生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルコール蒸留装置
出願番号:2001241885
年次:2008
IPC分類:C07C 29/80,B01D 3/02,B01D 5/00,F22B 1/16


特許情報キャッシュ

堀江 健三 畑中 雅雄 牛山 孝志 嶋多 優 坂下 茂 高澤 雄次 JP 4031220 特許公報(B2) 20071026 2001241885 20010809 アルコール蒸留装置 サングレイン株式会社 501317685 株式会社ツーヘンハーゲンジャパン 594152583 株式会社前川製作所 000148357 高橋 昌久 100083024 花田 久丸 100103986 堀江 健三 畑中 雅雄 牛山 孝志 嶋多 優 坂下 茂 高澤 雄次 20080109 C07C 29/80 20060101AFI20071213BHJP B01D 3/02 20060101ALI20071213BHJP B01D 5/00 20060101ALI20071213BHJP F22B 1/16 20060101ALI20071213BHJP JPC07C29/80B01D3/02B01D5/00 AF22B1/16 Z C07C 29/80 B01D 3/02 B01D 5/00 F22B 1/16 特開平05−294861(JP,A) 特開2001−131116(JP,A) 特開昭61−293941(JP,A) 特開昭62−053702(JP,A) 熱交換器設計ハンドブック 増訂版,工学図書,1980年,p.686-715 1 2003055282 20030226 8 20040422 冨永 保 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、アルコール蒸留塔における塔頂留分の熱回収と、蒸気ボイラーで発生した蒸気の熱エネルギーの有効利用とを組み合わせた、高い熱効率を実現できるアルコール蒸留装置に係り、特に蒸気エジェクタと蒸気圧縮機を組み合わせ、熱回収効率の向上を図ったアルコール蒸留装置に関する。【0002】【従来の技術】 従来より、蒸留塔を有するアルコール蒸留装置では、蒸留塔の塔頂留分を通常の凝縮器で冷却水の顕熱により冷却して凝縮させ、かつ塔頂留分より熱を得て温度の上がった冷却水をそのまま系外に排出していた。即ち、塔頂留分の熱は利用されることなく大気に放出されていた。このため塔頂留分の熱の利用と、蒸気ボイラーで発生した蒸気の熱エネルギーの有効利用とを組み合わせた、高い熱効率を実現できる、熱回収及び動力回収装置を有するアルコール蒸留装置(特開平5−294861号公報)を提案している。【0003】 図3を参照して、従来技術に係る蒸留塔装置を説明する。図3に示している蒸留塔装置100は、蒸留塔112と、該蒸留塔112の塔頂留分を水により冷却して凝縮させ、一方水を塔頂留分から得た熱により蒸発させて、蒸気を発生する熱交換器114と、発生した蒸気を所定圧に昇圧するスクリュー式水蒸気圧縮機116と、該スクリュー式水蒸気圧縮機116を駆動するための駆動装置とを備えている。【0004】 駆動装置は、蒸気膨張機120とその間に連結された電気モータ124とを有する。【0005】 蒸留塔112の塔頂留分は、熱交換器114を流れる冷却水に熱を奪われて凝縮する。冷却水は熱交換器114で塔頂留分から熱を得て蒸発し、蒸気となる。熱交換器114の冷却水側の圧力は、塔頂留分から熱を得た水が蒸発して蒸気になることのできる圧力であって、その圧力になるようにスクリュー式水蒸気圧縮機116により吸引される。発生した蒸気は、配管128を通ってスクリュー式水蒸気圧縮機116に吸引され、そこで所定圧に昇圧されて蒸留塔112の底部に加熱源として供給される。【0006】 外部の蒸気ボイラー140から蒸気膨張機120に供給された蒸気は、該蒸気膨張機20を回転させ、スクリュー式水蒸気圧縮機116の駆動動力源となり、その吐出側において圧力降下し低圧蒸気となって、それぞれ他の蒸留塔142、144に供給される。尚、該蒸留塔142、144には、それぞれの塔頂留分を凝縮させるために冷却水の顕熱で冷却するようにされた通常の凝縮器146、148をそれぞれ設けてある。【0007】【発明が解決しようとする課題】 かかる従来技術においては、水蒸気圧縮機116と蒸気膨張機120の間にモータ124を連結し、蒸気膨張機120の動力だけでは不足する場合には、電気モータ124は補助駆動装置として蒸気膨張機120と連動して駆動させていた。【0008】 このようなアルコール蒸留塔による蒸留操作の熱エネルギーシステムで熱交換器114と蒸気ボイラー140を組み合わせることにより、最も熱回収が高いシステムが構成されるが、圧縮比の問題から駆動用の電力がかかることと、蒸留塔と熱交換器による操作条件が負圧のために水蒸気圧縮機116が大型化してしまう問題があった。【0009】 例えば従来は、蒸留塔の塔底に4.4t/hのアルコールべーパを入れた場合、塔頂より熱交換器に導入されるアルコールべーパも4.4t/hであり、これに対応する4.4t/hのアルコールべーパ用の冷却水が必要であった。【0010】 本発明は、かかる課題に鑑み、水蒸気圧縮機の軸動力の大幅低減と蒸留塔の塔頂より熱交換器に導入されるアルコールべーパ用の冷却水の大幅低減を図ったアルコール蒸留装置を提供することを目的とし、特に蒸気エジェクタと蒸気圧縮機を組み合わせ、熱回収効率の向上を図ったアルコール蒸留装置を提供することを目的とする。【0011】【課題を解決するための手段】 本発明はかかる課題を解決するために、水蒸気圧縮機により昇圧された蒸気を利用してアルコール蒸留塔にてアルコール蒸留を行うアルコール蒸留装置において、 2基以上のアルコール蒸留塔のうちの少なくとも第1のアルコール蒸留塔の塔頂より得られたアルコールベーパを、ポンプを介して循環する循環水の循環経路に設けた流下液膜式凝縮器で凝縮させる第1の凝縮手段と、 該流下液膜式凝縮器で未凝縮のアルコールベーパのみを流下液膜式凝縮器より取り出して冷却水との熱交換により凝縮する、冷却水熱交換器よりなる第2の凝縮手段と、 前記流下液膜式凝縮器でアルコールベーパとの熱交換により得られた低圧飽和蒸気をボイラー蒸気により駆動される蒸気エジェクタで昇圧する低段圧縮手段と、 該低段圧縮手段で昇圧した低圧蒸気を前記水蒸気圧縮機で更に昇圧して高圧蒸気を生成する高段圧縮手段とを具え、 前記高段圧縮手段で更に昇圧した高圧蒸気は第1のアルコール蒸留塔の塔底加熱用熱源に利用され、 一方前記低段圧縮手段で昇圧された低圧蒸気の一部は前記第1のアルコール蒸留塔以外の他のアルコール蒸留塔の塔底加熱用熱源に利用されることを特徴とする。【0012】 かかる発明によれば、例えばアルコール蒸留塔の塔底に水蒸気圧縮機で所定の圧力まで昇圧された蒸気を入れてアルコール蒸留を行い、塔頂より4.4t/hのアルコールべーパを得られた場合を飽和水循環型の流下液膜式凝縮器に導入することにより、該流下液膜式凝縮器では飽和水との熱交換にて4.0t/hのアルコールべーパを凝縮でき、未凝縮の0.4t/hのアルコールベーパのみを冷却水の熱交換器により凝縮すれば良い。従来は、4.4t/hのアルコールべーパを凝縮させる冷却水が必要であったが、流下液膜式凝縮器を入れることにより0.4t/hのアルコールベーパを凝縮すれば良くなり、冷却水の使用量が大幅に低減する。【0013】【0014】 又本発明によれば流下液膜式凝縮器で得られた低圧飽和水蒸気を蒸気エジェクタで昇圧した後水蒸気圧縮機でさらに昇圧されるために、実質的な2段圧縮が可能となり、水蒸気圧縮機の小型化と軸動力の大幅低減につながる。 然も本発明は流下液膜式凝縮器と水蒸気圧縮機を単に組み合わせたのみならず、 このようなシステムは水蒸気圧縮機で吸入する蒸気圧力が高い場合のみシステム構成が可能であるが、前記流下液膜式凝縮器でアルコールベーパとの熱交換により得られる飽和蒸気は低圧であるために水蒸気圧縮機の吸入蒸気圧としては不向きである。そこで蒸気エジェクターを用いて昇圧し、実質的な2段圧縮として構成したことに本発明の有利性がある。【0015】【0016】【0017】 即ち従来は蒸留塔2(図1参照)の塔底加熱としてボイラースチームを使って加熱しているが、本システムでは、蒸気エジェクタ駆動用だけにボイラー蒸気を用いればよく、蒸留塔1および2の塔底加熱も蒸気エジェクタで昇圧された蒸気のみを利用して行われるために、本来捨てられていた蒸気エネルギーの有効利用とともに、その分ボイラー蒸気も少なくてすむ。【0018】【発明の実施の形態】 以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。 図1は本発明の実施形態にかかる蒸気エジェクタと蒸気圧縮機を組み合わせ、熱回収効率の向上を図ったアルコール蒸留装置で、図中1,2はアルコール蒸留塔、3はモータにより駆動されるスクリュー式水蒸気圧縮機、5は流下液膜式コンデンサで、下部がフラッシュタンク部31となっており、75℃の飽和蒸気が蒸気エジェクタ6に取り出される。9は冷却水により未凝縮のアルコールベーパを凝縮する熱交換器(凝縮器)である。【0019】 蒸気エジェクタ(サーモコンプレッサ)6は15kg/cm2、200℃前後のエジェクタ駆動用ボイラースチーム52(ボイラーは不図示)により前記低圧飽和蒸気51が取り出され、両者が混合して例えば0.66kg/cm2、90℃前後の低圧蒸気53が得られ、この低圧蒸気53が蒸気ヘッダー7に送られる。 蒸気ヘッダー7内の蒸気54は水蒸気圧縮機3に吸引され、又その余剰蒸気55は、熱交換器10を介して他のフラッシュタンク11に送られる。【0020】 流下液膜式凝縮器(コンデンサ)5は、例えば図2に開示されているように、凝縮器底部に設けたフラッシュタンク部31で飽和水をポンプ32及び循環経路66を介して上方の貯留部33に導き、該貯留部33に上端を開口する縦型状の伝熱管35を下方のフラッシュタンク部31まで貫流開口させ、前記伝熱管35周囲をアルコールベーパが流入する筒状外套36が包被する形状となす。【0021】 即ち、前記伝熱管35の上端は飽和水65が導入される上方貯留部33に開口され、又前記伝熱管35の下端はフラッシュタンク部31に開口している。 そして前記筒状外套36は上部にアルコールベーパ導入口40を、下部に前記伝熱管35を流下する飽和水65との熱交換により液化したアルコールを未凝縮ベーパとともに、タンク38に排出する排出口37が設けられ、前記タンク38で凝縮したアルコールは配管39によって分配されて第1のアルコール蒸留塔1と第2のアルコール蒸留塔2に送られ、又未凝縮のアルコールはタンク38上部より冷却水熱交換器(凝縮器)9に送られ、冷却水C.Wにより熱交換されて凝縮し、第2のアルコール蒸留塔2に送られる。【0022】 又前記フラッシュタンク部31には低圧飽和蒸気51として蒸気エジェクタ6へ取り出された量に対応する補給水57がタンク14より補給される。タンク14よりの補給水57は、他のアルコール蒸留塔(第2のアルコール蒸留塔でもよく、又他に増設したアルコール蒸留塔でもよい。)でアルコールべーパ熱交換後の水を貯留したタンク14より補給されている。 尚、図1において、10は第2のアルコール蒸留塔2に供給した余剰蒸気55と第2のアルコール蒸留塔2底部にある95%アルコールとを熱交換により加熱する熱交換器で、該熱交換器10により加熱された95%アルコールが第2のアルコール蒸留塔2底部に供給される。又22はアルコール蒸気の冷却器、23,24,25は夫々ポンプである。【0023】 11は前記余剰蒸気55と第1のアルコール蒸留塔1底部に凝縮した凝縮水58を貯留する他のフラッシュタンクで、該フラッシュタンク11の蒸気は他のアルコール蒸留塔(不図示)に供給される蒸気を生成する蒸気エジェクタ20に吸引される。該蒸気エジェクタ20もボイラー蒸気B.Sによって加熱される。 尚、図中C.Wは冷却水、B.Sはボイラー蒸気である。【0024】 次にかかる実施例についてその作用を説明する。 アルコール蒸留塔1の塔底に水蒸気圧縮機3で圧縮生成された1.4kg/cm2、110℃程度の蒸気を入れてアルコール蒸留を行い、塔頂より78℃、4.4t/hのアルコールべーパを流下液膜式凝縮器5に導入する。流下液膜式凝縮器5では飽和水65との熱交換にて4.0t/hのアルコールべーパを凝縮する。 一方未凝縮の0.4t/hのアルコールベーパを冷却水の熱交換器(凝縮器9)により凝縮する。 従って従来は、4.4t/hのアルコールべーパ用の冷却水が必要であったが、流下液膜式凝縮器5を入れることにより冷却水の必要な熱交換器(コンデンサ)9は、0.4t/hのアルコールベーパを凝縮すれば良くなる。【0025】 又前記流下液膜式凝縮器5でアルコールベーパとの熱交換により得られた低圧飽和蒸気51はボイラー蒸気B.Sにより駆動される蒸気エジェクタ6で0.66kg/cm2、90℃前後の低圧蒸気53に昇圧した後、前記水蒸気圧縮機で更に昇圧をして第1のアルコール蒸留塔1底に送られる。【0026】 従って本実施例によれば流下液膜式凝縮器で得られた低圧飽和水蒸気を蒸気エジェクタで昇圧した後水蒸気圧縮機でさらに昇圧されるために、実質的な2段圧縮が可能となり、水蒸気圧縮機の小型化と軸動力の大幅低減につながる。【0027】 又、前記蒸気エジェクタ6で昇圧された低圧蒸気53の一部は蒸気ヘッダ7、熱交換器10を利用して第2のアルコール蒸留塔2の塔底加熱用熱源に利用する。【0028】 又本実施例によれば、ボイラー蒸気B.Sにより駆動される蒸気エジェクタ6,20で昇圧された蒸気を利用してアルコール蒸留塔1,2塔の塔底加熱用熱源に利用するとともに、前記ボイラー蒸気B.Sをエジェクタ駆動用だけに用いたために本来捨てられていた蒸気エネルギーの有効利用とともに、その分ボイラー蒸気も少なくてすむ。【0029】【発明の効果】 以上記載のごとく本発明によれば、水蒸気圧縮機の軸動力の大幅低減と蒸留塔の塔頂より熱交換器に導入されるアルコールべーパ用の冷却水の大幅低減を図ったアルコール蒸留装置を得る事が出来、特に蒸気エジェクタと蒸気圧縮機を組み合わせ、熱回収効率の向上を図ることが出来る。 又、本発明によれば水蒸気圧縮機の小型化と軸動力の大幅低減につながるとともに、前記流下液膜式凝縮器でアルコールベーパとの熱交換により得られる飽和蒸気は低圧であるために水蒸気圧縮機の吸入蒸気圧としては不向きであるが、蒸気エジェクターを用いて昇圧し、実質的な2段圧縮として構成したために蒸気エネルギの有効利用が図れる。【0030】 請求項2記載の発明によれば、ボイラー蒸気により駆動される1又は複数の蒸気エジェクタで昇圧された蒸気を利用してアルコール蒸留塔の塔底加熱用熱源に利用するとともに、前記ボイラー蒸気をエジェクタ駆動用だけに用いたために、本来捨てられていた蒸気エネルギーの有効利用とともに、その分ボイラー蒸気も少なくてすむ。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の実施形態にかかる蒸気エジェクタと蒸気圧縮機を組み合わせ、熱回収効率の向上を図ったアルコール蒸留装置を示す全体図である。【図2】 図1に使用される流下液膜式凝縮器の構成図である。【図3】 従来技術にかかるアルコール蒸留装置を示す全体図である。【符号の説明】1,2 アルコール蒸留塔3 スクリュー式水蒸気圧縮機5 流下液膜式凝縮器(コンデンサ)6 蒸気エジェクタ9 熱交換器32 循環ポンプ 水蒸気圧縮機により昇圧された蒸気を利用してアルコール蒸留塔にてアルコール蒸留を行うアルコール蒸留装置において、 2基以上のアルコール蒸留塔のうちの少なくとも第1のアルコール蒸留塔の塔頂より得られたアルコールベーパを、ポンプを介して循環する循環水の循環経路に設けた流下液膜式凝縮器で凝縮させる第1の凝縮手段と、 該流下液膜式凝縮器で未凝縮のアルコールベーパのみを流下液膜式凝縮器より取り出して冷却水との熱交換により凝縮する、冷却水熱交換器よりなる第2の凝縮手段と、 前記流下液膜式凝縮器でアルコールベーパとの熱交換により得られた低圧飽和蒸気をボイラー蒸気により駆動される蒸気エジェクタで昇圧する低段圧縮手段と、 該低段圧縮手段で昇圧した低圧蒸気を前記水蒸気圧縮機で更に昇圧して高圧蒸気を生成する高段圧縮手段とを具え、 前記高段圧縮手段で更に昇圧した高圧蒸気は第1のアルコール蒸留塔の塔底加熱用熱源に利用され、 一方前記低段圧縮手段で昇圧された低圧蒸気の一部は前記第1のアルコール蒸留塔以外の他のアルコール蒸留塔の塔底加熱用熱源に利用されることを特徴とするアルコール蒸留装置。


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