タイトル: | 特許公報(B2)_アルカノールアミンの製造方法 |
出願番号: | 2001297496 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C07C 213/10,C07C 213/04,C07C 215/08,C07B 61/00 |
武田 浩治 森下 史朗 常木 英昭 JP 4163405 特許公報(B2) 20080801 2001297496 20010927 アルカノールアミンの製造方法 株式会社日本触媒 000004628 八田 幹雄 100072349 奈良 泰男 100110995 宇谷 勝幸 100114649 武田 浩治 森下 史朗 常木 英昭 20081008 C07C 213/10 20060101AFI20080918BHJP C07C 213/04 20060101ALI20080918BHJP C07C 215/08 20060101ALI20080918BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080918BHJP JPC07C213/10C07C213/04C07C215/08C07B61/00 300 C07C 213/10 C07C 213/04 特開昭53−9707(JP,A) 特開平6−199746(JP,A) 3 2003096035 20030403 11 20031022 冨永 保 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、固体触媒を用いてアンモニアとアルキレンオキシドとを反応させてアルカノールアミンを製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】アルキレンオキシドをアンモニアでアミノ化してアルカノールアミンを製造する方法としては、工業的にはエチレンオキシド(C2H4O)とアンモニア(NH3)水(20〜40質量%のアンモニア濃度)とを反応させてエタノールアミンを製造する方法が行われている。エタノールアミンとしては、モノエタノールアミン(NH2CH2CH2−OH)、ジエタノールアミン(NH(CH2CH2−OH)2)、トリエタノールアミン(N(CH2CH2−OH)3)の3種類の混合物が生成するが、これらのなかでトリエタノールアミンの需要が減退しているので、トリエタノールアミンの生成を抑えることが求められている。そのため、通常、アンモニアとエチレンオキシドとのモル比を3〜5程度とアンモニア大過剰にして反応を行うが、それでもトリエタノールアミンの選択率は10〜20質量%ないしはそれ以上であり、ジエタノールアミンの選択率も40質量%以下である。本書では、アンモニア水を用いるアルカノールアミンの製造方法を、アンモニア水法アルカノールアミン製造方法ともいう。【0003】一方、アンモニア水を用いない、すなわち、水が存在しない系では、アルキレンオキシドとアンモニアとはほとんど反応しない。したがって、このような反応には、触媒の存在が不可欠であり、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ、シリカアルミナ、酸活性化粘土、希土類元素を耐熱性担体に担持した触媒などが提案されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】特許3154984号公報には、トリアルカノールアミンの生成を抑え、ジアルカノールアミンを選択的に製造する触媒が開示されている。また、ヨーロッパ公開特許104363号公報および1104752号公報には、反応のスタートアップ方法、触媒の充填方法、反応装置、触媒の再生方法が開示されている。しかし、アンモニアの回収系を含むプロセスについては何ら記載されていない。【0005】液体アンモニアとアルキレンオキシドとを反応させてアルカノールアミンを製造する際に、過剰のアンモニアを用いるため、未反応のアンモニアを回収する必要がある。液体アンモニアとして回収するためにはアンモニア回収塔内を加圧する必要があり、その際、回収塔のボトム液中のアンモニア濃度は4〜20質量%程度と高くなってしまう。したがって、ボトム液から一段の蒸留塔でアンモニアを回収することができない。さらに、アルカノールアミンの変質を抑えるためには、蒸留塔のボトム温度はできるだけ低く抑える必要がある。ボトム温度は、例えば、300℃以下、さらに好ましくは250℃以下に抑える必要があり、その条件下でボトム液からアンモニアを除去するには、蒸留塔内を減圧にする必要が生ずる。その際、蒸留塔の塔頂でアンモニアを回収するためには、冷凍機を用いて非常に低温にするか、あるいは圧縮機を用いて圧縮して液体アンモニアにする必要があり、そのため設備が大きくなって建設費がかさむうえ、用役費もかかるという問題が生じる。【0006】【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題点を解消することを目的とするものであり、アンモニア回収方法として冷凍機を用いて低温にするか、あるいは圧縮機を用いて圧縮する代わりに水を吸収剤とする方法を提案するものである。【0007】すなわち、固体触媒を用いて液体アンモニアとアルキレンオキシドとを反応させてアルカノールアミンを製造する際に、次の工程を含むことを特徴とするアルカノールアミンの製造方法:a)反応器出口のアンモニアおよびアルカノールアミンを含有する反応液をアンモニア回収塔で該反応液の含有アンモニアの60質量%以上を液体アンモニアとして、残分をボトム液として回収する工程、b)前記ボトム液をアンモニア放散塔へ供給し、アンモニアを放散する工程、およびc)前記放散されたアンモニアをアンモニア吸収塔へ導き、水で吸収してアンモニア水として回収する工程。【0008】【発明の実施の形態】本発明に使用される原料のアルキレンオキシドは、次の式(1):【0009】【化1】【0010】(ただし、式中、R1,R2,R3およびR4は各々独立して水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)で表されるアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの2〜4個の炭素原子を有するアルキレンオキシドが例示される。これらの原料に対応してアルカノールアミンが得られる。【0011】アルカノールアミンの具体例として、次の式(2):【0012】【化2】【0013】(ただし、式中、 R1,R2,R3およびR4は式(1)と同じである)で表されるモノアルカノールアミン、次の式(3):【0014】【化3】【0015】(ただし、式中、 R1,R2,R3およびR4は式(1)と同じである)で表されるジアルカノールアミン;トリアルカノールアミンなどが例示される。【0016】反応は液体アンモニアとアルキレンオキシドとを原料として、加圧系固定床反応器を用いて行う。図1は反応器が1基で反応液のリサイクルを行わないアルカノールアミン製造プロセスの代表的なフローシートを示す。図1において、液体アンモニアタンク2から液体アンモニアを予熱器3を介して反応器4に、アルキレンオキシドタンク1からアルキレンオキシドを反応器4にそれぞれ供給する。アルキレンオキシドに対するアンモニアの添加量は、特に制限されるものではないが、アルキレンオキシド1モルに対し、通常、アンモニア2〜30モルの範囲である。予熱器3の温度は、原料を反応に先立って熱して反応温度への到達を早めることを目的とするものであり、通常、20℃〜100℃の範囲が好ましい。反応は断熱反応である。触媒としてはジアルカノールアミン選択的製造触媒として、希土類を担持したゼオライト触媒などの公知の触媒を用いることが好ましい。反応温度は常温〜200℃、反応圧は8〜15MPa程度が好ましい。このとき、LHSV(液空間速度)は、反応温度、触媒の種類や使用量によるが、通常、0.5〜100hr-1の範囲である。反応器4は固定床反応器であり、通常、反応液体をアップフローで流す。【0017】反応器4から出る反応生成物は圧力制御弁7を経てアンモニア回収塔5に送る。アンモニア回収塔5において、塔頂から冷却器8にアンモニアを導き、液体アンモニアとしてタンク6に回収するとともに、ボトム液としてアンモニア、アルカノールアミンを混合物として得る。この回収工程で、反応液中に含まれるアンモニアの60〜98質量%、好ましくは70〜96質量%、さらに好ましくは80〜95質量%を液体アンモニアとしてタンク6に回収する。この工程でのアンモニア回収率が低いと、次にアンモニア回収系で吸収回収するアンモニア量が増大し、アンモニア水が大量に発生する。このアンモニア水の用途が十分ある場合はよいが、後述するように、従来のアンモニア水法アルカノールアミン製造工程の原料とする場合は、生産量見合いのアンモニア水以上が発生することは好ましくないので、できるだけ回収することがよい。液体アンモニアを60〜98質量%回収することにより、反応液中に含まれるアンモニア吸収回収工程でアンモニア水となるアンモニア量が、アンモニア水法アルカノールアミン製造法の原料アンモニア水として過不足なくできるという効果が得られる。通常、冷却器8の冷媒には常温の冷却水を用いるため、アンモニア回収塔5の操作圧は1〜3MPa程度の加圧下で操作する。このためアンモニア回収塔5のボトムから得られるボトム液中には4〜20質量%程度のアンモニアが含まれている。【0018】図2は反応器を複数設置し、アルキレンオキシドを分割供給する例を示すアルカノールアミン製造プロセスの代表的なフローシートを示す。図1に記載された方法よりもアルキレンオキシド/アンモニアの比率を高め、ジアルカノールアミンの生産量を増加させることができる。アルキレンオキシドの分割比率は目的生成物の比率によって、適宜選択することができる。例えば、分割比率は、質量で、1:1:1である。反応器へは得られた反応液の一部をリサイクルしてもよい。ジアルカノールアミン選択性に優れた触媒を用いれば、反応液をリサイクルすることによって反応器1基でもジアルカノールアミンの生産量を増加させることができる。これ以外については、図1に記載の方法と同じものを採用できる。【0019】図3は反応液の一部をそのまま反応器へリサイクルする例を示すアルカノールアミン製造プロセスの代表的なフローシートを示す。反応器への反応液のリサイクルは、通常、全反応液量の5〜90容量%の範囲である。ここで、反応液とはアンモニアとアルキレンオキシドとの反応で得られる生成物であり、通常、液体アンモニア;モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンの混合物であるアルカノールアミンを含んでおり、代表例として反応器出口組成のままのもの、少量のアンモニアを含むアルカノールアミンを挙げることができる。これ以外については、図1に記載の方法と同じものを採用できる。【0020】図4は大部分のアンモニアを分離した後の少量のアンモニアを含む反応液の一部を反応器へリサイクルする例を示すアルカノールアミン製造プロセスの代表的なフローシートを示す。なお、精製したモノアルカノールアミンをリサイクルすることができる。これ以外については、図1に記載の方法と同じものを採用できる。【0021】図5はアンモニア回収塔のボトム液中に存在するアンモニアをアンモニア水として回収する方法を示す模式図である。図5において、アンモニアを含むボトム液をアンモニア放散塔301に供給する。アンモニア放散塔301としては、通常、蒸留塔を用いる。このとき、水を含有する溶液を添加することが好ましい。溶液としては、水以外にアルカノールアミンが含まれていてもよい。アンモニア水法アルカノールアミン製造法の反応液が好適である。具体的には、図6に記載の反応器413の出口液が用いられる。溶液中の水の割合は、溶液100質量部に対し、通常、10〜90質量部の範囲である。さらに、水を含有する溶液の添加量は、ボトム液100質量部に対し、通常、10〜80質量部、好ましくは20〜70質量部の範囲が望ましい。水を含有する溶液を添加することにより、アンモニア放散塔のボトム温度を下げ、生成物中のアンモニアをほぼ除去できるからである。蒸留塔の運転条件は、通常、操作圧力50〜400kPa、ボトム温度100℃〜250℃の範囲である。アンモニア放散塔301のボトムからアルカノールアミンを回収するとともに、塔頂からのアンモニアと水は冷却器303を経てアンモニア吸収塔302に送る。アンモニア吸収塔302としては、通常、充填塔を用いる。その運転条件としては、通常、操作圧力50〜400kPa、ボトム温度20℃〜60℃の範囲である。アンモニア吸収塔302において、塔頂から水をフラッシュしてボトムからアンモニア水を回収する。【0022】固体触媒を用いるアルカノールアミンの製造方法では、反応に使われずに生成物中に含まれるアンモニアは液体アンモニアとして回収することにより、原料の液体アンモニアとして再利用することができる。生成物中のアンモニアを液体として回収するためには、通常、多段階のアンモニア・回収工程が必要となる。例えば、アンモニアを含むボトム液を常圧蒸留塔に供給し、塔頂からアンモニアを得て冷凍機で冷却したブラインを用いる冷却器によって液化して液体アンモニアを得るとともに、ボトムから残留物を得る。得られた残留物を減圧蒸留塔に供給する。ここで、減圧するために減圧機が必要である。このように、冷凍機や圧縮機のような高価な設備が必要である。これに対し、本発明ではボトム液に含まれるアンモニアをアンモニア水として回収しており、冷凍機や圧縮機のような高価な設備を必要とせず、かつ、それらの用役費もかからず、低コストな方法であるといえる。【0023】アンモニア回収塔のボトム液中のアンモニアはアンモニア水として回収される。このアンモニア水を有効に利用できれば、非常に優れた回収方法となる。【0024】以下、アルキレンオキシドとしてエチレンオキシドを例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。【0025】従来のアンモニア水を原料とする製造方法(製法Aとする)において、トリエタノールアミンの生成を抑えながら、ジエタノールアミンを多く製造することは不可能である。このため、先に述べたジエタノールアミン生成の選択性の高い触媒を用い、アンモニア水の代わりに液体アンモニアを原料とする方法(製法Bとする)が提案されているが、製法Aの製造装置をすでに保有している場合、製法Bの装置を増設する際に本発明の方法を用いれば、先に述べた製法Bで回収されるアンモニア水は製法Aの原料として用いることができ非常に有利となる。【0026】この場合、製法Bのアンモニア回収塔のボトム液と、製法Aの反応器からの水を含んだ反応液とを混合して、製法Aのアンモニア放散塔に供給することが好ましい。【0027】図6はアルキレンオキシドとしてエチレンオキシド(=EO)を用いた本発明のアルカノールアミン製造方法の代表的なフローシートを示す図面である。【0028】図6の上部ブロックAには図4に記載の方法を用いたフローを、下部左のブロックBには従来のアンモニア水を原料とするプロセスと下部中央のブロックCにアンモニア回収系、さらには下部右のブロックDにエタノールアミン精製系を示す。【0029】原料液体アンモニアタンク402および回収液体アンモニアタンク404からからそれぞれ高圧ポンプによって液体アンモニアを、原料予熱器411を経て反応器412に供給する。一方、エチレンオキシドタンク401から高圧ポンプによってEOを反応器412に供給する。反応器412は圧力制御弁414によって8〜15MPa程度に制御されている。制御弁414を出た反応生成物は、1〜3MPa程度に制御されたアンモニア回収塔421の中段に送られる。アンモニア回収塔421の塔頂から出たアンモニアは冷却器(冷媒は通常の冷却水)415で冷却され、液体アンモニアタンク404に回収される。一方、アンモニア回収塔412のボトム液はエタノールアミン混合物と4〜20質量%のアンモニアを含んでいる。このボトム液は製法Aのアンモニア放散塔422へ送られる。このボトム液の一部は反応器411へ循環使用する。【0030】一方、従来のアンモニア水を原料とするアルカノールアミンを製造する方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、アンモニア水タンク403からアンモニア水が、原料アルキレンオキシドタンク401からEOが反応器413へ送られる。使用するアンモニアとEOとの比率によって、得られるモノ−、ジ−、トリエタノールアミンの比率が変化するので、目的に応じて適宜設定することができる。例えば、EOの1モルに対し、〜40モルまでのアンモニアが例示できる。反応は、通常、常圧〜16MPaの圧力で、反応温度は常温〜150℃の範囲で、多管式反応器で行われる。アンモニア/水/エタノールアミンを含む反応液は、前記アンモニア回収塔421のボトム液とともに、アンモニア放散塔422の中段へ送られる。アンモニア放散塔422の塔頂からは水とアンモニアが放散され、アンモニア吸収塔423の中段へ送られ、水で吸収回収されて、このアンモニア水は反応原料として用いられる。一方、アンモニア放散塔422のボトム液には水とエタノールアミンが含まれる。【0031】アンモニア放散塔422のボトム液は脱水塔424に供給し、塔頂から水を除去し、他方ボトム液をモノエタノールアミン(MEA)精製塔425、ジエタノールアミン(DEA)精製塔426、トリエタノールアミン(TEA)精製塔427へと順じ送り、それぞれの製品を得る。なお、エタノールアミン混合物はそれぞれ公知の減圧蒸留塔を用いて分離することが好ましい。【0032】図6において、ブロックAの場所で図4に記載の方法の代わりに、図1、図2又は図3に記載の方法も上記同様に採用することができる。【0033】【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。【0034】(実施例1)図6に記載のアルカノールアミンの製造方法に準じて、下記のように、エタノールアミンを製造した。【0035】内容積7Lの反応器412(ステンレス鋼製、内径67mm、長さ2m)にランタン担持ZSM−5ゼオライトビーズ(Si/Al原子比=28、La担持量:1質量%、ビーズ径0.7〜1.0mm)6Lを充填した。【0036】一方、反応器412の上流側に、電気ヒータを設置した管状予熱器411(予熱部の内径200mm、長さ1m、直径5mmの充填物)を設け、予熱部を電気ヒータで加熱した。【0037】次に、上記予熱器411に、高圧ポンプを用いて、液体アンモニアとエタノールアミン(反応初期は反応器出口想定組成の模擬液、定常状態ではアンモニア回収塔421のボトム液)を一定速度で連続的に送り込んだ。これにより、アンモニア原料タンク402内のアンモニアと、EO原料タンク401内のEOとを混合・加熱し、反応器412に供給した。反応器412は、保温のため図示しない加熱器(電気ヒータ)でわずかに加熱し、放熱で失われる熱量を供給することで、実質的に断熱状態とした。反応圧を12MPaに制御した。そして、EOとアンモニアとを連続的に反応させた。【0038】入口温度は40℃、反応圧は反応器出口の制御弁で10MPaに一定に制御した。反応器出口で触媒層の温度は150℃となっていた。反応器412出口にはアンモニア回収塔421を設け、圧力2MPaで運転し、大部分のアンモニアを分離し、容器404に蓄えた。【0039】定常状態の原料流量は、アンモニア回収塔421のボトム液を3.14kg/hrで、リサイクルアンモニアとフレッシュなアンモニアを合計6.4kg/hrで、EOは2.36kg/hrの速度で反応器412へ送り込んだ。この反応液のエタノールアミン組成は、MEA/DEA/TEAの質量比で32.9/56.7/10.5であった。【0040】アンモニア回収塔421のボトム液は、循環量と同じ3.14kg/hrをアンモニア放散塔422へ送る。ボトム液のアンモニア含有量は7質量%であり、アンモニア回収塔421で反応液中のアンモニアの93%は液体アンモニアとして回収され、タンク404に貯蔵された。【0041】アンモニア放散塔422へは、前記ボトム液とともに、アンモニア水を原料とする従来法で製造した反応液も送られる。ここでは、模擬液として質量比でMEA/DEA/TEA/NH3/H2O=12/11/8/23/46の溶液を3.55kg/hrで送り込んだ。アンモニア放散塔422は操作圧力0.2MPa、ボトム温度150℃で操作し、塔頂から水とアンモニアを放散させた。ボトム組成は質量比でMEA/DEA/TEA/H2O=30/40/14/16であった。塔頂から放散させた水とアンモニアは冷却水で冷却後、アンモニア吸収塔423へ導入した。操作圧は0.2MPa、ボトム温度40℃、塔頂から供給する水は0.5kg/hrで運転して、アンモニアをアンモニア水として回収した。このアンモニア水は従来のアンモニア水法の原料として使用する。【0042】このように、液体アンモニアを原料とするアルカノールアミンの製造方法において、回収されたアンモニア水は製法Aにおいて、有効に活用することができた。【0043】(実施例2)実施例1において、ブロックAの方法を図2に記載の複数の反応器を有する系に変更した。実際の操作は反応器を3基用いず、1基の反応器で模擬的に3基の反応器に相当する反応を行う。用いた触媒及び反応器は実施例1と同じである。反応のリサイクルは行わない。温度、圧力は同じとした。【0044】1基目:原料流量は、リサイクルアンモニアとフレッシュなアンモニアを合計8kg/hrで、EOは2kg/hrの速度で反応器へ送り込んだ。得られた反応液のエタノールアミン組成は、MEA/DEA/TEAの質量比で61.5/37.0/1.5であった。【0045】2基目:1基目の反応液にEOを追加することになる。エタノールアミンを1基目の出口組成と同じくした模擬液を準備し、リサイクルアンモニアとフレッシュなアンモニアを合計7.4kg、EOは2kg/hr、エタノールアミン2.6kg/hrの速度で反応器へ送り込んだ。この反応液のエタノールアミン組成は、MEA/DEA/TEAの質量比で44.2/51.8/4.0であった。【0046】3基目:2基目の反応液にEOを追加することになる。エタノールアミンを2基目の出口組成と同じくした模擬液を準備し、リサイクルアンモニアとフレッシュなアンモニアを合計6.93kg/hr、EOは2kg/hr、エタノールアミン5.1kg/hrの速度で反応器へ送り込んだ。この反応液のエタノールアミン組成は、MEA/DEA/TEAの質量比で33.8/59.4/6.8であった。【0047】アンモニア回収塔のボトム液は7.48kg/hrをアンモニア放散塔422へ送る。アンモニア含有量は7.1質量%であり、アンモニア回収塔で反応液のアンモニアの91%が回収された。【0048】アンモニア放散塔422へはアンモニア水を原料とする従来法で製造した反応液も送り、混合される。ここでは、模擬液として質量比でMEA/DEA/TEA/NH3/H2O=12/11/8/23/46の溶液を9.58kg/hrの速度で送り込んだ。アンモニア放散塔422は操作圧力0.2MPa、ボトム温度150℃で操作し、塔頂から水とアンモニアを放散させた。ボトム組成は質量比でMEA/DEA/TEA/H2O=35.6/38.8/9.6/16となる。塔頂から放散させた水とアンモニアは冷却水で冷却後アンモニア吸収塔423へ導入する。操作圧は0.2MPa、ボトム温度40℃、塔頂から供給する水は1.5kg/hrで運転して、アンモニアをアンモニア水として回収した。このアンモニア水は従来の原料として使用する。【0049】【発明の効果】液体アンモニアとアルキレンオキシドとを反応させてアルカノールアミンを製造する際に、アンモニアを含む反応液、例えば4〜20質量%含む反応液からアンモニア除去/回収する工程の冷凍機や圧縮機といった高価な設備を必要とせず、かつ、それらの用役費も節減することができ、安価に効率よくアルカノールアミンを製造することができる。【図面の簡単な説明】【図1】は、反応器を1基とするアルカノールアミン製造プロセスの概略フローシートである。【図2】は、反応器を3基とするアルカノールアミン製造プロセスの概略フローシートである。【図3】は、反応器を1基とし、反応液をリサイクルするアルカノールアミン製造プロセスの概略フローシートである。【図4】は、反応器を1基とし、アンモニアを一部分離した反応液をリサイクルするアルカノールアミン製造プロセスの概略フローシートである。【図5】は、本発明におけるアンモニア回収系の一例を示すフローシートである。【図6】は、本発明によるアルカノールアミン製造プロセスの一例を示す全体フローシートである。【符号の説明】1,11,21,31、401…原料アルキレンオキシドタンク2、12,22,32、402…原料アンモニアタンク6、16,26,36、404…回収液体アンモニアタンク3,13,23,33、411…原料予熱器4,14abc、24,34、412…反応器7、17,27,37、414…制御弁5,15,25,35、421アンモニア回収塔301,422…アンモニア放散塔302、423…アンモニア吸収塔403…アンモニア水タンク413…アンモニア水法反応器8、18,28,38、303、415,416…冷却器 固体触媒を用いて液体アンモニアとアルキレンオキシドとを反応させてアルカノールアミンを製造する際に、次の工程を含むことを特徴とするアルカノールアミンの製造方法:a)反応器出口のアンモニアおよびアルカノールアミンを含有する反応液をアンモニア回収塔で該反応液の含有アンモニアの60質量%以上を液体アンモニアとして、残分をボトム液として回収する工程、b)前記ボトム液をアンモニア放散塔へ供給し、アンモニアを放散する工程、およびc)前記放散されたアンモニアをアンモニア吸収塔へ導き、水で吸収してアンモニア水として回収する工程。 前記ボトム液をアンモニア放散塔へ供給する際に、水を含有する溶液を添加することを特徴とする請求項1記載の方法。 前記回収アンモニア水をアンモニア水法アルカノールアミン製造装置の供給原料とすることを特徴とする請求項1または2記載の方法。