タイトル: | 特許公報(B2)_パラヒドロキシ安息香酸の製造方法 |
出願番号: | 2001252775 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07C 51/15,C07C 65/03 |
上野 隆三 北山 雅也 泉地 信孝 谷川 勝則 JP 5025054 特許公報(B2) 20120629 2001252775 20010823 パラヒドロキシ安息香酸の製造方法 上野製薬株式会社 000189659 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 松谷 道子 100106518 志賀 美苗 100127638 櫻井 陽子 100138911 上野 隆三 北山 雅也 泉地 信孝 谷川 勝則 20120912 C07C 51/15 20060101AFI20120823BHJP C07C 65/03 20060101ALI20120823BHJP JPC07C51/15C07C65/03 A C07C 51/15 C07C 65/03 CA/REGISTRY(STN) 特開平05−017396(JP,A) 特開平02−124847(JP,A) 特開昭59−155334(JP,A) 特開平01−265047(JP,A) 特開平05−017397(JP,A) 特開平03−178947(JP,A) 特開平10−231271(JP,A) 特開昭62−061949(JP,A) 5 2003064020 20030305 9 20080529 宮田 和彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、パラヒドロキシ安息香酸の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】パラヒドロキシ安息香酸は、液晶高分子の構成モノマー、あるいは化粧品・医薬品などの防腐剤の原料として幅広く用いられている。従来パラヒドロキシ安息香酸を製造する方法としては、フェノールカリウムと二酸化炭素との反応、いわゆるコルベ・シュミット反応と呼ばれる固気相反応が知られている。しかしながら、この方法は固気相反応であるため、反応時間が長いこと、熱的不均一性のために副反応での原料損失が多いこと、反応制御が困難で安定した収率が得られない等の問題があり、これを改良するために種々の方法が提案されてきた。【0003】本発明者の一人は、液状系でフェノール類のアルカリ金属塩と二酸化炭素との反応を行う際、二酸化炭素との接触を良好にして反応を進行させ、さらに連続操作のため液状物の融点を低くして輸送などの便宜をはかることを目的として、特定モル比のフェノール類のアルカリ金属塩、フェノール類および特定量の反応媒体を用いると、良好な液−液の懸濁系を形成することを見出した。これにより連続的反応が可能になるとともに反応速度が高められ、反応器当たりの生産能力が増大し、タール分の少ない純粋な芳香族オキシカルボン酸が得られることを提案した(特公昭45−9529号公報)。【0004】パラヒドロキシ安息香酸の製造においては、フェノールカリウムと二酸化炭素との反応に先立って、原料のフェノールカリウムを十分に脱水する必要があり、脱水が不完全であると反応収率が激減する。そのため、パラヒドロキシ安息香酸の製造には無水のフェノールカリウムが用いられてきたが、フェノールカリウムは吸湿性が極めて強くその脱水には多大な注意と繁雑な操作を要する。【0005】そこで本発明者の一人は、灯油または軽油等が、水と共沸し、かつフェノールカリウムと炭酸ガスとの反応に悪影響を与えないことを利用し、灯油または軽油中に含水フェノールカリウムを懸濁分散させ、この懸濁液を加熱してフェノールカリウムの脱水を行う方法を提案した(特公昭49−15253号公報)。【0006】しかしこのような媒体中でフェノールカリウムの脱水を行うと、系内に共存する媒体をも加熱するため、脱水工程に多大なエネルギーが必要となった。またフェノールカリウムは灯油または軽油等の媒体に対する溶解性が乏しく、脱水終了時にフェノールカリウムの固体が媒体中に分散しスラリー状となるため、反応槽等への円滑な輸送ができなくなる等の不都合な点があった。【0007】そこで、パラヒドロキシ安息香酸の製造工程において、高収率で、かつ工業的に安価にパラヒドロキシ安息香酸を大量生産できる方法が望まれていた。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明は、フェノールカリウムと二酸化炭素の反応において、高収率で、かつ工業的に安価にパラヒドロキシ安息香酸を大量生産できる方法を提供する。【0009】【課題を解決するための手段】フェノールカリウムと二酸化炭素とを反応させてパラヒドロキシ安息香酸を製造する方法において、フェノールカリウムを液状化剤と共に共融状態で脱水した後、二酸化炭素との反応に供することによって、高収率で、かつ工業的に安価にパラヒドロキシ安息香酸を製造することができる。【0010】すなわち、フェノールカリウムと二酸化炭素との反応に際し、フェノールカリウムを液状化剤と共に共融状態で脱水し無水和物とした後、二酸化炭素を導入して反応させる。【0011】本発明において液状化剤とは、フェノールカリウムと混合することによって、混合物の共融点をフェノールカリウムの融点より低くすることができる物質をいう。具体的には芳香族ヒドロキシ化合物のカリウム塩であって、フェノールカリウムより塩基性が高いものが好適に用いられる。【0012】特に好適な液状化剤としては、式(I)【化2】(式中、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、炭素数5以上のヒドロキシ脂肪族基、炭素数5以上のメルカプト脂肪族基、アシル基、アミノ基、イミノ基、フェニル基、ヒドロキシ芳香族基、アミノアルキル基、アルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、アシルアミノ基、ハロゲン化アルキル基、ニトロアルキル基、フェニルアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、スチリル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アミノフェニル基、ハロゲン化フェニル基またはニトロフェニル基を表わす、nは1〜5の整数であり、nが2以上の場合には各Rは同一であっても異なっていても良い。)で示される置換フェノールのカリウム塩が挙げられる。【0013】式(I)で示される置換フェノールのカリウム塩のうち、Rがメチル、メトキシまたはtert−ブチルであり、nが1から3であるもの、特にRがメチルであるもの、即ちメチルフェノール、ジメチルフェノール、トリメチルフェノールが好適に用いられる。具体的には例えば2,3,6−トリメチルフェノールカリウム、2,4,6−トリメチルフェノ−ルカリウム、2,4−キシレノールカリウム、2,6−キシレノールカリウム、4−メトキシフェノール、4−tert−ブチルフェノール等が挙げられ、この中でもフェノールカリウムとの共融点が低く、塩基性が高い点において、2,3,6−トリメチルフェノールカリウムおよび2,4,6−トリメチルフェノ−ルカリウムが好適に用いられる。【0014】本発明における「共融状態」とは、粉末状、スラリー状または液体状のフェノールカリウムおよび液状化剤を反応容器内に仕込み、両者の共融点以上に加熱することによって、両者が混ざり合っている液体の状態を示す。【0015】また、本発明における「脱水」とは、共融状態とした混合物の水分量を1.0%以下、好ましくは0.5%以下にする操作をいう。二酸化炭素と反応させる前に脱水することにより、二酸化炭素と反応するフェノールカリウムの脱カリウム化を防ぎ、パラヒドロキシ安息香酸の収率を上げることができる。本発明において、脱水は大気圧下で行えばよく、水分の除去を容易にするために真空を用いてもよい。脱水時の温度は好ましくは160〜290℃、より好ましくは200〜270℃である。【0016】本発明における液状化剤は、フェノールカリウムに対して5モル%以上、好ましくは15〜100モル%の割合で用いられる。液状化剤が5モル%未満であるとフェノールカリウムとの共融点の低下が少なく、十分な脱水ができなくなる傾向がある。【0017】フェノールカリウムと液状化剤の配合比を変化させることによって、所望の共融点に調節することができる。たとえばフェノールカリウムに対して2,3,6−トリメチルフェノールカリウムが25モル%のとき257℃、50モル%のとき236℃、75モル%のとき216℃、またフェノールカリウムに対して2,4,6−トリメチルフェノールが25モル%のとき260℃、50モル%のとき248℃、100モル%のとき230℃に調節できるため、低温度で脱水することができ、その後の反応温度も低く設定することが可能である。【0018】本発明の方法において液状化剤として置換フェノールカリウムを用いる場合、フェノールカリウムと液状化剤とを脱水した後、さらに無水フェノールを添加することにより無水フェノールカリウムを調製し反応に供するのがよい。【0019】すなわち、液状化剤として置換フェノールカリウムを用いた場合、置換フェノールカリウムのカリウム原子を、脱水後に添加した無水フェノールと反応させて無水フェノールカリウムを生成させ、これを二酸化炭素と反応させることによって、フェノールカリウムと二酸化炭素との反応に関与しない置換フェノールカリウムのカリウム原子を有効に利用することができる。【0020】無水フェノールは、液状化剤に対して1倍モル以上添加するのがよい。無水フェノール添加後に、反応器中のフェノールカリウムとフェノールのモル比が、1:0.1〜10になるようにするのが、パラヒドロキシ安息香酸が高収率で得られるために好ましい。【0021】また、置換フェノールカリウムのなかでも、2,3,6−トリメチルフェノールカリウムおよび2,4,6−トリメチルフェノールカリウムはフェノールよりも塩基性が強いため、フェノールにカリウム原子を供与しやすい。これらの化合物は遊離状態でフェノールカリウムと二酸化炭素との反応に不活性であり、水と共沸せず、脱水温度以上の沸点を有する。したがって脱水後にさらに無水フェノールを添加する場合も、これらの置換フェノールカリウムが液状化剤として好適に利用される。【0022】上記フェノールカリウムと液状化剤の脱水処理後の液体を、次いで二酸化炭素とを反応させる。このフェノールカリウムと二酸化炭素の反応は、両者の反応に不活性な反応媒体中で行うのが好ましい。反応媒体としては反応温度において実質的に安定な媒体、すなわち設定された反応温度よりも高い沸点を有する媒体が選択される。このような媒体は、反応に際し蒸気相へ移行することが少ないため、フェノールカリウムと反応媒体を一定の割合に保ち、反応を安定に進行させることができる。【0023】反応媒体としては、反応温度と反応媒体の沸点が近接するものを用いてもよい。かかる場合は、少量ながら媒体が蒸気相へ移行するので、この場合には、適宜媒体を補充するのがよい。【0024】本発明の方法において反応媒体を用いることによって、フェノールカリウムは反応媒体中で良好な懸濁系を形成して、均一に分散するため、反応の進行性が良好となり、ひいては反応時間の軽減にもつながる。【0025】本発明の方法に用いられる反応媒体としては芳香族炭化水素、芳香族エーテル、芳香族アルカン、芳香族アルケン、芳香族ケトン、およびこれらの水素化物、脂肪族石油系炭化水素、非プロトン性極性溶媒、芳香族アルコール、高級アルコールが適する。より詳細には、たとえば軽油、灯油、ガソリン、潤滑油、白油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジフェニル、ジフェニルアルカン、アルキルジフェニル、トリフェニル、水素化トリフェニル、ジフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、iso−オクチルアルコールなどの高沸点の高級アルコールなど、およびこれらの混合物が挙げられる。【0026】なお、本明細書において「芳香族」とは6員である単環または縮合環であって、縮合環である場合には環数が4までのものを含む化合物をいうものとする。「脂肪族石油系炭化水素」とは、炭素数6〜30の分岐を有していてもよい脂肪族炭化水素をいうものとする。「非プロトン性極性溶媒」とは、溶媒自身にプロトンを与える能力が無く、また自己解離もしない溶媒のうち、双極子モーメントの大きなものを意味する。非プロトン性極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドおよびヘキサメチルホスホルアミドが例示される。「高級アルコール」は、分岐を有していても良い炭素数6〜20のアルコールをいうものとする。【0027】特に沸点が240℃以上の反応媒体、すなわち比較的沸点が高い媒体を用いた場合、蒸気圧が比較的低いため芳香族ヒドロキシ化合物の流出量は変わらないにもかかわらず、媒体の流出量が少なくなるため、操作熱量が少なくてすむ等の利点が多い。【0028】かかる沸点が240℃以上の反応媒体としては、例えば、市販の軽油および灯油から予め240℃以下の低沸点留分を留去したものが好適に用いられる。特に好ましい反応媒体としては、芳香族ヒドロキシ化合物のカリウム塩を分散させるけれども実質的に溶解させず、しかも反応圧を大幅に上昇させるほどの高い蒸気圧をもたない実質上反応に関与しない媒体であり、例えば軽油が例示される。特に新日鐵化学株式会社製TS−900(水素化トリフェニル類)、TS−700(アルキルジフェニル類)、およびTS−600(アルキルジフェニル類)、および松村石油株式会社製B−DB(ジイソプロピルジフェニル類)が好適に用いられる。【0029】反応媒体は、通常フェノールカリウムの重量に対して1倍以上、好ましくは2〜10倍、より好ましくは2〜5倍の量で用いられる。【0030】本発明の方法において、フェノールカリウムと二酸化炭素との反応は、反応温度が150℃以上、好ましくは160〜300℃、二酸化炭素圧力が1.5MPa(G)以下、好ましくは0.1〜1MPa(G)にて行うのがよい。【0031】本発明のフェノールカリウムと二酸化炭素との反応においては、反応の際生成する芳香族ヒドロキシ化合物を二酸化炭素とともに反応系外に除去または循環させながら反応させるのが好ましい。反応系外に除去または循環させる方法は特に限定的でないが、以下の方法が例示される。【0032】(1)反応中に系内のガスを時々排気し、新たに加圧二酸化炭素を導入する。(2)反応中に系内のガスを連続的に排気しながら系内の圧力を低下させないように加圧二酸化炭素を追加する。循環のための反応系より出たガスは必要に応じて全量循環させるか、もしくは一部を系外へ排気する。(3)反応容器に接続した冷却管によって系内のガスを凝縮させ、凝縮液を連続的もしくは間欠的に反応系外へ除去する(二酸化炭素ガスは回収して反応容器へ戻す)。(4)反応中に系内のガスを排気し、ガス中の芳香族ヒドロキシ化合物を単離し水酸化カリウム等のカリウム塩と反応させる。生成した芳香族ヒドロキシ化合物のカリウム塩を再び反応系に戻し循環利用する。【0033】典型的には、フェノールカリウムと二酸化炭素の反応を、約250〜300℃の反応温度において反応系を充分に攪拌しながら行う一方、芳香族ヒドロキシ化合物および二酸化炭素を上記(1)〜(4)いずれかの方法によって効率よく速やかに蒸気相へ移行させて反応系外へ除去すればよい。【0034】上記の反応操作は回分式または連続式のいずれかの方式で行ってもよい。反応終了後、反応混合物の仕上げ処理は常法により行うことができる。本発明の好ましい実施態様において、反応終了後、反応混合物を冷却して水を加え媒体層とパラヒドロキシ安息香酸カリウム塩を含む水層の二層に分離する。【0035】得られる水層を必要により鉱酸で中和し、次いで溶剤抽出によりフェノール等の反応副生成物を除去する。溶剤抽出に用いる溶剤としては、110℃以下で液状の疎水性抽出溶媒、例えばキシレンが例示される。次いで、カーボン処理によりタール分を除去する等の公知の操作を行うことにより、パラヒドロキシ安息香酸のカリウム塩が得られる。【0036】このようにして得られたパラヒドロキシ安息香酸カリウム塩を酸析することによって、パラヒドロキシ安息香酸が得られる。酸析に用いる鉱酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸のような二元酸(水素酸)、硝酸、硫酸、リン酸、過塩素酸のようなオキソ酸が挙げられ、好ましくは塩酸、硝酸または硫酸が、より好ましくは硫酸が用いられる。これらの鉱酸により酸析工程はpH1〜4に調整されるのがよい。【0037】酸析後、遠心分離、濾過、および乾燥することによってパラヒドロキシ安息香酸を得ることができる。【0038】媒体層中および水層中のフェノールは上記のごとく水層中のものをキシレンにより抽出するほか、媒体層中のものを水酸化カリウムで中和してフェノールカリウムとして取り出し、これらを循環使用することができる。【0039】本発明の方法により、フェノールカリウムの脱水工程に際し、灯油または軽油等の媒体が不要となるため、加熱に要するエネルギーが著しく削減され、また脱水槽の容積を小さくできるため、低コスト化が可能となる。【0040】さらに脱水されたフェノールカリウムと液状化剤は液体状であるため、反応槽等の次工程へ円滑に輸送できる。【0041】【実施例】実施例150%フェノールカリウム水溶液150g(フェノールカリウム75g(0.57モル))と55% 2,3,6−トリメチルフェノールカリウム水溶液90.9g(2,3,6−トリメチルフェノールカリウム50g(0.29モル))を1L電磁攪拌式オートクレーブに仕込み、窒素気流下250℃まで昇温し、留出水を除去した。250℃に到達した後、窒素を液中に導入し、4時間脱水した。【0042】脱水後、無水フェノール67gを添加し、温度を240℃とした。240℃にて1時間保持した後、軽油300gを入れ、二酸化炭素を導入し、二酸化炭素圧0.6MPa(G)、240℃にて1時間反応させた。【0043】反応後、反応液を冷却し、水700gを加え攪拌、溶解した後、軽油層と水層に分液を行った。水層をカラムクロマトグラフィにより分析したところパラヒドロキシ安息香酸の収率は77%であった。【0044】得られた水層に、キシレン550gを加え、フェノールおよび2,3,6−トリメチルフェノールの抽出を行い、キシレン層と水層に分液を行った。抽出後の水層を72%硫酸を用いpH2.0とし酸析を行った後、ろ過、水洗浄、乾燥を行いパラヒドロキシ安息香酸93.2gを得た。【0045】実施例250%フェノールカリウム水溶液150g(フェノールカリウム75g(0.57モル))と55% 2,4,6−トリメチルフェノールカリウム水溶液90.9g(2,4,6−トリメチルフェノールカリウム50g(0.29モル))を1L電磁攪拌式オートクレーブに仕込み、窒素気流下260℃まで昇温し、留出水を除去した。260℃に到達した後、窒素を液中に導入し、5時間脱水した。【0046】脱水後、無水フェノール60gを添加し、温度を250℃とした。250℃にて1時間保持した後、軽油400gを入れ、二酸化炭素を導入し、二酸化炭素圧0.7MPa(G)、250℃にて1時間反応させた。【0047】反応後、反応液を冷却し、水600gを加え攪拌、溶解した後、軽油層と水層に分液を行った。水層をカラムクロマトグラフィにより分析したところパラヒドロキシ安息香酸の収率は75%であった。【0048】得られた水層に、キシレン 500gを加え、フェノールおよび2,4,6−トリメチルフェノールの抽出を行い、キシレン層と水層に分液を行った。抽出後の水層を72%硫酸を用いpH2.0とし酸析を行った後、ろ過、水洗浄、乾燥を行いパラヒドロキシ安息香酸91.8gを得た。【0049】実施例350%フェノールカリウム水溶液158g(フェノールカリウム79g(0.60モル))と55%2,4−キシレノールカリウム水溶液96.4g(2,4−キシレノールカリウム53g(0.33モル))を1L電磁攪拌式オートクレーブに仕込み、窒素気流下260℃まで昇温し、留出水を除去した。260℃に到達した後、窒素を液中に導入し、6時間脱水した。【0050】脱水後、無水フェノール70gを添加し、温度を240℃とした。240℃にて1時間保持した後、軽油300gを入れ、二酸化炭素を導入し、二酸化炭素圧0.7MPa(G)、240℃にて1時間反応させた。【0051】反応後、反応液を冷却し、水500gを加え攪拌、溶解した後、軽油層と水層に分液を行った。水層をカラムクロマトグラフィにより分析したところパラヒドロキシ安息香酸の収率は75%であった。【0052】得られた水層に、キシレン500gを加え、フェノールおよび2,4−キシレノールの抽出を行い、キシレン層と水層に分液を行った。抽出後の水層を72%硫酸を用いpH2.0とし酸析を行った後、ろ過、水洗浄、乾燥を行いパラヒドロキシ安息香酸97.7gを得た。【0053】実施例450%フェノールカリウム水溶液150g(フェノールカリウム75g(0.57モル))と60%2,4,6−トリメチルフェノールカリウム水溶液84.2g(2,4,6−トリメチルフェノールカリウム50g(0.29モル))を1L電磁攪拌式オートクレーブに仕込み、窒素気流下250℃まで昇温し、留出水を除去した。250℃に到達した後、窒素を液中に導入し、4時間脱水した。【0054】脱水後、無水フェノール67gを添加し、温度を240℃とした。240℃にて1時間保持した後、TS−900(新日鐵化学製媒体−水素化トリフェニル)300gを入れ、二酸化炭素を導入し、二酸化炭素圧0.6MPa(G)とした。その後、二酸化炭素の導入を継続することによりオートクレーブ内の圧力を0.6MPa(G)に保ちながら、オートクレーブ上部空間より二酸化炭素を250Nml/min抜出しながら220℃にて1時間反応させた。反応中系外に抜出された留出物は62.9gであった。カラムクロマトグラフィーにより分析した留出物の組成はTS−900 7.0g、フェノール 48.0g、および2,4,6−トリメチルフェノール7.9gであった。【0055】反応後、反応液を冷却し、水700gを加え攪拌、溶解した後、TS−900層と水層に分液を行った。水層をカラムクロマトグラフィにより分析したところパラヒドロキシ安息香酸の収率は70%であった。【0056】得られた水層に、キシレン800gを加え、フェノールおよび2,4,6−トリメチルフェノールの抽出を行い、キシレン層と水層に分液を行った。抽出後の水層を72%硫酸を用いpH2.0とし酸析を行ったのち、ろ過、水洗浄、乾燥を行いパラヒドロキシ安息香酸93.2gを得た。 フェノールカリウムと二酸化炭素とを反応させてパラヒドロキシ安息香酸を製造する方法において、フェノールカリウムを、2,3,6−トリメチルフェノールカリウム、2,4,6−トリメチルフェノールカリウム、2,4−キシレノールカリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される液状化剤と共に共融状態で脱水した後、さらに無水フェノールを添加し、二酸化炭素と反応させることを特徴とする、パラヒドロキシ安息香酸の製造方法。 フェノールカリウムに対する液状化剤の割合が5モル%以上である、請求項1記載のパラヒドロキシ安息香酸の製造方法。 フェノールカリウムと二酸化炭素との反応を、反応に不活性な媒体中で行う、請求項1または2記載のパラヒドロキシ安息香酸の製造方法。 反応に不活性な媒体が、芳香族炭化水素、芳香族エーテル、芳香族アルカン、芳香族アルケン、芳香族ケトン、これらの水素化物、脂肪族石油系炭化水素、非プロトン性極性溶媒、芳香族アルコールおよび高級アルコールであるからなる群から選択される、請求項3記載のパラヒドロキシ安息香酸の製造方法。 反応に不活性な媒体が軽油である、請求項4記載のパラヒドロキシ安息香酸の製造方法。