タイトル: | 特許公報(B2)_ヌクレオシドホスホロアミダイト化合物 |
出願番号: | 2001180445 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07H 19/10,C07H 19/20,C07H 21/04 |
清尾 康志 関根 光雄 JP 4709959 特許公報(B2) 20110401 2001180445 20010614 ヌクレオシドホスホロアミダイト化合物 国立大学法人東京工業大学 304021417 野村 健一 100107870 間山 世津子 100098121 清尾 康志 関根 光雄 20110629 C07H 19/10 20060101AFI20110609BHJP C07H 19/20 20060101ALI20110609BHJP C07H 21/04 20060101ALN20110609BHJP JPC07H19/10C07H19/20C07H21/04 B C07H 19/02 - 19/23 C07H 21/00 - 21/04 CA/REGISTRY(STN) 有機合成化学協会誌,1987年,Vol.45 No.10,p.930-943 日本化学会講演予稿集,1992年,Vol.63rd No.2,p.1885 Journal of Organic Chemistry,1968年,Vol.33(6),p.2589-2590 Tetrahedron Letters,1965年,Vol.6(9),p.531-535 5 2002371095 20021226 26 20071019 三木 寛 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なヌクレオシドホスホロアミダイト化合物に関する。この化合物は、核酸合成試薬として使用することができる。【0002】【従来の技術】化学的に合成されたオリゴデオキシリボ核酸(オリゴDNA)は、遺伝子クローニングのプローブ、遺伝子発現解析用プローブ、アンチセンスオリゴヌクレオチド等種々の用途に用いられている。DNA化学合成は現代の生命工学、生命科学の進展に必須な技術である。現在のオリゴデオキシリボヌクレオチド化学合成はホスホロアミダイト法により行われている。この方法においては、用いるホスホロアミダイトユニットの5’水酸基を適切な保護基を用いて保護することが必須である。現在主として用いられている5’水酸基の保護基は4,4’−ジメトキシトリチル基(DMTr基)である。DMTr基は弱酸性条件下、迅速に除去可能であるためDNA化学合成に用いられている。しかしここで用いる酸性条件のため、長鎖DNA 合成においてプリンヌクレオシドのN−グリコシド結合の切断(デプリネーション)が問題となる。【0003】DNA化学合成におけるもうひとつの問題点はオリゴヌクレオチド鎖の伸長に時間がかかることである。現在のDNA化学合成は(1)アミダイトユニットと5’末端水酸基とのカップリング(2)未反応水酸基の保護(3)インターヌクレオシド結合の酸化(4)5’末端DMTr基の除去。の4工程からなっている。しかし、長鎖オリゴDNAを合成するためにはその合成に要する時間を少しでも短縮することが経済的にも有利である。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は、オリゴDNA化学合成における上記ふたつの問題点、すなわち(1)DMTr基を脱保護する酸性条件下でのデプリネーション(2)DNA化学合成が時間を要する工程であること、を同時に解決することを目的とするものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、5’水酸基の保護基としてDMTr基に替わり上記の(3)インターヌクレオシド結合の酸化工程で同時に脱保護可能な保護基を用いることにより、上記の(4)5’DMTr基の除去工程を省略できることを見出し、更に、そのような保護基として、スルフェニルエステル型保護基が使用できることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。【0006】即ち、本発明は、下記の一般式(I):【0007】【化8】(式中、R1はリン酸保護基を表し、R2は窒素原子上に炭素数1から5の同一若しくは異なるアルキル基がふたつ結合したジアルキルアミノ基〔ふたつのアルキル基が互いに結合して環を形成してもよい〕、又はモルホリン−1−イル基を表し、R3はアルコキシ基を有していてもよいトリチル基を表し、R4は水素又はO−R5〔但し、R5はtert-ブチリルジメチルシリル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル基、又はトリイソプロピルシリルオキシメチル基を表す。〕を表し、Bは保護基を有していてもよい核酸塩基の残基を表す。)で表されるヌクレオシドホスホロアミダイト化合物である。【0008】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。【0009】本発明のヌクレオシドホスホロアミダイト化合物(以下、単に「本化合物」という。)は、下記の一般式(I):【0010】【化9】で表される。【0011】式中のR1、R2、R3、R4、及びBは以下の基を表す。【0012】R1は、リン酸保護基を表す。リン酸保護基としては、ホスホロアミダイト法に使用されるものであればどのようなものでもよいが、メチル基、2−シアノエチル基、2−トリメチルシリルエチル基などを好ましい基として挙げることができる。【0013】R2は、窒素原子上に炭素数1から5の同一若しくは異なるアルキル基がふたつ結合したジアルキルアミノ基〔ふたつのアルキル基が互いに結合して環を形成してもよい〕、又はモルホリン−1−イル基を表す。このようなジアルキルアミノ基としては、ジイソプロピルアミノ基、又はジメチルアミノ基などを挙げることができる。【0014】R3はアルコキシ基を有していてもよいトリチル基を表す。より具体的には、下記の一般式(II):【0015】【化10】(式中、R6、R7、R8は互いに同一または異なって、水素、炭素数1から10のアルコキシ基を表す。)で表される基を表す。一般式(II)で表される基の中で好ましい基としては、トリチル基、4−メトキシトリチル基、4,4’−ジメトキシトリチル基などを挙げることができる。【0016】R4は水素又はO−R5を表す。ここで、R5はtert-ブチリルジメチルシリル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル基、又はトリイソプロピルシリルオキシメチル基を表す。【0017】Bは保護基を有していてもよい核酸塩基の残基を表す。核酸塩基は、核酸の合成に使用されるものであればどのようなものでもよく、また、保護基も核酸の合成に使用されるものであればどのようなものでもよい。好ましい核酸塩基の残基としては、下記の一般式(III)、(IV)、(V)、(VI)、又は(VII):【0018】【化11】【0019】【化12】【0020】【化13】【0021】【化14】【0022】【化15】で表される基を例示することができる。式中のR9は水素又はアミノ基の保護基を表す。アミノ基の保護基としては、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、4−tert−ブチルフェノキシアセチル基、4−イソプロピルフェノキシアセチル基などを例示することができる。【0023】本化合物は、デオキシヌクレオシドホスホロアミダイド化合物(式(I)中のR4が水素)とリボヌクレオシドホスホロアミダイト化合物(式(I)中のR4がOR5)の両者を含む。デオキシヌクレオシドホスホロアミダイド化合物については、以下の合成法1−1又は合成法1−2により合成することができる。(合成法1−1)式(VIII):【0024】【化16】(式中のR3及びBは前記の通りである。)で表される化合物と文献公知の方法によって得られる式(IX):【0025】【化17】(式中のR1及びR2は前記の通りである。)で表される化合物とを反応を阻害しない溶媒たとえばピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、有機塩基例えばピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の存在下、−78℃から室温℃で5分間から72時間撹拌することにより式(I)で表される化合物を得る。(合成法1−2)式(VIII)で表される化合物と文献公知の方法によって得られる式(X):【0026】【化18】(式中のR1及びR2は前記の通りである。)で表される化合物を反応を阻害しない溶媒例えばピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、1H−テトラゾール、1H−テトラゾール ジイソプロピルアンモニウム等の存在下−78℃から室温℃で5分間から72時間撹拌することにより式(I)で表される化合物を得る。【0027】これらの方法で合成中間体として用いた式(VIII)で表される化合物は以下の中間体合成法1−1又は中間体合成法1−2により合成可能である。(中間体合成法1−1)市販もしくは文献公知の方法により得られる式(XI):【0028】【化19】(式中のBは前記の通りである。)で表される化合物と式(XII):【0029】【化20】(式中のR3は前記の通りである。)で表される化合物を、反応を阻害しない溶媒たとえばピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、有機塩基例えばピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等、もしくは無機塩基すなわち水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等、もしくは有機金属化合物例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウム N,N−ジイソプロピルアミド、リチウム 2,6−ジメチルピペリジド、リチウム ヘキサメチルジシラジド、ナトリウム ヘキサメチルジシラジド、メチルマグネシウム ブロミド、エチルマグネシウム ブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウム ブロミド等の存在下、または非存在下−78℃から100℃で5分間から72時間撹拌することにより式(VIII)で表される化合物を得る。【0030】ここで用いた式(XII)で表される化合物は式(XIII):【0031】【化21】(式中R3は前記の通りである)で表される化合物と塩素化試薬例えば塩素、塩化スルフリル、N−クロロスクシミド、1,3−ジクロロ−5,5ジメチルヒダントイン等とを反応を阻害しない溶媒たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、有機塩基例えばピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等、もしくは無機塩基すなわち水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等、もしくは有機金属化合物例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウム N,N−ジイソプロピルアミド、リチウム 2,6−ジメチルピペリジド、リチウム ヘキサメチルジシラジド、ナトリウム ヘキサメチルジシラジド、メチルマグネシウム ブロミド、エチルマグネシウム ブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウムブロミド等の存在下、または非存在下−78℃から100℃で5分間から72時間撹拌することにより得られる。【0032】ここで用いた式(XIII)で表される化合物は文献公知の方法を用いて得るか、もしくは文献公知の方法で得られる式(XIV):【0033】【化22】(式中のR3は前記の通りである)で表される化合物と硫化試薬例えば五硫化リン、ローソン試薬等を反応を阻害しない溶媒たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し室温から100℃で5分間から72時間撹拌することにより得られる。(中間体合成法1−2)式(XV):【0034】【化23】(式中のR3及びBは前記の通りであり、R10、R11、R12は同一または異なって、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、又はフェニル基を表す。)で表される化合物とフッ素化試薬例えばテトラブチルアンモニウム フルオリド、テトラエチルアンモニウム フルオリド、トリエチルベンジルアンモニウム フルオリド、フッ化水素、フッ化水素−ピリジン、フッ化水素−トリエチルアミン複合体、トリエチルアミンー3フッ化水素複合体、フッ化セシウム等とを反応を阻害しない溶媒たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し室温から100℃で5分間から72時間撹拌することにより式(VIII)で表される化合物を得る。【0035】ここで用いた式(XV)で表される化合物は式(XVI):【0036】【化24】(式中のR10、R11、R12及びBは前記の通りである。)で表される化合物と式(XII)で表される化合物とを反応を阻害しない溶媒例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン等に溶解し有機金属化合物例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムN,N−ジイソプロピルアミド、リチウム2,6−ジメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウムブロミド等の存在下−78℃から100℃で5分間から72時間撹拌することにより得られる。【0037】ここで用いた式(XVI)で表される化合物は式(XI)で表される化合物と式(XVII):【0038】【化25】(式中のR10、R11及びR12は前記の通りであり、R13は塩素、臭素、ヨウ素、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等を表す。)で表される化合物を、反応を阻害しない溶媒たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、有機塩基例えばピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、イミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等、もしくは無機塩基すなわち水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等、もしくは有機金属化合物例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウム N,N−ジイソプロピルアミド、リチウム 2,6−ジメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、メチルマグネシウム ブロミド、エチルマグネシウム ブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウム ブロミド等の存在下、または非存在下−78℃から100℃で5分間から72時間撹拌することにより得られる。また、式(XVI)で表される化合物は文献公知の方法により得られる式(XVIII):【0039】【化26】(式中、R14、R15は同一または異なって水素又はメトキシ基を表す。)で表される化合物と式(XVII)で表される化合物とを反応を阻害しない溶媒たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、有機塩基例えばピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、イミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等、もしくは無機塩基すなわち水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等、もしくは有機金属化合物例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウム N,N−ジイソプロピルアミド、リチウム 2,6−ジメチルピペリジド、リチウム ヘキサメチルジシラジド、ナトリウム ヘキサメチルジシラジド、メチルマグネシウム ブロミド、エチルマグネシウム ブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウム ブロミド等の存在下、または非存在下−78℃から100℃で5分間から72時間撹拌して式(XIX):【0040】【化27】(式中のR10、R11、R12、R14、R15、及びBは前記の通りである。)で表される化合物を得、ついでこの式(XIX)で表される化合物と酸例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等を、反応を阻害しない溶媒たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールもしくはこれらの混合溶媒等に溶解し−78℃から100℃で5分間から72時間撹拌して得られる。【0041】リボヌクレオシドホスホロアミダイト化合物については、以下の合成法2−1又は2−2により合成することができる。(合成法2−1)式(XX):【0042】【化28】(式中のR3、R5及びBは前記の通りである。)で表される化合物と式(IX)で表される化合物とを反応を阻害しない溶媒例えばピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、有機塩基例えばピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の存在下、−78℃から室温℃で5分間から72時間撹拌することにより式(I)で表される化合物を得る。(合成法2−2)式(XX)で表される化合物と式(X)で表される化合物を反応を阻害しない溶媒例えばピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン等に溶解し、1H−テトラゾール、1H−テトラゾール ジイソプロピルアンモニウム等の存在下−78℃から室温℃で5分間から72時間撹拌することにより式(I)で表される化合物を得る。【0043】これらの方法で合成中間体として用いた式(XX)で表される化合物は以下の中間体合成法2−1により合成可能である。(中間体合成法2−1)式(XXI):【0044】【化29】(式中のR3、R5、及びBは前記の通りであり、R16は3−ヒドロキシ−1,1,3,3,−テトライソプロピルジシロキサン−1−イル基、又はジ−tert−ブチルヒドロキシシリル基を表す。)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン等)に溶解し、フッ素化剤(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリハイドロフルオリド、フッ化水素ピリジン)及び酸(例えば、酢酸、塩酸、硫酸)を単独もしくは任意の混合比の混合試薬として反応させることにより、式(XX)で表される化合物が得られる。また、式(XXI)で表される化合物を水や適当な有機溶媒に溶解し、適当なアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化リチウム等)と反応させることによっても、式(XX)で表される化合物が得られる。【0045】ここで用いた式(XXI)で表される化合物は式(XXII):【0046】【化30】(式中のR5、R16、及びBは前記の通りである)で表される化合物と式(XII)で表される化合物とを反応を阻害しない溶媒例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン等に溶解し有機金属化合物例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムN,N−ジイソプロピルアミド、リチウム2,6−ジメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、t−ブチルマグネシウムブロミド等の存在下−78℃から100℃で5分間から72時間撹拌することにより得られる。【0047】ここで用いた式(XXII)で表される化合物は式(XXIII):【0048】【化31】(式中のR5及びBは前記の通りであり、R17は1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル基、又はジ−tert−ブチルシランジイル基を表す。)で表される化合物を適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン等)に溶解し、フッ素化剤(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリハイドロフルオリド、フッ化水素ピリジン)及び酸(例えば、酢酸、塩酸、硫酸)を単独もしくは任意の混合比の混合試薬として反応させることにより得られる。また、式(XXIII)で表される化合物を水や適当な有機溶媒に溶解し、適当なアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化リチウム等)と反応させることによっても得られる。【0049】ここで用いた式(XXIII)で表される化合物は、式(XXIV):【0050】【化32】(式中のB及びR17は前記の通りである。)で表される化合物から以下の処理を行うことにより得ることができる。R5がtert-ブチリルジメチルシリル基である場合:式(XXIV)で表される化合物を、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒に溶かし、tert-ブチリルジメチルシリルクロリド及びイミダゾールと反応させる。R5がテトラヒドロピラン−2−イル基である場合:式(XXIV)で表される化合物を、適当な溶媒に溶解又は無溶媒条件下でパラトルエンスルホン酸等を酸触媒として、3,4−ジヒドロ−2H−ピランと反応させる。R5が4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル基である場合:式(XXIV)で表される化合物を、適当な溶媒に溶解又は無溶媒条件下でパラトルエンスルホン酸等を酸触媒として、5,6−ジヒドロ−4−メトキシ−2H−ピランと反応させるR5がトリイソプロピルシリルオキシメチル基である場合:式(XXIV)で表される化合物を、ジクロロメタン等の反応を阻害しない溶媒に溶かし、トリイソプロピルシリルオキシメチルクロリド及びエチルジイソプロピルアミン等の有機アミンと反応させる。【0051】ここで用いた式(XXIV)で表される化合物は、式(XXV):【0052】【化33】(式中のBは前記の通りである。)で表される化合物を、適当な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン等)に溶かし、硝酸銀、過塩素酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀等の非存在下若しくは存在下で、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、ジ−tert−ブチルジクロロシロキサン、ジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホン酸)などと反応させることにより得ることができる。【0053】ここで用いた式(XXV)で表される化合物は文献記載の方法に従い合成可能である。合成方法の一例として以下の方法を例示できる。天然のリボヌクレオシドの水酸基をクロロトリメチルシラン、ピリジンなどで保護し、その後、酸塩化物や酸無水物などで核酸塩基のアミノ基を保護する。この際、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールや4−ジメチルアミノピリジン等の一般的にアシル化の際に用いる触媒を添加してもよい。溶媒は反応を阻害しないもの、例えば、ピリジン等を用いる。次に、水酸化ナトリウム、アンモニア水、アミンなどのアルカリやその水溶液、またはトリフルオロ酢酸、酢酸、塩酸等の酸やその水溶液により水酸基の保護基を脱保護する。この際、適当な有機溶媒を加えてもよい。以上のような合成法により式(XXV)で表される化合物を合成できる。【0054】本化合物は、DNA、RNA、ホスホロチオエートなどの核酸及びその類似物質の合成試薬として使用することができる。本化合物を用いた核酸等の合成は、既存の核酸合成試薬を用いた場合と同様の方法で行うことができる。例えば、オリゴデオキシヌクレオチドの合成は、文献公知の方法により自分で調整するかもしくは市販品として入手可能な式(XXVI):【0055】【化34】で表される固相担体と保護ヌクレオシドがリンカーで結合した化合物を原料として、以下の反応式1に従って行うことができる。また反応式1の工程のすべてを市販のDNA自動合成基を用いて行うこともできる。(反応式1)工程1:酸処理工程2:本化合物+活性化剤+反応溶媒工程3:キャップ化剤添加工程4:酸化剤添加(工程2、3、4は所望のオリゴデオキシヌクレオチドの鎖長から1を引いた回数繰り返し行う。)工程5:切り出し剤添加工程6:精製操作反応式1に記載されている化合物及び試薬のうち、本化合物及び酸化剤以外については、オリゴDNA合成に一般的に使用されているものであれば特に限定されない。保護ヌクレオシドとしては、式(XXVI)中のR18が4,4’−ジメトキシトリチル基を表し、Zがチミン−1−イル、N4−ベンゾイルシトシン−1−イル、N4−アセチルシトシン−1−イル、N6−ベンゾイルアデニン−9−イル、N6−フェノキシアセチルアデニン−9−イル、N2−イソブチリルグアニン−9−イル、N2−フェノキシアセチルグアニン−9−イルで表される保護ヌクレオシド等を例示することができる。固相担体としては、コントロールドポアグラス(CPG)、ポリスチレン等を例示することができる。式(XXVI)中のリンカーで表される基としては、3−アミノプロピルやロング−チェーンアルキルアミノ(LCAA)等を例示することができる。酸としては、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等を1から5%の濃度になるようにジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の有機溶媒に溶解した溶液等を例示することができる。反応溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等、活性化剤としては1H−テトラゾール、5−エチルチオテトラゾール、3,4−ジクロロイミダゾール、3,4−ジシアノイミダゾール、ベンゾトリアゾールトリフラート、イミダゾールトリフラート等を例示することができる。キャップ化試薬としては、4−ジメチルアミノピリジンやN−メチルイミダゾールをピリジン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の任意の混合溶媒に0.05から1Mの濃度になるように溶かした溶液と無水酢酸もしくは無水メトキシ酢酸等とを適当な混合比で混合した溶液等を例示することができる。切り出し剤としては、濃アンモニア水、濃アンモニア水と反応を阻害しない有機溶媒例えばエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等を任意の比率で混合した溶液、あるいは有機塩基例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等を反応を阻害しない有機有機溶媒例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフランの単独溶媒もしくは任意の比率の混合溶媒に溶解した溶液等を例示することができる。酸化剤としてはヨウ素をピリジン、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の無機溶媒や有機溶媒もしくはそれらの任意の混合溶媒に0.05から2Mの濃度になるように溶解した溶液等を例示することができる。【0056】合成したオリゴヌクレオチドの精製はC8からC18の逆相カラムクロマトグラフィー、C8からC18逆相カートリッジカラム、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーなどの方法を単独で、もしくは高速液体クロマトグラフィー装置との組み合わせにより用いて行う。この際溶出溶媒としては例えばアセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水等の単独溶媒もしくは任意の比率の混合溶媒等があげられる。この場合添加物としてリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリス塩酸、エチレンジアミン四酢酸等を1mMから2Mの濃度で添加したり、溶液のpHを1から9の範囲で調整することもできる。この方法で単離精製し収率1%から99%で得ることができる。【0057】【実施例】(実施例1)(2−シアノエトキシ)(5’−O−トリフェニルメタンスルフェニルチミジン−3’−O−イル)N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト【0058】【化35】5’−O−トリフェニルメタンスルフェニルチミジン(520mg,1.0 mmol)をジクロロメタン(5ml)に溶解し、ここにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(593 μl,3.4 mmol)とクロロ(2−シアノエトキシ)(N,N−ジイソプロピルアミノ)ホスフィン(483 μl,2.2mmol)を加え室温で70分反応を行った。反応系をクロロホルム(30ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)で3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3から1:1)で精製し表題化合物(425 mg,60%)を得た。【0059】1H−NMR(CDCl3,270MHz)1.18−1.29(m,12H),8.27(1H,br,NH),1.90(3H,s),2.00(1H,m),2.35(1H,m),2.53(1H,t,J=6.3Hz),3.44−3.78(6H,m),3.91(1H,s),4.24(1H,m),6.26(1H,m),7.26−7.34(15H,m),7.47(1H,s);31P−NMR(CDCl3,109.4MHz)δ149.4,149.7.(実施例2)(2−シアノエトキシ){5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルチミジン−3’−O−イル}N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト【0060】【化36】5’−O−{4−(メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニル}チミジン(550 mg,1.0 mmol)をジクロロメタン(5ml)に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(401 μl,2.3 mmol)とクロロ(2−シアノエトキシ)(N,N−ジイソプロピルアミノ)ホスフィン(325 μl,1.5mmol)を加え室温で60分反応を行った。反応系をクロロホルム(30ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)で3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をジエチルエーテル−ジイソプロピルエーテル(5 ml−20 ml)に溶解し、10%炭酸ナトリウム水溶液(30 ml)で15回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を減圧下留去し、表題化合物(613mg,82%)を得た。【0061】1H−NMR(CDCl3,270MHz)1.18−1.29(m,12H),1.90(3H,s),2.00(1H,m),2.35(1H,m),2.53(1H,t,J=6.3Hz),2.60(1H,t,J=6.3 Hz),3.38−3.77(7H,m),3.80(3H,s),4.24(1H,m),6.26(1H,m),6.83(2H,d,J=7.6 Hz),7.22−7.43(12H,m),7.49,7.45(1H,d,J= 10.6 Hz)8.32(1H,br,NH);31P−NMR(CDCl3,109.4MHz)δ149.3,149.7.(実施例3)(2−シアノエトキシ){5’−O−ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタンスルフェニルチミジン−3’−O−イル}N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト【0062】【化37】5’−O−{4−(メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニル}チミジンをジクロロメタンに溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミンとクロロ(2−シアノエトキシ)(N,N−ジイソプロピルアミノ)ホスフィンを加え室温で反応を行った。反応系をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をジエチルエーテル−ジイソプロピルエーテルに溶解し、10%炭酸ナトリウム水溶液で15回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を減圧下留去し、表題化合物を得た。【0063】1H−NMR(CDCl3,270MHz)1.18−1.29(m,12H),1.90(3H,s),2.00(1H,m),2.35(1H,m),2.54(1H,t,J=6.3Hz),2.61(1H,t,J=6.3 Hz),3.38−3.77(7H,m),3.94(6H,s),4.26(1H,m),6.28(1H,m),6.83(4H,d,J=7.2 Hz),7.23−7.34(9H,m),7.50,7.47(1H,d,J= 10.9 Hz),8.14(1H,br,NH);31P−NMR(CDCl3,109.4MHz)δ149.4,149.7.(原料合成例1)(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンチオール【0064】【化38】(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタノール(124 g,0.43 mol)をトルエン(2000 ml)に溶解し、ここにローソン試薬(104g,0.24 mol)を加え75℃まで昇温した。反応終了後、反応系を室温に戻した後水(1000 ml)で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し表題化合物(80 g,61%)を得た。【0065】1H−NMR(CDCl3,270MHz)δ3.01(1H,s),3.78(3H,s),6.80(2H,d,J=8.9 Hz),7.15(2H,d,J=8.9 Hz),7.21−7.27(12H,m).(原料合成例2)ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタンチオール【0066】【化39】ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタノール(15 g,46.8 mmol)をトルエン(300 ml)に溶解し、ここにローソン試薬(10.3g,23.4 mmol)を加え75℃まで昇温した。反応終了後、反応系を室温に戻した後水(300 ml)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し表題化合物(5.4 g,34%)を得た。IR(KBr)1607,1504,1487,1445,1300,1250,1180,1028,816,781,700,577cm−1(原料合成例3)(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルクロリド【0067】【化40】(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンチオール(5.0 g,16.3mmol)を1,4−ジオキサン(50 ml)に溶解し、ここに5,5−ジメチル−1,3−ジクロロヒダントイン(1.6g,8.1 mmol)を加え室温で撹拌した。反応終了後、反応系をジエチルエーテル(100 ml)で希釈し、飽和食塩水(100 ml)で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100 ml)で5回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣に酢酸エチルを加えて、生じた結晶を瀘取し、表題化合物(2.5 g,45%)を得た。【0068】1H−NMR(CDCl3,270MHz)δ3.81(3H,s),6.85(2H,d,J=8.9 Hz),7.23(2H,d,J=10.2 Hz),7.34−7.35(12H,m).(原料合成例4)ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタンスルフェニルクロリド【0069】【化41】ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタンチオールをトルエンに溶解し、ここにローソン試薬を加え75℃まで昇温した。反応終了後、反応系を室温に戻した後、水で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し表題化合物を得た。(原料合成例5)5’−O−トリフェニルメタンスルフェニル−3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジン【0070】【化42】3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジン(2.0 g,5.6 mmol)をテトラヒドロフラン(16 ml)に溶解し、ここにリチウムヘキサメチルジシラジド(2.0 g,12.3 mmol)を加え室温で25分間撹拌した。ここにトリフェニルメタンスルフェニルクロリド(1.7 g,5.6 mmol)を加え室温下30時間撹拌後、反応系を酢酸エチル(50 ml)で希釈し、水(50 ml)1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し表題化合物(1.8 g,51%)を得た。【0071】1H−NMR(CDCl3,270MHz)δ0.10(6H,s),0.93(9H,s),1.92−1.20(1H,m),2.02(3H,s),2.25(1H,m),3.56(1H,dd,J=3.3 Hz,J=11.2Hz),3.60(1H,dd,J=3.0 Hz,J=11.2Hz),3,77(1H,m),4.15(1H,m),6.34(1H,t,J=6.3 Hz),7.36−7.47(12H,m),7.56(1H,s),8.26(1H,br).(原料合成例6)5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニル−3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジン【0072】【化43】3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジン(356 mg,1.0 mmol)をテトラヒドロフラン(7 ml)に溶解し、ここにリチウムヘキサメチルジシラジド(1.53 g,2.2 mmol)を加え室温で25分間撹拌した。ここに(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルクロリド(545 mg,1.6 mmol)を加え室温下1時間撹拌後、反応系に濃アンモニア水(1 ml)を加え室温で5分間撹拌した。反応系を酢酸エチル(20ml)で希釈し、飽和食塩水(20 ml)で3回洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し表題化合物(490 mg,74%)を得た。【0073】1H−NMR(CDCl3,270MHz)δ0.01(6H,s),0.83(9H,s),1.91(4H,m),2.14(1H,m),3.40(1H,d),3.52(1H,d),3,69(1H,m),3.81(3H,s),4.08(1H,m),6.25(1H,t,J=5.9 Hz),6.83(2H,d,J=8.2 Hz),7.23−7.35(12H,m),7.48(1H,s),8.33(1H,br).(原料合成例6)5’−O−ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタンスルフェニル−3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジン【0074】【化44】3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジンをテトラヒドロフランに溶解し、ここにリチウムヘキサメチルジシラジドを加え室温で25分間撹拌した。ここにビス(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルクロリドを加え室温下1時間撹拌後、反応系に濃アンモニア水を加え室温で5分間撹拌した。反応系を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で3回洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し表題化合物を得た。(原料合成例7)5’−O−トリフェニルメタンスルフェニルチミジン【0075】【化45】5’−O−トリフェニルメタンスルフェニル−3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジン(1.8g,2.9 mmol)をテトラヒドロフラン(15 ml)に溶解し、ここにテトラブチルアンモニウムフルオリド(834 mg,3.2 mmol)と酢酸(192 mg,3.2 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応系に水(100 ml)を加え、酢酸エチル(120 ml)で1回抽出した後、有機層を水(100 ml)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1−4:6)で精製し、表題化合物(1.1 g,73%)を得た。【0076】1H−NMR(CDCl3,270MHz)δ1.85(4H,m),2.14(1H,m),3.29(1H,dd,J=11.7 Hz,J=1.6 Hz),3.50(1H,dd,J=11.7 Hz,3.9 Hz),3,61(1H,m),3.92(1H,m),6.15(1H,t,J=7.8 Hz),7.10−7.32(15H,m),7.40(1H,s),8.12(1H,br).(原料合成例8)5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルチミジン【0077】【化46】5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニル−3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジン(792 mg,1.2mmol)をテトラヒドロフラン(4 ml)に溶解し、ここにテトラブチルアンモニウムフルオリド(390 mg,1.5 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応系を酢酸エチル(30 ml)で希釈し、飽和食塩水(20 ml)で3回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:6)で精製し、表題化合物(505 mg,75%)を得た。【0078】1H−NMR(CDCl3,270MHz)δ1.95(3H,m),2.00(1H,m),2.25(1H,m),3.42(1H,d,J=11.7 Hz),3.62(1H,dd,J= Hz,J=2.3 Hz),3,73(1H,m),3.82(3H,s),4.07(1H,m),6.26(1H,t,J=6.6 Hz),6.85(2H,d,J=8.6 Hz),7.24−7.35(12H,m),7.51(1H,s),8.33(1H,br).(原料合成例9)5’−O−ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタンスルフェニルチミジン【0079】【化47】5’−O−ビス(4−メトキシフェニル)フェニルメタンスルフェニル−3’−O−t−ブチルジメチルシリルチミジンをテトラヒドロフランに溶解し、ここにテトラブチルアンモニウムフルオリドを加え、室温で1時間撹拌した。反応系を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物を得た。(参考例1)(2−シアノエトキシ){5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルチミジン−3’−O−イル}N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイトを用いたペンタチミジル酸の合成ペンタチミジル酸は以下の工程に従い合成した。(1)市販の5’−O−4,4’−ジメトキシトリチルチミジンを担持したCPG固相担体(11 mg,0.5 μmol)をグラスフィルターに入れ、1%トリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液(0.5 ml)で3回洗浄した。(2)固相担体をアセトニトリル(0.5 ml)で3回洗浄した。(3)反応容器にアセトニトリル(0.13 ml)を加え、ここに(2−シアノエトキシ){5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルチミジン−3’−O−イル}N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト(7.5 mg,10μmol)と1H−テトラゾール(2.8 mg,40μmol)を加え室温で1分間振盪した。(4)上清を流しだし、固相担体をアセトニトリルで3回洗浄した。(5)反応容器に0.1 M ジメチルアミノピリジンのピリジン溶液と無水酢酸とを体積比9:1で混合した溶液を加え、室温で2分間振盪した。(6)上清を流しだし、固相担体をアセトニトリルで3回洗浄した。(7)反応容器にヨウ素をピリジンとアセトニトリルと水とを9:10:1の体積比で混合した溶媒に0.5Mになるように溶解した溶液を加え、室温で2分間振盪した。(8)(3)から(7)の操作を合計4回繰り返した。(9)反応容器に濃アンモニア水を加え室温で30分振盪した。(10)上清を集め減圧下濃縮した。(11)残渣を逆相高速液体クロマトグラフィー(Waters μBondasphere,アセトニトリル:0.1M酢酸アンモニウム=0:100から30:70、30分の均等勾配)で精製して目的物を得た。:保持時間12.5分、MALDI TOF−MASS [M+1]=1455。(参考例2)(2−シアノエトキシ){5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルチミジン−3’−O−イル}N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイトを用いたペンタチミジル酸ホスホロチオエートの合成ペンタチミジル酸ホスホロチオエートは以下の工程に従い合成した。(1)市販の5’−O−4,4’−ジメトキシトリチルチミジンを担持したCPG固相担体(11 mg,0.5 μmol)をグラスフィルターに入れ、1%トリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液(0.5 ml)で3回洗浄した。(2)固相担体をアセトニトリル(0.5 ml)で3回洗浄した。(3)反応容器にアセトニトリル(0.13 ml)を加え、ここに(2−シアノエトキシ){5’−O−(4−メトキシフェニル)ジフェニルメタンスルフェニルチミジン−3’−O−イル}N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト(7.5 mg,10μmol)と1H−テトラゾール(2.8 mg,40μmol)を加え室温で1分間振盪した。(4)上清を流しだし、固相担体をアセトニトリルで3回洗浄した。(5)反応容器に0.1 M ジメチルアミノピリジンのピリジン溶液と無水酢酸とを体積比9:1で混合した溶液を加え、室温で2分間振盪した。(6)上清を流しだし、固相担体をアセトニトリルで3回洗浄した。(7)反応容器に0.5 M テトラエチルチウラムジスルフィドのアセトニトリル溶液を加え、室温で15分間振盪した。(8)上清を流しだし、固相担体をアセトニトリルで3回洗浄した。(9)反応容器にヨウ素をピリジンとアセトニトリルと水とを9:10:1の体積比で混合した溶媒に0.5Mになるように溶解した溶液を加え、室温で2分間振盪した。(10)(3)から(9)の操作を合計4回繰り返した。(11)反応容器に濃アンモニア水を加え室温で30分振盪した。(12)上清を集め減圧下濃縮した。(13)残渣を逆相高速液体クロマトグラフィー(Waters μBondasphere,アセトニトリル:0.1M酢酸アンモニウム=0:100から30:70、30分の均等勾配)で精製して目的物を得た。【0080】【発明の効果】本発明は、新規なヌクレオシドホスホロアミダイド化合物を提供する。この化合物を核酸合成試薬として用いることにより、煩雑でかつデプリネーションを起こすおそれのあるDMTr基の脱保護工程を省略することができるようになる。 下記の一般式(I):(式中、R1はリン酸保護基を表し、R2は窒素原子上に炭素数1から5の同一若しくは異なるアルキル基がふたつ結合したジアルキルアミノ基〔ふたつのアルキル基が互いに結合して環を形成してもよい〕、又はモルホリン−1−イル基を表し、R3はアルコキシ基を有していてもよいトリチル基を表し、R4は水素又はO−R5〔但し、R5はtert-ブチリルジメチルシリル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル基、又はトリイソプロピルシリルオキシメチル基を表す。〕を表し、Bは保護基を有していてもよい核酸塩基の残基を表す。)で表されるヌクレオシドホスホロアミダイト化合物。 一般式(I)におけるR1が、メチル基、2−シアノエチル基、又は2−トリメチルシリルエチル基である請求項1記載のヌクレオシドホスホロアミダイト化合物。 一般式(I)におけるR3が、下記の一般式(II):(式中、R6、R7、R8は互いに同一または異なって、水素、炭素数1から10のアルコキシ基を表す。)で表される基である請求項1又は2記載のヌクレオシドホスホロアミダイト化合物。 一般式(I)におけるBが、下記の一般式(III)、(IV)、(V)、(VI)、又は(VII):(式中、R9は、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、4−tert−ブチルフェノキシアセチル基、又は4−イソプロピルフェノキシアセチル基を表す。)で表される基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヌクレオシドホスホロアミダイト化合物。 一般式(I)におけるR1が2−シアノエチル基で、R2がジイソプロピルアミノ基で、R3がトリチル基、4−メトキシトリチル基、又は4,4’−ジメトキシトリチル基で、R4が水素で、Bがチミン−1−イル基である請求項1記載のヌクレオシドホスホロアミダイト化合物。