| タイトル: | 特許公報(B2)_歯科用セルフエッチングプライマー処理剤 |
| 出願番号: | 2001092131 |
| 年次: | 2012 |
| IPC分類: | A61K 6/00 |
根本 君也 早川 徹 菊竹 一代 JP 4859157 特許公報(B2) 20111111 2001092131 20010328 歯科用セルフエッチングプライマー処理剤 学校法人日本大学 899000057 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 根本 君也 早川 徹 菊竹 一代 20120125 A61K 6/00 20060101AFI20120105BHJP JPA61K6/00 A A61K6/00-6/10 特開2000−178113(JP,A) 特開平05−310524(JP,A) 特開平08−040819(JP,A) 特開平10−077205(JP,A) 特開平06−024928(JP,A) 2 2002284616 20021003 10 20080310 特許法第30条第1項適用 平成13年3月15日 日本歯科理工学会発行の「歯科材料・器械・第20巻・特別号37」に発表 辰己 雅夫 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、歯科用セルフエッチングプライマー処理剤に関する。更に詳細には、歯のエナメル質に接着性レジンセメントを接着させる際に歯のエナメル質の表面処理のために用いる歯科用セルフエッチングプライマー処理剤、及び該歯科用セルフエッチングプライマー処理剤を構成試薬として含む、歯に歯科用材料を接着させるための歯科用キットに関する。【0002】【従来の技術】現在では、歯科臨床において、歯のエナメル質に、虫歯充填剤としてコンポジットレジンを充填させる場合、あらかじめ接着剤やボンディング材を接着させるために、通常、歯のエナメル質の表面処理のためにセルフエッチングプライマー処理剤が広く用いられている。セルフエッチングプライマー処理剤は、歯のエナメル質にコンポジットレジンやボンディング材を接着させる際に必要とされる、歯のエナメル質のエッチング処理とプライマー処理の両者の機能を併せ持った表面処理剤である。即ち、エナメル歯面を脱灰してエナメル小柱とエナメル小柱間質との酸に対する抵抗差により表面に凹凸を生じさせて粗造化し、この粗造面にコンポジットレジンやボンディング材が侵入して硬化することにより機械的維持力が高まりコンポジットレジンやボンディング材との接着を可能にするエッチング処理と、コンポジットレジンやボンディング材との接着に適した状態に歯のエナメル質を改質するプライマー処理の両者の機能を併せ持っている。セルフエッチングプライマー処理剤は、エッチング処理とプライマー処理の両方の機能を併せ持っているため、口腔内での操作は簡略化されるという利点を有している。【0003】このようなセルフエッチングプライマー処理剤としては、コンポジットレジンを歯のエナメル質に接着させる際に用いるものとして、メタクリロイルオキシデカメチレンリン酸などの酸成分、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性モノマー及び過酸化アンモニウム、カンファーキノン/アミンなどの光重合触媒からなるセルフエッチングプライマー処理剤が知られている(Oper Dent,24(3),172-180,1999;Dent Mater J,8(1),86-92,1989;DentMater J,15(2),132-143,1996;接着歯学,15(3),221-228,1997; J Dent Res,76(1),02-609,1997;接着歯学,17(2),91-99,1999; J Dent Res,73(5),1088-1095,1994;J Dent Res,73(6),1212-1220,1994;Dent Mater, 14(2),99-105,1998)。一方、歯のエナメル質に歯科矯正用ブラケットなどを装着させる際にあらかじめ接着させるボンディング材として、4−メタアクリルオキシエチルトリメト酸無水物(4−META)を溶解したメチルメタクリレート(MMA)をポリメチルメタクリレート(PMMA)の存在下で部分酸化トリ−n−ブチルボラン(TBB)により重合した4−META/MMA−TBBレジンが開発されている(歯科理工学雑誌 23(6):88-92,1982;接着歯学 7:57-68,1989;日本歯科評論 575:137-152,1990; 1999;接着歯学 13:156-170,1995)。この4−META/MMA−TBBレジンを歯のエナメル質に接着させる際に用いるエッチングするための処理剤として、65%リン酸水溶液が知られている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エッチング処理剤として65%リン酸水溶液を歯のエナメル質に適用した場合、エナメル質のひびわれ、カルシュウム欠損などが起こることが報告されている(Am.J.Orthodontis,1980;77:307-319;Am.J.Orthodontis,1982;81:93-98;Am.J.Orthodontis and Dentofacial Orthopedics 1988;94:68-73)。65%リン酸水溶液に代わるエッチング処理剤として、EDTA溶液あるいは3又は5%リン酸水溶液を用いた例が報告されている(歯科材料・器械 1989;8:473-480; 歯科材料・器械 1992;11:1023-1027)。また、コンポジットレジンを歯のエナメル質に接着させる際に用いられる上記した酸成分、水溶性モノマー及び光重合触媒からなるセルフエッチングプライマー処理剤を、4−META/MMA−TBBレジンをエナメル質に接着させる際のセルフエッチングプライマー処理剤として用いる試みも報告されている(接着歯学,18(4),316-317,2000)。しかしながら、これらのいずれも、4−META/MMA−TBBレジンを歯のエナメル質に接着させる際のセルフエッチングプライマー処理剤としては十分に満足できるものではない。従って、本発明の目的は、4−META/MMA−TBBレジンなどの接着性レジンセメントを歯のエナメル質に接着させる際に歯のエナメル質の表面処理のために用いるのに優れた歯科用セルフエッチングプライマー処理剤、及び該歯科用セルフエッチングプライマー処理剤を構成試薬として含む、歯に歯科用材料を接着させるための歯科用キットを提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者は、4−META/MMA−TBBレジンなどの接着性レジンセメントを歯のエナメル質に接着させる際のエナメル質のための優れたセルフエッチングプライマー処理剤を得ることを目的として鋭意研究した結果、2−メタクリロイルオキシエチルリン酸などのメタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマー、及び塩化第二鉄などの金属塩を含む水溶液をセルフエッチングプライマー処理剤として用いた場合には、エナメル質への接着性レジンセメントの接着強度並びにその耐久性が向上し、またエナメル質へ塗布後、水洗の必要がなくエアーブローで乾燥するのみでよく操作性が良く、極めて優れていることを見出し本発明を完成させた。即ち、本発明は、歯のエナメル質に接着性レジンセメントを接着させる際に歯のエナメル質の表面処理のために用いる歯科用セルフエッチングプライマー処理剤であって、メタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマー、メタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマー及び金属塩を含む水溶液からなる歯科用セルフエッチングプライマー処理剤である。更に本発明は、上記の歯科用セルフエッチングプライマー処理剤及び接着性レジンセメントもしくはそれを調製するための試薬を含む、歯に歯科用材料を接着させるための歯科用キットである。【0006】【発明の実施の形態】本発明のセルフエッチングプライマー処理剤は、歯のエナメル質に接着性レジンセメントを接着させる際にエナメル質を表面処理するのに用いるものであり、接着性レジンセメントとしては、4−META/MMA−TBBレジン、ビスフェノール−Aジグリシジルエチルエーテルとメタクリル酸の1:2付加物(BisGMA)からなるBisGMA系レジンセメントなどが挙げられる。本発明のセルフエッチングプライマー剤は、メタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマー、メタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマー及び金属塩を含む水溶液からなる。【0007】メタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマーとしては、メタアクリレートもしくはアクリレートのリン酸エステル系モノマーあるいはメタアクリレートもしくはアクリレートのカルボン酸系モノマーが好ましい。メタアクリレートもしくはアクリレートのリン酸エステル系モノマーとしては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルリン酸(Phosmer-M)、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸(Phenyl-P)、10−メタクリロイルオキシデカメチレンリン酸(MDP)、4−ビニルベンジルリン酸(VBPA)、ペンタアクリロイルジペンタエリスリトールリン酸(Penta-P)などが挙げられる。特に2−メタクリロイルオキシエチルリン酸(Phosmer-M)が好ましい。メタアクリレートもしくはアクリレートのカルボン酸系モノマーとしては、例えば、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸(MAC-10)、4−メタアクリロイルアミノサリチル酸(MASA)、4−メタアクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸(4-MET)、4−メタアクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸無水物(4-META)、N−メチルアクリロイルーN’,N’−ジカルボキシメチル1,4−ジアミノベンゼン(N2)、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン(NPG-GMA)、4−ビニル安息香酸(VBAc)、3,4,3',4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の1:2付加物(BPDM)、ピロメリト酸無水物と2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の1:2付加物(PMDM)などが挙げられる。なかでも特に、4−メタアクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸(4-MET)、4−メタアクリロイルオキシエチルオキシカルボニルフタル酸無水物(4-META)などが好ましい。【0008】メタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマーとしては、メタアクリル酸もしくはアクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが好ましい。メタアクリル酸もしくはアクリル酸のヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート(HPPM)、2−ヒドロキシ−3−2−ナフトキシプロピルメタクリレート(HNPM)、グリセリルモノメタクリレート(GM)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(BPE-1300)、グリセロールジメタクリレート(GMR)、グリセロールメタクリレートアクリレート(GAM)などが挙げられる。なかでも特に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセリルモノメタクリレート(GM)などが好ましい。【0009】金属塩としては、遷移金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましい。遷移金属塩としては、例えば、塩化第二鉄、塩化第一鉄、塩化第一銅、塩化第二銅、塩化コバルト、塩化マンガンなどが挙げられ、塩化第二鉄、塩化第二銅などが好ましい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸水素カルシウム、塩化マグネシウムなどが挙げられ、塩化カルシウムが好ましい。金属塩としては、特に塩化第二鉄が好ましい。【0010】上記したメタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマー、メタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマー及び金属塩を水に加えて水溶液とすることにより、本発明のセルフエッチングプライマー処理剤が得られる。メタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマーの水溶液中の量は、通常5〜50重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。メタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマーの水溶液中の量は、通常10〜50重量%であり、好ましくは20〜40重量%である。金属塩の水溶液中の量は、通常0.5〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。これらの成分以外にも、必要に応じて、通常用いられる添加物である顔料、可塑剤などを適宜添加してもよい。【0011】かくして得られる本発明のセルフエッチングプライマー処理剤は、歯のエナメル質に接着性レジンセメントを接着させる際に、エナメル質に塗布されてエナメル質の表面処理が行われる。表面処理により、エナメル質への接着性レジンセメントの接着強度並びにその耐久性が著しく向上する。また本発明のセルフエッチングプライマー処理剤をエナメル質へ塗布後は、水洗の必要がなくエアーブローで乾燥するのみでよく、従って操作性において著しく優れている。【0012】本発明のセルフエッチングプライマー処理剤は、接着性レジンセメントもしくはそれを調製するための試薬と共に、歯に歯科用材料を接着させるための歯科用キットとすることができる。接着性レジンセメントとしては、4−META/MMA−TBBレジンが挙げられる。歯科用キット中では、通常4−META/MMA−TBBレジンは、それを調製するための試薬である、4−メタアクリルオキシエチルトリメリト酸無水物(4−META)を溶解したメチルメタクリレート(MMA)溶液、ポリメチルメタクリレー(PMMA)粉末及び部分酸化トリ−n−ブチルボラン(TBB)をそれぞれ別々の容器に入れた状態でキットの構成試薬とされる。使用時にこれらの構成試薬を混合して4−META/MMA−TBBレジンが調製される。【0013】【実施例】以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例1セルフエッチングプライマー処理剤の調製メタアクリレートのリン酸エステル系モノマーとして、2−メタクリロイルオキシエチルリン酸(Phosmer-M)、メタアクリレートの水溶性モノマーとして、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、金属塩として塩化第二鉄(FeCl3)を蒸留水に加えてセルフエッチングプライマー処理剤を調整した。Phosmer-Mを水溶液中で30wt%、HEMAを35wt%の量で使用し、FeCl3は、0、0.5、1、3、5、7wt%の量の7種類のセルフエッチングプライマー処理剤を調製した。対照の処理剤として、65%リン酸水溶液を調製した。【0014】実施例2引張接着強さの測定(1)接着試験方法抜去後、ただちに冷凍した牛前歯を使用前に解凍した。注水下でエナメル質を#100、#800、#1000の順に平坦に研磨して被着体とした。厚さ0.3mm、内径4mmの穴のあいた両面テープを貼り付けた。研磨エナメル質面にセルフエッチングプライマー処理剤を30秒間処理しその後乾燥した。水洗は行わなかった。但し、65%リン酸水溶液の場合には、30秒処理を行い、その後30秒間水洗し、乾燥した。4−META/MMA溶液と重合開始剤(部分酸化TBB)をダッペンディッシュで混合し、PMMA粉末と組み合わせてステンレスロッド(サンドブラスト処理)に盛り付けた。エナメル質にステンレスロッドを固定した。レジン硬化後、37℃水中に1日浸漬した。その後オートグラフ(TCM500CR,シンコー)を用いて2mm/minで引張接着強さを測定した。測定はそれぞれ10本の試験体について行った。【0015】(2)結果10本の試験体についての測定値は一元配置分散分析及びシェフィーの多重比較(危険率5%)による統計処理を行った。引張接着強さの測定結果を表1に示した。表中のカッコ内の値は標準偏差を示す。表1の結果から分かるように、塩化第二鉄の濃度の上昇に従い、引張接着強さは上昇した。塩化第二鉄の濃度が2〜7wt%のセルフエッチングプライマー処理剤の時に、65%リン酸水溶液を用いた場合に比べて引張接着強さが有意に強かった。【0016】実施例3エナメル質処理面のSEM観察(1)方法最終研磨#1000の砥石で平坦に研磨したエナメル質をセルフエッチングプライマー処理剤で処理後、アルコール脱水を行い、酢酸イソアミルで置換後、臨界点乾燥装置(HCP-1,日立)で乾燥し、イオンコーター(JFC-1600、日本電子)により白金のスパッタコーティングを施した後、電解放射走査型電子顕微鏡(JSM-6340F)観察を行った。比較として未処理の研磨エナメル質も観察した。【0017】(2)結果未処理および65%リン酸水溶液処理エナメル質のSEM像を図1に示す。未処理の研磨面では研磨時の傷や残片層が確認された。65%リン酸水溶液処理面では、残片層は除去され、エナメル小柱細間質が溶解していた。更にエナメル小柱内部でも微細な凹凸が形成されていた。FeCl3が0wt%(ホスマープライマー)及び5wt%(5FeCl3プライマー)のセルフエッチングプライマー処理剤で処理したエナメル質のSEM像を図2に示す。ホスマープライマー処理面は65%リン酸水溶液処理と似たパターンの脱灰の様子であったが、いくらか弱いものであった。5FeCl3プライマー処理面は65%リン酸水溶液処理と脱灰の様子がよく似ており、小柱間質および小柱内部で溶解していた。【0018】実施例4レジンと研磨エナメル質との接着界面のSEM観察(1)方法研磨後、セルフエッチングプライマー処理剤による処理を行ったエナメル質面に、内径3.2m、厚さ2.0mmのシリコーンリングを仮着し、リング内に4−META/MMA−TBBレジンを充填し、硬化後シリコーンリングを撤去し、37℃水中に1日浸漬させたものを歯軸と平行に割断し、#1000、#1200、#1500の耐水ペーパーと6μm、3μm、1μm、0.25μmのダイヤモンドペースト(straeus)を順次用いて鏡面研磨を行った。乾燥後、小型ECRイオンシャワー装置(EIS-200ER,エリオニクス)を用いて、1kV、15mAの条件で30秒間、1分間、3分、または5分間アルゴンイオンエッチングを行い、白金スパッタコーティングを施した後、エナメル接着界面のSEM観察を行った。またアルゴンイオンエッチングを行わない面の割断面の観察も行った。【0019】(2)結果65%リン酸水溶液処理後、接着を行った試料の割断面に対し、Arイオンエッチングを1分間施した試料のSEM像を図3に示す。Arイオンエッチングを30秒間施した物よりも境界面はより明確になっていた。高倍率で観察すると、レジンとエナメル質が強固に接着している様子が確認できた。ホスマープライマーで処理後、接着を行った試料の割断面に対し、Arイオンエッチングを1分間施した試料のSEM像を図4に示す。境界面は粗造となっている。5FeCl3プライマーで処理後、接着を行った試料の割断面に対し、Arイオンエッチングを30秒間または1分間施した試料のSEM像を図5に示す。境界面は粗造となっているが、ダメージは65%リン酸水溶液処理、ホスマープライマー処理より少なく、レジンとエナメル質が互いに強固に接着している様子が確認出来た。【0020】【発明の効果】以上に詳述した通り、塩化第二鉄などの金属塩を添加した本発明のセルフエッチングプライマー処理剤で歯のエナメル質を処理した後、4−META/MMA−TBBレジンなどの接着性レジンセメントを接着させた場合には著しく引張接着強さが上昇する。また、本発明のセルフエッチングプライマー処理剤によりエナメル質表面が微細に激しく脱灰される。従って、本発明のセルフエッチングプライマー処理剤は、接着性レジンセメントを歯のエナメル質に接着させる際に、その接着強度を著しく向上させ、またその耐久性も向上させることができる。更に、本発明のセルフエッチングプライマー処理剤は、エナメル質へ塗布後、水洗の必要がなくエアーブローで乾燥するのみでよく操作性が良く、極めて優れている。【図面の簡単な説明】【図1】図1は、未処理および65%リン酸水溶液処理エナメル質のSEM像を示す。【図2】図2は、FeCl3を添加しなかったセルフエッチングプライマー処理剤(ホスマープライマー)及び5wt%含有するセルフエッチングプライマー処理剤(5FeCl3プライマー)で処理したエナメル質のSEM像を示す。【図3】図3は、65%リン酸水溶液処理後、接着を行った試料の割断面に対し、Arイオンエッチングを1分間施した試料のSEM像を示す。【図4】図4は、ホスマープライマーで処理後、接着を行った試料の割断面に対し、Arイオンエッチングを1分間施した試料のSEM像を示す。【図5】図5は、5FeCl3プライマーで処理後、接着を行った試料の割断面に対し、Arイオンエッチングを30秒間または1分間施した試料のSEM像を示す。 歯のエナメル質に、4−メタアクリルオキシエチルトリメリト酸無水物(4−META)を溶解したメチルメタクリレート(MMA)をポリメチルメタクリレート(PMMA)の存在下で部分酸化トリ−n−ブチルボラン(TBB)により重合した4−META/MMA−TBBレジンである接着性レジンセメントを接着させる際に歯のエナメル質の表面処理のために用いる歯科用セルフエッチングプライマー処理剤であって、 メタアクリレートもしくはアクリレートのリン酸エステル系モノマーあるいはメタアクリレートもしくはアクリレートのカルボン酸系モノマーである、メタアクリレートもしくはアクリレートの酸性モノマー、 メタアクリル酸もしくはアクリル酸のヒドロキシアルキルエステルである、メタアクリレートもしくはアクリレートの水溶性モノマー、 及び塩化第二鉄である金属塩を含む水溶液からなる歯科用セルフエッチングプライマー処理剤であり、塩化第二鉄を、水溶液中に2から7重量%含有する、歯科用セルフエッチングプライマー処理剤。 請求項1に記載の歯科用セルフエッチングプライマー処理剤、及び4−メタアクリルオキシエチルトリメリト酸無水物(4−META)を溶解したメチルメタクリレート(MMA)をポリメチルメタクリレート(PMMA)の存在下で部分酸化トリ−n−ブチルボラン(TBB)により重合した4−META/MMA−TBBレジンである接着性レジンセメントもしくはそれを調製するための試薬を含む、歯に歯科用材料を接着させるための歯科用キット。