生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アセトン2量体及び/又は3量体の製造方法
出願番号:2001326409
年次:2007
IPC分類:C07C 45/72,C07C 49/17,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

高橋 和成 廣戸 健一郎 香月 俊二 JP 3975721 特許公報(B2) 20070629 2001326409 20011024 アセトン2量体及び/又は3量体の製造方法 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 高橋 和成 廣戸 健一郎 香月 俊二 20070912 C07C 45/72 20060101AFI20070823BHJP C07C 49/17 20060101ALI20070823BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070823BHJP JPC07C45/72C07C49/17 EC07B61/00 300 C07C 45/72 C07C 49/17 特開昭55−111436(JP,A) 特開平1−175952(JP,A) 特開昭55−108831(JP,A) 特公昭47−18731(JP,B1) 特開昭61−5040(JP,A) 4 2003128616 20030508 6 20040604 松本 直子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、アセトンと塩基性の固体触媒とを接触させてジアセトンアルコール、トリアセトンジアルコール、セミホロン等のアセトン2量体及び/又は3量体を製造する方法に関する。詳しくは、工業的に製造されたアセトンと塩基性の固体触媒とを接触させてアセトン2量体及び/又は3量体を製造する際に、塩基性の固体触媒の活性低下を抑制する方法に関する。【0002】【従来の技術】アセトン2量体又は3量体、例えばジアセトンアルコールは、メシチルオキサイド、メチルイソブチルケトン、メチルイソカルビノール、ヘキシルグリコール等を製造する際の原料として有用性の高い物質である。これらのアセトン2量体又は3量体は、アセトンと塩基性の固体触媒とを接触させることにより製造することができる。【0003】原料となるアセトンは、通常、ワッカー法、クメン酸化法に基づき工業的に製造されており、特に近年はクメン酸化法によるフェノール製造時の副生アセトンがその大部分を占めている。また、アセトンからジアセトンアルコール等のアセトン2量体又は3量体を製造する方法としては、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属から選ばれた水酸化物を含む固形触媒にアセトンを接触させることでジアセトンアルコールを製造する方法(特公昭47−18731号公報)や低級アルコールの存在下でアニオン交換樹脂を触媒としてアセトンからジアセトンアルコールを製造する方法(特開昭58−59935号公報)などが報告されている。【0004】このアセトンからジアセトンアルコール等のアセトン2量体又は3量体を得る反応は平衡反応であり、ジアセトンアルコール等の生成率は塩基性の固体触媒の活性度により大幅に変動するが、この塩基性の固体触媒の活性度は経時的に大きく低下してしまう。従って、連続的に製造を行っている際に触媒の失活が発生した場合は、通常、触媒の交換あるいは再生を行う必要がある。しかしながら、触媒の交換あるいは再生を行う間は、反応装置の運転を中断することが必要になるとともに、触媒の交換あるいは再生操作が非常に繁雑である等の問題がある。【0005】塩基性固体触媒の活性低下を防止する方法としては、アセトン中の酸性成分を除去する方法が報告されている(特公平1−175952号公報)。この公報では、アセトン流とアルカリ溶液とを接触させてアセトン流中に含まれる酸性成分を中和した後、アセトンを塩基性固体触媒と接触させてアセトンの2量体および/または3量体を製造する方法が述べられている。【0006】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明者らが検討した結果、アセトン中の酸分が低い(例えば、0.2mg/l以下)場合においても、触媒の活性評価を行うと触媒の活性劣化が大きく長期間の連続運転を行うことが難しいことが判った。本発明者らは、かかる事情に鑑み、アセトンと塩基性の固体触媒とを接触させてアセトンの2量体及び/又は3量体を製造する方法における触媒失活物質について鋭意探索した結果、アセトン中に含まれるエステル類が触媒活性劣化の主原因であり、このエステル類の濃度を規定値以下で管理することにより、塩基性の固体触媒の活性度をより高い状態で長期間維持することができることを見出し、本発明に到達した。【0007】【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、原料アセトンと塩基性の固体触媒とを接触させてアセトン2量体及び/又は3量体を製造する方法において、エステル類の濃度が50重量ppm以下である原料アセトンを用いることを特徴とするアセトン2量体及び/又は3量体の製造方法に存する。【0008】【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明においては、原料アセトンと塩基性の固体触媒とを接触させて、ジアセトンアルコール、トリアセトンジアルコール、セミホロン等のアセトン2量体及び/又は3量体を製造する。【0009】本発明においては、原料アセトンとしてエステル類の濃度が、通常50重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、より好ましくは2重量ppm以下である原料アセトンを用いることを特徴とする。原料アセトン中に含まれるエステル類の濃度が50重量ppmより大きい場合は、塩基性の固体触媒の活性低下を抑制する効果が充分でないため好ましくない。エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチルのうちのいずれか1種又はこれらの混合物を挙げることができる。【0010】原料アセトンが高濃度のエステル類を含む場合は、蒸留、吸着などの前処理操作を行うことにより、原料アセトン中に含まれるエステル類の濃度を50重量ppm以下に低下させることができる。塩基性の固体触媒としては、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属から選ばれた水酸化物を含む固形触媒を用いることができる。アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等が挙げられる。これらの塩基性の固体触媒は、1種単独で又は2種以上組合わせて用いることができる。また、これらは、触媒として単独で用いることもできるが、担体に担持して用いることもできる。担体としては、水に対する溶解度の低い担体、例えば、タルク、珪藻土、カオリン、酸化チタン等を用いることができる。また、これらをアルミナセメントで結合して用いたり、メタケイ酸ナトリウムなどのケイ素化合物とともに低温焼成したものを用いてもよい。【0011】また、塩基性の固体触媒として、アニオン交換樹脂を用いることもできる。アニオン交換樹脂は公知の方法、例えば、スチレンとジビニルベンゼンを共重合させた高分子基体に、各種のアニオン交換樹脂を導入することにより製造することができる。このようなアニオン交換樹脂には、強塩基性イオン交換樹脂、弱塩基性イオン交換樹脂があり、それぞれに、いわゆるゲル型、多孔質型、ハイポーラス型があるが、本発明においてはこれらのいずれも用いることができる。また、固体触媒として、アニオン交換樹脂を用いる場合は、反応時に低級アルコールを存在させることが好ましい。低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール等の炭素数1〜4のアルコールを用いることができる。【0012】塩基性の固体触媒は、固定床、流動床、移動床などの形式で反応装置内に充填しアセトンと接触させることができるが、本発明においては、固定床にて塩基性固体触媒とアセトンとを接触させることが好ましい。アセトンと塩基性の固体触媒とを接触させる温度は、通常−40℃〜50℃、好ましくは−5℃〜25℃である。また、その他の反応条件は、従来公知の方法と同様の条件を採用することができる。【0013】【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の例に制約されるものではない。なお、以下の例において、「%」は「重量%」、「ppm」は「重量ppm」、「mg/l」は「mg/リットル」、「ml/H」は「ミリリットル/時間」、「Hr」は「時間」を意味する。【0014】実施例1原料として使用するアセトン中の酸性成分及びエステル類を表1及び表2に示す分析法に示す方法により測定したところ、酸性成分は0.2mg/l以下、エステル類として酢酸メチルが1ppm存在していた。酢酸メチルについては、酢酸メチルに特徴的なEIフラグメント(m/z=74)のマスクロマトから、絶対検量線法を用い測定した。検量線は標準添加法にて作成した。このアセトンに水分濃度が1.4%になるように水を加え原料とした。触媒は、水酸化バリウムとセメントとタルクの混合物を50℃の密閉容器内で熟成を行った塩基性固体触媒を用いた。原料である水分濃度が1.4%のアセトンを、150ml/Hで触媒充填量15gの反応器に通液し、出口反応液のアセトン、ジアセトンアルコール、トリアセトンジアルコールの組成を測定した。なお反応温度は10℃一定、反応圧力は大気圧で行った。表3に反応開始から8時間後及び176時間後のジアセトンアルコール収率を示した。【0015】実施例2実施例1の原料アセトンに酢酸メチルを20ppm添加したものを原料アセトンとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。表3に反応開始から5時間後及び197時間後のジアセトンアルコール収率を示した。【0016】比較例1実施例1の原料アセトンに酢酸メチルを100ppm添加したものを原料アセトンとして用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行った。表3に反応開始から5時間後及び63時間後のジアセトンアルコール収率を示した。【0017】【表1】【0018】【表2】【0019】【表3】【0020】【発明の効果】本発明によれば、アセトンと塩基性の個体とを接触させてアセトンの2量体及び/又は3量体を製造する方法において、塩基性の固体触媒の活性度をより高い状態で長期間維持することができるので、アセトンの2量体及び/又は3量体を高収率で長時間連続的に製造することができる。 原料アセトンと塩基性の固体触媒とを接触させてアセトン2量体及び/又は3量体を製造する方法において、エステル類の濃度が50重量ppm以下である原料アセトンを用いることを特徴とするアセトン2量体及び/又は3量体の製造方法。 塩基性の固体触媒が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属より選ばれた少なくとも1種の水酸化物を含む請求項1に記載のアセトン2量体及び/又は3量体の製造方法。 塩基性の固体触媒が、アニオン交換樹脂である請求項1又は2に記載のアセトン2量体及び/又は3量体の製造方法。 エステル類が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチルのうちのいずれか1種又はこれらの混合物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアセトン2量体及び/又は3量体の製造方法。


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