タイトル: | 特許公報(B2)_脂溶性物質の可溶化液剤 |
出願番号: | 2001204280 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 31/355,A61K 9/08,A61K 47/10,A61K 47/14,A61K 47/34,A61K 47/44,A61P 3/02 |
鈴木 徹 江間 起一 高野 昭子 佐村 一久 JP 4117119 特許公報(B2) 20080425 2001204280 20010705 脂溶性物質の可溶化液剤 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 506137147 古谷 聡 100087642 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 義経 和昌 100098408 日光ケミカルズ株式会社 000226437 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 古谷 聡 100087642 持田 信二 100091845 義経 和昌 100098408 鈴木 徹 江間 起一 高野 昭子 佐村 一久 JP 2000203394 20000705 20080716 A61K 31/355 20060101AFI20080626BHJP A61K 9/08 20060101ALI20080626BHJP A61K 47/10 20060101ALI20080626BHJP A61K 47/14 20060101ALI20080626BHJP A61K 47/34 20060101ALI20080626BHJP A61K 47/44 20060101ALI20080626BHJP A61P 3/02 20060101ALI20080626BHJP JPA61K31/355A61K9/08A61K47/10A61K47/14A61K47/34A61K47/44A61P3/02 109 A61K 31/355 A61K 9/08 A61K 47/10 A61K 47/14 A61K 47/34 A61K 47/44 A61P 3/02 特開昭61−005011(JP,A) 特開平04−300830(JP,A) 特開昭62−106018(JP,A) 特開昭51−095123(JP,A) 特開平02−108621(JP,A) 特開平05−186343(JP,A) 8 2002080365 20020319 15 20071130 岩下 直人 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、脂溶性物質を含有する、味質と服用感に優れ、且つ、安定性に優れた透明性の高い可溶化液剤およびその製造方法に関する。【0002】【従来の技術】一般に脂溶性物質は水に対して難溶性であり、脂溶性物質を内服液剤や水性注射剤等の可溶化液剤とするために、種々の試みがなされている。【0003】例えば、特公平4ー7722号には、脂溶性物質のビタミンEを用いて、(A)ビタミンE、(B)ビタミンEに対し100〜500重量%の硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン誘導体、及び(C)ビタミンEに対し10〜50重量%のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれた1種又は2種以上の安定剤を含有する安定なビタミンEの可溶化液が開示されている。【0004】しかし、このビタミンE可溶化液は、特にビタミンEに対し100〜500重量%の硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン誘導体を添加するという極めて多量の界面活性剤(硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン誘導体)を必要とする為、製造コストや消費者の添加剤摂取量の少量志向等の観点から、望ましいとは言い難い。また、該可溶化液は、透明性は優れているものの、硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン誘導体に由来する不快な味が強く感じられ、内服液剤としての味質と服用感は良好ではない。【0005】【発明が解決しようとする課題】脂溶性物質を含有する可溶化液剤において、安定性に優れ、透明性が高く、且つ、味質と服用感に優れる可溶化液剤、特にドリンク剤等の内服水溶性液剤の開発が求められている。また、ドリンク剤は、滋養強壮剤として服用されることが多い為、脂溶性物質として、脂溶性ビタミン、特にビタミンE類、ビタミンA類、ビタミンD類及び/又はビタミンK類を含有する不快な味を有さない可溶化液剤が要望されている。【0006】【課題を解決するための手段】本発明は、脂溶性物質と、(1)脂溶性物質に対して50重量%以上100重量%未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(2)脂溶性物質に対して5〜100重量%のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上と、(3)可溶化液剤全量に対して10〜80重量%の多価アルコールとを含有してなる、脂溶性物質の可溶化液剤及びその製造方法、並びにこの可溶化液剤を、精製水、緩衝液又は水性液剤で希釈してなる、脂溶性物質を0.01〜0.3重量%含有する可溶化液剤希釈液である。【0007】【発明の実施の形態】本発明の可溶化液剤において、(1)のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンヒマシ油としては、エチレンオキサイド平均付加モル数40〜60のものが好ましい。このポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンヒマシ油の配合量は、十分な透明性と、優れた味質や服用感を得るために、脂溶性物質に対し50重量%以上100重量%未満であり、好ましくは70重量%以上100重量%未満であり、さらに好ましくは80重量%以上100重量%未満である。【0008】また、本発明の可溶化液剤において、(2)の脂肪酸エステル類としては、炭素数14〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のエステルが好ましく、部分エステルでも、完全にエステル化したものでもよい。またポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン縮合度は2〜10が好ましく、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド平均付加モル数は6〜40が好ましい。またポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は12〜22が好ましく、エチレンオキサイドの平均付加モル数は6〜40が好ましい。【0009】これら(2)成分の配合量は、十分な透明性と、優れた味質や服用感を得る観点から、脂溶性物質に対して5〜100重量%であり、好ましくは10〜50重量%である。【0010】本発明に係る脂溶性物質は、特に限定されず、例えば、ビタミンE類、ビタミンA類、βーカロチン、ビタミンD類及び/又はビタミンK類等の脂溶性ビタミン、クロタミトン、テプレノン、インドメタシン、プレドニゾロン、タンニン酸等が挙げられるが、好ましくは、ビタミンE類、ビタミンA類、ビタミンD類及び/又はビタミンK類であり、さらに好ましくは、ビタミンE類である。【0011】ビタミンE類としては、例えば、dl―α―トコフェロール、d―α―トコフェロール、酢酸dl―α―トコフェロール、酢酸d―α―トコフェロール、コハク酸dl―α―トコフェロール、コハク酸d―α―トコフェロール、ニコチン酸dl―α―トコフェロール、ニコチン酸d―α―トコフェロール、dl―β―トコフェロール、d―β―トコフェロール、酢酸dl―β―トコフェロール、酢酸d―β―トコフェロール、コハク酸dl―β―トコフェロール、コハク酸d―β―トコフェロール、ニコチン酸dl―β―トコフェロール、ニコチン酸d―β―トコフェロール、dl―γ―トコフェロール、d―γ―トコフェロール、酢酸dl―γ―トコフェロール、酢酸d―γ―トコフェロール、コハク酸dl―γ―トコフェロール、コハク酸d―γ―トコフェロール、ニコチン酸dl―γ―トコフェロール、ニコチン酸d―γ―トコフェロール、dl―δ―トコフェロール、d―δ―トコフェロール、酢酸dl―δ―トコフェロール、酢酸d―δ―トコフェロール、コハク酸dl―δ―トコフェロール、コハク酸d―δ―トコフェロール、ニコチン酸dl―δ―トコフェロール、ニコチン酸d―δ―トコフェロール、トコトリエノール等が挙げられ、酢酸d―α―トコフェロールが好ましい。ビタミンD類としては、例えば、ビタミンD1、ビタミンD2、ビタミンD3が、ビタミンK類としては、ビタミンK1、ビタミンK2、ビタミンK3、ビタミンK4等が挙げられる。【0012】本発明に係る可溶化液剤中の脂溶性物質の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、可溶化液剤全量に対して3〜15重量%である。【0013】本発明に係る多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレグリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等が挙げられる。多価アルコールの配合量は、十分な透明性の確保、及び脂溶性物質や(1)及び(2)成分の至適配合量の確保の観点から、可溶化液剤全量に対して10〜80重量%であり、好ましくは30〜80重量%である。【0014】本発明に係る可溶化液剤は、精製水の配合の有無にかかわらず製造可能である。精製水の配合により可溶化液剤の粘度が低下する為、精製水を加えることにより、可溶化液剤の製造時の作業性は良好となる。【0015】本発明に係る脂溶性物質の可溶化液剤は、1)ドリンク剤、液剤、シロップ剤、含漱剤、洗口液等の内服の医薬品・医薬部外品、2)エリキシル剤、ローション剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、経膣剤、経腸剤等の外用の医薬品・医薬部外品や、化粧品配合剤、又は、3)通常の賦形剤を加えて、錠剤、チュアブル剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形製剤として使用することができる。【0016】本発明に係る脂溶性物質の可溶化液剤は、そのまま服用しても良いが、特にドリンク剤等の内服液剤として使用する場合には、さらに、精製水、緩衝液又はドリンク剤等の水性液剤で任意の濃度に希釈して可溶化液剤希釈液として用いることができる。可溶化液剤希釈液中の脂溶性物質の濃度は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.3重量%である。【0017】本発明に係る可溶化液剤を製造するには、上記各成分を混合して、各成分を含有する混合物を調製すればよいが、各成分を含有する混合物を更に高圧処理してもよい。【0018】したがって、本発明は、脂溶性物質に、(1)脂溶性物質に対して50重量%以上100重量%未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、(2)脂溶性物質に対して5〜100重量%のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上を配合し、更に、(3)可溶化液剤全量に対して10〜80重量%の多価アルコールを配合するか、あるいは配合した混合物を、高圧処理することを特徴とする脂溶性物質の可溶化液剤の製造方法をも提供する。【0019】上記各成分を配合する際の温度は、60〜90℃が好ましく、70〜85℃が更に好ましい。また各成分を混合する際には、プロペラ式、アンカー式等の単純攪拌機、及び/又はホモジナイザー、ホモミキサー等の高剪断乳化機等を用いることができる。【0020】高圧処理は、通常、高圧ホモジナイザー、高速加圧乳化機等を使用して行なう。高圧処理時の液剤温度は、通常は常温から約90℃であり、好ましくは60〜80℃である。また、高圧処理時の圧力は特に限定されないが、通常は100〜5000kg/cm2(9807〜490350kPa)であり、好ましくは150〜2000kg/cm2(19614〜196140kPa)であり、さらに好ましくは200〜1800kg/cm2(29421〜17656kPa)である。【0021】本発明に係る脂溶性物質の可溶化液剤は、安定性に優れた透明性の高い液剤である。特に、界面活性剤のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び/又はポリオキシエチレンヒマシ油の添加量が、脂溶性物質に対して50重量%以上100重量%未満という極めて少量で、透明性の高い液剤が得られるという驚くべき特徴を有している。また、本発明に係る脂溶性物質の可溶化液剤は、内服服用時における不快な味をほとんど感じることなく、味質と服用感に極めて優れるという、際立った特性を有している。【0022】脂溶性物質の可溶化液剤に関する従来技術では、十分な透明性を有する透過率の高い液剤を得る為に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤を多量に配合せざるを得ず、またその配合量が多い為に該界面活性剤に由来する不快な味質及び服用感を強く感じるという問題があった。本発明に係る脂溶性物質の可溶化液剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤の配合量を特定の範囲幅まで減らすことにより、上記問題を解決し、透過率90%以上の十分な液剤透明性と良好な味質・服用感の両立という驚くべき効果を達成したものである。【0023】したがって、本発明に係る脂溶性物質の可溶化液剤、及び可溶化液剤を精製水、緩衝液又は水性液剤で希釈した可溶化液剤希釈液は、ドリンク剤、液剤、シロップ剤、含漱剤、洗口液等の内服の医薬品・医薬部外品に使用する場合に、特に有用である。【0024】本発明に係る脂溶性物質の可溶化液剤及び可溶化液剤希釈液は、例えば、次の方法により製造することができる。【0025】例えば、酢酸d−α−トコフェロール100g、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油85g、ポリグリセリン脂肪酸エステル30g、グリセリン635g及び精製水150gを入れて混合し、約70℃に加温しながら、ホモミキサーで10000 rpm×5分間撹拌混合して、均一な水性液剤を調製することにより、酢酸d−α−トコフェロールの可溶化液剤を製造することができる。また、さらにこの水性液剤を高圧ホモジナイザーを使用して、1000kg/cm2(98070kPa)で高圧処理を行い、酢酸d−α−トコフェロールの可溶化液剤を製造することもできる。また、これらの可溶化液剤1gに、pH3に調整した緩衝液を加えて希釈することにより、酢酸d−α−トコフェロールを0.1重量%含有する可溶化液剤希釈液を製造することができる。【0026】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0027】実施例1〜実施例8脂溶性物質として、酢酸d−α−トコフェロールを用い、表1に示した処方で、各成分を混合し、約70℃に加温しながら、ホモミキサーで10000rpm×5分間撹拌混合して、均一な可溶化液剤を調製した。この水性液剤を高圧ホモジナイザーを使用して1000kg/cm2(98070kPa)で高圧処理を行い、酢酸d−α−トコフェロールの可溶化液剤を得た。【0028】得られた可溶化液剤に水を加えて、粒子数として100000〜1000000個/mLになるように希釈し、所定のセルに入れサブミクロン粒子測定装置(Coulter社製、MODEL N4 SD)を用いて平均粒子径(nm)を測定した。【0029】また、上記の高圧処理した可溶化液剤1gに、市販品ドリンク剤(A)100mL(ニコチン酸アミド20mg、アミノエチルスルホン酸1g、硝酸チアミン5mg、リン酸リボフラビンナトリウム5mg、塩酸ピリドキシン5mg、塩酸カルニチン100mg、イノシトール50mg、無水カフェイン50mgを1瓶100mL中に含有)を加えて希釈し、酢酸d−α−トコフェロール含量100mgとなるように可溶化液剤希釈液を得た。【0030】比較例1脂溶性物質として、酢酸d−α−トコフェロールを用い、表1に示した処方(脂溶性物質に対して200重量%のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を添加)で、各成分を混合する以外は実施例1〜8と同様にして、酢酸d−α−トコフェロールの可溶化液剤、及び酢酸d−α−トコフェロール含量100mgとなるように可溶化液剤希釈液を得、同様に平均粒子径を測定した。【0031】実施例1〜8で得られた可溶化液剤希釈液を、比較例1で得られた可溶化液剤希釈液と比較して、物性評価を行なった。評価は、製造直後、70℃で1日及び7日の保存を行った後の640nmにおける透過率(%)を測定し、製造直後のそれぞれの可溶化液剤希釈液を口腔内に5秒間含んだ時の味質及び服用感を官能検査により、下記の基準で評価した。処方と各試験結果を表1に示した。【0032】<味質及び服用感の評価基準>○:味質及び服用感は良好である。△:やや、味質及び服用感に不快感を感じる。×:味質及び服用感に不快感を感じる。【0033】【表1】【0034】表1から明らかなように、実施例1〜8ではいずれも、「液剤の味質及び服用感は良好」であった。一方、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の配合比率が脂溶性物質に対して200重量%である比較例1では、「液剤の味質及び服用感に不快感」が感じられた。【0035】また可溶化液剤希釈液の640nmにおける透過率(%)は、表1に示したように、製造直後において、いずれの実施例も90%以上であり、良好な透明性を有しており、また、70℃で1日及び7日の保存を行っても透過率の顕著な低下は認められなかった。また、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンモノステアリン酸エステル)の配合比率による差はほとんどなく、若干、配合比率が大きいほど透過率は若干高くなる傾向が認められたが大きな差は認められなかった。尚、通常、液剤の透過率は90%以上であれば、外観上十分な透明性を有していると判断でき、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合比率が最も小さい実施例5(脂溶性物質に対して10重量%)でも、製造直後の透過率が92.3%、70℃で1日及び7日の保存後の透過率が、各々94.1%、91.9%で、外観上比較例1と同程度の透明性であったことから、良好な透明性を有していると言える。【0036】以上から、本発明により、脂溶性物質を含有する味質と服用感に優れ、且つ、安定性に優れた透明性の高い可溶化液剤が得られることは明白である。【0037】実施例9〜実施例13脂溶性物質として、酢酸d−α−トコフェロールを用い、表2に示した処方で、各成分を混合し、約70℃に加温しながら、ホモミキサーで10000rpm×5分間撹拌混合して、均一な可溶化液剤を調製した。この水性液剤を高圧ホモジナイザーを使用して300kg/cm2(29421kPa)で高圧処理を行い、酢酸d−α−トコフェロールの可溶化液剤を得た。得られた可溶化液剤の平均粒子径を実施例1〜8と同様に測定した。【0038】また、これらの高圧処理した可溶化液剤1gに、市販品ドリンク剤(A)100mL(ニコチン酸アミド20mg、アミノエチルスルホン酸1g、硝酸チアミン5mg、リン酸リボフラビンナトリウム5mg、塩酸ピリドキシン5mg、塩酸カルニチン100mg、イノシトール50mg、無水カフェイン50mgを1瓶100mL中に含有)を加えて希釈し、酢酸d−α−トコフェロール含量100mgとなるように可溶化液剤希釈液を得た。得られた可溶化液剤希釈液について、実施例1〜8と同様に透過率を測定し、味質及び服用感を官能検査した。処方と試験結果を表2に示した。【0039】【表2】【0040】表2から明らかなように、いずれの実施例も製造直後において、90%以上の透過率であり、良好な透明性を有しており、また、70℃で保存しても透過率の顕著な低下は認めなかった。さらに、味質及び服用感は良好であった。【0041】実施例14〜実施例16脂溶性物質として、酢酸d−α−トコフェロールを用い、表3に示した処方で、各成分を混合し、約70℃に加温しながら、ホモミキサーで10000rpm×5分間撹拌混合して、均一な可溶化液剤を調製した。この水性液剤を高圧ホモジナイザーを使用して、200kg/cm2(19614kPa)で高圧処理を行い、酢酸d−α−トコフェロールの可溶化液剤を得た。得られた可溶化液剤の平均粒子径を実施例1〜8と同様に測定した。【0042】また、これらの高圧処理した可溶化液剤1gに、市販品ドリンク剤(A)100mL(ニコチン酸アミド20mg、アミノエチルスルホン酸1g、硝酸チアミン5mg、リン酸リボフラビンナトリウム5mg、塩酸ピリドキシン5mg、塩酸カルニチン100mg、イノシトール50mg、無水カフェイン50mgを1瓶100mL中に含有)を加えて希釈し、酢酸d−α−トコフェロール含量120mg(実施例14)、150mg(実施例15〜実施例16)である可溶化液剤希釈液を得た。得られた可溶化液剤希釈液について、実施例1〜8と同様に透過率を測定し、味質及び服用感を官能検査した。処方と試験結果を表3に示した。【0043】【表3】【0044】表3から明らかなように、トコフェロールの濃度に関係なく、実施例14、15及び16の可溶化液剤希釈液の透過率は、製造直後において、いずれも90%以上であり良好な透明性を有しており、また、70℃で保存しても透過率の顕著な低下は認めなかった。さらに、味質及び服用感は良好であった。【0045】実施例17〜19脂溶性物質として、酢酸d−α−トコフェロールを用い、表4に示した処方で、各成分を約80℃に加温しながら、ホモミキサーで10000rpm×10分間撹拌混合して、均一な可溶化液剤を調製した。この水性液剤を高圧乳化機を使用して、9000 psiで高圧処理を行い、室温まで冷却して、酢酸d−α−トコフェロールの可溶化液剤を得た。さらに、実施例1〜8と同様に市販品ドリンク剤(A)を加えて希釈し、酢酸d−α−トコフェロール含量100mgとなるように可溶化液剤希釈液を得た。【0046】得られた可溶化液剤希釈液について、実施例1〜8と同様に透過率、平均粒子径を測定し、味質及び服用感を官能検査した。処方と試験結果を表4に示した。【0047】【表4】【0048】表4の結果から明らかなように、グリセリン濃度に関係なく、透過率90%以上の澄明な液体が得られた。また、この希釈液を70℃で7日間保存しても、透過率及び平均粒子径にほとんど変化は認められなかった。【0049】実施例20〜22脂溶性物質として、酢酸d−α−トコフェロールを用い、表5に示した処方で、各成分を単純撹拌機(90rpm)を用いて、85±5℃で製剤が澄明になるまで加温撹拌したのち、室温まで冷却し、可溶化液剤を得た。この液剤を5℃、45℃、−10℃/40℃(昇降時間12時間、各保温時間12時間の48時間サイクル)で2ヶ月保存、又は45℃で2ヶ月保存したのち、精製水を添加して酢酸d−α−トコフェロール含量100mgの可溶化液剤希釈液として、実施例1〜8と同様に透過率を測定した。その結果を表5に示す。この結果から、製造直後の初期値と同様に、保存後も透過率90%以上の澄明な液体を得ることができ、この可溶化液剤は保存性が良いことが確認された。【0050】また、この可溶化液剤を、前記市販品ドリンク剤(A)100mLまたは市販品ドリンク剤(B)100mL(タウリン1000mg、イノシトール50mg、ニコチン酸アミド20mg、ビタミンB1硝酸塩5mg、ビタミンB2リン酸エステル5mg、ビタミンB6 5mg、無水カフェイン50mgを1瓶100mL中に含有)に1本あたり酢酸d−α−トコフェロール100mgとなるように添加して可溶化液剤希釈液を得た。これらの希釈液について、実施例1〜8と同様に透過率を測定し、味質及び服用感を官能検査した。結果を表5に示した。この結果から、可溶化液剤を添加しない市販品と比較して、味質及び服用感に差は認められず、良好であった。また、希釈液を、70℃で1日及び7日保存後の透過率は、製造直後の透過率とほとんど変化せず、澄明な液体であった。【0051】【表5】【0052】実施例23表6に示す処方で、80重量%の精製水(約80℃)中に、メチルパラベン、安息香酸ナトリウムを溶解させた後、ポリエチレングリコール(PEG4000)、粉末還元麦芽糖水飴、グリセリンを投入撹拌し、室温まで冷却し澄明な液体を得た。さらに、L−アルギニン及びビタミンC誘導体、実施例21で調製した可溶化液剤及び精製水(残部)を添加して、均一な澄明な液体となるまで撹拌し、ビタミンE及びビタミンC含有ローション剤を得た。このローション剤は、透過率97.1%の澄明な液体であり、pH4.7であった。使用感は、べたつきは認められず、さっぱりとして良好であった。【0053】また、同様に実施例21の可溶化液剤を、0.5、3又は5%添加したローション剤を調製したところ、べたつきのない、さっぱりした使用感のローション剤であった。【0054】実施例24表6に示す処方で、80重量%の精製水(約80℃)中に、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、イプシロンアミノカプロン酸、グリセリンを溶解させた後、カルボキシビニルポリマーを徐々に添加し、撹拌し、均一な分散液を得た。この分散液を50℃付近まで冷却し、撹拌下、トリエタノールアミン水溶液(処方中5%の精製水)を添加し、澄明なゲル剤を得た。さらに、実施例21で調製した可溶化液剤及び精製水(残部)を添加し、均一になるまで撹拌し、ビタミンE含有ゲル剤を得た。このゲル剤は、べたつきのないさっぱりとした使用感であった。【0055】また、同様に実施例21の可溶化液剤を、0.5、3又は5%添加したゲル剤を調製したところ、濃度に依らず、べたつきは認められず、さっぱりとした使用感であった。【0056】【表6】【0057】実施例25〜26表7に示す処方で、80重量%の精製水(約80℃)中に、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、キサンタンガムを溶解させた後、PEG4000、キシリトール、グリセリンを投入撹拌し、室温まで冷却し澄明な液体を得た。さらに、L−アルギニン及びビタミンC誘導体、実施例21で調製した可溶化液剤を添加して、均一な澄明な液体となるまで撹拌し、ビタミンE及びビタミンC含有ローション剤を得た。これらのローション剤を、冷所で2ヶ月保存するか、実施例20〜22のサイクル試験と同様のサイクルで2ヶ月保存するか、あるいは45℃で2ヶ月保存し、その性状を評価した。その結果、初期pHに依存せず、安定であり、性状(澄明性、におい)に変化は認められなかった。使用感も、べたつきは認められず、良好であった。【0058】【表7】【0059】【発明の効果】本発明によると、脂溶性物質を含有する、味質と服用感に優れ、且つ、安定性に優れた透明性の高い可溶化液剤を提供することができる。 ビタミンE類と、(1)ビタミンE類に対して50重量%以上100重量%未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上と、(2)ビタミンE類に対して5〜100重量%のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上と、(3)可溶化液剤全量に対して10〜80重量%の多価アルコールとを含有してなる、内服の医薬品・医薬部外品用であるビタミンE類の可溶化液剤。 ビタミンE類の含有量が、可溶化液剤全量に対して3〜15重量%である請求項1記載のビタミンE類の可溶化液剤。 ビタミンE類が、dl―α―トコフェロール、d―α―トコフェロール、酢酸dl―α―トコフェロール、酢酸d―α―トコフェロール、コハク酸dl―α―トコフェロール、コハク酸d―α―トコフェロール、ニコチン酸dl―α―トコフェロール、ニコチン酸d―α―トコフェロール、dl―β―トコフェロール、d―β―トコフェロール、酢酸dl―β―トコフェロール、酢酸d―β―トコフェロール、コハク酸dl―β―トコフェロール、コハク酸d―β―トコフェロール、ニコチン酸dl―β―トコフェロール、ニコチン酸d―β―トコフェロール、dl―γ―トコフェロール、d―γ―トコフェロール、酢酸dl―γ―トコフェロール、酢酸d―γ―トコフェロール、コハク酸dl―γ―トコフェロール、コハク酸d―γ―トコフェロール、ニコチン酸dl―γ―トコフェロール、ニコチン酸d―γ―トコフェロール、dl―δ―トコフェロール、d―δ―トコフェロール、酢酸dl―δ―トコフェロール、酢酸d―δ―トコフェロール、コハク酸dl―δ―トコフェロール、コハク酸d―δ―トコフェロール、ニコチン酸dl―δ―トコフェロール、ニコチン酸d―δ―トコフェロール及びトコトリエノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のビタミンE類の可溶化液剤。 ビタミンE類が、酢酸d―α―トコフェロールである請求項1記載のビタミンE類の可溶化液剤。 請求項1〜4のいずれか一項に記載の可溶化液剤を、精製水、緩衝液又は水性液剤で希釈してなる、ビタミンE類を0.001〜0.5重量%含有する内服の医薬品・医薬部外品用可溶化液剤希釈液。 請求項1〜4のいずれか一項に記載の可溶化液剤を、精製水、緩衝液又は水性液剤で希釈してなる、ビタミンE類を0.01〜0.3重量%含有する内服の医薬品・医薬部外品用可溶化液剤希釈液。 ビタミンE類に、(1)ビタミンE類に対して50重量%以上100重量%未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、(2)ビタミンE類に対して5〜100重量%のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上を配合し、更に、(3)可溶化液剤全量に対して10〜80重量%の多価アルコールを配合することを特徴とする、内服の医薬品・医薬部外品用であるビタミンE類の可溶化液剤の製造方法。 ビタミンE類に、(1)ビタミンE類に対して50重量%以上100重量%未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンヒマシ油からなる群から選ばれる1種又は2種以上と、(2)ビタミンE類に対して5〜100重量%のポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選ばれる1種又は2種以上を配合し、更に、(3)可溶化液剤全量に対して10〜80重量%の多価アルコールを配合した混合物を、高圧処理することを特徴とする、内服の医薬品・医薬部外品用であるビタミンE類の可溶化液剤の製造方法。