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タイトル:特許公報(B2)_アミド脱水縮合触媒として有用なパーフルオロアルキルフェニルホウ酸
出願番号:2001070184
年次:2004
IPC分類:7,C07F5/02,B01J31/14,C07C231/02,C07C233/00,C07D211/16,C07B61/00


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石原 一彰 山本 尚 JP 3589450 特許公報(B2) 20040827 2001070184 20010313 アミド脱水縮合触媒として有用なパーフルオロアルキルフェニルホウ酸 独立行政法人 科学技術振興機構 503360115 廣田 雅紀 100107984 石原 一彰 山本 尚 20041117 7 C07F5/02 B01J31/14 C07C231/02 C07C233/00 C07D211/16 C07B61/00 JP C07F5/02 C B01J31/14 Z C07C231/02 C07C233/00 C07D211/16 C07B61/00 300 7 C07F 5/02 CA(STN) REGISTRY(STN) Journal of Organic Chemistry (1991), Vol.56 No.4, p.1505-1512 23 2002265472 20020918 17 20010313 本堂 裕司 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なパーフルオロアルキルフェニルホウ酸及びその製造方法、並びにかかるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸からなる触媒及び該触媒を用いたアミド縮合物の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】ポリアミド主鎖にアミド結合を有するアミド縮合物は、耐摩擦性、弾性、耐薬品性、染色性に優れ、繊維材料として大量に使用されており、また、機械的性質、耐摩耗性、耐熱性、耐油性に優れ、摩擦係数が小さいため、種々の機械部品や電機部品に使われる他、フィルム等、産業機能材料としても多用されている。ポリイミドは主鎖にイミド結合を有する最も耐熱性に優れたプラスチックの一つであり、航空機、輸送機器、電気・電子機器などにおいて信頼性が重要視される部品に使用されている。ポリアミドイミドは主鎖にアミド及びイミド結合を有し、加工性や耐磨耗性に優れ、各種成形材料や電気絶縁用ワニスとして用いられている。これらポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドの製造法としては、例えば以下に示すように、様々な方法が提案されている。【0003】特開昭49−106597号公報には、珪素、ゲルマニウム、錫及び鉛の各化合物の少なくとも1種を重縮合触媒として、芳香族ジアミン及び芳香族ジカルボン酸ジエステルを、あるいは芳香族アミノカルボン酸エステルを無溶媒下に加熱して重縮合反応を行う高分子量芳香族ポリアミドの製法が記載されている。【0004】特開昭59−8728号公報には、芳香族アミノカルボン酸および/または芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの混合物を極性溶媒中に於いて脱水触媒の存在下に約160℃以上の温度で加熱重縮合反応せしめる芳香族ポリアミドの製造法が記載されている。【0005】特開昭61−14219号公報には、多価カルボン酸類から選ばれた1種又はそれ以上とジイソシアネート類の1種又はそれ以上とをアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、及び/又はアルカリ金属炭酸水素塩から選ばれた1種又はそれ以上の触媒存在下に反応させるポリアミド及び/又はポリアミド酸の製造において、実質的にスルホレン及び/又はイソプロピルスルフォラニルエーテルを含有しないスルホランを溶媒として使用する高重合度化の容易なポリアミド及び/又はポリアミド酸の安定な製造法が記載されている。【0006】特開平8−333450号公報には、特定の芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物の反応によりポリイミドを得る際に、水溶性エーテル化合物、水溶性アルコール化合物、水溶性アミド化合物、水溶性ケトン化合物、水から選ばれる2種以上の混合溶媒中で反応を行いポリイミド前駆体とした後、熱的又は化学的にイミド化する、残溶媒が少なく寸法安定性が良好なポリイミドの製造方法が記載されている。【0007】特開平8−302015号公報には、特定の分子量を有し、かつ特定の構造単位からなる、広い沸点範囲の有機溶剤に溶解し、その溶解度も高く、成形加工性に優れ、軟化温度を有しながら耐熱性に優れた、ワニス、成形品等に有用なポリイミドが記載されている。【0008】特開平8−239470号公報には、特定の芳香族ジアミンと特定の芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させることにより、低い表面自由エネルギーと高いガラス転移温度を有し、撥水撥油性でかつ耐熱性のポリイミド樹脂の製造方法が記載されている。【0009】特開昭57−133126号公報には、三塩基性酸無水物およびジイソシアネート化合物を第3級アミン触媒の存在下で重縮合反応させるに際し、反応をスルホラン溶媒中で行うポリアミドイミドの製造方法が記載されている。【0010】特開昭62−297329号公報には、芳香族トリカルボン酸および/または芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとを脱水触媒および溶媒の存在下に加熱重縮合反応せしめて芳香族ポリアミドイミドを製造する方法において、溶媒としてニトロベンゼン、o−ニトロトルエン及びベンゾニトリルから成る群より選ばれた化合物を用いる芳香族ポリアミドイミドの製造方法が記載されている。【0011】本発明者らは、電子求引性置換基をもつ3,4,5−トリフルオロフェニルホウ酸が、カルボン酸とアミンのアミド縮合反応において触媒となることを報告している(Kazuaki Ishihara, Suguru Ohara, Hisashi Yamamoto J.Org.Chem. 1996, 61, 4196; Kazuaki Ishihara, Suguru Ohara, Hisashi Yamamoto Macromolecules 2000, 33, 3511)。また、本発明者らは、特に直接重縮合反応で合成することが困難とされていた芳香族ポリアミド(アラミド)を、3,4,5−トリフルオロフェニルホウ酸、3−ニトロフェニルホウ酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルホウ酸、4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸等のアリールホウ酸と適当な溶媒とを組合せることにより、加熱による直接重縮合反応において、高収率で製造し得ることや、芳香族ポリアミドの直接重縮合反応における反応温度を200℃以上で行う場合、溶媒としてペンタメチルベンゼンやm−ターフェニル等の非極性芳香族性溶媒を用いると、黒色への変色を伴う副反応を併発することがないことを見い出し(PCT/JP00/01390)、更に、このようなアリールホウ酸触媒の活性を損なうことなくポリアミド等の溶解性を向上させ得る極性溶媒との組合せをも見い出している。【0012】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、触媒活性に優れ、回収率が高く、再利用が容易である新規なアミド脱水縮合反応用触媒として有用なパーフルオロアルキルフェニルホウ酸や、その製造方法や、該パーフルオロアルキルフェニルホウ酸を有効成分とするアミド脱水縮合反応用触媒や、それを用いたアミド縮合物の製造方法を提供することにある。【0013】【課題を解決するための手段】前記のように、本発明者らは3,4,5−トリフルオロフェニルホウ酸等のアリールホウ酸がカルボン酸とアミンのアミド縮合反応において触媒となることを既に報告しているが、かかるアリールホウ酸類について、さらなる触媒活性の向上と回収・再利用の簡便化をめざして鋭意研究し、3,5位にパーフルオロデシル基を有するフェニルホウ酸を製造することに成功し、かかる3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸がアミド脱水縮合反応用触媒としてきわめて有効であり、反応後の触媒回収・再利用が容易であることを確認し、本発明を完成するに至った。【0014】すなわち本発明は、一般式[I](式中、Rfは3,4,5位の少なくとも1つに置換されるC2以上のパーフルオロアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の場合、Rfは同一であっても互いに異なってもよい。)で表されることを特徴とするパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項1)に関する。【0015】【化2】【0016】また本発明は、一般式[I]において、nが1〜3の整数を表し、Rfが3,4,5位のいずれかにのみ置換されていることを特徴とする請求項1記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項2)や、C2以上のパーフルオロアルキル基が、C5〜C30のパーフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項3)や、C5〜C30のパーフルオロアルキル基が、C10〜C30のパーフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項3記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項4)や、一般式[I]で表されるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸が、3,5−ビス(パーフルオロアルキル)フェニルホウ酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項5)や、3,5−ビス(パーフルオロアルキル)フェニルホウ酸が、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸であることを特徴とする請求項5記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項6)や、一般式[I]で表されるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸が、4−パーフルオロアルキルフェニルホウ酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項7)や、4−パーフルオロアルキルフェニルホウ酸が、4−パーフルオロデシルフェニルホウ酸であることを特徴とする請求項7記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸(請求項8)に関する。【0017】また本発明は、請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法であって、電子求引性基を有するベンゼンに前記電子求引性基と置換してパーフルオロアルキル基を導入する第1の工程と、該第1の工程後、フェニル基に電子求引性基を導入する第2の工程と、該電子求引性基をホウ酸エステル基と置換してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを生成する第3の工程と、該パーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを加水分解してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を生成する第4の工程を含むことを特徴とするパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法(請求項9)や、請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法であって、アルコキシ基及び電子求引性基とを有するベンゼンに該電子求引性基と置換してパーフルオロアルキル基をフェニル基に導入する第1の工程と、該第1の工程後、アルコキシ基をパーフルオロアルコキシ基にする第2の工程と、該パーフルオロアルコキシ基をホウ酸エステル基と置換してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを生成する第3の工程と、該パーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを加水分解してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を生成する第4の工程を含むことを特徴とするパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法(請求項10)に関する。【0018】さらに本発明は、カルボン酸とアミン、カルボン酸とアミンとアミノカルボン酸、又はアミノカルボン酸を、縮合触媒及び溶媒の存在下に反応させるアミド縮合物の製造方法において、請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を縮合触媒として用いることを特徴とするアミド縮合物の製造方法(請求項11)や、カルボン酸とアミンとがそれぞれ多価カルボン酸と多価アミンであり、縮合物が縮合重合物であることを特徴とする請求項11記載のアミド縮合物の製造方法(請求項12)や、縮合重合物が、ポリアミド、ポリイミド又はポリアミドイミドであることを特徴とする請求項12記載のアミド縮合物の製造方法(請求項13)や、多価カルボン酸と多価アミンが、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、又は脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンのいずれかの組合せからなり、縮合重合物がポリアミドであることを特徴とする請求項12又は13記載のアミド縮合物の製造方法(請求項14)や、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとが、テレフタル酸とp−フェニレンジアミンであることを特徴とする請求項14記載のアミド縮合物の製造方法(請求項15)や、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとが、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンであることを特徴とする請求項14記載のアミド縮合物の製造方法(請求項16)や、多価カルボン酸と多価アミンが、芳香族テトラカルボン酸と脂肪族ジアミンからなり、縮合重合物がポリイミドであることを特徴とする請求項12又は13記載のアミド縮合物の製造方法(請求項17)や、多価カルボン酸と多価アミンが、芳香族トリカルボン酸と芳香族ジアミンからなり、縮合重合物がポリアミドイミドであることを特徴とする請求項12又は13記載のアミド縮合物の製造方法(請求項18)や、溶媒が極性溶媒、非極性溶媒又は極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒であることを特徴とする請求項11〜18のいずれか記載のアミド縮合物の製造方法(請求項19)や、極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒として、極性溶媒が30〜50重量%混合されている混合溶媒を用いることを特徴とする請求項65記載のアミド縮合物の製造方法(請求項20)や、極性溶媒が、3,5−ジメチルピペリジン、4−フェニルブタン酸から選ばれる1又は2以上の溶媒であることを特徴とする請求項19又は20記載のアミド縮合物の製造方法(請求項21)や、非極性溶媒が、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン、m−ターフェニルから選ばれる1又は2以上の溶媒であることを特徴とする請求項19又は20記載のアミド縮合物の製造方法(請求項22)や、請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を有効成分として含有することを特徴とするアミド脱水縮合反応用触媒(請求項23)に関する。【0019】【発明の実施の形態】本発明のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸としては、一般式[I](式中、Rfは3,4,5位の少なくとも1つに置換されるC2以上のパーフルオロアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の場合、Rfは同一であっても互いに異なってもよい。)で表されるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸であれば特に制限されるものではないが、上記一般式[I]において、nが1〜3の整数を表し、Rfが3,4,5位のいずれかにのみ置換されているパーフルオロアルキルフェニルホウ酸が好ましい。2位及び/又は6位のみがパーフルオロアルキル基で置換されているパーフルオロアルキルフェニルホウ酸は、触媒活性が低く、アミド脱水縮合反応用触媒としては好ましくない。また、上記RfがC3以上のパーフルオロアルキル基の場合、炭素鎖は枝分かれしたものでもよい。そして、Rfとしては、C5〜C30、特にC10〜C30のパーフルオロアルキル基が触媒活性等の点で好ましい。パーフルオロアルキル基におけるC数が増加すると、芳香族ポリアミド等の生成に係る重縮合反応によく用いられる加熱下の非プロトン性有機溶媒(例えば、トルエン等の芳香族性有機溶媒など)に対して溶解し、均一溶媒反応とすることができ、室温では非プロトン性有機溶媒に不溶となることから、反応系からの分離回収が容易となる。さらにC数が増加すると、加熱下の非プロトン性有機溶媒にも溶けづらくなり、不均一溶媒反応となるが、反応系からの分離回収が一層容易となる。そしてまた、上記のように、Rfは互いに異なっていてもよいことから、パーフルオロアルキル基のアルキル鎖の長さの合計が10以上、好ましくは15以上、より好ましくは20以上のものが、触媒活性や加熱非プロトン性有機溶媒に対する溶解性の点で望ましい。【0020】本発明のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸としては、上記のように、3,4,5位の少なくとも1つにC2〜C30のパーフルオロアルキル基が置換されているものであれば、その他は無置換のものでも、あるいはフッ素やトリフルオロメチル基で置換されていてもよいが、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸、3,5−ビス(パーフルオロヘキシル)フェニルホウ酸等の3,5−ビス(パーフルオロアルキル)フェニルホウ酸や、4−パーフルオロデシルフェニルホウ酸、4−パーフルオロヘキシルフェニルホウ酸等の4−パーフルオロアルキルフェニルホウ酸を好適に例示することができる。【0021】本発明のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸、特に3,5−ビス(パーフルオロアルキル)フェニルホウ酸は、電子求引性基を有するベンゼンに電子求引性基と置換してパーフルオロアルキル基をフェニル基に導入する第1の工程と、第1の工程後、フェニル基に電子求引性基を導入する第2の工程と、電子求引性基をホウ酸エステル基と置換してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを生成する第3の工程と、パーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを加水分解してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を生成する第4の工程を含む製造方法により得ることができる。【0022】第1の工程は、パーフルオロアルキルベンゼンを合成する工程である。第1の工程は、出発物質として電子求引性基を有するベンゼンを採用することができ、電子求引性基としては、−I、−Br、−F、−NO2、−CN、−+NH3、−CHO、−COCH3、−CO2C2H5、−CO2H、−SO2CH3、−SO3H等を例示することができ、好ましくは−I、−Br、−F等のハロゲン基を例示することができ、特に好ましいものとして−I(ヨウ素原子)を挙げることができる。このような電子求引性基を有するベンゼンと反応させ、パーフルオロアルキルベンゼンを生成するには、パーフルオロアルカンの1のフッ素をフッ素以外のハロゲンで置換されたハロゲン化パーフルオロアルカンを反応させることによることができるが、この場合のハロゲンは、ベンゼンに結合された電子求引性基がハロゲン基の場合のハロゲン原子と同一のものが好ましい。パーフルオロアルカンとしてはC2〜C30のものを反応させることができ、好ましくはC5〜C30、より好ましくはC10〜C30のものを挙げることができる。第1の工程として、具体的には反応式(1)に示すように、1,3−ジヨードベンゼンとヨードパーフルオロデカンとの反応を例示することができる。【0023】【化3】【0024】上記パーフルオロアルキルベンゼンの生成反応は、銅粉末と、2,2′−ビピリジルと、ジメチルスルホキシドの混合溶液の下で加熱、例えば120℃で行わせることができる。反応後、反応溶液にクロロホルムと水を加え濾過後、残った固体をクロロホルムで洗浄し、濾液から水相を分離除去し、有機相を、塩酸、水、塩水で順次洗浄して、パーフルオロアルキルベンゼンを得ることができる。【0025】第2の工程は、第1の工程で得られたパーフルオロアルキルベンゼンに電子求引性基を導入する工程である。パーフルオロアルキルベンゼンに導入される電子求引性基は後述する第3の工程においてホウ酸エステル基と置換可能なものであればよく、−I、−Br、−F、−NO2、−CN、−+NH3、−CHO、−COCH3、−CO2C2H5、−CO2H、−SO2CH3、−SO3H等を挙げることができるが、中でもハロゲン基、特に臭素原子を好適に挙げることができる。【0026】パーフルオロアルキルベンゼンに電子求引性基を導入するには、琥珀酸イミド化合物をパーフルオロアルキルベンゼンに反応させることによることができる。琥珀酸イミド化合物としては、上述のパーフルオロアルキルベンゼンに導入される電子求引性基を構成するものと琥珀酸イミドとの化合物であり、具体的にはハロゲノ琥珀酸イミドを挙げることができ、更に具体的にはブロモ琥珀酸イミドを例示することができる。この反応は、反応式(2)に示すように、パーフルオロアルキルベンゼン、例えば1,3−ビス(パーフルオロデシル)ベンゼンに、トリフルオロ酢酸と、濃硫酸の混合溶液を加え、室温で攪拌しつつ数回に亘って徐々にハロゲノ琥珀酸イミドを加えた後、加熱、例えば、40℃で加熱後、冷却して有機相、水相、固相に分離させ、固相を洗浄して、電子求引性基が導入されたパーフルオロアルキルベンゼンを得ることができる。第1工程の出発物質が、例えば、1,3位にハロゲン基を有するジヨードベンゼンとヨードパーフルオロデカンの場合は、3,5−ビス(パ−フルオロデシル)フェニルブロミドを得ることができる。【0027】【化4】【0028】第3の工程は、第2の工程により得られた電子求引性基が導入されたパーフルオロアルキルベンゼンに導入された電子求引性基とホウ酸エステル基を置換させるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルの生成工程である。生成されるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルとして、パーフルオロアルキルフェニルホウ酸ピナコールエステルを挙げることができる。このピナコールエステルは、脱酸素雰囲気下、不活性ガス、例えば、アルゴン、窒素等の雰囲気下、第2工程で得られた電子求引性基が導入されたパーフルオロアルキルベンゼンとピナコラートボロンとを、塩化パラジウム、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、酢酸カリウム、ジメチルスルホキシドの存在下で加熱により反応させて得ることができる。例えば、パ−フルオロアルキルフェニルブロミド、具体的には、反応式(3)に示すように、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルブロミドと、dppf、塩化パラジウム、酢酸カリウムの混合物にジメチルスルホキシドを加え、加熱、例えば90〜100℃でビス(ピナコラート)ジボロンを反応させることによって生成することができる。【0029】【化5】【0030】また、第4の工程は、第3工程で得られたパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを加水分解してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を得る工程であり、第3工程で得られたパーフルオロアルキルフェニルホウ酸ピナコールエステルを加水分解して得ることができる。パーフルオロアルキルフェニルホウ酸ピナコールエステルの加水分解はいずれの方法であってもよいが、例えば、ジクロロメタン、臭化ボランの存在下で行うことができる。具体的には、反応式(4)に示すように、ジクロロメタンを加え、冷却、例えば、−80℃前後に冷却し、臭化ボランを滴下した後、段階的に昇温させ、例えば、0℃前後、室温等に順次昇温させ、攪拌しつつエステルの加水分解を進行させ、パーフルオロアルキルフェニルホウ酸を得ることができる。【0031】【化6】【0032】また、本発明のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸、特に4−パーフルオロアルキルフェニルホウ酸は、上記製造方法と異なる方法、すなわち、アルコキシ基及び電子求引性基とを有するベンゼンに該電子求引性基と置換してパーフルオロアルキル基をフェニル基に導入する第1の工程と、第1の工程後、アルコキシ基をパーフルオロアルコキシ基にする第2の工程と、パーフルオロアルコキシ基をホウ酸エステル基と置換してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを生成する第3の工程と、得られたパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルからパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を生成する第4の工程を含む製造方法により得ることができる。【0033】第1の工程は、アルコキシ基と電子求引性基とを有するベンゼンと、パーフルオロアルカンをUllmannタイプの反応を用いて、電子求引性基をパーフルオロアルキル基と置換する工程である。出発物質であるアルコキシ基及び電子求引性基を有するベンゼンの電子求引性基としては、−I、−Br、−F、−NO2、−CN、−+NH3、−CHO、−COCH3、−CO2C2H5、−CO2H、−SO2CH3、−SO3H等を挙げることができ、好ましくは、ハロゲン原子を例示することができる。電子求引性基は、パラ位及びメタ位のいずれかに少なくとも1つ結合されたものが好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基等を挙げることができ、中でもメトキシ基を好適に挙げることができる。アルコキシ基と電子求引性基とを有するベンゼンとしては、上記のアルコキシ基と上記電子求引性基のいずれの組み合わせを有するものであればどのようなものでもよいが、好ましくは、ヨウ化アルコキシベンゼン等のハロゲノアルコキシベンゼンを挙げることができる。具体的には、4−ヨウ化アニソール(パラヨウ化メトキシベンゼン)を挙げることができる。【0034】また、このようなアルコキシ基と電子求引性基とを有するベンゼンと反応させ電子求引性基と置換してパーフルオロアルキル基をベンゼンに導入するには、パーフルオロアルカンの1のフッ素をフッ素以外のハロゲンで置換されたハロゲン化パーフルオロアルカンを反応させることにより導入することができる。この場合のハロゲンは、ベンゼンに結合された電子求引性基がハロゲン基の場合のハロゲン原子と同一のものが好ましい。パーフルオロアルカンとしてはC2〜C30、好ましくはC5〜C30、より好ましくはC10〜C30のものを挙げることができる。ハロゲン化パーフルオロアルカンとして、ヨードパーフルオロヘキサンやヨードパーフルオロデカンを挙げることができる。第1の工程として、上記の物質の組み合わせを選択することができるが、具体的には、(反応式5)に示すように、4−ヨウ化アニソールに、ヨードパーフルオロヘキサン又はヨードパーフルオロデカンを反応させることを例示することができる。この反応は、銅粉末、2,2′−ビピリジル、ジメチルスルホキシドの混合溶液下で行うことができる。【0035】【化7】【0036】第2の工程において、第1の工程により生成されたパーフルオロアルキルアルコキシベンゼンと、臭化ボランとを用いて、パーフルオロアルキルフェノールとし(反応式6)、続いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物により上記パーフルオロアルキルフェノールの水酸基をトリフルオロメタンスルホン酸エステルに変換させることができる。生成されるパーフルオロアルキルフェニルトリフラートとしては第1の工程により生成されたパーフルオロアルキルアルコキシベンゼンのアルコキシ基をトリフラート化したいずれのものであってもよいが、具体的には、(反応式7)に示すように、パラパーフルオロヘキシルフェニルトリフラートを挙げることができる。【0037】【化8】【0038】【化9】【0039】第3の工程は、第2の工程により得られたパーフルオロアルキルフェニルトリフラートのトリフラート基とホウ酸エステル基とを置換させ、パーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを生成する工程である。パーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルとして、パーフルオロアルキルフェニルホウ酸ピナコールエステルを挙げることができる。このピナコールエステルは、第2工程で得られたパーフルオロアルキルフェニルトリフラートとピナコラートボロンとを、塩化パラジウム、dppf、酢酸カリウムのジオキサン溶液の存在下で反応させて得ることができる。例えば、(反応式8)に示すように、パラパーフルオロアルキルフェニルトリフラートと、塩化パラジウム、dppf、酢酸カリウムのジオキサン溶液を加え、加熱してビス(ピナコラート)ジボロンを反応させることによって、パラパーフルオロヘキシルフェニルホウ酸ピナコールエステルやパラパーフルオロデシルフェニルホウ酸ピナコールエステルを生成させることができる。【0040】【化10】【0041】また、第4の工程は、第3工程で得られたパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを加水分解して、パーフルオロアルキルフェニルホウ酸を得る工程であり、例えば、第3工程で得られたパーフルオロアルキルフェニルホウ酸ピナコールエステルを加水分解してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を生成する方法であればいずれの方法であってもよい。具体的には、(反応式9)に示すように、パラパーフルオロヘキシルフェニルホウ酸ピナコールエステルに臭化ボランを加え、エステルの加水分解を進行させパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を得ることができる。得られるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸としてパラパーフルオロヘキシルフェニルホウ酸やパラパーフルオロデシルフェニルホウ酸を挙げることができる。【0042】【化11】【0043】本発明のアミド脱水縮合反応用触媒としては、一般式[I](式中、Rfは3,4,5位の少なくとも1つに置換されるC2〜C30のパーフルオロアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の場合、Rfは同一であっても互いに異なってもよい。)で表されるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を有効成分として含有するものであれば特に制限されないが、上記一般式[I]において、nが1〜3の整数を表し、Rfが3,4,5位のいずれかにのみ置換されているパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を有効成分として含有するものが好ましい。2位及び/又は6位のみがパーフルオロアルキル基で置換されているパーフルオロアルキルフェニルホウ酸は、触媒活性が低く、アミド脱水縮合反応用触媒としては好ましくない。また、上記RfがC3〜C30のパーフルオロアルキル基の場合、C3〜C30は枝分かれしたものでもよい。そして、Rfとしては、C5〜C30、特にC10〜C30のパーフルオロアルキル基が、触媒活性が高く、芳香族ポリアミド等の生成に係る重縮合反応によく用いられる加熱下の非プロトン性有機溶媒(例えば、トルエン等の芳香族性有機溶媒など)に対して溶解し、均一溶媒反応とすることができる点で好ましい。そしてまた、上記のように、Rfは互いに異なっていてもよいことから、パーフルオロアルキル基のアルキル鎖の長さの合計が5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上のものが、触媒活性や加熱非プロトン性有機溶媒に対する溶解性の点で望ましい。【0044】本発明のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を有効成分として含有するアミド脱水縮合反応用触媒としては、上記のように、3,4,5位の少なくとも1つにC2〜C30のパーフルオロアルキル基が置換されているものであれば、その他は無置換のものでも、あるいはフッ素やトリフルオロメチル基で置換されていてもよいが、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸、3,5−ビス(パーフルオロヘキシル)フェニルホウ酸等の3,5−ビス(パーフルオロアルキル)フェニルホウ酸や、4−パーフルオロデシルフェニルホウ酸、4−パーフルオロヘキシルフェニルホウ酸等の4−パーフルオロアルキルフェニルホウ酸を有効成分として含有するアミド脱水縮合反応用触媒を好適に例示することができる。また、アミド脱水縮合反応に用いられるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の濃度としては、パーフルオロアルキルフェニルホウ酸の種類や、反応に用いられるカルボン酸やアミンの種類にもよるが、通常0.5〜10mol%、好ましくは1〜5mol%を挙げることができる。【0045】上記本発明のアミド脱水縮合反応用触媒を用いると、アミド縮合物を効率よく製造することができ、また、反応後の触媒回収・再利用が容易である。本発明のアミド縮合物の製造方法としては、このような本発明のアミド脱水縮合反応用触媒及び溶媒の存在下に、カルボン酸とアミン、カルボン酸とアミンとアミノカルボン酸、又はアミノカルボン酸を反応させるアミド縮合物の製造方法であれば特に制限されるものではなく、上記カルボン酸としては、1価のカルボン酸又は多価カルボン酸を例示することができ、同様に上記アミンとしては1価のアミン又は多価アミンを例示することができる。特に、多価カルボン酸と多価アミン、多価カルボン酸と多価アミンとアミノカルボン酸、又はアミノカルボン酸を、本発明のアミド脱水縮合反応用触媒及び溶媒の存在下に反応させることにより製造することができる縮合重合物としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドを挙げることができる。ポリアミドとしては、例えば芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンから得られる芳香族アミド(アラミド)、例えば脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンから得られる脂肪族アミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンあるいは脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミンから得られるセミアロマチックタイプのポリアミドを挙げることができる。【0046】本発明において用いられる多価カルボン酸としては、分子内に2以上のカルボキシル基を有するものであればどのようなものでのよく、ジカルボン酸としてはフマール酸、マロン酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸等を、トリカルボン酸としてはブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸等を、テトラカルボン酸としてはブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸等をそれぞれ具体的に例示することができる。そして、ポリアミドの製造にはジカルボン酸が、ポリイミドの製造にはテトラカルボン酸が、ポリアミドイミドの製造にはトリカルボン酸が通常使用される。また、多価カルボン酸は、フマール酸やシクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸とテレフタル酸などの芳香族多価カルボン酸に大別することができる。【0047】本発明において用いられる多価アミンとしては、分子内に2以上のアミノ基を有するものであればどのようなものでのよく、ジアミンとしてはジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−キシリジンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、トルイレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6−ジアミノナフタレン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(m−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゾフェノフェン、4,4′−ビス(m−アミノフェノキシ)ベンゾフェノフェン、4,4′−ビス(p−アミノフェニルメルカプト)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(p−アミノフェニルメルカプト)ジフェニルスルホン等を、トリアミンとしては、4,4′,4″−トリアミノトリフェニルメタン、トリアムテレン等を具体的に例示することができる。また、多価アミンは、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族多価アミンとp−フェニレンジアミンなどの芳香族多価アミンに大別することができる。【0048】本発明において用いられるアミノカルボン酸としては、分子内にカルボキシル基とアミノ基とを有するものであればどのようなものでのよく、ω−アミノウンデカン酸、アミノドデカン酸、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、6−アミノナフタレン−2−カルボン酸、4−(p−アミノフェノキシ)安息香酸、3−(p−アミノフェノキシ)安息香酸、4−(m−アミノフェノキシ)安息香酸、3−(m−アミノフェノキシ)安息香酸等を具体的に例示することができる。【0049】本発明のアミド縮合物の製造方法における溶媒としては特に制限されるものではないが、極性溶媒あるいは非極性溶媒、又は極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒を例示することができ、極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒を用いる場合、極性溶媒が30〜50重量%混合されている混合溶媒を用いることが好ましい。上記極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリジノン(N−メチル−2−ピロリドン)、N−ブチル−2−ピロリジノン(N−ブチル−2−ピロリドン)、N−エチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−ピロリドン、クレゾール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、フェノール等を例示することができ、また、非極性溶媒としては、ペンタメチルベンゼン、m−ターフェニル、キシレン、トルエン、メシチレン、ベンゼン、エチルベンゼン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)を例示することができる。【0050】本発明のアミド縮合物の製造方法におけるアミド化反応は、触媒としての上記本発明のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の存在下、モル比1:1のカルボン酸とアミンの混合物をトルエン等の芳香族溶媒中、加熱還流して、共沸脱水することにより行うことができる。パーフルオロアルキルフェニルホウ酸は室温ではトルエンに溶けないものの、トルエン中で加熱、例えば、100〜150℃に加熱することにより溶解させることができ、均一触媒反応として行うことができる。反応後、反応溶液にパーフルオロメチルシクロヘキサンを加えると、溶液は二相に分離し、下相のフッ素溶媒相に触媒が懸濁した状態で溶け込んでくる。このフッ素溶媒相を分離し濃縮することにより、触媒をほぼ100%回収することができる。一方、生成したアミド及び未反応の原料は上相のトルエン相に溶け込んでいるので、通常の後処理によってアミドを精製できる。【0051】また、本発明の縮合反応によりポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドを製造するには、脱酸素雰囲気下あるいはアルゴン雰囲気下で行うことが好ましい。脱酸素雰囲気は不活性ガスの存在下で反応を行うことにより達成することができる。アルゴン雰囲気は、アルゴンを流下しながら縮合反応を行うことが好ましく、反応中アルゴン雰囲気とすることで、脱水と脱酸素雰囲気が同時に達成できる。芳香族多価カルボン酸と芳香族多価アミンとを重縮合する重縮合反応においては、攪拌下160〜240℃、好ましくは200℃で行うことができ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アミンとを重縮合する重縮合反応においては、攪拌下140〜200℃、好ましくは150℃で行うことができる。かかるポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドの製造においても、反応後、反応溶液にパーフルオロメチルシクロヘキサンを加えて二相に分離させ、重縮合反応によって得られる生成物及び未反応の原料が溶け込んでいる相からポリアミド等を精製する方法や、触媒を含有する相から触媒を回収する方法は上述の方法によることができる。本発明によると、ポリアミド、ホリイミド又はポリアミドイミドを高収率で得ることができ、また、触媒をほぼ100%回収することができる。【0052】【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、下記実施例により何ら制限を受けるものではない。実施例1[3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸の製造]▲1▼1,3−ビス(パーフルオロデシル)ベンゼンの合成;反応式(1)1,3−ジヨードベンゼン(5.0g,15.2mmol)、1−ヨードパーフルオロデカン(21.6g,33.4mmol)、銅(粉末,3.2g,50.2mmol)、2,2′−ビピリジル(940mg,6.0mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO,100mL)の混合溶液を130℃(バスの温度)で68時間攪拌した。室温まで冷却後、反応溶液にクロロホルム(250mL)と水(250mL)を加え、セライトを敷いたガラスフィルターにより濾過し、残った固体をクロロホルム(200mL)で洗浄した。濾液から水相を分離し、有機相を、1M塩酸(100mL×2)、水(100mL×2)、塩水(100mL)で順番に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。続いて、濾過、減圧濃縮により粗生成物を得た。クロロホルムから再結晶操作により純粋な1,3−ビス(パーフルオロデシル)ベンゼン(9.6g、収率57%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ7.66−7.71(m,1H)、7.81−7.84(m,3H)【0053】▲2▼3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルプロミドの合成;反応式(2)1,3−ビス(パーフルオロデシル)ベンゼン(4.3g,3.85mmol)のトリフルオロ酢酸(15mL)−濃硫酸(6mL)混合溶液に、N−ブロモ琥珀酸イミド(NBS;130mg×8、5.8mmol)を1時間に1回の割合で8回分に分けて8時間かけて加え、室温で攪拌した。更に、80℃(バスの温度)まで昇温し72時間攪拌した後、氷水(50mL)を加えると、有機相、水相、固相の3相に分離した。ジクロロメタン(30mL)を加えて吸引濾過によって白色固体を集めた。固体を水(20mL)とジクロロメタン(20mL)で洗浄し、空気乾燥した。クロロホルムから再結晶操作により精製し、純粋な3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルブロミド(3.6mmol、収率94%)を得た。1H NMR(CDCl3)δ7.75(s,1H)、7.96(s,2H)【0054】▲3▼3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸ピナコールエステルの合成;反応式(3)アルゴン雰囲気下、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルプロミド(800mg、0.67mmol)、ビス(ピナコトラート)ジボロン(188mg,0.74mmol)、1,1′ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf,22.2mg、0.04mmol)、PdCl2(dppf)(32.6mg、0.04mmol)、酢酸カリウム(196.3mg,2mmol)の混合物にDMSO(10mL)を加え、100℃(バスの温度)で12時間攪拌した。反応溶液に湯を加え、熱いクロロホルムで抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥、吸引濾過した(この間、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸ピナコールエステルが析出しないように必要に応じて加熱する)。3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸ピナコールエステルは、減圧濃縮後、クロロホルムに加熱しながら溶かし、再結晶操作により精製した(490mg、収率59%)。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ1.38(s,12H)、7.87(s,1H)、8.21(s,2H)【0055】▲4▼3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸の合成;反応式(4)3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸のピナコールエステル(430mg,0.35mmol)にジクロロメタン(10mL)を加え、−78℃に冷却し、臭化ボラン(94.6μL,1.05mmol)を滴下した。0℃まで昇温し、2時間攪拌した後、更に室温で0.5時間攪拌した。再度、0℃に冷却し、水を加え1時間攪拌した。生じた固体を吸引濾過により集め、これを水(20mL)及びジクロロメタン(20mL)によって洗い、乾燥した(2.8mmol,収率74%)。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ7.89(s,1H)、8.20(s,2H);IR(KBr)3750−3000(br),1240,1210,1152cm−1【0056】実施例2[アミド化反応と触媒回収]反応式(10)に示すように、4−フェニルブタン酸(164mg、1mmol)、3,5−ジメチルピペリジン(133μL、1.0mmol)、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸(57.9mg、0.05mmol)をトルエン(5mL)に加え、加熱還流(バスの温度を130℃に設定)を1時間行った。その間、反応フラスコ上部に連結したソックスレー管に脱水剤としてモレキュラーシーブス4Å(ペレット、3g)を置いた。反応後、パーフルオロメチルシクロヘキサン(3mL)を加え、しばらく攪拌した後、静置することによって二相に分離させた。下相のフッ素溶媒相には、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸が、上相のトルエン溶媒相には未反応の原料及びアミドが選択的に集まった。懸濁したフッ素溶媒相を濃縮することによって、白色粉末状の3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸が94%の収率で回収できた。一方、トルエン相を、酸、塩基処理し、未反応のカルボン酸、アミンを除き、濃縮することによってほぼ純品のアミドを47%の収率で得ることができた。また、このアミド化反応は反応時間を12時間ほどに延ばすことによってアミドをほぼ100%の収率で得ることができた。【0057】【化12】【0058】【発明の効果】本発明によれば、加熱による直接縮合反応により、アミド縮合反応における触媒活性の優れた触媒を得ることができる。このため、アミド縮合反応を効率よく進行せしめ、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドを高収率に得ることができ、反応生成物の精製が容易であり、特に直接重縮合反応で合成することが困難とされる芳香族ポリアミド(アラミド)、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドを製造することができる。しかも、触媒の回収率が高く、再利用可能であって、環境にやさしい触媒によりアミド縮合物を製造することができる。 一般式[I]で表されることを特徴とするパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。(式中、Rfは3,4,5位の少なくとも1つに置換されるC2以上のパーフルオロアルキル基を示し、nは1〜5の整数を示し、nが2以上の場合、Rfは同一であっても互いに異なってもよい。) 一般式[I]において、nが1〜3の整数を表し、Rfが3,4,5位のいずれかにのみ置換されていることを特徴とする請求項1記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。 C2以上のパーフルオロアルキル基が、C5〜C30のパーフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。 C5〜C30のパーフルオロアルキル基が、C10〜C30のパーフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項3記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。 一般式[I]で表されるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸が、3,5−ビス(パーフルオロアルキル)フェニルホウ酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。 3,5−ビス(パーフルオロアルキル)フェニルホウ酸が、3,5−ビス(パーフルオロデシル)フェニルホウ酸であることを特徴とする請求項5記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。 一般式[I]で表されるパーフルオロアルキルフェニルホウ酸が、4−パーフルオロアルキルフェニルホウ酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。 4−パーフルオロアルキルフェニルホウ酸が、4−パーフルオロデシルフェニルホウ酸であることを特徴とする請求項7記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸。 請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法であって、電子求引性基を有するベンゼンに前記電子求引性基と置換してパーフルオロアルキル基を導入する第1の工程と、該第1の工程後、フェニル基に電子求引性基を導入する第2の工程と、該電子求引性基をホウ酸エステル基と置換してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを生成する第3の工程と、該パーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを加水分解してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を生成する第4の工程を含むことを特徴とするパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法。 請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法であって、アルコキシ基及び電子求引性基とを有するベンゼンに該電子求引性基と置換してパーフルオロアルキル基をフェニル基に導入する第1の工程と、該第1の工程後、アルコキシ基をパーフルオロアルコキシ基にする第2の工程と、該パーフルオロアルコキシ基をホウ酸エステル基と置換してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを生成する第3の工程と、該パーフルオロアルキルフェニルホウ酸エステルを加水分解してパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を生成する第4の工程を含むことを特徴とするパーフルオロアルキルフェニルホウ酸の製造方法。 カルボン酸とアミン、カルボン酸とアミンとアミノカルボン酸、又はアミノカルボン酸を、縮合触媒及び溶媒の存在下に反応させるアミド縮合物の製造方法において、請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を縮合触媒として用いることを特徴とするアミド縮合物の製造方法。 カルボン酸とアミンとがそれぞれ多価カルボン酸と多価アミンであり、縮合物が縮合重合物であることを特徴とする請求項11記載のアミド縮合物の製造方法。 縮合重合物が、ポリアミド、ポリイミド又はポリアミドイミドであることを特徴とする請求項12記載のアミド縮合物の製造方法。 多価カルボン酸と多価アミンが、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミン、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジアミン、又は脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンのいずれかの組合せからなり、縮合重合物がポリアミドであることを特徴とする請求項12又は13記載のアミド縮合物の製造方法。 芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとが、テレフタル酸とp−フェニレンジアミンであることを特徴とする請求項14記載のアミド縮合物の製造方法。 脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとが、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンであることを特徴とする請求項14記載のアミド縮合物の製造方法。 多価カルボン酸と多価アミンが、芳香族テトラカルボン酸と脂肪族ジアミンからなり、縮合重合物がポリイミドであることを特徴とする請求項12又は13記載のアミド縮合物の製造方法。 多価カルボン酸と多価アミンが、芳香族トリカルボン酸と芳香族ジアミンからなり、縮合重合物がポリアミドイミドであることを特徴とする請求項12又は13記載のアミド縮合物の製造方法。 溶媒が極性溶媒、非極性溶媒又は極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒であることを特徴とする請求項11〜18のいずれか記載のアミド縮合物の製造方法。 極性溶媒と非極性溶媒との混合溶媒として、極性溶媒が30〜50重量%混合されている混合溶媒を用いることを特徴とする請求項65記載のアミド縮合物の製造方法。 極性溶媒が、3,5−ジメチルピペリジン、4−フェニルブタン酸から選ばれる1又は2以上の溶媒であることを特徴とする請求項19又は20記載のアミド縮合物の製造方法。 非極性溶媒が、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン、m−ターフェニルから選ばれる1又は2以上の溶媒であることを特徴とする請求項19又は20記載のアミド縮合物の製造方法。 請求項1〜8のいずれか記載のパーフルオロアルキルフェニルホウ酸を有効成分として含有することを特徴とするアミド脱水縮合反応用触媒。


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