タイトル: | 特許公報(B2)_環状イミノエーテルの製造方法 |
出願番号: | 2001073455 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07D 263/12,C07B 61/00 |
陳 天明 沖高 勲 JP 4535632 特許公報(B2) 20100625 2001073455 20010315 環状イミノエーテルの製造方法 株式会社興人 000142252 陳 天明 沖高 勲 20100901 C07D 263/12 20060101AFI20100812BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100812BHJP JPC07D263/12C07B61/00 300 C07D 263/12 C07B 61/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) CASREACT(STN) 特開平5−140129(JP,A) 特開平8−253433(JP,A) 2 2002275166 20020925 8 20070508 新留 素子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、水系塗料、接着剤、樹脂改質剤、架橋剤、医農薬中間体として有用な、環状イミノエーテルの製造法に関するものである。【0002】【従来の技術】ニトリルとアミノアルコールから環状イミノエーテルを製造する方法としては種々の方法が知られている。例えば、特開平6−56803号公報では、均一系触媒としてルテニウムあるいはロジウムのトリフェニルホスフィン錯体触媒が使用されている。しかしながら、触媒が高価であるとともにアルゴン雰囲気下で反応を実施する等、工業的に有利な方法とはいえず、また触媒の回収再使用も可能ではあるが単純な回収方法では不純物の蓄積が無視できない。そこで、安価な酢酸塩を触媒として使用する報告もあり、特開平5−140129号公報には、乾燥した酢酸亜鉛を触媒としてアセトニトリルまたはアジポニトリルとモノエタノールアミンから相当する環状イミノエーテルが得られることが、特公平7−108903号公報には、酢酸カドミウムを触媒としてノルボルネンカルボニトリルからオキサゾリルノルボルネンが得られることが、記載されている。しかしながら、これらの方法では長時間反応にもかかわらず収率が十分でなかったり、有毒な金属を使用する等、工業的な製法としては好ましいものではない。更にこれら酢酸塩を触媒とした場合、触媒が反応液に溶解しているため触媒の分離が容易でなく、例えば、蒸留によって未反応成分、目的生成物と触媒を分離しようとすると、環状イミノエーテルが重合などの反応を起こして収率の低下を招く等、実質的に触媒の繰り返し使用は困難であるという問題を有している。一方、触媒の回収・再使用に有利である、不均一系触媒を用いた例としては、特開平5−148246号公報に、イオン交換型層状粘土であるNa−ヘクトライト、スメクタイト、Na−テトラシリシックマイカなどが報告されている。しかしながら、これらは脂肪族ニトリルでは極めて低い活性しか示さず、芳香族ニトリルについても、活性は示すものの収率は十分ではないという問題点があった。【0003】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題は、副生物が少なく、高収率、短時間で目的物を与え、かつ触媒の分離が容易で繰り返し使用可能である環状イミノエーテルの製造方法を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明者らは種々の触媒を鋭意検討した結果、塩基性酢酸亜鉛が触媒として好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、(1)化6(式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数7〜10のビシクロアルキル基、あるいは、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子で置換されたまたは無置換のフェニル基又はナフチル基、を表す。)又は化7(式中、R2 は炭素数1〜20のアルレン基、炭素数5〜7のシクロアルキレン基、炭素数7〜10のビシクロアルキレン基、あるいは、炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン原子で置換された又は無置換のフェニレン基又はナフチレン基、を表す。)で表されるニトリルと、化8(式中、R3 は水素原子、メチル基、エチル基を、nは1または2を表す。)で表されるアミノアルコールとを、塩基性酢酸亜鉛存在下に反応させることを特徴とする、化9(式中、R1 、R3 、nは前記と同じ。)又は化10(式中、R2 、R3 、nは前記と同じ。)で表される環状イミノエーテルの製造方法、(2)塩基性酢酸亜鉛が、酸化亜鉛と酢酸亜鉛水溶液とを加熱して調製されたものである、上記(1)記載の環状イミノエーテルの製造方法、を提供するものである。【0005】【化6】【0006】【化7】【0007】【化8】【0008】【化9】【0009】【化10】【0010】本発明は、ニトリルとアミノアルコールを塩基性酢酸亜鉛存在下反応させるものである。本発明で用いる触媒である塩基性酢酸亜鉛は、酸化亜鉛と酢酸亜鉛水溶液とを加熱して調製されたもので、例えば、化学大辞典3巻812ページ(共立出版)記載の方法、等に準じて容易に調整される。調製した触媒は、粉砕して粉末状にして使用する方が分散性が増加するので好ましいが、ろ過しやすくするために、ペレットなどに成型してもよい。触媒の使用量としては、ニトリルおよびアミノアルコール総重量に対して、1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。不均一系であるため、過剰に添加しても効果がないばかりでなく、反応系のスラリー濃度が高くなるため攪拌所要動力が大きくなったり、ろ過が困難になるので好ましくない。触媒は反応液に不溶性であるため、反応後の触媒の回収方法としては、通常のヌッチェ、フィルターなどのろ過装置が使用できる。【0011】本発明で用いるニトリルとしては、上記化6あるいは化7で表される脂肪族、脂環族、芳香族、および複素環ニトリルのいずれでもよい。化6で表されるニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、カプリルニトリル、ベンゾニトリル、ノルボルネンカルボニトリルなどが挙げられる。化7で表されるニトリルとしては、アジポニトリル、イソフタロニトリル、テレフタロニトリル、マロン酸ジニトリル、コハク酸ジニトリル、グルタル酸ジニトリルなどが挙げられる。【0012】上記化8で表されるアミノアルコールとしては、2−アミノエタノール、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−2−ブタノール、およびこれらの同族体が例示される。【0013】本発明の目的物である上記化9あるいは化10で表される環状イミノエーテルとしては、メチルオキサゾリン、エチルオキサゾリン、プロピルオキサゾリン、フェニルオキサゾリン、オキサゾリルノルボルネン、テトラメチレンビスオキサゾリン、フェニレンビスオキサゾリンなどが挙げられる。【0014】ニトリルとアミノアルコールのモル比は任意であるが、一方を過剰に用いることで反応の完結が促進される。通常ニトリルに対してアミノアルコールを過剰に用いる例が多く見られるが、本反応系では、芳香族環やノルボルネン環など置換基が嵩高い場合はどちらが過剰でもかまわないが、アルキル基等の置換基ではニトリルを過剰に用いる方が高収率を与える。これは触媒活性が高いために生成した環状イミノエーテルとアミノアルコールがさらに反応してアミド化合物を与えるためである。従って、本発明において、ニトリル/アミノアルコールのモル比(シアノ基1つに対して)は0.2〜5モル、好ましくは0.5〜2モルが望ましい。【0015】反応は無溶媒下でも可能であるが、原料ニトリルまたは生成した環状イミノエーテルが常温では固体で溶解性が低いものである場合は、反応を円滑に行なわせるために、溶媒を添加することが好ましい。使用する溶媒としては、キシレン、クロロベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール等のアルコール類を挙げることができる。反応温度は60〜140℃、好ましくは80〜120℃であり、使用するニトリルの沸点が低い場合はオートクレーブなどの密閉型反応器を使用することができる。反応時間は原料、反応条件等によって異なるが、通常4〜20時間程度で十分である。本反応系は不均一反応であるため、攪拌は重要であるが、触媒が反応系全体に均一に分散していれば良く、特に強烈なせん断力は必要としない。【0016】反応系中の水分は、相当する加水分解不純物を副生させる恐れがあり、少ない方が好ましい。持ち込まれる水分は、主として原料、触媒由来であるため、反応前に、蒸留脱水又は乾燥剤などを使用して水分を除去することが望ましい。また、反応の進行に伴って生成してくるアンモニアガスは、減圧又は窒素バブリング等により、反応系から追い出すことで反応の平衡を生成系にずらす効果があるため望ましいが、過度の適用は反応液や溶媒を系外に気散させるので好ましくない。【0017】反応終了後、目的物は、ろ過等により触媒を除去した後、蒸留、抽出、晶析等の方法により容易に単離・精製されるが、触媒を含有しないため、後処理において、重合などの副反応による損失がない。また、ろ過等により分離された触媒は、そのままあるいはアセトンやメタノールなどの溶媒で洗浄後、繰り返し使用することができる。【0018】【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明はこれら実施例に限定されるものではない。塩基性酢酸亜鉛触媒の調製例攪拌機、窒素導入管を装備した300ml3つ口フラスコに酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業製)24.1g(0.11mol)と脱イオン水66.7gからなる酢酸亜鉛水溶液および酸化亜鉛(和光純薬工業製)8.9g(0.11mol)を加え、窒素雰囲気下80℃で2時間攪拌を行った。その後、105℃で1時間攪拌しながら水分をほぼ蒸発させた。得られた白色粉末をフラスコから取り出して110℃のオーブンでさらに2時間加熱により完全脱水させ、白色粉末状の塩基性酢酸亜鉛27.6g(0.10mol)を得た。【0019】実施例1攪拌機、温度計、還流冷却器と窒素導入管を装備した100ml4つ口フラスコに、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル(以下NBCNと略す)20.0g(0.17mol)、2−アミノエタノール20.6g(0.34mol)および塩基性酢酸亜鉛6.1gを仕込み、130℃、12時間反応させた。この間副生するアンモニアを排除するため、窒素を50ml/分で通気した。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、オキサゾリルノルボルネン(以下NBOXと略す)の反応収率は97%であった。反応液は、ろ過で触媒を除いた後、減圧下に蒸留し、81−82℃(5mmHg)の留分としてNBOX24.9gを得た。純度は99.6%、反応も含めた全収率は90%であった。なお、蒸留残渣はほとんどなく、蒸留時の重合は認められなかった。【0020】実施例2実施例1において、仕込み比、触媒量、反応時間を表1に記載の通りにした以外は、実施例1に記載した方法に準じて反応を行なった。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、反応収率は83%であった。【0021】実施例3攪拌機、温度計、還流冷却器と窒素導入管を装備した100ml4つ口フラスコに、アセトニトリル20.5g(0.50mol)、2−アミノエタノール20.6g(0.34mol)および塩基性酢酸亜鉛2.65gを仕込み、窒素気流下に副生するアンモニアを排除しながら90℃、12時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、2−メチル−2−オキサゾリンの反応収率は86%であった。反応液は、ろ過で触媒を除いた後、減圧下に蒸留し、47−50℃(100mmHg)の留分として2−メチル−2−オキサゾリン23.4gを得た。純度は99.5%、反応も含めた全収率は81%であった。なお、蒸留残渣はほとんどなく、蒸留時の重合は認められなかった。【0022】実施例4〜9および11、12実施例1において、ニトリル、触媒量、反応温度、反応時間を表1に記載した通りにした以外は、実施例1に記載した方法に準じて反応を行い、反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表1に示す。【0023】実施例10攪拌機、温度計、環流冷却器と窒素導入管を装備した200ml4つ口フラスコに、アジポニトリル50.0g(0.46モル)、2−アミノエタノール113.1g(1.85モル)および塩基性酢酸亜鉛7.36gを仕込み、窒素雰囲気下に生成するアンモニアを排除しながら80℃、16時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、1,4−テトラメチレンビスオキサゾリンの生成収率は77%であった。反応液は、ろ過で触媒を除いた後、減圧下に蒸留し、112−115℃(0.1mmHg)の留分として1,4−テトラメチルビスオキサゾリン64.2gを得た。純度は99.1%、反応も含めた全収率は71%であった。なお、蒸留残渣はごくわずかであった。【0024】【表1】【0025】比較例1実施例1において、触媒を酢酸亜鉛にしたこと以外は、実施例1に記載した方法に準じて反応を行なった。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、NBOXの反応収率は88%であった。触媒は反応液に溶解していたので、そのまま減圧下に蒸留し、81−82℃(5mmHg)の留分としてNBOX18.3gを得た。純度は99.5%、反応も含めた全収率は66%であった。なお、フラスコ内には高粘度の蒸留残渣が多量に残った。【0026】比較例2〜9比較例1において、ニトリル、触媒、触媒量、反応温度、反応時間を表2に記載した通りにした以外は、比較例1に記載した方法に準じて反応を行ない、反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。結果を表2に示す。【0027】【表2】【0028】実施例13実施例1でろ過分離した触媒をアセトンで洗浄し、105℃のオーブン中で乾燥したところ、5.9gであり、触媒の回収率は96%であった。回収した触媒に新しい触媒0.2gを追加して、実施例1と同様の条件で反応に再使用した。その結果、NBOXを反応収率96%で得た。同様に、さらに3回反応を繰り返した結果、全5回の平均反応収率は95.5%で、活性の低下はほとんど見られず、触媒の繰り返し使用が可能であることが確認された。【0029】【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によると、副生物が少なく、高収率、短時間で、環状イミノエーテルを製造できる、工業的に有利な製造方法が提供される。さらに、触媒の分離・回収も容易であり、かつ繰り返し使用も可能である。 化1(式中、R1 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数7〜10のビシクロアルキル基、あるいは、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲン原子で置換されたまたは無置換のフェニル基又はナフチル基、を表す。)又は化2(式中、R2 は炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数5〜7のシクロアルキレン基、炭素数7〜10のビシクロアルキレン基、あるいは、炭素数1〜5のアルキル基またはハロゲン原子で置換された又は無置換のフェニレン基又はナフチレン基、を表す。)で表されるニトリルと、化3(式中、R3 は水素原子、メチル基、エチル基を、nは1または2を表す。)で表されるアミノアルコールとを、塩基性酢酸亜鉛存在下に反応させることを特徴とする、化4(式中、R1 、R3 、nは前記と同じ。)又は化5(式中、R2 、R3 、nは前記と同じ。)で表される環状イミノエーテルの製造方法。 塩基性酢酸亜鉛が、酸化亜鉛と酢酸亜鉛水溶液とを加熱して調製されたものである、請求項1記載の環状イミノエーテルの製造方法。