕、木材屑、硫安、バーク堆肥、ESH堆肥(籾殻を膨軟化したもの)、川砂、山砂、矢作砂、桐生砂、富士砂、朝明砂、多孔性鉱物としてバーミキュライト、パーライト、ゼオライト、オスマンダ、鉱滓、軽石、骨粉、苦土石灰、ドリームボール、くん炭、火山灰などが挙げられるがこの限りではない。【0050】基本栄養源物質としては、鋸屑、米糠、トウモロコシ糠、サトウキビ滓、醸造滓、おから、パン粉、堆肥、油脂、脂肪、脂肪酸類、キチンなどの有機物質であって、堆肥中のバクテリアや植物体の栄養源として利用できるものであればよい。【0051】無機成分の具体例としては、銅、窒素、燐、カリウム、カルシウム、マグネシウム、いおう、鉄、マンガン、亜鉛、ホウ素、モリブデン、塩素、ナトリウム、沃素、コバルトなど、さらに詳しくは硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウム、リン酸2水素ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、ホウ素、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、三酸化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、あるいはコバルト、モリブデン、銅、鉄、マンガン、亜鉛などの硫酸塩等を挙げることができるがこれに限られない。【0052】糖類の具体例としては、シュクロース、イノシトール、グルコース、蔗糖、マルトース、ソルビトール、フラクトース、マンノースなどの炭水化物、その誘導体などを挙げることができるがこの限りではない。アミノ酸の具体例としては、グリシン、システィン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン等が挙げられるがこの限りでない。【0053】天然物質の具体例としては、カゼイン加水分解物、ココナッツミルク、酵母エキス、可溶性でんぷん、タンパク質、ブイヨン(肉汁)、ペプトン、アミノ酸、ジャガイモ、人参、タマネギなどの抽出液、核酸成分、麦芽エキス、トマトやポテトの抽出物(絞り汁)、アラビアガム、トラガントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、エコーガム、カラヤガム、寒天、でんぷん、カラゲナン、アルギン酸、アルギン酸塩(例えばアルギン酸ナトリウム)、アルギン酸プロピレングリコール、デキストリン、デキストラン、アミロース、ゼラチン、コラーゲン、プルラン、ペクチン、アミロペクチン、スターチ、アミロペクチンセミグリコール酸ナトリウム、キチン、アルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等の天然高分子などが挙げられるがこの限りではない。【0054】そのほかにグリセリン、ペニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシンなどの抗生物質、クマシーブリリアントブルー、ブロムチモールブルー、ローズベンガル等の色素、ビオチン、チアミン、ビタミンB6などのビタミン類、pH調節剤、リグニンスルホン酸、糖スルホン酸およびその関連物質などがある。また成長調整物質としてはサイクリックAMP、各種有機酸、ベンジルアミノプリン、ジベレリン等のホルモン剤など、ベノミル、チオファネートメチル、サイアベンダゾールなどの害菌防除剤が挙げられるがこの限りでない。上記の添加剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。【0055】本発明にあるコンポストによる親水性ポリマーの分解方法としては、バッチ処理はもちろんのこと、ポリマーを逐次コンポスト化設備の系内、またはコンポストを含む分解反応系内に投入して連続的に処理することができる。ポリマーの分解に要する期間は、親水性ポリマーの種類、濃度、重合度(架橋度)などの因子により異なるが、通常、コンポストへの投入後1ヶ月以内に顕著なポリマー分解が行われる。【0056】また、分解に要する期間は、系内のコンポスト量、温度、好気度、通気量、湿度等により変化し、これらを最適に制御することにより、分解速度を速めて、分解に要する期間を短縮できる。例えば、JIS K6953(ISO14855)に準拠する方法で重合架橋物を分解させた場合の実施例を以下に示すが、この場合、ポリマーは40日で約80%が二酸化炭素と水に分解された。【0057】処理されたものは、土壌、培土へ添加して使用される他、路盤材、法面緑化資材、一般緑化資材、グランド、ゴルフ場へも使用することができる。本発明方法の具体的な応用方法としては、親水性ポリマーを含んだ使用後のおむつや衛生材料を回収し、コンポスト化設備で処理し、その分解物を堆肥として農業や園芸、緑化に利用する方法、食品工場から出る廃液を親水性ポリマー凝集剤で凝集もしくは固化させたものを回収し、コンポスト化設備で処理し、その処理物を農業や園芸、緑化に利用する方法、掘削残土、含水汚泥を親水性ポリマーで凝集または固化させたものを回収し、コンポスト化設備で処理し、その処理物をグランドや路盤材として利用する方法、親水性ポリマーを含んだ使用済みの培土、培地を回収し、コンポスト化設備で処理し、その処理物を堆肥、培土として農業や園芸、緑化に利用する方法などがある。【0058】さらに、本発明の分解方法は、余剰水を含んだ生ゴミ等を運搬する際に、その余剰水が漏出するのを防ぐために、その余剰水を吸水性樹脂に吸収させて、漏出を防ぐ方法等にも応用することができる。一般に生ゴミは、水分を伴う場合が多く、生ゴミを廃棄する際にポリエチレン等の袋に入れておくと、袋の中に余剰水がたまっていることがある。この生ゴミ入り袋を持ち運びする際に、破袋を起こすと中の水分が漏出する。この水分は、異臭を伴う場合が多く、家屋内、道路、庭等で漏出すると非常に不快感を起こす原因となり、近隣へも迷惑となる。この時、その袋の中に吸水性樹脂を入れておくと、その余剰水を吸収し、漏出を防止することができる。更に、その吸水性樹脂をシート化、フィルム化、ネット化、繊維化し、破袋したところからの漏出を防ぐようにしておくと、更に便利である。【0059】上記と同様にコンポスト化設備においても、余剰水は微生物活性を抑制し、処理物の分解を遅らせるという問題を引き起こすことがある。分解が遅れると、装置の運転が不安定になったり、運転管理が難しくなったり、分解が不完全になったり、分解菌を死滅させたりといったトラブルに繋がる。この時、吸水性樹脂をコンポスト化設備に投入し、余剰水を吸水させ固形化することにより、そのような問題を解決することができる。【0060】【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細にかつ具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。【0061】(実施例1)家庭から出る厨芥等の生ゴミをもとにできたコンポスト80g(乾燥重量で30g)に架橋型ポリアクリル酸ソーダを混ぜ合わせた。この際、架橋型ポリアクリル酸ソーダは予め、50g(ポリマーの乾燥重量の10倍量)の水を吸水させたものを用いた。混ぜ合わせた試料(ポリマーとコンポスト、合わせて135g)をJIS K6953(ISO14855)に記載の方法に従い、密閉型の反応容器に入れ、これを58℃の恒温槽内に静置した。反応容器には、2Nの水酸化ナトリウム溶液とシリカゲルで予め二酸化炭素を除いた空気を毎分3mLの流速で通気し、好気的な条件に保った。これとは別に、架橋型ポリアクリル酸ソーダを加えないコントロールと、上記と同様に、陽性対照物質であるアビセルを加えた反応容器を準備し、恒温槽内に静置し、通気した。【0062】反応容器中で架橋型ポリアクリル酸ソーダが分解して、二酸化炭素と水になる反応が起こると、反応容器中で発生した二酸化炭素が系より排出されるが、この排出される二酸化炭素を2Nの水酸化ナトリウム溶液で捕捉し、一定時間毎に吸収された二酸化炭素量を化学滴定により求めた。【0063】ポリマーの分解率は、次式により求めた。【0064】分解率(%)=[(CO2)T−(CO2)B]/[ThCO2]×100【0065】(CO2)T:架橋型ポリアクリル酸ソーダを含むコンポスト容器中で発生・吸収された二酸化炭素量(g)(CO2)B:コントロールの反応容器中で発生・吸収された二酸化炭素量(g)ThCO2 :架橋型ポリアクリル酸ソーダが完全分解された場合に、理論的に発生する二酸化炭素量(g)【0066】このようにして求めた、ポリアクリル酸ソーダの分解曲線を図1に示す。この結果、架橋型ポリアクリル酸ソーダは約80日で約80%分解された。【0067】(実施例2)実施例1の恒温槽の温度を45℃にした場合の分解曲線は図2のようであった。分解度は40日で約50%であり、58℃の場合と同等の結果であった。【0068】(実施例3)実施例1で、架橋型ポリアクリル酸ソーダに吸水させた水分量を、ポリマー重量の10倍量と、その50倍量、及び吸水させない各々の場合の分解曲線を図3に示す。【0069】この結果、架橋型ポリアクリル酸ソーダの分解率は、含水量により変化し、実施例3の場合、ポリマー重量の10倍量の水を含水させた場合が最も効率よく分解されることがわかった。【0070】(実施例4)乾燥重量に対して10倍量の水を吸水させたポリアクリルアミドを実施例1と同様にしてコンポスト中に投入し、55℃で培養して分解を調べた。そのときの分解曲線は図4のようであった。分解度は40日で50%であった。【0071】(実施例5)乾燥重量に対して10倍量の水を吸水させたポリビニルアルコールを実施例1と同様にしてコンポスト中に投入し、60℃で培養して分解を調べた。そのときの分解曲線は図5のようであった。分解度は10週で40%であった。【0072】(実施例6)実施例1にあるコンポスト80gに代えて、コンポスト抽出水60g(固形分換算1300ppm)を木粉30gに加えたものを用い、その他は実施例1と同じ条件で架橋型ポリアクリル酸ソーダを分解させたところ、70日で約20%分解させることができた。このことから、コンポストに含まれる微生物を人工的な好気的環境に置くことによっても、分解を促進させることができることが判明した。【0073】【発明の効果】以上に述べたように、親水性ポリマーは本発明によるコンポスト中で処理することにより、効率的かつ迅速に分解することができる。本発明によれば、親水性ポリマーが環境中に残留し、環境に著しい負荷を与えることはなく、しかもコンポスト中で他の有用な有機資源とともに再生処理することができるのである。【0074】【図面の簡単な説明】【図1】実施例1におけるポリアクリル酸ソーダの分解曲線。【図2】実施例2におけるポリアクリル酸ソーダの分解曲線。【図3】実施例3におけるポリアクリル酸ソーダの分解曲線。【図4】実施例4におけるポリアクリルアミドの分解曲線。【図5】実施例5におけるポリビニルアルコールの分解曲線。【図6】実施例6におけるポリアクリル酸ソーダの分解曲線。 (メタ)アクリル酸系のモノマー単位を含む(共)重合体である親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を好気性条件下において40℃〜95℃の温度範囲で微生物により分解させることを特徴とする親水性ポリマーの分解方法。 (メタ)アクリルアミド系ポリマーである親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を好気性条件下において40℃〜95℃の温度範囲で微生物により分解させることを特徴とする親水性ポリマーの分解方法。 微生物が、Rhizopus属、Saccharomyces属、Candida属、Aspergilllus属、Penicillium属、Trichodema属、Streptomyces属、Frankia属、Azotobacter属及びBacillus属からなる群より選ばれる1種以上の微生物を少なくとも含むことを特徴とする請求項1または2に記載の親水性ポリマーの分解方法。 親水性ポリマーが重合性架橋剤または反応性架橋剤で架橋された共重合体である請求項1ないし3のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法。 コンポスト中で分解させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法。 コンポストが、有機性廃棄物をもとに製造したコンポストである請求項5に記載の親水性ポリマーの分解方法。 親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物が、含水汚泥、掘削残土、建設廃泥、凝集剤で集めた凝集物、医療または産業廃液固化物のいずれかである請求項1ないし6のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法。 親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物が、おむつ、衛生材料、ペット用尿処理剤、親水性ポリマーの凝集剤を使用した凝集物、親水性ポリマーを用いたフィルム、不織布、繊維、粘着剤、接着剤または塗料のいずれかである請求項1ないし6のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法。 被処理物が含む水量をあらかじめ調整することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の親水性ポリマーの分解方法。 親水性ポリマーまたはそれを含む被処理物を、請求項1ないし9のいずれかに記載の分解方法により分解して得られるコンポスト。 農業、園芸、法面緑化または一般緑化用である請求項10に記載のコンポスト。 道路、グランドまたはゴルフ場の路盤材用である請求項11に記載のコンポスト。