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タイトル:特許公報(B2)_共役リノール酸エステルの製造法
出願番号:2000613807
年次:2010
IPC分類:C12P 7/62,C07C 69/587,C07C 67/30


特許情報キャッシュ

工藤 聰 水澤 直美 羽村 真帆子 JP 4565750 特許公報(B2) 20100813 2000613807 20000425 共役リノール酸エステルの製造法 株式会社ヤクルト本社 000006884 花村 太 100101432 佐藤 正年 100092082 佐藤 年哉 100099586 工藤 聰 水澤 直美 羽村 真帆子 JP 1999120706 19990427 20101020 C12P 7/62 20060101AFI20100930BHJP C07C 69/587 20060101ALI20100930BHJP C07C 67/30 20060101ALI20100930BHJP JPC12P7/62C07C69/587C07C67/30 C12P 7/62 C07C 67/30 C07C 69/587 国際公開第98/049129(WO,A1) 特表平10−508189(JP,A) 国際公開第99/012538(WO,A1) Biotechnology Letters,1998年,Vol. 20, No. 6,617-621 2 JP2000002703 20000425 WO2000064854 20001102 17 20060706 水島 英一郎 技術分野本発明は、共役二重結合を分子内に有する共役脂肪酸を有効に体内に摂取するための共役脂肪酸エステル構造に関し、特に前記共役脂肪酸をグリセロールエステルとしたモノ、ジ、又はトリグリセリドに関する。更に詳しくは、本発明は、脂質代謝改善することができ、動脈硬化、心血管系疾患等のリスクファクターである血中中性脂肪を低下させ、高脂血症を改善させる作用のある共役リノール酸を分子内に有する共役脂肪酸グリセリドに関する。このグリセリドは、医薬品及び飲食品に用いることができる。近年、生活環境の変化に伴い、過食・運動不足などを原因とする生活習慣病(肥満、糖尿病、高脂血症等)の増加が指摘されており、その発症も低年齢化している。その中で脂質代謝異常症の一つである高脂血症は、動脈硬化症の発症に密接に関連しており、血中脂質レベルのコントロールは重要である。これらの病態は、運動療法、食事療法によりかなり改善することが可能であるが、どちらの方法も実行に移すのにかなりの努力を要するものであり、医師や栄養士等の指導を必要とした。一方、天然に存在し、食品製造加工中にも生成する共役脂肪酸は、隣り合う炭素が単結合を挟んで二重結合を持つ脂肪酸である。炭素数18の脂肪酸分子内に共役ジエンを一個持つ共役リノール酸、あるいは共役ジエンを2個持つエレオステアリン酸、共役ジエンを3個持つパリナリン酸等が良く知られており、生理活性も研究されている。とりわけ共役リノール酸に関しては、近年多くの有用な生理活性が報告されている。例えば、特表平8−505775号(WO94/16690)公報には、共役リノール酸を動物に投与して動物の体重増加と飼料の効率とを高める方法が、特表平10−508189号(WO96/06605)公報には共役リノール酸を動物に投与して動物の体脂肪を減少させる方法が開示されており、また、その他にも抗腫瘍効果、抗アレルギー効果等の報告がなされている。共役リノール酸は、植物中にグリセリドの形で存在する脂肪酸であり、また、動物の消化管内で一部の微生物の作用によりリノール酸から変換生成され、吸収される事も知られている。上記のような各種生理作用を有する共役リノール酸は、工業的にも製造販売され始めている。市販されている共役リノール酸製品としては、例えばリノール油脂社製のCLA80活性リノール、Maypro社のトナリン等が挙げられる。これらは、天然のシス型リノール酸(C18:2)をアルカリ下で共役化する事により製造され、主成分は、cis−9,trans−11あるいはtrans−9,cis−11,trans−10,cis−12の遊離脂肪酸であり、その他いくつかの位置あるいは幾何異性体を含んでいる。しかしながら、これら遊離脂肪酸型の製品は、脂肪酸特有の渋味と収斂味が強く、そのまま摂取したり、一般食品に生理効果量を添加するには難しい場合も多かった。また、共役リノール酸は多くの場合カプセルや錠剤型の栄養補助食品として市販されており、これらの剤型を単独摂取した場合、とりわけ食間に摂取した場合には消化吸収性が悪いという難点のあるものであった。一方、グリセリド型の共役脂肪酸を植物等から多量抽出利用する試みもなされているが、工業的に見合う程度の原料素材は知られていない。このため、共役脂肪酸グリセリドを酵素反応により合成する試みもなされている。例えば、リパーゼに依るエステル交換法あるいはエステル合成法等の常法により、共役リノール酸をグリセリド誘導体にする試みが幾つか報告されている(Garcia H.S.ら、Biotechnology Letters,20:4,p393−395,1998年、Arcos J.A.ら、Biotechnology Letters,20:6,p617−621,1998年)。しかしながら、これらの報告には、リパーゼを用いた合成反応を利用し、モノ、ジ、トリグリセリド誘導体中の共役リノール酸を製造しうることは記載されているものの、生成したグリセリド誘導体の官能的品質や生理効果に付いては全く触れられていない。発明の開示本発明は、脂質代謝改善剤、抗肥満剤、及び高脂血症予防・治療剤の製造のための共役リノール酸を代表とする共役脂肪酸を、共役脂肪酸が有する渋味や収斂味を抑制して経口摂取するための共役脂肪酸エステルの使用を提案する。即ち、前記共役脂肪酸が元来有している生理効果を一層有効に発揮させ、共役脂肪酸が有する渋味や収斂味を抑制して、前記共役脂肪酸を経口摂取するに好適な共役脂肪酸の調製法の一つとして、共役二重結合を分子内に有する共役脂肪酸をグリセロールエステルの形態とした共役脂肪酸グリセリドを使用するものである。この共役脂肪酸グリセリドは、経口摂取であればどの様な形態で摂取しても、渋味や収斂味がなく、効率良く吸収できる。具体的には、本発明は、共役脂肪酸を分子内に有する共役脂肪酸エステルにおいて、該共役脂肪酸をグリセロールエステルの形態とした共役脂肪酸グリセリドを、脂質代謝改善剤、抗肥満剤、及び高脂血症予防・治療剤として用いることができる。更に、本発明は安全性が高く、食品として日常摂取することができる、共役リノール酸グリセリドを含むグリセリドを提供することを目的とする。本発明は、共役二重結合を有する共役脂肪酸として、特に共役リノール酸を分子中に有する共役脂肪酸グリセリドを提供する。更に好ましい態様としては、共役二重結合を有する共役脂肪酸として9,11−オクタデカジエン酸、又は、10,12−オクタデカジエン酸を持つ共役脂肪酸グリセリドを提供する。また、モノ、ジ又はトリクリセリドからなる群から選ばれた何れか一つの形態を有する共役脂肪酸グリセリドを提供するものである。この共役脂肪酸グリセリドは、牛乳、豆乳等のこのグリセリドを変性させない飲食品と混合して飲食品に供することができ、カプセル、タブレット等の常法に基づいてグリセリドを変性させない他の医薬基剤と配合して医薬品に供することができる。本発明の共役脂肪酸グリセリドの製造方法としては、天然のシス型リノール酸をアルカリ下で共役化した後、触媒を使ったエステル合成あるいはエステル交換反応をする方法、或いは脂肪酸含有グリセリドの共役化等いずれの方法を用いてもよい。中でも、触媒として生体触媒のリパーゼを用いるエステル交換あるいはエステル合成反応が食品用途には好ましく、特にエステル合成反応が好ましい。エステル合成反応は、常法により行えばよい。例えば、共役リノール酸と固定化リパーゼ及びグリセロールとの存在下、脱水しながら反応を行うとよい。この方法によれば、総脂肪中の共役脂肪酸含有量を顕著に増加させることができ、また常温でも反応が進行する上、触媒の失活・除去も容易で脂肪の酸化等の副反応も限定されており安全性も高い。エステル交換法も安全性は高いものの、反応収率が劣り、副生する脂肪酸の分離も困難である。一方、化学触媒でグリセリドを合成する事も出来るものの、予期せぬ副反応物の恐れや、グリセリドの収率が十分でなかったり、また、化学触媒を除去する煩雑さがある。エステル交換反応等の基質となる油脂としては、植物油脂として大豆油、コーン油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、菜種油、紅花油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、しそ油、ヤシ油、パーム油等を挙げることが出来る。動物油としては、いわし油、ニシン油、烏賊肝油等の魚油やバター油、牛脂、豚脂等を挙げる事が出来る。中でも、コーン油、大豆油、パーム油、ヤシ油等が安定性の点から好ましい。また、バター油も風味の点から好ましい。これらは単独あるいは2種以上混合して使用できる。一方、エステル交換・合成反応に用いる脂肪酸についても特に制約はなく、具体的には遊離型の共役リノール酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等が挙げられる。また、これらを豊富に含む天然物の抽出物や合成法により得られた共役ジエンを複数持つ脂肪酸等を用いてもよい。中でも、共役リノール酸(市販品ではCLA80活性リノール、トナリン等)が種々の生理効果が報告されているため好ましい。エステル交換の場合、基質となる油脂と共役脂肪酸の比は、トリグリセリド中の共役脂肪酸含量を20%以上にするために重要で、油脂の共役脂肪酸に対する重量比が3.5以下、好ましくは3以下とすることが望ましい。また、反応は有機溶剤を添加しても進行するものの、油脂と共役脂肪酸の混合物が溶液状態を保つ温度であれば有機溶剤が無くても反応は十分進行する。エステル交換・合成反応を触媒するリパーゼは総て本発明の目的に利用できる。市販されているものの例を挙げれば、パンクレアチンF、リパーゼA,F,M,AY,G,P S、ニューラーゼF(天野製薬(株))、リパーゼCV(旭化成(株))、リパーゼOF,AL,PL,QL(名糖産業(株))、Novozyme,Lipozyme(ノボ社:固定化酵素)等である。共役脂肪酸含量20%以上を達成するためには、リパーゼAY,P L,CV,Novozyme,Lipozymeがエステル合成・交換反応活性が高く好ましい。添加する酵素量は、固定化酵素の場合基質量に対して0.1〜15%、好ましくは2〜7%の範囲である。一方、リパーゼAY,P L,CVを用いる場合には添加する酵素量は、基質量に対して0.1〜10%、好ましくは0.5〜3%の範囲である。また、グリセリド誘導体中の共役脂肪酸含量を20%以上とするためには、エステル交換、あるいはエステル合成反応条件を最適なものにしないと達成は難しい。すなわち、酵素の選択や、基質となる油脂と脂肪酸の比、水分含量の調節等の反応条件が重要となる。エステル交換反応は、水分が無いと交換反応はほとんど進行せず、反応系に150〜2000ppmの水分が存在すると反応が最大限に進行し好ましい。エステル交換反応では水の生成はないので、共役脂肪酸の十分な含有量、例えば20%以上を達成するには、反応開始時に反応系の水分量を調整しておくことが望ましい。一方、エステル合成反応は副生する水を、反応系の減圧や加熱、モレキュラーシーブの添加、循環気相の乾燥等で脱水する事が好ましい。得られる反応物には、基質に用いた共役脂肪酸組成がほぼ反映される。また、エステル合成あるいは交換反応終了物中に未反応の脂肪酸やグリセロールが品質に影響する程度残存している場合には、時には分別除去する必要も生じる。反応物はモノ、ジ、トリグリセリドの混合物である場合が多く、時にはそれらの分画も必要になる。反応物からそれらの不要な成分を除くためには、分子蒸留、水洗、ケン化分別、クロマトグラフィー等が考えられる。産業的には分子蒸留がもっとも汎用され分別程度も良好である。ケン化分別法としては、脂肪酸をケン化処理して石鹸として水性溶媒に分画除去、あるいは不溶性塩として除去する方法等があるが、この場合は残存脂肪酸が20%以下でないと高粘性のために実施は難しい。クロマトグラフィーは分別程度は良好であるものの、コスト高である。更に、共役脂肪酸グリセリドは、二重結合を2個以上有する脂肪酸の少なくとも1種以上を構成成分とする脂肪酸グリセリド又は該脂肪酸グリセリドの含有されている油脂含有素材に、共役二重結合産生能力を有する微生物又は該微生物の産生する酵素を作用させることにより製造することも可能である。ここで、共役二重結合産生能力とは、前記二重結合を2個以上有する脂肪酸を構成成分とする脂肪酸グリセリド又は該脂肪酸グリセリドの含有されている油脂含有素材を、直接共役脂肪酸グリセリドに変換する能力のことである。二重結合を2個以上有する脂肪酸の少なくとも1種以上を構成成分とする脂肪酸グリセリドとしては、例えばリノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の二重結合を2つ以上有する脂肪酸の1種または2種以上を構成成分とするグリセリドが挙げられる。また、これらのグリセリドを豊富に含有する油脂素材として、具体的には、サフラワー油、大豆油、コーン油、菜種油、綿実油、ひまわり油、紅花油、ごま油、オリーブ油、亜麻仁油、エゴマ油等の植物油、バター油、魚油、ラード、牛脂等の動物油等が挙げられる。より好ましくは、例えば、炭素数18の脂肪酸、特にリノール酸が多い点から、サフラワー油、大豆油、コーン油、菜種油、綿実油、ひまわり油、紅花油等の植物性油脂が好ましい。本発明における共役二重結合産生能力を有する微生物とは、反応の出発物質となる上記のグリセリドまたは油脂素材を直接共役脂肪酸グリセリドに変換する能力を有する微生物のことである。反応時には、微生物をそのまま作用させてもよいが、微生物を担体に固定化し、バイオリアクターとして作用させてもよい。また、微生物の産生する酵素を回収、精製、或いは粉末化し、そのまま或いは適当な担体に固定化し、バイオリアクターとして作用させてもよい。また、本発明で用いる微生物としては、特に限定されるものではなく、共役二重結合産生能力を有する微生物であればよい。例えば、本発明の共役二重結合産生能力を有する微生物としては、古くから発酵乳製品等に利用されているものも多く含まれ、病原性を有さないことが確認されている等の安全性の点から、腸管系微生物、即ち、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ロイコノストック属等に属する乳酸菌や、ビフイドバクテリウム属細菌、ユーバクテリウム属細菌、プロピオニバクテリウム属細菌等が好ましい。具体的な共役二重結合産生能力を有する微生物としては、例えば、ラクトバチルス属細菌としては、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブフネリ(Lactobacillus buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ(Lactobacillus delbrueckii(ss.delbrueckii))、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ラクチス(Lactobacillus delbrueckii(ss.lactis))、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii(ss.bulgaricus))、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・オリス(Lactobacillus oris)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノーザス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ゼアエ(Lactobacillus zeae)、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sakei)等から選ばれる。また、ラクトコッカス属細菌としては、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis)等から選ばれる。ロイコノストック属細菌としては、ロイコノストック・ラクチス(Leuconostoc lactis)等から選ばれる。ストレプトコッカス属細菌としては、ストレプトコッカス・サーモフイルス(Streptococcus thermophilus)等から選ばれる。エンテロコッカス属細菌としては、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等から選ばれる。ビフィドバクテリウム属細菌としては、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフイドバクテリウム・ビフイダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフイドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフイドバクテリウム・カテニューラータム(Bifidobbacterium catenulatum)、ビフイドバクテリウム・インファンテイス(Bifidobacterium infantis)、ビフイドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等から選ばれる。ユーバクテリウム属細菌としては、ユーバクテリウム・アエロファシエンス(Eubacterium aerofaciens)、ユーバクテリウム・バイフォーム(Eubacterium biforme)、ユーバクテリウム・コプロスタノリジェンス(Eubacterium coprostanoligens)等から選ばれる。プロピオニバクテリウム属細菌としては、プロピオニバクテリウム・フロイデンライキィ(Propionibacterium freudenreichii)等から選ばれる。中でも、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ(Lactobacillus delbrueckii(ss.delbrueckii))、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii(ss.bulgaricus))、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・オリス(Lactobacillus oris)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sakei)、ビフィドバクテリウム・ビフイダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ユーバクアリウム・バイフォーム(Eubacterium biforme)、ユーバクテリウム・コプロスタノリジェンス(Eubacterium coprostanoligens)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライキィ(Propionibacterium freudenreichii)等が共役脂肪酸グリセリドの生産性が高く好ましい。より具体的には、ビフィドバクテリウム・ビフイダム(Bifidobacterium bifidum)YIT4007(FERM BP−791)株、ビフイドバクテリウム・インファンテイス(Bifidobacterium infantis)YIT4018(ATCC15697)株、YIT4019(ATCC15702)株、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)YIT0070(ATCC4356)株、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)YIT0033(NIRD T−6)株、YIT0076(ATCC14869)株、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ(Lactobacillus delbrueckii(ss.delbrueckii))YIT0080(ATCC9649)株、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii(ss.bulgaricus))YIT0181(ATCC11842)株、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)YIT0168株、YIT0192(DSM20243)株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)YIT0083(ATCC15009)株、YIT0085(ATCC521)株、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)YIT0202(JCM1022)株、ラクトバチルス・オリス(Lactobacillus oris)YIT0277(NCFB2160)株、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)YIT0313株、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sakei)YIT0247(JCM1157)株、プロピオニバクテリウム・フロイデンライキィ(Propionibacterium freudenreichii)ATCC6207株、ユーバクアリウム・バイフォーム(Eubacterium biforme)YIT6076(ATCC27806)株、ユーバクテリウム・コプロスタノリジェンス(Eubacterium coprostanoligens)YIT6166(ATCC51222)株等が挙げられる。上記微生物を用いた製造法において、微生物をそのまま用いる場合には、洗浄生菌体を乳化油脂と混合し反応させるか、或いは油脂素材含有食品に該微生物を接種し、培養したり、洗浄生菌体と混合して反応させたものを用いればよい。固定化してバイオリアクターとして用いる場合には、例えば、菌体酵素をそのまま用いるか、或いは生菌体を粉砕後、塩析や膜処理、イオン交換樹脂処理、ゲル濾過処理等の通常の分画方法で酵素を精製し、イオン結合や共有結合、疎水結合法によりシリカゲル、セライト、イオン交換樹脂、キトサンビーズ、セルロース等の担体に固定化して用いることができる。得られた反応物はそのまま、又は、好ましくは更に精製を行って用いる。具体的な精製法としては、水相に懸濁している場合には、遠心分離で油相を回収し、これを有機溶媒で抽出して精製する。抽出溶媒としては、共役二重結合を含む共役脂肪酸グリセリドを溶出することのできる溶媒を常法に従って用いる。こうして得られた共役脂肪酸グリセリドを含む反応組成物は、分画した油分をそのまま使用することもできる。本発明の共役脂肪酸グリセリドとしては、分子内に共役二重結合を有する脂肪酸、具体的には共役リノール酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等をグリセリドの形態としたものであれば、いずれも好適に使用できる。また、グリセリドの形態は、モノ、ジ、又は、トリのどの形態でもよいが、共役脂肪酸を1分子中に多く含むジ、トリ型を多く含むものが望ましい。このようなグリセリドの形態とすることで、遊離の脂肪酸のみならず、メチルエステル等他のエステル類と比べても、風味の改善、消化吸収の促進効果等が高くなり、また、これに付随する抗肥満効果、脂質代謝改善効果、高脂血症の予防・治療効果等も増強される。また、生理効果の期待できる有効量(例えば共役リノール酸の場合一日1〜3g)の共役脂肪酸グリセリドを、適正脂肪摂取量内で摂取するためには、該誘導体中の共役脂肪酸含量が20%以上である事が望ましい。もしグリセリド中の共役脂肪酸含量が20%未満になると5〜15g以上の誘導体を摂る事になって摂取カロリーが増えるために、共役脂肪酸により期待できる生理効果、例えば体脂肪の減少や、癌の予防効果等が減殺される虞が大きくなる。上記のようにして得られる共役脂肪酸グリセリドは、安全性において全く問題はない。また、共役脂肪酸グリセリドの摂取量としては1人1日あたり100mg〜5000mg、特に300mg〜3000mgが好ましい。前述の種々の反応によって得られた本発明の共役脂肪酸グリセリドは、これを含む油脂組成物のまま使用することもできるが、一般の飲食物、あるいはタブレット、カプセル、顆粒、サラダ油状食品等に混入・加工して使用することも可能である。これらの剤形、主にカプセルや顆粒状では、共役脂肪酸グリセリドの持つ優れた消化吸収性により、摂取時の空腹度合い等による吸収効率の低下といった遊離型の問題点が特に解消されるため好ましい。より具体的には、種々の反応によって得られた本発明の共役脂肪酸グリセリドを含む油脂組成物は、分画、殺菌、混合、濃縮、乾燥等の加工をした後、他の飲食物又は経口投与可能な物質と共に医薬品又は飲食品として用いることができる。例えば、各種フレーバーや、果汁粉末、砂糖・果糖等の甘味料、クエン酸・リンゴ酸等の酸味料、安定剤、増粘剤、穀物粉、ビタミン類、ミネラル類等と混合して、パン、麺類、焼き菓子、クリーム、飴、チューインガム、錠菓、お茶、コーヒー、果汁飲料、発酵乳、炭酸飲料、プリン、ゼリー等の形態で用いることができる。同様に、タブレット、カプセル、顆粒あるいはサラダ油状食品等に加工して栄養補助食品の形態で用いる事が出来る。また、共役脂肪酸グリセリドを食品の形態で用いる場合において、該食品中に共役脂肪酸以外の脂質を併用する際には、リノール酸含量の少ない油脂素材を用いることが望ましい。具体的には、バター油、魚油、シソ油、エゴマ油、パーム油、ヤシ油、アマニ油、オリーブ油、牛脂、ラード等の油脂を用いることが好ましい。リノール酸を多量に含む油脂を併用すると、共役脂肪酸グリセリドの有する生理効果、即ち、抗肥満効果、油脂代謝改善効果、高脂血症の予防・治療効果等が阻害される可能性があるためである。本発明の共役脂肪酸グリセリドは、共役脂肪酸特有の苦味や収斂味が抑制され、かつ消化吸収性も改善されているため、これを用いれば、風味良好かつ何時どの様な状況で摂取しても効率よく吸収することが可能となる。また、本発明の脂質代謝改善用共役脂肪酸グリセリドを用いれば、種々の優れた生理効果を有する共役脂肪酸を、各種の呈味改善剤等を併用することなく、継続的に摂取でき、優れた内臓脂肪減少効果、抗肥満効果、体重減少効果が得られ、また抗糖尿病効果、抗動脈硬化症効果、抗ガン効果等も期待できる。また、共役リノール酸を分子内に有する共役脂肪酸グリセリドは、高脂血症を顕著に改善し、動脈硬化、糖尿病、心血管疾患等のリスクを軽減させる。発明を実施するための最良の形態以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。[実施例1.共役リノール酸グリセリドの製造1、エステル交換反応]300mLのメディウム瓶に酵素リパーゼPL(1g)、水400μL、ヘキサン95mL、さらにバター油、ヤシ油、コーン油の各58gか、いわし油の69gを加え、さらに活性リノール(リノール油脂(株)、共役リノール酸73.6%含有)56gを添加して窒素を充填・密栓し、37℃で91時間、往復振とう機で撹拌しながら反応させた。所定時間ごとに10μLのサンプルを採取・希釈し、薄層クロマトグラフィーで分析した。その結果を図1に示した。この反応では油脂中の脂肪酸と共役リノール酸含量は等モルに設定されているので、反応が平衡に達した時のグリセリド中の共役リノール酸の価数は1.5と計算される。バター油やいわし油では反応2時間で既にグリセリド中に取り込まれた共役リノール酸含量は20%(グリセリド中の共役リノール酸0.6価に相当)を超えている事が分かる。[実施例2.共役リノール酸グリセリドの製造2、エステル合成反応]CLA80(リノール油脂株式会社製)100g、グリセロール(食添用)11g,Lipozyme IM(ノボ・ノルディスク社製)11.3gをナスフラスコに秤量する。これをロータリーエバポレーターで減圧乾固させながら、約70℃で撹拌し、エステル合成反応を12時間行った。反応物からLipozyme IMを濾別し、共役リノール酸グリセリドを得た。得られた反応物を薄層クロマトグラフィー、沃素発色により定量した。その結果、トリグリセリドが85.5%であり、ジグリセリド13.5%、モノグリセリド1%以下で、未反応の脂肪酸が4%、未反応のグリセロールが2%以下であった。[実施例3.乳酸菌のスクリーニング]リノール酸含有油脂に作用して、直接共役リノール酸を生成する能力のある微生物をスクリーニングした。まず、表1及び表2に示した各種乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌及びプロピオニバクテリウム属細菌を、0.035%リノール酸含有MRS培地で培養し、遠心分離により菌体を回収し、生理食塩水で3回洗浄して洗浄菌体を調製した。また、ユーバクテリウム属細菌も培地としてBCM培地を用いて嫌気条件で培養する以外は、上記と同様に処理して洗浄菌体を得た。これらの洗浄生菌体100μLを、5mgのリノール酸を含む1mLの50mMリン酸緩衝液(pH7.1)に混合し、37℃で2日間振盪して反応を行わせた後、遠心分離し、上清を2倍量のクロロホルム:メタノール(1:2)で抽出してクロロホルム層に脂質を抽出した。抽出した脂質は、ヘキサンで適宜希釈し、紫外線吸収スペクトルを測定して共役リノール酸の生成を調べた。更に、共役リノール酸の生成が認められた菌株はリノール酸の代わりに5mgのコーン油を含む乳化液を用い、同様の方法で処理して紫外線吸収スペクトルを測定した。尚、コーン油中のリノール酸含量は約50%である。その結果、次の表1及び表2に○印で示した菌が、リノール酸グリセリド含有油脂を共役リノール酸グリセリドに変換する能力を有する菌であることが判った。尚、抽出した脂質に遊離の脂肪酸が含まれているかを薄層クロマトグラフィーで調べたところ、遊離脂肪酸のバンドは殆ど検出されなかったため、生成した共役脂肪酸はグリセリド型であることが判った。また、リノール酸を強く異性化できるものの、グリセリド型リノール酸を異性化する能力が弱い菌(各表中のコーン油で×印のついている菌)もいることから、リノール酸を異性化する菌がグリセリド型リノール酸を必ずしも異性化できる訳ではないことも判った。[実施例4.グリセリド体の調製と吸収試験]実施例1のコーン油で得られた反応生成物9g(残存脂肪酸量3.6g、グリセリド5.4g、グリセリド中の共役リノール酸含量35%)を、予めpH7の緩衝液で平衡化後、エタノールで置換し、さらにヘキサンで置換したDEAEセルロースカラム(乾燥樹脂量60g、カラムφ3.5×30cm)に吸着させ、ヘキサンで溶離し、非吸着部を回収後、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し5gの乾固物を得た。この脂質組成を薄層クロマトグラフィーで調べた結果、クリセリド誘導体が96%、混在する脂肪酸が4%の組成であり、乾固物の29%が共役リノール酸であった。この乾固物を、一晩絶食させた19週齢の雄ICRマウスに胃ゾンデにより投与し(5mL/kg、n=5)、対照として、3重量部の活性リノール(リノール油脂(株)製;共役リノール酸を70%含む)とリノール酸を4部混合したものを、同様に投与した。また、もう一つの対照として非投与群を置いた。経時的に3群の眼窩採血を行い血中のトリグリセリド量を測定した。その結果、本発明によるグリセロール誘導体の方が、対照の遊離脂肪酸タイプのものより消化吸収性の良い事が明らかとなった(図2)。各群の2頭の血液試料をガスクロマトグラフィーにより脂肪酸の分析を行ったところ、いずれも共役リノール酸が認められた。[実施例5.共役リノール酸グリセリドの製造3、含有乳飲料の調製]表1の乳酸菌の中からBifidobacterium infantis YIT4018株、Lactobacillus delbrueckii ss.bulgaricus YIT0181株、Lactobacillus helveticus YIT0085株の3菌株について共役リノール酸グリセリド生成試験を行った。サフラワー油(リノール酸73%含有)を対油脂重量0.5%のポリグリセリン脂肪酸エステル(MSW750、阪本薬品工業(株))を含む等量の水溶液に滴下しながら、ヒスコトロン乳化機で乳化して50%油脂乳化物とした。これに、0.035%リノール酸含有MRS培地で培養したそれぞれの菌株の洗浄生菌体を湿重量で油脂の約20分の1重量部添加し、37℃で2日間反応させて、該反応液から脂肪を抽出し、ヘキサンで適宜希釈し紫外線吸収スペクトルを測定して共役リノール酸グリセリドの生成を調べた。尚、実施例3と同様に薄層クロマトグラフィーにより遊離の脂肪酸量も測定した。その結果、Bifidobacterium infantis YIT4018株、Lactobacillus delbrueckii ss.bulgaricus YIT0181株、及びLactobacillus helveticus YIT0085株の全てで共役リノール酸のグリセリドが生成していることが判った。また、Lactobacillus helveticus YIT0085株で調製した共役リノール酸を含む油脂を乳製品に添加混合して、共役リノール酸グリセリド含有食品を製造した。即ち、遠心分離器によりクリームを一部除去して乳脂肪分1.1%とした低脂肪牛乳99.6重量部に0.4重量部の該油脂を乳化混合し、共役リノール酸グリセリドを含む牛乳を製造した。この牛乳は風味も良好で物性も安定していた。[実施例6.共役リノール酸グリセリドの製造4、含有豆乳飲料の調製]表1及び表2の乳酸菌から、Bifidobacterium bididum YIT4007株、Lactobacillus helveticus YIT0085株、Lactobacillus reuteri YIT0313株の3菌株について発酵豆乳製造中の共役リノール酸グリセリド生成試験を行った。5%の大豆油(リノール酸52%、リノレン酸8%を含む)を含む豆乳(無脂肪固形分8.3%)を100℃で60分間加熱殺菌して夫々の菌株を接種し、37℃で2日間培養し、発酵豆乳を製造した。各発酵豆乳から脂肪を抽出し、235nmの吸光度を測定して共役リノール酸の生成を調べた。その結果、いずれもリノール酸が共役リノール酸に変換されていることがわかった。なお、一部の共役二重結合はリノレン酸からも生じている可能性があるものの確認は出来なかった。また、発酵豆乳中の遊離脂肪酸は増加していなかったので、生成した共役リノール酸はグリセリド誘導体のリノール酸がそのまま共役リノール酸に変換されたことが判った。[実施例7.菌体酵素の調製]表1に示した酪農乳酸菌から、Lactobacillus helveticus YIT0085株の10ml培養分の洗浄生菌体を2mlの10%リゾホスファチジルグリセロール溶液に懸濁し、50℃、30分間加熱処理して菌体酵素を調製した。これを実施例5の方法に従い生菌体の代わりに添加して反応を行った結果、共役脂肪酸グリセリドが生成していることを紫外線吸収スペクトル測定及び薄層クロマトグラフィーで確認した。[実施例8.抗肥満試験]実施例2で得た共役リノール酸含有グリセリド(TG−CLA)を、卵巣摘出マウスに0.5%投与して内臓脂肪蓄積への影響を調べた。すなわち、6週齢のC57BL/6Jマウス(♀)36匹を日本SLC(株)より購入した。MF食で1週間予備飼育した後、常法に従い左右の卵巣の摘出手術を施した。1週間の回復の後、9匹ずつ4群に分け、表3に示した実験飼料をそれぞれ7週間自由摂取させた。一晩絶食後、エーテル麻酔下で開腹し、採血後直ちに腎臓、子宮、腸間膜周辺の脂肪組織を摘出秤量し、内臓脂肪重量とした。実験期間を通じて飼育条件は恒温(24±1℃)、恒湿(60±5%)とし、明暗周期は12時間に設定した。飼料及び水は自由摂取とし、毎週体重と摂餌量を測定した。 尚、摂餌量は1ケージ3匹ずつ飼育を行ったため、実際には3匹が1週間に摂取した量を測定した。データは全て平均値±標準偏差で表わした。各群間の平均値の差の検定にはTukeyの多重比較検定を用いた。その結果、摂餌量に差は見られず、また、実験期間中の体重増加率(%)はそれぞれ本発明品群;35.8±5.4、コーン油群;38.3±8.8、アマニ油群;47.5±11.3、魚油群;40.2±5.9であった。アマニ油群は他の群に比べて体重の増加が大きく、6週目と7週目には本発明品群がアマニ油群に対して有意に低い値を示した(p<0.05)。解剖時の体重、内臓脂肪重量を表4に示した、内臓脂肪重量は本発明品群がコーン油群、アマニ油群に対してそれぞれ30%、38%低い値を示し、有意な差が認められた(p<0.01,p<0.001)。また、有意差は検出されなかったものの、体脂肪を下げるとされている魚油に対しても本発明品群は体重に対する内臓脂肪重量が低い傾向に有り(p=0.13)本発明品の優れた効果が確認できた。[実施例9.血中トリグリセリドの比較試験1]左右の卵巣を摘出した7週齢のC57BL/6Jマウスを3群に分け、1.2%サフラワー油添加MF飼料(対照群)、0.67%サフラワー油と実施例2と同様の方法で調製した共役リノール酸グリセリド(TG−CLA)を0.53%含むMF飼料(0.53%TG−CLA群)、及び1.2%TG−CLA添加MF飼料(1.2%TG−CLA群)をそれぞれ自由摂取させた。使用したTG−CLAの脂肪酸組成は表5に示すように、9c,11t/9t、11c−18:2及び10t,12c−18:2が主な脂肪酸であり、トリグリセリドが80%以上のものであった。8週間の飼育後、4時間絶食を行った各群8匹のマウスについてエーテル麻酔下で心臓採血し、血中トリクリセリドの分析を市販のキット(トリグリセライドGテストワコー)を用いて行った。その結果を表6に示す。尚、血中中性脂肪は1.2%TG−CLA群で有意に低い値を示した。表6に示す通り、食事中の脂質の一部を共役リノール酸グリセリドに置き換えることで血中中性脂肪を低下させる効果を十分発揮することがわかった。このことから共役リノール酸グリセリドの使用による閉経後の代謝異常がもたらす高脂血症の軽減効果等が期待できる。[実施例10.血中トリグリセリドの比較試験2]7週齢の雄性C57BL/Ksj,db/dbマウスを1週間予備飼育後、3群に分けて、実施例9と同様の飼料を自由摂取させた。投与開始前、開始後2,4,6週間目に眼窩採血し、血中中性脂肪の分析を行った。その結果を表7に示す。尚、血中トリグリセリドは対照群と比較して有意に低い値を示した。表7に示す通り、実施例9と同様に、食事中の脂質の一部を共役リノール酸グリセリドに置き換えることで血中中性脂肪を低下させる効果を十分発揮することがわかった。このことから共役リノール酸グリセリドの使用によるII型糖尿病における高脂血症の改善等が期待できる。[実施例11.官能検査]実施例2及び実施例4の共役リノール酸含有グリセリドと、対照として市販の共役リノール酸(活性リノール、リノール油脂社製)を用い、10人のパネラーによる官能検査により嗜好性の検定を行った。その結果、本発明のグリセリド誘導体は脂肪酸の嫌味が無く、ほとんど無味無臭の標品である事が分かった(表8)。尚、官能検査は、10名で行い平均スコアーで表した。採点基準は次の通りである。無味0点、やや渋い1点、少し渋い2点、かなり渋い3点、非常に渋い4点。[実施例12.軟カプセル剤の製造1]下記処方に従い、ゼラチン・グリセロール・水でカプセル基剤を製し、カプセル基剤にて含有油を被包成型して軟カプセル剤を調製した。(処方)ゼラチン 0.4275gグリセロール 0.0225g水 0.05g実施例2の共役リノール酸グリセリド 2.0g得られた軟カプセル剤は良好な風味を有していた。[実施例13.タブレットの製造1]下記に示す処方で各種成分を混合、打錠して、タブレットを製造した。(処方)乳糖 10g実施例2の共役脂肪酸グリセリド含有油 250mgパントテン酸カルシウム 10mgビタミンB2 4mgDKエステルF−20W(第一工業製薬製) 400mg微細化セルロース 6gデキストリン 8g得られたタブレットは良好な風味を有していた。[実施例14.タブレットの製造2]下記に示す処方で各種成分を混合、打錠してタブレットを製造した。その結果、得られたタブレットは良好な風味を有していた。(処方)乳糖 10g実施例7の共役脂肪酸グリセリド含有油 250mgパントテン酸カルシウム 10mgビタミンB2 4mgDKエステルF−20W(第一工業製薬製) 400mg微細化セルロース 6gデキストリン 8g【図面の簡単な説明】図1は各種油脂原料と共役リノール酸とのエステル交換反応における、グリセリド中の共役リノール酸の価数の変化を経時的に示した線図である。図において、縦軸はグリセリド中の共役リノール酸の価数、横軸は37℃の反応時間(hr)であり、◆はバター、■はコーン油、▲はヤシ油、●はイワシ油である。図2は共役リノール酸含有脂質の吸収速度を示す線図である。図において、縦軸は血中トリグリセリド濃度(mg/dl)、横軸は時間(hr)であり、◆はCLA(共役リノール酸)、■はCLA−TG(共役リノール酸含有トリグリセリド)、▲はコントロールである。 共役リノール酸とグリセロールとがエステル結合を形成してなる共役リノール酸グリセリドを得る製造法であって、 リノール酸グリセリド含有油脂と、このリノール酸グリセリドを共役リノール酸グリセリドに変換する共役二重結合産生能力を有する微生物又は該微生物の産生する酵素とを作用させて異性化する工程を備え、 前記共役二重結合産生能力を有する微生物として、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ(Lactobacillus delbrueckii(ss.delbrueckii))、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii(ss.bulgaricus))、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・オリス(Lactobacillus oris)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sakei)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ユーバクテリウム・バイフォーム(Eubacterium biforme)、ユーバクテリウム・コプロスタノリジェンス(Eubacterium coprostanoligens)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライキィ(Propionibacterium freudenreichii)から選ばれた微生物を用いることを特徴とする共役リノール酸エステルの製造法。 前記共役二重結合産生能力を有する微生物として、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)YIT4007(FERM BP-791)株、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)YIT4018(ATCC15697)株、YIT4019(ATCC15702)株、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)YIT0070(ATCC4356)株、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)YIT0033(NIRD T-6)株、YIT0076(ATCC14869)株、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ. デルブルッキィ(Lactobacillus delbrueckii(ss.delbrueckii))YIT0080(ATCC9649)株、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ. ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii(ss.bulgaricus))YIT0181(ATCC11842)株、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri) YIT0168 株、YIT0192(DSM20243)株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)YIT0083(ATCC15009)株、YIT0085(ATCC521)株、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)YIT0202(JCM1022)株、ラクトバチルス・オリス(Lactobacillus oris)YIT0277(NCFB2160)株、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)YIT0313株、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sakei)YIT0247(JCM1157)株、プロピオニバクテリウム・フロイデンライキィ(Propionibacterium freudenreichii)ATCC6207株、ユーバクテリウム・バイフォーム(Eubacterium biforme)YIT6076(ATCC27806)株、ユーバクテリウム・コプロスタノリジェンス(Eubacterium coprostanoligens)YIT6166(ATCC51222)株から選ばれた微生物であることを特徴とする請求項1に記載の共役リノール酸エステルの製造法。


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