生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_マレイミド類の製造方法
出願番号:2001250071
年次:2011
IPC分類:C07D 207/452,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

西村 雄 小林 剛史 長友 昭憲 和田 勝 JP 4694734 特許公報(B2) 20110304 2001250071 20010821 マレイミド類の製造方法 三井化学株式会社 000005887 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 西元 勝一 100085279 福田 浩志 100099025 西村 雄 小林 剛史 長友 昭憲 和田 勝 20110608 C07D 207/452 20060101AFI20110519BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110519BHJP JPC07D207/452C07B61/00 300 C07D 207/452 C07B 61/00 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開昭63−196560(JP,A) 特開平06−009556(JP,A) 特開平05−230017(JP,A) 特開平05−246985(JP,A) 特開平03−039503(JP,A) 特開昭62−072663(JP,A) 4 2003055342 20030226 8 20070706 早川 裕之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂、医薬、農薬等の原料として有用なマレイミド類の製造法に関する。【0002】【従来の技術】従来マレイミド類の製造方法は数多く知られている。例えば米国特許第2444536号明細書では、無水マレイン酸とアミンを反応させ、生成するマレインアミド酸を無水酢酸及び酢酸ナトリウムの存在下、脱水閉環させる方法が記載されている。しかし工業的見地から考えた場合、高価な無水酢酸を多量に使用する事、廃水中に存在する大量の酢酸を無害化するためにコストが増大する等の点から有用な製造法とはいえなかった。【0003】また特開昭53−68770号公報や特公昭57−42043号公報においては、無水マレイン酸とアミン類から得られるマレインアミド酸をジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒、水不混和性溶媒及び酸触媒の存在下で脱水閉環させる方法が記載されている。しかし、これらの方法は回収困難な非プロトン性極性溶媒がコストアップを招き、そして廃棄物量の増大による環境面への負荷が懸念されるなど、現在望まれている低コストで環境への負荷が小さい工業的製造法としては有用とは言い難かった。【0004】さらに特公平3−39503号公報では、第1級アミンと無水マレイン酸から得られるジカルボン酸モノアミドを酸触媒及び特定の構造を有する第3級アミン又はアミンオキシドの存在下、脱水してN−置換マレイミドを製造する方法が記載されている。しかしながら、この方法では分子内に1個の第1級アミノ基を有する化合物の場合は有用であるが、第1級アミンとして分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類を用いた場合、実施例に記載されているような高収率で反応が進行することは困難であり、最適な製造方法とは言えないことがわかった。【0005】同様に特公平7−74195号公報には、第1級アミンとα、β−不飽和ジカルボン酸無水物を加熱脱水しマレイミド類を製造する方法において、ブレンステッド酸、及び該ブレンステッド酸に対し0.05〜0.5当量の有機アミン存在下に反応する方法が記載されている。しかしながら、この方法においても原料の第1級アミンとして分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類を用いた場合は、目的物を90%以上の高収率で得る事は難しい。さらにはこれらの酸触媒及び有機アミン存在下に反応を行なう方法においては反応終了後、触媒層を分離しリサイクル使用することが記載されているが、この様な方法では反応中に副生してくる少量の副生物やタール成分等が触媒層に蓄積され、得られる目的物の収率或いは品質の低下を引き起こす事が推察され、好ましいとは言えない。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、第1級アミンとして分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類と無水マレイン酸を脱水閉環反応させて、マレイミド類を製造する際に、高収率且つ安価な製造方法を提供することである。【0007】【課題を解決するための手段】本出願人等は上記した問題を解決するために鋭意検討した結果、酸触媒に対して51〜100モル%の第3級アミンを使用することにより顕著な収率向上が得られる事を見出し、本発明を完成するに至った。【0008】すなわち、本発明は、以下のものである。 <1> 分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類と無水マレイン酸とを水と共沸可能な有機溶媒中で、酸触媒下、脱水閉環反応させてマレイミド類を製造する方法において、酸触媒に対して51〜100モル%量の第3級アミンの存在下で反応を行なうことを特徴とするマレイミド類の製造方法。 <2> 前記酸触媒が有機スルホン酸である<1>に記載のマレイミド類の製造方法。 <3> 前記有機溶媒が芳香族化合物である<1>又は<2>に記載のマレイミド類の製造方法。 <4> 前記第3級アミンが、N,N−ジメチルアニリンである<1>〜<3>のいずれか1項に記載のマレイミド類の製造方法。【0009】【発明の実施の形態】以下に、具体的に本発明の製造方法を説明する。本発明は、分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類と無水マレイン酸とを水と共沸可能な有機溶媒中で、酸触媒下、脱水閉環反応させてマレイミド類を製造する方法において、酸触媒に対して51〜100モル%量の有機アミンの存在下で行なうものである。【0010】本発明に使用される分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類としては、例としてm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,2´−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノジフェニルメチルエチルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシレンジアミン、アニリンとホルムアルデヒドの縮合による多核体組成物等が挙げられるが、これらに限定されない。【0011】本発明において使用される無水マレイン酸の使用量としては、分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類のアミノ基に対して好ましくは1.0〜1.5倍モル、更に好ましくは1.1〜1.3倍モルである。1.0倍モルより少ないと収率の低下及び副生物の生成量が増大する傾向にあり、1.5倍モル以上では過剰に使用する効果はあまりなく、経済的な面からあまり好ましいとは言えない。【0012】本発明で使用される溶媒は、水と共沸可能な有機溶媒であり、脱水閉環反応で生成する水を共沸除去することが可能であり、且つ反応に不活性な溶媒が好ましく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クメン、メシチレン、tert−ブチルベンゼン、トリメチルヘキサン、オクタン、テトラクロロエタン、ノナン、クロロベンゼン、エチルシクロヘキサン、ジクロロベンゼン類、ジクロロエタン、sec−ブチルベンゼン、デカン、p−シメン、n−ブチルベンゼン、ドデカン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても良いが、2種以上混合して使用しても何ら問題はない。【0013】使用される溶媒の量としては、反応が円滑に進行し且つ経済面を考慮して、分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類に対して好ましくは1〜30倍重量、より好ましくは2〜20倍重量、さらに好ましくは3〜10倍重量である。【0014】本発明において使用される酸触媒は、例としてリン酸、亜リン酸、ジ亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、硫酸等の無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は単独で用いても良いが、2種以上混合して使用しても何ら問題はない。【0015】使用される酸触媒の量としては、分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類に対して好ましくは5〜100重量%、更に好ましくは10〜70重量%である。5重量%より少ない場合、脱水閉環速度が著しく低下し副生物の生成が増えることがあり、100重量%以上用いた場合、併用する有機アミンの使用量も増大し、経済的な面で本発明の効果が薄らぐ可能性がある。【0016】本発明において使用される有機アミンとしては、例としてメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ニトロアニリン、アミノフェノール、アミノ安息香酸、アニシジン、モノクロロアニリン、ジクロロアニリン、トルイジン、エチルアニリン等の第1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジエチルブチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、4−エチルピリジン等の第3級アミンが挙げられる。これらの有機アミンは単独、或いは併用して使用することもできる。好ましくは、第3級アミンであり、更に好ましくは、N,N−ジメチルアニリンである。【0017】本発明においては、酸触媒と酸触媒に対して51〜100モル%の有機アミンより形成されるアミン塩が脱水閉環反応を促進することにより、本発明の効果を促進している要因の一つと考えられる。【0018】一方、原料アミンとして分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類を使用した場合、無水マレイン酸との反応により得られるジカルボン酸モノアミド基を分子内に2個以上有することから、溶媒に対する溶解性が著しく低下し結晶として析出しやすく、分子内に1個の第1級アミノ基を有するアミン類に比べ、脱水反応が進行しにくい。しかしながら本発明の特徴である酸触媒と酸触媒に対して51〜100モル%の有機アミンより形成されるアミン塩の存在は、通常知られている触媒作用の他に、これらジカルボン酸モノアミド類の溶媒中への相溶性を向上させる効果も持つ事がわかり、この効果が分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類を原料とした場合も、目的物であるマレイミド類が高収率で得られる要因と推定される。また使用される有機アミンは、酸触媒との塩を形成した際に、反応温度条件下において使用する溶媒に対して溶解性があり、或いはオイル状を有するものが好ましく、中でも第3級アミンが好ましい。【0019】使用される有機アミンの量は、酸触媒に対して51〜100モル%であり、好ましくは60〜95モル%、より好ましくは70〜90モル%である。50モル%より少ない場合は、上記の効果が小さくなり、脱水閉環速度が低下することから反応完結に長時間を要したり、滞留時間が長くなることにより反応後半における反応選択率が低下しやすい。100モル%を超えると、酸触媒の活性が著しく損なわれるなどして反応速度が格段に低下するため好ましくない。【0020】本発明においては場合により、反応生成物の着色やタール化等を抑制するために、安定剤を反応系内に共存させることもできる。安定剤として使用可能なものは、例としてヒドロキノン、メトキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、フェノチアジン、アルキルフェノール類、tert−ブチルカテコール、ジメチルジチオカルバミン酸等が挙げられ、これらに限定されるものではない。使用量としては、好ましくは反応系中の濃度として0.001〜1重量%で十分である。【0021】本発明における反応方法としては、例えば有機溶媒中、酸触媒及び酸触媒に対して51〜100モル%の有機アミンを装入し塩を形成させ、必要に応じて酸触媒が水和物を形成しているものについては加熱共沸脱水して水を除去した後、無水マレイン酸を一括装入或いは連続、間欠的に装入し、加熱還流条件下で分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類を滴下装入し反応する方法が挙げられる。無水マレイン酸及び分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類を装入する際は、反応に使用する溶媒に溶解させた状態で装入することも可能である。【0022】本発明における反応は還流条件下で実施され、反応温度は、好ましくは80〜200℃、更に好ましくは100〜150℃で行なわれる。また常圧下はもちろんのこと、減圧下及び加圧下で反応しても何ら問題はない。【0023】本発明の反応における分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類の装入時間としては、好ましくは1〜20時間で行なわれ、更に好ましくは5〜15時間である。尚、滴下後0.5〜5時間の熟成反応を行なうとことにより、本発明の効果が一層向上する。【0024】本発明の反応においては、分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類の装入速度をコントロールしたり、加熱量を上げるなどして還流量を増大させ、反応系内の水分濃度が5000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下にすることにより、本発明の効果を一層高めることができる。系内水分が5000ppmを超えると反応生成物や無水マレイン酸の加水分解が促進され、収率低下を招く場合がある。【0025】本発明における無水マレイン酸の装入方法としては、有機溶媒中、酸触媒及び有機アミンを仕込み、必要に応じて酸触媒が水和物を形成しているものについては加熱共沸脱水して水を除去した後に一括装入する方法、或いは連続又は間欠的に装入する方法が挙げられる。連続又は間欠的に装入する場合、その装入時間は特に限定はされないが、反応系内に滴下装入する分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類のアミノ基に対して、常に過剰の無水マレイン酸が存在する様に調整する方が好ましい。【0026】反応終了後は反応液を水又は塩基性水溶液で洗浄する。塩基性水溶液としてはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物・炭酸塩または炭酸水素塩の水溶液、若しくはアンモニア水などが使用できるが、好ましくはナトリウム又はカリウムの水酸化物・炭酸塩或いは炭酸水素塩の水溶液である。水又は塩基性水溶液の使用量としては、洗浄後に有機層と水層が分離する量であれば特に制限はないが、反応液に対して10〜100重量%が好ましい。【0027】洗浄温度は60〜90℃が良く、好ましくは70〜85℃である。洗浄後の有機層はそのまま冷却するか、或いは溶媒の一部を留去したのちに冷却して目的物のマレイミド類の結晶を析出させることができる。又、有機層に貧溶媒を装入して、目的物析出させて得る事も可能である。【0028】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。分析条件(HPLC)カラム:YMC−Pack ODS−A A−312展開液:アセトニトリル/水=1000:1000(pH=2.8)流速:0.8ml/min波長:254nm【0029】(実施例1)攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコ内に、p−トルエンスルホン酸一水和物16.2g(0.085mol)、N,N−ジメチルアニリン9.16g(0.076mol)、クロロベンゼン160.0gを仕込み、54.5kPaの減圧下で昇温した。途中、共沸してきた約1.5gの水を抜き出し、約117℃の還流温度で一定になったので約60℃で加熱溶融した無水マレイン酸116.7g(1.19mol)を系内へ装入した。また一方でアニリンとホルムアルデヒドの縮合により得られる4,4´−ジアミノジフェニルメタン100g(NH2基1.0mol)をクロロベンゼン300.0gに70℃で加熱溶解させ、上記反応器内に10時間かけて滴下した後、引き続き還流下で2時間熟成した。その間、クロロベンゼンとともに共沸して留出してくる縮合水はディーンスタックトラップで分液した後抜き出し、残ったクロロベンゼンは反応系内に循環させた。また反応中における系内の水分濃度は500〜700ppmの範囲であった。反応終了後、均一状態の反応マスをHPLCによって分析を行なったところ、目的のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドは原料の,4´−ジアミノジフェニルメタンに対して、95.5モル%の収率で生成していた。この反応マスを70℃まで冷却した後、70℃の温水100gで3回水洗分液を行ない、分液後水層を廃棄した。得られた水洗マスのモノクロロベンゼンを減圧下において一部留去したのち、冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を濾別した後65℃で乾燥し、黄色結晶のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミド168.6g(収率94.1%)を得た。純度は99.0%であった。【0030】(実施例2)N,N−ジメチルアニリン5.67g(0.047mol)を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。反応終了後、均一状態の反応マスをHPLCによって分析を行なったところ、目的のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドは原料の4,4’−メチレンジアニリンに対して、94.5モル%の収率で生成していた。【0031】(実施例3)N,N−ジメチルアニリン9.16g(0.076mol)の代わりにトリエチルアミン6.02g(0.060mol)を使用した以外は実施例1と同様に行なった。反応終了後、均一状態の反応マスをHPLCによって分析を行なったところ、目的のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドは原料の4,4’−メチレンジアニリンに対して、95.3モル%の収率で生成していた。【0032】(実施例4)攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコ内に、p−トルエンスルホン酸一水和物16.2g(0.085mol)、N,N−ジメチルアニリン9.16g(0.076mol)、クロロベンゼン160.0gを仕込み、54.5kPaの減圧下で昇温した。途中、共沸してきた約1.5gの水を抜き出し、約117℃の還流温度で一定になったので約60℃で加熱溶融した無水マレイン酸116.7g(1.19mol)を系内へ装入した。また一方でアニリンとホルムアルデヒドの縮合により得られる4,4´−ジアミノジフェニルメタンの含有量が75.0重量%のポリメリックメチレンジアニリン100g(NH2基1.0mol)をクロロベンゼン300.0gに50℃で加熱溶解させ、上記反応器内に10時間かけて滴下した後、引き続き還流下で2時間熟成した。その間、クロロベンゼンとともに共沸して留出してくる縮合水はディーンスタックトラップで分液した後抜き出し、残ったクロロベンゼンは反応系内に循環させた。また反応中における系内の水分濃度は300〜500ppmの範囲であった。反応終了後、均一状態の反応マスをHPLCによって分析を行なったところ、目的のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドは原料の4,4´−ジアミノジフェニルメタンに対して、96.5モル%の収率で生成していた。この反応マスを70℃まで冷却した後、70℃の温水100g中に攪拌しながら滴下装入し、70〜75℃で30分間攪拌した。静置分液後水相を廃棄し、更に同様の操作により70℃の温水で2回洗浄を繰り返した。このようにして得られた水洗マスにN,N−ジメチルホルムアミド115.2gを装入後、減圧下70℃〜75℃でポリマレイミドの濃度が60重量%になるまで溶媒を留去した。溶媒留去後の溶液のN,N−ジメチルホルムアミドとクロロベンゼンの重量比は100:7.5だった。引き続き該ポリマレイミド溶液を5℃の80%メタノール水906.4g中に攪拌しながら1時間かけて滴下し、0〜10℃で12時間熟成した。得られたスラリー液を濾過後、濾塊を5℃の80%メタノール水で洗浄した後、65℃で乾燥し、黄色いポリマレイミド粉体171.3g(ポリマレイミド収率95.0%)を得た。【0033】(比較例1)攪拌機、温度計、ディーンスタックトラップおよび冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコ内に、p−トルエンスルホン酸一水和物16.2g(0.085mol)、クロロベンゼン160.0gを仕込み、54.5kPaの減圧下で昇温した。途中、共沸してきた約1.5gの水を抜き出し、約117℃の還流温度で一定になったので約60℃で加熱溶融した無水マレイン酸116.7g(1.19mol)を系内へ装入した。また一方でアニリンとホルムアルデヒドの縮合により得られる4,4´−ジアミノジフェニルメタン100g(NH2基1.0mol)をクロロベンゼン300.0gに70℃で加熱溶解させ、上記反応器内に10時間かけて滴下した後、引き続き還流下で2時間熟成した。その間、クロロベンゼンとともに共沸して留出してくる縮合水はディーンスタックトラップで分液した後抜き出し、残ったクロロベンゼンは反応系内に循環させた。反応終了後、反応マスをHPLCによって分析を行なったところ、目的のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドは原料の4,4´−ジアミノジフェニルメタンに対して、79.9モル%の収率で生成していた。また反応マス中には不溶物の析出が見られた。【0034】(比較例2)N,N−ジメチルアニリン9.16g(0.076mol)の代わりに、N,N−ジメチルアニリン4.64g(0.039mol)を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。反応終了後、反応マスをHPLCによって分析を行なったところ、目的のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドは原料の4,4’−メチレンジアニリンに対して、88.2モル%の収率で生成していた。また反応マス中には不溶物の析出が見られた。【0035】(比較例3)N,N−ジメチルアニリン9.16g(0.076mol)の代わりに、N,N−ジメチルアニリン21.81g(0.180mol)を使用した以外は、実施例1と同様に行なった。反応終了後、反応マスをHPLCによって分析を行なったところ、目的のN,N´−4,4´−ジフェニルメタンビスマレイミドは原料の4,4´−ジアミノジフェニルメタンに対して、18.5モル%の収率で生成していた。また反応マス中には不溶物の析出が見られた。【0036】【発明の効果】本発明の方法により、マレイミド類を製造する際に、高収率且つ安価な工業的にも有用な製造法を提供することができた。 分子内に2個以上の第1級アミノ基を有する芳香族アミン類と無水マレイン酸とを水と共沸可能な有機溶媒中で、酸触媒下、脱水閉環反応させてマレイミド類を製造する方法において、酸触媒に対して51〜100モル%量の第3級アミンの存在下で反応を行なうことを特徴とするマレイミド類の製造方法。 前記酸触媒が有機スルホン酸である請求項1に記載のマレイミド類の製造方法。 前記有機溶媒が芳香族化合物である請求項1又は請求項2に記載のマレイミド類の製造方法。 前記第3級アミンが、N,N−ジメチルアニリンである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のマレイミド類の製造方法。


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