タイトル: | 特許公報(B2)_第3級カルボン酸エステルの製造方法 |
出願番号: | 2001210301 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 67/02,C07C 69/24,C07B 61/00 |
安部 浩司 牛越 由浩 伊藤 晶和 JP 4470348 特許公報(B2) 20100312 2001210301 20010711 第3級カルボン酸エステルの製造方法 宇部興産株式会社 000000206 安部 浩司 牛越 由浩 伊藤 晶和 20100602 C07C 67/02 20060101AFI20100513BHJP C07C 69/24 20060101ALI20100513BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100513BHJP JPC07C67/02C07C69/24C07B61/00 300 C07C 67/02 C07C 69/24 特開平06−135892(JP,A) 特開昭61−200943(JP,A) 3 2003026631 20030129 8 20070206 安田 周史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、高純度第3級カルボン酸エステルの製造方法に関する。第3級カルボン酸エステルは、農薬、医薬、電子材料等の合成中間体や原体として、また溶剤として有用な化合物である。【0002】【従来の技術】従来の第3級カルボン酸エステルを合成する方法は、第3級カルボン酸とアルコールの酸触媒、および塩基触媒縮合によるエステル化反応が一般的であり、かつ安価である。しかしながら、上記反応は平衡反応であり、原料のカルボン酸とアルコールのどちらか一方、もしくは両方が反応系に残る。特に、ピバリン酸のエステル化反応において、ピバリン酸の沸点は163〜164℃であり、ピバリン酸ブチルの沸点は165℃ときわめて近く、分離が困難である。そのため、水を加えて抽出処理、もしくは蒸留精製等煩雑な手間が必要となり、特に水分を含まないカルボン酸エステルの製造を目的とする場合、後処理で水を取り除くのに多大な手間を必要とする。また、第3級カルボン酸は、酸性度が小さいため、水洗によって完全に除去することは困難である。さらに、蒸留において、原料アルコールと生成物である第3級カルボン酸エステルとは共沸しやすい場合が多く、目的とする第3級カルボン酸エステルから、原料の第3級カルボン酸、アルコールを完全に分離精製することは難しい。例えば、ピバリン酸とn−ヘキサノールのエステル化反応において、ピバリン酸n−ヘキシルは、n−ヘキサノールと共沸し、ピバリン酸n−ヘキシル中の微量のn−ヘキサノールを除去することが困難になる。【0003】一方、第3級カルボン酸エステルとアルコールとを金属アルコラート存在下に反応させて、目的とする第3級カルボン酸エステルを合成する方法もあるが、この場合にも生成物である第3級エステルと原料アルコールとが共沸しやすい場合が多く、前記した場合と同様に、特に原料のアルコールを完全に分離することが困難であり、目的とする第3級カルボン酸エステルを高純度で得ることは難しい。【0004】また、カルボン酸とアルコールから、一方の成分を過剰に用いることなく効率良くエステルを合成する方法として、アルコールに第3級カルボン酸塩化物を反応させる方法がある。しかし、この酸塩化物は微量の水分によりカルボン酸と塩化水素に分解されるために、前記と同様に原料の第3級カルボン酸、アルコールを完全に分離精製することは難しく、高純度の第3級カルボン酸エステルを合成することは望めない。【0005】さらに、カルボン酸とアルコールを等モル量用い、効率良くエステルを合成する手法として、トリフルオロ酢酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド、トリフェニルホスフィン等の脱水剤を等モル量以上の過剰に使用する方法が知られている(Comprehensive Organic Transformations;VCH:New York,1989,pp980−981)。しかしながら、これらの脱水剤は高価で入手し難く、工業的製法としては適さない。【0006】【発明が解決しようとする課題】上述したように、第3級カルボン酸エステルは医農薬の合成中間体・原体や、電子材料として有用な化合物であり、不純物、特にカルボン酸、アルコール等の混入は品質の低下につながるため、できるだけこれらの不純物を含まない第3級カルボン酸エステルの提供が望まれている。本発明の目的は、前記のようなカルボン酸、アルコール等の不純物の混入する課題を解決し、原料に二種類のカルボン酸エステルを使用し、触媒を用いたエステル交換反応より、製造、及び後処理、分離精製が容易で、かつ工業的に安価に、高収率で目的とする高純度ピバリン酸エステルを製造することのできる方法を提供するものである。【0007】【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式(I)、【0008】【化5】【0009】(式中、R1、R2、R3およびXは、それぞれメチル基を示す。)で表されるピバリン酸メチルおよび下記一般式(II)、【0010】【化6】【0011】(式中、R5は、メチル基を示し、R4は炭素数2〜20のアルキル基を示す。)で表される酢酸エステルとのエステル交換反応によって下記一般式(III)、【0012】【化7】【0013】(式中、R1、R2、R3は、それぞれメチル基を示し、R4は炭素数2〜20のアルキル基を示す。)で表されるピバリン酸エステルを製造するに際し、ピバリン酸メチルおよび上記一般式(II)の酢酸エステルを触媒中、エステル交換反応させることを特徴とするピバリン酸エステルの製造方法に関する。【0016】本発明の一般式(II)で表されるカルボン酸エステルにおいて、R4はエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコサデシル基等の炭素数2〜20のアルキル基が好ましい。アルキル基はiso−プロピル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、iso−ヘキシル基、iso−ヘプチル、iso−オクチル基、2−エチルヘキシル基、iso−ノニル基、iso−デシル基、iso−ドデシル基、iso−オクタデシル基等の分枝アルキル基でもよい。【0017】本発明の一般式(II)で表される酢酸エステルの具体例としては、例えば酢酸エチル〔R4=エチル基〕、酢酸プロピル〔R4=n−プロピル基〕、酢酸iso−プロピル〔R4=iso−プロピル基〕、酢酸ブチル〔R4=n−ブチル基〕、酢酸iso−ブチル〔R4=iso−ブチル基〕、酢酸tert−ブチル〔R4=tert−ブチル基〕、酢酸ペンチル〔R4=n−ペンチル基〕、酢酸iso−ペンチル〔R4=iso−ペンチル基〕、酢酸tert−ペンチル〔R4=tert−ペンチル基〕、酢酸ヘキシル〔R4=n−ヘキシル基〕、酢酸iso−ヘキシル〔R4=iso−ヘキシル基〕酢酸tert−ヘキシル〔R4=tert−ヘキシル基〕、酢酸ヘプチル〔R4=n−ヘプチル基〕、酢酸iso−ヘプチル〔R4=iso−ヘプチル基〕、酢酸オクチル〔R4=n−オクチル基〕、酢酸iso−オクチル〔R4=iso−オクチル基〕、酢酸ノニル〔R4=n−ノニル基〕、酢酸iso−ノニル〔R4=iso−ノニル基〕、酢酸デシル〔R4=n−デシル基〕、酢酸iso−デシル〔R4=iso−デシル基〕、酢酸ウンデシル〔R4=n−ウンデシル基〕、酢酸ドデシル〔R4=n−ドデシル基〕、酢酸オクタデシル〔R4=n−オクタデシル基〕などが挙げられる。なお、これらの化合物はほんの一例にすぎず、本発明のカルボン酸エステルは、様々な構造が可能である。【0018】本発明の一般式(III)で表されるピバリン酸エステルにおいて、R4は炭素数2〜20の炭化水素基を示す。一般式(III)で表されるピバリン酸エステルの具体例としては、例えばピバリン酸エチル〔R4=エチル基〕、ピバリン酸プロピル〔R4=n−プロピル基〕、ピバリン酸iso−プロピル〔R4=iso−プロピル基〕、ピバリン酸ブチル〔R4=n−ブチル基〕、ピバリン酸iso−ブチル〔R4=iso−ブチル基〕、ピバリン酸tert−ブチル〔R4=tert−ブチル基〕、ピバリン酸ペンチル〔R4=n−ペンチル基〕、ピバリン酸iso−ペンチル〔R4=iso−ペンチル基〕、ピバリン酸tert−ペンチル〔R4=tert−ペンチル基〕、ピバリン酸ヘキシル〔R4=n−ヘキシル基〕、ピバリン酸iso−ヘキシル〔R4=iso−ヘキシル基〕、ピバリン酸tert−ヘキシル〔R4=tert−ヘキシル基〕、ピバリン酸ヘプチル〔R4=n−ヘプチル基〕、ピバリン酸iso−ヘプチル〔R4=iso−ヘプチル基〕、ピバリン酸オクチル〔R4=n−オクチル基〕、ピバリン酸iso−オクチル〔R4=iso−オクチル基〕、ピバリン酸ノニル〔R4=n−ノニル基〕、ピバリン酸iso−ノニル〔R4=iso−ノニル基〕、ピバリン酸デシル〔R4=n−デシル基〕、ピバリン酸iso−デシル〔R4=iso−デシル基〕、ピバリン酸ウンデシル〔R4=n−ウンデシル基〕、ピバリン酸ドデシル〔R4=n−ドデシル基〕、ピバリン酸オクタデシル〔R4=n−オクタデシル基〕などが挙げられる。なお、これらの化合物はほんの一例にすぎず、本発明で合成可能なピバリン酸エステルは、様々な構造が可能である。前記一般式(III)として、R4が炭素数3〜12までの炭化水素基を示す場合は、通常のカルボン酸とアルコールを原料に用いたエステル化と比べて、カルボン酸やアルコールと前記一般式(III)との分離が容易なので有利である。特に、R4が炭素数3〜6までの炭化水素基を示す場合は更に有利となる。【0019】本発明において、前記一般式(III)と共に下記一般式(IV)で表されるカルボン酸エステルが副生する。【0020】【化8】【0021】(式中、R5は、メチル基を示し、Xはメチル基を示す。)【0022】一般式(IV)で表されるカルボン酸エステルの具体例としては、例えば酢酸メチル〔R4=メチル基〕(沸点57.5℃)、酢酸エチル〔R4=エチル基〕(沸点77℃)が挙げられる。平衡をずらすために、一般式(III)の第3級カルボン酸エステルの沸点より、一般式(IV)のカルボン酸エステルの沸点の方が低く、先に一般式(IV)のカルボン酸エステルを留去させると、よりスムーズに反応が進行する利点がある。【0023】エステル交換反応の原料である前記一般式(I)と前記一般式(II)のモル比は、1:2〜2:1が好ましく、特に、極力1:1に近い方が好ましい。通常のエステル化反応は、生成系へ平衡をずらすために、アルコールを過剰に用いる。そのため、反応容器が大きくしたり、蒸留留去に時間がかかるなど、生産効率が著しく低下する問題を有する。しかしながら、本発明によると、共沸無く副生する前記一般式(IV)を留去できるので、反応容器は最小限に小さくでき、蒸留に無駄な時間を要しない利点がある。【0024】本発明で使用される触媒は、金属アルコラート、金属水素化物、鉱酸、アリールスルホン酸、ルイス酸等各種触媒が適用可能である。特に有効な触媒として、ナトリウムメチラート、ナトリムエチラート、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコラート;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;硫酸、塩酸等の鉱酸;ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸;トリブロモホウ素、トリフルオロホウ素等のハロゲン化ホウ素、テトラiso−プロポキシチタン等のルイス酸が挙げられる。【0025】触媒の量は、二種類のカルボン酸エステルの合計量に対し、0.1mol%以上使用することが望ましく、特に0.5〜30mol%の範囲で使用することが望ましい。【0026】エステル交換反応は液層で進行する。その際、原料のカルボン酸エステルが溶媒の役割を果たすので、他の溶媒を特に使用する必要はなく、反応容器が大きくなる点、並びに後処理の容易性の観点から用いない方が好ましいが、原料および生成物と反応しない有機溶媒であれば、いずれを使用しても差し支えない。その一例として、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジグリム、トリグリムなどのエーテル類;n−ヘプタン、iso−ヘプタン、n−オクタン、iso−オクタン、n−ノナン、iso−ノナン、n−デカン、iso−デカンなどの直鎖、あるいは分枝状脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロドデカン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、(o,m,p−)キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素;1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;3−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類などが挙げられる。これら有機溶媒は単独で用いても良いし、混合して用いても差し支えない。【0027】本発明における反応温度は特に制限されないが、通常20〜250℃の間で反応させる。反応速度の観点から、好ましくは60〜250℃の範囲である。反応時間は1分〜6時間、好ましくは10分〜2時間の範囲で行われる。反応圧力は、通常、0.1〜50気圧、好ましくは0.5〜5気圧である。【0028】前記一般式(III)を得る方法としては蒸留が好ましい。蒸留は、反応しながら前記一般式(IV)を留去させて、そのまま蒸留しても良いし、反応後、触媒を不活性化処理した後に蒸留を行っても良い。蒸留条件は、還流比率0.01〜10が好ましく、更に好ましくは0.1〜3である。理論段数は0〜60段が好ましく、更に好ましくは5〜30段である。蒸留は常圧蒸留、減圧蒸留、加圧蒸留等の公知の手段を用いることができ、特に限定されるものではない。【0029】蒸留は、最初に前記一般式(IV)が留去され、次に前記一般式(I)や(II)が留去され、最後に、目的物の前記一般式(III)で表される第3級カルボン酸エステルが得られるので、前記一般式(I)や(II)の原料カルボン酸エステル中に、微量のアルコールが混入している場合でも、前記一般式(I)、(II)、(IV)の留去中に除去することが可能になった。【0030】本発明により得られる目的物の上記一般式(III)で表される第3級カルボン酸エステルのガスクロマトグラフィーによる純度は99.9%以上の高純度品であり、ピバリン酸またはアルコールは全く検出されなかった。特に、本発明によれば、カルボン酸とアルコールの副生が実質的に起こらないため、高純度で目的の第3級カルボン酸エステルを収率良く得ることができ、しかも、未反応の原料カルボン酸エステルは回収し、再利用することが可能である特徴がある。【0031】【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、その趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。【0032】実施例1300mL反応容器に、酢酸n−ヘキシル(144g、1mol)、ピバリン酸メチル(116g、1mol)、ナトリウムメチラート(粉末,1.08g、20mmol)を加え、理論段数10段の蒸留装置を組み、全還流、常圧にて、115℃中で30分間加熱還流した。次に、常圧のまま、還流比率1にして酢酸メチルを留出させながら反応を進めた。酢酸メチルが留出しなくなったら、還流比率1のまま、25mmHgの減圧蒸留にてピバリン酸メチル、酢酸n−ヘキシルを除去した。続いて、目的のピバリン酸n−ヘキシル(留出温度:93℃/16mmHg)の蒸留精製を行い、151.1g(収率81%)取得した。ガスクロマトグラフィーによるピバリン酸n−ヘキシルの純度は99.9%以上であり、ピバリン酸や、n−ヘキサノールは全く検出されなかった。【0033】実施例2300mL反応容器に、1%n−ヘキサノールを含有する酢酸n−ヘキシル(144g、1mol)、ピバリン酸メチル(116g、1mol)、ナトリウムメチラート(粉末,1.08g、20mmol)を加え、理論段数10段の蒸留装置を組み、全還流、常圧にて、115℃中で30分間加熱還流した。次に、常圧のまま、還流比率1にして酢酸メチルを留出させながら反応を進めた。酢酸メチルが留出しなくなったら、還流比率1のまま、25mmHgの減圧蒸留にてピバリン酸メチル、酢酸n−ヘキシルを除去した。続いて、目的のピバリン酸n−ヘキシル(留出温度:93℃/16mmHg)の蒸留精製を行い、150.3g(収率81%)取得した。ガスクロマトグラフィーによるピバリン酸n−ヘキシルの純度は99.9%以上であり、ピバリン酸や、n−ヘキサノールは全く検出されなかった。【0034】実施例31L反応容器に酢酸n−ブチル(302g、2.6mol)、ピバリン酸メチル(302g、2.6mol)、ナトリウムメチラート(粉末,2.70g、52mmol)を加え、理論段数10段の蒸留装置を組み、全還流、常圧にて、90℃中で30分間加熱還流した。次に、常圧のまま、還流比率1にして酢酸メチルを留出させながら反応を進めた。酢酸メチルが留出しなくなったら、還流比率1のまま、90mmHgの減圧蒸留にてピバリン酸メチル、酢酸n−ブチルを除去した。続いて、目的のピバリン酸n−ブチル(留出温度:94℃/90mmHg)の蒸留精製を行い、330.4g(収率80%)取得した。ガスクロマトグラフィーによるピバリン酸n−ブチルの純度は99.9%以上であり、ピバリン酸や、n−ブタノールは全く検出されなかった。【0035】比較例11L反応容器にピバリン酸(202g、2mol)、n−ブタノール(593mg、4mol)、硫酸(10g、5mol%)を加え、Dean−Starkを装備し、脱水しながら9時間還流を行った。反応液を冷却後、15wt%のNaOH水溶液を500mL加え、室温で攪拌し、有機層を飽和食塩水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで減圧蒸留(94℃/90mmHg)により反応粗生成物から目的のピバリン酸ブチルが231.1g(収率73%)得られたが、ガスクロマトグラフィーによる純度測定の結果は89%であり、ピバリン酸ブチル中にピバリン酸が9%とn−ブタノールが2%混入していた。【0036】比較例2300mL反応容器にピバリン酸メチル(116g、1mol)、n−ブタノール(74g、1mol)、ナトリウムメチラート(1.08g、20mmol)を加え、実施例1と同様に反応を行った。減圧蒸留より、ピバリン酸ブチルが124g(収率78%)得られた。ガスクロマトグラフィーによる純度測定の結果は99.5%であり、0.4%のブタノールが混入していた。【0037】【発明の効果】本発明によると、二種類のカルボン酸エステルのエステル交換反応により、高い収率で第3級カルボン酸エステルを合成することができる。また、本発明によれば、安価に、かつ工業的に優れたプロセスにより、従来の合成法では達成し得なかった、カルボン酸、アルコール含まない高純度の第3級アルコールを提供することができる。 ピバリン酸メチルおよび下記一般式(II)、(式中、R4は炭素数2〜20のアルキル基を示す。)で表される酢酸エステルとのエステル交換反応によって下記一般式(III)、(式中、R4は炭素数2〜20のアルキル基を示す。)で表されるピバリン酸エステルを製造するに際し、ピバリン酸メチルおよび上記一般式(II)の酢酸エステルを金属アルコラート、金属水素化物、鉱酸、アリールスルホン酸およびルイス酸から選ばれる少なくとも1種の触媒存在下、エステル交換反応させることを特徴とするピバリン酸エステルの製造方法。 前記触媒の量が二種類のカルボン酸エステルの合計量に対して、0.1mol%以上である請求項1記載のピバリン酸エステルの製造方法。 前記触媒が、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートおよびカリウムtert−ブトキシドから選ばれる金属アルコラートである請求項1記載のピバリン酸エステルの製造方法。