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タイトル:特許公報(B2)_スナウト内の雰囲気ガスの分析装置及び金属蒸気除去装置
出願番号:2001076327
年次:2005
IPC分類:7,C23C2/06,C23C2/00,G01N1/22


特許情報キャッシュ

野中 俊彦 JP 3617465 特許公報(B2) 20041119 2001076327 20010316 スナウト内の雰囲気ガスの分析装置及び金属蒸気除去装置 住友金属工業株式会社 000002118 広瀬 章一 100081352 野中 俊彦 20050202 7 C23C2/06 C23C2/00 G01N1/22 JP C23C2/06 C23C2/00 G01N1/22 J 7 C23C 2/00 - 2/40 G01N 1/22 特開平11−217658(JP,A) 特開平10−088304(JP,A) 8 2002275612 20020925 11 20031021 小柳 健悟 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属めっき槽に設けられたスナウトの内部における雰囲気ガスの分析装置及び金属蒸気除去装置に関するものである。【0002】【従来の技術】周知のように、鋼帯に連続的に溶融金属めっき(以降の説明では溶融亜鉛めっきを例にとる)を行うための溶融亜鉛めっき装置は、鋼帯をめっき可能な温度に加熱するための加熱炉と、加熱した鋼帯を加熱炉から溶融亜鉛めっき槽へ清浄な状態を維持しながら導くためのスナウトと、溶融亜鉛めっき浴を収容する溶融亜鉛めっき槽とを備える。【0003】このスナウトの内部には、雰囲気を清浄に保つため、水素と窒素との混合ガスが吹き込まれる。また、スナウト内の雰囲気を一定に保つため、酸素計、水素計さらには露点計等からなる雰囲気ガス分析計を用いてスナウト内の雰囲気ガスを分析し、この分析結果に基づいてスナウト内に吹き込む混合ガスの組成等を適宜制御している。【0004】ところで、この溶融亜鉛めっきにおける亜鉛溶解温度は約419.5℃であるため、めっき浴面から亜鉛蒸気が連続的かつ多量に発生する。このため、雰囲気ガス分析計に導かれる雰囲気ガスにも亜鉛蒸気が含まれる。【0005】この亜鉛蒸気は、腐食性を有し、雰囲気ガス分析計の分析精度や寿命に悪影響を及ぼす。このため、雰囲気ガス分析計のメンテナンスを頻繁に行わざるを得ず、メンテナンスに要する工数や費用が嵩む。したがって、適当な手段を用いて雰囲気ガス分析計に導かれる雰囲気ガスから亜鉛蒸気を除去しておくことが必要である。【0006】このため、一般的に、フィルタを用いて濾過することにより、雰囲気ガスから亜鉛蒸気を除去していた。また、例えば電子クーラ等の冷却装置を用いて雰囲気ガスを一旦冷却することにより亜鉛蒸気を粉体固化することにより、雰囲気ガスから亜鉛蒸気を除去することも知られていた。【0007】【発明が解決しようとする課題】フィルタを用いた亜鉛蒸気の濾過は、これまでにも様々な改善が行われてきた周知慣用の除去手段である。しかし、亜鉛蒸気は連続的かつ多量に発生するため、フィルタが短時間で早期に目詰まりしてしまう。この場合、雰囲気ガス分析計の稼働を一時的に中断し、逆方向からのパージ等を行って目詰まり解消を図ることを相当の頻度で行う必要があった。さらに、この場合にも、最終的にはフィルタを交換する必要が発生する。このように、フィルタを用いた亜鉛蒸気の濾過は、フィルタのメンテナンスを頻繁に行う必要があるため、雰囲気ガス分析計を長期間安定して稼動することが難しい。【0008】また、電子クーラを用いた亜鉛蒸気の除去には、(a) 電子クーラが複雑であるために設備費が嵩むこと、(b) 除去後の亜鉛粉体の処理(リサイクル)が難しいこと、(c) 電気料金やメンテナンス費用等のランニングコストが嵩むこと、さらには(d) フィルタを用いた場合と同様に、連続的かつ多量に発生する亜鉛蒸気や亜鉛粉体の処理が追い付かず、頻繁にメンテナンスを行う必要があることといった、問題があった。【0009】このため、これらの従来の技術によっても、雰囲気ガス分析計を用いて工業的規模で、溶融金属めっき槽の内部における雰囲気ガスを円滑かつ連続的に分析することができなかった。【0010】本発明の目的は、溶融金属めっき槽に設けられたスナウトの内部における雰囲気ガスの分析装置及び金属蒸気除去装置を提供することであり、例えば、雰囲気ガス分析計を用いてスナウトの内部における雰囲気ガスを分析する際に、工業的規模で雰囲気ガスを安価、円滑および連続的に分析することができる、溶融金属めっき槽に設けられたスナウトの内部における雰囲気ガスの分析装置及び金属蒸気除去装置を提供することである。【0011】【課題を解決するための手段】前述したように、亜鉛めっきにおける亜鉛溶解温度は約419.5℃であるため、亜鉛蒸気はめっき浴面から連続的かつ多量に発生する。そこで、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、下記手段(i) 〜(iv)を用いて雰囲気ガスから金属蒸気を除去することにより、雰囲気ガス分析計を用いて工業的規模で雰囲気ガスを安価、円滑および連続的に分析することができることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。(i) 雰囲気ガスに含まれる金属蒸気を、めっき浴の上方に配置した冷却装置により冷却し粉体化 (凝固) させることにより、雰囲気ガスから金属蒸気を除去することができること。(ii)冷却装置の内部では、付着した粉体化した金属に次々に供給される金属蒸気が接触するため、粉体化した金属を大きく成長させることができること。(iii) 成長して重量が増えた金属の粉体の塊は、その付着面に例えば振動を付与することにより、付着面から剥離させてめっき浴へ自由落下させることができること。(iv)これにより、金属の粉体の塊を自動的に発生源(溶融金属浴面) に戻すことが可能となり、除去後の亜鉛粉体の処理(リサイクル)を、工数増を伴うことなく実現できること。【0012】本発明は、溶融金属めっき槽に収容されるめっき浴の上方に配置され、スナウトの内部の雰囲気ガスを冷却しながら上方へ向けて流通させるための雰囲気ガス流通路を有する冷却装置と、雰囲気ガスが冷却装置により冷却されることにより、雰囲気ガス流通路の内面に付着した金属蒸気の凝固物を、この内面から剥離させるための付着凝固物剥離装置とを組み合わせて備える金属蒸気除去装置を有し、さらに、この金属蒸気除去装置により金属蒸気を除去された雰囲気ガスを分析するためのガス分析計を有することを特徴とするスナウト内の雰囲気ガスの分析装置である。【0013】この本発明にかかるスナウト内の雰囲気ガスの分析装置では、付着凝固物剥離装置が、雰囲気ガス流通路の内面に付着した金属蒸気の凝固物に外力を作用させることによって、この凝固物を剥離させることが望ましい。【0014】これらの本発明にかかるスナウト内の雰囲気ガスの分析装置では、付着凝固物剥離装置が、冷却装置の外面に装着されたバイブレータであることが望ましい。【0015】別の観点からは、本発明は、溶融金属めっき槽に収容されるめっき浴の上方に配置され、スナウトの内部の雰囲気ガスを冷却しながら上方へ向けて流通させるための雰囲気ガス流通路を有する冷却装置と、雰囲気ガスが冷却装置により冷却されることにより、雰囲気ガス流通路の内面に付着した金属蒸気の凝固物を、この内面から剥離させるための付着凝固物剥離装置とを組み合わせて備え、雰囲気ガス流通路の下部には、めっき浴に浸漬される第1の接続部材が装着されるとともに、雰囲気ガス流通路の上部には、金属蒸気が除去された雰囲気ガスを雰囲気ガス分析計へ導くための第2の接続部材が装着されることを特徴とするスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置である。【0016】この場合において、第1の接続部材または冷却装置には、スナウトの内部の雰囲気ガスを雰囲気ガス流通路へ導くための雰囲気ガス取込み部材が装着されることが望ましい。【0017】この本発明にかかるスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置では、さらに、雰囲気ガス分析計により溶融金属めっき槽の内部の雰囲気ガスを分析する際には、雰囲気ガス取込み部材、第1の接続部材、雰囲気ガス流通路、第2の接続部材および雰囲気ガス分析計の順、もしくは雰囲気ガス取込み部材、雰囲気ガス流通路、第2の接続部材および雰囲気ガス分析計の順に雰囲気ガスを流通させるとともに付着凝固物剥離装置を停止し、雰囲気ガスを分析しない際には、雰囲気ガスを流通させないとともに付着凝固物剥離装置を運転する制御を行う制御装置を備えることが、望ましい。【0018】この本発明にかかるスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置では、付着凝固物剥離装置が、雰囲気ガス流通路の内面に付着した金属蒸気の凝固物に外力を作用させることによって、この凝固物を剥離させることが望ましい。【0019】これらの本発明にかかるスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置では、付着凝固物剥離装置が、冷却装置の外面に装着されたバイブレータであることが望ましい。【0020】【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるスナウト内の雰囲気ガスの分析装置および金属蒸気除去装置の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の説明では、溶融金属めっきが溶融亜鉛めっきである場合を例にとる。【0021】図1は、本実施の形態のスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置1の構成例を模式的に示す説明図である。同図に示すように、本実施の形態の金属蒸気除去装置1は、冷却装置2と、付着凝固物剥離装置3と、第1の接続部材4と、第2の接続部材5と、取込み部材6と、制御装置7とを備えており、この金属蒸気除去装置1と、後述する雰囲気ガス分析計18とにより、本実施の形態のスナウト内の雰囲気ガスの分析装置が構成される。そこで、本実施の形態の金属蒸気除去装置1のこれらの構成要素について、順次説明する。【0022】[冷却装置2]本実施の形態の金属蒸気除去装置1は冷却装置2を備える。この冷却装置2は、溶融亜鉛めっき槽に収容されるめっき浴8の浴面8aの上方に、図示しない適当な支持手段によって支持されて配置される。本実施の形態では、冷却管9により冷却装置2を構成した。この冷却管9の本体には、図示しない冷却水流路が例えば螺旋状に埋設されており、この冷却水流路には冷却水供給管10aおよび冷却水排出管10bが接続されている。冷却水を、冷却水供給管10aから冷却水流路を介して冷却水排出管10bへ供給することにより、冷却管9の本体を冷却すること、すなわち冷却管9の内部に形成される雰囲気ガス流通路11を間接的に水冷することができるように構成されている。【0023】本実施の形態では、冷却管9が鉛直上方向きに配置されていることから、雰囲気ガス流通路11も鉛直上方向きに配置される。このため、後述するように、雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着した、亜鉛蒸気の凝固物12が付着凝固物剥離装置3の作用により剥離すると、凝固物12はその自重により、鉛直下方向きに自由落下する。【0024】さらに、後述するように、この雰囲気ガス流通路11を、スナウトの内部の雰囲気ガス(サンプルガス)が鉛直上方へ向けて流通する。このため、この雰囲気ガス流通路11は、雰囲気ガス(サンプルガス)を冷却しながら上方へ向けて流通させることができる。本実施の形態の冷却装置2は、以上説明したように構成される。【0025】[付着凝固物剥離装置3]本実施の形態の金属蒸気除去装置1は付着凝固物剥離装置3を備える。この付着凝固物剥離装置3は、雰囲気ガス(サンプルガス)が冷却装置2により冷却されることにより、雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着した金属蒸気の凝固物12を、この内面11aから剥離させるための装置であり、本実施の形態では、付着凝固物剥離装置3として、冷却装置2の外面2aに装着されたバイブレータ3a、3bを用いた。【0026】これらのバイブレータ3a、3bは、いずれも、エアー式のバイブレータであって、圧縮エアー供給源13に接続されたエアー供給管14からエアーを供給されることにより、振動を発生する。なお、エアー供給管14の一部には、後述する制御装置7からの制御信号S1により作動する電磁弁15が装着されており、バイブレータ3a、3bの動作が制御装置7により制御されるように、構成されている。【0027】このように、本実施の形態の付着凝固物剥離装置3は、雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着した亜鉛蒸気の凝固物12に、バイブレータ3a、3bが発生する振動を用いて外力を作用させることによって、凝固物12を雰囲気ガス流通路11の内面11aから剥離させる。本実施の形態の付着凝固物剥離装置3は、以上説明したように構成される。【0028】[第1の接続部材4]本実施の形態の金属蒸気除去装置1は第1の接続部材4を備える。本実施の形態では、第1の接続部材4として、浸漬管を用いた。この浸漬管4の上端部にはフランジ4aが設けられており、フランジ4aは冷却管9の下端部に設けられたフランジ9aに図示しない締結部材により締結される。これにより、浸漬管4は、雰囲気ガス流通路11に連通した状態で接続される。また、浸漬管4の下部は、めっき浴8に浸漬される。めっき浴8に浸漬される部分の外面には、耐亜鉛浴材からなるコーティング層4bが形成されている。なお、本実施の形態とは異なり、外面にコーティング層4bが形成された浸漬管4を用いるのではなく、浸漬管4を例えばSUS316L等により構成し、一定期間使用して摩耗した場合には交換することとしてもよい。これにより、外面にコーティング層4bが形成された浸漬管4を用いるよりも、浸漬管4に要するコストを低減することが可能である。【0029】なお、本実施の形態では、このように、雰囲気ガス流通路11に連通させて第1の接続部材の一例である浸漬管4を配置したが、これとは異なり、雰囲気ガス流通路11に連通するとともにめっき浴8には浸漬されない凝固物収容槽を配置し、この凝固物収容槽の内部に堆積した凝固物を定期的に取り除くようにしてもよい。【0030】前述したように、付着凝固物剥離装置3の作用により雰囲気ガス流通路11の内面11aから剥離し、その自重によって鉛直下方向きに自由落下した凝固物12は、雰囲気ガス流通路11を通過した後にさらに浸漬管4の内部を鉛直下方向きに自由落下し、めっき浴8に落下する。本実施の形態の第1の接続部材4は、以上説明したように構成される。【0031】[第2の接続部材5]本実施の形態の金属蒸気除去装置1は第2の接続部材5を有する。本実施の形態では、第2の接続部材5として配管16を用いた。配管16の一端は、雰囲気ガス(サンプルガス)中に含まれる亜鉛蒸気を濾過するためのフィルタ17を介して、冷却管9の上端部に接続される。一方、配管16の他端部は、雰囲気ガス分析計18に接続される。【0032】この雰囲気ガス分析計18は、酸素計、水素計さらには露点計等からなる周知慣用の雰囲気ガス分析計であり、表示部18aに分析結果を表示するとともに、分析結果をスナウト内雰囲気ガス制御装置(図示しない)に出力し、スナウト内の雰囲気を制御する。【0033】なお、雰囲気ガス分析計18には、採取した雰囲気ガス(サンプルガス)を排出するための排出用配管19の一端が接続される。この排出用配管19の他端は、排気用ポンプ20に接続される。排出用配管19には、制御装置7からの制御信号S2により制御される電磁弁21が装着される。【0034】このように、本実施の形態では、雰囲気ガス流通路11の上部に、金属蒸気が除去された雰囲気ガスを雰囲気ガス分析計18へ導くための第2の接続部材5が装着される。本実施の形態の第2の接続部材5は、以上説明したように構成される。【0035】[取込み部材6]本実施の形態の金属蒸気除去装置1は取込み部材6を有する。この取込み部材6は、第1の接続部材4に溶接されて装着され、スナウトの内部の雰囲気ガスGを雰囲気ガス流通路11へ導くための部材であり、本実施の形態では、配管22を用いた。【0036】配管22の制御装置7からの制御信号S3により制御される電磁弁23が装着される。なお、本実施の形態とは異なり、電磁弁23は用いなくともよい。これにより、金属蒸気除去装置1の部品点数をさらに低減できる。本実施の形態の取込み部材6は、以上説明したように構成される。【0037】[制御装置7]本実施の形態の金属蒸気除去装置1は制御装置7を有する。この制御装置7は、予め設定されたプログラムに基づいて、電磁弁15、21、23にそれぞれ制御信号S1、S2、S3をそれぞれ出力することにより、電磁弁15、21、23それぞれの開閉動作を制御する。【0038】すなわち、制御装置7は、(a) 雰囲気ガス分析計18によりスナウトの内部の雰囲気ガスGを分析する際には、電磁弁21、23に開信号S2、S3を、電磁弁15に閉信号S1をそれぞれ出力することによって、雰囲気ガス取込み部材6、第1の接続部材4、雰囲気ガス流通路11、第2の接続部材5および雰囲気ガス分析計18の順に雰囲気ガスGを流通させるとともに付着凝固物剥離装置3を停止し、(b) 雰囲気ガスGを分析しない際には、電磁弁21、23に閉信号S2、S3を、電磁弁15に開信号S1をそれぞれ出力することによって、雰囲気ガスGを流通させず、かつ付着凝固物剥離装置3を運転する制御を行う。【0039】このように、本実施の形態の金属蒸気除去装置1は、冷却装置2と、付着凝固物剥離装置3と、第1の接続部材4と、第2の接続部材5と、取込み部材6と、制御装置7とを備える。次に、本実施の形態の金属蒸気除去装置1の動作を説明する。【0040】[動作の説明]雰囲気ガス分析計18によりスナウトの内部の雰囲気ガスGを分析する場合、制御装置7は、予め定められたプログラムにより、電磁弁21、23に開信号S2、S3を、電磁弁15に閉信号S1をそれぞれ出力する。これにより、400 〜500 ℃程度の溶融亜鉛めっき浴8のめっき面8aの雰囲気ガスGは、配管22をより吸入され、浸漬管4を介して冷却管9の雰囲気ガス流通路11に導かれる。【0041】この冷却管9は冷却水により冷却されているため、雰囲気ガス流通路11に導かれた雰囲気ガスGは冷却温度差数100 ℃程度で急速に冷却される。このため、雰囲気ガスGに含まれた亜鉛蒸気は、雰囲気ガス流通路11の内面11aに亜鉛蒸気の凝固物12として凝固する。【0042】この際、内面11aに付着・凝固した凝固物12には、次々に亜鉛蒸気が供給されて接触するため、凝固物12は大きく成長し、粉体状から塊状となる。この繰り返しにより、雰囲気ガスGから亜鉛蒸気が確実に除去され、雰囲気ガスGは連続的に清浄化される。【0043】亜鉛蒸気が除去された雰囲気ガスGは、雰囲気ガス流通路11およびフィルタ17を通過した後、配管16を介して雰囲気ガス分析計18に導かれる。このようにして、雰囲気ガス分析計18により雰囲気ガスGの分析が行われる。【0044】一方、雰囲気ガス分析計18によりスナウトの内部の雰囲気ガスGを分析しない場合、制御装置7は、予め定められたプログラムにより、電磁弁21、23に閉信号S2、S3を、電磁弁15に開信号S1をそれぞれ出力する。これにより、バイブレータ3が起動し、雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着して塊状に成長した亜鉛蒸気の凝固物12を振るい落とす。【0045】振るい落とされた亜鉛蒸気の凝固物12は、雰囲気ガス流通路11および浸漬管4を経由して、亜鉛浴面8aに自由落下する。亜鉛浴面8aの温度は400 ℃程度であるから落下した凝固物12は溶解し、溜まることはない。このように、本実施の形態によれば、人手を要さず自動的に亜鉛蒸気を回収および処理することができる。【0046】この動作を一定時間継続して行うことにより、雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着した凝固物12が除去された後、制御装置7は、予め定められたプログラムにより、電磁弁21、23に開信号S2、S3を、電磁弁15に閉信号S1をそれぞれ出力する。これにより、雰囲気ガス(サンプルガス)の分析を再開する。以降、このような操作を繰り返す。【0047】このように、本実施の形態の金属蒸気除去装置1によれば、鋼帯の連続亜鉛めっき設備におけるスナウト内の雰囲気ガスGが清浄化されて雰囲気ガス分析計18に供給されるため、雰囲気ガス分析計18のメンテナンス頻度を従来に比較して大幅に伸ばすことができるとともに、雰囲気ガス分析計18は安定して稼働し、高精度で分析することができる。このため、鋼帯のメッキ品質等の向上が図られる。【0048】また、本実施の形態の金属蒸気除去装置1によれば、(a) 連続的に多量に発生する亜鉛蒸気を人が介入することなく自動的に除去できること、(b) 除去した亜鉛の凝固物を長時間滞留させることなく自動的に除去・回収できること、(c) 腐食性の亜鉛蒸気を含む雰囲気ガスGが雰囲気ガス分析計18等に与える障害を除去できること、(d) 安価であり、ランニングコストが殆どかからないことという効果が得られる。【0049】さらに、本実施の形態の金属蒸気除去装置1は、極めて少ない部品点数で頑強に構成されているため、環境が厳しいスナウト近傍に設置されても長期間安定して稼働することができる。【0050】このため、本実施の形態により、雰囲気ガス分析計18を用いてスナウトの内部における雰囲気ガスGを分析する際に、工業的規模で雰囲気ガスGを安価、円滑および連続的に分析することができる、スナウトの内部における雰囲気ガスGの亜鉛蒸気除去装置1を提供できた。【0051】(変形形態)実施の形態の説明では、溶融金属めっきが溶融亜鉛めっきである場合を例にとった。しかし、本発明は溶融亜鉛めっきに限定されるものではなく、溶融亜鉛めっき以外の他の溶融金属めっきについても同様に適用される。【0052】また、実施の形態の説明では、冷却装置2が溶融金属めっき槽の鉛直上方に配置されている場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されず、冷却装置2が溶融金属めっき槽の鉛直上方から外れた位置にあってもよい。この場合には、冷却装置2を構成する冷却管3、すなわち雰囲気ガス流通路11を屈曲して配置すればよいからである。【0053】また、実施の形態の説明では、付着凝固物剥離装置3が、冷却装置2の外面に装着されたバイブレータ3a、3bである場合を例にとった。しかし、本発明における付着凝固物剥離装置はこのバイブレータ3a、3bには限定されず、雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着した金属蒸気の凝固物を、雰囲気ガス流通路11の内面11aから剥離させることができる装置であれば、等しく適用される。例えば、電動式バイブレータや作業者による打撃、さらには雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着した金属蒸気の凝固物を掻き落とすことができるスクレーパ等を適宜配置することによっても、同様の作用効果を達成することができる。【0054】また、実施の形態および実施例の説明では、取込み部材6が第1の接続部材4に装着された場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されず、取込み部材6が例えば冷却装置2に接続されていてもよい。この場合、制御装置7は、雰囲気ガス分析計18によりスナウトの内部の雰囲気ガスGを分析する際には、電磁弁21、23に開信号を、電磁弁15に閉信号をそれぞれ出力することによって、雰囲気ガス取込み部材6、雰囲気ガス流通路11、第2の接続部材5および雰囲気ガス分析計18の順に雰囲気ガスを流通させ、かつ付着凝固物剥離装置3を停止させ、一方、雰囲気ガス分析計18によりスナウトの内部の雰囲気ガスGを分析しない際には、電磁弁21、23に閉信号を、電磁弁15に開信号をそれぞれ出力することによって、雰囲気ガスを流通させず、かつ付着凝固物剥離装置3を起動すればよい。【0055】さらに、実施の形態で示した付着凝固物剥離装置3は、あくまでも、本発明の例示であり、本発明は、溶融金属めっき浴の上方に配置されて溶融金属めっき槽の内部の雰囲気ガスGを冷却しながら上方へ向けて流通させるための雰囲気ガス流通路11を有する冷却装置2と、この冷却装置2により冷却されることにより、雰囲気ガス流通路11の内面11aに付着した金属蒸気の凝固物12を、剥離させるための付着凝固物剥離装置3とを組み合わせて備える装置であれば、本発明に包含される。【0056】【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明により、雰囲気ガス分析計を用いてスナウトの内部における雰囲気ガスを分析する際に、工業的規模で雰囲気ガスを安価、円滑および連続的に分析することができる、溶融亜鉛めっき槽に設けられたスナウトの内部における雰囲気ガスの分析装置及び亜鉛蒸気除去装置を提供することができた。かかる効果を有する本発明の意義は極めて著しい。【図面の簡単な説明】【図1】実施の形態のスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置の構成例を模式的に示す説明図である。【符号の説明】1 金属蒸気除去装置2 冷却装置3 付着凝固物剥離装置8 めっき浴11 雰囲気ガス流通路11a 内面12 金属蒸気の凝固物 溶融金属めっき槽に収容されるめっき浴の上方に配置され、スナウトの内部の雰囲気ガスを冷却しながら上方へ向けて流通させるための雰囲気ガス流通路を有する冷却装置と、前記雰囲気ガスが該冷却装置により冷却されることにより、前記雰囲気ガス流通路の内面に付着した金属蒸気の凝固物を、該内面から剥離させるための付着凝固物剥離装置とを組み合わせて備える金属蒸気除去装置を有し、さらに該金属蒸気除去装置により金属蒸気を除去された雰囲気ガスを分析するためのガス分析計を有することを特徴とするスナウト内の雰囲気ガスの分析装置。 前記付着凝固物剥離装置は、前記内面に付着した前記金属蒸気の凝固物に外力を作用させることによって、該凝固物を剥離させる請求項1に記載されたスナウト内の雰囲気ガスの分析装置。 前記付着凝固物剥離装置は、前記冷却装置の外面に装着されたバイブレータである請求項1または請求項2に記載されたスナウト内の雰囲気ガスの分析装置。 溶融金属めっき槽に収容されるめっき浴の上方に配置され、スナウトの内部の雰囲気ガスを冷却しながら上方へ向けて流通させるための雰囲気ガス流通路を有する冷却装置と、前記雰囲気ガスが該冷却装置により冷却されることにより、前記雰囲気ガス流通路の内面に付着した金属蒸気の凝固物を、該内面から剥離させるための付着凝固物剥離装置とを組み合わせて備え、前記雰囲気ガス流通路の下部には、前記めっき浴に浸漬される第1の接続部材が装着されるとともに、前記雰囲気ガス流通路の上部には、前記金属蒸気が除去された前記雰囲気ガスを雰囲気ガス分析計へ導くための第2の接続部材が装着されることを特徴とするスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置。 前記第1の接続部材または前記冷却装置には、前記スナウトの内部の雰囲気ガスを前記雰囲気ガス流通路へ導くための雰囲気ガス取込み部材が装着される請求項4に記載されたスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置。 さらに、前記雰囲気ガス分析計により前記スナウトの内部の雰囲気ガスを分析する際には、前記雰囲気ガス取込み部材、前記第1の接続部材、前記雰囲気ガス流通路、前記第2の接続部材および前記雰囲気ガス分析計の順、もしくは前記雰囲気ガス取込み部材、前記雰囲気ガス流通路、前記第2の接続部材および前記雰囲気ガス分析計の順に前記雰囲気ガスを流通させるとともに前記付着凝固物剥離装置を停止し、前記雰囲気ガスを分析しない際には、前記雰囲気ガスを流通させないとともに前記付着凝固物剥離装置を運転する制御を行う制御装置を備えることを特徴とする請求項5に記載されたスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置。 前記付着凝固物剥離装置は、前記内面に付着した前記金属蒸気の凝固物に外力を作用させることによって、該凝固物を剥離させる請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載されたスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置。 前記付着凝固物剥離装置は、前記冷却装置の外面に装着されたバイブレータである請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載されたスナウト内の雰囲気ガスの金属蒸気除去装置。


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