タイトル: | 特許公報(B2)_コレステロールの定量法 |
出願番号: | 2000607015 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 33/92 |
山本 光章 高橋 洋子 谷口 由利子 小田原 祥子 中西 一夫 中村 光浩 日野 浩一 JP 4544751 特許公報(B2) 20100709 2000607015 20000317 コレステロールの定量法 積水メディカル株式会社 390037327 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 小野 信夫 100086324 山本 光章 高橋 洋子 谷口 由利子 小田原 祥子 中西 一夫 中村 光浩 日野 浩一 JP 1999080503 19990324 20100915 G01N 33/92 20060101AFI20100826BHJP JPG01N33/92 A G01N 33/92 特開平11−056395(JP,A) 特開平08−201393(JP,A) 19 JP2000001663 20000317 WO2000057191 20000928 15 20061227 白形 由美子 技術分野本発明は、少ない試料で簡便な操作により効率良く特定リポ蛋白画分に存在するコレステロールを分別定量することのできるコレステロールの定量法に関する。背景技術コレステロール等の脂質は、血清中においてアポ蛋白質と結合し、リポ蛋白を形成している。リポ蛋白は物理的な性状の違いにより、カイロミクロン、超低比重リポ蛋白(VLDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)等に分類される。これらのリポ蛋白のうち、LDLは動脈硬化を引き起こす原因物質の一つであり、一方HDLは抗動脈硬化作用を示す事が知られている。疫学的には、LDL中のコレステロール値は、動脈硬化性疾患の発症頻度と正相関を示し、一方、HDL中のコレステロール値は動脈硬化性疾患の発症頻度と逆相関を示す事が知られており、今日では、虚血性心疾患の予防や診断を目的としてHDL中のコレステロールやLDL中のコレステロールの測定が広く行われている。このHDLやLDL中のコレステロールの測定法としては、たとえば超遠心分離によってHDLやLDLを他のリポ蛋白と分離した後、コレステロール測定に供する方法や、電気泳動によって分離した後に脂質の染色を行って、その発色強度を測定する方法が知られている。しかしながら、これらの方法は、いずれも、操作が煩雑であったり、多数の検体を処理できないなどの問題があり、日常的にはほとんど用いられていない方法である。HDL中のコレステロールの測定方法として、臨床検査の領域で一般に広く用いられている方法は、検体に沈澱剤を加えてHDL以外のリポ蛋白を凝集させ、これを遠心分離によって取り除き、分離されたHDLのみを含む上清中のコレステロールを測定する沈澱法である。この方法は、沈澱法や電気泳動法に比較して簡便であるものの、沈澱剤を加えて分離する操作を含むために、比較的多量の検体量を要し、又、分析誤差を生じる可能性も高く、全分析工程を完全に自動化する事はできなかった。一方、酵素的にHDL中のコレステロールを分別定量する方法も検討されている。たとえば、胆汁酸塩及び非イオン系界面活性剤の存在下に、酵素反応を行う方法(特開昭63−126498号)が知られている。この方法は、反応初期の酵素反応はLDLコレステロール濃度に比例し、その後HDL中のコレステロール濃度に比例する事を利用したものであるが、HDL中のコレステロールと他のリポ蛋白中のコレステロールの反応を完全に分別する事はできず、正確性に問題があった。また、HDL以外のリポ蛋白をあらかじめ凝集させておき、HDL中のコレステロールのみを酵素的に反応させた後に、酵素を失活させると同時に凝集を再溶解して吸光度を測定するという方法(特開平6−242110号)が知られている。しかしながら、この方法は少なくとも3回の試薬を添加する操作が必要であるため、限定された自動分析装置にしか適用できず、汎用性の点で問題があった。また、沈澱の再溶解に際しては、高濃度の塩を使う等、分析器機に対するダメージや試薬廃棄の点でも満足できるものではなかった。更に、特許第2600065号では、通常の沈澱法に用いられる、HDL以外のリポ蛋白を沈澱させる沈澱試薬と一般的なコレステロール測定試薬を組み合わせて使用し、沈澱しないHDL中のコレステロールを測定する方法が開示されており、修飾酵素と硫酸化α−シクロデキストリンの組み合わせで実施できるものとされている。更にまた、沈澱剤の影響を軽減するために界面活性剤を共存させるもの(特開平8−116996号)やHDL以外を沈澱させるものとして従来沈澱法に用いられていた試薬以外でも、抗体を使用するもの(特開平9−96637号)、カラギナンを使用するもの(特開平9−121895号)、糖化合物を使用するもの(特開平7−301636号)などがあるが、正常な血清を混合した際でも凝集による濁りの生成があったり、測定対象でないHDL以外のリポ蛋白(LDL、VLDL等)を凝集させることを条件としているなどの問題があった。また、LDL中のコレステロール測定法として、臨床検査の領域で一般に広く用いられる方法としては、フリードワルドら(クリニカル ケミストリー、1972年 18巻、459−502頁)の方法が知られている。この方法は、酵素的方法により求めた総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の値を用いて、LDLコレステロールを算出する方法であるが、中性脂肪400mg/dlを超える場合には適用できないなどの問題がある。したがって、本発明の目的は、遠心分離などの前処理の必要がなく、簡便な操作で効率よく測定する事ができ、種種の自動分析装置に適用できる特定画分中のコレステロールの定量法を提供することにある。発明の開示かかる実状において、本発明者等は鋭意研究を行った結果、試料中の一方のリポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物と、試料中の他方のリポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤の存在下でコレステロール測定用酵素試薬との反応を行えば、試料中の特定のリポ蛋白中に存在するコレステロールとその他のリポ蛋白に含まれるコレステロールの反応に顕著な差を設けることができ、実質的に十分な感度で目的とするリポ蛋白中のコレステロールを分別測定できることを見出した。すなわち本発明は、試料中の非測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の測定リポ蛋白画分中に存在するコレステロールを測定することを特徴とする選択的コレステロールの定量法である。また本発明は、試料中の測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、非測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の非測定リポ蛋白中に存在するコレステロールを優先的に反応させた後、残存する測定リポ蛋白中のコレステロールを測定することを特徴とする選択的コレステロールの定量法である。更に本発明は、試料中の第1の測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、第1のリポ蛋白に比べ試料中の第2の測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の第2の測定リポ蛋白に存在するコレステロールを優先的に反応させた後、残存する第1の測定リポ蛋白中のコレステロールを測定し、更にこれと総コレステロール濃度から、各リポ蛋白のコレステロール濃度を求める方法である。更にまた本発明は、上記各方法を実施するための試料中の一方のリポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、他方のリポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロールの定量用試薬を提供するものである。発明を実施するための最良の形態本発明においては、リポ蛋白中に含まれるコレステロールをコレステロール測定用試薬と反応させるに先立ち、試料中の一方のリポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物(以下、「選択親和剤」という)および他方のリポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤(以下、「選択作用活性剤」という)を添加することが必要である。このうち、選択親和剤は、反応ないしは測定を希望しないリポ蛋白と相互作用を有し、当該リポ蛋白のコレステロール測定用試薬との反応を妨害ないしは抑制する働きをするものである。また、選択作用活性剤は、反応ないしは測定すべきリポ蛋白と反応ないしは測定を希望しないリポ蛋白が同一系中に存在する場合に、反応ないしは測定すべきリポ蛋白に対して強く作用し、これとコレステロール測定用試薬との反応を促進する作用を有するものである。本発明で使用する選択親和剤および選択作用活性剤には、それぞれ一方のリポ蛋白に対する相対的な親和性および他方のリポ蛋白に対する相対的に強い作用を有するものであり、絶対的なものまでは要求されない。その理由は、一方のみの選択使用では問題となる相対的な誤差も、両者の使用により問題とならないレベルまで低減され、実用上は問題とならないからである。本発明において使用される選択親和剤は、反応ないしは測定を希望しないリポ蛋白のリポ蛋白表層を構成する成分に対し親和性を有する化合物が挙げられる。ここでいうリポ蛋白表層を構成する成分としては、コレステロール、リン脂質、アポ蛋白質等が挙げられる。この選択親和剤としては、サポニン類、ポリエン系物質、コレステロール誘導体、ペプチド類、レクチン類、リン脂質誘導体等を挙げることができる。このうちコレステロールに親和性を有するサポニン類としては、例えばジギトニン、トマチンなどが、ポリエン系物質としては、ナイスタチン、フィリピン、ピマシリン、ペンタマイシン、トリコマイシン、フンジクロミン、ペリマイシン、アンホテリシン、エトルスコマイシン、プリマイシン、カンジジンなどが、コレステロール誘導体としては、[N−[2−(コレステリルカルボキシアミノ)エチル]カルバモイルメチル]プルラン(略称:Chol−AECM−プルラン)などが、ペプチド類としてはバシトラシン、ポリミキシン、スズカシリン、グラミシジンなどが、レクチン類としてはコンカナバリンA、ヒマレクチン、ピーナッツレクチンなどが、リン脂質誘導体としては、L−α−ホスファチジルグリセロールジパルミトイルなどがそれぞれ挙げられる。前記例示した選択親和剤のうち、一部のものは試薬組成などの条件によっては、リポ蛋白を含む試料と混合させた際に若干の濁りが観察されることがあるので、リポ蛋白の凝集が生じている場合もあると推定される。しかしながら、本発明にとって、非測定リポ蛋白が凝集していることは必須ではない。例えば、サポニン誘導体であるジギトニン、コレステロール誘導体であるChol−AECM−プルラン、ポリエン系物質であるフィリピン、リン脂質誘導体であるL−α−ホスファチジルグリセロールジパルミトイルなどは、それぞれ本発明の効果が得られる条件でリポ蛋白を含む試料と混合しても濁りは観察されない。本発明の選択親和剤にとって重要なことは、リポ蛋白中のコレステロールと酵素の反応を妨害ないしは抑制するような形で、リポ蛋白表層を構成する成分と吸着あるいは結合等をすることであり、リポ蛋白どうしが凝集して塊を形成する必要は全くない。これらの選択親和剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いる事ができ、またその使用量は、化合物によって異なり、特に制限されるものではないが、1nM〜0.1Mまたは1×10−7%〜10%の範囲程度であり、好ましくは10nM〜0.1Mまたは1×10−6%〜1%で使用される。またこれら化合物を溶解する目的で、アルコールなどの有機溶媒類、界面活性剤類、リン脂質類を用いてもよい。これらの溶解剤類は単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いる事ができ、またその使用量は化合物によって異なり、特に制限されるものではない。一方、選択作用活性剤としては、反応ないしは測定すべきリポ蛋白と反応ないしは測定を希望しないリポ蛋白に対する作用強度が相違するものであればイオン性、非イオン性のいずれでも良く、例えば、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテル等が挙げられる。特に好ましい選択作用活性剤としては、それ単独で特定のリポ蛋白に対し特に強い反応性を有する界面活性剤として公知のポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルが挙げられる(特開平9−313200号)。これらの選択作用活性剤の市販品の例としてはTritonX−100、エマルゲン709、エマルゲンA−60、エマルゲンB−66、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸などを挙げることができる。本発明の選択作用活性剤は、単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いる事ができる。またその使用量は化合物によって異なり、特に制限されるものではないが、0.0001%〜5%で、好ましくは0.001%〜5%で使用される。本発明を実施するにあたり、選択親和剤と選択作用活性剤とを、検体である血清へ添加するに際しては、それぞれを別途添加しても、またこれらを混合物として同時に添加してもよい。更にコレステロールの測定方法としては、公知の酵素的測定法のいずれも用いる事ができるが、例えば酵素試薬としてコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを組み合わせて用いる方法、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールデヒドロゲナーゼを組み合わせて用いる方法等が挙げられる。これらのうち、コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを組み合わせて用いる方法が好ましい。更にまた、これらのコレステロール測定用酵素試薬を添加した後、最終的にコレステロールを検出する方法は特に制限されず、例えばパーオキシダーゼと色原体をさらに組み合わせて行う吸光度分析、補酵素や過酸化水素を直接検出する方法等が挙げられる。本発明方法の具体的態様は、次の方法で示される。(1)試料中の非測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の測定リポ蛋白中に存在するコレステロールを測定することを特徴とする選択的コレステロールの定量法。(2)試料中の測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、非測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の非測定リポ蛋白中に存在するコレステロールを優先的に反応させた後、残存する測定リポ蛋白中のコレステロールを測定することを特徴とする選択的コレステロールの定量法。(3)試料中の第1の測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、第1のリポ蛋白に比べ試料中の第2の測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の第2の測定リポ蛋白中に存在するコレステロールを優先的に反応させた後、残存する第1の測定リポ蛋白中のコレステロールを測定し、更にこれと総コレステロール濃度から、各リポ蛋白中のコレステロール濃度を求める方法。また、上記方法の実施に当たっては、選択親和剤、選択作用活性剤およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロールの定量用試薬を使用することが便利である。このコレステロール定量試薬は、上記各方法に対応して、次の如く構成される。方法(1)を実施するための試薬:試料中の非測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロール定量用試薬。方法(2)を実施するための試薬:試料中の測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、非測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロールの定量用試薬。方法(3)を実施するための試薬:試料中の第1の測定リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物、第1のリポ蛋白に比べ試料中の第2の測定リポ蛋白に対し相対的に強く作用する界面活性剤およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロールの定量用試薬上記のコレステロールの定量用試薬中には、一般的に汎用される緩衝液、例えば、りん酸、グッドの緩衝液などを含有させることができる。この定量用試薬を溶解させた場合のpHの範囲も酵素試薬に影響しない範囲であれば特に限定されるものではない。また塩化ナトリウムなどの無機の塩、酵素活性安定化のため使用されるアルブミンなどの添加剤、2価金属の塩や防腐効果のある化合物なども使用することができる。以上説明した本発明方法によれば、遠心分離などの前処理の必要がなく、簡便な操作で効率良く特定画分中のコレステロールを定量する事ができる。また、少ない試料で、簡便な操作により、特異的な測定が可能であるため、種々の自動分析装置に適用でき、臨床検査の領域に置いても極めて有用である。実施例次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。実施例 1リポ蛋白を含む検体について、下記方法で検体を調製後、同じく下に示す方法でリポ蛋白画分毎のコレステロール量を測定し、反応性を比較した。この結果を表1に示す。(検体の調製)ヒト血清から超遠心分離法により、VLDL、LDL、HDLの各画分に分離し試料とした。(測定法)検体3μlに、0.005%ジギトニンを含む50mMのりん酸緩衝液(pH6.5)(第1試薬)300μlを添加した。次いで約5分後に、トリトンX−100 0.2%、コレステロールエステラーゼ1U/ml、コレステロールオキシダーゼ1U/ml、パーオキシダーゼ5U/ml及びジスルホブチルメタトルイジン0.04%、4−アミノアンチピリン0.004%を含む50mMのりん酸緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第2試薬)100μlを加えた。コレステロール測定試薬添加直前と添加後5分後の600nmと700nmにおける吸光度を測定し、その差よりリポ蛋白画分間の反応性を比較した(2ポイント法)。なお、以上の操作は、日立7150型自動分析装置を用いて行った。(結果)表1の結果より、ジギトニンを系内に存在させることによりLDL中のコレステロールやVLDL中のコレステロールに比べHDL中のコレステロールが優先的に酵素反応することが分かる。実施例 2実施例1の第1試薬のジギトニンを0.005%Chol−AECM−プルラン、第2試薬の界面活性剤トリトンX−100を1%エマルゲンB−66に代える以外は実施例1に従って測定し、測定値を比較した。この結果を表2に示す。(結果)表2の結果よりChol−AECM−プルランを系内に存在させることにより、LDL中のコレステロールやVLDL中のコレステロールに比べHDL中のコレステロールが優先的に酵素反応することが分かる。実施例 3実施例1と同様に調製した検体を使用し、下記組成の試薬により、実施例1と同様の方法でリポ蛋白画分毎のコレステロール量を測定し、反応性を比較した。この結果を表3に示す。(使用試薬)第1試薬:5mM L−α−ホスファチジルグリセロールジパルミトイル、0.5%TritonX−100を含む50mMのPIPES緩衝液(pH6.5)。コレステロール測定試薬:コレステロールエステラーゼ 1U/ml、コレステロールオキシダーゼ 1U/ml、パーオキシダーゼ 5U/ml、ジスルホブチルメタトルイジン0.04%及び4−アミノアンチピリン0.004%を含む50mM のPIPES緩衝液(pH6.5)。(結果)表3の結果より、L−α−ホスファチジルグリセロールジパルミトイルを系内に存在させることによりLDL中のコレステロールやVLDL中のコレステロールに比べ、HDL中のコレステロールが優先的に酵素反応することが分かる。実施例 4リポ蛋白を含む25例の血清検体について、本発明方法及び従来の沈澱法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。すなわち、検体3μlに、ジギトニン0.005%(40μM)を含む50mMのMES緩衝液(pH6.5)(第1試薬)300μlを添加した。次いで約5分後に、エマルゲンB−66 1%、コレステロールエステラーゼ1U/ml、コレステロールオキシダーゼ1U/ml、パーオキシダーゼ5U/ml及びジスルホブチルメタトルイジン0.04%、4−アミノアンチピリン0.004%を含む50mMのりん酸緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬(第2試薬)100μlを加えた。コレステロール測定試薬添加直前と添加5分後での、600nmと700nmにおける吸光度を測定し、その差より血清検体中のHDLコレステロール濃度を求めた(2ポイント法)。また、較正用物質として濃度既知のコントロール血清を用いた。なお、以上の操作は、日立7150型自動分析装置を用いて行った。一方、沈澱法(比較法)でのHDL中のコレステロールの測定は、次のようにして行った。すなわち、リンタングステン酸ナトリウム0.3%及び塩化マグネシウム2%を含む水溶液200μlを検体200μlと混和し、3000rpmで10分間遠心分離を行った。この上清50μlを採取し、TritonX−100 1%、コレステロールエステラーゼ1U/ml、コレステロールオキシダーゼ1U/ml、パーオキシダーゼ5U/ml及びジスルホブチルメタトルイジン0.04%、4−アミノアンチピリン0.004%を含む100mMのMES緩衝液(pH6.5)からなるコレステロール測定試薬3mlと混合し、37℃で10分間インキュベートした後、600nmにおける吸光度を測定し、HDL中のコレステロール濃度を求めた。これらの結果を表4および図1に示す。(結果)表4および図1に示したとおり、本発明方法は簡便な操作であるにもかかわらず、従来の沈澱法と極めて良好な相関を有するものであることが示された。実施例 5実施例4において、第1試薬に加えたジギトニンを、0.1%ポリミキシンBおよび0.005%コンカナバリンAに代える以外は実施例4と同一にし、リポ蛋白を含む25例の血清検体について、本発明方法及び従来の沈澱法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。この結果を表5および図2に示す。(結果)表5および図2の結果より、本発明方法は簡便な操作であるにもかかわらず、従来の沈澱法と良好な相関を有するものであることが示された。実施例 6実施例4において、第1試薬にて加えたジギトニンを0.005%(76μM)フィリピンに代える以外は実施例4と同一にし、リポ蛋白を含む25例の血清検体について、本発明方法及び従来の沈澱法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。この結果を表6および図3に示す。(結果)表6および図3の結果より、本発明方法は簡便な操作であるにもかかわらず、従来の沈澱法と良好な相関を有するものであることが示された。実施例 7リポ蛋白を含む30例の血清検体について、本発明方法及び従来の沈澱法により、HDL中のコレステロールを定量し、これらの測定値を比較した。すなわち、検体2μlに、ジギトニン0.0075%(60μM)、エマルゲンB−66 0.25%、コレステロールエステラーゼ0.25U/ml、コレステロールオキシダーゼ0.25U/ml、パーオキシダーゼ1.25U/ml、ジスルホブチルスタトルイジン0.01%、及び4−アミノアンチピリン0.005%を含む50mMのPIPES緩衝液(pH6.5)からなる選択親和剤を含むコレステロール測定試薬260μlを加えた。検体に選択親和剤を含むコレステロール測定試薬添加後、約2分及び約7分の時点で、600nmと700nmにおける吸光度を測定し、その差より血清検体中のHDLコレステロールを求めた(2ポイント法)。また、較正用物質として濃度既知のコントロール血清を用いた。なお、以上の操作は、日立7170型自動分析装置を用いて行った。なお、沈澱法(比較法)でのHDL中のコレステロールの測定は、実施例3と同様に行った。これらの結果を表7及び図4に示す。(結果)表7及び図4に示したとおり、本発明方法は簡便な操作であるにもかかわらず、従来の沈澱法と極めて良好な相関を有するものであることが示された。【図面の簡単な説明】図1は、実施例4の方法と従来の沈澱法との相関関係を示す図面である。図2は、実施例5の方法と従来の沈澱法との相関関係を示す図面である。図3は、実施例6の方法と従来の沈澱法との相関関係を示す図面である。図4は、実施例7の方法と従来の沈澱法との相関関係を示す図面である。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する、サポニン、ポリエン系物質、コレステロール誘導体、ペプチド類、レクチン類、リン脂質誘導体からなる群より選ばれる化合物の1種以上、測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白に対し相対的に強く作用する、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルからなる群より選ばれる界面活性剤の1種以上およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白画分中に存在するコレステロールを測定することを特徴とするコレステロールの定量法。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物がサポニンである請求項第1項記載のコレステロールの定量法。 サポニンがジギトニンまたはトマチンである請求項第2項記載のコレステロールの定量法。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物がポリエン系物質である請求項第1項記載のコレステロールの定量法。 ポリエン系物質がポリエン系抗生物質である請求項第4項記載のコレステロールの定量法。 ポリエン系物質がナイスタチン、フィリピン、ピマシリン、ペンタマイシン、トリコマイシン、フンジクロミン、ペリマイシン、アンホテリシン、エトルスコマイシン、プリマイシンおよびカンジジンよりなる群から選ばれたものである請求項第4項記載のコレステロールの定量法。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物がコレステロール誘導体である請求項第1項記載のコレステロールの定量法。 コレステロール誘導体が[N−[2−(コレステリルカルボキシアミノ)エチル]カルバモイルメチル]プルランである請求項第7項記載のコレステロールの定量法。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物がペプチド類である請求項第1項記載のコレステロールの定量法。 ペプチド類がバシトラシン、ポリミキシン、スズカシリンまたはグラミシジンである請求項第9項記載のコレステロールの定量法。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物がレクチン類である請求項第1項記載のコレステロールの定量法。 レクチン類がコンカナバリンA、ヒマレクチンまたはピーナッツレクチンである請求項第11項記載のコレステロールの定量法。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する化合物がリン脂質誘導体である請求項第1項記載のコレステロールの定量法。 リン脂質誘導体がL−α−ホスファチジルグリセロールジパルミトイルである請求項第13項記載のコレステロールの定量法。 試料中の非測定リポ蛋白である超低比重リポ蛋白、低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する、サポニン、ポリエン系物質、コレステロール誘導体、ペプチド類、レクチン類、リン脂質誘導体からなる群より選ばれる化合物の1種以上、測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白に対し相対的に強く作用する、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルからなる群より選ばれる界面活性剤の1種以上およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロール定量用試薬。 試料中の測定リポ蛋白である低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する、サポニン、ポリエン系物質、コレステロール誘導体、ペプチド類、レクチン類、リン脂質誘導体からなる群より選ばれる化合物の1種以上、非測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白に対し相対的に強く作用する、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルからなる群より選ばれる界面活性剤の1種以上およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の非測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白画分中に存在するコレステロールを優先的に反応させた後、残存する測定リポ蛋白である低比重リポ蛋白中のコレステロールを測定することを特徴とするコレステロールの定量法。 試料中の測定リポ蛋白である低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する、サポニン、ポリエン系物質、コレステロール誘導体、ペプチド類、レクチン類、リン脂質誘導体からなる群より選ばれる化合物の1種以上、非測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白に対し相対的に強く作用する、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルからなる群より選ばれる界面活性剤の1種以上およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロールの定量用試薬。 試料中の第1の測定リポ蛋白である低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する、サポニン、ポリエン系物質、コレステロール誘導体、ペプチド類、レクチン類、リン脂質誘導体からなる群より選ばれる化合物の1種以上、第1のリポ蛋白である低比重リポ蛋白に比べ試料中の第2の測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白に対し相対的に強く作用する、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルからなる群より選ばれる界面活性剤の1種以上およびコレステロール測定用試薬の存在下、試料中の第2の測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白中に存在するコレステロールを優先的に反応させた後、残存する第1の測定リポ蛋白である低比重リポ蛋白中のコレステロールを測定し、更にこれと総コレステロール濃度から、各リポ蛋白中のコレステロール濃度を求める方法。 試料中の第1の測定リポ蛋白である低比重リポ蛋白に対し相対的に強い親和性を有する、サポニン、ポリエン系物質、コレステロール誘導体、ペプチド類、レクチン類、リン脂質誘導体からなる群より選ばれる化合物の1種以上、第1のリポ蛋白である低比重リポ蛋白に比べ試料中の第2の測定リポ蛋白である高比重リポ蛋白に対し相対的に強く作用する、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレントリベンジルフェニルエーテルからなる群より選ばれる界面活性剤の1種以上およびコレステロール測定用試薬を別個にまたは組み合わせて構成されるコレステロールの定量用試薬。