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タイトル:特許公報(B2)_表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いた17β−エストラジオール又はビスフェノールAの測定方法
出願番号:2001023010
年次:2009
IPC分類:G01N 33/543,C12Q 1/02,G01N 21/27,G01N 33/566,C12M 1/34


特許情報キャッシュ

服部 憲次郎 今多 秀夫 JP 4248154 特許公報(B2) 20090123 2001023010 20010131 表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いた17β−エストラジオール又はビスフェノールAの測定方法 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 サガミ計測株式会社 598015604 金井 廣泰 100096873 浜野 孝雄 100064388 森田 哲二 100067965 服部 憲次郎 今多 秀夫 20090402 G01N 33/543 20060101AFI20090312BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20090312BHJP G01N 21/27 20060101ALI20090312BHJP G01N 33/566 20060101ALI20090312BHJP C12M 1/34 20060101ALN20090312BHJP JPG01N33/543 595C12Q1/02G01N21/27 CG01N33/566C12M1/34 Z G01N33/543 C12Q1/02 G01N21/27 G01N33/566 C12M1/34 JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平11−023575(JP,A) 特開平04−059903(JP,A) 特開2000−283984(JP,A) Chem Eur J,2000年,Vol.6, No.7,Page.1176-1183 生体機能関連化学シンポジウム,2000年,Vol.15th,Page.182-183 生体機能関連化学シンポジウム,1999年,Vol.14th,Page.386-387 Int j Environ Anal Chem,1998年,Vol.69, No.1,Page.99-110 Talanta,1991年,Vol.38, No.5,Page.529-534 ペトロテック,2000年,Vol.23, No.5,Page.406-411 日本内分泌撹乱化学物質学会研究発表会要旨集,2001年,Vol.4th,Page.142 2 2002228661 20020814 7 20051228 三木 隆 【0001】【発明の属する技術分野】 本発明は、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いた17β−エストラジオール又はビスフェノールAの測定方法に関する。【0002】【従来の技術】 現在、臨床検査等において試料中の測定対象物質を検出し測定する方法として抗原−抗体反応などの免疫反応を利用した方法、例えばELISA法などが使用されている。しかしながら、ELISA法などの従来の方法は、煩雑な操作や標識物質を必要とする。従って、煩雑な操作や標識物質を必要とすることなく試料中の測定対象物質を検出し測定することができる方法として、金属/液体の界面で表面プラズモンが励起した場合に起こるいわゆる表面プラズモン共鳴を利用した方法が開発され、この方法に使用する表面プラズモン共鳴測定装置(以下、「表面プラズモン共鳴バイオセンサー」という)用の測定チップとして透明基板と、該透明基板上に配置された金属膜と、該金属膜上に配置された有機ケイ素膜と、該有機ケイ素膜上に配置された生理活性物質とを備えた測定チップが提案され、ヒト血清アルブミンや除草剤アトラジンの検出及び測定に使用されている(特開平10−267930号公報)。 また、プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップとして、透明基板と、該透明基板上に形成された金属膜と、該金属膜上に形成された蒸着重合膜と、該蒸着重合膜の表面に固定化された生理活性物質とからなる層が光学部分に設けられている測定チップが提案され、プローブDNAと相補的な塩基配列の検出に使用されている(特開平11−281569号公報)。【0003】 また、従来、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの微生物や、インフルエンザウイルスなどのウイルスの検出は、これらを適当な培地上で長時間培養して増殖させることによって行われている。さらにまた、近年、外界に広く存在して生物の生活活動と共に体内に取り込まれてその生殖、発生、行動などを含む生理的な内分泌の諸現象に影響を及ぼす外因性内分泌撹乱化学物質(以下、「環境ホルモン」という)、例えば17β−エストラジオール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、DDT、ダイオキシン類、ビンフロゾリン、DDE、TCDD、PCBなどが 問題となっており、これらの物質の検出及び測定は高精度のガスクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)を使用して行われている。従って、微生物やウイルスや環境ホルモンを、煩雑な操作や標識物質を必要とせずに、短時間で簡便に検出し測定できる技術の開発が望まれている。【0004】【発明が解決しようとする課題】 本発明は、環境ホルモンの一種である17β−エストラジオール又はビスフェノールAを、煩雑な操作や標識物質を必要とすることなく検出し測定できる表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いた17β−エストラジオール又はビスフェノールAの測定方法を提供することを目的とする。【0005】【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の目的に鑑み、微生物やウイルスの細胞表面にあるマンノース糖鎖に着目して鋭意研究を重ねた結果、光学的に透明な基板上の金属薄膜の表面に形成したアミノシラン膜の表面にシクロデキストリンを固定化することによって調製した表面プラズモン共鳴測定用チップを使用すると意外にも環境ホルモンである17β−エストラジオール又はビスフェノールAを検出できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。【0006】 すなわち、本発明の第一の要旨は、光学的に透明な基板と、該基板上に形成された金属薄膜と、該金属薄膜上に形成されたアミノシラン膜と、該アミノシラン膜上に固定化された生理活性物質としてシクロデキストリンを使用した表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いて、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定することを特徴とする。【0007】 また、本発明の第二の要旨は、光学的に透明な基板と、該基板上に形成された金属薄膜と、該金属薄膜上に形成されたアミノシラン膜と、該アミノシラン膜上に固定化された生理活性物質としてシクロデキストリンを使用した表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いて、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定する方法であって、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定する際に、測定対象溶液にβ−シクロデキストリンを加えて測定対象溶液を調製した後、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定することを特徴とする。【0008】【発明の実施の形態】 本発明の表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップ(以下、単に「測定チップ」という)は、光学的に透明な基板と、該基板上に形成された金属薄膜と、該金属薄膜上に形成されたアミノシラン膜と、該アミノシラン膜上に固定化されたシクロデキストリン(α−、β−又はγ−シクロデキストリン等)とを有し、環境ホルモンの検出に用いる。【0009】 本発明の測定チップを構成する光学的に透明な基板は、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップに使用されているものであればどのようなものでよいが、一般的にはガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものであり、その厚みは0.1〜20mm程度である。【0010】 また、本発明の測定チップを構成する金属薄膜は表面プラズモン共鳴を生じるものであれば特に限定されないが、この金属薄膜に使用することができる金属としては、例えば金、銀、銅、アルミニウム、白金等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし又は組み合わせて使用してもよい。また、前記の透明基板に対する付着性を考慮して、該透明基板と前記の金属薄膜との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。金属薄膜の厚みは100〜2000Åであるのが好ましく、200〜600Åであるのがさらに好ましい。金属薄膜の厚みが3000Åを超えると媒質の表面プラズモン現象を十分に検出することができないので好ましくない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合には、その介在層の厚さは30〜50Åであることが好ましい。【0011】 前記の金属薄膜は、前記の光学的に透明な基板上に常法に従って形成することができ、例えばスパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気メッキ法、無電解メッキ法等によって形成することができる。【0012】 また、本発明の測定チップを構成するアミノシラン膜は、Si−O及びSi−C結合並びにNH2基を分子内に含む高分子からなる膜であり、例えばシランカップリング剤を用いて形成することができる。 シランカップリング剤は、分子中に有機材料と親和性のある有機官能基、例えばアミノ基と、無機材料と親和性のある加水分解性基、例えばメトキシ基又はエトキシ基とを有する有機ケイ素化合物であり、その加水分解性基は前記の金属薄膜中の金属原子と結合し、またその有機官能基はシクロデキストリンと結合する。これにより前記の金属薄膜、アミノシラン膜並びにシクロデキストリンの三者が強固に固定化される。 本発明に使用できるシランカップリング剤としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシ−3−メルカプトプロピルメチルシランなどが挙げられ、これらは単独で使用してもよいし又は組み合わせて使用してもよい。【0013】 前記のアミノシラン膜は、前記のようにして光学的に透明な基板上に形成された金属薄膜を、例えばシランカップリング剤の飽和蒸気中に一定時間暴露する方法(飽和蒸気法)、シランカップリング剤を含む溶液中に一定時間浸漬する方法(浸漬法)、スピンコータを用いる方法(スピンコーティング法)、グラビア印刷機を用いる方法(グラビア法)などにより成膜して形成することができる。【0014】 このようにして光学的に透明な基板上に形成された金属薄膜上に形成されたアミノシラン膜を有する表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップ又はキュベットは、Biacore社やAffinity Sensors社から市販されているので、これらを使用してもよい。【0015】 前記のようにして形成されたアミノシラン膜表面に対するシクロデキストリンの固定化は、常法に従って行うことができ、例えば該アミノシラン膜に所定量のシクロデキストリンを所定時間接触させることによって行うことができる。この固定化は、例えば前記のようにして金属薄膜及びアミノシラン膜を形成してある透明基板を、フローセル型又はバッチ型の表面プラズモン共鳴バイオセンサーのカートリッジブロック上に設置して、これにシクロデキストリンを所定時間接触させることによって行うこともできる。【0016】 前記のようにしてアミノシラン膜上に固定化されたシクロデキストリンの層の厚みは、使用する物質の大きさにもよるが100〜3000Åであるのが好ましく、特に100〜1000Åであるのが好ましい。【0017】 このようにして作製される本発明の測定チップは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーにおいて、環境ホルモンをリアルタイムで高感度で検出し測定するのに使用できる。例えば、生理活性物質としてシクロデキストリンを固定化した測定チップを使用した場合には17β-エストラジオール、ビスフェノールAをリアルタイムで検出することができる。また、17β−エストラジオール、ビスフェノールAは疎水性であるので、これらを検出し測定する場合には、測定対象溶液にβ-シクロデキストリンを加えて測定することによりさらに高感度で検出し測定することができる。【0018】【実施例】 本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明する。【0019】実施例:1)シクロデキストリンを固定化した測定チップの作製 1.1 金属薄膜の調製光学的に透明な基板として幅18mm、長さ18mm及び厚さ0.15mmのガラス板を使用した。この透明基板上にスパッタリングによりクロムからなる薄膜を形成し、次いでその表面に金からなる薄膜を形成した。スパッタリングの条件はクロムについては100Wで30秒間、金については100Wで150秒間で行った。得られたクロムの薄膜の厚さは30Åであり、金の薄膜の厚さは470Åであった。【0020】 1.2 アミノシラン膜の調製 上記のようして調製した金属薄膜を有するガラス板を、シランカップリング剤の飽和蒸気中に暴露させて、金属薄膜上にアミノシラン膜を形成させた。すなわち、容量10mlのサンプルびんに500μlのγ−アミノプロピルエトキシシラン〔(H2N−(CH2)3Si(OEt)3 、東芝シリコーン株式会社製のTSL 8331)を入れ、室温で24時間放置し、サンプルびん内部をγ−アミノプロピルエトキシシランの飽和蒸気で満たした。 次に、上記の1.1に記載のようにして調製した金属薄膜を有するガラス板をその金属薄膜部分が露出するようにPET製のマスク(支持具)の中央部に固定し、このマスクをサンプルびんの開口部に載せて15分又は90分間放置してガラス板の金属薄膜上にアミノシラン膜を形成させた。【0021】 1.3 アミノシラン膜へのシクロデキストリンの固定化 透明基板の金属薄膜上にアミノシラン膜を有する表面プラズモン共鳴センサー用測定キュベットであって、表面プラズモン共鳴センサー用にAffinity Sensors社から市販されている200μl容量アミノシランキュベットを使用して行った。前記の200μl容量のアミノシランキュベットを、Affinity Sensors社製の表面プラズモン共鳴センサー IAsysのカートリッジブロック上に設置した。 次いで、このアミノシランキュベットに蒸留水を注入して洗浄し、Iasys に接続したパソコンディスプレー上に表示されるセンサーグラムのベースラインの安定化を待った。ベースラインが安定化した後に、シクロデキストリン溶液を、前記キュベットに注入してアミノシラン膜と十分に接触させ、次いでキュベットに蒸留水を注入して洗浄した。 上記のシクロデキストリン溶液の注入及び蒸留水の洗浄を再度繰り返した。 次いで、前記キュベットに1M無水酢酸/酢酸混合溶液100μlを注入して、キュベット表面上の未反応のアミノシラン膜のアミノ基をブロッキングし、その後に蒸留水を通して洗浄した。 このようにして、前記のアミノシランキュベットのアミノシラン膜にシクロデキストリンを固定化した表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを作製した。【0022】2)17β−エストラジオール及びビスフェノールAの検出 この測定チップを使用して17β−エストラジオール及びビスフェノールAについて会合定数、会合速度定数及び解離速度定数を求めた。 すなわち、上記測定チップを使用し、17β−エストラジオール4.81×10−5モルとβ−シクロデキストリン4.02×10−4モル、又はビスフェノールA 4.81×10−5モルを使用して、17β−エストラジオール及びビスフェノールAについて会合定数、会合速度定数及び解離速度定数を求めた。 まず、測定チップをAffinitySensors社製の表面プラズモン共鳴センサー IAsysのカートリッジブロック上の測定セルに設置した。測定セル内に酢酸緩衝溶液(pH5.3)を入れて洗浄し、IAsysに接続したパソコンディスプレー上に表示されるセンサーグラムのベースラインを安定化させた。 測定セル内の酢酸緩衝溶液を廃液した後に、測定セルに17β−エストラジオール4.81×10−5モルとβ−シクロデキストリン4.02×10−4モル、又はビスフェノールA 4.81×10−5モルを酢酸緩衝溶液で希釈した溶液を注入して、センサーグラムを測定した。 希釈濃度は、原液に対して0.01、0.025、0.04、0.05、0.07、0.08及び0.1の7段階とした。 表面プラズモン共鳴センサー IAsysに接続したパソコンディスプレー上に、17β−エストラジオール、又はビスフェノールAへの会合量の変化がリアルタイムでセンサーグラム(曲線)によって表される。これを会合曲線とする。 この会合曲線が平衡状態になったら、測定セル内の試料溶液を排出して、酢酸緩衝溶液を注入した。パソコンディスプレー上のセンサーグラムの曲線が下降した。これは17β−エストラジオールとβ−シクロデキストリン4.02×10−4モル又はビスフェノールAがシクロデキストリンから解離して行く様子を表している。これを解離曲線とする。 解離曲線が平衡状態になった際に、測定セル内の酢酸緩衝溶液を廃液し、20mM塩酸水溶液を注入した。これにより、シクロデキストリンと17β−エストラジオール又はビスフェノールAとの化学的結合を解き、試料注入前の測定チップの状態に再生することができる。 その結果、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを含有する原液の濃度を1としたとき、17β−エストラジオールについては、会合定数は 3.83×104±0.026 M−1、会合速度定数は 21407.50±2164.23 M−1s−1、解離速度定数は0.56±0.060s−1であった。また、ビスフェノールAについては、会合定数は 2.59×102±0.76 M−1、会合速度定数は82.14±26.54 M−1s−1、解離速度定数は 0.31±0.0097s−1であった。 これらのパラメータとの照合により17β−エストラジオール又はビスフェノールAの同定が出来る。【0023】【発明の効果】 本発明の測定チップは調製が容易であり、しかも良好な感度でリアルタイムで17β−エストラジオール又はビスフェノールAを検出し測定できると同時に生態系のその他のホルモンまたは酵素に対する影響を調べることが可能である。 光学的に透明な基板と、該基板上に形成された金属薄膜と、該金属薄膜上に形成されたアミノシラン膜と、該アミノシラン膜上に固定化された生理活性物質としてシクロデキストリンを使用した表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いて、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定することを特徴とする17β−エストラジオール又はビスフェノールAの測定方法。 光学的に透明な基板と、該基板上に形成された金属薄膜と、該金属薄膜上に形成されたアミノシラン膜と、該アミノシラン膜上に固定化された生理活性物質としてシクロデキストリンを使用した表面プラズモン共鳴バイオセンサー用測定チップを用いて、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定する方法であって、 17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定する際に、測定対象溶液にβ−シクロデキストリンを加えて測定対象溶液を調製した後、17β−エストラジオール又はビスフェノールAを測定することを特徴とする17β−エストラジオール又はビスフェノールAの測定方法。


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