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タイトル:特許公報(B2)_バイオマス利用の二酸化炭素除去方法及び装置
出願番号:2001302103
年次:2007
IPC分類:B09B 3/00,C01B 3/02,C01B 3/26,C01B 31/02,C02F 11/04,C12M 1/107,C12N 1/00


特許情報キャッシュ

多田 旭男 東郷 芳孝 多田羅 昌浩 JP 3935197 特許公報(B2) 20070330 2001302103 20010928 バイオマス利用の二酸化炭素除去方法及び装置 多田 旭男 501383015 鹿島建設株式会社 000001373 市東 篤 100110711 市東 禮次郎 100078798 多田 旭男 東郷 芳孝 多田羅 昌浩 20070620 B09B 3/00 20060101AFI20070531BHJP C01B 3/02 20060101ALI20070531BHJP C01B 3/26 20060101ALI20070531BHJP C01B 31/02 20060101ALI20070531BHJP C02F 11/04 20060101ALI20070531BHJP C12M 1/107 20060101ALI20070531BHJP C12N 1/00 20060101ALI20070531BHJP JPB09B3/00 CB09B3/00 DC01B3/02 ZC01B3/26C01B31/02 101BC02F11/04 AC12M1/107C12N1/00 P B09B 3/00 C01B 3/02、3/06 C02F 11/04 ZAB C12N 1/00 特開2000−271472(JP,A) 特開2000−167523(JP,A) 特開2001−137691(JP,A) 特開2001−220103(JP,A) 特開2000−86201(JP,A) 8 2003103235 20030408 14 20050104 小久保 勝伊 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はバイオマス利用の二酸化炭素除去方法及び装置に関し、とくに大気中又は水中の二酸化炭素をバイオマスの媒介により固体炭素として除去する方法及び装置に関する。【0002】【従来の技術】地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスは、産業革命以後の化石燃料消費量の増大に伴い大気中の濃度が増加している。排出を抑制せずに現在の経済成長を続けたとすれば、大気中のCO2濃度は現在360ppm程度であるのに対し、2030年には450ppm、2100年に700ppmになるとの予想がある。大気中のCO2濃度が700ppmになると地球上の平均気温が約2℃(1〜3.5℃)上昇し、異常気象の発生、生態系の混乱や食料生産の変化、海面の上昇による陸地の減少(国土の減少)等様々な分野に計り知れない影響が出ると考えられている。このため、大気中のCO2濃度の低減を目的として、CO2の排出抑制と共に大気中のCO2の除去が求められている。【0003】従来から、CO2の除去に関する要素技術として、高分子膜やセラミック膜等により空気中から膜分離する方法、PSA(Pressure Swing Adsorption)等の吸着・回収法、深海や地中に貯留する方法、有機溶剤に吸収する方法、触媒によりメタノール、固体炭素等に還元して固定化する方法等の物理・化学的方法が提案されている。【0004】図6は、天然ガス(メタン、CH4)を還元剤としたCO2の固体炭素への還元固定システムを図式的に示したものである。同図では、1段反応器26においてCH4を触媒(Ni/SiO2触媒)により固体炭素と水素とに分解し(吸熱反応)、その水素とCO2とを2段反応器27においてCH4と水(水蒸気)とに転化し(発熱反応)、このCH4を凝縮器28において水から分離した後、外部から補給するCH4と共に1段反応器26に戻して還元剤として再利用する。結局、図6における正味の反応はCH4+CO2→2C+2H2O(下記(3)式)となる。【0005】また特開2000-271472号公報は、図7に示すように、有機性廃棄物の嫌気処理により発生したCH4を利用したCO2固定化装置を提案している。従来の物理・化学的なCO2除去方法は主に発生源における高濃度CO2を除去対象としているが、大気中のCO2濃度は360ppm程度と極めて希薄であり、希薄なCO2を効率的に除去するためには生物の光合成作用等の利用が必要である。図7(A)の装置は、このような視点から提案されたものである。【0006】図7(A)の装置は、大気中のCO2と有機廃棄物処理部31で発生したバイオガス(CH4とCO2との混合ガス)とをガス混合・凝縮器32で混合し、反応槽34において触媒を用いて下記(1)及び(2)式の反応を起こすことにより固体炭素と水とを生成する。この場合の正味の反応も図6の場合と同じく下記(3)式となる。(2)式におけるCO2の固体炭素への転化率は高くないが、同図(B)に示すように未反応のCO2を循環させて反応槽34へ送り込むことにより、ガス混合・凝縮器32中のCO2を全て固体炭素と水とに変換する。同装置は、バイオガス中のCH4及びCO2の両者と大気中のCO2とを固体炭素として固定化し、CO2の外部への排出を抑制することにより、大気中のCO2除去率の向上を目指すものである。【0007】【化1】CH4→C+2H2 ……………………………………………………(1)CO2+2H2→C+2H2O …………………………………………(2)CH4+CO2→2C+2H2O ……………………………………………(3)【0008】【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したCO2の固定化除去システムは、何れもCO2除去のために外部からエネルギーを供給しなければならない問題点がある。図6及び図7における正味の反応((3)式)は反応熱の小さい発熱反応であるが、例えば図6のシステムでは、2段反応器27からの熱回収及び回収した熱の1段反応器26への伝達過程における熱損失、凝縮器28で水から分離したCH4の再加熱に必要な熱等を考慮すると、外部からの熱供給が不可欠であると推測される。また図7のシステムでは、有機廃棄物処理部31、反応槽34、触媒再生器36等の加熱に必要な熱、システムの駆動電力等の供給が必要である。【0009】図7のシステムにおいて、外部からのエネルギー供給を減らすため、反応槽34内の未反応の水素を水素分離器38によって回収し、回収した水素の一部を水素燃焼器40で熱エネルギーに変換して有機廃棄物処理部31、反応槽34、触媒再生器36へ供給し、余剰の水素を発電に利用することが提案されている(同図(A)参照)。しかし、(1)式で生成する水素はCO2の転化に必要な基質であり、(2)式による水素の消費量が多ければ回収できる水素量は少なくなるので、余剰水素に依存するエネルギー供給・発電には限界がある。水素分離器38で回収する水素量を増やせばエネルギーの自給性は高まるが、反応槽34内の水素濃度が低下するので、CO2の除去効率の低下を招くおそれがある。すなわち図7のシステムでは、システム全体のエネルギーの自足は困難である。【0010】大気中のCO2を除去するために新たな化石燃料を消費することは極力避けるべきであり、外部からのエネルギー供給なしにCO2を効率的に除去できるシステムの開発が望まれている。そこで本発明の目的は、大気中の二酸化炭素を効率的に且つエネルギー自足的に除去できるバイオマス利用の二酸化炭素除去方法及び装置を提供することにある。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者は、大気中のCO2が固定されエネルギー資源として利用できる生物体(以下、バイオマスという。)をメタン発酵処理してバイオガスを発生させ、このバイオガス中のCH4を水素に改質する方法を検討した結果、バイオガス中のCH4のみをCO2生成なしに水素に改質する方式によれば、大気中のCO2の除去をエネルギー自足的に達成するという困難な課題を解決できるとの見通しを得た。【0012】地球上に生息している植物は光合成等により大気中のCO2を体内に有機物として固定しており、その植物の摂食等を通じて動物の体内にもCO2に基づく炭素が有機物として蓄えられている。生物体中に固定された炭素は、燃焼等により再びCO2となって大気中に拡散した場合でも、地球規模でのCO2のバランスを崩す原因とはならない。このためバイオマスは、燃焼しても地球規模でのCO2のバランスを崩さない環境調和型の代替エネルギー源として注目されている。【0013】従来のCH4の水素への改質反応では、高温下でCH4に水蒸気を添加して水素と一酸化炭素(CO)を発生させ(水蒸気改質反応、(4)式)、更にCOに水蒸気を添加して水素とCO2を発生させている(シフト反応、(5)式)。正味の反応は(6)式のようになる(以下、この反応を水蒸気改質という)。この反応ではH2OもH2源となるので水素発生量は多いが、同時にCO2が発生する。このCO2は、上述したように地球規模でのCO2のバランスを崩すものではないが、大気中のCO2除去という目的からはシステムにおけるCO2発生は好ましくない。また水蒸気改質では(4)式による一酸化炭素(CO)の副生を回避しがたいが、COがH2ガスに混じって燃料電池に入ると電極の触媒が被毒するので選択接触酸化法等により事前に除去する必要がある。【0014】【化2】CH4+H2O→2CO+3H2 …………………………………………(4)CO+H2O→CO2+H2 ………………………………………………(5)CH4+2H2O→CO2+4H2 ……………………………………………(6)【0015】CH4を固体炭素と水素とに直接分解する反応として上記(1)式がある。(1)式によれば、水蒸気改質法のようにCOやCO2を排出することがないので、分解後の水素を燃料電池等の燃料として直接使用できる。また、バイオマス中に固定したCO2を再び大気中に拡散させるのではなく固体炭素として取り出すことができる。バイオマス中に固定したCO2を固体炭素として取り出せば、結果的に大気中のCO2濃度を減らすことができる。【0016】 図1の実施例を参照するに、本発明のバイオマス利用の二酸化炭素除去方法は、大気中の二酸化炭素が固定されたバイオマスBを有機物スラリーSに粉砕し、有機物スラリーSを活性温度に保持してメタン生成菌群によりメタン発酵させ、発酵により生じたバイオガスGから二酸化炭素を除去して濃縮したメタンガスを分解温度に加熱しつつ触媒14と接触させて水素と固体炭素とに直接分解し且つその水素の一部分で前記分解温度への加熱エネルギーを賄い、前記水素の他の一部分を燃料電池17により電力及び高温水に変換し且つその燃料電池17からの高温水で前記活性温度の保持エネルギーを賄うと共にその燃料電池17からの電力で前記バイオマスBの粉砕エネルギーを賄うことにより、大気中の二酸化炭素をエネルギー自足的に固体炭素として除去してなるものである。【0017】 好ましくは、触媒14の主成分をニッケル、鉄、又はコバルトとし、前記メタンガスを200〜900℃に加熱して触媒14と接触させる。【0018】 また、図1の実施例を参照するに、本発明のバイオマス利用の二酸化炭素除去装置は、大気中の二酸化炭素が固定されたバイオマスBを有機物スラリーSに粉砕する粉砕手段2、3、メタン生成菌群を高濃度で保持する発酵室20と発酵室20内に取り入れたスラリーSをメタン生成菌群の活性温度に保つ保温手段7とを有するバイオリアクター6、バイオリアクター6で生じたバイオガスGから二酸化炭素を除去してメタンガスを濃縮するメタン濃縮装置12、前記濃縮したメタンガスを水素と固体炭素とに直接分解する触媒14が存在する反応室16と前記水素の一部分でメタンガスを分解温度に加熱する加熱手段15とを有するメタン分解手段13、及び前記水素の他の一部分を電力と高温水とに変換する燃料電池17を備え、燃料電池17からの高温水により保温手段7を保温すると共に燃料電池17からの電力により粉砕手段2、3を駆動して大気中の二酸化炭素をエネルギー自足的に固体炭素として除去してなるものである。【0019】【発明の実施の形態】図1の実施例では、陸上又は水中の二酸化炭素(CO2)固定化施設1において植物体をバイオマスBとして育成し、育成したバイオマスBを粉砕手段2、3により単位重量当りのメタンガス(CH4)発生量が多い高濃度有機物スラリーに粉砕する。バイオマスBとして、CO2利用効率が高い陸上の砂糖きびやとうもろこし、油含有量の多い大豆やごま等、生長速度の速い海草その他の海上の藻類等が利用可能であるが、本発明で用いるバイオマスBは植物体に限定されない。本発明によれば、有機物スラリーSに粉砕できることを条件に、地球上に生息している多くの動植物またはその一部(野菜類、果実類、植物性油、魚介類、肉類等)又はそれらの加工品、残渣(生ごみ等)、動物の排泄物等をCO2除去用のバイオマスBとして利用できる。【0020】CO2が転化したバイオマスB中の有機物の代表的なものは多糖類、脂肪、蛋白質等であるが、これらの有機物をスラリー状に粉砕してメタン生成菌群によりメタン発酵すると、時間と共に徐々に分解され単純な物質に変化していく。先ず第1段階では、メタン生成菌群中の加水分解菌により、多糖類は単糖類に変化し蛋白質はアミノ酸類に変化する。次いで、メタン生成菌群中の酸生成菌により、これらの化合物は酢酸、酪酸、プロピオン酸等の低級脂肪酸及び少量のアルコール、アルデヒド等に分解される。最終的に、メタン生成菌群中のメタン生成菌により、CH4とCO2とを主成分とするガス状の生成物となる。このガス状の生成物はバイオガスと呼ばれており、CH4を60〜70%、CO2を30〜40%含んでいる。【0021】大気中のCO2を効率的に除去するためには、できるだけ多量のバイオガスGをバイオマスBから効率的に回収する必要がある。バイオガスGの回収量を増やすためには、バイオマスBを小粒径のスラリー状に粉砕すること、好ましくは粒径1mm以下に粉砕することが有効である。図1の実施例では、異物分離機能付き粉砕機2によりバイオマスB中のスラリー化不能部分を分別すると共にスラリー化可能部分を所定大きさに砕き、更に微粉砕機3によりスラリー化可能部分を平均数100ミクロン程度にまで細かく粉砕する。本発明では、後述するメタン分解手段13からの水素の一部分のエネルギー変換により粉砕機2、3を駆動するので、異物分離及び粉砕のための駆動エネルギーを外部から供給する必要はない。【0022】粉砕したスラリーSを流動性が良くなる程度の量の水、例えば等量の水で希釈し、スラリータンク4等へ一旦貯蔵する。スラリーSを余り希釈せず高有機物濃度とすることは、希釈水コストが削減できるだけでなく、バイオリアクター6の容積を小さくしてリアクター加熱エネルギーを減らせるので、システムのエネルギー自足性を向上させる上で有効である。例えば希釈後のスラリーSの有機物濃度(CODcr値、化学的酸素要求量)を15〜20万mg/L(Lはリットルを表す。以下同じ。)以上とする。貯蔵した有機物スラリーSをスラリーポンプ5によりバイオリアクター6へ少しずつ送り込む。【0023】バイオリアクター6におけるメタン発酵は嫌気状態で行われるため、酸素の供給が不要であり、エネルギー消費量が少ない。ただし、バイオリアクター6でメタン発酵を効率的に行うためには(1)有機物スラリーSをpH6.5〜8.0程度に維持すること、(2)スラリーSをメタン生成菌群の活性温度に維持すること、(3)バイオリアクター6の発酵室20内にメタン生成菌群を高濃度で保持すること、(4)スラリーS中に含まれている多量の固形分(SS)による閉塞等が発生しないこと等の条件が必要である。【0024】メタン生成菌群には、中温域(35〜40℃)で活性を示す中温菌と、高温域(52〜58℃)で活性を示す高温菌とがある。好ましくは、中温菌に比し分解速度が速い高温菌を用い、所要のバイオガスを短時間で回収する。本発明では、バイオリアクター6に設けた保温手段7を、後述するメタン分解手段13からの水素の一部分のエネルギー変換によりスラリーSをメタン生成菌群の活性温度に保持するものとする。保温手段7の一例は、例えば図2の実施例に示すように、水素の燃焼により加熱した高温水と発酵室20内のスラリーSとの熱交換器である。また、図2に示すスラリー循環ポンプ9も、例えば後述する燃料電池17による電力の一部分で駆動することができる。【0025】発酵室20内のメタン生成菌群の濃度を高める方法としては、微生物をグラニュール化するUASB法(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)、微生物が付着した担体を発酵室20内に充填する固定床法等がある。図2に示すバイオリアクター6の発酵室20内には、図3に示すようなガラス繊維又は炭素繊維の不織布製の多孔質周壁23を有する内径50〜70mmの中空筒体22が枠体24で支持された微生物担体21を、縦に規則的に充填している。担体21にメタン生成菌を付着させることにより、発酵室20内の微生物濃度を高めることができる。また中空筒状の担体21を縦に規則的に充填しているため、バイオガスGが円筒状担体21内をすり抜けることにより、SS等による担体21の閉塞を防止できる。【0026】バイオリアクター6で発生したバイオガスG中のCH4は、バイオマスB中の有機物を構成している炭素、すなわち大気中のCO2の炭素を含む。本発明では、このバイオガスG中のCH4の炭素原子を、メタン分解手段13により固体炭素として取り出す((1)式参照)。従来から、CH4を固体炭素と水素とに分解する複数の触媒14、例えばニッケル、コバルト、鉄等を主成分とする触媒が知られており、そのような触媒14を本発明のメタン分解手段13の反応室16に存在させて利用できる。【0027】図1及び図4では反応系を気−固系として、反応器を固定床反応器として、また触媒14を固定床反応器で使用できる状態、大きさ、形状等を備えた固体として例示したが、反応系、反応器、及び触媒はそれぞれ、気−固系、固定床反応器、固定床用触媒に限定されない。反応系は例えば気−液−固系であってもよい。反応器は例えば流動床反応器、移動床反応器等であってもよい。触媒の状態は液体、気体でも良く、触媒の大きさ、形状は微粉体、微小粒子、粉体、小径粒子等でも良い。【0028】図1及び図4では触媒を反応室に存在させる方法として、反応室にあらかじめ触媒を入れておく方法を例示したが、触媒あるいは触媒前駆体を反応物であるCH4ガスと一緒に反応室に導入する方法、あらかじめ反応物であるCH4ガスを入れておき、そこに触媒あるいは触媒前駆体を導入する方法等も採用できる。【0029】また、触媒は通常、主触媒成分、助触媒成分、及び担体から構成され、正式には担持触媒と呼ばれるが、本発明で使用する触媒は、担持触媒に限定されない。例えば触媒前駆体そのものをCH4ガス雰囲気中で加熱して活性化しそのまま触媒として使用したり、触媒前駆体を溶液、ゾル、スラリー等の流体の形にして加熱したCH4ガスの中へ吹き込んで活性化しそのまま触媒として使用したりすることもできる。【0030】(1)式の反応は吸熱反応であるため、CH4を加熱手段15により分解反応が起こる温度まで加熱する必要がある。CH4ガスの加熱に要するエネルギーは、メタン分解手段13で生成する水素の一部分で賄うことができる。例えば、メタン分解手段13で生成した水素の一部分を加熱手段15へ導き燃焼することによりCH4を分解温度にまで加熱する。【0031】図4のメタン分解手段13では、触媒14の主成分をニッケル、コバルト、鉄等としている。図示例では触媒14の形状を球状(同図(A)及び(B)参照)又は四角錐状(同図(D)参照)としているが、触媒14の形状は図示例に限定されず、例えば円筒状、ハニカム状、粒状、螺旋状、ペレット状、リング状等種々の形状を採用することができる。同図(D)の四角錐状触媒は炭素を生成させた後、そのまま耐熱性電磁波吸収体として利用するときに採用する。【0032】また図4の実施例では、CH4を200〜900℃に加熱して触媒14と接触させる。温度が200℃未満であると分解反応における転化率(水素発生量)が低くなる。また、900℃を越えると触媒寿命が短くなり、転化率は低下しないものの最終的な水素発生量が結果的に少なくなる。本発明者は、CH4を前記分解温度に加熱して触媒14と接触させることにより、(1)式に基づく理論計算値とほぼ同じ量の水素が生成できることを実験的に確認できた。【0033】分解温度に加熱した上で触媒14と接触させることにより、CH4は固体炭素と水素にまで分解され、固体炭素は触媒14上に蓄積される。蓄積される炭素の結晶構造、形状は触媒14の種類により変り得るが、ニッケル触媒14の場合は、蓄積される炭素の構造を、機能性材料として有用な中空グラファイトフィラメント構造とすることができる。粉末あるいは粒子状の触媒を長時間反応に使用すると、固体炭素の生成・成長に伴って触媒は細分化され固体炭素中に埋没するので、通常の方法により触媒と固体炭素とを分離することが困難になる。この場合には、触媒が多量の固体炭素に広く分散されるので固体炭素中の触媒含有率は極めて低い。用途によってはそのまま機能性炭素材料として有効利用することができる。一方、触媒を回収したいときには、適当な方法で触媒金属成分を固体炭素から除去し、触媒再生に利用する。本発明では、触媒金属成分の取り出しと触媒14の再生に要するエネルギーも、メタン分解手段13で生成した水素の一部分で賄うことが可能である。【0034】メタン分解手段13の反応室16から出たガスは吸着、膜分離等の適当な方法により未反応CH4と水素とに分離する。未反応CH4はメタン分解手段13に戻す。水素は、燃焼した場合にもCO2を放出しないクリーンなエネルギー源であるばかりでなく、単位重量あたりの発熱エネルギーが石油の三倍もあり、更に燃料電池により電気エネルギーに変換することができる。本発明では、粉砕手段2、3及びバイオリアクター6においてバイオマスBから多量のバイオガスGを効率的に回収し、メタン分解手段13においてバイオガスG中のCH4から理論計算値とほぼ同じ量の水素を生成することにより、粉砕・発酵・分解その他のシステム内部で必要なエネルギーを全て賄える量の水素をメタン分解手段13から取り出すことができる。しかも、バイオマスB中に固定された大気中のCO2を固体炭素として取り出し、大気中に戻さないので、結果的に大気中のCO2濃度を低減できる。【0035】こうして本発明の目的である「大気中の二酸化炭素を効率的に且つエネルギー自足的に除去できるバイオマス利用の二酸化炭素除去方法及び装置」の提供が達成できる。【0036】【実施例】バイオマスBを粉砕した有機物スラリーSは、バイオリアクター6内で有機物の80〜90%がメタン生成菌により分解され、バイオガスG及び発酵液Eとなる。CODcr値が210g/L程度の有機物スラリーSを高温メタン発酵式バイオリアクター6で分解すると、スラリー1トン当たり200Nm3程度のバイオガスが発生する。他方、バイオリアクター6内に残った発酵液Eにも少量(10〜20%)の有機物が含有されているので、図1の実施例では発酵液Eを最終処理施設8へ送り、浄化したのち処理水として下水道や河川に放流している。最終処理施設8では通常、好気性微生物を使った活性汚泥処理等が行なわれる。ただし、バイオリアクター6内に残った発酵液Eをそのまま液肥として利用することも可能である。【0037】また、図1の実施例では、バイオリアクター6とメタン分解手段13との間に脱硫脱窒精製装置10とメタン濃縮装置12とを設けている。バイオガスGは主にCH4とCO2との混合ガスであるが、硫化水素やアンモニア等の不純物質も数十ppm〜数百ppm含まれている。これらの不純物質はメタン分解手段13の触媒14を劣化させたり寿命を短縮したりするため、脱硫脱窒精製装置10において除去する。図示例の脱硫脱窒精製装置10では、例えば酸化鉄ペレット等により硫化水素を除去し、活性炭等によりアンモニアを除去することにより、バイオガスGを精製している。メタン濃縮装置12は、精製後のバイオガスGからCO2を除去してCH4を例えば98%以上に濃縮するものである。図示例のメタン濃縮装置12では、PSA装置によりCO2を吸着除去することにより、バイオガスG中のCH4を濃縮している。【0038】メタン濃縮装置12においてバイオガスGから除去したCO2は、例えば大気中へ戻すことができる。バイオガスG中のCO2は、元来バイオマスB中に固定された大気中のCO2であり、大気中に戻した場合も地球規模でのCO2のバランスを崩すものではない。また、バイオガスG中に30〜40%含まれるCO2を大気中に戻しても、バイオガス中に60〜70%含まれるCH4を固体炭素として取り出せば、バイオマスB中に固定されたCO2(炭素換算)を半分以上除去することができるので、大気中のCO2除去の障害とはならない。またバイオガスGから除去したCO2は、CH4から得られた固体炭素と反応させて化学原料であるCOに変換して利用することもできる。【0039】更に、図1の実施例では燃料電池17を設け、メタン分解手段13から取り出した水素の一部分を高温水と電力とに変換している。燃料電池17の発電効率は40〜50%程度であるが、燃料電池17から高温水(又は蒸気)が排出されるので、この高温熱を有効に利用すれば約80%程度の総合エネルギー効率を得ることができる(広瀬研吉「燃料電池のおはなし」日本規格協会、1992年7月5日第1版、p56)。燃料電池17の排熱である高温水をバイオリアクター6の保温手段7に有効に利用する。また、燃料電池17からの電力の一部分により、図1に示す粉砕手段2、3、バイオリアクター6のスラリー循環ポンプ9(図2)、最終処理施設8、脱硫脱窒精製装置10、メタン濃縮装置12等の駆動に必要な電力を賄う。【0040】図1の実施例では、メタン分解手段13で発生した水素の一部分により加熱手段15を加熱し、水素の他の一部分を燃料電池17により電力及び高温水に変換している。燃料電池17からの高温水の少なくとも一部分により保温手段7を保温し、燃料電池17からの電力の少なくとも一部分により粉砕手段2、3等を駆動することができ、大気中のCO2をエネルギー自足的に固体炭素として除去する。【0041】本発明がエネルギー自足的であると判断する根拠の一つを、図8を参照して説明する。図8は、図1においてメタン分解手段13の代わりに前述のメタン水蒸気改質反応装置を用いたシステムの発電量とシステム消費電力との関係を示すグラフである(クリーンエネルギー(2000年11月)、p34-38、東郷芳孝「メタクレスと燃料電池」)。図中のグラフαはバイオマス(図8では生ごみ)の処理量に応じた発電量、グラフβは同システムの駆動に要する消費電力の変化を示す。同グラフによれば、バイオマスを1日5トン処理する場合の発電量は、約3×103kWh/日であり、システムの駆動に要する消費電力約1×103kWh/日を上回っている。しかも発電量とこのシステム消費電力との差はバイオマスの処理量が増大すると共に広がることが分かる。【0042】CH4からの水素製造に図8のようにメタン水蒸気改質反応装置を用いた場合と本発明のようにメタン分解手段13を用いた場合とを比較すると、(6)式と(1)式との比較から明らかにように、メタン分解手段13を用いた場合の水素発生量はメタン水蒸気改質反応装置を用いた場合の半分になる。この点を考慮して図8を見ると、メタン分解手段13を用いてバイオマスを1日5トン処理する場合の発電量としては、約1.5×103kWh/日が期待できる。【0043】他方、システムの駆動に要する消費電力を比較すると、メタン分解手段13を用いた場合とメタン水蒸気改質反応装置を用いた場合の反応のエンタルピー変化は、水素1モル当たりでは反応温度500℃、800℃においてほぼ同じになる。更に反応温度域もメタン分解で200〜900℃、メタン水蒸気改質で600〜850℃と重なる領域がある。反応圧はそれぞれ常圧、20−30気圧であり、メタン分解の方が若干有利である(メタン水蒸気改質のデータの引用文献:佐藤幹基、ペトロテック、vol.24、543 (2001))。以上の比較から、本発明のようにメタン分解手段13を用いた場合のシステム消費電力は、図8のようにメタン水蒸気改質反応装置を用いた場合の消費電力(約1.0×103kWh/日)を下回ると推測される。すなわち、メタン分解手段13を用いた場合には5.0×102kWh/日(=1.5×103−1.0×103)程度の余剰電力を期待でき、この余剰電力はバイオマスの処理量が増大すると共に大きくなる。すなわち、本発明はエネルギー自足的であるといえる。【0044】図5は、大気中のCO2が固定されたバイオマスBを1日5トン処理する場合の物質収支、エネルギー収支の一具体例を示す。5トンのバイオマスBは発酵前に異物分離機能付き粉砕機2により異物を除去し、微粉砕機3により微粉砕して有機物スラリーSとする。更に、スラリーSの流動性を良くするために、希釈水5トンを加えて2倍に希釈する。このときのCODcr値は約210g/L、BOD値(生物学的酸素要求量)は約160g/Lである。このスラリーSを高温菌の活性温度である55℃に保温しつつバイオリアクター6において高温菌によりメタン発酵させると、CODcrの85%程度が分解され、バイオガスGが一日当たり1,000Nm3発生する。このバイオガスG中のCH4の平均濃度は65%であり、CH4量としては一日当たり650Nm3となる。バイオガスG中の不純物質を脱硫脱窒精製装置10により除去し、更にメタン濃縮装置12によりCH4を98%以上に濃縮する。【0045】濃縮したCH4をメタン分解手段13に供給する。メタン分解手段13の反応室16は触媒14を有し、分解温度500℃に保持されている。メタン分解手段13に650Nm3/日のCH4を供給すると、一日当たり348kgの炭素と116kgの水素とが取り出せる。取り出した水素の熱量は3,357×103kcal/日であり、その水素の一部はメタン分解手段13の加熱手段15の燃料とする。650Nm3/日のCH4を500℃で分解させるには622×103kcal/日(21kg-水素/日に相当)を要するので、水素の残りの熱量は2,735×103kcal/日(95kg-水素/日に相当)となる。この水素の残りをリン酸型燃料電池17の燃料にした場合、水素を燃料としたときの燃料電池17の発電効率は45%程度であるから、発電できる電力は1,431kwh/日となる。【0046】図5のシステム全体の駆動に要する消費電力は1,000〜1,200kwh/日程度であるから、燃料電池17からの電力でシステム全体の電力消費を十分賄うことができる。なお、分解温度を800℃に上げた場合でも反応熱は688×103kcal/日(24kg-水素/日に相当)なので発電量は1,397kwh/日となり、システム消費電力を上回る。また、水素の反応熱の45%程度が熱回収できるものとすると、燃料電池17からは1,231×103kcal/日の排熱が生じるので、温水やスチームとして回収する。バイオマス及び希釈水の20℃から55℃への加熱に要する熱量は350×103kcal/日程度であり、バイオリアクター6からの放熱量は150×103kcal/日程度であるから、バイオリアクター6を55℃に保温するための熱量は500×103kcal/日程度で足り、燃料電池17からの温水により十分賄うことができる。【0047】図5の流れ図から、本発明によれば大気中のCO2が固定されたバイオマスBを5トン/日処理することにより、348kgのCO2(炭素換算)を固体炭素として除去できる。また、CO2の除去に要するエネルギーをシステム内で回収した水素のエネルギー変換により全て賄うことができ、エネルギー自足的にCO2を除去することが可能である。更に、231kwh/日(=1,431−1,200)程度の余剰電力と731×103 kcal/日(=1,231×103−500×103)程度の余剰高温水とを作り出すことができ、大気中のCO2を除去しつつ発電施設としての経済性を得ることも期待できる。【0048】【発明の効果】 以上説明したように、本発明のバイオマス利用の二酸化炭素除去方法及び装置は、大気中の二酸化炭素が固定されたバイオマスを有機物スラリーに粉砕し、活性温度に保持してメタン生成菌群によりメタン発酵させ、発酵により生じたバイオガスから二酸化炭素を除去して濃縮したメタンガスを分解温度に加熱しつつ触媒と接触させて水素と固体炭素とに直接分解し且つその水素の一部分で前記分解温度への加熱エネルギーを賄い、前記水素の他の一部分を燃料電池により電力及び高温水に変換し且つその燃料電池からの高温水で前記活性温度の保持エネルギーを賄うと共にその燃料電池からの電力で前記バイオマスの粉砕エネルギーを賄うので、次の顕著な効果を奏する。【0049】(イ)システム内で発生する水素を燃料としてシステムを駆動することができるので、外部からのエネルギー補充の必要がなく、大気中の二酸化炭素をエネルギー自足的に固体炭素として除去できる。(ロ)バイオマスを媒介とし大気中の二酸化炭素を除去するので、極めて希薄な大気中の二酸化炭素を効率的に除去できる。(ハ)入手が容易な生ごみ等のバイオマスを利用すれば、場所を選ばずに大気中の二酸化炭素除去施設を建設することができる。(ニ)エネルギー消費量が少ない嫌気処理を利用しているので、システム内のエネルギー消費量を最小限に抑えて余剰エネルギーを熱及び電気として外部へ供給することも期待できる。(ホ)活性の高い高温メタン生成菌等を用いることにより、バイオリアクター等の装置がコンパクトになり、経済的にも有利である。(ヘ)ニッケル、コバルト、鉄等を主成分とする触媒を用いることにより、機能性材料として有用な構造・形状を持つ固体炭素を取り出すことができ、電池の電極材料、電磁波吸収体の損失材料等として固体炭素の有効利用を図ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】は、本発明の一実施例の図式的流れ図である。【図2】は、本発明におけるバイオリアクターの説明図である。【図3】は、本発明で用いる微生物担体の一例の説明図である。【図4】は、メタン分解手段の一例の説明図である。【図5】は、本発明における物質収支、エネルギー収支の一例を示す図である。【図6】は、従来の大気中の二酸化炭素除去方法の一例の説明図である。【図7】は、従来の大気中の二酸化炭素除去方法の他の例の説明図である。【図8】は、従来のメタン水蒸気改質反応装置を内蔵する燃料電池の発電量とシステム消費電力との関係の説明図である。【符号の説明】1…二酸化炭素固定化施設2…異物分離機能付き粉砕機(粉砕手段)3…微粉砕機(粉砕手段)4…スラリータンク5…スラリーポンプ 6…バイオリアクター7…保温手段 8…最終処理施設9…スラリー循環ポンプ 10…脱硫脱窒精製装置12…メタン濃縮装置 13…メタン分解手段14…触媒 15…加熱手段16…反応室 17…燃料電池20…発酵室 21…微生物担体22…中空筒体 23…多孔質周壁24…枠体 26…一次反応器27…二次反応器 28…凝縮器31…有機廃棄物処理部 32…ガス混合・凝縮器33…ポンプ 34…反応槽35…触媒・炭素分離器 36…触媒再生器37…ポンプ 38…水素分離器39…ポンプ 40…水素燃焼器E…発酵液 G…バイオガスS…有機物スラリー 大気中の二酸化炭素が固定されたバイオマスを有機物スラリーに粉砕し、前記有機物スラリーを活性温度に保持してメタン生成菌群によりメタン発酵させ、前記発酵により生じたバイオガスから二酸化炭素を除去して濃縮したメタンガスを分解温度に加熱しつつ触媒と接触させて水素と固体炭素とに直接分解し且つその水素の一部分で前記分解温度への加熱エネルギーを賄い、前記水素の他の一部分を燃料電池により電力及び高温水に変換し且つその燃料電池からの高温水で前記活性温度の保持エネルギーを賄うと共にその燃料電池からの電力で前記バイオマスの粉砕エネルギーを賄うことにより、大気中の二酸化炭素をエネルギー自足的に固体炭素として除去してなるバイオマス利用の二酸化炭素除去方法。 請求項1の除去方法において、前記バイオマスを砂糖きび、とうもろこし、大豆、ごま、海草、又は藻類とし、前記バイオマスを有機物濃度15〜20万mg/リットル以上の有機物スラリーに粉砕してなるバイオマス利用の二酸化炭素除去方法。 請求項1又は2の除去方法において、前記触媒の主成分をニッケル、鉄、又はコバルトとし、前記メタンガスを200〜900℃に加熱して前記触媒と接触させてなるバイオマス利用の二酸化炭素除去方法。 請求項1から3の何れかの除去方法において、前記有機物スラリーを52〜58℃に保持してメタン生成菌群によりメタン発酵させてなるバイオマス利用の二酸化炭素除去方法。 大気中の二酸化炭素が固定されたバイオマスを有機物スラリーに粉砕する粉砕手段、メタン生成菌群を高濃度で保持する発酵室と該発酵室内に取り入れた前記スラリーをメタン生成菌群の活性温度に保つ保温手段とを有するバイオリアクター、前記バイオリアクターで生じたバイオガスから二酸化炭素を除去してメタンガスを濃縮するメタン濃縮装置、前記濃縮したメタンガスを水素と固体炭素とに直接分解する触媒が存在する反応室と前記水素の一部分で前記メタンガスを分解温度に加熱する加熱手段とを有するメタン分解手段、及び前記水素の他の一部分を電力と高温水とに変換する燃料電池を備え、前記燃料電池からの高温水により前記保温手段を保温すると共に前記燃料電池からの電力により前記粉砕手段を駆動して大気中の二酸化炭素をエネルギー自足的に固体炭素として除去してなるバイオマス利用の二酸化炭素除去装置。 請求項5の除去装置において、前記触媒の主成分をニッケル、鉄、又はコバルトとし、前記加熱手段によりメタンガスを200〜900℃に加熱してなるバイオマス利用の二酸化炭素除去装置。 請求項5又は6の除去装置において、前記バイオリアクターとメタン濃縮装置との間に脱硫脱窒精製装置を設けてなるバイオマス利用の二酸化炭素除去装置。 請求項5から7の何れかの除去装置において、前記バイオマスを砂糖きび、とうもろこし、大豆、ごま、海草、又は藻類とし、前記粉砕手段によりバイオマスを有機物濃度15〜20万mg/リットル以上の有機物スラリーに粉砕してなるバイオマス利用の二酸化炭素除去装置。


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