タイトル: | 特許公報(B2)_膜評価方法及び装置 |
出願番号: | 2001289584 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,G01N21/21,G01B21/08,H01L21/66 |
塚本 俊之 西里 洋 JP 3554300 特許公報(B2) 20040514 2001289584 20010921 膜評価方法及び装置 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 390040660 APPLIED MATERIALS,INCORPORATED 長谷川 芳樹 100088155 山田 行一 100094318 鈴木 康仁 100104282 塚本 俊之 西里 洋 20040818 7 G01N21/21 G01B21/08 H01L21/66 JP G01N21/21 Z G01B21/08 H01L21/66 Q 7 G01N21/00-21/61 H01L21/64-21/66 JICSTファイル(JOIS) 実用ファイル(PATOLIS) 特許ファイル(PATOLIS) 特開平10-31039(JP,A) 特開平9-33223(JP,A) 特開平11-61415(JP,A) 11 2003121348 20030423 16 20010928 樋口 宗彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、膜評価方法及び装置に関し、詳しくは、基体上に形成された窒素原子を含む膜の膜質を評価するための膜評価方法、及び、そのための装置に関する。【0002】【従来の技術】Siウェハ等の基体上に形成されるシリコン窒化膜等の窒素原子を含む膜は、半導体デバイスを構成する絶縁膜、誘電体膜、保護膜等として広く用いられており、近年のデバイスの微細化に伴って、良質な膜特性を維持しつつ更なる薄膜化又は薄層化が望まれている。それと共に、研究開発過程及び製品の実生産過程において、その膜特性を精度よく評価する手法の確立も切望されている。【0003】従来、シリコン窒化膜(SixNy膜)の膜質評価は、一般に、種々の方法で成膜及び後処理された状態の当該膜の屈折率を直接測定し、屈折率の実測値と、指標となる屈折率とを比較評価することにより行われていた。例えば、拡散炉(furnace)で形成されたSixNy膜は、化学量論的な組成比に近い(ストイキオメトリが高いSi3N4膜となる)傾向にあり、その屈折率は約2.0の値を示す。これに対し、例えばシラン系ガスとアンモニアガスとを原料ガスとして用いて熱CVD法によってシリコン窒化膜を成膜した場合には、ガスの供給バランスによって、膜中のSi原子又はN原子がリッチな組成となる。【0004】具体的には、Si原子リッチな膜は屈折率が2.0を超える一方で、N原子リッチな膜では、2.0を下回る。よって、シリコン窒化膜の屈折率を直接測定する従来の方法では、言わばSi3N4膜に対する化学組成の‘ずれ’を指標としてシリコン窒化膜の膜質を評価又は把握することが試みられていた。また、他の方法として、成膜したSixNy膜をウェットエッチし、そのエッチング速度から膜質を評価する方法も考えられる。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかし、膜質の評価として、拡散炉で形成され得るようなSi3N4に近い組成を有する膜を基準とした相対的な膜質評価においては、評価対象のシリコン窒化膜が真に良好な膜質を有するか否かが必ずしも十分に判断できないおそれがある。また、不揮発性メモリ、より具体的には、フラッシュメモリ等のEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)に適用されるような窒化膜は厚さが極めて薄く、例えば5nm程度のものがある。一般に、薄膜の屈折率測定には分光エリプソメーターが広く用いられているが、分光精度やアライメント精度等を高めて測定条件等を最適化した場合でも、約10nm(100Å)以下の薄膜の屈折率を正確に測定することは困難な傾向にある。【0006】さらに、このような極薄膜に対して先述したようなウェットエッチを行っても、膜質の良否に応じたエッチング速度の有意な差異が殆ど生じないという問題がある。【0007】そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、基体上に形成されたシリコン窒化膜等の窒素原子を含む膜の膜質を評価する際に、その膜厚に依存せず、特に、極めて薄い膜であっても正確且つ絶対的な膜質評価が可能な膜評価方法、及び、そのための装置を提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、以下に示す知見を得た。一般に、基体上に形成された膜を酸化する方法としては、ウェット酸化、ドライ酸化、ラジカル酸化等が用いられているが、基体の直上方で複数のガスを反応させて酸化因子を生起させる方法は、通常のウェット酸化やドライ酸化に比して、極めて高い酸化力を発現することが本出願人により確認されている。【0009】例えば、基体上に水素(H2)ガスと酸素(O2)ガスとを供給して基体を加熱するいわゆるISSG(In−situ Steam Generation)法は、‘Steam Generation’とは言うものの、現象的には、ラジカル酸化によるラジカル酸素のような高い反応性を有する活性種の存在により、酸化反応の活性化エネルギーをみかけ上格段に低減することにより、酸化が困難な窒化膜を十分に酸化できる手法であることが判明した。【0010】また、有機シラン系ガスとアンモニアガスとを原料ガスとし、熱CVD法によって種々の成膜及び後処理条件で形成したシリコン窒化膜を上記ISSG法で酸化したところ、シリコン窒化膜上に形成されるシリコン酸化膜(SiO2膜)の成膜速度つまりシリコン窒化膜の酸化速度が有意に異なることが確認された。さらに、これらのシリコン窒化膜中の元素含有率等を調べたところ、Si−N結合に比して結合力が弱いSi−H結合部分(ウェークスポット)が多く含まれるほど酸化速度が大きいことが判明した。そして、本発明者は、かかる知見に基づいて更に研究を進め、本発明を完成するに至った。【0011】すなわち、本発明による膜評価方法は、基体上に形成された窒素原子を含む第1の膜の膜質を評価する方法であって、(a)基体を加熱する加熱ステップと、基体上に、第1のガスと、この第1のガスとの反応によりエネルギーを放出可能であり且つ酸素原子を含む第2のガスとを混合するように供給し、第1の膜の少なくとも一部を酸化して第2の膜を形成する酸化ステップとを有する改質工程と、(b)改質工程を実施した後に、基体上の第1の膜と第2の膜とを弁別し、且つ、改質工程における第1の膜の減膜速度又は第2の膜の成膜速度を取得し、得られたその減膜速度又はその成膜速度に基づいて、第1の膜の膜質を評価する膜質評価工程と、を備えることを特徴とする。【0012】このような構成を有する膜評価方法においては、改質工程で基体上に混合されるように供給された第1及び第2のガスが、基体の加熱により、その基体の近傍上方で反応し得る。これにより、種々の化学的に活性な活性種が基体の直上方で生成し、基体表面がこれらの活性種に曝される。これらの活性種は、基体界面(最表面)に到達し、それらのエネルギーが第1の膜の構成物質に付与され、その構成物質の分解、解離等の反応、更には活性種、特に酸素活性種との酸化反応が促進される。【0013】酸化反応は、基体の界面つまり第1の膜の上面部から徐々に内部へ進行し、第1の膜上に基体の表面に反応生成物から成る所定の厚さを有する第2の膜(酸化膜)が形成される。第2の膜は、第1の膜の一部が酸化・改質されたものである。このとき、第1の膜中に比較的結合力の弱い上述したようなウィークスポットが存在すると、その部分の結合解離が優先的に生じ、その部位を起点として酸化反応が速やかに進行すると推定される。但し、作用はこれに限定されるものではない。【0014】次いで、所定の時間、改質工程を実施した後、膜質評価工程を実行する。ここでは、基体上に形成された第2の膜とその基層である第1の膜とを所定の方法で弁別すると共に、第1の膜の減膜速度又は第2の膜の成膜速度を取得する。ここで、本発明における「減膜速度」とは、第1の膜の厚さの減少速度をいい、換言すれば、第1の膜が第2の膜へと改質される改質速度である。第2の膜は、第1の膜の一部が表面部から酸化されて生じるので、第1の膜の減膜速度と第2の膜の成膜速度とは一義的に対応する。そして、先に述べたように、第1の膜中のウィークスポットの存在率が高い程、上記減膜速度及び成膜速度が比較的大きくなる。ウィークスポットの存在率が高いということは、結合力の弱い部位が多く存在することを示すものである。よって、減膜速度及び成膜速度の大小により膜質の絶対的な評価が可能となる。【0015】また、改質工程においては、基体の周囲を所定の減圧状態で実施することにより、第1の膜の酸化反応の反応性が高められる。具体的には、改質工程は、基体の周囲を減圧する減圧ステップを更に有しており、この減圧ステップにおいては、基体が設置されて基体を支持する支持部と、基体に対向して配置され且つ基体を加熱する加熱部とを有するチャンバ内に該基体を収容した状態で、そのチャンバ内を減圧することにより基体の周囲を減圧し、加熱ステップにおいては、支持部に支持された基体を加熱部により加熱し、酸化ステップにおいては、第1のガス及び第2のガスを混合するように、支持部に支持された基体と加熱部との間に供給すること好ましい。【0016】より具体的には、減圧ステップにおいては、基体の周囲の圧力を0.5〜2kPa(約4〜15Torr)の範囲内の値に調整すると好適である。こうすれば、第1の膜の酸化速度が十分に高められるので、第1の膜がウィークスポットの存在率が少ない膜質に優れた膜であっても、改質工程における酸化ステップのプロセス時間を短縮できると共に、第2の膜の膜厚の均一性及び再現性が向上される。【0017】さらに、酸化ステップにおいては、第1のガスと第2のガスとの混合割合を変化させるように、第1のガス及び第2のガスのうち少なくともいずれか一方のガスの供給量を調整するとより好ましい。前者のステップを実行すれば、第1のガス及び第2のガスの反応により生成する活性種の濃度や成分比を任意に変化させることができる一方、後者のステップを実施すれば、両ガスの混合割合を一定にして圧力調整(濃度調整)を行うのに好適である。なお、後者のステップは、前者のステップを実質的に兼ねることもできる。【0018】さらに具体的には、酸化ステップにおいては、第1のガスとして水素(H2)ガスを用い、前記第2のガスとして酸素(O2)ガスを用いると有用である。この場合、H2ガスとO2ガスとが、加熱された基体の直近(直上方)で燃焼(化合)することにより、高いエネルギーを有する活性種が生成する。これにより、従来の外部燃焼で生じた水分(スチーム)を基体上に導入する方法と異なり、種々の活性種が、基体の酸化反応及びそれに先立つ解離等の化学反応に寄与する割合が高められる。【0019】またさらに、膜質評価工程においては、第1の膜及び第2の膜の屈折率の相違に基づいて両者を弁別し、第1の膜の厚さ又は第2の膜の厚さと酸化ステップにおける酸化時間とから第1の膜の減膜速度又は第2の膜の成膜速度を求めるとより好ましい。【0020】第1の膜は窒素を含む膜であるのに対し、第2の膜は酸化膜であるため、両者の屈折率、殊に波長に依存した屈折率の差異で弁別することは簡易であり、且つ、弁別手法として非常に有効である。また、第1の膜の一部が酸化・改質されることにより、第1の膜の減膜と第2の膜の成膜が同時に行われる。よって、改質工程を実施した後の両膜の膜厚は、改質工程における減膜速度及び成膜速度を直接対比可能に反映するファクターである。したがって、例えば、膜厚を成膜時間で除するような簡易な演算処理によって算出された減膜速度及び成膜速度を用いいることにより、第1の膜の膜質を平易に評価できる。【0021】また、本発明による膜評価装置は、本発明の膜評価方法を有効に実施するための装置であり、基体上に形成された窒素原子を含む第1の膜の膜質が評価されるものであって、(a)基体が設置されて基体を支持する支持部と、基体に対向して配置され基体を加熱する加熱部と、支持部に支持された基体と加熱部との間に、第1のガスと、この第1のガスとの反応によりエネルギーを放出可能であり且つ酸素原子を含む第2のガスとを混合するように供給する反応ガス供給部とを有しており、第1の膜の少なくとも一部が酸化されて第2の膜が形成される改質部と、(b)第2の膜が形成された基体上の第1の膜と第2の膜とが弁別され、且つ、改質部における第1の膜の減膜速度又は第2の膜の成膜速度が取得され、得られた減膜速度又は成膜速度に基づいて、第1の膜の膜質が評価される膜質評価部と、を備えるものである。【0022】具体的には、改質部は、チャンバ内の圧力が0.5〜2kPaの範囲内の値となるように、チャンバ内を減圧する減圧部を更に備えるものである。さらに、反応ガス供給部は、第1のガスの供給量を調整する第1の流量調整部と、第2のガスの供給量を調整する第2の流量調整部とを有すると有用である。またさらに、反応ガス供給部が、第1のガスとしての水素(H2)ガス供給源と、第2のガスとして酸素(O2)ガス供給源とを有すると一層好ましい。さらにまた、膜質評価部は、第1の膜及び第2の膜の屈折率、並びに、第1の膜の厚さ又は第2の膜の厚さを計測する計測部を有するものであると更に好適である。【0023】【発明の実施の形態】以下、添付図を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係については、特に規定しない限り、図面の上下左右等の位置関係に基づくものとする。【0024】図1は、本発明による膜評価装置の好適な一実施形態の構成を模式的に示すブロック図である。膜評価装置100は、SiウェハW(基体)が収容される膜改質部1と、この膜改質部1で処理が施されたSiウェハWが収容される膜計測部101とを備えるものである。膜改質部1は、例えば、有機シラン系ガスとアンモニア(NH3)ガスとを原料として熱CVD法によってSiウェハWの基層上に成膜されたシリコン窒化膜(SixNy膜;第1の膜)の一部がISSG法により酸化されてシリコン酸化膜(SiO2膜;第2の膜)が形成されるものである。【0025】一方、膜計測部101は、SiウェハW上に積層形成されたSixNy膜及びSiO2膜の屈折率及び膜厚を計測するものであり、例えば、分光エリプソメータといった非接触式の光学装置が採用される。また、膜計測部101は、膜改質部1で処理が施されたSiウェハWが流通する搬送部200を介して膜改質部1に接続されており、これらの膜改質部1、膜計測部101、及び搬送部200には、相互接続された制御装置38,138,208がそれぞれ接続されている。【0026】この制御装置38は、後述するように、膜改質部1で用いる反応ガスの流量制御等を行う機能を有しており、また、制御装置138は、膜計測部101で計測されたSixNy膜及びSiO2膜の屈折率及び膜厚に基づいて前者の減膜速度(改質速度)及び後者の成膜速度を演算し、かかる演算結果に基づいてSiウェハWに成膜されたSixNy膜の膜質の評価結果を出力するものである。このように、膜計測部101と制御装置138とから膜質評価部が構成されている。【0027】図2は、図1に示す膜改質部1を示す斜視図(一部断面図)である。また、図3は、その膜改質部1の要部を示す部分拡大断面図である。膜改質部1は、SiウェハWを温度制御しながら熱処理を行う枚葉式急速加熱熱処理装置であり、ベース部2a、側壁部2b及び蓋部2cで構成されたチャンバ2を備えたものである。【0028】このチャンバ2内には、SiウェハWを支持するウェハ支持部材3(支持部)が設置されている。ウェハ支持部材3は、ベース部2aにベアリング4を介して回転自在に取り付けられた円筒フレーム5と、この円筒フレーム5の上端に設けられたリングフレーム6とから成っている。また、リングフレーム6の内側縁部には、SiウェハWのエッジ部が支持される支持用段部6aが形成されている。ここで、SiウェハWがウェハ支持部材3に支持された状態(図2参照)では、SiウェハWの裏面側に、ベース部2aとウェハ支持部材3とSiウェハWとで囲まれた空間Saが形成される。【0029】また、ベース部2aの下部には、搬送ロボット(図示せず)によりチャンバ2内に搬送されたSiウェハWをウェハ支持部材3に支持させるためのリフト機構7が設けられている。このリフト機構7は、ベース部2aを貫通してSiウェハWを持ち上げる複数本(例えば3本)の支持ピン8を有している。【0030】さらに、チャンバ2の蓋部2cの上方には、ウェハ支持部材3に支持されたSiウェハWを加熱する複数の加熱ランプ9(加熱部)からなるランプ群9G(加熱部)が配置されている。蓋部2cには円形のランプ用窓部Lwが設けられており、加熱ランプ9の輻射熱はそのランプ用窓部Lwを介してSiウェハWに伝えられる。またさらに、ベース部2aには、SiウェハWの温度を光学的に検出する放射温度計等の温度センサ10が設けられている。この温度センサ10は、ベース部2aにおけるウェハ支持部材3に囲まれた円形プレート11において、その中心と周縁の一部を含み且つ所定の角度(例えば90度)をもった略扇形のセンサ設置領域内に複数組み込まれている。上述した空間Saは光学的には完全な閉空間となっており、光学式の温度センサ10による空間Saを利用してのSiウェハWの温度検出が支障なく行える。【0031】また、チャンバ2の側壁部2bには、ガス供給口12とガス排出口13とが対向して設けられている。ガス供給口12には、チャンバ2内におけるSiウェハW裏面側の空間Saの外部であるSiウェハW表面側の空間SbにH2ガスGh(第1のガス)及びO2ガスGo(第2のガス)を混合するように供給するための反応ガス供給系14(後述する図4参照)が接続されている。一方、ガス排出口13には、空間Sb内のガスをチャンバ2の外部に排出するための反応ガス排出系15(後述する図4参照)を構成するポンプ50が配管を介して接続されている。このポンプ50はチャンバ2内の空間Sa,Sbを減圧するものであり、ガス排出口13に接続された配管、すなわちガス排出経路には、チャンバ2内の圧力を検出する圧力センサ60が取り付けられている。【0032】さらに、ベース部2aの円形プレート11には、ガス供給口16及びガス排出口17が設けられている。ガス供給口16には、空間Sa内に、例えば、酸素ガスと窒素ガス(N2ガス)との混合ガスGkを供給するための混合ガス供給系18が接続され、ガス排出口17には、空間Sa内のガスをチャンバ2の外部に排出するための混合ガス排出系19が接続されている。【0033】またさらに、円形プレート11の周縁におけるセンサ設置領域を含む部位には、断面L字型の突起片20が設けられ、この突起片20の内側にガス供給口16が形成されている。また、円形プレート11においてその中心からガス供給口16の反対側に僅かに離れた位置にガス排出口17が形成され、ガス供給口16とガス排出口17との間にセンサ設置領域が設けられた構成となっている。これにより、ガス供給口16から導入された混合ガスGkは、円形プレート11におけるセンサ設置領域全範囲の上方を通ってガス排出口17から排出される。【0034】図4は、図2に示す膜改質部1におけるガス供給系等の構成を示すブロック図である。図4において、反応ガス供給系14(反応ガス供給部)は、H2ガス供給部14aとO2ガス供給部14bとを備えたものである。H2ガス供給部14aは、H2ガス供給源21aと、チャンバ2のガス供給口12とH2ガス供給源21aとの間に設けられ且つH2ガス供給源21aから空間Sb内に供給されるH2ガスGhの流れをオン・オフするバルブ22aと、そのH2ガスGhの流量を調整するマスフローコントローラ(以下、「MFC」という)23a(第1の流量調整部)とを有している。【0035】また、O2ガス供給部14bは、O2ガス供給源21bと、チャンバ2のガス供給口12とO2ガス供給源21bとの間に設けられ、O2ガス供給源21bから空間Sb内に供給されるO2ガスGoの流れをオン・オフするバルブ22bと、そのO2ガスGoの流量を調整するMFC23b(第2の流量調整部)とを有している。そして、H2ガス供給部14aとO2ガス供給部14bとは、バルブ22a,22bとガス供給口12との間で、例えば、T字管又はT字バルブ等により接合されており、ガス供給口12直前のその接合部において、H2ガスGh及びO2ガスGoが混合され、反応ガスXが空間Sb内に供給されるようになっている。【0036】一方、反応ガス排出系15(減圧部)は、チャンバ2のガス排出口13に接続されたプレッシャコントロールバルブ(以下、「PCV」という)24と、このPCV24に接続されたポンプ50とを有している。ポンプ50は、スクラバScに接続されており、空間Sb内から排出されたガスはスクラバScへ送られる。【0037】また、混合ガス供給系18は、O2ガス供給源25及びN2ガス供給源26と、チャンバ2のガス供給口16とこれらのガス供給源25,26との間に設けられ、これらのガス供給源25,26から空間Sa内に供給される混合ガスGkの流れをオン・オフするバルブ27と、空間Sa内に供給されるO2ガス及びN2ガスの流量をそれぞれ制御するMFC28,29とを有している。【0038】他方、混合ガス排出系19は、チャンバ2のガス排出口17に接続され、空間Sa内からチャンバ2の外部に排出されるガスの流量を調整するニードルバルブ等のバルブ30と、このバルブ30の二次側に接続され、空間Sa内から排出されるガスの流れをオン・オフする主バルブ31と、この主バルブ31の二次側に並列に接続された補助バルブ32,33と、補助バルブ33の二次側に粒子捕集用のフィルタ34を介して接続され、空間Sa内から排出されるガスの流量を検出するマスフローメータ(以下、「MFM」という)35とを有している。補助バルブ32の二次側及びMFM35の下流側はスクラバScとつながっており、空間Sa内から排出されたガスはスクラバScへ送られる。【0039】補助バルブ32及びMFM35とスクラバScとの間のガス排出経路には、空間Sa内から排出されるガス中のO2ガス濃度を検出する濃度センサ36が設けられている。また、チャンバ2のガス排出口13とPCV24との間のガス排出経路には、空間Sb内から排出されるガス中のH2ガス濃度及びO2ガス濃度を検出する濃度センサ37が設けられている。【0040】上記のMFM35、濃度センサ36,37及び圧力センサ60の検出値は、電気信号として制御装置38へ送られる。この制御装置38には、補助バルブ32,33の開閉を切り換えるためのオンオフの入力スイッチ39と、現在のプロセス状況を画面表示する表示部40とが接続されている。制御装置38は、MFM35、濃度センサ36,37の各検出信号及び入力スイッチ39の指示信号が入力され、これらの信号に基いて所定の処理を行い、その処理結果を電気信号としてMFC23a,23b,28,29、補助バルブ32,33及び表示部40に出力する。また、図示していないが、制御装置38は、複数の温度センサ10の温度検出値に基づいて複数の加熱ランプ9を制御し、SiウェハWの温度制御を行う機能をも有している。【0041】次に、このような制御装置38の処理機能の一例について説明する。制御装置38は、反応ガス供給量設定部38aと、補助バルブ切換設定部38bと、混合ガス供給量設定部38cと、プロセス続行・中止判断部38dとを有している。【0042】まず、反応ガス供給量設定部38aは、濃度センサ37及び/又は圧力センサ60の検出値に基いて、MFC23a,23b及びポンプ50を制御し、空間Sb内に供給されるH2ガスGh及びO2ガスGoの流量を調整する。これにより、空間Sb内におけるH2ガスGhとO2ガスGoとの混合割合(両ガスのそれぞれの分圧)、及び、反応ガスXの全圧が所定の値となるように調整される。なお、反応ガス供給量設定部38aの機能は、制御装置38ではなく、MFM23a,23b及び/又はポンプ50に設けてもよい。【0043】また、補助バルブ切換設定部38bは、入力スイッチ39からの指示信号がオフのときには、補助バルブ32を開状態、補助バルブ33を閉状態にするような設定信号を補助バルブ32,33に出力し、指示信号がオンのときは、補助バルブ32を閉状態、補助バルブ33を開状態にするような設定信号を補助バルブ32,33に出力する。このように入力スイッチ39をオン・オフにするだけで補助バルブ32,33の開閉が自動的に切り換えられる。【0044】さらに、混合ガス供給量設定部38cは、MFM35の検出値に基づいてMFC28,29を制御し、空間Sa内に供給されるO2ガス及びN2ガスの流量を調整する。混合ガス供給量設定部38cは、空間Sa内に供給される混合ガスGkの流量と空間Sa内から排出されるガスの流量との差分を所定値にするための設定信号を生成してMFC28,29に出力する。なお、混合ガス供給量設定部38cの機能は、制御装置38ではなく、MFM35又はMFC28,29に設けてもよい。【0045】またさらに、プロセス続行・中止判断部38dは、濃度センサ36,37及び圧力センサ60の各検出値に基づき、空間Sa内から排出されるガス中の酸素濃度、空間Sb内から排出されるガス中のO2ガス濃度及び/又はH2ガス濃度(両ガスの混合割合若しくは分圧)、並びに、反応ガス全圧が、それぞれ予め決められた設定値の範囲内にあるか否かを判断する。そして、各量が設定値の範囲を外れた時点で、SiウェハWの加熱処理を中止すべく、プロセス中止信号をMFC23a,23b,28,29に出力し、チャンバ2内にガスが供給されないようにする。【0046】加えて、プロセス続行・中止判断部38dは、プロセスが中止されると、プロセス中止信号を表示部40にも出力し、プロセス中止情報を表示部40に表示させ、場合によっては警報を発生させる。なお、上記のプロセス中止信号を各加熱ランプ9に送出し、全ての加熱ランプ9の出力をオフにしてもよい。【0047】次に、以上のように構成された膜評価装置100を用いた本発明の膜評価方法の一例について説明する。図5は、本発明による膜評価方法の一実施形態の手順を示すフロー図である。また、図6(A)及び(B)は、本発明による膜評価方法の一実施形態によりSiウェハWに対して膜改質工程を実施している状態を模式的に示す工程図である。【0048】まず、評価対象であるSiウェハWの膜評価に先立って、当該SiウェハWを処理するのと同等の手順に沿って種々のプロセス条件を用いて、試験用ダミーウェハに対して膜改質処理を行なう(ステップS0:図5参照)。このステップS0は、評価対象のSiウェハWと同じ方法及び条件で成膜されたSixNy膜に対する膜改質(酸化・改質)条件の最適化を行うための工程である。このステップにおける具体的な処理操作は、以下に述べるステップS1〜S3におけるのと同様であり、重複説明を避けるためここでの説明は省略する。このステップS0を実施することにより、後述するステップS1におけるH2ガスGh流量、O2ガスGo流量、処理温度、処理圧力、プロセスタイム等の最適な条件出しを行うことができる。【0049】その後、評価対象であるSiウェハWの膜評価を開始する。まず、内部が不活性ガス等で必要に応じて置換されたチャンバ2内に、図示しない搬送ロボットを用いてSiウェハWを搬送する。次に、チャンバ2を封止した状態、すなわち、バルブ22a,22b,27及び主バルブ31を閉じた状態でポンプ50を運転し、チャンバ2内を減圧する(減圧ステップ)。以降の処理においては、ポンプ50を常時運転して減圧状態を維持する。次いで、チャンバ2内が所定圧力となった時点で、リフト機構7により3本の支持ピン8を上昇させてSiウェハWを一旦持ち上げた後、支持ピン8を下降させてSiウェハWをウェハ支持部材3のリングフレーム6上に載置する。【0050】次いで、バルブ22a,22bを開き、制御装置38からMFC23a,23bに所定の流量設定信号を送出してチャンバ2内の空間SbにH2ガスGh及びO2ガスGoを連続的に供給する。両ガスはチャンバ2のガス供給口12の直前で混合され、反応ガスXとして未反応の状態で空間Sb内のSiウェハ周辺を流通し、一部がガス排出口13から排気される。【0051】一方、バルブ27,30、主バルブ31、及び、補助バルブ33を開き、補助バルブ32を閉じ、制御装置38からMFC28,29に所定の流量設定信号を送出してチャンバ2内の空間Saに混合ガスGkを連続的に供給する。混合ガスGkはガス供給口16から空間Sa内を流通し、一部がガス排出口17から排出される。このとき、空間Sa内は、SiウェハWの自重等により実質的に閉状態に維持されているため、空間Sa内の混合ガスGkが空間Sbに漏出するおそれは殆ど無い。【0052】そして、MFM35の検出値を監視しながら、空間Sa内に供給されるガスの流量が空間Saから排出されるガスの流量よりも少なくなるように、バルブ30により空間Saからのガスの排出流量を調整し、いわゆるバイアスフローを形成させる。これにより、ウェハ支持部材3とSiウェハWとの間に形成された僅かな間隙を通って、空間Sb内の反応ガスXが空間Sa内に流れ込み、強制的な流体の閉空間が作られる。【0053】次いで、上述のH2ガスGh、O2ガスGo及び混合ガスGkの供給とほぼ同時に、図示しない駆動手段によりウェハ支持部材3を回転駆動させてSiウェハWを回転させると共に、複数の加熱ランプ9を点灯させる。これにより、SiウェハWの温度を室温から徐々に且つ急速に上昇させる(加熱ステップ)。【0054】SiウェハWの温度が所定温度に達すると、空間SbにおけるSiウェハWの上方で反応ガスXが燃焼する。これにより、水、又は燃焼反応の素反応生成物としての種々の化学種の活性種が生成し、SiウェハW表面全体がこれらの活性種に曝される。活性種は、燃焼反応によって生じた反応エネルギーを有しており、かかるエネルギーの一部が、SiウェハW上の基層300(図6(A)参照)上に成膜されたSixNy膜301に付与される。【0055】これにより、SixNy膜301を構成するSi−N結合等を解離し、Si原子が酸化されてSixNy膜301の上面部にSiO2が生じる。この酸化反応は、SixNy膜301の上面部から徐々に内部に進行し、SixNy膜301上にSiO2膜302が形成される(図6(B)参照;酸化ステップ)。このように、減圧ステップ、加熱ステップ及び酸化ステップから改質工程が構成される(ステップS1)。このとき、SiO2膜302形成後のSixNy膜301の膜厚d1は、当初の膜厚d0よりも薄くなる(減膜)。ちなみに、SixNy膜301の膜厚d1とSiO2膜302の膜厚d2との和は、当初のSixNy膜301の膜厚d0よりも厚くなる。【0056】このように、活性種がSixNy膜301の膜内を拡散してSixNy膜301と基層300との界面部の基層300側が酸化されずに、SixNy膜301の上面部からその膜中のSiが酸化されてSiO2膜が生じるかかる現象は、拡散炉等を用いたドライ酸化では認められず、ISSG法に特有の現象である。これは、おそらく、活性種のエネルギーの一部が、上述したように反応対象の物質の解離や活性化に供されることにより、みかけ上の活性化エネルギーが低減されることが一要因と考えられる。ただし、作用はこれに限定されるものではない。【0057】ここで、SixNy膜301内にSi−N結合の他にSi−H結合のようなウィークスポットが存在すると、反応場の熱力学的な状態にもよるが、活性種から同等のエネルギーが付与された場合には、結合力の弱いSi−H結合の解離が優先的に、或いは、反応速度論的に高い反応定数をもって進行すると推定される。さらには、ウィークスポット部分を起点にしてSixNy膜301全体の酸化が促進され、全体の酸化効率が高められ得る。よって、SixNy膜301におけるウィークスポットの存在割合が高いほど、SixNy膜301の酸化速度つまり減膜速度が増大し、SiO2膜302の成長速度つまり成膜速度が増大する。【0058】なお、空間SaにおけるSiウェハW表面にも、自然酸化膜であるシリコン亜酸化物(SiO)の昇華を抑えるSiO2膜が形成される。このとき、定期的に入力スイッチ39をオンにして、空間Sa内から排出されたガスがMFM35を通るようにする。これにより、バルブ30にガス中の粒子等が付着及び堆積しても、空間Sa内から排出されるガスの流量と空間Sa内に供給される混合ガスGkの流量との差が所定値となるように混合ガスGkの供給流量が自動的に制御され、空間Sa内のガスが空間Sbへ流入することが十分に防止される。【0059】その後、一定の時間が経過した時点で、SiウェハWの回転を停止させ、複数の加熱ランプ9の熱出力を所定のウェハ搬出温度となるように制御すると共に、制御装置38からMFC22a,22b,28,29に流量ゼロ信号が送出され、チャンバ2内へのH2ガスGh,O2ガスGo及び混合ガスGkの供給を停止する。SiウェハWの温度がウェハ搬出温度まで下降した後、図示しない搬送ロボットによりSiウェハWをチャンバ2の外部に取り出す。【0060】ここで、ステップS1におけるH2ガスGhとO2ガスGoとの混合割合は、特に限定されるものではないが、H2ガスGhが約30vol%以上含まれるとSiO2膜302の成膜速度が十分に高められるので好ましい。ただし、極く薄い酸化膜を成膜する場合には、成膜速度が過度に増大して所望の膜厚を得難いおそれがあるので、あえて成膜速度を抑えるために、H2ガスGhの混合割合を好ましくは30vol%未満、より好ましくは0.1〜20vol%、特に好ましくは0.5〜5vol%とすると好適である。こうすれば、膜厚の均一性に優れた極薄のSiO2膜302を形成し易いので、後述する膜厚の計測が確実且つ簡便となる。【0061】また、SiウェハWの加熱温度(ウェハ温度)としては、H2ガスGhとO2ガスGoとの混合割合にもよるが、好ましくは800〜1100℃、より好ましくは850〜1050℃であると好適である。この温度をこのような範囲内の値とすれば、SiO2膜302の十分な成膜速度が得られる傾向にある。【0062】さらに、反応ガスXの全圧(空間Sb内のH2ガスGh及びO2ガスGoの分圧の合計)としては、好ましくは0.5〜2kPa(約4〜15Torr)、より好ましくは0.7〜1.7kPa(約5〜13Torr)、特に好ましくは0.8〜1.5kPa(約6〜11Torr)であると好適である。この圧力が0.5kPa未満であると、H2ガスGh及びO2ガスGoの燃焼で生成する活性種の濃度を十分に高められない傾向にある。一方、上記圧力が2kPaを超えてた場合には、SiO2膜302の成膜速度の低下つまり反応効率の低下が顕著となる傾向にある。これは、活性種の相互作用による失活が要因の一つと推定される。【0063】次いで、チャンバ2内から搬出したSiウェハWを、搬送部200を通して膜計測部101へ移送する(ステップS2)。このSiウェハWを膜計測部101内の所定の膜計測位置に設置し、分光エリプソメーター等を使用して、SixNy膜301とSiO2膜302との二層膜の屈折率及び膜厚を、パラメータフィッティングによる多変量解析を併用した分光エリプソメトリーによって同時に計測する(ステップS3)。この際、いずれか一方の膜厚が極端に薄い場合、例えば、nmオーダー未満の場合には反射率又は位相差のフィッティングが困難なことがある。この場合には、二層の全体膜厚と比較的膜厚が厚い方の膜厚とを計測してもよい。【0064】それから、屈折率及びそれに対応する部位の膜厚値の計測信号を制御装置138に出力する。また、制御装置138には、制御装置38から又は手動で、酸化ステップのプロセスタイム(酸化(改質)時間)を入力する。制御装置138に備わる図示しない演算部では、屈折率の情報からSixNy膜301とSiO2膜302との弁別を行い、それらの膜厚d1,d2(図6(B)参照)を把握する。これらの膜厚と上記プロセスタイムとからSixNy膜301の減膜速度とSiO2膜302膜の成膜速度を算出する(ステップS4)。なお、SixNy膜301とSiO2膜302膜との改質・形成に係るプロセスタイムは同じであるので、膜厚そのもののを減膜速度又は成膜速度の指標としてもよい。【0065】次いで、得られたSixNy膜301の減膜速度又はSiO2膜302膜の成膜速度から当初のSixNy膜301の膜質の評価を行う。膜質の評価は、例えば、電気的特性等の計測により予め膜質の良否が判明しているSixNy膜を基準とした膜質の評価指標(判断基準値)との対比で行うことが可能である。例えば、制御装置138に入力されたSixNy膜301の減膜速度又はSiO2膜302膜の成膜速度をSiの酸化速度で規格し、この規格化した実測値を、同じSiの酸化速度で規格したときの膜質判断基準値と比較する。【0066】前述したように、ウィークスポット部分の含有割合が高くて膜質が劣ると想定される膜ほど、その酸化によるSiO2膜302の成膜速度は大きくなる傾向にある。そこで、規格化した実測値が判断基準値を上回る場合には、膜質が十分ではなく、判断基準値以下であれば、所望の膜質を有するといった評価を平易に行うことができる(ステップS5)。このように、ステップS3〜S5から膜質評価工程が構成される。そして、必要に応じて膜計測部101での計測データ及び膜質の評価結果を制御装置208,38を通して表示部40へ表示した後、膜評価を終了する。【0067】〈評価例〉ここで、SiウェハWとして、基層300として酸化膜が形成され、その上に熱CVD法によってSixNy膜301が成膜された有効面直径200mmのウェハに対し、図2に示す構成の膜改質部1のチャンバ2内で上述した改質工程を実施し、SixNy膜301上にSiO2膜302を形成せしめた。この際、別途詳細なデバイスの電気特性及び組成の評価から良質のSixNy膜が形成されると判明している成膜条件(条件1)と、比較的電気的特性等に劣るSixNy膜が形成されると判明している成膜条件(条件2)で成膜を行った。【0068】これらのSiウェハWを上述した分光エリプソメトリーに供し、SiO2膜302の膜厚を計測して成膜速度を求め、上述したように、所定のSi膜の酸化速度で規格したところ、条件1及び2によるSixNy膜に対してそれぞれ0.6及び0.9という値となり、両者に有意な差異が生ずることが確認された。この場合、膜質良否の判断基準値を例えば0.7程度にすれば、両者の膜質の良否を簡便且つ確実に評価できることが判明した。【0069】このように構成された膜評価装置100及びこれを用いた膜評価方法によれば、H2ガスとO2ガスとを供給してSiウェハWを加熱するISSG法により、SiウェハW上のSixNy膜301を酸化してSiO2膜302を形成せしめ、その後、これらの膜厚を計測してSixNy膜301の減膜速度及びSiO2膜302の成膜速度を求める。【0070】そして、SixNy膜の膜質が膜中のウィークスポットの存在に依存すると共に、ウィークスポット部分の割合が高いほど膜質が十分ではなく且つSiO2膜の成膜速度が大きい傾向にあることから、かかる成膜速度等に基づいて、当初のSixNy膜301の膜質の良否を評価するので、SixNy膜301の絶対的な膜質の評価を極めて簡便且つ確実に実現できる。また、従前のようなSixNy膜の屈折率の測定に基づく評価ではなく、膜厚から成膜速度等を算出し、これに基づいて膜質を評価するので、薄膜の膜質評価の精度を向上できる。【0071】また、SixNy膜301の酸化・改質を行う際に、チャンバ2内の圧力の調整、並びに、H2ガス及びO2ガスの混合割合を調整するので、種々の条件で成膜されたSixNy膜301の酸化処理を所望に実施でき、条件の最適化による処理効率の向上を図ることが可能となる。【0072】なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、空間Sbに供給する第1のガスとしてメタンガス等の分子内に水素原子を含有する有機ガスを用いてもよく、第1のガスと第2のガスの反応によってエネルギーが発生するガスであれば、基体の種類や所望の薄膜の形成に適したガスを適宜選択可能である。また、H2ガスGhとO2ガスGoとをガス供給口12の直前で混合せずに、両者のガスをガス供給口12から独立にチャンバ2内へ導入してチャンバ2内で混合するようにしてもよい。【0073】さらに、チャンバ2内に空間Saを形成すること、及び/又は、混合ガスGkを空間Saに供給して流通させることは必ずしも必要ない。この場合、ウェハ支持部材3の代りに通常のサセプタを用いてSiウェハWを支持してもよく、加熱ランプ9の代りにこのサセプタにヒーター等の加熱源を設けて加熱部としてもよい。このようなサセプタは支持部と加熱部とを兼ねるものとなる。【0074】またさらに、膜評価工程において、膜質の良否判断は、二値化判断に限定されず、膜質の良否の程度に応じた複数の判断基準値の幅を設定しておき、より詳細な膜質評価を行ってもよい。さらにまた、SixNy膜301の膜厚が比較的厚いときには、SiO2膜302を形成した後に断面SEM画像,断面TEM画像等の断面画像を撮像し、得られた画像から膜厚を計測しても構わない。加えて、膜改質部1と膜計測部101とは搬送部200を介して結合されていなくてもよい。この場合、搬送部200はSiウェハWを自動搬送するものでなくてもよく、SiウェハWを搬送できれば、適宜の治工具を用いて手動で行っても構わない。【0075】【発明の効果】以上説明したように、本発明の膜評価方法及び装置によれば、基体上に形成されたシリコン窒化膜等の窒素原子を含む第1の膜の膜質を評価する際に、その基体上に、H2ガス等の第1のガスとO2ガス等の第2のガスとを混合するように供給し、基体を加熱することにより、いわゆるISSG法による第1の膜の酸化・改質を行って第2の膜を形成した後、これらの第1の膜及び第2の膜とを弁別し且つ前者の減膜速度又は後者の成膜速度を取得し、それに基づいて第1の膜の膜質を評価するようにしたので、第1の膜厚に依存せず、特に、極めて薄い膜であっても正確且つ絶対的な膜質評価が可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明による膜評価装置の好適な一実施形態の構成を模式的に示すブロック図である。【図2】図1に示す膜改質部を示す斜視図(一部断面図)である。【図3】図1に示す膜改質部の要部を示す部分拡大断面図である。【図4】図2に示す膜改質部におけるガス供給系等の構成を示すブロック図である。【図5】本発明による膜評価方法の一実施形態の手順を示すフロー図である。【図6】図6(A)及び(B)は、本発明による膜評価方法の一実施形態によりSiウェハWに対して膜改質工程を実施している状態を模式的に示す工程図である。【符号の説明】1…膜改質部、2…チャンバ、3…ウェハ支持部材(支持部)、9…加熱ランプ、9G…ランプ群(加熱部)、14…反応ガス供給系(反応ガス供給部)、15…反応ガス排出系(減圧部)、21a…H2ガス供給源、21b…O2ガス供給源、23a…MFC(第1の流量調整部),23b…MFC(第2の流量調整部)、38…制御装置、100…膜評価装置、101…膜計測部、138…制御装置、200…搬送部、301…SixNy膜(第1の膜)、302…SiO2膜(第2の膜)、Gh…H2ガス(第1のガス)、Go…O2ガス(第2のガス)、W…Siウェハ(基体)、X…反応ガス。 基体上に形成された窒素原子を含む第1の膜の膜質を評価する方法であって、該基体を加熱する加熱ステップと、該基体上に、第1のガスと、該第1のガスとの反応によりエネルギーを放出可能であり且つ酸素原子を含む第2のガスとを混合するように供給し、前記第1の膜の少なくとも一部を酸化して第2の膜を形成する酸化ステップと、を有する改質工程と、前記改質工程を実施した後に、前記基体上の前記第1の膜と前記第2の膜とを弁別し、且つ、前記改質工程における該第1の膜の減膜速度又は該第2の膜の成膜速度を取得し、得られた該減膜速度又は該成膜速度に基づいて、該第1の膜の膜質を評価する膜質評価工程と、を備える膜評価方法。 前記改質工程は、前記基体の周囲を減圧する減圧ステップを更に有しており、該減圧ステップにおいては、前記基体が設置されて該基体を支持する支持部と、該基体に対向して配置され且つ該基体を加熱する加熱部とを有するチャンバ内に該基体を収容した状態で、該チャンバ内を減圧することにより該基体の周囲を減圧し、前記加熱ステップにおいては、前記支持部に支持された前記基体を前記加熱部により加熱し、前記酸化ステップにおいては、前記第1のガス及び前記第2のガスを混合するように、前記支持部に支持された前記基体と前記加熱部との間に供給する、ことを特徴とする請求項1記載の膜評価方法。 前記減圧ステップにおいては、前記基体の周囲の圧力を0.5〜2kPaの範囲内の値に調整する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の膜評価方法。 前記酸化ステップにおいては、前記第1のガスと前記第2のガスとの混合割合を変化させるように、該第1のガス及び該第2のガスのうち少なくともいずれか一方のガスの供給量を調整する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜評価方法。 前記酸化ステップにおいては、前記第1のガスとして水素(H2)ガスを用い、前記第2のガスとして酸素(O2)ガスを用いる、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜評価方法。 前記膜質評価工程においては、前記第1の膜及び前記第2の膜の屈折率の相違に基づいて両者を弁別し、該第1の膜の厚さ又は該第2の膜の厚さと前記酸化ステップにおける酸化時間とから該第1の膜の減膜速度又は該第2の膜の成膜速度を求める、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜評価方法。 基体上に形成された窒素原子を含む第1の膜の膜質が評価される装置であって、前記基体が設置されて該基体を支持する支持部と、該基体に対向して配置され該基体を加熱する加熱部と、該支持部に支持された該基体と該加熱部との間に、第1のガスと、該第1のガスとの反応によりエネルギーを放出可能であり且つ酸素原子を含む第2のガスとを混合するように供給する反応ガス供給部とを有しており、前記第1の膜の少なくとも一部が酸化されて第2の膜が形成される改質部と、前記第2の膜が形成された前記基体上の前記第1の膜と前記第2の膜とが弁別され、且つ、前記改質部における該第1の膜の減膜速度又は該第2の膜の成膜速度が取得され、得られた該減膜速度又は該成膜速度に基づいて、該第1の膜の膜質が評価される膜質評価部と、を備える膜評価装置。 前記改質部は、前記チャンバ内の圧力が0.5〜2kPaの範囲内の値となるように、該チャンバ内を減圧する減圧部を更に備えるものである、ことを特徴とする請求項7記載の膜評価装置。 前記反応ガス供給部は、前記第1のガスの供給量を調整する第1の流量調整部と、前記第2のガスの供給量を調整する第2の流量調整部と、を有する、ことを特徴とする請求項7又は8に記載に膜評価装置。 前記反応ガス供給部は、前記第1のガスとしての水素(H2)ガス供給源と、前記第2のガスとして酸素(O2)ガス供給源と、を有するものである、ことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の膜評価装置。 前記膜質評価部は、前記第1の膜及び前記第2の膜の屈折率、並びに、該第1の膜の厚さ又は該第2の膜の厚さを計測する膜計測部を有するものである、ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の膜評価装置。