生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_水素化分解用触媒
出願番号:2001061545
年次:2006
IPC分類:B01J 23/44,B01J 23/46,B01J 23/52,C07C 1/22,C07C 1/32,C07C 15/06,C07C 209/62,C07C 211/46,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

長谷川 光治 櫻井 敏彦 JP 3798949 特許公報(B2) 20060428 2001061545 20010306 水素化分解用触媒 エヌ・イーケムキャット株式会社 000228198 小野 信夫 100086324 長谷川 光治 櫻井 敏彦 20060719 B01J 23/44 20060101AFI20060629BHJP B01J 23/46 20060101ALI20060629BHJP B01J 23/52 20060101ALI20060629BHJP C07C 1/22 20060101ALI20060629BHJP C07C 1/32 20060101ALI20060629BHJP C07C 15/06 20060101ALI20060629BHJP C07C 209/62 20060101ALI20060629BHJP C07C 211/46 20060101ALI20060629BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060629BHJP JPB01J23/44 MB01J23/46 MB01J23/46 301MB01J23/46 311MB01J23/52 MC07C1/22C07C1/32C07C15/06C07C209/62C07C211/46C07B61/00 300 B01J 21/00-38/74 特開2000−233132(JP,A) 特開平02−304049(JP,A) 4 2002263490 20020917 9 20030509 廣野 知子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、水素化分解用触媒に関する。【0002】【従来の技術】化学製品の中間体等を合成する手段として水素化分解が用いられる。水素化分解としては、水素化脱硫反応、脱ハロゲン反応、エステルの水素化分解、脱ベンジル反応等が挙げられる。これらの反応に用いられる触媒としては、水素化脱硫反応ではラネ−ニッケル、脱ハロゲン反応ではPd/炭素やPt/炭素、エステルの水素化分解ではPtO2やPd/炭素が知られている。また、脱ベンジル反応に用いられる触媒としては、Pd/炭素、Pdブラック、ラネ−ニッケル、Rh/炭素、Ru/炭素、Re/炭素(特開昭62−87542号公報)、Pd/炭素、酸化パラジウム、パラジウム黒又は塩化パラジウム(特開平3−47143号公報)、PtO2、Pd/炭素、Rh/炭素、RuO2等(特開平3−99036号公報)、Pd/炭素(特開平10−330331号公報)が開示されている。【0003】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の水素化分解用触媒には、低温における活性が不充分であるという欠点があった。また、ベンジル基に窒素が結合している化合物の脱ベンジル反応において、従来の触媒では反応が進み難いという問題があった。従って、これらの条件下においても高い水素化分解能を有する触媒が要望されていた。【0004】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、低温においても高い活性を有し、ベンジル基に窒素が結合している化合物の脱ベンジル反応においても水素化分解能の高い触媒を提供することを目的とするものである。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、高い水素化分解能を有する触媒を見出すべく、鋭意研究を行っていたところ、二価のパラジウムを含有する化合物と、特定の貴金属元素とを組み合わせた触媒は前記課題を解決することのできる優れた水素化分解用触媒であることを見出し、本発明を完成した。【0006】すなわち本発明は、次の成分(a)及び(b)(a)パラジウムの酸化状態が二価である、酸化パラジウム、酸化パラジウム一水和物及び水酸化パラジウムから選ばれた化合物の少なくとも一種を含有する成分、(b)Pt、Ru、Rh、Ir及びAuからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有する成分を無機多孔質物質に担持してなる水素化分解用触媒を提供するものである。【0007】【発明の実施の形態】本発明の水素化分解用触媒(以下、「触媒」という)は、担体である無機多孔質物質に上記成分(a)及び成分(b)を常法により担持せしめることにより調製される。【0008】本発明の触媒における成分(a)は、Pdが二価の状態である酸化パラジウム(PdO)、酸化パラジウム−水和物(PdO・H2O)及び水酸化パラジウム(Pd(OH)2)の少なくとも一種を含有するものである。この成分(a)に含有されるPdO、PdO・H2O及びPd(OH)2は、一種単独であってもよいし、また、二種以上混合して用いてもよい。【0009】本発明の触媒においては、成分(a)に含まれるPdは、その大部分が二価であることが必要である。二価より価数の少ないPdや二価より価数の多いPdが多く含まれた化合物を用いた場合では、本発明の触媒は必要な活性が得られない。【0010】上記Pdの価数は、X線光電子分光法(XPS)による測定で確認することができる。XPS法とは、試料表面にX線を照射したときに光電効果により発生する光電子のエネルギーとその数を測定することにより表面近傍に存在する元素の化学結合状態を特定する分析法であり、化学シフトから原子価などの情報が得られる。Pdの原子価の状態の分析に当たっては、結合エネルギーが334〜340eVであるPd3d5/2ピークを用いることができる。すなわち、金属Pdの上記ピーク位置は、335.1〜335.5eV、二価のPdのピーク位置は、336.3eV、四価のPdのピーク位置は、337.9eVであるので("Hand-book of X-ray Photoelectron Spectroscopy",Perkin-Elmer Co,(1992) )、これらのピーク位置から、化合物中でのPdの原子価の状態が判別可能である。【0011】そして、各原子価状態について、それぞれのPd3d5/2ピークの面積を求めることにより、各原子価状態のPdの量を定量することが可能となる。本発明においては、このようにして求められた全PdのPd3d5ピーク面積の総和に対する、二価のPdのピーク面積の比率、すなわち二価のPdの存在比率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましい。【0012】本発明触媒中での二価のPdの担持量は、特に限定されるものではないが、触媒質量に対し、Pd換算で0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましい。担持量が0.01質量%より少ないと活性点が不充分であり、50質量%より多いとPdの単位質量当りの活性が低下し易くなり、高価なPdの利用効率が高められない。【0013】また、本発明の触媒で用いられる成分(b)は、Pt、Ru、Rh、Ir及びAuからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。これらの元素の存在状態は特に限定されず、例えば金属状態、酸化物状態、水酸化物状態、塩の状態や、これらの状態が混在した状態のものが使用できる。これらの中では酸化物や水酸化物の状態が好ましい。また、成分(b)中の各元素は、一種単独で用いてもよいし二種以上混合して用いてもよい。【0014】この成分(b)の担持量は特に限定されるものではないが、成分(a)に対し、金属換算質量比で0.25以下が好ましい。成分(b)の質量比を0.25より増やしてもそれに見合う活性向上が得られ難い。【0015】更に本発明の触媒において、担体として用いられる無機多孔質物質としては、例えば、活性炭、グラファイトカーボン、アセチレンブラック、シリカ・アルミナ、チタニア、ジルコニア等が挙げられる。これらの中で活性炭、グラファイトカーボン、アセチレンブラックが好ましく用いられる。これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。【0016】これら無機多孔質物質のBET比表面積は、好ましくは100m2/g以上である。比表面積が100m2/gより小さいと無機多孔質物質に担持される成分(a)及び成分(b)の分散状態が悪くなり、活性が低下する傾向になる。【0017】本発明の触媒の調製法には、特に制約はなく、含浸、沈殿、吸水等触媒調製における慣用の方法を適用することができる。この触媒調製法の例としては、成分(a)及び成分(b)の各々の原料塩の混合溶液を担体粉末に加え、共沈法による同時担持法で調製される方法が挙げられる。また、別の方法としては、先ず、成分(a)又は成分(b)の一方の成分の原料塩の溶液を担体粉末に含浸させ、乾燥後、他方の成分の原料塩の溶液を担体粉末に含浸させ、乾燥して調製する方法が挙げられる。更に別の方法としては、成分(a)を担持した担体粉末と成分(b)を担持した担体粉末とを混合する方法を挙げることができる。【0018】本発明の触媒調製に使用される、成分(a)及び成分(b)の出発原料には特に制約はなく、成分(a)及び成分(b)の元素の塩化物、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩、アンミン塩、アルカリ塩、有機錯体等が挙げられる。【0019】具体的には、成分(a)の出発原料としては、例えばそれぞれ二価の塩化パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸カリウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム等が挙げられる。また、成分(b)のうち、Ptの出発原料としては、例えば塩化白金酸、塩化白金酸カリウム等が、Ruの出発原料としては、例えば塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム等が、Rhの出発原料としては、例えば塩化ロジウム、硫酸ロジウム等が、Irの出発原料としては、例えば硫酸イリジウム、塩化イリジウム酸等が、Auの出発原料としては、例えば塩化金酸、亜硫酸金ナトリウム、酢酸金等がそれぞれ挙げられる。【0020】以上のようにして調製される本発明の触媒は、各種の水素化分解に用いることができる。特に、室温程度の低温条件下での水素化分解反応や、ベンジル基に窒素が結合している化合物の脱ベンジル反応において、優れた触媒効果を示すものである。【0021】【実施例】次に実施例、比較例及び性能評価試験を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。なお、実施例及び比較例において、「%」は特に断りのない限り「質量%」を示す。【0022】実 施 例 1水酸化カリウム 2.6gを溶解した脱イオン水 500mlに、活性炭粉末(武田薬品工業製)50gを加え、攪拌しスラリーを得た。このスラリーに二価のPd 2.5gを含む塩化パラジウム酸カリウム水溶液及びPt 0.25gを含む塩化白金酸水溶液の混合溶液50mlを滴下した後、60分間攪拌した。次に、このスラリーを濾過、洗浄し、金属換算で5% Pd−0.5% Pt担持カーボン触媒粉末(A−1)52gを得た。【0023】実 施 例 2実施例1において、Pt 0.25gを含む塩化白金酸水溶液をRh 0.25gを含む塩化ロジウム水溶液、Ru 0.25gを含む塩化ルテニウム水溶液、Ir0.25gを含む塩化イリジウム酸水溶液、Au 0.25gを含む塩化金酸水溶液に代えた以外は実施例1と同様にしてそれぞれ5% Pd−0.5% Rh担持カーボン触媒粉末(A−2)、5% Pd−0.5% Ru担持カーボン触媒粉末(A−3)、5% Pd−0.5% Ir担持カーボン触媒粉末(A−4)、5% Pd−0.5% Au担持カーボン触媒粉末(A−5)各々52gを得た。【0024】実 施 例 3実施例1において、Pd 2.5g及びPt 0.25gをPd 2.0g及びPt1.0gに、また、Pd 2.5g及びPt 0.25gをPd 2.48g及びPt0.025gに代えた以外は実施例1と同様にしてそれぞれ4% Pd−1% Pt担持カーボン触媒粉末(A−6)、4.95% Pd−0.05% Pt担持カーボン触媒粉末(A−7)各々52gを得た。触媒粉末(A−7)についてPdの存在状態をX線光電子分光法で測定したところ0価のPdが1%、二価のPdが99%であった。【0025】実 施 例 4実施例3で得られた4.95% Pd−0.05% Pt担持カーボン触媒粉末(A−7)を水性スラリーとし、抱水ヒドラジンをそれぞれ0.05ml及び0.1ml添加して還元し、4.95% Pd−0.05% Pt担持カーボン触媒粉末(A−8)及び4.95% Pd−0.05% Pt担持カーボン触媒粉末(A−9)を得た。Pdの存在状態をX線光電子分光法で測定したところ、触媒粉末(A−8)は0価のPdが10%、二価のPdが90%であり、触媒粉末(A−9)は0価のPdが21%、二価のPdが79%であった。【0026】実 施 例 5実施例1と同様の沈殿法により、10% Pd担持カーボン粉末と1% Pt担持カーボン粉末を別々に調製した。この二種類の粉末を等量混合し、5% Pd−0.5% Pt担持カーボン触媒粉末(A−10)を得た。【0027】実 施 例 6実施例1において、Pd 2.5gを含む塩化パラジウム酸カリウム水溶液及びPt 0.25gを含む塩化白金酸水溶液の混合溶液をPd 2.48gを含む塩化パラジウム酸カリウム水溶液及びIr 0.025gを含む塩化イリジウム酸水溶液の混合溶液に代えた以外は実施例1と同様にして4.95% Pd−0.05% Ir担持カーボン触媒粉末(A−11)を得た。【0028】比 較 例 1水酸化カリウム 2.6gを溶解した脱イオン水 500mlに活性炭粉末(武田薬品工業製)50gを加え、攪拌しスラリーを得た。このスラリーにPd 2.5gを含む塩化パラジウム酸カリウム水溶液 50mlを滴下した後、60分間攪拌した。このスラリーに抱水ヒドラジン 1ml添加し、還元した後濾過、洗浄し、金属換算で5% Pd担持カーボン触媒粉末(B−1)を得た。【0029】性 能 評 価 試 験 1振盪式水添反応装置にベンジルアルコール 40ml、溶媒としてメタノール 60ml及び各実施例、比較例の触媒粉末 0.2gを投入し、室温(25℃)、振盪速度 300rpm、水素圧力 0.1MPaの条件下で反応を行った。反応開始から30分間の水素吸収量を測定し、触媒のベンジルアルコール分解活性を評価した。ガスクロマトグラフィの分析により、ベンジルアルコールとその水素化分解物であるトルエンのみが検出された。この結果を表1に示す。【0030】【表1】【0031】表1より、反応温度が室温において、本発明の触媒は、従来の触媒である比較例の5%Pd担持カーボンに比較して1.7〜4.6倍の分解活性を示した。【0032】性 能 評 価 試 験 2攪拌式加圧型水添反応装置にジベンジルエーテル 20g、溶媒としてテトラヒドロフラン 50ml及び触媒粉末A−2、A−4、A−5、A−7、B−1を 0.2g投入し、50℃、攪拌速度 2000rpm、水素圧力 0.2MPaの条件下で反応を行った。反応開始から30分間の水素吸収量を測定し、触媒のジベンジルエーテル分解活性を評価した。ガスクロマトグラフィの分析により、ジベンジルエーテルとその水素化分解物であるトルエンのみが検出された。この結果を表2に示す。【0033】【表2】【0034】表2より、本発明の触媒は、従来の触媒である比較例の5%Pd担持カーボンに比較して9.2〜10.3倍の分解活性を示した。【0035】性 能 評 価 試 験 3攪拌式加圧型水添反応装置にN−フェニルベンジルアミン 9.2g、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミド 50ml及び触媒粉末A−4、A−5、A−7、B−1を0.2g投入し、50℃、攪拌速度 2000rpm、水素圧力 0.2MPaの条件下で反応を行った。反応開始から30分間の水素吸収量を測定し、触媒のN−フェニルベンジルアミン分解活性を評価した。ガスクロマトグラフィの分析により、N−フェニルベンジルアミンとその水素化分解物であるトルエン及びアニリンが検出された。この結果を表3に示す。【0036】【表3】【0037】表3より、ベンジル基に窒素が結合しているN−フェニルベンジルアミンの水素化分解において、本発明の触媒は、従来の触媒である比較例の5%Pd担持カーボンに比較して3.1〜3.3倍の分解活性を示した。【0038】【発明の効果】本発明の触媒は、従来の水素化分解用触媒に比較して、反応温度が室温という低温においても、また、ベンジル基に窒素に結合している化合物の脱ベンジル反応においても優れた水素化分解活性を有するという特徴を有するものである。【0039】従って、本発明の触媒は、水素化脱硫反応、脱ハロゲン反応、エステルの水素化分解、脱ベンジル反応等の水素化分解反応において有利に使用できるものである。以 上 次の成分(a)及び(b)、 (a)パラジウムの酸化状態が二価である、酸化パラジウム、酸化パラジウム一水和物 及び水酸化パラジウムから選ばれた化合物の少なくとも一種を含有する成分、 (b)Pt、Ru、Rh、Ir及びAuからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素 を含有する成分を無機多孔質物質に担持してなる脱ベンジル反応用触媒。 成分(a)の酸化パラジウム、酸化パラジウム一水和物及び水酸化パラジウムにおいて、全パラジウム中の二価のパラジウムの存在比率が80%以上である請求項1に記載の脱ベンジル反応用触媒。 成分(a)の酸化パラジウム、酸化パラジウム一水和物及び水酸化パラジウムにおいて、全パラジウム中の二価のパラジウムの存在比率が90%以上である請求項1に記載の脱ベンジル反応用触媒。 成分(a)に対する成分(b)の質量比が金属換算で0.25以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱ベンジル反応用触媒。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る