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タイトル:特許公報(B2)_高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法
出願番号:2001199731
年次:2011
IPC分類:G01N 30/14,G01N 30/88


特許情報キャッシュ

鳥巣 純一 跡辺 仁志 星野 恭之 JP 4744017 特許公報(B2) 20110520 2001199731 20010629 高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法 昭和電工株式会社 000002004 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 吉田 維夫 100086276 古賀 哲次 100087413 永坂 友康 100111903 出野 知 100128495 柿沼 伸司 100118740 鳥巣 純一 跡辺 仁志 星野 恭之 20110810 G01N 30/14 20060101AFI20110721BHJP G01N 30/88 20060101ALI20110721BHJP JPG01N30/14 AG01N30/88 G G01N 30/14 G01N 30/88 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平07−287001(JP,A) 特開平04−009757(JP,A) 特開平02−162257(JP,A) 特開平11−012200(JP,A) 特開2001−007423(JP,A) 特表平05−502981(JP,A) Larned B.Asprey,The Preparation of Very Pure Fluorine Gas,Journal of Fluorine Chemistry,1976年,Vol.7,P.359-361 5 2003014716 20030115 11 20080228 河野 隆一朗 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はフッ素ガス(F2)中に含まれる微量不純物ガスの分析方法に関する。【0002】【従来の技術】商業ベースで供給されているフッ素ガスは一般的に1.5vol%程度の不純物を含んでいる。その不純物としては、N2、O2、CO2、CF4等のフルオロカーボン、SF6、SiF4、HF等のガスがほとんどであり、フッ素化合物の合成を目的としてこれらの不純物を含むフッ素ガスを使用する場合には、これらの不純物の影響はほとんどなく、その純度は98〜99vol%で十分であった。98〜99vol%の純度のフッ素ガスを分析する方法は、KI水溶液にフッ素ガスを吸収し、遊離したI2をNa2S2O3溶液を用いて測定する容量滴定法、フッ素ガスをKI溶液に反応吸収させ、未溶解のガス容量から純度を分析するオルザット法が知られている。また、オルザット法は不純物のN2、O2、CO2、CF4等のフルオロカーボン、SF6のKI溶液に対する溶解度が小さいことを利用し、未溶解の捕集ガスをガスクロで分析すれば不純物の組成を分析することも可能である。【0003】しかし、これらの分析方法は、半導体産業の発展にとって重要なキーテクノロジーとなっている微量不純物濃度が数百volppm以下の高純度フッ素ガスの分析方法としては最適な方法とはいえない。フッ素ガスは非常に反応性(高酸化性)が高く、それ故に腐食性も著しいので取り扱いが難しく、フッ素ガスを分析計に直接導入することは困難であった。ガス成分の組成分析に威力を発揮するガスクロ法においても、フッ素ガスを直接導入できる適当な分離カラムがない等の理由から、フッ素ガス中の微量不純物を分析する方法はこれまでほとんど知られていない。【0004】フッ素ガスは、その反応特性のため、半導体産業ではエッチングガスやクリーニングガスとして利用されつつある。特に、光学用金属フッ化物のアニール化やエキシマレーザ用ではフッ素ガスの光学特性も重要視され、フッ素ガス単独での使用量も増えつつあり、高純度フッ素ガスとその分析方法に対する要望が高まっている。特に、光学用の用途では、N2、O2、CO2、CF4等のフルオロカーボン、SF6、SiF4、HF等の不純物が少なく、純度が99.9〜99.99vol%の高純度フッ素ガスが望まれている。特に、O2ガス濃度が数volppm以下であり、純度が99.99vol%以上の高純度フッ素ガスが望まれている。【0005】特開平4−9757号公報には、不純物を含有するフッ素ガスを金属塩化物充填層に通して、フッ素ガスを塩素ガスに変換した後、塩素ガスをアルカリ金属の水溶液および金属等と反応させ固定除去するか、あるいは、ポーラスポリマーで吸着分離除去した後、分離された不純物をガスクロ分析計で分析することが記載されている。また、特開平7−287001号公報には、二フッ化コバルト(CoF2)を200〜300℃に加熱し、フッ素ガスを三フッ化コバルト(CoF3)に固定し、フッ素ガスから分離された微量不純物をガスクロ分析計で分析することが記載されている。【0006】金属塩化物(NaCl)も二フッ化コバルト(CoF2)も、フッ素ガスとの反応は室温では反応速度が遅く、完全に反応させるには100〜300℃の温度が必要になる。ところがこの方法では、例えばフッ素ガスが金属塩化物の塩素と置換して金属フッ化物として固定する際、フッ素ガス中の不純物の一成分であるO2が発生する。さらに、サンプリングおよびサンプル計量管、金属塩化物充填容器、流路切換弁等に内面処理が施されてないと、金属内表面に吸着した水分が原因と考えられるO2やHFが発生することも判明した。この現象は、単なるベーキング処理だけでは解決されず、O2のバックグランドが高くなるため、フッ素ガス中の微量酸素ガスの定量分析方法としては正確な方法とは言えない。【0007】また、特開平4−9757号公報に記載された方法は、フッ素ガスが変換されて生成した塩素ガスは、アルカリ金属水酸化物の水溶液に吸収反応させて除去分離後、不純物をガスクロ法にて分析する方法である。しかし、微量不純物を分析する場合、その水溶液への不純物の溶解吸収が問題となり、正確に定量分析できない場合がある。塩素ガス中の不純物を分析することが目的であれば、同公報に記載されているポーラスポリマービーズを分離カラムとして、塩素ガスと不純物をプレカットあるいはバックフラッシュ等の方式で分離し、さらに目的に応じて、MS−5A等の分離カラムを採用するガスクロ分析法は一般的でよい方法と言える。しかし、依然として前段でのフッ素ガスと接触する機材の内表面やフッ素ガス除去分離剤から発生する不純物、特に、酸素の問題は解決されていない。【0008】また、前記公報に記載された分析方法は、係る問題点が解決されれば、フッ素ガス中の不純物の中でも、H2、O2、N2、CH4、CO、CO2、CF4等のフルオロカーボン、SF6等の分析を行うことができる可能性がある。しかし、フッ素ガス中には前記不純物以外に、HF、SiF4、その他金属フッ化物等の不純物も含有しており、これらの不純物も分析できなければ微量不純物の分析方法として達成されたとは言えない。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような背景の下になされたものであって、本発明は、フッ素ガスと接触する金属材料やフッ素ガス除去分離剤からのコンタミネーションを抑制した高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法を提供することを課題とする。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料からなり、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成した容器にフルオロニッケル化合物を充填し、フルオロニッケル化合物を250〜600℃に加熱し、かつ該容器内の圧力を0.01MPa(絶対圧)以下に減圧する工程(1)と、工程(1)を経たフルオロニッケル化合物に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを吸蔵する工程(2)とを少なくとも1回以上行い、さらに前記工程(1)を行った後、不純物ガスを含有するフッ素ガスを200〜350℃でフルオロニッケル化合物と接触させ、フッ素ガスを固定化除去した後にガスクロマトグラフにより分析することを特徴とする高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法を用いれば前記の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明は以下の〔1〕〜〔10〕に示される高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法である。【0011】〔1〕金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料からなり、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成した容器にフルオロニッケル化合物を充填し、フルオロニッケル化合物を250〜600℃に加熱し、かつ該容器内の圧力を0.01MPa(絶対圧)以下に減圧する工程(1)と、工程(1)を経たフルオロニッケル化合物に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを吸蔵する工程(2)とを少なくとも1回以上行い、さらに前記工程(1)を行った後、不純物ガスを含有するフッ素ガスを200〜350℃でフルオロニッケル化合物と接触させ、フッ素ガスを固定化除去した後にガスクロマトグラフにより分析することを特徴とする高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。〔2〕金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法が、不活性ガスの存在下、200〜300℃で加熱処理し、次いでフッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化するものである上記〔1〕に記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。〔3〕金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法が、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面を強制酸化後に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化するものである上記〔1〕に記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。〔4〕容器に充填するフルオロニッケル化合物が、K3NiF5、K3NiF6およびK3NiF7からなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の混合物である上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。【0012】〔5〕微量不純物が、H2、O2、N2、CH4、CO、CO2、CF4、SF6、NF3、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のガスである上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。〔6〕フッ素ガスと接触する金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料の表面にフッ化層が形成された装置を用いる分析方法であって、不純物ガスを含有するフッ素ガスを窓材が金属ハロゲン化物からなるセルに導入し、赤外分光法を用いて分析することを特徴とする高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。〔7〕金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法が、不活性ガスの存在下、200〜300℃で加熱処理し、次いでフッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化するものである上記〔6〕に記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。【0013】〔8〕金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法が、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面を強制酸化後に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化するものである上記〔6〕に記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。〔9〕金属ハロゲン化物がフッ化カルシウムである上記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。〔10〕微量不純物が、CH4、CO、CO2、CF4、SF6、NF3、HF、H2OおよびF2Oからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のガスである上記〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。【0014】【発明の実施の形態】前述のように、フッ素ガスを分析する場合、フッ素ガスが、使用する配管、容器、弁等の内表面の酸化物および金属表面の吸着H2Oと反応し、O2、HFが発生し、そのコンタミネーションの問題が生じる。従って、本発明の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法は、この問題を解決するために、先ず、フッ素ガスと接触する金属材料について、前処理を行うことを特徴とする。尚、本明細書において、フッ素ガス吸蔵物質であるフルオロニッケル化合物をフッ素ガス除去分離剤として用いるが、フルオロニッケル化合物をフッ素ガス除去分離剤ということがある。【0015】本発明の分析方法は、フッ素ガスを、例えばフッ素ガス除去分離剤と接触させて、フッ素ガスを除去分離剤に固定化し、分離された微量不純物を目的成分に応じてポーラスポリマービーズやモレキュラシーブ5A等の分離カラムでガスクロ分析法を用いて分析する。【0016】本発明はエッチング用、クリーニング用、エキシマレーザ用、金属フッ化物アニール化用、材料のフッ素化処理等の用途に有用なフッ素ガス中の微量不純物の分析方法に関する。中でもエッチング用、エキシマレーザ用、金属フッ化物アニール化用の高純度フッ素ガスを必要とする分野での使用を目的とするが、本発明の分析方法は、高純度フッ素ガスに限定されるものではない。【0017】以下、本発明の分析方法について詳しく説明する。本発明の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法は、ガスクロを用いる方法(1)と赤外分光法を用いる方法(2)がある。本発明の分析方法(1)は、金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料からなり、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成した容器にフルオロニッケル化合物を充填し、フルオロニッケル化合物を250〜600℃に加熱し、かつ該容器内の圧力を0.01MPa(絶対圧)以下に減圧する工程(1)と、工程(1)を経たフルオロニッケル化合物に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを吸蔵する工程(2)とを少なくとも1回以上行い、さらに前記工程(1)を行った後、不純物ガスを含有するフッ素ガスを200〜350℃でフルオロニッケル化合物と接触させ、フッ素ガスを固定化除去した後にガスクロマトグラフにより分析することを特徴とする。【0018】また、本発明の分析方法(2)は、フッ素ガスと接触する金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料の表面にフッ化層が形成された装置を用いる分析方法であって、不純物ガスを含有するフッ素ガスを窓材が金属ハロゲン化物からなるセルに導入し、赤外分光法を用いて分析することを特徴とする。【0019】本発明の分析方法において、フッ素ガスと接触する金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料の表面は予めフッ素ガスによりフッ化層を形成する。例えば安価なステンレスにおいても表面にニッケルメッキを施し、ニッケルメッキの表面をフッ素化する。ニッケルメッキを行う方法は、例えば特開平11−92912号公報に記載された方法を用いることができる。金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料の表面にフッ化層を形成する方法は、例えば特開平11−92912号公報に記載された方法を用いることができる。【0020】金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法は、不活性ガスの存在下、200〜300℃で加熱処理し、次いでフッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化する方法を用いることができる。また、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法は、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面を強制酸化後に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化する方法を用いることができる。【0021】本発明に係る高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法は予め、フッ素ガスと接触する配管やサンプリングライン等の内表面の酸化物や表面に吸着しているH2Oの処理と同時に内正面の不動態化処理が施されたものを使用し、フッ素ガスをフルオロニッケル化合物に固定し、フッ素ガス中に含まれる、H2、O2、N2、CH4、CO、CO2、CF4、SF6、NF3、He、Ne、Ar、KrおよびXe等の微量不純物をGCガス成分分離カラムに導入し、TCD(Thermal Conductivity Detector)、PID(Photo Ionization Detector)、DID(Discharge Ionization Detector)、PDD(Pulsed Discharge Detector)等の検出器で測定する。また、適当な分離カラムがなく、ガスクロ法では分析が困難な、HF、SiF4、ガス状金属フッ化物等の成分は、フッ素ガスと共にIR用セルに直接導入し、FT−IRで測定する。この方法は、HF、SiF4以外にCO2、CF4、SF6等の成分も同時分析が可能である。【0022】本発明を実施するための金属材料の内表面処理方法について具体的に述べる。フッ素ガスのような反応性の著しいガス中の微量不純物の分析にあっては、そこに使用される容器、弁、配管、機材等の材質(材料)が充分吟味された時に可能となる。すなわち本発明の分析方法は、フッ素ガスと接触する金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成することにより、分析時におけるフッ素ガスと接触する材料の内表面に吸着しているH2O等が起因して発生するHFやO2のコンタミネーションの問題を解決することができる。【0023】フッ素ガスと接触する各部品(弁、フッ素ガス除去分離剤充填容器、配管、圧力計)の材質が、例えばステンレスの場合はニッケルメッキを施した後、またニッケル、モネルの場合は直接200〜300℃で加熱ベーキング後、フッ素ガスで熱処理することにより表面にフッ化膜を形成することができる。フッ素ガスの濃度は5〜20%がよく、好ましくは5〜15%がよい。フッ素ガス濃度が5%以下ではフッ化膜形成に時間を要する場合があり、20%以上では形成された膜が脆くなる場合がある。フッ化膜を形成する際の温度は200〜400℃範囲がよく、200℃以下では膜形成に長時間を要する場合があり、400℃以上では形成された膜にクラックが入り、クラックにH2O等が吸着される等の理由により耐蝕性が低下する傾向が見られる。このようにフッ素ガスと接触する各部品の内表面にフッ化膜を形成することにより高純度フッ素ガスの微量不純物の分析に問題ないレベルまで金属表面からの放出ガスを減少することができる。【0024】次に本発明の分析方法(1)において使用するフルオロニッケル化合物(フッ素ガス除去分離剤)について説明する。本発明は、フルオロニッケル化合物(フッ素ガス除去分離剤)として、K3NiF5(ペンタフルオロニッケル酸カリウム)、K3NiF6(ヘキサフルオロニッケル酸カリウム)を使用する点に特徴がある。この化合物は粉末固体物質で、下記の化学式で示したように温度変化によりフッ素ガスを吸脱着する原理を利用することを特徴とするフッ素ガスの除去分離剤である。K3NiF5 + 1/2F2 → K3NiF6K3NiF6 + 1/2F2 → K3NiF7K3NiF7 → K3NiF6 + 1/2F2【0025】本発明で使用することができるフルオロニッケル化合物(フッ素ガス除去分離剤)は、例えば次のような方法を用いて調製することができる。フッ素ガス除去分離剤は、NiF2およびKFを原料とし、適当な粒径に粉砕する。次いで、100〜500℃で乾燥した混合物を、予めフッ素ガスで内表面を不動態化処理した弁付容器に充填する。フッ素ガス除去分離剤を充填した容器には、フッ素ガス(F2)、不活性ガス(He)の容器と真空ポンプにつながる弁とヒーターが備わっている。得られたK3NiF5は、温度200〜350℃、減圧度10〜100Paの条件下で加熱真空および不活性ガスを用いた蓄圧パージを数回繰り返し、充填物および容器内表面に吸着しているH2O等を排気する。【0026】K3NiF6は、前記の方法で得られたK3NiF5にフッ素ガスを吸蔵することにより得ることができる。また、高純度のK3NiF6を得るには、フッ素ガスの吸蔵と放出を数回繰り返し、超微量のH2O、HF等の不純物を除去することにより得ることができる。フルオロニッケル化合物に吸蔵するフッ素ガス中に含まれるHFの濃度は500volppm以下に低減されていることがよい。HFの濃度は、好ましくは100volppm以下であり、さらに好ましくは10volppm以下である。HFの濃度はフッ化ナトリウム(NaF)と接触させることにより低減することができる。【0027】フッ素ガスを吸蔵するフルオロニッケル化合物は、フッ素ガスを吸蔵してK3NiF7を生成し、加熱することによりフッ素ガスを放出して簡単に再生することができるK3NiF6が好ましい。この時の加熱再生温度はフッ素ガスと同時に吸着したHFの除去も考慮し350℃以上がよい。また、本発明の分析方法(1)はフッ素ガス除去分離剤として、超微量のH2OやHF等の不純物が除去された高純度のK3NiF6を用いることが好ましく、K3NiF7を含んでいてもよい。【0028】次に、本発明の分析方法(1)を用いてフッ素ガスとその中に含有するN2、O2、CO2、CF4等のフルオロカーボン、SF6等の微量不純物を分離してガスクロで分析する高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法について述べる。【0029】フッ素ガスの除去分離剤として準備されたK3NiF6を、フッ素ガス除去に充分な量を充填した容器に圧力指示で一定量の不純物含有フッ素ガスを封じ込め、200〜350℃まで加熱した後、徐々に室温まで冷却し、フッ素ガスがフッ素ガス除去分離剤に吸蔵固定することによりフッ素ガスとその中に含有していた不純物は分離される。フッ素ガスと分離した前記不純物は一定量の不活性ガスで希釈し、ガスクロ分析計にフッ素ガスを含まないガスとして導入でき、不純物の含有量が1ppm以下まで測定することができる。【0030】次に、本発明の分析方法(2)である、フッ素ガスと接触する金属材料の内表面処理を行った装置を用い、FT−IR分析計でフッ素ガス中に含まれるHF、SiF4等の微量不純物を分析する方法について説明する。本発明の分析方法(2)において、フッ素ガスと接触する配管やサンプリングラインの金属材料の内表面をフッ素化処理することにより、前記(1)の方法と同様、その内表面へ吸着するH2Oが極力抑えられ、(1)F2とH2Oの反応で生成するHF、(2)不純物の1つであるSiF4の加水分解で生成するHF、の量を減らすことにより、フッ素ガス中に含まれるHF、SiF4の微量不純物が1ppm以下まで測定することができる。【0031】【実施例】以下に実施例を用いて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0032】(実施例1)図1に示す、本発明の分析方法に用いる装置において、配管、弁1〜弁9、圧力計17、容器19(内容積500ml)、FT−IR用セル22、除害筒24(内容積3L)のフッ素ガスが接触するそれぞれの金属部分にニッケルメッキ(膜厚5〜10Å)を施した。これらの機材を減圧可能な電気炉内に入れ、減圧下、350℃の温度でベーキングし、冷却後、再び電気炉内を減圧にし、N2ガスで希釈した10%F2を大気圧力まで充填した。その後350℃まで昇温速度100℃/時の速度で昇温し、350℃で12時間保持してフッ化処理を行った。【0033】前記の方法で表面処理した容器19に、乾燥したK3NiF5粉末(別途調製したK3NiF6またはK3NiF7でもよい)500gを充填し、図1に示す装置を組上げた。弁4、6、7、9、12、13および15、16の各種容器の元弁を閉にし、He14を弁11により0.1MPa充填し、ラインのリークがないことを確認した。【0034】次に、ライン、弁をテープヒーターで150℃にヒートアップして装置組上げ時に多少吸着したH2Oを高純度He14をHe容器元弁と弁11と真空ポンプ25を使用して、加熱真空パージした。加熱真空パージ完了は弁9に露天計(パナメトリクッス)を接続し、Heの露点が−80℃以下であることを確認して次工程に移った。次に、弁1、2、4、6、7、9、10、11を閉にし、F2元弁16を開にし圧力計17と弁2を使用して、F2を圧力0.1MPaまで充填し、温度150℃で2時間放置し、図1に示した実線ラインの不動態化処理を施した。その完了はFT−IRでHFが1ppm以下を確認して次工程に移った。【0035】次に、弁1、2、4、5、6、7、9を閉にし、系全体を冷却し弁6と真空ポンプ25で減圧後、弁6を閉にしF2元弁16を開にし圧力計17と弁2を使用して、容器19内にF2を0.5MPaまで充填し、元弁および弁2、3、4を閉にし、ヒーター18で容器19の内温を500℃まで昇温速度100℃/時で上げ、直ちに250℃まで冷却した。250℃に冷却後、弁3と元弁を開にし圧力計17と弁2を使用して、再度容器19内にF2を0.5MPaまで充填し、弁3、4を閉にし、ヒーター18で容器19の内温を500℃まで昇温速度100℃/時で上げ、直ちに250℃まで冷却した。この操作を圧力減少がなくなるまで繰り返して次工程に移った。【0036】次に、温度250℃の状態で弁1、2、4、5、7、9の閉を再確認し、弁6と真空ポンプ26を使用して系内のF2をソーダライム充填除害筒24で除害しながら排気した。圧力計17で排気完了を確認後、弁6を閉にし、再び弁3と元弁を開にし、圧力計17と弁2を使用して、容器19内にF2を0.5MPaまで充填し、1〜2時間保持後、弁6と真空ポンプ26を使用して系内のF2をソーダライム充填除害筒24で除害しながら排気した。この操作をFT−IRでHFが1ppm以下を確認するまで繰り返し、室温まで冷却後、高純度He14で加圧にすることで容器19内にフッ素ガス除去分離剤(K3NiF6)を得た。【0037】(実施例2)実施例1のフッ化処理を施したラインを使用して、一旦全ての弁が閉であることを確認し、弁5、7、8を開にし高純度He14を弁11でFT−IRセル22(透視窓:CaF2、長さ:150cm)に導入しバックグランドを2350cm-1のCO2の吸収から1ppm以下であることを確認し、標準ガス15(Heベース)と弁10でHF(10ppm;4040cm-1)、SiF4(10ppm;1016cm-1)、CF4(10ppm;1280cm-1)の標準ガスをFT−IRセル22に導入し検量線を作成した。次に、F2元弁16を開にし、弁2でFT−IRセル22にF2を導入し、高純度F2中のHF、SiF4、CF4を前記検量線より定量分析した。【0038】(実施例3)実施例1のフッ化処理を施したラインと容器19内のフッ素ガス除去分離剤(K3NiF6)を用いて、一旦全ての弁が閉であることを確認し、弁2、3を開にし真空ポンプ25と弁6で系内を減圧にし、弁6を閉、高純度He元弁14と弁11を開にし、弁1で圧力計17にてHeガスを0.1MPaまで充填する操作とHeガスを真空引きする系内パージ操作を3回以上繰り返した。更に弁1と圧力計17にて高純度He14を0.1MPaまで充填し、弁4、12を使用しGC分析計20に系内Heを導入しバックグランドをガス分離カラム(モレキュラーシーブ5A)とPDD(Pulsed Discharge Detector 米国Valco社製)ガス検出器でO2、N2が0.1ppm以下であることを確認して次工程に移った。【0039】次に、一旦全ての弁が閉であることを確認し、弁2、3を開にし弁6と真空ポンプ25で系内を減圧にした後、弁2、6を閉にし高純度容器16及び発生装置のF2を弁2と圧力計17にて0.1MPaまで充填し、弁2、3を閉にし、フッ素ガス除去分離剤(K3NiF6)充填容器19をヒーター18にて容器内温300℃まで昇温後300℃で数分保持し室温まで冷却した。一方弁1、2、3、5、6、9に囲まれた系内の残F2は弁6を開にし、弁1より高純度He14パージでF2除害筒24で除害排気した。その後高純度He14を弁1、11を開にし弁3から圧力計17にてF2同様0.1MPaまで充填後、GC分析計20にてH2、O2、N2、CH4、COを分析し、GC分析計21(ガス分離カラム(ポラパックQ:ウォーターズ社製)、PDDガス検出器)にてCO2、CF4、SF6の定量を行った。【0040】【発明の効果】以上説明したように、本発明に従えばフッ素ガスと接触する機材やフッ素ガス除去分離剤からのコンタミネーションを抑制でき、高純度フッ素ガスに含まれる微量不純物の分析が可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の高純度フッ素ガスの分析方法に用いる装置概略図である。【符号の説明】1〜13 弁14 高純度Heガス15 標準ガス16 高純度F2ガス17 圧力計18 ヒーター19 フッ素ガス除去分離剤20 ガスクロマトグラフ分析計121 ガスクロマトグラフ分析計222 FT−IR用ガスセル23 FT−IR分析計24 フッ素ガス除害筒25 真空ポンプ 金属材料もしくはニッケル皮膜を有する金属材料からなり、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成した容器にフルオロニッケル化合物を充填し、フルオロニッケル化合物を250〜600℃に加熱し、かつ該容器内の圧力を0.01MPa(絶対圧)以下に減圧する工程(1)と、工程(1)を経たフルオロニッケル化合物に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを吸蔵する工程(2)とを少なくとも1回以上行い、さらに前記工程(1)を行った後、不純物ガスを含有するフッ素ガスを200〜350℃でフルオロニッケル化合物と接触させ、フッ素ガスを固定化除去した後にガスクロマトグラフにより分析することを特徴とする高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。 金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法が、不活性ガスの存在下、200〜300℃で加熱処理し、次いでフッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化するものである請求項1に記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。 金属材料もしくはニッケル皮膜の表面にフッ化層を形成する方法が、金属材料もしくはニッケル皮膜の表面を強制酸化後に、フッ化水素の含有量が500volppm以下に低減されたフッ素ガスを用いてフッ素化するものである請求項1に記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。 容器に充填するフルオロニッケル化合物が、K3NiF5、K3NiF6およびK3NiF7からなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。 微量不純物が、H2、O2、N2、CH4、CO、CO2、CF4、SF6、NF3、He、Ne、Ar、KrおよびXeからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上のガスである請求項1〜4のいずれかに記載の高純度フッ素ガス中の微量不純物の分析方法。


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