生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_複合X線分析装置
出願番号:2001160848
年次:2011
IPC分類:G01N 23/223,G01N 23/20


特許情報キャッシュ

佐藤 正雄 JP 4777539 特許公報(B2) 20110708 2001160848 20010529 複合X線分析装置 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 503460323 久原 健太郎 100154863 内野 則彰 100142837 木村 信行 100123685 佐藤 正雄 20110921 G01N 23/223 20060101AFI20110901BHJP G01N 23/20 20060101ALI20110901BHJP JPG01N23/223G01N23/20 G01N23/00-23/227 特開平07−128263(JP,A) 特開2000−180388(JP,A) 特公平06−085308(JP,B2) 特開2000−266704(JP,A) 特表平11−502025(JP,A) 3 2002350373 20021204 6 20080513 ▲高▼場 正光 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は蛍光X線分析とX線回折の機能を合わせた複合X線分析装置に関する。【0002】【従来の技術】従来、元素分析・定量分析は蛍光X線分析装置で、構造解析はX線回折装置で、別々に実行していた。蛍光X線分析において理論的演算による定量手法であるファンダメンタルパラメータ(FP)法を適用し、正確な値を得るためには、試料構成元素をあらかじめ設定する必要があり、未知試料の定量分析の場合は蛍光X線法による定性分析の結果から試料構造を推定して、定量分析を行うか、あるいは、あらかじめX線回折等の分析手法によって構造解析を行い、次に、その結果から正確な試料構造を入力して蛍光X線分析法によって定量分析を行っていた。【0003】同様の目的で所定の角度に動かしては停止させて各角度でのX線強度を検出する角度走査方式のゴニオンメータ搭載のX線回折装置にEDX用半導体検出器を付加させたシステムも利用されている。【0004】これら装置で適用するX線管球は、X線回折の場合は陽極ターゲットがCuまたはCrが一般的で、蛍光X線分析装置の場合は測定目的によって選択が必要だが、MoまたはRhのような原子番号の比較的大きい陽極ターゲットが一般的に利用されている。【0005】【発明が解決しようとする課題】従来、元素分析を行う場合は蛍光X線分析装置を利用していたが、蛍光X線のエネルギーによっては軽元素が同定できず、一般的なエネルギー分散型の蛍光X線分析装置の場合、原子番号11番のNa以上の各元素の組成は解るものの、それが酸化物か窒化物か、ハロゲン化物かが分析できなかった。このような目的の場合はX線回折装置で回折パターンを測定して同定する必要があった。【0006】蛍光X線分析装置とX線回折装置を1台で実現しようとすると、従来のX線回折装置は、1つのX線検出器をゴニオメーターで所定の角度に動かしては停止させて各角度でのX線強度を検出する角度走査方式のため、測定時間を要する事と、検出系の設置スペースを必要とするため、蛍光X線分析用検出系とX線回折用検出系を組み込むためには、蛍光X線分析用の1次X線照射系および検出系のパスを長くする必要があり、検出効率を悪くし、数kW以上の高出力X線発生源を装備しなければいけなく、装置が大型になってしまうという問題を抱えていた。【0007】線状または2次元のセンサーとしてCCD、イメージングプレートあるいはPSPC(Position Sensitive Proportional Counter)を利用したX線回折装置としては、特開平6-258260,特開平9-72864、特開平10-48159および特開平11-6806も提案されているが、応力測定、結晶方位、結晶化度、等の構造解析を目的としたX線回折専用機であり、元素分析の対応が考慮されていなかった。【0008】蛍光X線分析装置とX線回折装置の2機種を別々に設置する場合は、広い設置スペースを必要とし、測定時間も2倍必要である。また設置の届け出が2機種分、必要であるなどの問題を抱えていた。【0009】また蛍光X線分析とX線回折を共通のX線管球を利用して行う場合、X線管球のターゲット材質が、蛍光X線装置の場合はMoまたはAgやRhのような高原子番号の材質が最適で、これらX線をX線回折に利用するには、高エネルギー過ぎて不適切なため、X線回折ではCuやCr管球を適用せざるを得ないため、管球が2種類必要となり、X線発生源が大きくなってしまうという問題を抱えていた。【0010】このような蛍光X線分析とX線回折を一つの装置で行うため、特開2001-13095が提案されているが、X線源が蛍光X線分析を目的とした陽極ターゲットの場合、X線回折が効率よく得られない問題を抱えていた。【0011】【課題を解決するための手段】図2に問題点を解決するためのシステム構成図を示す。X線高圧電源15、X線管球1、フィルタ2、コリメータ3、試料ステージ14、試料観察光学系12,13および操作制御演算部11を共有し、蛍光X線8を検出して元素分析・定量分析するためのエネルギー分散型X線検出器9、例えばPINダイオード検出器と、構造解析のための小型なCCDラインセンサー6を配置する。X線検出系が小さいことからX線管球1と試料4までのX線照射系の距離を離す必要が無く、X線出力が100W以下の低パワーで、蛍光X線スペクトルとX線回折パターンが得られる。両分析を効率よく行うため、X線管球1の陽極ターゲット構造はMo上のCuの2層構造とする。X線管球1の動作は、低加速電圧で励起した場合、発生するCu-K線,Mo-L線と連続X線を、管球1の直後に配置するCuフィルタ2で単色化させ、得られる線質(Cu-K線)をX線を微小寸法に絞るためのコリメータ3で細いビームとし、試料ステージ14上に置かれた測定対象物4に照射して発生する回折X線5をCCDラインセンサ6で角度分解して検出し、X線構造解析を実行する。高加速電圧で励起した場合、発生するCu-K線、Mo-L線、Mo-K線および連続X線を、前述のCuフィルタからMoまたはZrフィルタに切り換えて、吸収させることによって、Cu-K線とMo-L線をカットし、得られるMo-K線および連続X線をコリメータ3で細いビームとし、試料ステージ14に置かれた測定対象物4に照射して、発生する蛍光X線8をエネルギー分散型X線検出器9で検出し、蛍光X線分析を実行する。【0012】原子番号30以下を表面とし、原子番号40以上を下地としたX線管球は特公平6-85308から既知である。しかし、既知のX線管球は軽元素から重元素まで効率的に励起する蛍光X線分析を目的としており、本発明の目的は、蛍光X線分析とX線回折の2つの異なる分析目的で、励起電圧の違いにより特徴的に発生する各種X線を、分析目的毎に線質を切り換える機構を有していることが異なる。【0013】このようなX線ビームを選択的に形成できるようなX線源と、小型検出系の採用によって、無機物の蛍光X線分析とX線回折の機能を有した小型な複合X線分析装置を提供する。【0014】【発明の実施の形態】図1にX線回折および蛍光X線分析に共用で利用できるX線源を示す。陽極ターゲットはCu上の厚み0.05から0.5mmのMoからなる第1層103と、さらにその上の5から15umの厚みのCu又はCrの第2層102とからなる多層とする。X線管球には加速電圧が切替え印加でき、低加速電圧として、例えば15kVで励起する場合は17keVのMo-K線は励起できず、CuまたはCr-K線と連続X線のみ発生する。この場合、管球の直ぐ後にCuまたはCrフィルターを配置することによって単色化させ、0.1mmから0.3mm程度に細く絞ることによって、X線回折条件を実現する。 図2にシステム構成図を示す。【0015】X線管球で発生する一次X線はフィルタ2で単色化させ、得られたビームをコリメータ3で細く絞り、ハーフミラー12を透過して、試料ステージ14に置かれた測定対象物4に照射し、発生する回折X線5をCCDラインセンサー6で角度分解して検出し、X線回折による構造解析を実現する。どこを分析するかはハーフミラー12に映し出された像をCCDカメラで観察して位置決めする。【0016】蛍光X線分析を行う場合は、このCu-K線でCu以外あるいはCr-K線でCr以外の元素を測定するのに利用でき、特に原子番号28以下の元素に関して高感度な測定を可能とする。AgやSnのような高原子番号の元素分析を行うには高加速電圧として例えば50kV励起の条件で、CuあるいはCr-K線、Mo-K線および連続X線が発生するので、管球の直ぐ後にMoまたはZrフィルタがくるように前述のCuまたはCrフィルタ2と切り換え配置することによって、低エネルギーのCuあるいはCr-K線を吸収させ、Mo-K線および連続X線を利用して、広い範囲のエネルギー領域での蛍光X線分析を可能とする。これで得られたビームを試料ステージ14に置かれた測定対象物4に照射し、測定対象物4から発生する蛍光X線8をエネルギー分散型の検出器9で検出し、前述の構造解析結果から正確な構造を設定して、元素分析を実現する。【0017】【発明の効果】本特許によって、100W以下程度の低出力のX線発生系を共用して、元素分析と構造解析が1つの測定ヘッドで可能となるようにX線回折機能と蛍光X線分析機能の複合化が実現できる。これにより装置の設置スペースの縮小化あるいは小型で可搬型の装置の実現が図れ、さらには、両分析が1機種でできることから無機物の正確な定量分析が実現でき、加えて測定時間の短縮も実現できる。【図面の簡単な説明】【図1】蛍光X線分析およびX線回折測定用のX線源を示す。【図2】X線回折および蛍光X線の2機能を有した複合X線装置の構成図を示す。【符号の説明】1:デュアルターゲットX線管球 2:フィルター(2種切替)3:コリメータ 4:測定対象物 5:回折X線6:X線回折測定用ラインCCD7:X線回折計測用回路8:蛍光X線 9:蛍光X線測定用エネルギー分散型検出器10:蛍光X線測定用計測回路11:操作制御演算部12:試料観察用ハーフミラー 13:試料観察用CCDカメラ14:高圧電源101:陽極ターゲット・ブロック 102:第1層103:第2層104:フィラメント 105:射出窓106:低エネルギーX線単色化フィルター107:低エネルギーX線吸収フィルター 高圧電源によりX線管球に電圧を印加し、試料ステージに設置された対象物にX線を照射する複合X線分析装置において、 前記高圧電源により第一の電圧が前記X線管球に印加された場合に前記X線管球と前記対象物との間に配置される第一のフィルタと、 前記高圧電源により前記第一の電圧よりも高い第二の電圧が前記X線管球に印加された場合に前記X線管球と前記対象物との間に配置される第二のフィルタと、 前記高圧電源により前記第一の電圧が前記X線管球に印加されることにより発生したX線が前記対象物に照射され、そこで発生した回折X線をCCDラインセンサにより角度分解して検出する第一の検出器と、 前記高圧電源により前記第二の電圧が前記X線管球に印加されることにより発生したX線が前記対象物に照射され、そこで発生した蛍光X線を検出する第二の検出器と、を有し、 前記X線管球が、陽極ターゲットとして表面がCrまたはCu薄膜層で下地がMoまたはRhで構成される2層構造であることを特徴とする複合X線分析装置。 前記第一のフィルタは、CrまたはCuフィルタである請求項1に記載の複合X線分析装置。 前記第二のフィルタは、MoまたはZrフィルタである請求項1または2に記載の複合X線分析装置。


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