タイトル: | 特許公報(B2)_光配向膜用材料、光配向膜及びその製造方法 |
出願番号: | 2001229471 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C08F 22/40,C08J 7/00,G02F 1/1337,C07D 207/452,C07D 403/12 |
福田 昌宣 早川 均 高田 宏和 JP 4900632 特許公報(B2) 20120113 2001229471 20010730 光配向膜用材料、光配向膜及びその製造方法 DIC株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 福田 昌宣 早川 均 高田 宏和 JP 2000260764 20000830 JP 2001040025 20010216 20120321 C08F 22/40 20060101AFI20120301BHJP C08J 7/00 20060101ALI20120301BHJP G02F 1/1337 20060101ALI20120301BHJP C07D 207/452 20060101ALI20120301BHJP C07D 403/12 20060101ALI20120301BHJP JPC08F22/40C08J7/00 302C08J7/00G02F1/1337 525C07D207/452C07D403/12 C08F 22/00-22/40 G02F 1/1337 CA/REGISTRY(STN) 特開2001−122981(JP,A) 特開2002−265541(JP,A) 特開平01−319514(JP,A) 特開平05−186535(JP,A) 6 2002317013 20021031 18 20080707 松元 洋 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子に用いられる光配向膜に関し、さらに詳しくは、光を照射することにより、ラビングを行うことなく液晶分子を配向させることができる光配向膜の形成材料、該材料からなる光配向膜、その製造方法及び該光配向膜を用いた液晶表示素子に関する。【0002】【従来の技術】液晶表示装置においては、液晶の分子配列の状態を電場等の作用によって変化させて、これに伴う光学的特性の変化を表示に利用している。多くの場合、液晶は二枚の基板の間隙に挟んだ状態で用いられるが、ここで液晶分子を特定の方向に配列させるために、基板の内側に配向処理が行われる。【0003】通常、配向処理は、ガラス等の基板にポリイミド等の高分子の膜を設け、これを一方向に布等で摩擦する、ラビングという方法が用いられる。これにより、基板に接する液晶分子はその長軸(ダイレクタ)がラビングの方向に平行になるように配列する。たとえば、ツイストネマチック(TN)セルでは二枚の直交した偏光板の間に、内側に配向膜が塗布された二枚の基板を対向させ、そのラビング方向が互いに直交するように配置し、光透過率の変化による表示を可能にしている。【0004】しかしながら、ラビング法は製造装置が簡単であるという利点を有するものの、製造工程において静電気や埃が発生するため、配向処理後に洗浄工程が必要となるとともに、特に近年多く用いられているTFT方式の液晶セルでは静電気によりあらかじめ基板に設けられたTFT素子が破壊され、これが製造における歩留まりを下げる原因にもなっている。一方、液晶表示素子においては構成されている液晶分子の傾きに方向性があるため、表示素子を見る方向によって表示色やコントラストが変化する等といった視野角依存性が問題となっている。【0005】これを改善する方法の一つとしては、一画素を分割して、領域ごとに液晶分子のプレチルト角(特開昭62−159119号公報)や配向方向(特開昭63−106624号公報)を変える配向分割法が考案されている。このような、分割領域ごとの配向は、従来のラビング法ではプロセスが煩雑で実用には適さない。【0006】かかる問題を解決するために、近年ラビングを行わない液晶配向制御技術が注目されている。このようなラビングレスの配向技術としては、斜方蒸着法、LB(ラングミュアー−ブロジェット)膜法、フォトリソグラフィ法、光配向法等が検討されてきた。とりわけ、偏光された光を基板上に設けられた塗膜に照射して、液晶配向性を生じさせる光配向法は簡便であり、配向処理後に洗浄工程が不必要であり、さらにフォトマスク等を用いることにより上記の配向分割を容易に行うことができるため、盛んに研究が行われている。この光配向法は、有機分子中の光配向機能を発現させる光配向性基、例えばアゾ基等の光異性化によるもの、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基等の光二量化によるもの、ベンゾフェノン基等の光架橋やポリイミド樹脂等の光分解によるもの等が報告されている。【0007】これらの光異性化、光二量化や光架橋を利用した光配向膜材料としては、ガラス等の基板に塗布した際に均一な膜が得られるよう高分子材料が用いられることが多く、上記の様な光配向性基がこの高分子材料の側鎖や主鎖に導入される場合が多い。また、光配向性を有する分子をゲスト分子とし、高分子化合物からなるホスト化合物に分散させて用いる場合もある。【0008】しかし、光異性化型の場合、偏光紫外線の照射による分子のシス−トランス(cis−trans)異性化を利用しているため、光配向処理後の光安定性に問題がある。また、光分解型の場合、光配向処理を行った際に生じる分解生成物により液晶が汚染されるおそれがあるため、処理後に基板を洗浄する必要があり、光配向膜の洗浄不要といった特長が失われる。また、高分子材料を用いた光配向材料の多くは溶剤に対する溶解性が低く、基板に塗布する際に使用できる溶媒の種類が限られるといった問題がある。【0009】例えば、WO9637807号公報(米国特許第6001277号明細書、特開平8−328005号公報)には、光異性化可能であって二色性を示す構造単位及び反応性官能基を有する樹脂を使用した液晶配向膜が開示されているが、この材料は高分子化合物であり、基板に塗布する際に使用できる溶媒の種類が限られ、一般に、N,N−ジメチルアセトアミドやN−メチル−2−ピロリドンのような高沸点の極性溶媒が使用される。この場合、塗布後に溶媒を揮発させるために長時間を要し、生産性を低下させる。さらに、この材料は、樹脂中の反応性官能基の割合が低いので、架橋密度が低く、その結果、この材料から成る配向膜の耐熱性が必ずしも十分ではなかった。【0010】これらの問題点を解決し、光配向膜の液晶配向能が長期間安定に得られるようにする方法の例としては、偏光照射によって配向性を示す光配向性基を付加した重合性モノマーを熱もしくは光重合させ、かつ偏光照射によって光配向させる方法がある。しかし多くの場合、モノマーを熱もしくは光重合させるには重合開始剤の添加が必要となる。この重合開始剤は低分子化合物であるため、光配向膜の硬化後であっても、長期間が経過すると、セル内の液晶層に重合開始剤が拡散し、液晶表示素子としての特性、例えば電圧保持率を劣化させるおそれがある。【0011】重合開始剤の不要な光重合性基としては、重合性マレイミド基がある。この重合性マレイミド基を有する化合物を用いた光配向膜は特開2000−53766号公報(米国特許第6218501号明細書)や特許2962473号公報(特開平11−2815号公報、米国特許第6048928号明細書)に開示されている。これらの光配向膜はポリマレイミドの主鎖に光配向を発現する官能基を側鎖として付加したものであるが、これらの光配向膜は、耐熱性や液晶配向能の長期安定性については未だ不十分である。【0012】【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、良好な液晶表示素子特性、例えば電圧保持率を有し、かつ良好な配向安定性と光や熱に対する十分な耐久性を有する液晶表示素子用の光配向膜を提供することにある。【0013】【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために、1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体から成ることを特徴とする光配向膜用材料を提供する。【0014】また、本発明は上記課題を解決するために、1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体の重合体から成り、前記光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と前記重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有することを特徴とする光配向膜を提供する。【0015】また、本発明は上記課題を解決するために、1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体を基板上に塗布し、該塗膜に光照射することにより前記構造単位の光二量化反応と前記重合性マレイミド基の光重合反応を生起させて架橋された高分子膜を形成すると共に前記高分子膜に光配向機能を発現させることを特徴とする光配向膜の製造方法を提供する。【0016】さらに、本発明は上記課題を解決するために、1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体を基板上に塗布し、該塗膜を加熱することにより前記重合性マレイミド基の熱重合反応を生起させて架橋された高分子膜を形成し、前記高分子膜に光照射することにより前記構造単位の光二量化反応を生起させて前記高分子膜に光配向機能を発現させることを特徴とする光配向膜の製造方法を提供する。【0017】さらにまた、本発明は上記課題を解決するために、内側に配向膜を有する二枚の基板間に液晶を挟持した構造を有する液晶表示素子において、前記配向膜が1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体の重合体から成り、前記光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と前記重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有する光配向膜であることを特徴とする液晶表示素子を提供する。【0018】【発明の実施の形態】本発明の光配向膜用材料に用いられる1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体において、光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基は、偏光を照射することで二量化の配向性が得られるような光反応を生起させる官能基であるならば特に限定されないが、中でもC=C、C=Oで表わされる少なくとも一つの二重結合(但し、芳香環を形成する二重結合を除く)を有する構造単位が特に好ましく用いられる。【0019】これらの光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の基本構造としては、以下のものが挙げられる。C=C結合を有する光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基としては、例えば、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、シンナモイル基、ヘミチオインジゴ基、カルコン基等の構造を有する基が挙げられる。C=O結合を有する光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基としては、例えば、ベンゾフェノン基、クマリン基等の構造を有する基が挙げられる。【0020】具体的には、以下の構造を有する基が挙げられる。勿論、これらの構造にアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基等の置換基を有していても良い。【0021】【化5】【0022】具体的には、1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体は、一般式(1)【化6】で表わされる化合物が好ましく、これらの中でも、一般式(2)【化7】で表わされる化合物が好ましい。【0023】一般式(1)及び(2)において、R1は、炭素原子数1〜30の直鎖状又は分岐状アルキレン基、炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、アリールアルキレン基及びシクロアルキルアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表わす。【0024】R1を表わす有機基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ネオペンチル基の如き分岐アルキル基を有するアルキレン基;【0025】シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基の如きシクロアルキレン基;ベンジレン基、2,2−ジフェニル−トリメチレン基、1−フェニル−エチレン基、1−フェニル−テトラエチレン基の如き主鎖または側鎖にアリール基を有するアリールアルキレン基;シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基の如き主鎖あるいは側鎖にシクロアルキル基を有するシクロアルキル−アルキレン基等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基が好ましい。【0026】また、R1は、これら上記に挙げた基の2〜5個が、単結合、エステル結合、エーテル結合またはウレタン結合で連結した基であっても良い。【0027】このような連結された基としては、例えば、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がエステル結合で結合された(ポリ)エステルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がウレタン結合で結合された(ポリ)ウレタンから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げられる。【0028】上記一般式(1)及び(2)において、R2は上記した光二量化反応によって光配向機能を発現する前記した光配向性基を表わす。【0029】上記した光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の中でも、ベンゾフェノン構造を有する光配向機能を発現する光配向性基を有するマレイミド誘導体を用いた光配向材料は、光配向機能を発現するに必要な偏光の照射量が少なく、かつ得られた光配向膜の熱安定性、経時安定性が優れているため、特に好ましい。【0030】一般式(1)及び(2)で表わされる化合物において、これらR2で表わされる光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基は、R1で表わされる基と、単結合、エステル結合又はウレタン結合を介して結合している。光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の結合数は、1分子中に有する重合性マレイミド基の数と同数であるが、本発明で使用するマレイミド誘導体は、複数の重合性マレイミド基を有するため、その数は2から4までの範囲が好ましい。中でも、重合性マレイミド基の重合が容易に進行し、安定なマレイミド重合体を形成すること、光配向機能を発現する光配向性基の光配向を発現するに必要な光エネルギーの量が比較的少ないことから、光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の結合数は2個であることが好ましい。【0031】上記一般式(1)及び(2)において、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わす。【0032】上記一般式(1)において、nは、2から4までの整数を表わす。中でも、重合性マレイミド基の重合が容易に進行し、安定なマレイミド重合体を形成すること、光配向性基の光配向機能を発現するに必要な光エネルギーの量が比較的少ないことから、nが2である一般式(2)で表わされる化合物が特に好ましい。【0033】本発明の光配向材料においては、光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基の導入密度を調整し、液晶の配向状態を向上させる目的、あるいは溶剤に対する溶解度を改善し、基板に対する塗布性を向上させる目的等で、下記一般式(3)で示されるようなマレイミド化合物を適宜混合しても良い。また、光配向のための照射光に対する良好な感度を得るために、一般式(2)で表わされる光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基を含むマレイミド誘導体と、一般式(3)【0034】【化8】【0035】で表わされるような光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基を含まないマレイミド誘導体とを共重合させても良い。この光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基を含まないマレイミド誘導体の混合割合は全体に対し0〜80重量%の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0〜50重量%の範囲である。【0036】上記一般式(3)において、R7は、▲1▼炭素原子数1〜30の直鎖状アルキレン基、▲2▼炭素原子数1〜30の分岐状アルキレン基、▲3▼炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、▲4▼アリールアルキレン基及び▲5▼シクロアルキルアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表わす。R5及びR6は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基又はハロゲン原子を表わす。【0037】一般式(3)におけるR7の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基の如き直鎖状アルキレン基;1−メチルエチレン基、1−メチル−トリメチレン基、2−メチル−トリメチレン基、1−メチル−テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、1−メチル−ペンタメチレン基、2−メチル−ペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、ネオペンチル基の如き分岐アルキル基を有するアルキレン基;【0038】シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基の如きシクロアルキレン基;ベンジレン基、2,2−ジフェニル−トリメチレン基、1−フェニル−エチレン基、1−フェニル−テトラエチレン基の如き主鎖または側鎖にアリール基を有するアリールアルキレン基;シクロヘキシルメチレン基、1−シクロヘキシル−エチレン基、1−シクロヘキシル−テトラエチレン基の如き主鎖あるいは側鎖にシクロアルキル基を有するシクロアルキル−アルキレン基等が挙げられる。【0039】また、一般式(3)におけるR7は、これら上記に挙げた基の複数個が、単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基であっても良い。【0040】このような連結された基としては、例えば、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がエステル結合で結合された(ポリ)エステルから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基がウレタン結合で結合された(ポリ)ウレタン結合で結合された(ポリ)ウレタンから構成される基、少なくとも2つのアルキレン基が、エーテル結合で結合された(ポリ)エーテル(ポリ)オールと(ポリ)カルボン酸とをエステル化して得られる(ポリ)カルボン酸{(ポリ)エーテル(ポリ)オール}エステルから構成される基等が挙げられる。【0041】次に、本発明の光配向膜用材料を用いて、光配向膜とこれを具備した液晶表示素子を製造する方法の例を述べる。【0042】まず、本発明の光配向材料は適切な溶媒に溶解して用いる。この際、溶媒は特に限定されないが、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等が一般的に用いられる。中でもブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトンは塗布性が良好で、均一な膜が得られることから、特に好ましい。これらの溶剤は、塗布性や、塗布後に短時間で溶剤を揮発させることを考慮して、2種類以上を混合して用いることもできる。【0043】上記光配向材料の溶液を基板上にスピンコーティング法、印刷法等の方法によって塗布し、乾燥後、重合性マレイミド基の重合および光配向操作を行う。【0044】本発明で使用する基板は、光配向膜に通常用いられる基板であって、熱硬化に耐えうる耐熱性を有するものである。そのような基板としては、ガラス基板が挙げられる。【0045】光や熱による重合性マレイミド基の重合操作は、光二量化反応によって光配合した構造単位に影響を与える恐れがあるため、配向操作に先立って行うことがより好ましい。【0046】重合性マレイミド基の重合は紫外線等の光照射あるいは加熱によって行う。光照射で行う場合は、光配向性基が光配向機能を発現しない波長の光で行うことが好ましい。一方、加熱による重合は、光配向操作の前に行うと、基板に塗布する際に用いた溶媒の乾燥も兼ねることができ、より好ましい。また、重合性マレイミド基を完全に重合させるため、最初に、光照射あるいは加熱で重合を行い、次に光照射により光配向を発現する操作を行った後、更に加熱もしくは重合性マレイミド基の光重合に適した無偏光の光照射を行っても良い。【0047】一方、重合性マレイミド基が重合する光の波長と光配向機能を発現させる光の波長とが近い場合には、重合性マレイミド基の重合と光配向機能を発現させる操作を一回の光照射で同時に行うことが可能である。このような重合性マレイミド基の光重合に用いる照射光は特に限定されないが、紫外線が好ましく使用することができる。照射方法についても特に限定されず、無偏光あるいは直線偏光、楕円偏光などの偏光を使用することができる。【0048】光二量化反応によって光配向を発現させる操作は偏光を照射することによって行う。偏光の波長は、光配向性基が効率よく二量化する波長が選ばれ、可視光線、紫外線等が挙げられるが、中でも紫外線が好ましい。また、偏光は、直線偏光や楕円偏光が多く用いられる。このとき、液晶分子のプレチルトを得るために、偏光を基板に対して斜め方向から照射する方法や、偏光照射後に斜め方向から無偏光の光を照射する方法を用いても良い。【0049】本発明によれば、1分子中に光二量化反応によって光配向機能を発現する光配向性基と、複数の重合性マレイミド基を有する重合性単量体を含有する光配向膜用材料を基板に塗布した後、重合性マレイミド基を重合させ、さらに光配向機能を発現する光配向性基の光二量化反応を生起させることによって光配向膜を得る。本発明で使用するマレイミド化合物は、低分子であるため、溶剤溶解性が高く、塗布が容易であるという特徴を有する。また、本発明によれば、重合性マレイミド基の重合により架橋構造が形成されると共に前記光配向性基の光二量化反応により光配向が実現するため、光や熱に対する安定性が高い光配向膜が得られる。【0050】また、マレイミド基による重合は重合開始剤を必要としないため、液晶セル作製後に、液晶中に重合開始剤が溶出することがなく、電圧保持率の低下等、液晶表示素子の性能劣化の原因を取り除くことができる。【0051】【実施例】以下、合成例、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。【0052】[合成例1]ベンゾフェノン構造を有するマレイミド系光配向膜用材料の合成a.マレイミド酢酸の合成撹拌機、温度計、滴下ロート、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの4つ口フラスコに、トルエン140g、p−トルエンスルホン酸一水和物5.2g及びトリエチルアミン2.8gを順次仕込み、撹拌しながら無水マレイン酸30gを加えた後、30℃まで昇温させながら溶解させた。さらにグリシン23gを加えた後、撹拌しながら70℃で3時間反応させた。トルエン50g、トリエチルアミン60gを加え、溶媒を加熱還流させて生成する水を除去しながら1時間反応させた。反応混合物から溶媒を留去して得られた残留物に、4モル/dm3の塩酸を加えてpH2に調整した後、加熱−再結晶して、マレイミド酢酸の淡黄色固体7.3gを得た。【0053】b.4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンの合成撹拌機、温度計、滴下ロート及び冷却管を備えた容量300ミリリットル4つ口フラスコに、2−ブロモエタノール62.5gを入れ、氷浴による冷却下、撹拌しながらN−メチルピロリドン100gを加えた。これにp−トルエンスルホン酸一水和物10mgを加え、ジヒドロピラン42.1gを約10分かけて滴下した。氷冷下で2時間撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した後、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン42.8gおよび炭酸カリウム69.1gを加え、120℃で3時間反応した。冷却後、400mlの水に反応混合物を加え、400mlのトルエンで2回抽出し、得られたトルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレータで溶媒を留去した。得られた残渣にメタノール450g、水70g、濃塩酸1.0gを加え、室温で一晩撹拌し、生成した沈殿を濾過し、メタノールでよく洗浄した後に乾燥させ、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン52gを得た。【0054】c.マレイミド系光配向膜用材料の合成撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、合成例1のaで得たマレイミド酢酸8.8g、合成例1のbで得た4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン6.1g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.4g、ヒドロキノン20mg及びトルエン150mlを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応混合物を熱時濾過し、得られた固体をメタノールでよく洗浄し、乾燥させることにより式(4)【0055】【化9】で表わされる2官能マレイミド系光配向膜用材料8.6gを得た。【0056】1H−NMR(300MHz、(CD3)2SO)δ=4.37〜4.50(m、12H)、7.03〜7.15(m、8H)、7.65〜7.76(d、4H)【0057】[合成例2]ベンゾフェノン構造を有しないマレイミド誘導体の合成撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、合成例1のaで得たマレイミド酢酸8.8g、数平均分子量400のポリプロピレングリコール5.0g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.4g、ヒドロキノン20mg及びトルエン150mlを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応混合物を希水酸化ナトリウム溶液で2回、次いで純水で3回洗浄し、トルエンを留去して式(5)【0058】【化10】で表わされる2官能マレイミド誘導体7.7gを得た。【0059】[合成例3]シンナモイル基を有するマレイミド誘導体の合成a.4−(2−ヒドロキシエトキシ)シンナミックアシッド−2−ヒドロキシエチルエステルの合成容量500mlのオートクレーブに水酸化ナトリウム40.0g(1.0モル)のエタノール80ml、水100mlの混合溶液を仕込み、4−ヒドロキシケイ皮酸82.1g(0.5モル)を加えて溶解させた。氷冷しながらオキシラン132.2g(3.0モル)を加えて密閉し、80℃で6時間反応させた。水200mlを加えて希釈し、酢酸エチル100mlで2回抽出した。抽出液をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した後、酢酸エチルを減圧下留去、乾固し、ブタノールで再結晶して、4−(2−ヒドロキシエトキシ)シンナミックアシッド−2−ヒドロキシエチルエステル90.8g(72%)を得た。【0060】b.シンナモイル基を有するマレイミド誘導体の合成撹拌機、温度計、ディーンスターク分留器及び冷却管を備えた容量500ミリリットルの3つ口フラスコに、合成例1のaで得たマレイミド酢酸8.8g、合成例3のaで得た4−(2−ヒドロキシエトキシ)シンナミックアシッド−2−ヒドロキシエチルエステル5.1g、p−トルエンスルホン酸一水和物0.4g、ヒドロキノン20mg及びトルエン150mlを順次仕込み、減圧下、90℃に加熱して、溶媒を還流させて生成する水を除去しながら15時間反応させた。反応終了後、反応混合物を熱時濾過し、得られた固体をメタノールでよく洗浄し、乾燥させることにより式(6)【0061】【化11】で表わされる2官能マレイミド誘導体7.8gを得た。【0062】1H−NMR(300MHz、(CD3)2SO)δ=3.75〜4.47(m、12H)、6.84〜7.15(m、8H)、7.63〜8.18(m、6H)【0063】[比較合成例1]ベンゾフェノンを構造を有する2官能アクリレートの合成合成例1のc.マレイミド誘導体の合成において、マレイミド酢酸の代りにアクリル酸を用いて式(7)【0064】【化12】で表わされる2官能アクリレートを得た。【0065】[比較合成例2]主鎖にポリマレイミドを有し、側鎖にパラフルオロベンゾイルシンナモイル基を有する光配向膜用材料の合成a.ポリヒドロキシフェニルマレイミドの合成窒素が充填された3つ口丸底フラスコに、米国ポリサイエンス社(Polyscience co.,U.S.A.)の無水マレイン酸ポリマー5gとアミノフェノール3gをキシレン100mlに入れて常温で30分間攪拌し、さらにイソキノリン2.9gを入れ、徐々に昇温して150℃まで上げた後、反応中に生成した水を続けて除去しながら3時間程度反応を続けた。水が生成しなくなったことを確認して反応を終了し、温度を常温に下げた後、メタノール500mlに注いで生成物を沈殿させ、減圧濾過後100℃で真空乾燥してポリヒドロキシフェニルマレイミドを得た。【0066】b.パラフルオロベンゾイルシンナモイルクロライドの合成パラヒドロキシケイ皮酸16.42g(0.1モル)と水酸化ナトリウム8gを水100mlとジメチルスルホキシド(DMSO)100mlに溶解し、0℃で激しく攪拌しながら、パラフルオロベンゾイルクロライド15.86g(0.1モル)を徐々に滴下した。常温で約2時間反応した後、希塩酸でpH=6〜7に中和した。得られた固体状の中間体を濾過して水で完全に洗滌した。真空下で完全に乾燥させた後、エタノールの中で再結晶させてパラフルオロベンゾイルオキシケイ皮酸を収率90%で得た。これを塩化チオニル1.2当量と塩化メチレン約50mlを添加し、常温で透明な溶液が得られるまで反応させた。反応後、溶媒と塩化チオニルを真空下で除去し、完全に乾燥させてパラフルオロベンゾイルシンナモイルクロライドを得た。【0067】c.主鎖にポリマレイミドを有し、側鎖にパラフルオロベンゾイルシンナモイル基を有する光配向膜用材料の合成比較合成例2のa.で得られたポリヒドロキシフェニルマレイミド1.7gをN−メチルピロリドン(NMP)50mlに溶解した後、トリエチルアミン1.0gを入れて30分間攪拌した。反応温度を5℃に下げて激しく攪拌しながら前記の比較合成例2のb.で得られたパラフルオロベンゾイルシンナモイルクロライド2.13gをゆっくり滴下した。パラフルオロベンゾイルシンナモイルクロライドのすべてを滴下した後、1時間程度続けて攪拌し、反応を終了した。反応液を、水とメタノール各々200mlを混合したビーカーに注いで生成物を沈殿させ、その後続けて過量の水とメタノールで徹底的に洗滌した後、減圧濾過し真空乾燥させて、最終的に主鎖にポリマレイミドを有し、側鎖にパラフルオロベンゾイルシンナモイル基を有する光配向膜用材料を得た。【0068】以上の合成例及び比較合成例により得られた光配向膜用材料を用いて、光配向膜を作成し、物性評価を行った。光配向膜の作成方法及び物性評価方法は、下記の方法に従い行った。【0069】[光配向膜の作成方法]a.光配向材料溶液の調製合成例で得られたマレイミド誘導体を、N−メチルピロリドン/ブチルセロソルブ=1/1の混合溶媒に溶かして、不揮発分濃度5%溶液とし、これを0.1μmのフィルターでろ過し、光配向膜用材料溶液とした。【0070】b−1.光配向膜作成(熱硬化方法)上記a.の方法で得られた光配向膜用材料溶液を、スピンコーターにてITO電極付ガラス基板上に均一に塗布し、190℃、1時間で乾燥及び硬化を行った。次に、得られた塗膜表面に超高圧水銀ランプより、積算光量で30J/cm2の365nm付近の直線偏光した紫外光を照射し、光配向膜を作成した。【0071】b−2.光配向膜作成(光硬化方法)上記a.の方法で得られた光配向膜用材料溶液を、スピンコーターにてITO電極付ガラス基板上に均一に塗布し、100℃、15分乾燥したのち、塗膜表面に超高圧水銀ランプより、積算光量で2J/cm2の波長313nm付近の紫外光を照射した。次に、得られた塗膜表面に超高圧水銀ランプより、積算光量で30J/cm2の365nm付近の直線偏光した紫外光を照射し、光配向膜を作成した。【0072】c.液晶セルの作成上記b−1または2で得られた光配向膜基板の周囲に直径8μmのスチレンビーズを含んだエポキシ系接着剤を液晶注入口を残して塗布し、配向面が相対するように、かつ偏光光の方向が直交する向きに重ねあわせて圧着し、接着剤を150℃、90分かけて硬化させた。次いで、液晶注入口よりネマチック液晶(5CB)をアイソトロピック相で真空注入し充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。【0073】[光配向膜の評価方法]a.液晶配向性評価上記c.の方法で得られた液晶セルを、偏光方向が直交する2枚の偏光板の間に挟み、電極間に5Vの電圧を印加してON/OFFし、明暗をスイッチングさせることにより、液晶の配向性を評価した。【0074】b.電圧保持率の測定上記c.の方法で得られた液晶セルに、5Vの直流電圧を64マイクロ秒間印加し、つづいて16.6ミリ秒間開放した後の初期印加電圧に対する電圧の保持率を測定した。【0075】c.耐久性の測定この液晶セルを80℃にて1000時間保持した後の配向性を目視評価した。【0076】d.耐熱性の評価上記b−1又はb−2の方法で得られた光配向膜を、180℃で60分加熱した後、上記c.の方法で液晶セルを作成し、液晶配向性を目視評価した。【0077】[実施例1]合成例1で得られたマレイミド誘導体(4)から、上記光配向膜用材料溶液の調製方法に従い、光配向膜用材料溶液を調製し、次にb−1.の光配向膜の熱硬化作成方法に従い、光配向膜を作成した。得られた光配向膜を用いて液晶セルを作成し、上記評価方法に従い物性評価を行った。この結果、電圧保持率は99%、また、液晶配向性、耐久性、耐熱性共に良好であった。【0078】[実施例2]合成例1で得られたマレイミド誘導体(4)から、上記光配向膜用材料溶液の調製方法に従い、光配向膜用材料溶液を調製し、次にb−2.の光配向膜の光硬化作成方法に従い、光配向膜を作成した。得られた光配向膜を用いて液晶セルを作成し、上記評価方法に従い物性評価を行った。この結果、電圧保持率は99%、また、液晶配向性、耐久性、耐熱性共に良好であった。【0079】[実施例3]合成例1で得られたマレイミド誘導体(4)を、合成例1で得られたマレイミド誘導体(4)及び合成例2で得られたマレイミド誘導体(5)の重量比1/1混合物とした他は、実施例1と同様にして、評価を行った。この結果、電圧保持率は99%と良好で、また、液晶配向性、耐久性、耐熱性共に良好であった。【0080】[実施例4]合成例1で得られたマレイミド誘導体(4)を、合成例3で得られたマレイミド誘導体(6)に代えた他は、実施例1と同様にして、評価を行った。この結果、電圧保持率は99%と良好で、また、液晶配向性、耐久性、耐熱性共に良好であった。【0081】[比較例1]合成例1で得られたマレイミド誘導体(4)を、比較合成例1で合成したアクリル酸誘導体(7)及びそれに対して2,2‘−アゾビスイソブチロニトリルを0.1%加えたものに代えた他は、実施例1と同様にして、評価を行った。この結果、液晶配向性、耐久性、耐熱性は良好であったが、電圧保持率は89%と低かった。【0082】[比較例2]合成例1で得られたマレイミド誘導体(4)を、比較合成例2で合成した主鎖にポリマレイミドを有し、側鎖にパラフルオロベンゾイルシンナモイル基を有する光配向膜用材料に代えた他は、実施例1と同様にして、評価を行った。この結果、電圧保持率は98%と良好で、また液晶配向性も良好であったが、耐久性あるいは耐熱性試験後は、明暗のスイッチングが不明瞭であり、配向性が低下していた。【0083】【発明の効果】本発明のマレイミド誘導体よりなる光配向膜用材料を用いることにより、良好な液晶表示素子特性、例えば電圧保持率を有し、かつ良好な配向安定性と光や熱に対する十分な耐久性を有する光配向膜を得ることができる。 1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体を含有し、前記マレイミド基を有する重合性単量体が一般式(1)(式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基、を表わす。R2はポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、ヘミチオインジゴ基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基及びクマリン基からなる群から選ばれる光配向性基を表わし、R3及びR4は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わし、nは、2〜4の整数を表わす。)で表わされる化合物である光配向膜用材料。 1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体の重合体を含有し、前記光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と前記重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有し、前記マレイミド基を有する重合性単量体が一般式(1)(式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基を表わす。R2はポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、ヘミチオインジゴ基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基及びクマリン基からなる群から選ばれる光配向性基を表わし、R3及びR4は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わす。)で表わされる化合物である光配向膜。 1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体を基板上に塗布し、該塗膜に光照射することにより前記構造単位の光二量化反応と前記重合性マレイミド基の光重合反応を生起させて架橋された高分子膜を形成すると共に前記高分子膜に光配向機能を発現させることを特徴とし、前記マレイミド化合物が一般式(1)(式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基を表わす。R2はポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、ヘミチオインジゴ基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基及びクマリン基からなる群から選ばれる光配向性基を表わし、R3及びR4は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わす。)で表わされる化合物である光配向膜の製造方法。 1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体を基板上に塗布し、該塗膜を加熱することにより前記重合性マレイミド基の熱重合反応を生起させて架橋された高分子膜を形成し、前記高分子膜に光照射することにより前記構造単位の光二量化反応を生起させて前記高分子膜に光配向機能を発現させることを特徴とし、前記マレイミド化合物が一般式(1)(式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基を表わす。R2はポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、ヘミチオインジゴ基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基及びクマリン基からなる群から選ばれる光配向性基を表わし、R3及びR4は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わす。)で表わされる化合物である光配向膜の製造方法。 内側に配向膜を有する二枚の基板間に液晶を挟持した構造を有する液晶表示素子において、前記配向膜が1分子中に少なくとも1個の光二量化反応により光配向機能を発現する光配向性基と少なくとも2個の重合性マレイミド基を有する重合性単量体の重合体を含有し、前記光配向性基の光二量化により発現した光配向機能と前記重合性マレイミド基の重合により生じた架橋構造とを有する光配向膜であることを特徴とし、前記マレイミド化合物が一般式(1)(式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基を表わす。R2はポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、ヘミチオインジゴ基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基及びクマリン基からなる群から選ばれる光配向性基を表わし、R3及びR4は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わす。)で表わされる化合物である液晶表示素子。 一般式(1)(式中、R1は、炭素原子数1〜30のアルキレン基又は炭素原子数3〜12のシクロアルキレン基、あるいは、これらの基の2〜5個が単結合、エステル結合、エーテル結合又はウレタン結合で連結された基、を表わす。R2はポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、ヘミチオインジゴ基、ベンゾフェノン基、シンナモイル基、カルコン基及びクマリン基からなる群から選ばれる光配向性基を表わし、R3及びR4は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子を表わし、nは、2〜4の整数を表わす。)で表わされるマレイミド化合物。