生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_育毛剤
出願番号:2000617858
年次:2007
IPC分類:A61K 8/99,A61Q 7/00


特許情報キャッシュ

堀内 勲 JP 3959235 特許公報(B2) 20070518 2000617858 20000511 育毛剤 株式会社応微研 595175301 浅川 哲 100097043 堀内 勲 JP 1999134132 19990514 20070815 A61K 8/99 20060101AFI20070726BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20070726BHJP JPA61K8/99A61Q7/00 A61K8/00-8/99 特開平7−277929JP,A) 特開平4−275210(JP,A) 英国特許改訂第1237656(GB,C) 上野川修一編、乳の科学、株式会社朝倉書店、1998年3月25日、第3刷発行、第171〜174頁 5 JP2000003017 20000511 WO2000069399 20001123 11 20000927 2004012058 20040611 塚中 哲雄 弘實 謙二 谷口 博 本発明は、育毛剤の製造方法に関する。さらに詳しくは、乳酸菌の培養濾液を有効成分として含有する頭髪用の育毛剤の製造方法に関する。 毛髪は、皮膚表面に出ている毛幹と皮膚内部に入り込んでいる毛根からなり、毛根は毛包に包まれている。毛根はさらに毛球と毛乳頭を含み、毛乳頭には毛細血管や神経が入り込んで、食物からの栄養や酸素を取り入れて毛髪の発生や成長を司っている。毛乳頭に接したところに毛母細胞があり、毛髪はここで造られる。すなわち、毛母細胞は毛乳頭に入っている毛細血管から栄養や酸素を取り込み、分裂を繰り返すことによって毛髪が形成される。 毛髪の1本1本には独立した寿命があり、毛髪全体としては成長、脱毛および新生を繰り返しており、毛包には具体的には成長期(アナゲン)、退行期(カタゲン)および休止期(テロゲン)からなる毛周期がある。毛髪は成長期にのみ産出され、この時期の毛乳頭は大きく、毛母細胞が活発に働いて毛髪が伸び、毛球は皮下組織まで達している。成長が一旦停止するとき、毛包は退行期を経過する。退行期の最初の兆候は毛球におけるメラニン産出の停止である。その後、毛包のほかの大部分の細胞は周辺のマクロファージに貪食されて収縮し、起毛筋起始部の下まで毛根は短縮し、休止期に入る。一般に、毛髪の成長期間は5〜6年、退行期は2〜3週間、休止期は2〜3ケ月とされている。 毛周期に異常が生じると毛髪は脱毛を起こし、脱毛症へと進行する。脱毛症の原因はまだ完全には解明されていないが、男性ホルモン関与による毛包機能の低下、毛包・毛球部の新陳代謝機能の低下、頭皮生理機能の低下、頭皮緊張による局所血流障害、栄養不良、ストレス、薬物による副作用、遺伝などが原因として挙げられている。このような脱毛症の予防や治療のために、従来から各種の育毛剤が用いられている。そのような育毛剤としては、上記の原因を取り除く作用のある薬剤が種々組み合わされて配合されたものが殆どであり、とりわけ毛母細胞賦活効果や血行促進効果をもつ成分を中心としたものが主流を占めている。これらは、毛成長の衰えた毛包に対しての賦活作用や血行促進による栄養成分の補給を行うことで育毛(養毛・発毛)作用を発揮させることを意図したものが多い。 毛髪および脱毛症に関しては、例えば、光井武夫編、新化粧品学(1994年)南山堂、に記載されており、これを参照できる。 これまでに、養毛剤、育毛剤として種々の特許出願が行われている。例えば、シキミからの抽出物を含有する養毛剤(特許文献1)、リパーゼを含有する養毛化粧料(特許文献2)、発酵させた刺激性生薬と水溶性キトサンを含有する養毛剤(特許文献3)などが挙げられる。特開昭63−303915号公報特公平4−5002号公報特開平1−254614号公報 上記のように、種々の養毛・育毛剤が開発されているが、脱毛を抑制し、養毛・育毛を促進する真に有効な薬剤はまだまだ少ないのが現状である。このような状況下にあって真に有効な育毛剤を見出すことは、脱毛症に悩む人々に多大の恩恵を与える点で大いに意味のあることである。 そこで、本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究の結果、微生物、特に、乳酸菌の培養濾液が脱毛症に有効であることを見出し、本発明を完成させた。 従って、本発明は、育毛・養毛および発毛(以下、育毛という)を有効に促進できる育毛剤の製造方法を提供することを目的としている。 本発明に係る育毛剤の製造方法は、乳酸菌を培養する工程と、培養された乳酸菌の細胞壁が破壊されて培養液がコロイド状に溶解する工程と、前記コロイド状の培養液から乳酸菌の菌体の残渣を除去する工程と、除去した後に得られる乳酸菌の培養濾液を育毛剤の有効成分として添加する工程とを備えたことを特徴とする。 また、本発明に係る育毛剤剤の製造方法では、前記乳酸菌がストレプトコッカス属またはラクトバチルス属に属する細菌を使用することを特徴とする。 また、本発明に係る育毛剤剤の製造方法では、前記乳酸菌の培養濾液にローレルエキス及び/又はクロロフィルを添加することを特徴とする。 本発明において、培養濾液とは、乳酸菌培養後の培養液(菌液)中の菌体が破壊されてコロイド状に溶解した後、菌体の残渣を取り除いた液体部分をいい、これは濾過や遠心分離などの固液分離手段によって分離し得る。本発明の一実施態様において、乳酸菌はストレプトコッカス(Streptococcus)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する細菌である。しかし、本発明の育毛剤の製造方法には、これら特定の乳酸菌の培養濾液に限定されず、同様の作用を有するいかなる他の乳酸菌の培養濾液も使用可能である。 本発明の育毛剤の製造方法には、さらに、他の既知の育毛成分を含有させることができる。そのような育毛成分としては、ローレルエキスやクロロフィルなどの生体細胞の賦活剤、末梢血管の血流を促進する血行促進剤や局所刺激剤、毛母細胞周辺への栄養補給のための栄養剤(例えば、ビタミン類、アミノ酸類)、男性ホルモンに対して拮抗作用を有する女性ホルモン剤、毛母細胞の機能低下の改善のための毛根賦活剤、頭皮の乾燥を防ぐための保湿剤などを含むことができる。 かかる構成によって製造された育毛剤にあっては、乳酸菌の培養濾液が育毛効果及び抜け毛防止効果を有する。乳酸菌の培養濾液の含有成分が抹消血管の血行促進に効果を有し、毛母細胞の分裂、増殖を促し、毛母細胞の機能低下を改善する毛根賦活剤として作用するものと推定される。特に、ストレプトコッカス属またはラクトバチルス属に属する乳酸菌では、毛乳頭に供給される乳酸菌培養濾液中の乳酸菌の産生した各種成分が相乗的に作用し、毛母細胞の成長促進効果を奏する。 本発明の育毛剤の製造方法をより詳細に説述するために、表及び添付の図面に従ってこれを説明する。 乳酸菌は、炭水化物を発酵させてエネルギーを獲得し、多量の乳酸を生成する一群の細菌の総称である。乳酸菌は、菌形態により球菌とかん菌に分けられ、球菌には、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ロイコノストック(Leuconostoc)、ペジオコッカス(Pediococcus)などが含まれ、かん菌にはラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)などが含まれる。本発明における乳酸菌には、上記の属のいずれの乳酸菌も含まれ、遺伝子組換え法によって得られる組換え乳酸菌、人工的に変異を誘発して得られる乳酸菌変異体などの非天然型の乳酸菌も包含されるものとする。好ましい乳酸菌はヒトや他の動物に対して病原性を持たないものであり、発酵乳製品、発酵肉製品、醸造食品、発酵豆乳、漬物などの食品類の製造に使用される市販の乳酸菌がより好ましく使用できる。そのような乳酸菌は、例えば、Chr. Hansen's社から市販され入手可能である。 本発明で使用できる乳酸菌の例としては、例えば、ストレプトコッカス属の例として、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・ラクチス亜種ジアセチラクチス(Streptococcus lactis subap. Diacetilactis)などが挙げられる。ペジオコッカス属の例として、ペジオコッカス・セレビシアエ(Pediococcus cerevisiae)、ペジオコッカス・アシジラクチシ(Pediococcus acidilactici)、ペジオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus penntosaceus)、ペジオコッカス・ハロフィラス(Pediococcus halophilus)、ペジオコッカス・ウリナエ−エクイ(Pediococcus urinae-equi)などが挙げられる。ロイコノストック属の例として、ロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris)、ロイコノストック・オエノス(Leuconostoc oenos)等が挙げられる。ラクトバチルス属の例として、ラクトバチルス・デルブルエキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ロイクマニイ(Lactobacillus leuchmannii)、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ファーメンチュム(Lactobacillus fermenntum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillu brevis)、ラクトバチルス・ビリデッセンス(Lactobacillus viridescens)などが挙げられる。ビフィドバクテリウム属の例として、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィヂュム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレビ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidobacterium infantis)などが挙げられる。 これらの乳酸菌のうち、ストレプトコッカス属乳酸菌はグラム陽性で、無胞子、通性嫌気性〜偏性嫌気性の直径1μm以下の球菌であり、通常、双球または連鎖状の菌である。カタラーゼ、オキシダーゼは陰性で、ホモ型発酵形式で右旋性乳酸を生成する。ラクトバチルス属乳酸菌は、グラム陽性で、カタラーゼ陰性、通性嫌気性〜嫌気性の菌であり、通常は非運動性、無胞子のかん菌で、連鎖も作る。ホモ型とヘテロ型の両種があることが知られている。 本発明の実施態様においては、上記に属する乳酸菌のうち、ストレプトコッカス・ラクチスおよびラクトバチルス・ブルガリカスの培養濾液を用いた。ストレプトコッカス・ラクチスは球菌であり、ラクトバチルス・ブルガリカスはかん菌に属する。両者とも、ホモ型乳酸菌であり、ストレプトコッカス・ラクチスは発酵乳、チーズ、バターなど乳製品のスターターとして、ラクトバチルス・ブルガリカスはチーズスターターとして、また、乳酸菌飲料やヨーグルトなどの製造に広く利用されている菌である。 本発明で使用される乳酸菌培養濾液は、上記のような乳酸菌を培養し、得られた培養液中の乳酸菌の菌体が破壊された後に残った固形分、すなわち、細胞壁部分がコロイド状に溶解した後の菌体の残渣を除去することによって得ることができる。 乳酸菌の培養は、特に制限はなく、乳酸菌が十分に増殖できる条件であればいずれのものも使用できるが、乳酸菌の種類に応じて培地成分、培養温度、培養pH、培養時間などの条件が変化し得る。培養条件および培養方法については、例えば、Bergey's Manual of Determinative Bacteriology(第8版、1974年)やメーカーにより提供される市販乳酸菌の使用説明書に記載されるものを使用できる。 培地成分としては、例えば、乳清、グルコース、ペプトンなどの炭素源、窒素源の1つまたはそれ以上を任意に組み合わせて用いることができる。培養温度は、菌の種類によって異なるが、通常知られている温度(約20〜45℃)である。耐熱性の乳酸菌の場合には、それより高い温度でも培養できる。培養pHについては、pH2〜4でよく生育するが、初発の培地pHは中性でも弱アルカリ性でもよい。 また、培養時間は数時間〜72時間、好ましくは約15〜約50時間である。乳酸菌の植菌量は培地1リットルあたり、10〜100mlの範囲である。 以下に培養条件の一例を示すが、本発明においてはこれに限定されない。 ストレプトコッカス属の乳酸菌の場合、MRS培地(Difco社市販)で30〜37℃、pH6.8,24〜48時間培養することができる。ロイコノストック属の乳酸菌の場合、MRS培地で30〜37℃、pH6.8,24〜48時間培養することができる。ペジオコッカス属の乳酸菌の場合、MRS培地で30〜37℃、pH6.8,24〜48時間培養することができる。 ラクトバチルス属の乳酸菌の場合、MRS培地で30〜37℃、pH6.8,24〜48時間培養することができる。 ビフィドバクテリウム属の乳酸菌の場合、BL培地もしくはEG培地で30〜37℃、pH7〜8、24〜48時間、嫌気的条件で培養することができる。 本発明の具体例によれば、乳清とグルコース(例えば各々10%、2%)を含む培地に乳酸菌を植菌し、35〜37℃で48時間静置培養することができる。 乳酸菌の培養後に菌体を破壊し、培養菌液を濾過、遠心分離等の分離手段を用いて菌体の残渣を取り除き、培養濾液を回収する。 なお、上記各培地の組成は下記のとおりである。 MRS培地(培地1リットル当たり) ペプトン(Oxoid) 10g 肉エキス 10g 酵母エキス 5g K2HPO4 2g クエン酸二アンモニウム 2g グルコース 20g ツイーン80 1g 酢酸ナトリウム 5g MgSO4・7H2O 0.58g MnSO4・4H2O 0.28g (精製水を加え1リットルにする。pH6.2-6.6、121℃、15分滅菌) BL(寒天)培地 牛肉エキス(Oxoid) 3g プロテオース・ペプトンNo.3(Difco) 10g トリプチケース(BBL) 5g ファイトン(BBL) 3g 酵母エキス(Difco) 5g 肝臓エキス 150ml グルコース 10g 可溶性デンプン 0.5g 溶液A 10ml 溶液B 5ml ツイーン80 1g バクト寒天(Difco) 15g L-システイン塩酸塩(5%溶液) 10ml ウマ血液 50ml 精製水 765ml pH7.2 溶液A:K2HPO425gとK2HPO425gとを精製水 250mlに溶解したものである。 溶液B:MgSO4・7H2O 10g、FeSO4・7H2O 0.5g、NaCl 0.5g、MnSO4 0.337gを精製水 250mlに溶解したものである。 肝臓エキス:肝臓末(極東)10gを170mlの精製水で50〜60℃の温浴槽中で約1時間浸出したのち、100℃、数分間加熱し、pH7.2に修正してからろ紙で濾過する。 培地の調製:L-システイン塩酸塩、ウマ血液以外の成分を加熱して溶解し、pHを修正、115℃、20分間滅菌後、50℃に冷し、システイン塩酸塩とウマ血液を添加して、平板とする。 EG(EUGON)培地 バクトトリプトース(Difco) 1.5% バクトソイトーン(Difco) 0.5% バクトデキストロース(Difco) 0.55% L-システイン(Difco) 0.07% NaCl 0.4% Na2SO3 0.02% 精製水 100%まで 本発明の育毛剤の製造方法では、上記のようにして得られた乳酸菌の培養濾液を育毛剤の有効成分として加える。組成物中の培養濾液の含量は育毛効果が達成できる量であり、特に制限はないが、例えば、組成物中、0.1%以上、好ましくは0.1〜20%(いずれも容量%)の量で使用できる。なお、本発明の乳酸菌の培養濾液は、通常用いられる濃縮方法で、適当な濃度、例えば、2〜10倍、好ましくは3〜5倍に濃縮して、育毛剤の有効成分として添加することができる。 乳酸菌は、ヒトの腸内において、ビタミンB群を合成し、白血球を活性化し、免疫機能を高めて細菌に対する感染防御活性を高め、抗菌性物質を産生して有害菌を排除することが知られている。また、発ガン物質を吸着し、糞便と共に排泄すること、血中コレステロールの低下作用などが知られているが、本発明において、その培養濾液が育毛効果及び抜け毛防止効果を有することが判明した。乳酸菌の培養濾液の含有成分が抹消血管の血行促進に効果を有し、毛母細胞の分裂、増殖を促し、毛母細胞の機能低下を改善する毛根賦活剤として作用するものと推定される。いずれの成分が有効であるか定かではないが、毛乳頭に供給される乳酸菌培養濾液中の乳酸菌の産生した各種成分が相乗的に作用し、毛母細胞の成長促進効果を奏するものと推定される。 本発明の育毛剤の製造方法においては、上記培養濾液を単独で用いることもできるが、使い易さの点で、医薬品(医薬部外品を含む。以下同様)または化粧品において許容されうる賦形剤、希釈剤等の担体と組み合わせるのが好ましい。担体の例は、精製水、常水、生理食塩水、エタノールなどの育毛剤で常用される担体である。 本発明の育毛剤の製造方法では、さらに、他の既知の育毛成分を加えることができる。そのような育毛成分としては、例えば、生体細胞の賦活剤(例えば、ローレルエキス、クロロフィルなど)、末梢血管の血流を促進する血行促進剤(例えば、センブリエキス、セファランチン、ビタミンEおよびその誘導体、γオリザノールなど)や局所刺激剤(例えば、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステルなど)、毛母細胞周辺への栄養補給のための栄養剤(例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、Eおよびそれらの誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチンなどのビタミン類、シスチン、システイン、メチオニン、ロイシン、トリプトファン、アミノ酸エキスなどのアミノ酸類)、男性ホルモンに対して拮抗作用を有する女性ホルモン(例えば、エストラジオール、エチニルエストラジオールなど)、毛母細胞の機能低下の改善のための毛根賦活剤(例えば、パントテン酸およびその誘導体、プラセンタエキス、アラントイン、感光素301号など)、頭皮の乾燥を防ぐための保湿剤(例えば、グリセリン、ピロリドンカルボン酸)などを挙げることができる。 本発明の育毛剤の製造方法では、さらに、ふけ、かゆみを防ぐための薬剤を加えることができる。これらの例としては、例えば、サリチル酸、イオウ、レゾルシン、硫化セレンなどの角質剥離・溶解剤、ピリドキシンおよびその誘導体などの抗脂漏剤、ジンクピリチオン、トリクロロカルバニド/酢酸トコフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ヒノキチオールなどの殺菌剤、グリチルリチン酸およびその誘導体、酢酸ヒドロコーチゾン、プレドニゾロンなどの消炎剤、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、カンファー、dl-または l-メントールなどの鎮痒剤などを挙げることができる。さらには、香料、清涼剤、乳化剤、可溶化剤、pH調整剤、着色料などの化粧品別許可基準(薬事日報社)などに記載されている成分を適宜含有させることができる。 本発明の製造方法で得られた育毛剤は、医薬品としてもまた化粧品としても使用できる。医薬品としての効能は、円形脱毛症、壮年性脱毛症、男性型脱毛症などの脱毛症の改善と予防である。また、毛生促進、発毛促進、育毛、養毛および抜け毛予防に効果があるため、本発明の製造方法で得られた育毛剤は化粧品としても有効に使用できる。本発明で使用される乳酸菌は食品類の製造に使用されるか、食品中に存在するものであるため、菌培養液の毒性は極めて低い。 剤型は、液剤、乳剤、クリーム、ローション、ジェル、リキッド、フォーム、スプレーなどの形態の他に、シャンプー、リンス、トリートメント中に配合した形態であってもよい。例えば、クリームには、油脂(オリーブ油、トリグリセライドなど)、炭化水素(流動パラフィン、ワセリン、ミツロウなど)、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級アルコール、界面活性剤、増粘剤、キレート剤などが配合できる。ジェルには水溶性高分子(カルボキシビニルポリマー、メチルセルロースなど)、セット剤(ポリビニルピロリドンなど)、アルカリ剤、界面活性剤、キレート剤などを配合できる。スプレーやフォームには噴射剤(ジメチルエーテル、液化石油ガスなど)を配合できる。ローションにはガム類(トラガム、カラヤガムなど)、ポリマー(ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体など)などを配合できる。 本発明の製造方法で得られた育毛剤は、一日1回以上、好ましくは2回以上、頭皮に適用(例えば、1mlスプレー)し、好ましくはマッサージまたはたたいて頭皮を刺激することによって、有意に育毛効果が達成できる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されないものである。 〔実施例1〕 ストレプトコッカス・ラクチス培養濾液を含有する育毛剤の調製 滅菌水1L中に、乳清10%、グルコース2%を含む培地に、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)50mlを植菌し、35℃で48時間静置培養した。培養後、細胞壁を破壊しコロイド状に溶解した後、菌液を遠心分離して菌体の残渣を除去し、得られた培養濾液を以下の育毛剤の処方例に使用した(容量%で示す)。 処方例1 ストレプトコッカス・ラクチス培養濾液 1.5% 精製水 100%まで 処方例2 ストレプトコッカス・ラクチス培養濾液 1.5% ローレルエキス 0.5% エタノール 15% 精製水 100%まで 処方例3 ストレプトコッカス・ラクチス培養濾液 1.5% トウガラシチンキ 0.1% dl-メントール 0.1% 水溶性プラセンタエキス 0.1% ローレルエキス 0.5% エタノール 15% 精製水 100%まで 〔実施例2〕 ラクトバチルス・ブルガリカス培養濾液を含有する育毛剤の調製 滅菌水1L中に、乳清10%、グルコース2%を含む培地に、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)50mlを植菌し、35℃で48時間静置培養した。培養後、菌体を破壊してコロイド状に溶解した後、菌液を遠心分離して菌体の残渣を除去し、得られた培養濾液を以下の育毛剤の処方例に使用した(容量%で示す)。 処方例4 ラクトバチルス・ブルガリカス培養濾液 1.5% 精製水 100%まで 処方例5 ラクトバチルス・ブルガリカス培養濾液 1.5% ローレルエキス 0.5% エタノール 15% 精製水 100%まで 処方例6 ラクトバチルス・ブルガリカス培養濾液 1.5% トウガラシチンキ 0.1% dl-メントール 0.1% 水溶性プラセンタエキス 0.1% ローレルエキス 0.5% エタノール 15% 精製水 100%まで 〔実施例3〕 育毛試験および結果 脱毛症の3名の男性の頭皮に、実施例1の製造方法で得られた育毛剤(処方例2)を1日2回、朝晩頭皮に適当量擦り込み、4または5ケ月間育毛効果を視覚で観察した。その結果、いずれの男性の頭皮においても有意の育毛効果が認められた(第1図参照)。また、実施例2の育毛剤(処方例5)の場合も、脱毛症の3名の男性に対し、2または3ケ月間同様に試験した結果、同様の育毛効果が確認された。結果を表1(処方2の場合)および表2(処方5の場合)に示す。 〔表1〕 被験者 性別・年齢 使用期間 効果 A氏 男性・40代 4ケ月 ++ B氏 男性・40代 5ケ月 +++ C氏 男性・40代 5ケ月 ++ 〔表2〕 被験者 性別・年齢 使用期間 効果 D氏 男性・50代 3ケ月 ++ E氏 男性・50代 3ケ月 ++ F氏 男性・60代 2ケ月 + 表中の効果の説明: − :悪化した。 0 :目視で効果がみられなかった。 + :目視では判定できなかったが、マイクロスコープにて効果を確認できた。 ++ :目視で効果が確認できた。 +++:目視で顕著な効果が確認できた。 本実施例によって、本発明の製造方法で得られた育毛剤が、脱毛症の予防または治療に有効に使用できることが判明した。 〔実施例4〕 育毛剤の調製および育毛試験 実施例1で得られたストレプトコッカス・ラクチスの培養濾液を用いて下記処方例の育毛剤を調製し、下記3名の男性に適用した。使用期間、結果を(1)〜(3)に説明する。 処方例7 ストレプトコッカス・ラクチス培養濾液 2% 精製水 100%にする。 (1)I氏(50歳) 後頭部のハゲ、後からはつむじの見えぬ程度にはげていたが、平成11年10月より約3ケ月間、処方例7の育毛剤を1日約5cc、後頭部を中心にスプレーで散布したところ、周辺部とほぼ同程度まで回復した。 (2)G氏(65歳) 全体ハゲ、ヤカン頭といわれていたが、上記育毛剤を、平成10年1月から約2年間、1日約5cc、頭部全体に散布したところ、イガグリ頭程度に回復した。 (3)K氏(60歳) はげてはいない。平成12年1月10日から10日間、1日3cc、頭部全体に散布したところ、抜け毛とふけがなくなった。 以上のように、本発明に係る製造方法で得られた育毛剤は、育毛を有効に促進することができ、また抜け毛予防にも効果がある医薬品として、また化粧品としても有用である。 第1図は、脱毛症の3名の男性(男性A:上段、男性B:中段、男性C:下段)の頭皮に実施例1(処方例2)からのストレプトコッカス・ラクチス培養濾液を塗布したときの、試験開始前と4または5カ月経過後の育毛の程度を比較した図である。 乳酸菌を培養する工程と、 培養された乳酸菌の細胞壁が破壊されて培養液がコロイド状に溶解する工程と、 前記コロイド状の培養液から乳酸菌の菌体の残渣を除去する工程と、 除去した後に得られる乳酸菌の培養濾液を育毛剤の有効成分として添加する工程とを備えたことを特徴とする育毛剤の製造方法。 乳酸菌がストレプトコッカス属またはラクトバチルス属に属する細菌である請求項1記載の育毛剤の製造方法。 前記乳酸菌の培養濾液にローレルエキス及び/又はクロロフィルを添加する工程を含む請求項1記載の育毛剤の製造方法。 前記乳酸菌の培養時間は、数時間〜72時間、好ましくは約15〜約50時間である請求項1記載の育毛剤の製造方法。 前記培養濾液の添加量は、育毛剤の組成物中、0.1%以上、好ましくは0.1〜20%(いずれも容量%)である請求項1記載の育毛剤の製造方法。


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