生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_配管の欠陥検出方法
出願番号:2001283173
年次:2006
IPC分類:G01N 29/04


特許情報キャッシュ

永溝 久志 川嶋 紘一郎 JP 3810661 特許公報(B2) 20060602 2001283173 20010918 配管の欠陥検出方法 川嶋 紘一郎 594178044 三菱化学株式会社 000005968 稲垣 清 100096231 永溝 久志 川嶋 紘一郎 20060816 G01N 29/04 20060101AFI20060727BHJP JPG01N29/10 502 G01N 29/00-29/52 特開平10−274642(JP,A) 特開平09−281089(JP,A) 特開平08−136512(JP,A) 特開平11−258215(JP,A) 特開2001−041939(JP,A) 特開2001−004601(JP,A) 3 2003090828 20030328 8 20040528 横井 亜矢子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、配管の欠陥検出方法に関し、更に詳しくは、超音波を利用して、配管の腐食等による欠陥の有無、その位置及び/又は大きさを判定する、配管の欠陥検出方法に関する。【0002】【従来の技術】石油プラントや化学プラント等においては、多数の配管が屋外及び屋内で使用されており、その使用期間も長期に亘るため、各配管における腐食の有無や、その位置、大きさを判定する技術が開発されている。【0003】特開2001―41939号には、従来の配管の欠陥検出方法が記載されている。この方法は、配管の延在方向に直交する方向で且つ配管の表面に立てた垂線から所定の角度範囲に収まるように超音波を配管内部に向けて発射し、配管内部をその周方向に伝搬する透過超音波又はこの透過超音波が欠陥によって反射する反射超音波を検出し、透過超音波又は反射超音波の到達時間に基づいて欠陥の位置を、また、その振幅に基づいて欠陥の有無や大きさを判定するものである。【0004】上記従来の検出方法の様子を図9(a)に示した。同図において、超音波送信振動子11から、探触子12を介して配管20に超音波を入射し、点P1及びP2に配設した超音波受信振動子13で超音波を受信する。点P2を透過した超音波が、配管外周部に存在する欠陥21によって反射して戻るまでの時間を計測して、点P2と欠陥が存在する位置との間の角度差βを検出する。また、その振幅を計測する。ここで、配管内部を伝搬する超音波は横波であることが知られている。【0005】図9(b)に上記検出方法で採用する超音波の入射角度を示した。超音波の配管20への入射角度としては、配管20の外部表面で立てた鉛直線からの角度θiが45°となるように選定される。θi=45°の角度を選定すると、超音波送信振動子11の先端に幅があること、及び、配管表面で超音波が屈折することにより、配管内部に入射した直後の超音波は、配管表面に立てた垂線からの角度が70°を中心とし、54〜90°の広がりをもつ波になる(θa=54°、θb=70°、θc=90°)。配管内部での入射角が54〜90°の広がりをもつ超音波は、配管内部を全体としてほぼ一様に周方向に伝搬すると記載されている。【0006】【発明が解決しようとする課題】上記従来の欠陥検出方法では、屋外配管で生ずる配管外周部での腐食による欠陥位置及びその腐食量の検出が、特別な計算を必要とすることなく可能となる。しかし、この欠陥検出方法では、配管内部を伝搬する超音波の分布が配管外周側に集中し、配管内周側における超音波の分布が十分ではないために、配管内周部に位置する内部腐食の存在の有無、その位置及び腐食量を精度よく判定できない欠点があった。【0007】本発明は、上記に鑑み、配管内周部に位置する腐食による配管の欠陥の存在の有無、その位置及び腐食量が精度よく検出できる、配管の欠陥検出方法を提供することを目的とする。【0008】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の配管の欠陥検出方法は、第1の視点において、配管の延在方向と直交する方向に超音波を配管内部に向けて発射し、配管内部をその周方向に伝搬する透過超音波及び該透過超音波が欠陥によって反射する反射超音波の少なくとも一方を検出して、配管の欠陥の有無、位置及び/又は大きさを判定する、配管の欠陥検出方法において、配管に入射する超音波の入射角、又は、超音波が配管表面で屈折した後の屈折角を、超音波内で均一にしたことを特徴とする。【0009】また、本発明の配管の欠陥検出方法は、第2の視点において、配管の延在方向と直交する方向に超音波を配管内部に向けて発射し、配管内部をその周方向に伝搬する透過超音波及び該透過超音波が欠陥によって反射する反射超音波の少なくとも一方を検出して、配管の欠陥の有無、位置及び/又は大きさを判定する、配管の欠陥検出方法において、配管内部を伝搬する超音波を板波としたことを特徴とする。【0010】本発明の配管の欠陥検出方法では、超音波送信振動子から配管に入射する超音波の入射角又はその超音波が配管外部表面で屈折した後の屈折角を超音波内で均一にする構成により、或いは、配管内部を伝搬する超音波を板波とした構成により、配管内部における超音波の配管厚み方向の分布を均一にすることが出来る。従って、配管の外周面に近い欠陥のみならず、配管の内周面に近い配管内部の欠陥も有効に検出でき、欠陥の有無、その位置及び/又は大きさが精度よく判定できる。【0011】ここで、本発明で使用する用語「配管の内部」は、配管を構成する配管材の外周面と内周面とで囲まれる配管全体を意味する。【0012】【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、各要素の参照符号は、理解を容易にするために全図を通して同じとした。図1は、本発明の一実施形態例に係る配管の欠陥検出方法の原理を示す配管の断面図である。超音波を発射する超音波送信振動子11は、配管20の頂部付近(点P1)に配置する。超音波送信振動子11は、探触子12を介して配管20の外表面に向けて超音波を発射し、この超音波を配管内部で周方向に伝搬させる。【0013】超音波を検出する超音波受信振動子13は、超音波送信振動子11の設置点P1、及び、超音波の進行方向で配管表面の適当な位置、例えば超音波の入射位置から72.5°の角度位置P2に配置する。超音波受信振動子13は、指向性が弱いものがよく、この場合、配管20の内部を正逆の双方向に伝搬(透過又は反射)する超音波を検出できるように配置する。【0014】超音波送信振動子11から配管20に向けて発射する超音波の角度を適切に選定することにより、配管表面で屈折した後の超音波の進行方向と、その入射位置での配管表面の垂線との成す角度(屈折角)を超音波内で均一にすることが出来る。つまり、図面上で示した角度α及びβについて、α=βとすることが出来る。【0015】図2は、本実施形態例で採用する超音波の入射角及び屈折角の一例を示す配管断面図の一部である。超音波は、図示のように、その配管への入射角又は配管内での屈折角が均一に保たれている。この入射角は、同図の場合、43.0°としてある。超音波の入射角を均一としたことにより、屈折角も均一になる。この場合、配管として、内周側直径が27mm、肉厚が3mmの鋼鉄管を使用すれば、屈折角は64.2°となる。このような入射角又は屈折角を持つ超音波は、その大部分が配管内周面でその接線方向に向かうため、再び配管内部に反射し、これによって配管内部を全体としてほぼ一様に周方向に伝搬する。【0016】前記入射角及び屈折角は夫々、各位置において配管表面に立てた垂線とその位置において入射する超音波の進行方向との成す角度、及び、前記垂線とその位置において配管表面から入射する際に屈折した後の超音波の進行方向との成す角度として定義される。超音波は、超音波送信振動子11の表面から出射する際には、超音波送信振動子11の表面に垂直な方向に出射する。従って、超音波送信振動子11から出射する超音波は、相互に平行な進行方向を有する超音波ではなく、配管20表面での位置によって超音波の進行方向が少しづつ異なる。このような超音波を得るためには、超音波送信振動子の表面を特別な形状に加工する必要がある。【0017】図3は、上記入射角又は屈折角を持つ超音波を得るための超音波送信振動子について、その表面形状を得るための原理を示している。つまり、超音波送信振動子の表面形状の設計にあたっては、超音波の入射を受ける配管の形状を図形乃至は座標として求め、超音波を入射する配管表面の各微少部分において夫々、配管表面に立てた垂線から所定の角度を成す直線を引く。配管の表面から所定の距離にある点から始め、各直線に垂直な線分の集合を求め、これをつないで振動子の断面形状とする。このような形状は、コンピュータを所定のプログラム上で稼働させることによって簡単に求められる。振動子は、本体の材質はコンポジット材であり、表面を例えばポリイミドで被覆する。【0018】図4は、配管の仕様及び外径毎の、配管内周面で反射しない最小屈折角を示している。つまり、進行方向が配管内周面でその接線となるような超音波を得るために必要な屈折角を、配管の仕様(SGP、STPGsch40,STPGsch80)及び外径(0〜500mm)の関数として示している。本図から、一般に使用される配管について、本実施形態例の方法で欠陥検出を行う際に必要な屈折角が得られる。つまり、本グラフの太線で示される範囲(20°〜80°)の屈折角を用いれば、一様に伝搬する超音波が得られる。ここで、20°以下の屈折角では、配管内周面と外周面の反射回数が多くなり、超音波が著しく減衰する。【0019】実験のため、従来及び本実施形態例の方法で、外径60mm、厚さ3mmの配管内部の周方向に一周した透過超音波を検出した。図5(a)及び(b)は夫々、本実施形態例の方法及び従来方法を使用して検出した透過超音波の波形を示している。透過超音波は、同図に示した“イ”及び“ロ”の波形として検出された。この波形を解析したところ、本実施形態例の方法で計測された超音波は、配管を1周するのに要する時間が80μ秒であった。この時間は、従来の方法で検出された超音波が配管を1周する時間である63μ秒に比して大きく、従って、本実施形態例の方法における超音波は、従来の方法における超音波に比して伝搬速度が遅いことが判明した。【0020】伝搬速度解析の結果、従来方法で入射させた超音波は横波のまま配管内部を伝搬しているが、本実施形態例の方法で入射させた超音波は、板波となって伝搬していることが判明した。これは、一般に、板波は基準波周波数の周囲に複数の山を有するスペクトルを有するが、横波は基準波周波数を中心とした1つの山状のスペクトルであることからも判断できた。つまり、本実施形態例では、超音波の伝搬モードが従来方法の横波から板波に変わっている。超音波が板波となって伝搬していることから、特に配管の周方向に大きな幅の振動子を用いなくとも、配管内部の超音波分布が一様となることが判明した。【0021】図6は、本実施形態例の方法及び従来方法について実験で得られた、欠陥比と反射超音波の振幅との関係を、欠陥が存在する角度位置を様々に変えて示している。また、図7は、図6の特別な場合、特に欠陥の角度位置が180°の場合を示している。これらの図において、振幅の表示にあたっては、欠陥が存在しなかった際に検出される超音波の振幅を1とし、欠陥が存在した場合に検出される超音波の振幅をそれとの比率である振幅比で示している。欠陥比としては、先に述べたように、欠陥の深さD/配管の肉厚Tの比でプロットしてある。グラフが(0、1)の点と(1、0)の点とを結んだ直線上にあれば、欠陥の大きさが振幅の大きさに理想的に反映されて検出されることになる。【0022】図6には、従来方法では、欠陥比が0.5以下の欠陥が存在しても、その角度位置によっては、これに起因する振幅の低下が有効に観測できない旨、従って、欠陥の大きさの判定が実際的に不可能である旨が示されている。また、本実施形態例の方法では、比較的大きな角度範囲で、欠陥の大きさが有効に判定できる旨が示されており、特に図7では、180°の角度位置に存在する欠陥については、かなりな精度で欠陥の大きさの検出が可能な旨が示されている。【0023】図8は、欠陥比が0.33、0.5及び0.66の各場合について、欠陥の位置毎に計測される透過超音波の振幅を、実験結果としてプロットしている。また、欠陥比が0.5の場合については、それらの点をつないで、角度位置毎の検出可能性をグラフとして示している。欠陥比が0.5に対応して0.5の振幅比が得られれば、それは理想的な検出が可能である旨を示している。本実施形態例では、各角度位置でほぼ均等に欠陥の大きさ検出が可能である旨が理解できる。一方、従来方法では、各角度位置で著しく偏っているため、欠陥の大きさ検出が困難である。特に、300°〜330°の角度位置付近では、欠陥の有無の検知さえ困難である。【0024】なお、本発明で使用する用語「配管」には、通常の配管に加えて、例えば円筒形状のタンク等も含まれる。これらタンクの内周面及び外周面付近の欠陥についても、本発明方法でその位置や大きさが検出可能だからである。【0025】また、超音波の送信振動子及び受信振動子の配置は、特に限定されない。配置の如何に拘わらず、透過波及び反射波の到達時間及び振幅を計測することによって、欠陥の位置や大きさの判定が可能である。また、上記実施形態例では、欠陥を透過する透過超音波を計測する例を示したが、欠陥で反射する超音波を計測しても、同様に欠陥の有無、位置、及び、大きさの判定が可能である。【0026】以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の配管の欠陥検出方法は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。【0027】【発明の効果】以上、説明したように、本発明の配管の欠陥検出方法によると、超音波が、配管内部を配管の厚さ方向にほぼ一様に伝搬するため、配管の外周部及び内周部の欠陥について、その欠陥の有無、位置及び/又は大きさを精度よく検出できる利点がある。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の一実施形態例に係る配管の検出方法を示す配管の断面図。【図2】配管表面部分における超音波の進行方向を示す配管の部分断面図。【図3】振動子の形状を設計する際の様子を示す模式的断面図。【図4】各配管に適用するための屈折角の範囲グラフ。【図5】従来方法及び本発明の実施形態例方法で計測された超音波波形の一例。【図6】欠陥と透過超音波の振幅との関係を実験で求めた結果を示すグラフ。【図7】欠陥と透過超音波の振幅との関係を実験で求めた結果を示すグラフ。【図8】欠陥と透過超音波の振幅との関係を実験で求めた結果を示すグラフ。【図9】従来の配管の欠陥検出方法を示す配管の断面図。【符号の説明】11:超音波送信振動子12:探触子13:超音波受信振動子20:配管 超音波振動子から配管の延在方向と直交する方向に超音波を配管内部に向けて発射し、配管内部をその周方向に伝搬する透過超音波及び該透過超音波が欠陥によって反射する反射超音波の少なくとも一方を検出して、配管の欠陥の有無、位置及び/又は大きさを判定する、配管の欠陥検出方法において、 前記超音波は、配管の周方向に分布して配管に入射する際に、配管表面に立てた垂線に対する入射角が一定であることを特徴とする配管の欠陥検出方法。 超音波の配管表面に立てた垂線に対する屈折角が20°〜80°の範囲内にある、請求項1に記載の配管の欠陥検出方法。 配管内部を伝搬する超音波が板波である、請求項1又は2に記載の配管の欠陥検出方法。


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