| タイトル: | 特許公報(B2)_ポリアミド類分解菌及びポリアミド類の分解方法 |
| 出願番号: | 2001061144 |
| 年次: | 2004 |
| IPC分類: | 7,C12N1/20 |
山野 尚子 中山 敦好 川崎 典起 山本 襄 藤嶋 静 相羽 誠一 JP 3598347 特許公報(B2) 20040924 2001061144 20010306 ポリアミド類分解菌及びポリアミド類の分解方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 山野 尚子 中山 敦好 川崎 典起 山本 襄 藤嶋 静 相羽 誠一 20041208 7 C12N1/20 C12N1/20 C12R1:38 JP C12N1/20 D C12N1/20 F C12N1/20 C12R1:38 7 C12N 1/20 EUROPAT(QUESTEL) JICSTファイル(JOIS) MEDLINE(STN) BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed Appl Microbiol Biotechnol.,2000年,Vol.54, No.4,p.461-p.466 Appl Environ Microbiol. ,1995年,Vol.61, No.5,p.2020-2022 5 FERM P-18155 2002253218 20020910 9 20010306 左海 匡子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、難分解性のナイロンに代表される含アミド高分子に対して顕著な分解活性を有するポリアミド類の分解菌及びこの菌を用いたポリアミド類の分解方法に関する。【0002】【従来の技術】ナイロンの分解菌としては、ナイロン66を分解する、真菌に属する白色腐朽菌IZU−154株(FERM BP−1859)が静岡大学のグループにより発見されている(Appl. Environ. Microbiol., vol.64, No.4, page 1366−1371, 1998)。また、土壌中でのナイロン4の分解が、工学院大学のグループにより報告されている。【0003】しかし、白色腐朽菌IZU−154株のナイロン66に対する分解活性はきわめて低い。また、白色腐朽菌IZU−154株がナイロン4を分解するとの報告はない。また、工学院大学のグループにより報告されている土壌中でのナイロン4の分解に関しては、ナイロン4を分解する微生物の単離、同定の報告はない。このように、ナイロンを効率的に分解できる微生物はまだ見いだされていない。【0004】【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、難分解性のナイロンを含むポリアミド類を効率よく分解できるポリアミド類の分解菌及びポリアミド類の分解方法を提供することを主目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明者は、活性汚泥を対象として、ポリアミド類を分解できる微生物をスクリーニングした結果、ポリアミド、コポリアミド及びコポリエステルアミド等のポリアミド類に優れた分解活性を有する新菌株であるシュードモナスsp.ND−11株を分離することに成功し、本発明を完成した。【0006】即ち、本発明は、以下の各項の菌及びポリアミド類の分解方法を提供する。項1. ポリアミド類の分解菌。項2. 前記ポリアミド類が、ポリアミド、コポリアミドまたはコポリエステルアミドである項1記載の菌。項3. 前記ポリアミド類が、ナイロン、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項1記載の菌。項4. 前記ポリアミド類が、ナイロン4、ナイロン4の繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項1記載の菌。項5. ポリアミド類に対する分解活性を有するシユードモナス属に属する菌項6. 前記ポリアミド類が、ポリアミド、コポリアミドまたはコポリエステルアミドである項5記載の菌。項7. 前記ポリアミド類が、ナイロン、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項5記載の菌。項8. 前記ポリアミド類が、ナイロン4、ナイロン4の繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項5記載の菌。項9. ポリアミド類に対する分解活性を有するシユードモナスsp.ND−11株。項10. 前記ポリアミド類が、ポリアミド、コポリアミドまたはコポリエステルアミドである項9記載の菌株。項11. 前記ポリアミド類が、ナイロン、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項9記載の菌株。項12. 前記ポリアミド類が、ナイロン4、ナイロン4の繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項9記載の菌株。項13. 項1、5又は9記載の菌の存在下に、ポリアミド類を分解することを特徴とするポリアミド類の分解方法。項14. 前記ポリアミド類が、ポリアミド、コポリアミドまたはコポリエステルアミドである項13記載のポリアミド類の分解方法。項15. 前記ポリアミド類が、ナイロン、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項13記載のポリアミド類の分解方法。項16. 前記ポリアミド類が、ナイロン4、ナイロン4の繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである項13記載のポリアミド類の分解方法。【0007】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。【0008】本発明に係る菌は、ポリアミド類に対する分解活性を有する菌である。特に、ポリアミド類に対する分解活性を有するシュードモナス属に属する菌、中でも、ポリアミド類に対する分解活性を有するシユードモナスsp.ND−11株である。【0009】前記ポリアミド類には、ポリアミド、コポリアミド及びコポリエステルアミド等が含まれる。ポリアミドには、脂肪族ポリアミド及び芳香族ポリアミド等が含まれる。脂肪族ポリアミドとしては、例えばナイロン4、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等のナイロンを例示できる。芳香族ポリアミドとしては、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド等を例示できる。【0010】また、コポリアミドとしては、前記例示したポリアミドの繰り返し単位の任意の組み合わせからなるものを挙げることができる。コポリアミドを構成する繰り返し単位は2種類でもよく、又はそれ以上でもよい。コポリエステルアミドとしては、前記例示したポリアミドの繰り返し単位及びポリエステルの繰り返し単位の任意の組み合わせからなるものを挙げることができる。コポリエステルアミドを構成する繰り返し単位は、1種類のポリアミド単位と1種類のポリエステル単位との2種類でもよく、又はそれ以上でもよい。また、コポリアミド及びコポリエステルアミドのいずれの場合も、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。【0011】本菌株は、特にナイロン、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリアミド及び該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドに対する分解活性が高い。【0012】ナイロンの中では、本菌株は、特にナイロン4の分解に適する。【0013】また、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリアミドの中では、本菌株は、ナイロン4の繰り返し単位(−〔OC−(CH2)3−NH〕−)を含むコポリアミドの分解に適し、ナイロン4の繰り返し単位とナイロン6の繰り返し単位(−〔OC−(CH2)5−NH〕−)との組み合わせからなるコポリアミドの分解に最も適する。【0014】また、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリエステルアミドの中では、本菌株は、ナイロン4の繰り返し単位を含むコポリエステルアミドの分解に適し、ナイロン4の繰り返し単位と式−〔OC−(CH2)5−O〕−で表される繰り返し単位との組み合わせからなるコポリエステルアミドの分解に最も適する。【0015】シユードモナスsp.ND−11株は、次のようにして分離された。【0016】まず、炭素源として粉末状のナイロン4を添加した合成無機培地(表1)を用い、活性汚泥を馴養した。即ち、200mgのナイロン4を含む前記合成無機培地500mlに、標準活性汚泥(化学品検査協会)の上清30m1を加え、1リットル容のジャーファーメンターで、30℃で、撹拌及び通気を行いながら、約28日間培養した。【0017】【表1】【0018】次いで、培養液の一部を採取して、寒天を加えた同組成のナイロン4含有平板培地上に塗布し、30℃で、7日間培養して、コロニーを形成させた。各コロニーのポリアミド分解活性は、該平板培地上でコロニー周辺に形成されるハローにより判定した。【0019】次いで、ハローの大きいコロニーから菌体を採取して0.85重量/容量%のNaCl水溶液(0.85gのNaClを蒸留水を用いて100mlにメスアップしたもの)に懸濁し、該懸濁液を寒天を加えた同組成のナイロン4含有平板培地に塗布し、30℃で、7日間培養した。さらに、形成コロニーの釣菌により純化して、シュードモナスsp.ND−11株を選出、単離した。【0020】このようにして得られたシュードモナスsp.ND−11株(以下、「本菌株」という。)の菌学的性質は以下の通りである。【0021】〔l〕形態学的性質(1)細胞の形:桿菌(2)大きさ:0.6〜0.8μm×l.5〜2.0μm(3)グラム染色:陰性(4)胞子:なし〔2〕生育状態0.1%グルコース含有合成無機平板培地上でのコロニー形状は円形、周辺やや波状、凸状、光沢有り、色調は黄色〔3〕生理学的性質(1)生育可能温度:25〜40℃、生育可能pH:6〜9(2)酸素要求性:好気的(3)カタラーゼ:陽性(4)オキシダーゼ:陽性(5)O−Fテスト:陰性(6)硝酸塩還元能:有り(7)インドール産生能:なし(8)ブドウ糖酸性化能:なし(9)アルギニンジヒドロラーゼ:陰性(10)ウレアーゼ:陰性(11)エスクリン加水分解能:あり(12)ゼラチン加水分解能:あり(13)β−ガラクトシダーゼ:陽性(14)糖等の利用性:グルコース、マルトース、マンノース及びN−アセチル−D−グルコサミンを利用し、アラビノース及びマンニトールを利用しない。【0022】以上の菌学的性質から、「バージェイズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー」に従って分類学上の位置を検索した結果、本菌株はシュードモナス属に属することが分かった。従来、シュードモナス属に属する菌株であって、ポリアミド類を効率よく分解する株は単離されておらず、本菌株は新菌株と考えられる。【0023】本菌株は、産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所に寄託番号FERM P−18155として寄託されている(寄託日平成13年1月5日)。【0024】また、本発明のポリアミド類の分解方法は、ポリアミド類の分解菌、特に、ポリアミド類に対する分解活性を有するシュードモナス属に属する菌、中でも、ポリアミド類に対する分解活性を有するシユードモナスsp.ND−11株の存在下にポリアミド類を分解する方法である。【0025】本発明方法の1実施形態によると、先ず、粉末状のポリアミド類を液体培地に10〜1000mg/ml程度、より好ましくは20〜800mg/ml程度、さらにより好ましくは40〜500mg/ml程度となるように懸濁する。【0026】培地としては、炭素を含まず、かつ細菌の増殖に必要な窒素、リン、硫黄、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄などの元素を含む培地を用いることができる。その他、炭素及び窒素を含まず、かつ細菌の増殖に必要なその他の元素を含む培地を用いることもできる。培地のpHは、6〜9程度、より好ましくは6.5〜8程度、さらに好ましくは6.8〜7.2程度に調整する。特に、表1に記載の組成を有する無機合成培地を用いることが好ましい。【0027】次いで、上記のポリアミド類含有培地に本菌株を接種する。これに代えて本菌株を含む活性汚泥上清を添加することもできる。活性汚泥上清と培地との容量比は1:10〜1:50程度にすることが好ましい。より好ましくは1:12〜1:25程度、さらにより好ましくは1:15〜1:20程度である。【0028】次いで、本菌株を25〜40℃程度、より好ましくは25〜35℃程度、さらに好ましくは25〜30℃程度で、7〜28日間程度培養し、ポリアミド類を分解させる。このとき、培養液を、150〜250rpm程度で撹拌、15〜25ml/min程度で通気することが好ましい。【0029】以上の操作により、培地中のポリアミド類を効率よく分解することができる。【0030】また、本発明方法の他の実施形態によると、繊維状、シート状、塊状などのポリアミド類を前記と同様の組成の液体培地中に浸漬し、該培地中で本菌株を前記と同様の条件で培養する。これによっても、ポリアミド類を分解することができる。【0031】【実施例】以下、実験例及び試験例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0032】実施例1シュードモナスsp.ND−11株を、粉末状のナイロン4を0.5重量/容量%含む表1の組成の寒天入り合成無機平板培地に植菌し、25℃で培養した。図1に示すように、培養開始14日後に、菌体周辺に明瞭なハローが形成され、該部分のナイロン4が分解されたことが分かる。【0033】実施例2シュードモナスsp.ND−11株を、粉末状のナイロン4を0.5重量/容量%含む表1の組成の合成無機培地に植菌し、25℃で培養した。図2に示すように、20日後に培地は略透明になり、培地中のナイロン4が略完全に分解されたことが分かる。【0034】実施例3シュードモナスsp.ND−11株を含む活性汚泥を用いて、ナイロン4の分解試験を行った。すなわち、200mgのナイロン4を含む500m1の表1の組成の合成無機培地に、シュードモナスsp.ND−11株を含む30mlの活性汚泥を加え、1リットル容ジャーファーメンターで培養し、ナイロン4を分解した。培養、分解は、30℃の温度下、200rpmで撹拌し、20ml/minで通気しながら、3〜28日間行った。【0035】3、5、7、14、21、28日後にそれぞれ、ナイロン4の分解により発生するCO2量をアルカリトラップ(0.1NのNaOH水溶液)で捕集することにより定量した。また、培養液から未分解のナイロン4を除去した後に培養液に含まれる全有機体炭素量を全有機体炭素計(島津製作所社製、TOC−5000)で定量した。【0036】これらの定量値からナイロン4の分解率を計算した結果を表2に示す。ナイロン4の分解率は、28日間で61.4%であった。【0037】【表2】【0038】実施例4シュードモナスsp.ND−11株を含む活性汚泥を用いて、コポリアミドの分解試験を行った。すなわち、コポリアミド(ピロリドンとカプロラクタムを62:38のモル比で重縮合させたもの)を用い、前記実施例1と同様の条件でこのコポリアミドの分解試験を行った。【0039】CO2量及び全有機体炭素量の定量値からコポリアミドの分解率を計算した結果を表3に示す。コポリアミドの分解率は、28日間で77.5%であった。【0040】【表3】【0041】また、本菌株を用いて、実施例3及び4と同様にして、コポリエステルアミドを分解することができる。また、本菌株を用いて、実施例3及び4と同様にして、ナイロン4以外のポリアミド及びナイロン4以外のポリアミドの繰り返し単位を含むコポリアミドを分解することができる。【0042】以上の結果、本菌株を用いれば、難分解性のポリアミド類を効率よく分解できることが分かる。【0043】【発明の効果】本発明によれば、難分解性のナイロンを含むポリアミド類を効率よく分解できるポリアミド類分解菌及びポリアミド類の分解方法を提供することができる。【0044】さらにいえば、本発明の菌を用いることにより、難分解性のナイロンを含むポリアミド類を、自然環境に負荷を与えることなく分解処理できる。【図面の簡単な説明】【図1】平板培地上でのシュードモナスsp.ND−11株によるナイロン4の分解を示す写真である。【図2】液体培地中でのシュードモナスsp.ND−11株によるナイロン4の分解を示す写真である。 ポリアミド類に対する分解活性を有するシュードモナスsp.ND−11株。 前記ポリアミド類が、ポリアミド、コポリアミドまたはコポリエステルアミドである請求項1に記載の菌株。 前記ポリアミド類が、ナイロン、ナイロンの繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである請求項1に記載の菌株。 前記ポリアミド類が、ナイロン4、ナイロン4の繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドである請求項1に記載の菌株。 請求項1〜4のいずれかに記載の菌株の存在下に、ナイロン4、ナイロン4の繰り返し単位を含むコポリアミドまたは該繰り返し単位を含むコポリエステルアミドを分解することを特徴とするポリアミド類の分解方法。