タイトル: | 特許公報(B2)_アダマンタン誘導体化合物及びこれを用いた電界発光素子 |
出願番号: | 2001081434 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07C 13/68,C07C 25/22,C07C 211/50,C09K 11/06,H01L 51/50 |
竹内 久人 田中 洋充 毛利 誠 森 朋彦 小島 和重 JP 4649752 特許公報(B2) 20101224 2001081434 20010321 アダマンタン誘導体化合物及びこれを用いた電界発光素子 株式会社デンソー 000004260 吉田 研二 100075258 金山 敏彦 100081503 石田 純 100096976 竹内 久人 田中 洋充 毛利 誠 森 朋彦 小島 和重 20110316 C07C 13/68 20060101AFI20110224BHJP C07C 25/22 20060101ALI20110224BHJP C07C 211/50 20060101ALI20110224BHJP C09K 11/06 20060101ALI20110224BHJP H01L 51/50 20060101ALI20110224BHJP JPC07C13/68C07C25/22C07C211/50C09K11/06 610C09K11/06 620C09K11/06 635C09K11/06 655C09K11/06 690H05B33/14 BH05B33/22 BH05B33/22 D C07C 13/68 C07C 25/22 C07C 211/50 C09K 11/06 H01L 51/50 CA/REGISTRY(STN) 国際公開第99/049831(WO,A1) Journal of Physical Chemistry A,1998年,102(46),p.9213-9218 Chemical Physics Letters,2001年,333(6),p.437-443 Journal of the American Chemical Society,2000年,122(24),p.5695-5709 Macromolecules,1997年,30(8),p.2300-2304 7 2002275103 20020925 20 20070809 近藤 政克 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は電界発光素子、特に電界発光素子に用いられる有機化合物材料の改良に関する。【0002】【従来の技術】電界発光素子は、ガラス基板上に、透明第一電極(例えばITO)と、強い蛍光を持つ有機化合物を含む有機化合物層と、金属(例えばMg)の第二電極とが順に積層されて構成されている。上記有機化合物層は例えば正孔輸送機能分子と発光機能分子と電子輸送機能分子とが順に積層されてなり、上記一対の電極へ電界を印加することにより発光する。すなわち、第一電極から正孔を、第二電極から電子を注入すると、注入された正孔と電子とが上記有機化合物層内を移動し、衝突、再結合を起こして消滅する。この再結合により発生したエネルギーは発光性分子が励起状態を生成するのに使われ、これによって素子が発光する。【0003】このような電界発光素子は、視野角の制限が無く、また低電圧駆動、高速応答が可能であり、液晶、プラズマディスプレー、無機電界発光素子といった他の表示素子と比較して、ディスプレーとして優れた特性を持っている。【0004】有機電界発光素子の正孔輸送機能材料として、Tang等によって提案された材料であるTPD(テトラフェニルベンジジン)が広く使用されている。TPDは、優れたホール輸送性を有しているため、TPDを正孔輸送機能分子として用いた有機電界発光素子、例えば、[ ITO/ TPD(60nm)/ Alq3(60nm)/ Mg:Ag(1500nm) ]の構成を有する素子の場合、数万cd/m2の最大輝度を有する優れた初期性能を発揮する。【0005】また、PBD(t−ブチルビフェニリルフェニルオキサジアゾール)は、筒井らによって提案された電子輸送性材料である。PBDは、高い電子輸送性を有する材料であると同時に、高輝度の青色発光材料である。【0006】【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能性分子は、優れた電子機能特性を有していても結晶性が高く、耐熱性が低いという問題があり、有機電界発光素子の材料として使用することができない材料が多いという問題があった。例えば、TPD(テトラフェニルベンジジン)やトリフェニルアミンは優れたホール輸送性を有する材料であるが、結晶性が高く、耐熱性も低い材料であるため、素子作成後一ヶ月以内で結晶化を起こし、素子破壊を引き起こす。また、PBD(t−ブチルビフェニリルフェニルオキサジアゾール)は、優れた電子輸送性を有する材料であるが、結晶化の速度が速く、製膜後、1週間以内に結晶化による素子の破壊を引き起こす。【0007】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高耐熱性、低結晶性が付与された正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能性分子を使用した電界発光素子を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、化学式(i)【化4】に示されるアダマンタン骨格の置換基R1〜R14のうち、3つ以上が、正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能を有する機能性単位で置換されたアダマンタン誘導体化合物である。【0009】本発明の他の特徴は、前記機能性単位が置換するアダマンタン骨格中の部位の内、少なくとも1つはメチレン部分に結合しているアダマンタン誘導体化合物である。【0010】本発明の他の特徴は、上記ダマンタン誘導体の置換基の内、少なくとも同じメチレン部分に置換する2つの置換基が正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能を有する機能性単位であることである。つまり、R5とR6、またはR7とR8、またはR9とR10、またはR11とR12、またはR13とR14の組合せの内少なくとも1つが、2つの機能性単位である。【0011】本発明の他の特徴は、前記置換基R1〜R14のうちのいずれかを置換する前記機能性単位が、下記化学式(r1)から(r22)のいずれか【化5】【化6】で示される構造を有することである。【0012】また、上記アダマンタン誘導体化合物の機能性単位において、前記Rは、フェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、フェナントリル、アントラニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ベンゾフェナントレニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラザリル、ピリジル、オキサジル、モルホリル、チアジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、トリアジル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、クロメリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、フタラジル、キナゾリル、キノキサリル、ジベンゾフリル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェナントリル、フェナジニル、フェノキサジニル、チアントレニル、インドリジニル、キノリジニル、ナフチリジニル、プリニル、プリテジニル、オキサジアゾリル、オキサチアゾリル、>C=C<,>C=N-,-N=N-,-N(R)-,-O-,-S-,-SO-,-SO2-,-Si(R2)-,>C=Si<,-C≡C-,-B(R)-からなるグループから選択された化合物である。【0013】本発明の他の特徴は、電極間に有機化合物層を少なくとも一層有する電界発光素子であって、該有機化合物層が上記のいずれかのアダマンタン誘導体化合物を含むことである。【0014】また本発明の他の特徴は、上記電界発光素子において、前記有機化合物層は前記アダマンタン誘導体が、ホストとなる物質にドープされているか、又は、前記アダマンタン誘導体に、ドーパントとなる物質がドープされていることである。【0015】以上のようなアダマンタン誘導体化合物は、正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能性分子をアダマンタン誘導体化したものであり、優れた電子特性を持ちながら、有機電界発光素子材料などとして好ましい低結晶性、高耐熱性を備える。このような優れた機能を備えるのは、アダマンタン誘導体化することにより、分子が非平面構造となり、かつ分子の形状の対称性が低下するので、分子の結晶性が低下するとともに、剛直な縮合環化合物の分子骨格を導入して分子の運動性を低下させることができ、耐熱性が向上するからである。【0016】またアダマンタン骨格は、複数の機能性置換基を備えることができ、かつ機能性置換基の数が増えるほど効率よく性能を発現できるとともに耐熱性が向上する。本発明のアダマンタン誘導体化合物は、上述のようにその骨格に3つ以上の機能性単位を備えており、機能の発現効率が非常に高い。【0017】従って、上述のようなアダマンタン誘導体化合物を有機化合物層に利用した電界発光素子などにおいては、優れた素子特性を発揮できる。さらに、このアダマンタン誘導体化合物をドーピング材料やホスト材料などとして用いることで、例えば発光色などの選択の余地が広がると共に、一層の発光効率向上などを実現することが可能となる。【0018】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。【0019】図1に本発明の実施形態に係る電界発光素子の概略断面構造を示す。図1において、電界発光素子は、透明基板10上に陽極である第1電極12と、電界の印加により発光する有機化合物層14と、陰極である第2電極16とが順に積層されて構成されている。【0020】透明基板10としては、ガラス基板、透明セラミックス基板、ダイヤモンド基板等を用いることができるが、とくに限定されない。また、第1電極12としては、高い光透過性及び導電性を有する透明電極が用いられ、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO2、InO3、ポリアニリン等の薄膜材料を用いることができる。さらに、第2電極16としては、Li、B、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Ag等のイオン化ポテンシャルの小さい金属あるいはそれらを含んだ合金、MgAg、LiAl、LiF/Al等を用いることができる。【0021】有機化合物層14は、上記第1電極12と第2電極16との間に設けられ、主として有機化合物よりなる均一な膜厚の薄膜(数十から数千nm)である。【0022】本実施形態では、この有機化合物層14として、後述するような構造のアダマンタン誘導体化合物を含む層を少なくとも一層設けている。このアダマンタン誘導体化合物を含む層は、該アダマンタン誘導体化合物の単独層であるか、或いは、所定のホスト材料にアダマンタン誘導体化合物がドープされて分散している層であるか、さらには、アダマンタン誘導体化合物をホストとし、ここにドーパント物質がドープされている層である。アダマンタン誘導体化合物に対してホストとなる物質としては、例えば下記式(1)で示されるTPD【化7】あるいは下記式(2)で示されるAlq3や【化8】DPVBi(4,4'-ビス(2,2'-ジフェニルビニル)ビフェニル)等がある。【0023】また、アダマンタン誘導体化合物をホストとし、これにドープされるドーパント物質としては、ペリレン、ジビニルキノリン、ルブレン、スチリルアミン、キナクリドンなどのいずれか又はこれらいずれかの誘導体などが挙げられる。【0024】ここで、本実施形態のアダマンタン誘導体は、下記式(3)【化9】で表される化合物である。【0025】上記式(3)において、R1〜R14は置換基を表す。また本実施形態において、R1〜R14の内少なくとも3つ以上の置換基は正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能を有する機能性単位であり、それ以外の置換基は例えば、水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、アルケン基、アルキン基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシレート基、チオカルボキシ基、ジチオカルボキシ基、スルホ基、スルフィノ基、スルフェノ基、オキシカルボニル基、ハロホルミル基、カルバモイル基、ヒドラジノカルボニル基、アミジノ基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ホルミル基、オキソ基、チオホルミル基、チオキソ基、メルカプト基、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、アリールオキシ基、スルフィド基、ハロゲン基、ニトロ基、シリル基等を含む官能基で置換されていても良い。【0026】上記アダマンタン誘導体化合物においてその置換基を3つ以上構成する機能単位は、正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能を有し、例えば、正孔輸送性を有するものとして下記式(4)で示されるトリフェニルアミン、【化10】発光性を有するものとして下記(5)で示されるクマリン、【化11】電子輸送性を有するものとして下記(6)で示されるオキサジアゾール誘導体【化12】等が挙げられるが、正孔輸送性、発光性、電子輸送性機能を有する機能性単位であればこれらに限定されるものではない。【0027】また、R1〜R14の間は直接結合しているかあるいは互いに連結した芳香環あるいは鎖状化合物で連結していても良く、その連結部は上記官能基のいずれかを含んでいても良い。【0028】また、上記機能性単位R1〜R14の具体例をあげれば、以下の化学式(r1)〜(r9)【化13】で示される化合物がある。【0029】さらに、上記機能性単位R1〜R14は、以下の化学式(r10)〜(r22)【化14】で示される化合物でもよい。【0030】正孔輸送性、発光性、電子輸送性機能性分子は、一般に平面で、対称性の良い形態であるために結晶性が高く、熱により容易に準安定な非晶状態から結晶状態に転移する。そこで、本実施形態のように、これら化合物をアダマンタン誘導体化することにより、分子を非平面構造とし、かつ分子の形状の対称性を低下させる。これにより、分子の結晶性を低下させることができる。また一方、縮合環化合物誘導体化することで、剛直な縮合環化合物の分子骨格を導入して分子の運動性を低下させることができ、耐熱性も向上する。さらに本実施形態では、アダマンタン骨格には機能性置換基を3つ以上置換させており、機能性置換基の数の増加に伴って性能をより効率的に発現することが可能となると共に耐熱性が向上する。【0031】アダマンタン骨格は、200℃以上で安定に昇華できることからもわかるように、剛直で、耐熱性に優れた分子である。そして、本実施形態に係るアダマンタン誘導体化合物は、アダマンタン骨格を分子内に架橋点として有している。このため、分子が剛直に固定され、優れた耐熱性を有する分子となるのである。【0032】次に本実施形態に係るアダマンタン誘導体化合物の具体例について説明する。このアダマンタン誘導体化合物は、上述のように、まず、その置換基の3つ以上が正孔輸送性、発光性、電子輸送性等の機能性単位で置換されている。また、この機能性単位の少なくとも1つがメチレン部分に結合している。このようにメチレン部分に結合していると、この部分に結合した機能性単位と他の機能性単位との配置が非平面的となるので、分子の結晶性を低下させることができ、素子に用いた場合の耐熱性向上に寄与することができる。さらに、本実施形態において、より好ましくは、このアダマンタン誘導体化合物は、そのアダマンタン骨格の置換基を置換する上記機能性単位のうち少なくとも2つが同じメチレン部分に結合している。【0033】機能性単位の少なくとも2つが同じメチレン部分に結合したアダマンタン誘導体化合物としては、例えば下記化学式(I)及び(II)【化15】に示す化合物が挙げられる。これらの化合物は、発光機能を有するが、3つ以上の機能性単位を備えており、高効率発光が可能となっている。従って、例えば、図1に示すような有機電界発光素子の有機化合物層14の発光材料として用いることにより、発光素子の高効率及び高輝度発光を可能とし、また素子寿命の向上に寄与することが可能となる。【0034】このように、本実施形態に係るアダマンタン誘導体化合物は、正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能性分子をアダマンタン誘導体化させ、また非常に優れた電子特性を持ち、さらに有機電界発光素子材料として好ましい低結晶性、高耐熱性を付与できる。【0035】なお、本実施形態に係る上述のようなアダマンタン誘導体化合物は、アダマンタンアミン化合物と芳香族ハロゲン化物とのカップリング反応、あるいはアダマンタンハロゲン化物あるいはアダマンタンボレート、アダマンタンスルホニルエーテル、アダマンタンエーテル、アダマンタンエステルと芳香族アミン化合物とのカップリング反応などにより合成できる。但し、合成法は、特にこれらに限定されるものではない。【0036】【実施例】以下に、アダマンタン誘導体を合成し、これを使用して電界発光素子を作製し、その性能評価を行った結果を実施例として比較例とともに示す。【0037】[実施例1](実施例1−1:テトラアニリノアダマンタン(7)の合成)【化16】2,6−アダマンタンジオン6.5g、アニリン55g、アニリン塩酸塩15gの混合物を水分除去器を付したフラスコに入れ、200℃(油浴)、窒素雰囲気下で加熱還流した。60時間後、KOH水溶液を加え、pHを約10とした後、クロロホルムで抽出、水洗した。硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレーション後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色のアモルファス様物質として7gの上記テトラアニリノアダマンタン(7)を得た。【0038】(実施例1−2:テトラヨードフェニルアダマンタン(8)の合成)【化17】テトラアニリノアダマンタン(7)10gを硫酸50ml、酢酸20mlの混合物に溶解し、氷冷、撹拌下に亜硝酸ナトリウム5gを加えた。15分後によう化カリウム15gを加え、室温で30分撹拌後80℃で1時間反応後、水500mlを加え、ろ過、水洗した。トルエンより再結晶して上記テトラヨードフェニルアダマンタン(8)5gを得た。【0039】(実施例1−3:テトラピレニルアダマンタン(9)の合成)【化18】テトラヨードフェニルアダマンタン(8)150mg、ピレニルホウ酸510mg、Pd(PPh3)420mg、トリエチルアミン400mg、DMF3gを混合し、脱気後100℃で15時間撹拌加熱した。DMFを留去後、水−クロロホルムで分液し、硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレーションした。カラムクロマトグラフィー(シリカ−クロロホルム:ヘキサン=1:2)で精製し、100mgの上記テトラピレニルアダマンタン(9)を得た。【0040】(実施例1−4:有機電界発光素子)上記テトラピレニルアダマンタン(9)を用いた有機電界発光素子を以下の工程により作製した。ガラス基板上にITO電極を形成し、ITO上に正孔輸送層のNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−フェニルベンジジン)を60nm真空蒸着した。この上に発光層としてテトラピレニルアダマンタン(9)を40nm、電子輸送層としてAlq3を20nm真空蒸着した。最後にMg/Ag電極(9:1)を真空蒸着して有機電界発光素子を作製した。【0041】この素子を室温、窒素ガス雰囲気下で駆動させたところ、10mA/cm2の電流を注入したときに、輝度350cd/m2の青色発光が得られ、輝度半減寿命は1000時間であった。【0042】[実施例2](実施例2−1:トリアニリノアダマンタン(10)の合成)【化19】1−ブロモアダマンタン−2−オン8g、アニリン55g、アニリン塩酸塩15gの混合物を水分除去器を付したフラスコに入れ、200℃(油浴)、窒素雰囲気下で加熱還流した。60時間後、KOH水溶液を加え、pHを約10とした後、クロロホルムで抽出、水洗した。硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレーション後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色のアモルファス様物質として4gの上記テトラアニリノアダマンタン(10)を得た。【0043】(実施例2−2:トリヨードフェニルアダマンタン(11)の合成)【化20】テトラアニリノアダマンタン(10)12gを硫酸50ml、酢酸20mlの混合物に溶解し、氷冷、撹拌下に亜硝酸ナトリウム5gを加えた。15分後によう化カリウム15gを加え、室温で30分撹拌後80℃で1時間反応後、水500mlを加え、ろ過、水洗した。トルエンより再結晶してテトラヨードフェニルアダマンタン(11)6gを得た。【0044】(実施例2−3:トリピレニルアダマンタン(12)の合成)【化21】トリヨードフェニルアダマンタン(11)200mg、ピレニルホウ酸510mg、Pd(PPh3)420mg、トリエチルアミン400mg、DMF3gを混合し、脱気後100℃で15時間撹拌加熱した。DMFを留去後、水−クロロホルムで分液し、硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレーションした。カラムクロマトグラフィー(シリカ−クロロホルム:ヘキサン=1:2)で精製し、120mgの上記トリピレニルアダマンタン(12)を得た。【0045】(実施例2−4:有機電界発光素子)上記トリピレニルアダマンタン(12)を用いた有機電界発光素子を以下の工程により作製した。ガラス基板上にITO電極を形成し、ITO上に正孔輸送層のNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−フェニルベンジジン)を60nm真空蒸着した。この上に発光層としてトリピレニルアダマンタン(12)を40nm、電子輸送層としてAlq3を20nm真空蒸着した。最後にMg/Ag電極(9:1)を真空蒸着して有機電界発光素子を作製した。【0046】この素子を室温、窒素ガス雰囲気下で駆動させたところ、10mA/cm2の電流を注入したときに、輝度300cd/m2の青色発光が得られ、輝度半減寿命は1000時間であった。【0047】[比較例1]比較例として、下記化合式(13)【化22】に示すジピレニルアダマンタンを用いた有機電界発光素子を以下の工程により作製した。ガラス基板上にITO電極を形成し、ITO上に正孔輸送層のNPD(N,N’−ジナフチル−N,N’−フェニルベンジジン)を60nm真空蒸着した。この上に発光層として(13)を40nm、電子輸送層としてAlq3を20nm真空蒸着した。最後にMg/Ag電極(9:1)を真空蒸着して有機電界発光素子を作製した。【0048】この比較例に係る素子を室温、窒素ガス雰囲気下で駆動させたところ、10mA/cm2の電流を注入したときに、輝度250cd/m2の青色発光が得られ、輝度半減寿命は1000時間であった。【0049】以上実施例1及び実施例2で作成した有機EL素子と、上記比較例との対比からも明らかなように、アダマンタン骨格中の機能性単位の数を3以上とすることで発光効率が上昇し、機能性単位数が4つの実施例1は、3つとしている実施例2の素子よりもさらに発光効率が上昇していることがわかる。【0050】[実施例3]また、実施例3では、DPVBiをホストとし、上記テトラピレニルアダマンタン(9)をゲストとして1wt%ドープした発光層を真空蒸着で作成した以外は、上記実施例1−4と同様の有機電界発光素子を作製した。【0051】この素子を室温、窒素ガス雰囲気下で駆動させたところ、10mA/cm2の電流を注入したときに、輝度540cd/m2の青色発光が得られ、輝度半減寿命は1000時間であった。【0052】[実施例4]また、実施例4では、上記テトラピレニルアダマンタン(9)をホストとし、ゲストとしてペリレンを1wt%ドープした発光層を真空蒸着で作成した以外は、上記実施例1−4と同様の有機電界発光素子を作製した。【0053】この素子を室温、窒素ガス雰囲気下で駆動させたところ、10mA/cm2の電流を注入したときに、輝度500cd/m2の青色発光が得られ、輝度半減寿命は1000時間であった。【0054】以上のように実施例3及び実施例4では、比較例より優れているだけでなく、実施例1で作成した素子と比較しても同一条件下での発光輝度が高く、一層発光効率の高い素子が得られていることがわかる。【0055】【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、アダマンタン誘導体化合物の骨格に置換させる機能性単位を3以上とすることで、正孔輸送性、発光性、電子輸送性の各機能をより効率的に発現できる。そして、このアダマンタン誘導体化合物は優れた電子特性を持ちながら、電界発光素子材料として好ましい低結晶性、高耐熱性を付与できる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明に係る電界発光素子の概略構造の断面図である。【符号の説明】10 透明基板、12 第1電極、14 有機化合物層、16 第2電極。 化学式(i)に示されるアダマンタン骨格の置換基R1〜R14のうち、3つ以上が、下記化学式で示される置換基により置換され、残りの置換基は水素原子であることを特徴とするアダマンタン誘導体化合物。 前記化学式で示される置換基が置換するアダマンタン骨格中の部位の内、少なくとも1つはメチレン部分に結合していることを特徴とする請求項1記載のアダマンタン誘導体化合物。 前記化学式で示される置換基が置換するアダマンタン骨格中の部位の内、少なくとも2つは同じメチレン部分に結合していることを特徴とする請求項1記載のアダマンタン誘導体化合物。 前記アダマンタン誘導体化合物が下記化学式(I)及び(II)のうちのいずれかであることを特徴とする請求項3記載のアダマンタン誘導体化合物。 電極間に有機化合物層を少なくとも一層有する電界発光素子であって、該有機化合物層が請求項1〜4のいずれか一つに記載のアダマンタン誘導体化合物を含むことを特徴とする電界発光素子。 前記有機化合物層は前記アダマンタン誘導体が、ホストとなる物質にドープされていることを特徴とする請求項5記載の電界発光素子。 前記有機化合物層は前記アダマンタン誘導体に、ドーパントとなる物質がドープされていることを特徴とする請求項5記載の電界発光素子。