タイトル: | 特許公報(B2)_ラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いるキット |
出願番号: | 2001108286 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 33/543,G01N 33/53 |
三浦 俊英 松浦 斎 遠藤 光二 片山 勝博 JP 4507439 特許公報(B2) 20100514 2001108286 20010406 ラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いるキット 日東紡績株式会社 000003975 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 三浦 俊英 松浦 斎 遠藤 光二 片山 勝博 20100721 G01N 33/543 20060101AFI20100701BHJP G01N 33/53 20060101ALI20100701BHJP JPG01N33/543 581DG01N33/53 X G01N 33/48-33/98 特開2001−289850(JP,A) 特開平01−253654(JP,A) 特開昭61−213673(JP,A) 特開2000−162212(JP,A) 2 2002303630 20021018 7 20080117 廣田 健介 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いるキットに関する。更に詳細には、検体中のC反応性蛋白質(以下CRPと記載することもある)などの抗原を、検体中のリウマチ因子(以下RFと記載することもある)などの影響を受けることなく、特異的に測定することのできるラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いる保存安定性に優れたキットに関する。【0002】【従来の技術】免疫学的測定法の一つであるラテックス免疫比濁測定法は、測定対象である抗原を含有する検体と、該抗原に対する抗体を感作したラテックス粒子とを混合して抗原抗体反応を行い、生成した免疫凝集物の量を、得られた反応液の濁度を測定することにより求め、その測定値から検体中の抗原量を測定する方法である。ラテックス免疫比濁測定法は簡便な方法により検体中の抗原を高感度で高精度に測定できるため、従来より臨床検査や実験室での免疫学的研究に広く用いられてきた。しかしながら、ラテックス免疫比濁測定法の対象となる血清などの検体中には、ヒトの個体特性、採取条件等により、生体成分であるRF等が混在しており、ラテックス免疫比濁測定法により得られる測定値に誤差を生じるという問題がある。これら検体中のRFなどによる非特異的反応の影響を解消、軽減する種々の手法が検討されている。RFは、自己抗体であり、変性ヒトIgGのFc部分に対して反応することが知られている。RFは、ヒト検体中のRFの濃度等の条件により、ヒトとは異なる種類の動物から得た、検体中の抗原を測定するための試薬の構成成分の一つである抗体に対して反応する場合があり、これが、ラテックス免疫比濁測定法による臨床検査において非特異的反応の要因となる。こうしたRFによる測定時の非特異的反応を回避するため、測定の前に血清などの検体中の内因性のRFを不活性化するか又は除去する等の前処理が通常必要で、この前処理をしなければ測定の結果は著しい誤差を生じる場合がある。【0003】【発明が解決しようとする課題】特開昭54−119292号公報には、RFによる非特異的反応を回避するために、検体中の抗原を測定するための試薬の構成成分の一つである異種抗体分子のFc部分を酵素反応で取り除いたF(ab′)2分子を、抗体として用いる免疫測定法が開示されている。しかしながら、このような免疫測定法は、酵素反応、精製等の試薬調製のための煩雑な工程を必要とするため、コストアップ、製造ロット間差につながるなどの欠点がある。また、特開平8−86783号公報には、免疫比濁測定法において、スレオ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール(DTT)を使用して非特異的反応を低下させることが開示されている。しかしながら、この免疫比濁測定法をそのままラテックス免疫比濁測定法に適用した場合には、測定試薬の保存安定性に問題があり、改良が必要である。従って、本発明の目的は、検体中のCRPなどの抗原を、検体中のRFなどの影響を受けることなく、特異的に測定することのできるラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いる保存安定性に優れたキットを提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者は、RFなどの影響を受けることなく、検体中のCRPなどの抗原を特異的に測定することのできるラテックス免疫比濁測定法及びそれに用いる保存安定性に優れたキットを得ることを目的として鋭意研究した結果、測定対象である検体中の抗原と該抗原に対する抗体とを反応させる前に、あらかじめチオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを混合することにより、ラテックス免疫比濁測定法による検体中の抗原の特異的な測定が可能となり、また、測定試薬の構成成分の一つとしてチオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを用いることにより、保存安定性に優れたキットが得られることを見出し、本発明を完成させた。【0005】従って、本発明は、検体中の抗原を測定するラテックス免疫比濁測定法において、検体とチオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを混合し、次いで、検体中の抗原と該抗原に対する抗体を感作させたラテックス粒子とを反応させることを特徴とするラテックス免疫比濁測定法である。更に本発明は、検体中の抗原をラテックス免疫比濁測定法により測定するためのキットであって、i)チオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを必須成分として含む試薬、及びii)検体中の抗原に対する抗体を感作させたラテックス粒子を必須成分として含む試薬からなるキットである。【0006】【発明の実施の形態】本発明で対象とする検体としては、ヒトの血液、血清、血漿などが挙げられ、特に血清が検体として望ましい。本発明で測定する検体中の抗原としては、特に限定されず、従来から免疫測定法で測定され得る抗原のいずれも測定可能である。このような抗原としては、例えば、C反応性蛋白(CRP)、ヒトアルブミン等の高分子量蛋白質や、薬物、ペプチド等の低分子量の抗原性物質等が挙げられる。例えば、CRPは、急性炎症あるいは急性の組織崩壊で増加する急性期蛋白の一種で代表的な炎症マーカーである。そのため、CRPの定量は、炎症・組織障害を起こす種々の疾患の活動性、重症度、経過をみる際に不可欠である。したがって、病院、臨床検査センター等において、CRPはルーチンで測定されている。このような検体中の抗原と抗原抗体反応させるための抗体は、通常これらの抗原で動物を公知の方法により免疫して得られる動物由来の抗体である。動物としては、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ニワトリ、マウス、ウシ、ウマ、サルなどが挙げられ、抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、これら抗体の抗原結合性断片などが挙げられる。このような抗体で感作させるラテックス粒子としては特に限定されず、例えば、有機高分子化合物の微粒子が挙げられる。かかる有機高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレンースチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体、塩化ビニルーアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルーアクリレート共重合体等の重合体などが挙げられる。特にこれらの重合体の微粒子を均一に懸濁したラテックス等が好適に用いられる。ラテックス粒子の平均粒径は、検体中の抗原の測定方法、測定濃度又は測定機器等によって適宜選択されるが、通常0.05−1.0μmであり、なかでも0.05−0.5μmが好ましい。上記抗体を上記ラテックス粒子に感作させるには、通常の化学結合又は物理吸着が適用できる。【0007】本発明のラテックス免疫比濁測定法においては、測定しようとする抗原を含む検体中とチオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを混合し、次いで、検体中の抗原と該抗原に対する抗体を感作させたラテックス粒子とを反応させる。ここで用いるチオグリコール酸の塩としては、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カリウムなどが挙げられる。チオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールの添加量は、好ましくは、検体1μl当たり0.5〜50μmol量、更に好ましくは、1〜25μmol量である。このとき検体1μlに対し、チオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを含む溶液の添加量は、好ましくは、10〜500μl、更に好ましくは、20〜200μlである。なお、検体1μl当たり0.5〜50μmol量あるいは1〜25μmol量でDTT(スレオ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール)を添加した場合には、検体中の蛋白質の非特異的凝集が起こりやすいが、本発明で用いるチオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールの場合には、このような添加量でも非特異的凝集は起こりにくい。検体に、チオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを添加後、数分間撹拌あるいは放置し、その後、抗体を感作させたラテックス粒子を加えて抗原抗体反応を行う。反応は、通常トリス緩衝液、へぺス緩衝液などのグッド緩衝液中でpH4.0〜10.0、好ましくは6.0〜9.0の範囲、0〜50℃、好ましくは20〜40℃の範囲で行う。反応後、反応液の濁度を、吸光度、散乱光度、分子数などを測定する光学的測定法により測定する。測定波長は、通常200〜1000nmの範囲が使用される。実際の測定には2ポイントアッセイ法などを適用することができる。得られる実際の光学的測定値から、抗原濃度が既知の標準検体を用いて作成した検量線に基づいて、検体中の抗原濃度を測定することができる。【0008】本発明のラテックス免疫比濁測定法により測定するためのキットは、チオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを必須成分として含む試薬(第1試薬)、及び検体中の抗原に対する抗体を感作させたラテックス粒子を必須成分として含む試薬(第2試薬)からなる。第1試薬や第2試薬には、どちらにもトリス緩衝液、へぺス緩衝液等のグッド緩衝剤が含まれていて良い。更に通常測定試薬に添加される添加物、例えば、食塩等の塩、防腐剤、BSA、デキストラン、香料等を添加しても良い。【0009】【実施例】以下、実施例に従って本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。実施例1−6及び比較例1−3A)測定検体1)RF添加血清CRP1mg/dl、RF濃度0の血清はCRP2mg/dl血清と生理食塩水を1対1で混合したものを用いた。CRP濃度1mg/dl、RF濃度1500IU/mL及び3000IU/mlのRF添加血清は、CRP2mg/dl血清とRF高値血清を硫安分画し濃縮して調製したRF濃度が3000IU/ml及び6000IU/mlのRF高濃度試料を1対1で混合し作成した。2)CRP高値血清30mg/dlの濃度の標準液(CRP多点検量線用標準液2ml×6濃度、ニットーボーメディカル)をそのまま使用した。【0010】B)測定用試薬1)第1試薬本発明の実施例の測定には、CRP測定用試薬の第1試薬として表1に示す組成の溶液を調製した。【0011】2)第2試薬抗ヒトCRPヤギ抗体を感作したラテックス粒子を含むN−アッセイ LA CRP−Sニットーボー(ニットーボーメディカル)のラテックス試薬をそのまま使用した。C)測定測定は日立7150自動分析装置を使用した。日立7150自動分析装置の37℃の反応セル中に、検体を3μl及び第1試薬150mlを入れ、第1試薬の添加5分後に第2試薬150μlを添加し、5分間、抗原抗体反応をさせた。そして、装置内の演算機構により2ポイントアッセイを行い、検体ブランクを除いた主波長570nm、副波長800nmにおける反応前後の吸光度変化量を測定した。CRP既知濃度のキャリブレーターの測定から得られた標準曲線から、検体中のCRPの濃度を求めた。【0012】測定例1RF添加試料のCRP濃度の測定RFの添加量を変えて、既知のCRP濃度が正確に測定できるかどうか検討した。測定結果を表2に示した。表2に示した結果から分かるように、CRP測定値がRF濃度0の時のCRP測定値に近いほどRFの影響を受けていないことから、比較例1に比べ、実施例1と2では、殆どRFの影響がない。【0013】測定例2試薬の安定性(RF回避能の変化)日立7150自動分析装置の試薬保冷庫に、各組成の第1試薬を開封したまま放置し、0、28、56日目にCRP1mg/dl、RF3000IU/mlのRF高値血清を測定し、本発明の試薬のRFの影響回避能の変化を検討した。結果を表3に示した。【0014】表3の結果から分かるように、56日目で実施例3、4は、比較例2に比べRFの影響が少なく、比較例2よりRFの影響回避能が長期間持続する組成であるといえる。測定例3 試薬の安定性(反応性の比較)測定例2と同様に保存した試薬の0、28、56日目のCRP30mg/dlの検体を測定し、CRPに対する反応性の安定性を比較した。この測定では0日目の標準曲線を28,56日目でも使用し、測定値を算出した。結果を表4に示した。【0015】表4に示した結果から分かるように、56日目で実施例5、6は、比較例3に比べ測定値の低下が少なく、安定な組成であるといえる。【0016】【発明の効果】以上に詳細に述べた通り、本発明のラテックス免疫比濁測定法により、検体中のCRPなどの抗原を、検体中のRFなどの影響を受けることなく、特異的に測定することができる。また、本発明のラテックス免疫比濁測定法用キットは、保存安定性に優れたものである。 検体中の抗原を測定するラテックス免疫比濁測定法において、検体とチオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを混合し、次いで、検体中の抗原と該抗原に対する抗体を感作させたラテックス粒子とを反応させることを特徴とするラテックス免疫比濁測定法。 検体中の抗原を請求項1に記載のラテックス免疫比濁測定法により、検体中のリウマチ因子の影響を受けることなく、測定するためのキットであって、 i)チオグリコール酸もしくはその塩又はチオグリセロールを必須成分として含む試薬、及び ii)検体中の抗原に対する抗体を感作させたラテックス粒子を必須成分として含む試薬からなるキット。