生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_インスリン抵抗性改善薬
出願番号:2001086599
年次:2011
IPC分類:A61K 31/5375,A61P 5/50,C07D 265/30


特許情報キャッシュ

乾 明夫 上野 尚彦 JP 4829417 特許公報(B2) 20110922 2001086599 20010326 インスリン抵抗性改善薬 乾 明夫 300091946 上野 尚彦 300092150 大日本住友製薬株式会社 000002912 松尾 まゆみ 100124637 吉岡 拓之 100099221 乾 明夫 上野 尚彦 20111207 A61K 31/5375 20060101AFI20111117BHJP A61P 5/50 20060101ALI20111117BHJP C07D 265/30 20060101ALN20111117BHJP JPA61K31/5375A61P5/50C07D265/30 A61K31/5375 A61P1/00-43/00 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) Koshiyama H et al,Diabetes Care,2000年 8月,Vol.23, No.8,p.1198-9 6 2002284687 20021003 12 20080311 植原 克典 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、N−[(2−モルホリニル)メチル]ベンズアミド誘導体を有効成分とするインスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬に関する。【0002】【従来の技術】糖尿病性自律神経障害患者や糖尿病性胃症患者におけるモサプリド〔後記式(I)においてRが4−フルオロベンジル基である化合物〕の血糖コントロールに与える影響に関しては幾つか報告されている。J. Smooth Muscle Res., 28, 153-158 (1992)には、糖尿病性自律神経障害による糖尿病性胃排出遅延患者8名において、クエン酸モサプリド無水物として22.5mg/日の4週間連続投与した場合の空腹時血糖値及び血糖コントロールの指標となるグリコヘモグロビンHbA1の変化が報告されている。4週後に、空腹時血糖値は203±20(133〜286)mg/dlから181±25(94〜257)mg/dlへと低下し、改善傾向が認められたのに対し、HbA1は11.4±1.0(9.4〜15.4)%から9.5±0.4(8.4〜10.8)%に有意に改善した、と報告されている。著者らは、これらの血糖コントロールの改善は、糖尿病性胃排出遅延の改善に伴ってインスリン作用時間と血糖上昇の時期が同調することに起因すると推測している。同様の臨床試験成績がDiabetes Care, 23, 1198 (2000)においても報告されている。【0003】モサプリド〔化学名:(±)−4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−[[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル]ベンズアミド;例えば日本薬理学雑誌,113, 299-307 (1999) 参照〕は現在、クエン酸塩2水和物の形で日本等において消化管運動促進薬として慢性胃炎に伴う消化器症状の治療に使用されている。特公平3−54937号公報及び米国特許第4,870,074号明細書は、モサプリド及びその関連化合物の製造法及び消化管運動促進薬としての有用性を開示している。【0004】1999年のWHOの統計によれば、全世界の糖尿病患者数は1億2000万ないし1億3000万人であり、2025年までには倍増する、と予想されている。糖尿病患者の約90〜95%は、2型糖尿病に罹患しているといわれているが、この2型糖尿病はインスリンの分泌不全すなわちβ細胞の機能低下とインスリン抵抗性がさまざまに絡みあってインスリンの作用不足を生じ高血糖状態が現れる疾患である。したがって、インスリン抵抗性を改善する薬物又はインスリン感受性を増強する薬物は2型糖尿病における高血糖のコントロールに有用であると考えられている。インスリン抵抗性改善薬としては、トログリダゾン、ピオグリタゾンが開発されてきたが、安全性の面で必ずしも満足できるものではない。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、モサプリドが糖尿病性自律神経障害による糖尿病性胃排出遅延患者において、血糖コントロールの指標となるグリコヘモグロビンHbA1を有意に改善させた、との上記報告に着目し種々検討の結果、全く意外にもモサプリドがインスリン抵抗性を改善することを見いだし、さらに研究を続けて本発明を完成した。【0006】【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式(I)で表されるN−[(2−モルホリニル)メチル]ベンズアミド誘導体もしくはその立体異性体又はその生理的に許容される酸付加塩を有効成分とするインスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬が提供される。【0007】【化3】(式中、Rは水素原子又は4−フルオロベンジル基を意味する。)式(I)においてRが4−フルオロベンジル基である化合物がモサプリドであり、Rが水素原子である化合物がモサプリドの主代謝物である。【0008】【発明の実施の形態】式(I)の化合物の酸付加塩の具体例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、及びシュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。式(I)においてRが4−フルオロベンジル基である化合物の酸付加塩としては、クエン酸塩が好ましく、その2水和物が特に好ましい。式(I)の化合物の立体配置に関しては、ラセミ体、R体又はS体のいずれでもよい。【0009】式(I)の化合物又はその生理的に許容される酸付加塩類の製造は、例えば特公平3−54937号公報又は米国特許第4,870,074号明細書に記載の方法に従って行うことができる。また、式(I)の化合物の立体異性体は、例えばChem. Pharm. Bull., 42, 877-882 (1994)に記載の方法に従って製造することができる。【0010】以下に、試験例を挙げて本発明のインスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬としての有用性を支持する効果について説明する。試験例1において実施したグルコースクランプ法は末梢組織のインスリン感受性を評価する方法の1つであり、現在のところ最も正確に感受性を評価できるとされている。本法では血中インスリン値を一定レベルに保つようにインスリンの持続的注入下に、血糖値をモニターしながらグルコース液を注入し、血糖値を空腹時血糖に保持するもので、この際に必要なグルコース注入速度をグルコース代謝速度としてインスリン感受性の指標とする。【0011】試験の結果は平均値±標準誤差で示した。有意差検定はt−検定で行い、p値が0.05より小さいときに有意であると判断した。【0012】試験例1:−2型糖尿病患者34名を17名ずつ2群に無作為に割り付けた。モサプリド群とプラセボ群との間には、年齢、性別、肥満指数、経口血糖降下剤の服用、空腹時の血糖及びヘモグロビンA1cのような背景因子には差が認められなかった。また、全ての患者はインスリン投与を受けておらず、血糖降下剤としてスルホニル尿素系製剤(グリベンクラミド錠及びグリクラジド錠)とボグリボース錠を服用しており、これらの服用は試験期間中も引き続き行われた。いずれの患者もビグアニド系製剤やチアゾリジンジオン系製剤の投与を受けていなかった。これらの患者は、試験の少なくとも2週間前に入院し、1日当たり少なくとも200gの炭水化物を含む体重維持食を摂取した。【0013】モサプリド群の患者にはクエン酸モサプリド無水物として5mgを含有するクエン酸モサプリド2水和物の錠剤(ガスモチン錠5mg、大日本製薬製品)1個ずつを1日3回1週間にわたり連日経口投与した。プラセボ群の患者にはプラセボ錠1個ずつを1日3回1週間にわたり連日経口投与した。治療前と最終治療日には、空腹時に患者の血管カテーテルから血液をEDTA1.2mgとアプロチニン(Trasylor、バイエル社製、ドイツ)400KIUを含む管に採取した。遠心分離により集めた血漿は分析するまで−40℃で保存した。血中のグルコース、フルクトサミン及びヘモグロビンA1cは、それぞれグルコースオキシダーゼ法、NBT(Nitro Blue Tetrazolium chloride)法及びHPLC(高速液体クロマトグラフィー)法により測定した。血漿中のインスリン量及び尿中のCペプチド量は、それぞれ市販のキットであるインスリン−III(ベーリンガー−マンハイム社製、ドイツ)及びCペプチドキット(第一化学、日本)を用いて測定した。なお、尿中のCペプチド量は、2日間の平均値として計算した。【0014】モサプリド群及びプラセボ群ともに全17名の患者について、治療前と最終治療日に、体重1kg当たり0.2gのグルコースを静脈内投与し、経時的に血糖及びインスリン分泌を測定するグルコース負荷試験を実施した。【0015】また、両群ともに患者9名について、治療前と最終治療日に、高インスリン−正常血糖状態固定法(hyperinsulinemic-normoglycemic-clamp;以下「グルコースクランプ法」という)試験を実施するとともに、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)により赤血球300μl当たりののインスリン受容体の全量及びチロシン自己リン酸化量を測定し、インスリン感受性を評価した。ELISAによるインスリン受容体の測定は、Diabetes, 43, 274-280 (1994)に記載の方法に準じて行った。【0016】グルコースクランプ法試験では、肝のグルコース産生を抑制するために、インスリンを0.8mU/kg/分の割合で4時間注入し、血漿中インスリン濃度は100μU/ml(600pmol/L)に維持した。血糖値は95mg/dl(5.32mmol/L)に保持するようにグルコース液を注入した。インスリン注入開始後2〜4時間のグルコース注入速度を測定し、グルコース代謝速度とした。【0017】被験者の背景因子とともに結果を表1に示す。【0018】【表1】表1から明らかなように、モサプリド群では1週後に空腹時の血糖値及びフルクトサミン値がともに投与前値に比べて有意に低下した(p<0.01)。また、血中インスリン値がモサプリド群で有意に低下し、更に尿中Cペプチド濃度も有意に低下した(いずれもp<0.05)。これらの結果はモサプリド投与により、糖尿病患者の血糖が低下するとともに、インスリン分泌量が減少していることを示している。【0019】図1に、静脈内グルコース負荷試験の結果を示す。図中の○は投与前の値を、●は投与後の値を示し、垂線は標準誤差を表す。【0020】図1から明らかなように、モサプリド群では、静脈内グルコース負荷に対する血糖上昇反応は低下し、いずれの測定時点においても血糖値は投与前値に比べて有意に低下した(p<0.05〜p<0.01)。これはモサプリド投与により、糖尿病患者の耐糖能が改善されたことを示している。【0021】図2に、赤血球300μl当たりのインスリン受容体の全量と自己リン酸化量の測定結果、及びグルコースクランプ法試験の結果を示す。図中の○はプラセボ群の値を、●はモサプリド群の値を示し、垂線は標準誤差を表す。【0022】図2に示されるように、モサプリド群のインスリン受容体(全量)は、投与前には3323±518であったが、投与後には4481±786と有意に増加(p<0.05)したのに対し、プラセボ群では投与前の4227±761から投与後の3275±554へと減少傾向を示した。【0023】モサプリド群のインスリン受容体のチロシン自己リン酸化量は、投与前には3178±444であったが、投与後には4043±651と有意に増加(p<0.05)したのに対し、プラセボ群では投与前の3721±729から投与後の3013±511へと減少傾向を示した。【0024】グルコースクランプ法試験において、モサプリド群のグルコース代謝速度は投与前には4.92±0.53mg/kg/分であったが、投与後には5.88±0.72mg/kg/分と有意に増加(p<0.05)したのに対し、プラセボ群では投与前(4.74±0.65mg/kg/分)と投与後(4.70±0.31mg/kg/分)において変化がなかった。これらの結果は、2型糖尿病患者においてモサプリド投与によりインスリンに対する感受性が増強されたことを示している。【0025】試験例2:−外来の2型糖尿病患者69名を34名(モサプリド群)と35名(プラセボ群)に無作為に割り付けた。全ての患者はインスリン投与を受けておらず、血糖降下剤としてスルホニル尿素系製剤(グリベンクラミド錠及びグリクラジド錠)とボグリボース錠を服用しており、これらの服用は試験期間中も引き続き行われた。いずれの患者もビグアニド系製剤やチアゾリジンジオン系製剤の投与を受けていなかった。モサプリド群とプラセボ群との間には、年齢、性別、肥満指数、経口血糖降下剤の服用、空腹時の血糖及びヘモグロビンA1cのような背景因子には差が認められなかった。【0026】患者は、試験前の少なくとも2週間から試験期間中は体重維持食を摂取するよう指示された。いずれの患者にも腎機能異常、自律神経障害又は増殖性網膜症は認められなかった。全患者にこの試験の趣旨が十分に説明され、彼らの同意が得られた。モサプリド群の患者にはクエン酸モサプリド無水物として5mgを含有するクエン酸モサプリド2水和物の錠剤(ガスモチン錠5mg)1個ずつを1日3回8〜24週間にわたり連日経口投与した。プラセボ群の患者にはプラセボ錠1個ずつを1日3回8〜24週間週間にわたり連日経口投与した。【0027】治療前及び治療開始後経時的に、空腹時に患者の血管カテーテルから血液をEDTA1.2mgとアプロチニン400KIUを含む管に採取した。遠心分離により集めた血漿は分析するまで−40℃で保存した。血中のグルコース及びヘモグロビンA1cは、それぞれグルコースオキシダーゼ法及びHPLC法により測定した。血漿中のインスリン量及び膵グルカゴン量はそれぞれ市販のキットであるインスリン−III及びClin. Chem., 27, 1690-1697 (1981)に記載の方法により測定した。【0028】被験者の背景因子とともに結果を表2に示す。【0029】【表2】【0030】表2から明らかなように、モサプリド群では8週後に空腹時の血糖値及びヘモグロビンA1c値がともに投与前値に比べて有意に低下した(それぞれp<0.05、p<0.01)。また、血中インスリン値もモサプリド群で有意に低下した(p<0.01)。これらの効果が治療6カ月後においても維持されることが18名の患者で確認された。【0031】上記試験結果から明らかなように、式(I)の化合物又はその立体異性体及びその生理的に許容される酸付加塩類は、優れたインスリン抵抗性改善作用又はインスリン感受性増強作用を示し、かつ毒性も弱いので、インスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬として2型糖尿病の予防および治療に使用することができる。その投与経路としては、経口投与、非経口投与あるいは直腸内投与のいずれでもよい。式(I)の化合物もしくはその立体異性体又はその生理的に許容される酸付加塩類の投与量は、投与経路、症状の程度、患者の年齢等により異なるが、通常0.05〜5mg/kg/日、好ましくは0.1〜1mg/kg/日であり、1回または数回に分けて投与することができる。【0032】式(I)の化合物又はその立体異性体及びその生理的に許容される酸付加塩類は、通常、医薬用担体と混合して調製した医薬組成物の形でインスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬として適用される。医薬組成物の具体例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、坐剤等が挙げられる。これらの医薬組成物は常法に従って調製される。消化管運動促進薬として販売されている錠剤、散剤等をインスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬として適用することもできる。【0033】医薬用担体としては、医薬分野において常用され、かつ式(I)の化合物もしくはその立体異性体又はその生理的に許容される塩類と反応しない物質が用いられる。錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤製造に用いられる医薬用担体の具体例としては、乳糖、トウモロコシデンプン、白糖、マンニトール、硫酸カルシウム、結晶セルロースのような賦形剤、カルメロースナトリウム、変性デンプン、カルメロースカルシウムのような崩壊剤、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンのような結合剤、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油のような滑沢剤が挙げられる。錠剤は、カルナウバロウ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、ヒドロキシプロピルメチルフタレート、セルロースアセテートフタレート、白糖、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、リン酸カルシウムのようなコーティング剤を用い、周知の方法でコーティングしてもよい。【0034】シロップ剤製造に用いられる担体の具体例としては、白糖、ブドウ糖、果糖のような甘味剤、アラビアゴム、トラガント、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、結晶セルロース、ビーガムのような懸濁化剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80のような分散剤が挙げられる。シロップ剤製造にあたっては、必要に応じて矯味剤、芳香剤、保存剤等を添加することができる。また、用時溶解または懸濁するドライシロップの形であってもよい。【0035】坐剤の基剤の具体例としては、カカオ脂、飽和脂肪酸グリセリンエステル、グリセロゼラチン、マクロゴールが挙げられる。坐剤製造にあたっては、必要に応じて界面活性剤、保存剤等を添加することができる。注射剤は、通常、式(I)の化合物の酸付加塩を注射用蒸留水に溶解して調製するが、必要に応じて溶解補助剤、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤等を添加することができる。【0036】これらの医薬組成物は、通常、活性成分として式(I)の化合物もしくはその立体異性体又はその生理的に許容される酸付加塩類を0.5 %以上、好ましくは10〜70%の割合で含有することができる。これらの医薬組成物はまた、以下に述べる治療上有効な他の物質を含有していてもよい。【0037】本発明のインスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬は、患者の症状等に応じて、2型糖尿病の治療又は予防に使用される各種の医薬とともに適用することもできる。医薬の具体例としては、スルホニル尿素薬(例、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド)、ビグアニド薬(例、塩酸メトホルミン、塩酸ブホルミン)、αグルコシダーゼ阻害薬(例、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)、速効型インスリン分泌促進薬(例、ナテグリド、レパグリニド、ミチグリニド)、アルドースリダクターゼ阻害薬(例、エパルレスタット)、インスリン、インスリン類似体、抗肥満薬(例、塩酸シブトラミン)、リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット)を挙げることができる。【0038】本発明のインスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬のための医薬組成物の製造具体例を以下に示す。【0039】常法に従って、上記各成分を混和し、顆粒状とし、圧縮成型して、1錠150mgの錠芯1000錠を調製する。次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、酸化チタン、タルク及び軽質無水ケイ酸を用い、常法に従って剤皮を施しフィルムコーティング錠とする。【0040】常法に従って、上記各成分を混和し、造粒して2%散剤を調製する。【0041】【発明の効果】式(I)の化合物もしくはその立体異性体又はその生理的に許容される酸付加塩は、インスリン抵抗性改善薬又はインスリン感受性増強薬として2型糖尿病の予防並びに治療に有用である。【図面の簡単な説明】【図1】2型糖尿病入院患者にクエン酸モサプリド無水物として15mg/kg/日を1週間連続投与後の静脈内グルコース負荷試験(0.2g/kg)の結果を示すグラフである。図中の○は投与前の値を、●は投与後の値を示し、垂線は標準誤差を表す。【図2】2型糖尿病入院患者にクエン酸モサプリド無水物として15mg/kg/日を1週間連続投与後の赤血球のインスリン受容体の全量と自己リン酸化量の測定結果、及びグルコースクランプ法試験の結果を示すグラフである。図中の○はプラセボ群の値を、●はモサプリド群の値を示し、垂線は標準誤差を表す。 下記式(I)で表されるN−[(2−モルホリニル)メチル]ベンズアミド誘導体もしくはその立体異性体又はその生理的に許容される酸付加塩を有効成分とするインスリン抵抗性改善薬。(式中、Rは4−フルオロベンジル基を意味する。) Rが4−フルオロベンジル基である式(I)の化合物の生理的に許容される酸付加塩を有効成分とする請求項1記載のインスリン抵抗性改善薬。 Rが4−フルオロベンジル基である式(I)の化合物のクエン酸塩2水和物を有効成分とする請求項2記載のインスリン抵抗性改善薬。 下記式(I)で表されるN−[(2−モルホリニル)メチル]ベンズアミド誘導体もしくはその立体異性体又はその生理的に許容される酸付加塩を有効成分とするインスリン感受性増強薬。(式中、Rは請求項1における定義に同じである。) Rが4−フルオロベンジル基である式(I)の化合物の生理的に許容される酸付加塩を有効成分とする請求項4記載のインスリン感受性増強薬。 Rが4−フルオロベンジル基である式(I)の化合物のクエン酸塩2水和物を有効成分とする請求項5記載のインスリン感受性増強薬。


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