タイトル: | 特許公報(B2)_(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造法 |
出願番号: | 2001175193 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07D 211/46,C08F 2/40,C07B 61/00 |
丸山 博秀 中塚 雅士 JP 4225707 特許公報(B2) 20081205 2001175193 20010611 (メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造法 日本乳化剤株式会社 390014856 中田 ▲やす▼雄 100092716 津国 肇 100078662 丸山 博秀 中塚 雅士 JP 2000181566 20000616 20090218 C07D 211/46 20060101AFI20090129BHJP C08F 2/40 20060101ALI20090129BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090129BHJP JPC07D211/46C08F2/40C07B61/00 300 C07D 211/46 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開平03−251569(JP,A) 特開平11−140050(JP,A) 特開平11−140049(JP,A) 英国特許出願公開第01064457(GB,A) 特開昭63−005054(JP,A) 特開昭55−130937(JP,A) 特開昭54−076517(JP,A) Sun, Ruo-Na,Synthesis of 2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidinyl methacrylate,Huaxue Tongbao,1980年,(6), 338-9 Wang, Yu-kun,Synthesis of several polymer light stabilizers,Xi'an Shiyou Xueyuan Xuebao,1997年,12(2), 47-49 Zhao, Rui-Nian,Studies on the copolymerization of 2,2,6,6-tetramethylpiperidinyl acrylates. (II),Gaofenzi Tongxun,1981年,(1), 42-6 7 2002179653 20020626 10 20040423 安藤 倫世 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、他のモノマーと共重合できる反応性の光安定剤として有用な(メタ)アクリル酸(メタクリル酸またはアクリル酸、以下同じ)ピペリジルエステル誘導体の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】太陽光線に含まれる紫外線が高分子化合物の分子を切断して劣化させることは良く知られている。これを防ぐためプラスチック、繊維、塗料など高分子化合物からなる製品に光安定剤や紫外線吸収剤等が添加されている。特にヒンダードアミン系光安定剤(HALS: Hindered Amine Light Stabilizer)は紫外線を殆ど吸収しないが、紫外線によって生じたハイドロパーオキサイドを分解し、有害なフリーラジカルを効率良く捕捉することによって高分子材料の劣化を防止する機能を持っている。HALSのうち、2,2,6,6-テトラメチルピペラジン誘導体と(メタ)アクリル酸とのエステル誘導体、すなわち(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体は、重合性二重結合を有しており、単独重合または他のモノマーと共重合することが可能なので、反応性HALSと呼ばれ、高分子量のHALSの原料となる他、共重合させてHALSを樹脂中に組み込んだ組み込み型高分子の原料とすることもできる。【0003】このような反応性HALSは、従来の低分子量の添加型HALSと比べ、非溶出性、非揮発性等の特長を有しているため注目されている。さらに、着色のすくない反応性HALSが透明性や淡色性の要求される高分子形成材料や塗料等の高分子コーティング材料に適用するために必要になってきている。【0004】【発明が解決しようとする課題】(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法としては、従来よりエステル交換反応による方法が使用されている。例えば、特開平11−140049号公報にはヒドロキシピペリジン類及び(メタ)アクリル酸エステル類をエステル交換反応に付し、次いでアルカリ処理することを特徴とする方法が記載されている。しかし、着色性の少ない高純度の製品を得るためには更に工業的に煩雑な蒸留工程を必要としている。【0005】本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、一般式(I)を有するヒドロキシピペリジン類を一般式(II)を有する(メタ)アクリル酸エステル類とエステル交換反応に付し、反応終了後にリン酸塩で処理することにより、一般式(III)を有する(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体が、工業的に煩雑な蒸留工程を経ることなく、着色が少なく、高収率、高純度で製造されることを見出し、本発明を完成した。【0006】【課題を解決するための手段】本発明は、下記の(1)乃至(9)の製造方法である。(1) 一般式(I)【0007】【化4】【0008】(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す)を有するヒドロキシピペリジン類及び一般式(II)【0009】【化5】【0010】(式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数1乃至6個のアルキル基を示す)を有する(メタ)アクリル酸エステル類を、触媒および重合禁止剤の存在下にエステル交換反応に付し、次いでリン酸塩で処理することを特徴とする一般式(III)【0011】【化6】【0012】(式中、R1及びR2は前述と同意義を示す)を有する(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(2) (1)において、触媒がオルトチタン酸テトラアルキルエステル類である(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(3) (1)において、触媒がオルトチタン酸テトライソプロピルである(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(4) (1)乃至(3)において、重合禁止剤が水溶性の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル類を含む(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(5) (1)乃至(3)において、重合禁止剤が4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルを含む(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(6) (1)乃至(5)において、リン酸塩が第二リン酸ナトリウム水溶液または第二リン酸カリウム水溶液である(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(7) (1)乃至(5)において、リン酸塩が第二リン酸ナトリウム水溶液である(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(8) (1)乃至(7)において、R1が水素原子またはメチル基であり、R2が水素原子であり、R3がメチル、エチル又はブチル基であるアクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。(9) (1)乃至(7)において、R1が水素原子またはメチル基であり、R2がメチル基であり、R3がメチル基であるメタアクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。【0013】【発明の実施の形態】一般式(I)を有するヒドロキシピペリジン類としては、R1が水素原子である4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンおよびR1がメチル基である4-ヒドロキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンがあげられる。これらヒドロキシピペリジン類は水和物であってもよい。【0014】一般式(II)を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、R3がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル基のような炭素数1乃至6個のアルキル基であるアクリル酸およびメタクリル酸のアルキルエステルがあげられるが、好適にはR3がメチル、エチル、プロピルまたはブチル基である炭素数1乃至4個のアルキルエステルである。R2がメチル基であるメタクリル酸エステル類の場合、特に好適にはR3がメチル基であるエステルである。R2が水素原子であるアクリル酸エステルの場合、特に好適にはR3がメチル、エチル又はブチル基であるエステルであり、最も好適にはR3がメチル基であるエステルである。これら(メタ)アクリル酸エステル類は重合禁止剤を包含していてもよい。【0015】ヒドロキシピペリジン類と(メタ)アクリル酸エステル類のモル比は、反応時間の短縮および反応転化率の向上ため、通常、ヒドロキシピペリジン類1モルに対し(メタ)アクリル酸エステルを3乃至6モルの範囲で使用することが好ましく、特に好適には4乃至5モル使用することが好ましい。【0016】触媒としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのようなアルカリ金属炭酸化物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドのようなアルカリ金属アミド;またはオルトチタン酸テトラメチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラプロピル、オルトチタン酸テトライソプロピル、オルトチタン酸テトラブチル、オルトチタン酸テトライソブチルのようなオルトチタン酸テトラアルキル(炭素数1乃至4個)エステルをあげることができる。これらの触媒のうち、好適にはアルカリ金属アミドおよびオルトチタン酸テトラアルキル(炭素数1乃至4個)エステルがあげられ、特に好適にはオルトチタン酸テトラアルキル(炭素数1乃至4個)エステルである。【0017】触媒の使用量はヒドロキシピペリジン類に対して0.1乃至2モル%が好適であり、特に好適には0.3乃至0.7モル%である。【0018】重合禁止剤としては、例えば4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルのような2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル類;ジエチルヒドロキシルアミンのようなヒドロキシアミン類;ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルのようなヒドロキノン類;4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルトルエン(BHT)のようなヒンダードフェノール類;パラベンゾキノンのようなキノン類;フェノチアジン類;ジフェニルアミン類などがあげられ、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。【0019】これらのうち水溶性の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル類(特に4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)単独またはこれを含む他の重合禁止剤との組み合わせが好適である。組み合わせとしては、例えば4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、ジエチルヒドロキシアミン及びヒドロキノンモノメチルエーテルの組み合わせ;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、ジエチルヒドロキシルアミン、4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルトルエン(BHT)及びヒドロキノンモノメチルエーテルの組み合わせを挙げることができる。【0020】2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル類(特に4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)を重合禁止剤として使用する場合、エステル交換反応の出発原料であるヒドロキシピペリジン類に対して10 ppm乃至500 ppm使用する事が好ましい。【0021】エステル交換反応としては、有機合成化学の分野で通常使用されている方法を使用することができる。【0022】エステル交換反応において、反応液の重合防止のため少量の分子状酸素を吹き込むことができる。分子状酸素としては希釈された状態で使用するのが好ましく、特に好適には空気が用いられる。空気の吹き込み速度は、出発原料であるヒドロキシピペリジン類1モルに対して5乃至500 ml/minの速度で吹き込むことが好ましい。【0023】エステル交換反応では、反応に関与しない不活性溶剤を使用することもできる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の芳香族及び脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類をあげることができる。最も好適には(メタ)アクリル酸エステル類をヒドロキシピペリジン類に対して溶剤を兼ねて過剰に使用することであり、その好適な(メタ)アクリル酸エステルのヒドロキシピペリジン類に対するモル比は前述の通りである。【0024】エステル交換反応は、常圧または減圧下で60乃至120℃で行うのが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルとアルコール類のエステル交換反応により(メタ)アクリル酸エステルを製造する公知の方法を採用することができる。この方法では、原料アルコール類(本発明の場合、ヒドロキシピペリジン類)との転換率を高めるため、副生する(メタ)アクリル酸エステル由来のアルコールを原料の(メタ)アクリル酸エステルまたは溶剤とともに共沸蒸留することにより系外に留去しながら反応を行うことが好ましい。【0025】本発明は、上記のエステル交換反応により得た反応液をリン酸塩で処理することを特徴とする。【0026】リン酸塩処理に際しては、反応液に直接0.2乃至10%のリン酸塩水溶液を加えて反応を停止と触媒の不溶化も同時に行う。このようなリン酸塩としては好適には第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第一リン酸ソーダ、第一リン酸カリおよびこれらの混合物があげられる。特に好適には2乃至8%の第二リン酸ソーダおよび第二リン酸カリ水溶液、2乃至8%の第一リン酸ソーダおよび第一リン酸カリ水溶液およびこれらの混合物である。また、リン酸塩水溶液の反応液への添加は原料及び生成物の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の分解反応を防止するため70℃以下で行うことが好ましい。【0027】本発明においては、リン酸塩添加後、水を加え、分液により下層を不溶物と共に取り除き、上層をさらに二度水洗する。得られた上層を濾過補助剤の存在下濾過し、減圧下過剰の原料である(メタ)アクリル酸エステルの留去および脱水を行い、蒸留することなしに着色の少ない目的の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体を得るができる。【0028】濾過補助剤としては特に限定はないが、セライト、活性炭、ガレオンアースV2、キョーワード2015, 500SH,600S及びこれらの組み合わせが好適であり、特に、ガレオンアースV2とキョ−ワード500SHの組み合わせが最も好適である。【0029】このようにして得られた着色の少ない目的の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体のハーゼン色数(APHA)は20乃至10であり、特開平11−140049号の実施例1に記載された化合物のハーゼン色数(APHA)70に比べ、著しく改善されており、蒸留することなく製品として使用できる。【0030】なお、本発明によるリン酸塩で処理する方法は(メタ)アクリル酸エステルと本発明以外の他のアルコールとのエステル交換反応、若しくは(メタ)アクリル酸と本発明以外の他のアルコールとのエステル化反応においても着色の少ない(メタ)アクリル酸エステルを製造するのに有用である。【0031】【実施例】以下、実施例をあげて説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。尚、本実施例において%とあるのは重量%である。【0032】(実施例1)攪拌機、温度計、空気導入管及び精留塔を取り付けた反応釜(100L)に4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン・1水和物21.96kg(116モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル10ppmを含むメタクリル酸メチル58.0kg(580モル、モル比5.0)、ジエチルヒドロキシアミン11.5g(500ppm)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル3.30g(150ppm)、を仕込み、乾燥空気を0.8L/minの速度で吹き込みながらメタノール0.1kgを加え、加熱還流し、系内の水分を除去した。次にオルトチタン酸イソプロピル(チタンテトライソプロポキシド)197.6g(0.6モル%)を加えた。【0033】反応中、ヒドロキノンモノメチルエーテル10ppmを含むメタクリル酸メチル3.8kgを塔頂滴下した。釜温度は84乃至95℃、塔頂温度53乃至77℃の範囲になるよう還流比を調節してメタノールをメタクリル酸メチルとの共沸物として535乃至485mmHgの減圧下留去しながら反応を行った。8時間後、反応液をガスクロマトグラフィー分析したところ反応率は99.43%となったので反応を終了した。【0034】反応液を60乃至64℃に冷却し、攪拌下、5%第二リン酸ソーダ2.85kgを1時間かかって滴下し、次いで水2.85Lを1時間かかって滴下した。滴下後、1時間静置し、下層(水層)を抜き出した。上層を水5.7Lで二回水洗した。上層にガレオンアースV2(水澤化学工業(株))0.027kg及びキョーワード500SH(協和化学工業(株))0.133kgを加え、釜温度66乃至72℃で約25mmHg減圧下9時間50分低沸物の留去及び脱水を行い、次いで濾過することにより1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル メタクリレート24.52kg(収率91.2%)を得た。製品のガスクロマト純度は99.55%であり、又、色相はハーゼン色数(APHA)15であった。【0035】(実施例2)実施例1と同様に4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン・1水和物98.0g(0.52モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル10ppmを含むメタクリル酸メチル260.0g(2.6モル、モル比5.0)、ジエチルヒドロキシルアミン98mg(1000ppm)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル9.8mg(100ppm)、を仕込み、乾燥空気を20mL/minの速度で吹き込みながら加熱還流し、系内の水分を除去した。次にオルトチタン酸イソプロピル(チタンテトライソプロポキシド)0.89g(0.6モル%)を加えた。釜温度は84乃至95℃、塔頂温度53乃至77℃の範囲になるよう還流比を調節してメタノールをメタクリル酸メチルとの共沸物として600乃至530mmHgの減圧下留去しながら4時間反応を行った。【0036】反応液を60乃至64℃に冷却し、攪拌下、5%第二リン酸ソーダ13.3gを滴下し、次いで水13.3mLを滴下した。滴下後、1時間静置し、下層(水層)を抜き出した。上層を水26.6mLで二回水洗した。上層にガレオンアースV2(水澤化学工業(株))0.12g及びキョーワード500SH(協和化学工業(株))0.62gを加え、釜温度66乃至72℃で約25mmHg減圧下1時間50分低沸物の留去及び脱水を行い、次いで濾過することにより1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル メタクリレート116.6gを得た。この物の色相はハーゼン色数(APHA)20であった。【0037】(実施例3)実施例2と同様に4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン・1水和物98.0g(0.52モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル10ppmを含むメタクリル酸メチル260.0g(2.6モル、モル比5.0)、ジエチルヒドロキシルアミン49mg(500ppm)、4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t−ブチルトルエン(BHT)9.8mg(100ppm)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル9.8mg(100ppm)、を仕込み、乾燥空気を20mL/minの速度で吹き込みながら加熱還流し、系内の水分を除去した。次にオルトチタン酸イソプロピル(チタンテトライソプロポキシド)0.89g(0.6モル%)を加えた。釜温度は84乃至95℃、塔頂温度53乃至77℃の範囲になるよう還流比を調節してメタノールをメタクリル酸メチルとの共沸物として475乃至470mmHgの減圧下留去しながら、4時間反応を行った。【0038】反応液を60乃至64℃に冷却し、攪拌下、5%第二リン酸ソーダ13.3gを滴下し、次いで水13.3mLを滴下した。滴下後、1時間静置し、下層(水層)を抜き出した。上層を水26.6mLで二回水洗した。上層にガレオンアースV2(水澤化学工業(株))0.12g及びキョーワード500SH(協和化学工業(株))0.62gを加え、釜温度66乃至72℃で約25mmHg減圧下1時間50分低沸物の留去及び脱水を行い、次いで濾過することにより1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル メタクリレート113.7gを得た。この物の色相はハーゼン色数(APHA)20であった。【0039】(実施例4)実施例2と同様に4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン・1水和物196.0g(1.04モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル10ppmを含むメタクリル酸メチル520.0g(5.2モル、モル比5.0)、ジエチルヒドロキシルアミン98mg(500ppm)、4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t−ブチルトルエン(BHT)19.6mg(100ppm)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル2.0mg(10ppm)、を仕込み、乾燥空気を20mL/minの速度で吹き込みながら加熱還流し、系内の水分を除去した。次にオルトチタン酸イソプロピル(チタンテトライソプロポキシド)1.48g(0.5モル%)を加えた。釜温度は98乃至99℃、塔頂温度60乃至85℃の範囲になるよう還流比を調節してメタノールをメタクリル酸メチルとの共沸物として620乃至540mmHgの減圧下留去しながら、4時間20分反応を行った。【0040】反応液を80乃至84℃に冷却し、攪拌下、5%第二リン酸ソーダ22.2gを滴下し、次いで水22.2mLを滴下した。滴下後、1時間静置し、下層(水層)を抜き出した。上層を水44.4mLで二回水洗した。上層にガレオンアースV2(水澤化学(株))0.25g及びキョーワード500SH(協和化学工業(株))1.24gを加え、釜温度約60℃で約25mmHg減圧下1時間50分低沸物の留去及び脱水を行い、次いで濾過することにより1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル メタクリレート232.5gを得た。この物の色相はハーゼン色数(APHA)10であった。【0041】(実施例5)実施例2と同様に4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン・1水和物196.0g(1.04モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル10ppmを含むメタクリル酸メチル520.0g(5.2モル、モル比5.0)、ジエチルヒドロキシアミン98mg(500ppm)、4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t−ブチルトルエン(BHT)19.6mg(100ppm)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル3.9mg(20ppm)を仕込み、乾燥空気を20mL/minの速度で吹き込みながら加熱還流し、系内の水分を除去した。次にオルトチタン酸イソプロピル(チタンテトライソプロポキシド)1.48g(0.5モル%)を加えた。釜温度は98〜99℃、塔頂温度60乃至89℃の範囲になるよう還流比を調節してメタノールをメタクリル酸メチルとの共沸物として600乃至520mmHgの減圧下留去しながら、3時間20分反応を行った。反応液を80乃至84℃に冷却し、攪拌下、5%第二リン酸ソーダ22.2gを滴下し、次いで水22.2mLを滴下した。滴下後、1時間静置し、下層(水層)を抜き出した。上層を水44.4mLで二回水洗した。上層にガレオンアースV2(水沢化学(株))0.25g及びキョーワード500SH(協和化学工業(株))1.24gを加え、釜温度約60℃で約25mmHg減圧下1時間50分低沸物の留去及び脱水を行い、次いで濾過することにより1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル メタクリレート229.9gを得た。この物の色相はハーゼン色数(APHA)15であった。【0042】(実施例6)実施例2と同様に4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン・1水和物435.4g(2.3モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル10ppmを含むメタクリル酸メチル1150g(11.5モル、モル比5.0)、ジエチルヒドロキシアミン218mg(500ppm)、4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t−ブチルトルエン(BHT)65mg(150ppm)を仕込み、乾燥空気を20mL/minの速度で吹き込みながら加熱還流し、系内の水分を除去した。次にオルトチタン酸イソプロピル(チタンテトライソプロポキシド)3.92g(0.6モル%)を加えた。釜温度は95〜98℃、塔頂温度61乃至90℃の範囲になるよう還流比を調節してメタノールをメタクリル酸メチルとの共沸物として600乃至565mmHgの減圧下留去しながら、4時間15分反応を行った。反応液を80乃至84℃に冷却し、攪拌下、5%第二リン酸ソーダ58.8gを滴下し、次いで水58.8mLを滴下した。滴下後、1時間静置し、下層(水層)を抜き出した。上層を水235mLで二回水洗した。上層にガレオンアースV2(水沢化学(株))0.55g及びキョーワード500SH(協和化学工業(株))2.76gを加え、釜温度約60℃で約25mmHg減圧下4時間15分低沸物の留去及び脱水を行い、次いで濾過することにより1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル メタクリレート516.6gを得た。この物の色相はハーゼン色数(APHA)10であった。【0043】【発明の効果】本発明により、ハーゼン色数が20以下と着色の少ない(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体を、工業的に煩雑な蒸留工程を経ることなく、高収率、高純度で製造することができる。 一般式(I)(式中、R1は水素原子又はメチル基を示す)を有するヒドロキシピペリジン類及び一般式(II)(式中、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3は炭素数1乃至4個のアルキル基を示す)を有する(メタ)アクリル酸エステル類を、オルトチタン酸イソプロピル触媒および、(1)ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、(2)ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルトルエン、及び(3)ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン及び4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルトルエンからなる群から選択される重合禁止剤の存在下にエステル交換反応に付し、次いで第二リン酸ナトリウム水溶液で処理することを特徴とする一般式(III)(式中、R1及びR2は前述と同意義を示す)を有する(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。 R1がメチル基である、請求項1に記載の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。 R2及びR3がメチル基である、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。 重合禁止剤が、(2)ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルトルエンである、請求項1〜3に記載の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。 R1、R2及びR3がメチル基であり、ヒドロキノンモノメチルエーテルの量が、メタアクリル酸メチルに対して10ppmであり、ジエチルヒドロキシルアミン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルトルエンの量が、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピぺリジン・1水和物に対して、それぞれ、500ppm、10ppm及び100ppmである、請求項4に記載の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。 重合禁止剤が、(3)ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジエチルヒドロキシルアミン及び4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルトルエンである、請求項1〜3に記載の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。 R1、R2及びR3がメチル基であり、ヒドロキノンモノメチルエーテルの量が、メタアクリル酸メチルに対して10ppmであり、ジエチルヒドロキシルアミン及び4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルトルエンの量が、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピぺリジン・1水和物に対して、それぞれ、500ppm及び150ppmである、請求項6に記載の(メタ)アクリル酸ピペリジルエステル誘導体の製造方法。