タイトル: | 特許公報(B2)_ポリウレタン樹脂の分解回収方法 |
出願番号: | 2001178559 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C08J 11/14,C07C 41/18,C07C 43/13,C08J 11/24,C08L 75/04 |
児玉 勝久 村山 公一 長瀬 佳之 糟谷 文彦 JP 4505780 特許公報(B2) 20100514 2001178559 20010613 ポリウレタン樹脂の分解回収方法 三井化学株式会社 000005887 株式会社神戸製鋼所 000001199 岡本 寛之 100103517 児玉 勝久 村山 公一 長瀬 佳之 糟谷 文彦 20100721 C08J 11/14 20060101AFI20100701BHJP C07C 41/18 20060101ALI20100701BHJP C07C 43/13 20060101ALI20100701BHJP C08J 11/24 20060101ALI20100701BHJP C08L 75/04 20060101ALN20100701BHJP JPC08J11/14C07C41/18C07C43/13 DC08J11/24C08L75:04 C08J 11/14 C07C 41/18 C07C 43/13 C08J 11/24 C08L 75/04 特開平11−277029(JP,A) 特開2000−169624(JP,A) 特開2000−159925(JP,A) 特開平08−245825(JP,A) 4 2002363336 20021218 10 20071206 増田 健司 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、各種の産業製品として用いられるポリウレタン樹脂を化学的に分解し、ポリウレタン樹脂の原料であるポリオール化合物を回収する方法に関する。【0002】【従来の技術】ポリウレタン樹脂は、例えば、軟質、半軟質もしくは硬質ポリウレタンフォームとして、家具、寝具あるいは自動車のシートなどのクッション材や、電気冷蔵庫や建物などの断熱材などに広く用いられており、また、例えば、ポリウレタンエラストマーとして、靴底、タイヤもしくはベルトなどに広く用いられている。【0003】近年、地球環境保護、資源保護の立場から各種プラスチック製品のリサイクルが強く望まれるようになってきており、これらポリウレタン樹脂についても、その事情は同じであり、マテリアルリサイクル法、あるいは、ケミカルリサイクル法など種々のリサイクル法が検討され、一部で実用化されつつある。【0004】ポリウレタン樹脂のケミカルリサイクル法としては、例えば、グリコリシス法(グリコール分解法)、アミノリシス法(アミン分解法)、加水分解法などが知られている。【0005】グリコリシス法およびアミノリシス法は、分解剤としてグリコールやアミンを用いて、ポリウレタン樹脂中に存在するウレタン結合や尿素結合を切断し、交換反応により液状化するものである。しかし、これらグリコリシス法およびアミノリシス法では、分解剤として用いたグリコールやアミンが、新たにウレタン結合や尿素結合を生成して、ウレタン誘導体や尿素誘導体として液状分解物中に混在してしまうので、ポリウレタン樹脂の出発原料としてのポリオール化合物や、出発原料としてのイソシアネート化合物の中間体であるポリアミン化合物として、直接回収できるものではなく、例えば、アルキレンオキサイドを付加するなどの処理によって新規なポリオール化合物などとして回収できるに過ぎず、リサイクルの用途が限定されてしまう。【0006】一方、加水分解法としては、例えば、特開平10−310663号公報や特開2000−169624号公報に記載されるように、ポリウレタン樹脂を、高温高圧水または超臨界水を用いて加水分解する方法が提案されている。【0007】このような方法によれば、出発原料としてのポリオール化合物や、出発原料としてのイソシアネート化合物の中間体であるポリアミン化合物として、回収することができるので、リサイクルには有利となる。【0008】【発明が解決しようとする課題】しかるに、高温高圧水または超臨界水を用いて加水分解する方法では、分解生成物が、ポリオール化合物とポリアミン化合物との混合物として得られるので、分解されるポリウレタン樹脂の出発原料として、例えば、トリレンジイソシアネートなどの単純なイソシアネート化合物が用いられている場合には、その分解によってトリレンジアミンなどの単純なアミン化合物が生成するので、蒸留操作などによって、ポリオール化合物と分離した後、これを精製することにより、容易に出発原料としてリサイクルすることができる。【0009】しかし、例えば、硬質ポリウレタンフォームなどでは、出発原料としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)などの複雑なポリイソシアネート化合物が広く用いられており、このような硬質ポリウレタンフォームを、高温高圧水または超臨界水を用いて加水分解すると、ポリメチレンポリフェニルポリアミンなどの複雑なアミン化合物が生成するため、単純な蒸留操作などではポリオール化合物との分離が困難となり、分離および精製工程が煩雑となる。【0010】さらに、このような硬質ポリウレタンフォームにおいて、例えば、建材用途のものにあっては、トリスクロロエチルフォスフェート(TCEP)やトリスクロロプロピルフォスフェート(TCPP)などのリン酸エステル系の難燃剤が配合されているので、このようなリン酸エステル系の難燃剤が配合されている硬質ポリウレタンフォームを加水分解すれば、これらのリン酸エステル系の難燃剤も加水分解されてしまうので、その分離および精製工程がより一層煩雑となる。【0011】一方、硬質ポリウレタンフォームのリサイクルにあっては、オゾン層保護の見地から、国際的なフロン管理戦略において、断熱材用途の硬質ポリウレタンフォーム中に残存するフロンを回収することが要求されており、さらに、2001年4月から施行される家電リサイクル法では、電気冷蔵庫の回収が義務付けられるなど、そのリサイクルの必要性がますます重要になってきている。【0012】本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、出発原料として複雑なポリイソシアネート化合物が用いられており、加水分解すると複雑なアミン化合物が生成するようなポリウレタン樹脂であっても、ポリオール化合物と容易に分離して、そのポリオール化合物を良好に回収することのできるポリウレタン樹脂の分解回収方法を提供することにある。【0013】【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により得られるポリウレタン樹脂を、高温高圧状または超臨界状の炭素数1〜4の1価アルコールを用いて分解し、得られた分解生成物から、固体として析出するポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体と、液状のポリオール化合物とを分離することにより、ポリオール化合物を回収することを特徴としている。【0014】また、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法においては、ポリウレタン樹脂を、150℃以上260℃未満のメタノールを用いて分解することが好ましく、また、ポリウレタン樹脂に低分子量ポリオールを配合した後、分解することが好ましい。【0015】また、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法においては、ポリウレタン樹脂が硬質ポリウレタンフォームであることが好ましい。【0016】【発明の実施の形態】本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法では、まず、ポリウレタン樹脂を、高温高圧状または超臨界状のアルコールを用いて分解する。【0017】本発明の方法において、分解の対象とされるポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により得られる合成高分子化合物である。【0018】ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)などの芳香族ジイソソシアネート、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族ジイソシアネート、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)などの脂環族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、および、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)などが挙げられる。【0019】また、ポリオール化合物としては、低分子量ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、キシレングリコールなどの低分子量ジオール、例えば、グリセリン、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパンなどの低分子量トリオール、例えば、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール、D−マンニットなどの水酸基を4個以上有する低分子量ポリオールなどが挙げられる。また、高分子量ポリオールとして、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが挙げられる。【0020】そして、そのようなポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応によって得られるポリウレタン樹脂としては、例えば、軟質、半硬質あるいは硬質ポリウレタンフォームや、注型あるいは熱可塑ポリウレタンエラストマーなどが挙げられる。【0021】 本発明の方法は、このようなポリウレタン樹脂のなかでも、とりわけ、ポリイソシアネート化合物として、複雑なポリイソシアネート化合物であるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)が用いられるポリウレタン樹脂、より具体的には、硬質ポリウレタンフォームを分解して、ポリオール化合物を回収する。【0022】硬質ポリウレタンフォームは、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)と、ポリオキシアルキレンポリオール(ポリオキシエチレンポリオールおよび/またはポリオキシプロピレンポリオール)との発泡反応によって成形されているものが広く用いられており、難燃用途においては、例えば、トリスクロロエチルフォスフェート(TCEP)やトリスクロロプロピルフォスフェート(TCPP)などのリン酸エステル系の難燃剤が配合されている。【0023】分解に用いられる硬質ポリウレタンフォームとしては、より具体的には、例えば、製造工程において発生するフォーム屑(切り欠きフォーム、ばり、空気抜き穴などからの洩れフォーム、品質管理などのためのフリー発泡フォーム、不良品など)や、使用済みの各種産業製品(産業機器、家具、建材など)から回収された回収フォームなどが挙げられる。【0024】また、分解に用いるポリウレタン樹脂の形状は、特に制限はなく、例えば、硬質ポリウレタンフォームにおいては、上記したフォーム屑や回収フォームをそのまま用いてもよいが、例えば、断熱材として用いられる低密度のフォームでは、予め熱プレスなどで圧縮することにより、容積を低減しておくことが好ましい。【0025】なお、各種の法規制から、断熱材用途の硬質ポリウレタンフォーム中に残存するフロンを回収する場合には、硬質ポリウレタンフォームを微粉砕する場合があるが、そのように微粉砕された硬質ポリウレタンフォームを、そのまま用いてもよい。【0026】そして、本発明の方法では、このようなポリウレタン樹脂を、高温高圧状または超臨界状のアルコールを用いて分解する。【0027】この分解においては、まず、分解に先立って、ポリウレタン樹脂に低分子量ポリオールを配合することにより、ポリウレタン樹脂を流動化ないし液状化させてもよい。流動化ないし液状化させることにより、次に詳述する分解工程において、耐圧容器内への導入が容易で、連続的な導入が可能となるので、例えば、ポリウレタン樹脂の流動物ないし液状物とアルコールとを、連続的に耐圧容器内に導入して、連続的な分解反応を達成することができる。また、流動化ないし液状化すれば、ポリウレタン樹脂中に、繊維、皮革、合成皮革、他のプラスチック、金属などの異物、より具体的には、家電リサイクルプラントなどから回収された硬質ポリウレタンフォーム中に含まれるシーリングテープや他のプラスチック片などの異物が含まれている場合には、これをろ過により容易に除去することができる。【0028】低分子量ポリオールとしては、上記した低分子量ポリオールと同様のものが挙げられ、ポリウレタン樹脂1重量部に対して、0.5〜2重量部の割合で用いることが好ましい。また、流動化ないし液状化するには、例えば、150〜220℃で加熱しつつ撹拌することが好ましい。【0029】 高温高圧状または超臨界状のアルコールとしては、炭素数1〜4の1価アルコール、好ましくは、メタノールおよびエタノール、さらに好ましくは、メタノールが用いられる。【0030】メタノールは、常圧下においては64.7℃で沸点に達するが、加圧下においてはなお液状を維持し、その臨界点が、臨界温度240℃で、臨界圧力76.93MPaである。【0031】そのため、例えば、メタノールを用いてポリウレタン樹脂を分解する場合には、より具体的には、耐圧容器中において、ポリウレタン樹脂に、メタノールを、150℃以上260℃未満、好ましくは、170℃以上250℃未満、さらに好ましくは、180〜245℃の高温高圧状または超臨界状で接触させればよい。分解温度が150℃より低いと、分解反応が遅く処理に長時間を要する場合がある。一方、分解温度が260℃以上であると、ポリオール化合物自体の分解やポリイソシアネート化合物の重合反応など、好ましくない反応が生じる場合がある。【0032】また、圧力は、分解反応自体に直接影響するものではないが、要するに、分解温度においてメタノールが液状であるか、あるいは、超臨界状態を維持するのに十分な圧力以上であればよい。【0033】ポリウレタン樹脂とアルコールとの混合割合は、ポリウレタン樹脂の種類や形状などによって適宜選択されるが、例えば、ポリウレタン樹脂とアルコールとを直接接触させる場合には、アルコールの使用量が、ポリウレタン樹脂1重量部に対して、1〜30重量部、さらには、2〜20重量部であればよく、また、上記したように、ポリウレタン樹脂に予め低分子量ポリオールを配合している場合には、アルコールの使用量を、ポリウレタン樹脂1重量部に対して、0.5〜15重量部、さらには、1〜10重量部に低減することができる。【0034】そして、このような分解によって、ポリウレタン樹脂中のウレタン結合が次式のように解裂して、分解生成物として、ポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体とポリオール化合物との混合物が生成する。【0035】R1-NHCOO-R2- + R3-OH → R1-NHCOO-R3 + -R2-OHなお、このような分解反応に先立って、酸化反応などを防止する目的で、耐圧容器内を、乾燥窒素ガスなどによって置換または封入しておくことが好ましい。【0036】また、このような分解は、上記したように、耐圧容器中においてバッチ方式で直接加熱分解してもよく、また、ポリウレタン樹脂とアルコールとを配合することにより、スラリー化、流動化もしくは液状化した後、これを分解管に連続フィードすることによって、連続式で加熱分解してもよい。【0037】次いで、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法においては、このような分解によって生成した分解生成物中からポリオール化合物を回収する。【0038】 ポリオール化合物を回収する方法は、得られた分解生成物から、まず、アルコールを蒸発回収した後、次いで、固体として析出するポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体と、液状のポリオール化合物とを、遠心分離や抽出などによって分離する。ポリオール化合物とポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体とを、工業的に遠心分離するには、例えば、連続遠心分離型の遠心分離器を用いればよい。また、ポリオール化合物とポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体の混合液から、工業的にポリオール化合物を抽出するには、例えば、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族系の有機溶媒を抽出溶媒として用いればよい。【0039】なお、ポリウレタン樹脂を予め低分子量ポリオールに溶解した場合には、その低分子量ポリオールを、アルコールの蒸発回収に続いて、蒸発回収してもよいが、通常、ポリオール化合物が低分子量ポリオールに溶解しているため、まず、アルコールを蒸発回収した後、固体として析出するポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体を、ろ過などによって除去し、その後、低分子量ポリオールを蒸発回収すれば、ポリオール化合物を容易に回収することができる。【0040】なお、固体として得られるポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体は、そのまま粉砕してフィラーなどの用途に用いるか、あるいは、さらに、これを高温高圧水や超臨界水で加水分解して、出発原料のポリイソシアネート化合物の中間体であるポリアミン化合物として回収し、このポリアミン化合物を、ポリオキシアルキレンポリオールの反応開始剤として用いるか、または、ホスゲン化してポリウレタン樹脂の出発原料であるポリイソシアネート化合物として再び用いてもよい。【0041】 このような本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法によれば、出発原料として、複雑なポリイソシアネート化合物であるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)が用いられていても、分解されたポリイソシアネート化合物は、分解回収工程において、固体のポリイソシアネート化合物のアルキルウレタン誘導体として析出するので、液状のポリオール化合物は、その固体として析出されるポリイソシアネート化合物のアルキルウレタン誘導体と容易に分離して回収することができる。そのため、簡易な分離および精製工程によって、出発原料と同じポリオール化合物を容易に回収することができる。【0042】また、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法によれば、ポリウレタン樹脂に、リン酸エステル系の難燃剤などが配合されていても、リン酸エステル系の難燃剤は、加水分解の影響を受けることがないので、回収されたポリオール化合物には、そのようなリン酸エステル系の難燃剤の加水分解に起因する品質の低下がなく、高品質のポリオール化合物として、再び使用することができる。【0043】これらのことから、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法は、とりわけ、出発原料としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが広く用いられており、また、リン酸エステル系の難燃剤がよく配合されている硬質ポリウレタンフォームの分解回収に好適に用いることができる。【0044】そのため、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法によれば、断熱材として使用されフロンが回収された後の硬質ポリウレタンフォームや、電気冷蔵庫などから回収される硬質ポリウレタンフォームを、効率よくリサイクルすることができる。【0045】【実施例】以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されるものではない。【0046】製造例1ポリオールA 50 重量部ポリオールB 50 重量部整泡剤(B−8462) 1.5重量部触媒(TMHDA) 1.5重量部純水 0.5重量部発泡剤(HCFC−141b) 30 重量部PMDI 130 重量部ポリオールA:蔗糖およびグリセリンを開始剤として、これにプロピレンオイサイドを付加することによって得られるOH価450mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールポリオールB:トリレンジアミンおよびトリエタノールアミンを開始剤として、これにプロピレンオイサイドを付加することによって得られるOH価460mgKOH/gのポリオキシアルキレンポリオールB−8462:ゴールドシュミット社製、シリコン系界面活性剤TMHDA:テトラメチルヘキサメチレンジアミンPMDI:三井化学社製、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート上記の処方において、PMDI以外の成分を、予め上記割合にて混合してプレミックスを調製し、25℃に温度調整後、これに、25℃に温度調整されたPMDIを加えて、高速ミキサーで5秒間撹拌後、離型紙を敷設した木製ボックスに注入することにより、フリー発泡フォームとして硬質ポリウレタンフォームを得た。この硬質ポリウレタンフォームの密度は、30kg/m3であった。【0047】得られた硬質ポリウレタンフォームを裁断後、180℃に加熱したプレスにかけて、その容積を約1/10に圧縮することにより、分解用サンプルとして調製した。【0048】実施例1温度計および圧力計を備えた内容量550mLのオートクレーブ中に、上記で得られた硬質ポリウレタンフォーム約25gとメタノール245gとを仕込み、外部から220℃まで加熱し、この状態で30分間保持した。この間、温度は最高228℃、圧力は最高5.8MPaを示した。【0049】オートクレーブを室温まで冷却した後、内容物をガラス瓶に取り出したところ、黒褐色の透明な液が得られた。また、オートクレーブ中にも固形分は全く認められなかった。【0050】得られた液の一部をナス型スラスコに採取し、ロータリーエバポレータを用いてメタノールを除去後、NMRおよびGPCを用いて、ナス型スラスコ内に残る不揮発分を分析した。その結果、NMRによる分析では、ウレタン結合に直結するメチンのピークが消失し、一方で、メチルウレタンに基づくメチルのピークが認められた。また、GPCによる分析では、ポリオールA、ポリオールBおよびPMDIのメチルウレタン化物に相当するピーク以外に高分子量化合物は認められなかった。この結果より、硬質ポリウレタンフォームは、完全に分解されていることが判明した。【0051】続いて、得られた不揮発分を遠心分離して、固体状物と液状物とに分別した後、液状物をGPCを用いて分析したところ、ポリオールAおよびポリオールBに相当するピーク以外に高分子量化合物は認められなかった。この結果より、遠心分離によってポリオールAおよびポリオールBを容易に回収できることが判明した。【0052】実施例2硬質ポリウレタンフォーム約25gとメタノール25gとを仕込み、外部から198〜203℃まで加熱し、この状態で30分間保持した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。オートクレーブから内容物をガラス瓶に取り出したところ、黒褐色の透明な液が得られた。また、オートクレーブ中にも固形分は全く認められなかった。この黒褐色の透明な液の一部を、実施例1と同様に分析した結果、実施例1と同様に硬質ポリウレタンフォームが完全に分解されていること、および、遠心分離によってポリオールAおよびポリオールBを容易に回収できることが判明した。【0053】実施例3硬質ポリウレタンフォーム約15gとメタノール150gとを仕込み、外部から245℃(実測値:240〜248℃、最高圧力:8.0MPa)まで加熱し、この状態で30分間保持した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。オートクレーブから内容物をガラス瓶に取り出したところ、黒褐色の透明な液が得られた。また、オートクレーブ中にも固形分は全く認められなかった。この黒褐色の透明な液の一部を、実施例1と同様に分析した結果、実施例1と同様に硬質ポリウレタンフォームが完全に分解されていること、および、遠心分離によってポリオールAおよびポリオールBを容易に回収できることが判明した。【0054】実施例4硬質ポリウレタンフォーム約25gとメタノール245gとを仕込み、外部から260℃(実測値:259〜263℃、最高圧力:8.9MPa)まで加熱し、この状態で30分間保持した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。オートクレーブから内容物をガラス瓶に取り出したところ、黒褐色の液が得られた。この黒褐色の液の一部を、実施例1と同様に分析した結果、実施例1と同様に硬質ポリウレタンフォームが完全に分解されていること、および、遠心分離によってポリオールAおよびポリオールBを容易に回収できることが判明した。一方、この黒褐色には、やや濁りが見られ、2日間放置するとガラス瓶の底に、黒色粘稠物が析出した。これをNMRにより分析した結果、PMDIのメチルウレタン化物の重合物であることが判明した。また、GPCによる分析では、ベンゼン環1個分に相当する低分子物のピークが認められた。【0055】実施例5硬質ポリウレタンフォーム約25gとメタノール245gとを仕込み、外部から145℃まで加熱し、この状態で30分間保持した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。オートクレーブから内容物をガラス瓶に取り出したところ、黒褐色の透明な液が得られたが、その液中に未分解物が確認された。なお、この黒褐色の液の一部を、実施例1と同様に分析した結果、実施例1と同様に硬質ポリウレタンフォームが完全に分解されていること、および、遠心分離によってポリオールAおよびポリオールBを容易に回収できることが判明した。【0056】実施例6温度計、攪拌器、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた4つ口フラスコ中に、ジエチレングリコール100gを仕込み、外部から加熱して190℃に昇温した。この液中に、上記で得られた硬質ポリウレタンフォーム100gを、1時間にわたって添加し、添加終了後、200℃で2時間撹拌して、黒色粘稠液状物を得た。【0057】温度計および圧力計を備えた内容量550mLのオートクレーブ中に、上記で得られた黒色粘稠液状物25gとメタノール150gとを仕込み、外部から220℃(実測値:221〜225℃、最高圧力:5.9MPa)まで加熱し、この状態で30分間保持した。オートクレーブを室温まで冷却した後、内容物をガラス瓶に取り出したところ、黒褐色の透明な液が得られた。また、オートクレーブ中にも固形分は全く認められなかった。この黒褐色の透明な液の一部を、実施例1と同様に分析した結果、実施例1と同様に硬質ポリウレタンフォームが完全に分解されていること、および、遠心分離によってポリオールAおよびポリオールBを容易に回収できることが判明した。【0058】【発明の効果】 以上述べたように、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法によれば、出発原料として、複雑なポリイソシアネート化合物であるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)が用いられていても、簡易な分離および精製工程によって、出発原料と同じポリオール化合物を容易に回収することができる。【0059】また、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法によれば、ポリウレタン樹脂に、リン酸エステル系の難燃剤などが配合されていても、回収されたポリオール化合物には、そのようなリン酸エステル系の難燃剤の加水分解に起因する品質の低下がなく、高品質のポリオール化合物として、再び使用することができる。【0060】そのため、本発明のポリウレタン樹脂の分解回収方法は、とりわけ、出発原料としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが広く用いられており、また、リン酸エステル系の難燃剤がよく配合されている硬質ポリウレタンフォームの分解回収に好適に用いることができる。 ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含むポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により得られるポリウレタン樹脂を、高温高圧状または超臨界状の炭素数1〜4の1価アルコールを用いて分解し、 得られた分解生成物から、固体として析出するポリイシソアネート化合物のアルキルウレタン誘導体と、液状のポリオール化合物とを分離することにより、ポリオール化合物を回収することを特徴とする、ポリウレタン樹脂の分解回収方法。 ポリウレタン樹脂を、150℃以上260℃未満のメタノールを用いて分解することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン樹脂の分解回収方法。 ポリウレタン樹脂に低分子量ポリオールを配合した後、分解することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂の分解回収方法。 ポリウレタン樹脂が硬質ポリウレタンフォームであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂の分解回収方法。