タイトル: | 特許公報(B2)_置換シクロペンタジエンの製造方法 |
出願番号: | 2001249240 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07C 2/86,C07C 13/15 |
清水 克也 林 裕司 JP 5036111 特許公報(B2) 20120713 2001249240 20010820 置換シクロペンタジエンの製造方法 旭化成イーマテリアルズ株式会社 309002329 松井 佳章 100151965 武井 英夫 100103436 鳴井 義夫 100108693 清水 克也 林 裕司 20120926 C07C 2/86 20060101AFI20120906BHJP C07C 13/15 20060101ALI20120906BHJP JPC07C2/86C07C13/15 C07B31/00〜C07B63/04 C07C1/00〜C07C409/44 米国特許第03560583(US,A) 特開平10−059875(JP,A) 国際公開第99/050215(WO,A1) 特開2001−097916(JP,A) 特開2001−097896(JP,A) 特開2001−097895(JP,A) 特開平06−239779(JP,A) 特開昭53−112813(JP,A) 4 2003055272 20030226 9 20080813 安藤 達也 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、置換シクロペンタジエンの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、ファインケミカル中間体、医農薬中間体の合成前駆体として、また、メタロセン触媒のようなオレフィン重合用触媒の合成前駆体として有用である5−および/または1−置換シクロペンタジエンを、工業的規模で高選択的に且つ簡便に製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】一般に、置換シクロペンタジエンには、置換基の位置により、3種の異性体の存在が知られている。5−、1−、および2−置換シクロペンタジエンである。熱力学的に安定な平衡状態では、1−体と2−体がほぼ等量と少量の5−体からなる異性体混合物である(式(1))。【0003】【化1】【0004】置換シクロペンタジエンを製造する一般的な方法は、シクロペンタジエンの活性水素を塩基で引き抜いて得られるシクロペンタジエニルアニオンと、ハロゲン化アルキル等の求電子剤を反応させる方法である。例えば、液体アンモニア中で金属ナトリウムとシクロペンタジエンを反応させて得られるシクロペンタジエニルアニオン(シクロペンタジエニル金属)溶液に、等量のハロゲン化アルキルを滴下する方法(Izv.Vyssh.Vchebn.Zaved.,Khim.Khim.Technol.,19(10),1511頁(1970))があげられる。しかし、この方法のように、シクロペンタジエニルアニオンに対して求電子剤を添加する方法では、本発明が目的とする5−および/または1−置換シクロペンタジエンを高選択的に得ることは困難で、平衡混合物(1−体と2−体がほぼ等量)の置換シクロペンタジエンしか得られない。その原因は以下のように考察される。【0005】置換シクロペンタジエンには二重結合と置換基の位置の違いにより、1−体、2−体および5−体の3種の異性体が存在することは前述のとおりである。シクロペンタジエンと塩基からシクロペンタジエニルアニオンを得、これと求電子剤を反応させると先ず5−体が一旦生成したあと、1−体と2−体に異性化し、平衡状態では少量の5−体とともに1−体と2−体がほぼ等量で存在していることが知られている(式(2))。【0006】【化2】【0007】V.A.Mironovらは、シクロペンタジエニル金属への置換は、まず5−体が生成し、5−体の置換基の付いている炭素上の水素が隣接する炭素に1,2−水素移動して1−体に異性化、さらに1−体のメチレンプロトンが同じように隣の炭素に1,2−水素移動して2−体に異性化することを明らかにした。さらに5−体から1−体への異性化はより低温でも進むが、1−体から2−体への異性化はより高温が必要であることも示した(Tetrahedron,vol.19,1939頁(1963))(式(3))。【0008】【化3】【0009】したがって、異性化が1,2−水素移動により進むものであれば、2−体の生成を最小限にして5−体および/または1−体を生成することは可能である。一方、S.McLeanらは、上記の1,2−水素移動による異性化は強塩基が存在しないときに有効であり、塩基が存在すると5−体からの活性水素引き抜きが起こり置換シクロペンタジエニルアニオンが生成し、これを経由して異性化が進行し、平衡混合物が生成すると述べている(Tetrahedron、vol.21,2313頁、2329頁(1965))(式(4))。【0010】【化4】【0011】すなわち、塩基が存在すると、5−体および/または1−体を選択的に合成することはできず、1−体と2−体がほぼ等量の平衡混合物が生成することを意味している。従って、言い換えれば、5−体および/または1−体を選択的に合成するには、一旦生成した置換シクロペンタジエンと塩基を接触させないことが必須条件と言える。ここで言う塩基としては、反応に必要なシクロペンタジエニルアニオンも含まれる。したがって、シクロペンタジエニルアニオンの溶液に、求電子剤を滴下する方法では、反応系中にシクロペンタジエニルアニオン(塩基)が存在する状態で反応を実施するため、一旦生成した5−体の活性水素の引き抜きが起こりやすく、5−体および/または1−体を選択的に合成することは困難である。【0012】上記の問題を解決する方法として、求電子剤に対しシクロペンタジエニルアニオンを滴下する方法が知られている。例えば、ジメトキシエタンやジグライムなどの有機溶媒中、金属ナトリウムとシクロペンタジエンからシクロペンタジエニルアニオンの溶液を得、これをアルキル化剤(求電子剤)に滴下する方法(Tetrahedron,vol.21,2313頁(1965))が知られている。これは、過剰の求電子剤に対しシクロペンタジエニルアニオンを少量ずつ滴下することで、シクロペンタジエニルアニオンを瞬時に反応させ、系中のシクロペンタジエニルアニオン濃度を低く抑えるという考え方であり、実際に5−体および/または1−体を選択的に合成することが可能な方法である。しかし、この方法は、反応性の高い求電子剤(1級ハロゲン化アルキルなど)に対してのみ有効な方法であって、反応性の低い求電子剤(2級や3級のハロゲン化アルキルなど)に対しては無効である。なぜならば、反応性の低い求電子剤の場合、滴下したシクロペンタジエニルアニオンが瞬時には反応しないため、系中にシクロペンタジエニルアニオン(塩基)が蓄積するからである。また、この方法は、特に工業的規模での実施において重大な問題があった。すなわち、この方法では、シクロペンタジエンに塩基を作用させてシクロペンタジエニルアニオンを一つの反応器で製造し、得られたシクロペンタジエニルアニオンを、予め求電子剤を仕込んだもう一つの反応器に滴下するという形態をとるため、2つの反応器を要するという不利益があった。しかも、シクロペンタジエニルアニオン溶液は水分や酸素を極度に嫌うため、それを滴下するためのポンプ等の装置は特殊な仕様のものを必要とするという不利益もあった。【0013】WO99/50215公報には、生成物の置換シクロペンタジエンと二液相を形成する溶媒中で反応を実施することにより、置換シクロペンタジエンと塩基(シクロペンタジエニルアニオン)との接触を防ぎ、5−体および/または1−体を選択的に合成する技術が記載されている。この技術によれば、シクロペンタジエニルアニオンに対し求電子剤を滴下するという手順でも、高選択率で目的の異性体を製造することが可能であるが、本発明者らの実験の結果、この技術で高選択率を得るには限界があることがわかった。この技術の原理は、置換シクロペンタジエンと未反応のシクロペンタジエニルアニオン(塩基)との接触を相分離現象を利用して防ぐことである。すなわち、置換シクロペンタジエンと塩基との接触は二相の界面に限られるので、均一系に比較して接触の機会は劇的に減少する。【0014】しかし、塩基との接触は皆無ではないので、反応時間が長期に及んだ場合には、このような相分離現象のみでは異性化を抑制しきれず、得られる置換シクロペンタジエンの組成が平衡混合物に漸近してしまうという問題があった。シクロペンタジエニルアニオンと求電子剤の反応はかなり大きな発熱反応であるため、特に工業的規模での実施においては反応熱の除去に時間を要する。そのため、反応熱の除去が求電子剤滴下の律速過程となり、反応時間が長期に及ぶ場合が多い。したがって、反応時間の延長に伴って異性化が進行してしまうという上記の問題は、工業的規模での実施における重大な問題であった。以上述べたように、工業的規模において5−および/または1−置換シクロペンタジエンを高選択的に且つ簡便に製造する技術は未だ開示されていない。【0015】【発明が解決しようとする課題】本発明は、工業的規模において5−および/または1−置換シクロペンタジエンを高選択的に且つ簡便に製造する技術を提供することを目的とする。【0016】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、求電子剤の存在下でシクロペンタジエニルアニオンを発生させると、反応時間が長期に及ぶ場合であっても、高選択的に5−および/または1−置換シクロペンタジエンが得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下のとおりである。1.シクロペンタジエンと求電子剤の共存する溶液から、5−および/または1−置換シクロペンタジエンを製造する方法であって、求電子剤の存在下でシクロペンタジエニルアニオンを発生させることを特徴とする置換シクロペンタジエンの製造方法。2.シクロペンタジエンと求電子剤の共存する溶液に対し、塩基を添加することによりシクロペンタジエニルアニオンを発生させることを特徴とする、1.記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。【0017】3.ジメチルスルホキシドの存在下で実施することを特徴とする、1.または2.記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。4.塩基が水酸化カリウムである1.から3.のいずれかに記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。5.反応系中の水分率が10wt%以下であることを特徴とする、1.から4.のいずれかに記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。6.不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする、1.から5.のいずれかに記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。【0018】【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説明する。本発明においては、求電子剤の存在下でシクロペンタジエニルアニオンを発生させることが必須要件である。求電子剤の存在下でシクロペンタジエニルアニオンを発生させることにより高選択率で5−および/または1−置換シクロペンタジエンが得られることは本発明者らが見出した驚くべき事実である。本発明の必須要件を満足することで5−および/または1−置換シクロペンタジエンが高選択率で得られる機構は、発生したシクロペンタジエニルアニオン(塩基)が速やかに求電子剤と反応するため、生成物(5−置換シクロペンタジエン)と塩基との接触が効果的に抑制されることであると推察される。本発明の方法によれば、反応時間が10〜20時間といった長時間に及ぶ場合においても、高選択率が得られる。本発明の必須要件を満足しない場合、例えば、求電子剤の存在しない状態で別途調製したシクロペンタジエニルアニオンに対し求電子剤を滴下する方法では、一旦生成した5−置換シクロペンタジエンが、反応系中に予め存在するシクロペンタジエニルアニオン(塩基)により異性化してしまうという本質的問題があり、仮に相分離現象を利用してそれらの接触を極力抑えたとしても、反応時間が長期化した場合には異性化が無視できない程度に進行してしまう。【0019】一方、求電子剤の存在しない状態で別途調製したシクロペンタジエニルアニオンを求電子剤に対して滴下する方法では、反応性の低い求電子剤(2級ハロゲン化アルキルなど)の場合には異性化を抑制しきれない。しかもこの方法の場合、別途調製したシクロペンタジエニルアニオン溶液を、予め求電子剤を仕込んだ別の反応器に滴下するという形態をとるため、2つの反応器を要し、しかも、シクロペンタジエニルアニオン溶液は水分や酸素を極度に嫌うため、それを滴下するためのポンプ等の装置は特殊な仕様のものを必要とするという経済的不利益や煩雑さが生じる。【0020】シクロペンタジエンと求電子剤の共存下でシクロペンタジエニルアニオンを発生させる方法は制限はなく、この条件を満足する一般的な方法を採用すればよい。例えば、シクロペンタジエンと求電子剤を溶解した溶液を攪拌しておき、そこに固体や液体の塩基を徐々に添加する方法や、シクロペンタジエン、求電子剤および固体塩基の三者を予め混合した溶液中で、固体塩基の溶解に伴ってシクロペンタジエニルアニオンを徐々に発生させる方法など、極めて簡便な方法があげられる。【0021】本発明で用いる塩基は、シクロペンタジエンの活性水素を引き抜く能力のあるものであれば制限はない。例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド(メトキシド、エトキシド、t−ブトキシドなど)、アルキルリチウム(メチルリチウム、ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなど)、アルキル金属アミド、アルキルマグネシウムハライド(グリニャール試薬)などがあげられるが、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化カリウムである。塩基の性状は特に制限はなく、反応規模や装置に応じ適宜選定すればよい。たとえば、フレーク状、粒状、粉末状、溶液状などがあげられるが、工業的実施においては、フレーク状、粒状もしくは溶液状が好ましい。さらに好ましくはフレーク状もしくは粒状である。【0022】本発明で用いる反応溶媒は特に制限はなく、汎用の溶媒を用いればよい。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドなどがあげられるが、非プロトン性極性溶媒が好ましい。もっとも好ましいのはジメチルスルホキシドである。また、これらの溶媒と、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒との混合溶媒を用いてもよい。【0023】本発明の反応系における水分率は特に制限はないが、目的とする5−および/または1−置換シクロペンタジエンの選択率を維持する意味で10wt%以下が好ましい。さらに好ましくは5wt%以下である。本発明の反応を実施する場合の雰囲気ガスの種類は特に制限はないが、目的とする5−および/または1−置換シクロペンタジエンの選択率維持、および純度確保の点から不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。不活性ガスとしては例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどがあげられるが、実用的観点から窒素が好ましい。【0024】本発明におけるシクロペンタジエンと塩基との量比は、特に限定されるものではないが、シクロペンタジエニルを有効にアニオンに変換させられる点から0.1以上、また目的とする5−および/または1−置換シクロペンタジエンの選択率を維持させられる点から10以下にすることが好ましい。より好ましくは0.5から2.0の範囲であり、さらに好ましくは0.8から1.5の範囲である。本発明におけるシクロペンタジエンと求電子剤との量比は、特に限定されるものではないが、実用的な反応速度が確保できる点から0.1以上、また求電子剤が有効に利用され得る点から10以下にすることが好ましい。より好ましくは、0.5から3.0の範囲であり、さらに好ましくは0.8から2.0の範囲である。【0025】本発明の反応温度は特に制限はないが、実用的な反応速度が確保できる点から−30℃以上、また生成した5−および/または1−置換シクロペンタジエンが2−置換シクロペンタジエンまで異性化してしまうことが抑制できる点から100℃以下にすることが好ましい。より好ましくは−10℃から80℃、さらに好ましくは−5℃から50℃である。圧力は常圧もしくは加圧下で実施できる。シクロペンタジエンの常圧での沸点は約40℃なので、常圧−開放系で行う場合には、シクロペンタジエンのロスを防ぐために還流冷却器を備えた反応器で実施する方が好ましい。またシクロペンタジエンと塩基との反応、および求電子剤との反応は発熱反応であるため、除熱機構を備えた反応器を用いるのが好ましい。【0026】本発明でいう求電子剤とは、シクロペンタジエニルアニオンに対する求電子反応を起こすものであれば制限はなく、例えば一般式R−Xで表される。ここでRは、水素、または直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基を表し、直鎖状または分岐状を問わない。また不飽和結合が含まれていてもかまわない。また酸素、窒素、ケイ素、ハロゲンなどのヘテロ原子が含まれていてもかまわない。【0027】アルキル基としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。【0028】アルケニル基としては一般式−CH=CR1R2で表され、アルキニル基としては一般式−CH=C−R1で表される。R1、R2は水素または炭化水素基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。【0029】シクロアルキル基としては例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1,3−シクロヘキサジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、シクロヘプチル、1−シクロヘプテン−1−イル、2−シクロヘプテン−1−イル、3−シクロヘプテン−1−イル、4−シクロヘプテン−1−イル、シクロオクチル、1−シクロオクテン−1−イル、2−シクロオクテン−1−イル、シクロノニル、シクロデシルなどが挙げられる。【0030】また酸素が含まれるものとしては、今まで述べた基に一般式−OR3や一般式−COOR4で表される置換基が付いたものが挙げられる。R3やR4は水素または炭化水素基であり例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。また今まで述べた基にケイ素やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲンが含まれていてもかまわない。Xはハロゲン原子、パラトルエンスルホネート基またはアルキルスルホネート基を表す。【0031】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。なお、実施例等における生成物のガスクロマトグラフィーによる分析条件は下記のとおりである。装置:島津製作所GC−14A、島津製作所クロマトパックCR−4Aカラム:J&Wサイエンティフィック社キャピラリーカラムDB−1(長さ30m×内径0.25mm、液相膜厚0.25μm)温度条件:カラム40℃×5分→250℃(10℃/分)注入口60℃、検出器250℃(FID)【0032】【実施例1】ジメチルスルホキシド578.3kg(7.401kmol)、シクロペンタジエン101.2kg(純度97.0%、1.485kmol)、イソプロピルブロマイド302.3kg(2.458kmol)からなる溶液をジャケット付反応器に仕込み、窒素置換した。該溶液温度を5℃に維持しつつ、攪拌しながら、窒素気流下で水酸化カリウム72.0kg(純度96%、1.232kmol)を8時間かけて添加した。水酸化カリウム添加終了後、5℃でさらに4時間攪拌した後、反応液温度を5℃に保ちつつ、攪拌しながら、35%塩酸6.03kgと水432.8kgの混合物を加えた。攪拌を止めて15分間静置した後分液を行い、イソプロピルシクロペンタジエン(5−体:48.23kg、1−体:72.07kg、2−体:8.40kg)を含有する有機層を得た。5−および/または1−イソプロピルシクロペンタジエンの選択率(得られた全イソプロピルシクロペンタジエンに対する5−および/または1−イソプロピルシクロペンタジエンの比率)は93.5%であった。【0033】【実施例2】ジメチルスルホキシド605.2kg(7.746kmol)、シクロペンタジエン106.1kg(純度96.5%、1.549kmol)、n−プロピルブロマイド317.6kg(2.582kmol)からなる溶液をジャケット付反応器に仕込み、窒素置換した。該溶液温度を5℃に維持しつつ、攪拌しながら、窒素気流下で水酸化カリウム75.5kg(純度96%、1.291kmol)を8時間かけて添加した。水酸化カリウム添加終了後、5℃でさらに4時間攪拌した後、反応液温度を5℃に保ちつつ、攪拌しながら、35%塩酸6.31kgと水453.0kgの混合物を加えた。攪拌を止めて15分間静置した後分液を行い、n−プロピルシクロペンタジエン(5−体:48.48kg、1−体:75.76kg、2−体:10.12kg)を含有する有機層を得た。5−および/または1−n−プロピルシクロペンタジエンの選択率(得られた全イソプロピルシクロペンタジエンに対する5−および/または1−n−プロピルシクロペンタジエンの比率)は92.5%であった。【0034】【比較例1】ジメチルスルホキシド805.1kg(10.305kmol)、シクロペンタジエン142.8kg(純度96.3%、2.081kmol)、水酸化カリウム100.4kg(純度96%、1.718kmol)を、ジャケット付反応器に加え、窒素気流下、室温で3時間撹拌することによってシクロペンタジエニルカリウム(シクロペンタジエニルアニオン)溶液を得た。【0035】該シクロペンタジエニルカリウム溶液の温度を5℃に保ちつつ、撹拌しながら、イソプロピルブロマイド422.4kg(3.434kmol)を滴下した。ジャケットに冷媒(−30℃)を流通し反応熱を除去しつつ反応を実施したが、反応熱の除去がイソプロピルブロマイド滴下の律速過程となり、液温度を5℃に維持するには8時間という長時間をかけてイソプロピルブロマイドを滴下する必要があった。滴下終了後、反応液温度を5℃に保ちつつ、攪拌しながら、35%塩酸8.65kgと水602.5kgの混合物を加えた。攪拌を止めて15分間静置した後分液を行い、イソプロピルシクロペンタジエン(5−体:35.51kg、1−体:82.26kg、2−体:64.06kg)を含有する有機層を得た。5−および/または1−イソプロピルシクロペンタジエンの選択率(得られた全イソプロピルシクロペンタジエンに対する5−および/または1−イソプロピルシクロペンタジエンの比率)は64.8%であった。【0036】【発明の効果】本発明によれば、反応時間が長期に及ぶ場合であっても、目的とする5−および/または1−置換シクロペンタジエンを高選択的に且つ簡便に製造することができ、工業的規模における実施も可能となる。 シクロペンタジエンと求電子剤の共存する溶液から、5−および/または1−置換シクロペンタジエンを製造する方法であって、反応溶媒としてジメチルスルホキシドを使用し、シクロペンタジエンと求電子剤の共存する溶液に対し、塩基を添加することにより、求電子剤の存在下でシクロペンタジエニルアニオンを発生させることを特徴とする置換シクロペンタジエンの製造方法。 塩基が水酸化カリウムであることを特徴とする、請求項1に記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。 反応系中の水分率が10wt%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。 不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の置換シクロペンタジエンの製造方法。