生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_高純度ジイソプロピルエーテルおよびその製法
出願番号:2001107458
年次:2011
IPC分類:C07C 41/42,C07C 43/04


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池田 悟 川股 理記 JP 4687849 特許公報(B2) 20110225 2001107458 20010405 高純度ジイソプロピルエーテルおよびその製法 JX日鉱日石エネルギー株式会社 000004444 秋元 輝雄 100062225 池田 悟 川股 理記 20110525 C07C 41/42 20060101AFI20110427BHJP C07C 43/04 20060101ALI20110427BHJP JPC07C41/42C07C43/04 Z C07B 31/00-63/04 C07C 1/00-409/44 特開2000−239214(JP,A) 特開平06−206890(JP,A) 特開平04−312538(JP,A) 特開平02−059541(JP,A) 特開平03−063239(JP,A) 特開平03−287548(JP,A) 4 2002308813 20021023 6 20071207 高橋 直子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は高純度ジイソプロピルエーテルおよびその製法に関するものであり、さらに詳しくは医薬品や食品等の合成・抽出溶剤として用いられる高純度ジイソプロピルエーテルおよび高純度ジイソプロピルエーテルを低純度のジイソプロピルエーテルから蒸留精製によって製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】医薬品や食品等の合成・抽出溶剤として、ジイソプロピルエーテルは99%もしくは99.5%以上の高い純度が要求されている。ジイソプロピルエーテルは、工業的にはイソプロピルアルコ−ルとプロピレンの接触反応にて目的生産されるか、イソプロピルアルコール製造の際の副生油として回収される。【0003】ここで得られる粗ジイソプロピルエテーテルには製造工程で副生するヘキセン類(本発明では炭素数6の脂肪族不飽和炭化水素化合物を指す)が含有されるが、その沸点(53〜73℃)が目的とするジイソプロピルエーテルの沸点(69℃)と近接するため、通常の蒸留方法・蒸留装置では純度99%以上の高純度ジイソプロピルエテーテルを製造することは困難なことが多い。【0004】これを解決する従来公知の方法(特開平3−63239号公報)には、溶媒(イソプロピルアルコールもしくはアセトニトリル)を添加し、ヘキセン類を共沸組成物として分離・留出せしめるものがある。【0005】【発明が解決しようとする課題】公知の方法(特開平3−63239号公報)は、ヘキセン類の含有量が少ない粗ジイソプロピルエーテルを精製して高純度ジイソプロピルエテーテルを製造するには有効な手段であるが、ヘキセン類の含有量が多い、例えば20質量%以上の、粗ジイソプロピルエーテルに適用する場合には、添加する溶媒量及び共沸組成物として同伴されるジイソプロピルエーテル量が増大してしまうという問題があった。このことは経済的に不利であるのみならず、廃棄物が増大することで環境上も好ましくない。【0006】 本発明の目的は、医薬品や食品等の合成・抽出溶剤として好適に用いられる高純度ジイソプロピルエーテルを低純度のジイソプロピルエーテルから蒸留精製によって経済的有利にかつ環境上の問題なく製造する方法を提供することである。【0007】【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明者等は検討を重ねた結果、ヘキセン類を含有する粗ジイソプロピルエーテルを水素化処理し、対応するヘキサン類(本発明では炭素数6の脂肪族飽和炭化水素化合物を指す)に変換することで、全てのヘキセン類の沸点をジイソプロピルエーテルの沸点(69℃)と同等以下とし、かつこの水素化処理後の粗ジイソプロピルエーテルを蒸留することで、特に抽出蒸留または共沸蒸留することで、効率的に粗ジイソプロピルエーテルを精製して高純度ジイソプロピルエーテルを製造しうることを見出し本発明を完成させた。【0009】 本発明の第1は、ヘキセン類を含有するジイソプロピルエーテルを水素化処理した後に蒸留することを特徴とする純度99質量%以上のジイソプロピルエーテルの製法である。【0010】 本発明の第2は、本発明第1に記載の製法において、蒸留が共沸蒸留であることを特徴とする。【0011】 本発明の第3は、本発明第1に記載の製法において、蒸留が抽出蒸留であることを特徴とする。【0012】 本発明の第4は、本発明第2に記載の製法において、添加する共沸組成成分がイソプロピルアルコールであることを特徴とする。【0013】本発明においては、ヘキセン類を含有する粗ジイソプロピルエーテルを水素化処理し、対応するヘキサン類に変換することで、全てのヘキセン類の沸点をジイソプロピルエーテルの沸点(69℃)と同等以下とし、かつこの水素化処理後の粗ジイソプロピルエーテルを蒸留することで、特に抽出蒸留または共沸蒸留することで、効率的に粗ジイソプロピルエーテルを精製して微量のヘキサン類を含有する高純度ジイソプロピルエーテルを経済的有利にかつ環境上の問題なく製造できる。【0014】【発明の実施の形態】以下、本発明の方法についてさらに詳しく説明する。本発明における原料粗ジイソプロピルエーテルは、目的製造されたもの、もしくは他の化合物(例えばイソプロピルアルコール)を製造する際の副生成物として得られたもの、さらには合成溶媒や抽出溶媒として使用されたジイソプロピルエーテルを回収したものであってよい。【0015】また用いる原料粗ジイソプロピルエーテルの純度に特に制限はないが、工業的にはヘキセン類が1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%の粗ジイソプロピルエーテルを原料に用いた場合に効果的である。1質量%未満の場合には本発明による収率改善はあるもののその効果が少なく、50質量%を超える場合には本発明の方法でも高収率を得るのが困難である。【0016】また本発明における粗ジイソプロピルエーテルは、加えて水・アルコール・重質炭化水素等のヘキセン類以外の不純物を含んでいてもよい。【0017】本発明における水素化は粗ジイソプロピルエーテルを触媒の存在下に水素と接触させることでおこなう。反応器は回分式、連続式いずれであってもよい。用いる触媒は、ヘキセン類の水素化が可能である限りどのようなものであってもよいが、無機物担体に第VIII族に属する金属元素(及びその酸化物や硫化物)を担持した触媒が工業的には有利である。例えばパラジウム炭素・ロジウム炭素・白金アルミナ・ニッケルシリカなどが挙げられる。【0018】水素化条件としては反応が円滑に進行する限り特に制限はないが、通常は水素圧0.01MPa〜20MPa、温度0℃〜200℃、触媒量1〜10質量%、LHSVは0.1〜30h-1の範囲から選択できる。好ましくは、水素圧0.01MPa〜5MPa、温度20℃〜80℃である。【0019】本発明における蒸留方法としては、含有されるヘキサン類の種類、量、組成によって、通常の蒸留(単蒸留)、抽出蒸留、共沸蒸留から適宜選択することができる。【0020】単蒸留は、ヘキサン類の沸点がジイソプロピルエーテルの沸点より充分低い場合あるいはヘキサン類の量が比較的少ない場合に用いることができる。【0021】抽出蒸留は、ジメチルスルフォキシド,スルホラン,1−メチルピロリジノン等の極性溶媒を添加し、これらの極性溶媒と相互作用を形成させることでヘキサン類とジイソプロピルエーテルの沸点差を増大せしめ精製を容易にすることを特徴とする。【0022】例えば、水素化処理した粗ジイソプロピルエーテルを抽出蒸留した場合、単蒸留ではジイソプロピルエーテルと沸点が最も近接するノルマルヘキサン(沸点69℃)との相対比揮発度を沸点差18℃相当とすることができるが、水素化処理しない場合単蒸留ではジイソプロピルエーテルとの沸点が最も近接するヘキセン類、例えば2−メチル−2−ペンテン(67.3℃)との相対比揮発度を沸点差8℃相当しか広げることができない。加えて水素化処理しない場合は、ジイソプロピルエーテルより高沸点のヘキセン類が共存し、これらとジイソプロピルエーテルとの相対比揮発度が単蒸留の場合よりむしろ小さくなってしまうため抽出蒸留は有効な精製手段とはならない。【0023】共沸蒸留は、ヘキサン類と共沸組成物を生成する溶媒を添加し、これらの共沸組成物をヘキサン類及びジイソプロピルエーテルのいずれの沸点より低い沸点で留出せしめることで精製を容易にすることを特徴とする。【0024】溶媒としては、ヘキサン類と共沸しかつその共沸温度がジイソプロピルエーテルの沸点より低いものが選ばれる。具体的には、メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,アセトン,メチルエチルケトン等が挙げられる。例えば、単蒸留すると実質的な留出開始温度がともに60℃程度の水素化処理した粗ジイソプロピルエーテルと水素化処理しない粗ジイソプロピルエーテルをメタノールを添加して共沸蒸留蒸留すると、前者では12℃程度留出開始温度を低減することができるが、後者では7℃程度である。【0025】共沸蒸留を用いるにあたっては原料の水素化処理は原理上必須ではないが、水素化処理することでヘキサン類を取り除くに必要な添加溶媒量と共沸組成物の1成分として失われるジイソプロピルエーテルの量を低減せしめることができる。上記メタノール添加系の例では、必要な添加メタノール量は水素化処理すると20%程度削減でき、かつ水素化処理しないと40%近くのジイソプロピルエーテルが共沸組成物として失われてしまうのを16%程度の損失にとどめることができる。【0026】本発明において用いる水素化装置および蒸留装置は回分式・連続式いずれであっても構わない。また水素化装置と蒸留装置をそれぞれ単独で用いても連続的に用いてもよい。蒸留装置は蒸留塔を一塔備えていればよいが、原料の粗ジイソプロピルエーテルが高沸点の不純物を含有する場合は二塔構成とし、一塔目の留出液もしくは缶出液を二塔目でさらに精製することができる。【0027】本発明の製法においては、粗イソプロピルエーテルの純度に対応して任意の純度に精製して高純度イソプロピルエーテルを得ることができる。特に99質量%以上、さらには99.5質量%以上の高純度にすることが可能であり、不純物のひとつであるヘキサン類を1質量%以下、さらには0.5質量%以下にすることが可能である。【0028】【実施例】以下実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。[実施例1]ヘキセン類約20質量%含有する粗ジイソプロピルエーテル(純度約77質量%)1,500gを、オートクレーブ中、水素圧0.3MPa,温度40℃にて5%パラジウム炭素20gを触媒として30分間水素化した。反応後、触媒を分別し、ヘキセン類を実質的に含まない水素化粗ジイソプロピルエーテル1,440gを得た。次いで上部に長さ20cmの蒸留塔および凝縮器を備えた300ml三つ口フラスコにこの水素化粗ジイソプロピルエーテル150gとメタノールを20g加えた原料を仕込み還流比20で蒸留した。留出液を分析し、加えたメタノールが全て留出したことを確認した後に蒸留を停止した。塔底から純度99.5%の精製ジイソプロピルエーテルが68g得られた。この精製ジイソプロピルエーテル中のヘキサン類の含有量は0.2質量%であった。【0029】[実施例2]実施例1で用いたのと同じ水素化粗ジイソプロピルエーテル150gにイソプロピルアルコールを15g加えて同様に蒸留を行った。その結果、純度99.1%の精製ジイソプロピルエーテルが56g得られた。このジイソプロピルエーテル中のヘキサン類含有量は0.6質量%であった。【0030】[比較例1]実施例1において粗ジイソプロピルエーテル(純度約77質量%)を水素化処理せずにそのまま用いた以外は実施例1と同じ条件でこの粗ジイソプロピルエーテルの蒸留を行った。その結果、純度93.7%の精製ジイソプロピルエーテルが44g得られた。このジイソプロピルエーテル中のヘキサン類含有量は5.7質量%であった。【0031】【発明の効果】本発明の微量のヘキサン類を含有する高純度ジイソプロピルエーテルは、医薬品や食品等の合成・抽出溶剤として好適に用いられるという顕著な効果を奏する。【0032】ヘキセン類を含有するジイソプロピルエーテルを水素化処理した後に蒸留することを特徴とする本発明の高純度ジイソプロピルエーテルの製法により、低純度のジイソプロピルエーテルから経済的有利にかつ環境上の問題なく高純度ジイソプロピルエーテルを製造できるという顕著な効果を奏する。 ヘキセン類を含有するジイソプロピルエーテルを水素化処理した後に蒸留することを特徴とする純度99質量%以上のジイソプロピルエーテルの製法。 蒸留が共沸蒸留であることを特徴とする請求項1記載の製法。 蒸留が抽出蒸留であることを特徴とする請求項1記載の製法。 添加する共沸組成成分がイソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項2記載の製法。


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