タイトル: | 特許公報(B2)_ビールの製造方法 |
出願番号: | 2001059573 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C12C 11/00,C12C 11/02 |
水野 昭博 向井 伸彦 佐藤 和夫 天野 仁 JP 4775805 特許公報(B2) 20110708 2001059573 20010305 ビールの製造方法 独立行政法人酒類総合研究所 301025634 西尾 章 100109597 戸田 親男 100075775 天野エンザイム株式会社 000216162 西尾 章 100109597 水野 昭博 向井 伸彦 佐藤 和夫 天野 仁 20110921 C12C 11/00 20060101AFI20110901BHJP C12C 11/02 20060101ALI20110901BHJP JPC12C11/04C12C11/02 C12C 11/00 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed CiNii WPI G-Search 特開平05−068529(JP,A) 日本農芸化学会会誌 臨時増刊号,2000年 3月 5日,第74巻臨時増刊号,第330頁、3F259α ビール醸造技術,1999年12月28日,p. 331-332 11 2002253197 20020910 9 20080225 特許法第30条第1項適用 平成12年度日本醸造学会大会講演要旨集(平成12年9月6日発行)第693頁に発表 太田 雄三 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ビールの製造方法に関し、詳しくは発酵を促進させ酢酸生成量を低減させる高濃度醸造におけるビールの製造方法及び麦汁エキス濃度に左右されず低カロリービールを製造できるビールの製造方法に関する。また、ビールの高濃度醸造又は低カロリービールの製造において、ビール酵母以外の醸造用酵母を使用するビールの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】高濃度醸造とは、高いエキス濃度の麦汁を用いて発酵させるビールの製造方法で、具体的には通常原麦汁エキス濃度13〜16重量%の麦汁を発酵、熟成させ出荷前に炭酸水などで所定濃度まで希釈するビールの製造方法である。高濃度醸造は発酵、貯酒タンクなどの製造設備の生産効率を高めかつエネルギー経費を節減させるなどという利点を有する製造方法であり、欧米で広く行われている製造方法であるが、反面、大量の麦汁エキスを発酵させるために発酵時間が長くなるという問題点が指摘されている。高濃度醸造での発酵を促進させる方法としては、(1)多量の酸素を供給することによる酵母の活性化や増殖を促進させる方法、(2)新鮮な酵母を使用する方法、(3)遊離アミノ態窒素を供給する方法などがある。また、高濃度醸造では通常の方法で製造したビールと比べて香味が異なるという問題点が指摘されている。特に、高濃度醸造では麦汁中のエキス分が多く、ビール酵母は通常より高浸透圧条件下に晒されるので一般に酵母のアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の発現が誘導され、アセトアルデヒドからビールのオフフレーバーである酢酸の生成が増大することが知られており、その生成量の低減が望まれていた。【0003】一方、低カロリービールはダイエットビールとも呼ばれ、通常のビールよりカロリーの低いビールの総称である。ビールの製造技術によれば低カロリービールは炭水化物が0.75g/100g以下のビールで発酵度は90〜92%であると定義されている。一方、ライトビールは従来のビールより軽快な香味を有するビールの総称であり、品質、製造方法ともに規格化されたものではないが、一般に従来のビールよりカロリーが低いことから低カロリービールの一つとして捉えられている。低カロリービールの製造方法としては、(4)原麦汁エキス濃度が10重量%に満たない希釈された麦汁を用いて発酵させる方法、あるいは原麦汁エキス濃度12〜13重量%の麦汁から製造する通常のビールを希釈する方法、(5)デキストリン分解酵素(グルコアミラーゼ、枝切り酵素、カビ由来のα−アミラーゼ、麦芽酵素など)を使用して高度に発酵させる方法、(6)遺伝子組み換え酵母を含むデキストリン資化性酵母を用いる方法、(7)麦汁にグルコースを補給して高度に発酵させる方法、(8)高濃度醸造で製造したビールを希釈する方法、(9)原麦汁エキス濃度の異なる2種類以上の麦汁を発酵後、所定濃度になるように混合し、後発酵、熟成させる分割発酵法による方法などが挙げられる。【0004】また、ビールの製造における麦芽などの原料の糖化にはβ−アミラーゼなどの麦芽由来の酵素が利用されており、マルトースが麦汁中に存在する主要な炭素源となるため、マルトース資化の弱いビール酵母以外の清酒酵母やワイン酵母などをビールの製造に利用することができなかった。【0005】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高濃度醸造における上記(1)〜(3)の発酵時間を促進する製造方法は製造工程が煩雑であるという問題点があり、また高濃度醸造において酢酸生成量を低減させる技術についてはこれまでに報告がない。更に、上記(4)〜(9)の低カロリービールの製造方法もやはり製造工程が煩雑であり、また製造されたビールは品質面でもこく味、ボディ感に欠け、更に夾雑酵素の影響や酵素の効果が十分でないことによる香味に劣るという問題点、高濃度醸造で使用される高い濃度の麦汁エキスからは低カロリービールを製造することは困難であるという問題点があったため、健康志向の広まり、軽くスッキリした香味への消費者嗜好の変化などから市場の拡大が期待される高品質の低カロリービールを従来にない簡単な製造工程で製造できる新規な製造方法の開発が期待されていた。また、地ビール産業の拡大などにより地ビール業界からはより効率的に製造できる新しい品質のビールの製造方法に対する要望が強くなってきている。【0006】そこで、本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、高濃度醸造でありながら発酵を促進させ酢酸生成量を低減させるビールの製造方法及びビール酵母では得られない新規な品質を有するビールの製造方法を提供することを課題とする。また、麦汁エキス濃度に左右されず真性発酵度を高めることにより簡単な製造工程で製造できる高品質な低カロリービールの製造方法及びビール酵母では得られない新規な品質を有する低カロリービールの製造方法を提供することを課題とする。【0007】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることにより高濃度醸造でも発酵を促進させ酢酸生成量を低減させることができること及びビール酵母以外の醸造用酵母を使用することにより新規な品質のビールを製造できることを見出し本発明を完成した。【0008】すなわち、本発明はビールの高濃度醸造において、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることを特徴とするビールの製造方法に関する(請求項1)。ビールの高濃度醸造において、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させて酢酸生成量を低減させることを特徴とするビールの製造方法に関する(請求項2)。請求項1又は請求項2に記載の発明において、ビール酵母又はビール酵母以外の醸造用酵母を使用することを特徴とするビールの製造方法に関する(請求項3)。請求項3に記載の発明において、ビール酵母以外の醸造用酵母は、清酒酵母、ワイン酵母、焼酎酵母の中から選ばれた1種以上であることを特徴とするビールの製造方法に関する(請求項4)。請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、原麦汁エキス濃度が13重量%〜30重量%であることを特徴とするビールの製造方法に関する(請求項5)。請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、α−グルコシダーゼの使用量が麦芽量に対して50〜400ppmであることを特徴とする記載のビールの製造方法に関する(請求項6)。【0009】また、本発明者らは発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることによりデキストリンやオリゴ糖を加水分解して10重量%を越える原麦汁エキス濃度であっても糖分をほとんど残さず製造できること及びビール酵母以外の醸造用酵母を使用することにより新規な品質の低カロリービールを製造できることを見出し本発明を完成した。【0010】すなわち、本発明はビールの醸造において、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させて真性発酵度を高めることを特徴とする低カロリービールの製造方法に関する(請求項7)。請求項7に記載の発明において、ビール酵母又はビール酵母以外の醸造用酵母を使用することを特徴とする低カロリービールの製造方法に関する(請求項8)。請求項8に記載の発明において、ビール酵母以外の醸造用酵母は、清酒酵母、ワイン酵母、焼酎酵母の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする低カロリービールの製造方法に関する(請求項9)。請求項7〜請求項9のいずれかに記載の発明において、原麦汁エキス濃度が10重量%を越えて30重量%以下であることを特徴とする低カロリービールの製造方法に関する(請求項10)。請求項7〜請求項10のいずれかに記載の発明において、α−グルコシダーゼの使用量が麦芽量に対して50〜400ppmであることを特徴とする低カロリービールの製造方法に関する(請求項11)。【0011】【発明の実施の形態】本発明において、ビールの高濃度醸造を行う場合の原麦汁エキス濃度は13重量%〜30重量%であることが好ましく、更に好ましくは18重量%〜25重量%である。一般的にビールの高濃度醸造とは原麦汁エキス濃度が13重量%〜16重量%の範囲を指し、13重量%以上で高濃度醸造による既述の利点が得られやすくなるからであり、また30重量%を越えると麦汁の粘度が高くなりろ過が難しくなるからである。なお、高濃度の麦汁の調製法としては、(1)仕込み工程における原料の麦芽と仕込み水の割合(仕込み配合)を変化させる、(2)煮沸後エキス分の調製のために加える温水量を変化させる、(3)モルトエキストラを使用する等が挙げられる。麦芽など原料の糖化温度のコントロールは、インフュージョン法により行ってもデコクション法で行ってもよい。【0012】本発明は、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることにより高濃度醸造でありながら発酵を促進させ酢酸生成量を低減させてビールを製造できる。作用させるα−グルコシダーゼの起源は特に限定されるものではなく、いずれの市販品をも好適に用いることができ、例えばα−グルコシダーゼ「アマノ」(天野エンザイム社製)やトランスグルコシダーゼL「アマノ」(天野エンザイム社製)等を挙げることができる。また、α−グルコシダーゼは発酵タンク内に添加して作用させることもあるいは固定法によって作用させることもできる。α−グルコシダーゼの使用量は、特に限定されないが麦汁量に対して50〜400ppmが好ましく、更に100〜200ppmが好ましい。50ppmより少ないと酢酸生成量が次第に増加傾向にあるからであり、また400ppmより多いとオリゴ糖がグルコースに速やかに分解されやすく浸透圧の抑制が不十分となり、ひいては酢酸生成量の抑制が不十分となるからである。【0013】また、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることにより発酵性糖としてグルコースが生成するため、発酵に使用する酵母はビール酵母に限定されず、清酒酵母、ワイン酵母あるいは焼酎酵母など醸造用に使用できるあらゆる酵母を任意に選択して使用でき、ビール酵母では得られない香味などを呈する新規な品質のビールの製造が可能となる。酵母はビール酵母を単独で使用してもあるいは他の醸造用酵母と併用してもよい。また、ビール酵母以外の醸造用酵母同士を併用してもよい。ビール酵母を含むいずれの酵母も入手可能なすべての酵母を好適に使用でき、例えば清酒酵母ならば財団法人日本醸造協会のK−9号、K−14号、K−86号等を挙げることができる。【0014】低カロリービールも発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることにより製造できる。原麦汁エキス濃度は特に限定されないが、13重量%〜30重量%の範囲内としても糖分をほとんど残さず製造できるので高濃度醸造の利点である製造設備の効率化、エネルギー経費の節減を図りながら高品質の低カロリービールの製造が可能となる。また、作用させるα−グルコシダーゼ及び使用する醸造用酵母は上記ビールの高濃度醸造の場合と同様である。α−グルコシダーゼの使用量は特に限定されないが、麦汁量に対して50〜400ppmが好ましく、100〜200ppmが更に好ましい。α−グルコシダーゼの使用量が50ppmより少なくなると真性発酵度が減少しやすくなり、また400ppmより多いと酢酸の生成量が増加しやすくなるからである。なお、真性発酵度とは、アルコールの影響を除いた時の発酵前の原麦汁エキス(オリジナルエキス)に対する消費されたエキス分の比率をいう。【0015】【実施例】次いで、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は既述の実施の形態及び以下の実施例に限定されるものではない。【0016】(実施例1)粉砕麦芽28kgを温水84Lに加え、インフュージョン法により原麦汁エキス濃度20重量%の麦汁を調製した。インフュージョン法における温度経過は図1に示す通りである。【0017】得られた麦汁1Lに対しビール酵母(NCYC1245、National Collection of Yeast Cultures、以降の実施例においても同様)を2.5gの割合で添加し、かつα−グルコシダーゼ(α−グルコシダーゼ「アマノ」天野エンザイム社製、以降の実施例においても同様)を麦汁に対し50、100、200、400ppmの割合で添加し、15℃で21日間発酵させた。なお、α−グルコシダーゼを添加することなく前記と同様に発酵させて対照とした。【0018】浸透圧の低減に寄与すると考えられるオリゴ糖のうちグルコースの重合度が3であり、かつ酵母の資化できない分岐オリゴ糖であるパノース、イソマルトトリオースの発酵中の挙動を図2に示した。図2から、α−グルコシダーゼの添加によりパノースやイソマルトトリオースが生成し、発酵の進行と共にこれらのオリゴ糖が分解されていることが明らかになった。このようにα−グルコシダーゼの作用により一旦分岐オリゴ糖を生成させることで、発酵初期の麦汁の糖濃度を抑制し急激なグルコースの増加による浸透圧の上昇を防ぐことができるので、酵母のアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ遺伝子の発現の誘導が抑制され、アセトアルデヒドから酢酸が生成されるのを低減させることができるものと推測される。図3には、ビール中の酢酸生成量とα−グルコシダーゼ添加量との関係を示したが、α−グルコシダーゼの添加で酢酸生成量が著しく低減した。なお、50ppmと400ppmの各添加量で酢酸生成量が増加傾向にあった。【0019】(実施例2)実施例1に記載の方法と同様に原麦汁エキス濃度20重量%の麦汁を調製し、100Lパイロットプラントにてビールを製造した。酵母はビール酵母、清酒酵母(K−14、(財)日本醸造協会、以後の実施例においても同様)を各々使用し、ビール酵母を使用する場合は酵素を無添加とし、清酒酵母を使用する場合はα−グルコシダーゼ400ppmを添加した例とグルコアミラーゼ(グルコアミラーゼ「アマノ」SD、天野エンザイム社製)200ppmを添加した例につき試験を行った。なお、清酒酵母を使用する場合には、前記いずれの酵素も添加することなく発酵させて対照とした。【0020】製造したビールの成分分析値を表1に示した。α−グルコシダーゼを添加した場合は、グルコアミラーゼを添加した場合に比べ酢酸生成量が抑制された。グルコアミラーゼの添加により酢酸生成量が増加するのは、急激なグルコースの生成による浸透圧の上昇が原因と推測される。また、表1からビールの製造に清酒酵母を使用することにより例えば香味成分であるリンゴ酸、コハク酸、カプロン酸エチル等の生成量がビール酵母の使用の場合より増加し、ビール酵母によりビールを製造するのとは異なる新規な品質のビールが製造できた。また、図4で清酒酵母を使用したビール中の酢酸生成量とα−グルコシダーゼ添加量との関係を示したが、清酒酵母を使用してもα−グルコシダーゼの添加で酢酸生成量が著しく低減した。【0021】【表1】【0022】(実施例3)粉砕麦芽28kgを温水84Lに加え、インフュージョン法により原麦汁エキス濃度20重量%の麦汁を調製した。インフュージョン法における温度経過は図1に従った。【0023】得られた麦汁1Lに対しビール酵母を2.5gの割合で添加し、かつα−グルコシダーゼを麦汁に対し50、100、200、400ppmの割合で添加し、15℃で21日間発酵させた。なお、α−グルコシダーゼを添加することなく前記と同様に発酵させて対照とした。【0024】発酵後の真性発酵度とα−グルコシダーゼの関係を図5に示した。α−グルコシダーゼの添加により真性発酵度は顕著に増加し、ビール酵母を使用して残糖量の少ない低カロリービールの製造が可能となった。【0025】また、発酵中の糖の消長を重合度別にまとめたグラフを図6に示した。α−グルコシダーゼ無添加では、マルトテトラオース(表中G4)、マルトペンタオース(表中G5)、マルトヘキサオース(表中G6)、マルトヘプタオース以上(表中G7≦)が残存するのに対し、α−グルコシダーゼ添加では(400ppm)では発酵の進行に伴いこれらのオリゴ糖が減少していた。【0026】(実施例4)実施例3に従い調製した麦汁1Lに清酒酵母を2.5gの割合で添加し、かつα−グルコシダーゼを麦汁に対し50、100、200、400ppmの割合で添加し、15℃で21日間発酵させた。なお、α−グルコシダーゼを添加することなく前記と同様に発酵させて対照とした。【0027】発酵後の真性発酵度とα−グルコシダーゼの関係を図7に示した。α−グルコシダーゼの添加により真性発酵度が著しく増加し、清酒酵母を使用して残糖量の少ない低カロリービールの製造が可能となった。【0028】(実施例5)実施例3に従い調製した麦汁1Lにワイン酵母(W−1)を2.5gの割合で添加し、かつα−グルコシダーゼを麦汁に対し50、100、200、400ppmの割合で添加し、15℃で21日間発酵させた。なお、α−グルコシダーゼを添加することなく前記と同様に発酵させて対照とした。【0029】発酵後の真性発酵度とα−グルコシダーゼの関係を図8に示した。α−グルコシダーゼの添加により真性発酵度が著しく増加し、ワイン酵母を使用して残糖量の少ない低カロリービールの製造が可能となった。【0030】【発明の効果】本発明は上記のように構成されるので、以下の効果を奏する。本発明のビールの製造方法によれば、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることにより高濃度醸造でありながら発酵を促進し酢酸生成量を低減させられるので、ビールの高濃度醸造の利点である製造設備の生産効率を高めエネルギー経費を節減できるばかりか、香味に優れたビールの量産が可能となる。また、ビールの高濃度醸造において、ビール酵母以外の醸造用酵母を使用してビールを生産できるので、これまでにない香味などを有する新規な品質のビールの製造が可能となり、特に各地ビール産業ごとに特徴的なビールの提供が可能となる。さらに、本発明は発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることにより糖分をほとんど残さず製造できるので、麦汁エキス濃度に左右されず簡単な製造工程で効率的に低カロリービールの製造が可能となる。また、低カロリービールの製造においても、ビール酵母以外の醸造用酵母を使用できるので、これまでにない香味などを有する新規な品質の低カロリービールの製造が可能となり、特に各地ビール産業ごとに特徴的な低カロリービールの提供が可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】高濃度醸造における麦芽糖化の温度パターンを示すグラフである。【図2】α−グルコシダーゼ添加による発酵中の分岐オリゴ糖の経時変化を示すグラフである。【図3】ビール酵母による醸造における酢酸生成量とα−グルコシダーゼ添加量の関係を示すグラフである。【図4】清酒酵母による醸造における酢酸生成量とα−グルコシダーゼ添加量の関係を示すグラフである。【図5】ビール酵母による醸造における真性発酵度とα−グルコシダーゼ添加量の関係を示すグラフである。【図6】(a)α−グルコシダーゼ無添加によるオリゴ糖の経時組成変化を示すグラフである。(b)α−グルコシダーゼ添加によるオリゴ糖の経時組成変化を示すグラフである。【図7】清酒酵母による醸造における真性発酵度とα−グルコシダーゼ添加量の関係を示すグラフである。【図8】ワイン酵母による醸造における真性発酵度とα−グルコシダーゼ添加量の関係を示すグラフである。 ビールの高濃度醸造において、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させることを特徴とするビールの製造方法。 ビールの高濃度醸造において、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させて酢酸生成量を低減させることを特徴とするビールの製造方法。 ビール酵母又はビール酵母以外の醸造用酵母を使用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のビールの製造方法。 ビール酵母以外の醸造用酵母は、清酒酵母、ワイン酵母、焼酎酵母の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項3に記載のビールの製造方法。 原麦汁エキス濃度が13重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のビールの製造方法。 α−グルコシダーゼの使用量が麦芽量に対して50〜400ppmであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のビールの製造方法。 ビールの醸造において、発酵工程でα−グルコシダーゼを作用させて真性発酵度を高めることを特徴とする低カロリービールの製造方法。 ビール酵母又はビール酵母以外の醸造用酵母を使用することを特徴とする請求項7に記載の低カロリービールの製造方法。 ビール酵母以外の醸造用酵母は、清酒酵母、ワイン酵母、焼酎酵母の中から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項8に記載の低カロリービールの製造方法。 原麦汁エキス濃度が10重量%を越えて30重量%以下であることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載の低カロリービールの製造方法。 α−グルコシダーゼの使用量が麦芽量に対して50〜400ppmであることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれかに記載の低カロリービールの製造方法。