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タイトル:特許公報(B2)_サブタイプ選択的アデニル酸シクラーゼ活性化剤
出願番号:2001154039
年次:2011
IPC分類:C07D 311/92,C07D 405/12,A61K 31/352,A61K 31/4433,A61P 3/00,A61P 3/06,A61P 3/10,A61P 11/02,A61P 11/08,A61P 11/16,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

永井 昌史 斉藤 清一 倉持 浩 恩田 健 石川 義弘 JP 4722325 特許公報(B2) 20110415 2001154039 20010523 サブタイプ選択的アデニル酸シクラーゼ活性化剤 日本化薬株式会社 000004086 永井 昌史 斉藤 清一 倉持 浩 恩田 健 石川 義弘 20110713 C07D 311/92 20060101AFI20110627BHJP C07D 405/12 20060101ALI20110627BHJP A61K 31/352 20060101ALI20110627BHJP A61K 31/4433 20060101ALI20110627BHJP A61P 3/00 20060101ALI20110627BHJP A61P 3/06 20060101ALI20110627BHJP A61P 3/10 20060101ALI20110627BHJP A61P 11/02 20060101ALI20110627BHJP A61P 11/08 20060101ALI20110627BHJP A61P 11/16 20060101ALI20110627BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110627BHJP JPC07D311/92C07D311/92 101C07D405/12A61K31/352A61K31/4433A61P3/00A61P3/06A61P3/10A61P11/02A61P11/08A61P11/16A61P43/00 107 C07D 311/ REGISTRY/CAPLUS(STN) MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN) J Dream II 特開平05−213750(JP,A) ROBBINS,J.D. et al,(Aminoalkyl)carbamates of forskolin: intermediates for the synthesis of functionalized derivatives of forskolin with different specificities for adenylyl cyclase and the glucose transporter,Journal of Medicinal Chemistry,1991年,Vol.34, No.11,p.3204-12 SUTKOWSKI,E.M. et al,Irreversible inhibition of forskolin interactions with type I adenylyl cyclase by a 6-isothiocyanate derivative of forskolin,Molecular Pharmacology,1996年,Vol.50, No.2,p.299-305 ROBBINS,J.D. et al,Forskolin Carbamates: Binding and Activation Studies with Type I Adenylyl Cyclase,Journal of Medicinal Chemistry,1996年,Vol.39, No.14,p.2745-2752 HUBBARD,J.W. et al,Cardiac adenylate cyclase activity, positive chronotropic and inotropic effects of forskolin analogs with either low, medium or high binding site affinity,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,1991年,Vol.256, No.2,p.621-7 ISHIKAWA,Y. et al,The adenylyl cyclases as integrators of transmembrane signal transduction,Circulation Research,1997年,Vol.80, No.3,p.297-304 XIA,Z. et al,The type III calcium/calmodulin-sensitive adenylyl cyclase is not specific to olfactory sensory neurons,Neuroscience Letters,1992年,Vol.144, No.1-2,p.169-73 8 2002348283 20021204 12 20071025 深谷 良範 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、フォルスコリン誘導体のサブタイプ選択的アデニル酸シクラーゼ活性化剤に関する。【0002】【従来の技術】アデニル酸シクラーゼは、主にβ受容体からの刺激により活性化され、ATPを基質としてcAMPを産生する酵素である。1989年に初めてクローニングされて以来、9種類のサブタイプが見いだされているが、サブタイプの組織分布が著明に異なることが最近明らかになった。例えば、気管にはアデニル酸シクラーゼ2型が多く分布し、また嗅覚や褐色脂肪細胞にはアデニル酸シクラーゼ3型多く分布していることが明らかにされている(Circulation Research、80巻、297項(1997年)、Neurosci.Lett.144巻、169項(1992年))。【0003】β2受容体を活性化する薬剤は、呼吸器疾患の治療薬として世界的に広く認知されている薬剤である。その作用機序はβ2受容体を介して間接的にアデニル酸シクラーゼを活性化し、細胞内cAMP量を調節することによる。その優れた臨床効果から積極的使用が推奨されており、例えば喘息の発作時、または発作予防に欠くことのできない薬剤である。しかし、β2受容体は呼吸器以外にも広く分布しており、また薬剤のβ1受容体とβ2受容体との選択性の低さから様々な副作用を発現が知られており、その使用が制限されている。例えば、循環器系には頻脈を、筋肉系には振戦を起こすことが明らかになっている。さらに、最近ゲノムサイエンスの進展から様々な遺伝子多系が明らかになりつつあるが、β2受容体にもその存在が明らかになっており、薬剤耐性や不応答性が問題となっている(J.Clin.Invest.、100巻、3184項(1997年))。このことから、気管に多く存在するアデニル酸シクラーゼ2型選択的活性化薬を創製することにより、β2受容体の組織特異性が低いことによるβ2受容体活性化薬の副作用が改善でき、高い気管選択性を持つ呼吸器作用剤(気管支喘息、閉塞性肺疾患治療薬)を医療現場に供給することが出来る。【0004】また、アデニル酸シクラーゼ3型に関してはその生理作用について、嗅覚や褐色脂肪細胞に存在することから、嗅覚の機能や脂質、糖質の代謝等に関与していると考えられる。よって、その選択的刺激剤は嗅覚異常に対する治療薬、脂質代謝異常(高脂血症)または糖質代謝異常(糖尿病、高インスリン血症)に対する治療薬として期待される。【0005】アデニル酸シクラーゼのサブタイプ選択的活性化剤については、戸谷らによる報告がある。つまり、アデニル酸シクラーゼの活性化剤として知られている植物由来の天然物であるフォルスコリンの側鎖部分を修飾することにより、5型選択的な活性化剤の創製に成功している(J.Mol.Cell Cardiol.、30巻、97項(1998年))。また、海老名らは、アデニル酸シクラーゼをタンパク質分解酵素で処理することにより、2型の活性が向上することを報告している(FEBS Lett.、401巻、223項(1997年))。しかし、前者は2型、または3型の活性化剤については記載がなく、また後者については医薬品としての開発を考えた場合困難を伴うことは明らかである。よって、現在までアデニル酸シクラーゼ2型、または3型を選択的に活性化する薬剤の報告例はないが、医療上の有用性が高いアデニル酸シクラーゼ2型または3型を選択的に活性化する薬剤の提供は強く望まれている。一方、フォルスコリン誘導体は、1977年にその化学構造が明らかにされて以来種々の誘導体が合成され、その生理作用が調べられているが、その標的酵素であるアデニル酸シクラーゼをサブタイプ選択的に活性化する化合物に関する報告は前記戸谷らによるものしかない。【0006】下記構造式[3]【化7】【0007】で表される化合物は、特定のサブタイプ(1型)に対してのみ活性を測定している報告があるが、サブタイプ選択性やその用途については記載がない(J.Med.Chem.、34巻、3204項(1991)、Mol.Phramacol.、50巻、299項(1996))。【0008】また、下記一般式[4]【化8】[式中、R1は−NHOH、−NHCH2CH=CH2、−NHCH2CH2OCH2CH2OH、又は−NHCH2CH2OHを示す]、【0009】及び構造式[6]【化9】【0010】で表される化合物は、順にJ.Phramacol.Exp.Ther.、256巻、621項(1991)、J.Med.Chem.、39巻、2745項(1996)、WO8805047、EP311032、EP4920146、EP318851に記載がされている。しかし、用途としては心臓作用、強心作用、高血圧、眼圧低下、緑内障、喘息、乾癬等が記載されているが、アデニル酸シクラーゼ3型、及びそれが関与する疾患については記載がない。【0011】【発明が解決しようとする課題】本発明は、アデニル酸シクラーゼ2型または3型選択的活性化剤を提供するものである。【0012】【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究を重ねた結果、フォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容されうる塩がアデニル酸シクラーゼ2型または3型を選択的に活性化することを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の(1)から(8)に関するものである。【0013】(1)下記構造式[1]【化10】【0014】または、下記構造式[2]【化11】で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。【0015】(2)下記構造式[1]【化12】【0016】または構造式[3]【化13】で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするアデニル酸シクラーゼ2型選択的活性化剤。【0017】(3)2項記載の構造式[1]または構造式[3]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする呼吸器作用薬。(4)2項記載の構造式[1]または構造式[3]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする気管支拡張薬。【0018】(5)下記一般式[4]【化14】[式中、R1は−NHOH、−NHCH2CH=CH2、−NHCH2CH2OCH2CH2OH、又は−NHCH2CH2OHを示す]、または下記一般式[5]【0019】【化15】[式中、R2はメチル基、または3−ピリジル基を示す]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするアデニル酸シクラーゼ3型選択的活性化剤。【0020】(6)5項記載の一般式[4]または一般式[5]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする嗅覚改善薬。(7)5項記載の一般式[4]または一般式[5]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする高脂血症、糖尿病、または高インスリン血症治療薬。(8)5項記載の一般式[4]または一般式[5]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする褐色脂肪細胞活性化剤。【0021】【発明の実施の形態】本発明の化合物には立体異性体が存在するが、本発明はこれらの異性体すべてを包含する。例えば、光学活性体、ジアステレマー及びラセミ体等はすべて本発明に含まれる。【0022】本願で示す具体的な化合物として以下のような化合物が挙げられる。化合物a.6−(4−アクリロイルブチリル)フォルスコリン(構造式[1])化合物b.5,6−デヒドロ−6−デヒドロキシ−7−デアセチル−7−ニコチノイルフォルスコリン(一般式[5]に含まれる)化合物c.6−{(2−イソチオシアニト)エチルアミノカルボニル}フォルスコリン(構造式[3])化合物d.7−デアセチル−7−ヒドロキサミルフォルスコリン(一般式[4]に含まれる)化合物e.7−デアセチル−7−(アリルアミノカルボニル)フォルスコリン(一般式[4]に含まれる)化合物f.7−デアセチル−7−[{2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチル}アミノカルボニル]フォルスコリン(一般式[4]に含まれる)化合物g.7−デアセチル−7−{(2−ヒドロキシエチル)アミノカルボニル}フォルスコリン(一般式[4]に含まれる)化合物h.5,6−デヒドロ−6−デヒドロキシフォルスコリン(一般式[5]に含まれる)【0023】次に本発明化合物の入手方法について説明する。まず、本発明記載の化合物のうち、公知の化合物は先に記した文献や特許に記載の方法で製造することが出来る。構造式[1]の化合物は、次のような製造工程で合成することが出来る。【0024】【化16】【0025】化合物7は文献既知の化合物であり、例えばJ.Med.Chem.、31巻、1872項(1988)に記載の方法で製造することが出来る.化合物7に4−アクロイル酪酸を定法どおりエステル化することにより、化合物8を製造することができる。エステル化の手法としては、縮合剤、例えばDCCやWSCに必要に応じて縮合活性化剤、例えばDMAPやHOBtを作用させたり、カルボン酸部分を化学的に活性化し、それに化合物7を作用させる方法が用いられる。活性化の方法としては、酸塩化物、酸無水物、イミダゾイル体、活性エステル等への変換が可能である。化合物8は、アルカリ条件に供することによりアシル転位を発生させ、化合物9を製造することが出来る。化合物9をアセチル化剤、例えば塩化アセチルや無水酢酸を、ピリジン等の塩基存在下反応させることにより、化合物10を製造できる。化合物10は、その保護基であるTBS基を、酸性条件下、またはフッ素を含んだ試薬、例えばテトラブチルアンモニウムフルオリドを作用させることにより、目的の化合物1に導くことが出来る。構造式[2]の化合物は、次のように製造することが出来る。【0026】【化17】【0027】化合物11は、EP468444に記載の製造法によって容易に製造することが出来る。化合物2は、化合物11にニコチン酸を定法どおりエステル化することにより得られる。エステル化の手法としては、縮合剤、例えばDCCやWSCに必要に応じて縮合活性化剤、例えばDMAPやHOBtを作用させたり、カルボン酸部分を化学的に活性化し、それに化合物11を作用させる方法等が挙げられる。カルボン酸部分の活性化の方法としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、イミダゾールのN−アシル誘導体、その他の活性エステル等への変換が可能である。【0028】本発明における薬理学的に許容しうる塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩、p−トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、酢酸塩等の有機酸塩が挙げられる。【0029】本発明においては、アデニル酸シクラーゼ2型選択的活性化薬を創製することにより、β2受容体の組織特異性が低いことによるβ2受容体活性化薬の副作用が改善でき、高い気管選択性を持つ呼吸器作用剤(気管支喘息、閉塞性肺疾患治療薬)を医療現場に供給することが出来る。また、アデニル酸シクラーゼ3型に関してはその生理作用について、嗅覚の機能や脂質、糖質の代謝等に関与していると考えられ、その選択的刺激剤は嗅覚異常に対する治療薬、脂質代謝異常(高脂血症)または糖質代謝異常(糖尿病、高インスリン血症)に対する治療薬として期待される。【0030】本発明の化合物またはその薬理学的に許容される塩が医薬として用いられる場合には、単独または担体、賦形剤、希釈剤、溶解補助剤、安定化剤等の製薬上許容し得る添加剤と混合して用いることができる。賦形剤の種類は特に制限はないが、例えば、ショ糖、乳糖、マンニトール及びソルビトールのような糖類、セルロース類、またはリン酸カルシウムのような充填剤が使用できる。本発明の剤形としては、経口剤または非経口剤が挙げられる。非経口剤としては、注射剤、吸入剤、点鼻剤、クリーム剤、軟膏剤等が挙げられるが、好ましい剤形としては経口剤である。製剤中の本発明化合物またはその薬理学的に許容される塩の含量は製剤により異なるが、通常0.1〜100重量%であることが好ましい。投与量は患者の年令、性別、体重、症状、治療目的等により決定されるが、投与量は一般に0.001〜5000mg/kg/日程度である。【0031】次に、本発明について実施例として化合物の製造例および試験例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。【実施例】実施例11−tert−ブチルジメチルシリル−7−デアセチル−7−(4−アクリロイル)ブチリルフォルスコリン(化合物8)の製造1−tert−ブチルジメチルシリル−7−デアセチルフォルスコリン(化合物7)(483mg、1.0mmol)、4−アクリロイル酪酸(142mg、1.0mmol)を塩化メチレン(9ml)に溶解し、DCC(310mg、1.5mmol)、DMAP(37mg、0.3mmol)を加え、室温で終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチル(30ml)を加えろ過し、ろ液を10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100ml、CHCl3−MeOH(50:1))に供し、化合物8を352mg(0.58mmol)得た。【0032】1H−NMR(200MHz、CDCl3、TMS)0.01(3H、s)、0.14(3H、s)、0.87(9H、s)、1.03(3H、s)、1.10(1H、m)、1.25(3H、s)、1.29(3H、s)、1.40(1H、m)、1.46(3H、s)、1.65(3H、s)、1.68(1H、m)、2.0−2.2(4H、m)、2.33(1H、d、J=16Hz)、2.47(2H、m)、2.72(2H、m)、3.25(1H、d、J=16Hz)、4.47(1H、m)、4.59(1H、m)、4.88(1H、dd、J=1Hz、11Hz)、5.15(1H、dd、J=1Hz、17Hz)、5.53(1H、d、J=4Hz)、5.84(1H、dd、J=2Hz、9Hz)、6.00(1H、dd、J=11Hz、17Hz)、6.24(1H、dd、J=2Hz、18Hz)、6.34(1H、dd、J=9Hz、18Hz)。【0033】実施例26−(4−アクリロイルブチリル)フォルスコリン(化合物1(化合物a))の製造1−tert−ブチルジメチルシリル−7−デアセチル−7−(4−アクリロイル)ブチリルフォルスコリン(化合物8)(352mg、0.58mmol)をアセトニトリル(4.8ml)、水(1ml)に溶解し、1規定水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加え、室温で1時間攪拌した。10%クエン酸水溶液で中和の後減圧濃縮し、水(2ml)、酢酸エチル(20ml)で3回抽出した。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(90ml、ヘキサン−酢酸エチル(2:1))で精製し化合物9を得た。引き続き、化合物9(82mg、0.14mmol)を塩化メチレン(3ml)に溶解し、氷冷下塩化アセチル(39μl、0.52mmol)、ピリジン(77μl、0.98mmol)を加えアセチル化を行った。反応はTLCでチェックを行い、反応終了後、クロロホルム(15ml)を加え、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、残渣をTHF(5ml)に溶解し、1M−テトラヒドロアンモニウムフルオリド(0.4ml)を加え、20分間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、酢酸エチル(10ml)を加え、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20ml、ヘキサン−酢酸エチル(2:1))に供し、化合物1を21.3mg(0.04mmol)得た。【0034】MS(FAB、POS)m/z 535[M+H]+、557[M+Na]+。1H−NMR(200MHz、CDCl3、TMS)0.96(3H、s)、1.03(3H、s)、1.35(3H、s)、1.43(3H、s)、1.63(3H、s)、2.02(3H、s)、1.1−2.2(5H、m)、2.05(2H、m)、2.38(2H、m)、2.45(1H、d、J=17Hz)、2.72(2H、t、J=7Hz)、3.02(1H、brs)、3.22(1H、d、J=17Hz)、4.62(1H、brs)、4.98(1H、dd、J=1Hz、11Hz)、5.26(1H、dd、J=1Hz、17Hz)、5.54(1H、d、J=4Hz)、5.85(2H、m)、5.95(1H、dd、J=11Hz、17Hz)、6.13(1H、brs)、6.25(1H、dd、J=2Hz、18Hz)、6.35(1H、dd、J=10Hz、18Hz)。【0035】実施例35,6−デヒドロ−6−デヒドロキシ−7−デアセチル−7−ニコチノイルフォルスコリン(化合物2(化合物b))の製造5,6−デヒドロ−6−デヒドロキシ−7−デアセチルフォルスコリン(化合物11)(18.7mg、0.053mmol)、ニコチン酸(7.1mg、0.053mmol)、DCC(14.2mg、0.069mmol)、DMAP(0.6mg、0.0053mmol)を塩化メチレン(1ml)に溶解し、室温で1時間20分攪拌した。反応液を減圧濃縮した後に残渣に酢酸エチル(5ml)を加え懸濁とし、ろ過を行った。ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥の後減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20ml、ヘキサン−酢酸エチル(1:1))に供し、12.1mg(0.027mmol)の化合物2を得た。【0036】MS(FAB、POS)m/z 456[M+H]+。1H−NMR(200MHz、CDCl3、TMS)1.19(6H、s)、1.34(3H、s)、1.37(3H、s)、1.71(3H、s)、1.0−2.0(3H、m)、2.24(1H、m)、2.64(1H、d、J=16Hz)、3.15(1H、d、J=16Hz)、4.81(1H、brd、J=2Hz)、5.03(1H、dd、J=1Hz、11Hz)、5.32(1H、dd、J=1Hz、17Hz)、5.55(1H、d、J=2Hz)、5.95(1H、dd、J=11Hz、17Hz)、6.22(1H、d、J=2Hz)、6.39(1H、brs)、7.43(1H、dd、J=5Hz、8Hz)、8.37(1H、dt、J=8Hz、2Hz)、8.79(1H、brd)、9.28(1H、brs)。【0037】実施例4 アデニル酸シクラーゼ活性測定アデニル酸シクラーゼ活性測定は以下のように行った。まず、酵素を含む膜たんぱく質の調製を行った。それぞれのアデニル酸シクラーゼサブタイプのcDNAは、2型はファインスタインの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88巻、10173項(1991年))、3型はバカライヤーの方法(Science、250巻、1403項(1990年))、5型は石川の方法(J.Biol.Chem.、267巻、13553項(1992年))を参考にして調製した。それぞれの遺伝子をpBluBacベクターにサブクローニングした。組換えシャトルベクターは、Trichoplusia niの卵細胞ホモジネート由来の昆虫のセルラインであるハイファイブ細胞にトランスフェクションした。次いで、このプラークを川部の方法(J.Biol.Chem.、269巻、24906項(1994年))で精製した。ハイファイブ細胞をバキュロウイルスベクターを用いて感染させ、6%ウシ胎児血清を含有するInsect−XPRESS培地中27度の条件下で3日間培養した。培養したハイファイブ細胞を氷冷したリン酸緩衝生理食塩液で2回洗浄し、Tris塩酸緩衝液(pH8.0、50mmol/L)、EGTA(1mmol/L)、EDTA(1mmol/L)、ジチオスレイトール(1mmol/L)、シュークロース(200mM)、及び1−クロロ−3−トシルアミド−7−アミノ−L−2−ヘプタノン(20μg/ml)、ロイペプチン(10μg/ml)、フェニルメチルスルフォニルフルオライド(0.1mmol/L)、卵白トリプシンインヒビター(50U/ml)、及びアプロチニン(2μg/ml)を含んだタンパク質分解酵素阻害剤混液を加えた緩衝液中でホモジナイズした。その細胞をソニケーターで破壊し、500×Gの遠心分離を4度の条件下10分間行った。次いで上清を10万×G、4度の条件下で40分間遠心分離した。残った残渣を先述の緩衝液(但しEDTAを除く)に再び懸濁して−80度で使用時まで保存した。【0038】酵素活性測定は、以前に報告された方法(Meth.Enzymol.、238巻、31項(1994年))を一部変更して以下の方法で行った。HEPES(pH8.0、20mM)、EDTA(0.5mM)、ATP(0.1mM、32Pで標識されたATPを1,000,000cpm含む)、cAMP(0.1mM)、クレアチンリン酸(1mM)、クレアチンホスホキナーゼ(8U/ml)、膜たんぱく質(4μg)、及び各試験化合物(50μM)を、最終容量が100μlとなるように調製した。反応は30度の条件下20分間行い、10μlの氷冷した2.2規定HClを加え反応を停止した。反応中に生成した32Pで標識されたcAMPは、酸性アルミナカラムを用いて分離し、放射線強度はシンチレーションカウンターで測定した。以下に活性測定の結果を表1として記す。各々の酵素活性化作用は、フォルスコリンの活性を100として表した。この結果、試験化合物のフォルスコリン誘導体は、アデニル酸シクラーゼ2型または3型の選択的活性化作用を有すことが明らかとなった。【0039】【表1】試験化合物 2型 3型 5型フォルスコリン 100 100 100化合物a 117 59.2 22.9化合物b 88.4 272 77.8化合物c 170 51.3 38.0化合物d 108 221 94.4化合物e 91.5 162 80.6化合物f 67.2 123 73.3化合物g 84.2 177 90.6化合物h 73.2 145 61.4【0040】【発明の効果】本発明により得られたフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容しうる塩が、アデニル酸シクラーゼ2型または3型の選択的活性化剤であることを見いだした。よって、本発明記載の化合物またはその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含有する薬剤組成物は呼吸器作用薬等として有用であることが示された。 下記構造式[1]または、下記構造式[2]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩。 下記構造式[1]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするアデニル酸シクラーゼ2型選択的活性化剤。 請求項2記載の構造式[1]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする呼吸器作用薬。 請求項2記載の構造式[1]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする気管支拡張薬。 下記一般式[4][式中、R1は−NHOH、−NHCH2CH=CH2、−NHCH2CH2OCH2CH2OH、又は−NHCH2CH2OHを示す]、または下記一般式[5][式中、R2はメチル基、又は3−ピリジル基を示す]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするアデニル酸シクラーゼ3型選択的活性化剤。 請求項5記載の一般式[4]または一般式[5]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする嗅覚改善薬。 請求項5記載の一般式[4]または一般式[5]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする高脂血症、糖尿病、または高インスリン血症治療薬。 請求項5記載の一般式[4]または一般式[5]で表されるフォルスコリン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする褐色脂肪細胞活性化剤。


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