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タイトル:特許公報(B2)_OmpTプロテアーゼによる切断を制御する方法
出願番号:2000602803
年次:2010
IPC分類:C12P 21/02,C12N 15/09,C12R 1/19


特許情報キャッシュ

奥野 和昭 籔田 雅之 大末 和廣 JP 4471501 特許公報(B2) 20100312 2000602803 20000303 OmpTプロテアーゼによる切断を制御する方法 アスビオファーマ株式会社 503062312 社本 一夫 100089705 増井 忠弐 100076691 小林 泰 100075270 千葉 昭男 100080137 富田 博行 100096013 村上 清 100092886 奥野 和昭 籔田 雅之 大末 和廣 JP 1999057731 19990304 20100602 C12P 21/02 20060101AFI20100513BHJP C12N 15/09 20060101ALI20100513BHJP C12R 1/19 20060101ALN20100513BHJP JPC12P21/02 CC12N15/00 AC12P21/02 CC12R1:19 C12P21/02 C12N15/00〜15/90 PubMed Biochemistry International, vol.27, p.601-612 (1992) Mol Gen Genet, vol.233, p.42-48 (1992) J Bacteriol, vol.174, p.2404-2406 (1992) Biosci Biotechnol Biochem, vol.66, p.127-134 (2002) Biotechnol Appl Biochem, vol.36, p.77-84 (2002) 15 JP2000001309 20000303 WO2000052193 20000908 90 20070301 光本 美奈子 【0001】 発明の分野 本発明は、大腸菌OmpTプロテアーゼの基質特異性を調べて見いだされた新規の切断部位および認識部位に関する知見を応用して、ポリペプチドに対するOmpTプロテアーゼによる切断を制御する方法である。【0002】 本発明の一つは、OmpTプロテアーゼを用いてポリペプチドを切断処理する方法に関する。詳細にはOmpTプロテアーゼの新規の切断部位および認識部位を利用して、ポリペプチドを切断処理する方法である。【0003】 本発明はまた、OmpTプロテアーゼを利用し、生理活性ペプチド、タンパク質およびそれらの誘導体を融合タンパク質から切出す方法に関する。詳細にはOmpTプロテアーゼの基質特異性を調べた結果、新規の切断方法、切断部位および認識部位を見出し、この性質を利用して、融合タンパク質から生理活性ペプチド、タンパク質およびそれらの誘導体を効率よく生産する方法である。【0004】 本発明はさらに、ポリペプチドにおける不所望の部位でのOmpTプロテアーゼによる切断を回避する方法に関し、特に宿主細胞により生理活性ペプチド、タンパク質およびそれらの誘導体を生産する場合に、これらのOmpTプロテアーゼによる切断を回避する方法に関する。すなわち、生理活性ペプチド、タンパク質およびそれらの誘導体のOmpTプロテアーゼ切断部位およびその周辺のアミノ酸配列を変換することにより切断されないようにする(されにくくする場合を含む)方法である。【0005】 従来の技術 大腸菌OmpTプロテアーゼは大腸菌外膜画分に存在し、主に塩基性アミノ酸対の間を選択的に切断するプロテアーゼである(Sugimura, K. and Nishihara, T. J. Bacteriol. 170:5625-5632, 1988)。本酵素は分子量36000の大きさを持ち、セリンプロテアーゼに属するプロテアーゼと考えられている。Sugimura等はこのOmpTプロテアーゼについて、基質特異性を調べ、本酵素がアルギニン-アルギニン、リジン-リジン、アルギニン-リジンおよびリジン-アルギニンの塩基性アミノ酸対の中央のペプチド結合を特異的に切断する酵素であることを報告している。さらに、これら以外のアミノ酸配列における切断も見い出され、これまでにアルギニン-メチオニン(Zhao,G-P.and Somerville, R. L. J. Biol. Chem. 268, 14912-14920, 1993)、アルギニン-アラニン(Lassen,S. F.et.al. Biochem. Int. 27: 601-611, 1992)、アルギニン-バリン(Maurer,J. J.Bacteriol. 179: 794-804, 1997)の配列における切断が報告されている。本プロテアーゼの特徴はこれらの配列を含むタンパク質およびペプチドのすべてを切断するわけではなく、特定のタンパク質およびペプチドの特定部位のみを切断する点である。例えば、γ-インターフェロンでは上述の配列が10個存在しているが、OmpTプロテアーゼで切断を受けるのは、その内の2ヶ所である(Sugimura, K. and Higashi, N. J. Bacteriol.170:3650-3654, 1988)。またT7 RNAポリメラーゼでは上記の配列が17個存在するのに対し、切断を受けるのは2ヶ所である(Grondberg, J. and Dunn, J. J. J. Bacteriol.170:1245-1253, 1988)。これらの事実からタンパク質のペプチドマッピングに汎用されるAP-1やトリプシン酵素は既知の切断部位の情報から切断個所を予想することが可能であるが、OmpTプロテアーゼの場合には上記の既知の切断部位の情報がまったく適応できないと言える。このようにOmpTプロテアーゼによる切断はタンパク質あるいはペプチドの特定部位で生じるため、その切断には上記のアミノ酸配列以外のアミノ酸配列、すなわち切断部位のN末端側およびC末端側のアミノ酸配列が関与していることが推測されるが、どのようなアミノ酸配列があれば切断されるのか、またどのようなアミノ酸配列がある場合には切断されないのかについてその詳細は現在のところ不明である。【0006】 しかし、切断部位に対する特異性の高さ、さらには大腸菌自体に内在しているプロテアーゼであることより、本プロテアーゼは遺伝子組換え技術で作製した融合タンパク質から目的ポリペプチドを遊離させる際に用いられている。Hankeらは大腸菌を用いたコレステロールエステラーゼの分泌生産にあたり、それを大腸菌ヘモリシンAタンパク質と融合させて菌体外に分泌させた後、外膜に存在しているOmpTプロテアーゼを作用させて融合タンパク質から活性あるコレステロールエステラーゼを得ることに成功している。彼らは、アルギニン-リジンの配列を持つリンカーを配し、この配列をOmpTプロテアーゼで切断している。(Hanke, C et. al. Mol. Gen Genet.233: 42-48, 1992) また本発明者等はOmpTプロテアーゼが変性剤に対して抵抗性があることを見い出し、この性質を利用することで封入体として発現された融合タンパク質を変性剤の存在下で切断できることを示した。すなわち大腸菌発現系で封入体としてS. aureus V8プロテアーゼ誘導体融合タンパク質を発現し、それを尿素により可溶化した後、尿素存在下でOmpTプロテアーゼを働かせ、融合タンパク質からV8プロテアーゼ誘導体部分を遊離し、リフォールディングを行ない、酵素活性を有するV8プロテアーゼ誘導体を生産することに成功している(Yabuta, M., Ochi, N. and Ohsuye, K. Appl. Microbiol. Biotechnol.44: 118-125, 1995)。【0007】 通常、融合タンパク質から目的ペプチドあるいは目的タンパク質を遊離させる際には、アミノ酸配列に対する特異性の高い酵素が多く用いられている。それらに使われるプロテアーゼには、Xa因子、トロンビン、エンテロキナーゼ等が知られているが、これらの酵素は哺乳類を起源とする酵素であり、その供給量は低く、コストが高いため、融合タンパク質法によるペプチドおよびタンパク質の工業的大量処理には適していない。さらには目的ペプチド、タンパク質を医薬品として用いる際には、酵素に由来するウイルス汚染についても考慮することが必要となる。これに対し、OmpTプロテアーゼは大腸菌に起源を持つことより、供給量、コストおよび安全性の面においてこれらの酵素より優れていることは明白である。【0008】 しかし、本プロテアーゼの基質特異性が十分に調べられておらず、そのため目的とする部位で自由に切断部位をデザインし、切断することは困難であるのが現状である。また、上述のように、これまで報告されている切断部位であるアルギニン-アルギニン、リジン-リジン、アルギニン-リジン、リジン-アルギニン、アルギニン-メチオニン、アルギニン-アラニンおよびアルギニン-バリンにおいても、タンパク質中のこれらの配列をすべて切断するわけではなく特定の部位のみ切断する。従って、単にこれらの2アミノ酸からなる配列を融合タンパク質のリンカー部位に配したとしても、その部位がOmpTプロテアーゼで切断されるとは限らない。もし、切断できたとしても、OmpTプロテアーゼは2アミノ酸からなる切断部位において、その中央のペプチド結合を切断するため、保護ペプチド-OmpTプロテアーゼの切断部位アミノ酸配列-目的ポリペプチドの順に配された融合タンパク質を本酵素で切断した場合、切断部位の+1位に由来するアミノ酸が目的ポリペプチドのN末端に付加されてしまうこととなる。さらにこの付加されるアミノ酸は自由に選択できず、これまで報告されているOmpTプロテアーゼの認識配列からアルギニン、リジン、バリン、アラニン、メチオニンのいずれかに限定せざるえない。OmpTプロテアーゼのこのような性質は、融合タンパク質の切断に用いるプロテアーゼとしては好ましくない性質であった。【0009】 一方、プロテアーゼであるパパインの切断率は基質側の切断部位のみならずその周辺アミノ酸配列により影響を受けることが知られている(Schechter, I. and Berger, A. Biochem. Biophys. Res. Commun. 27: 157-162 1967)。また近年、塩基性アミノ酸対のC末端側を切断するプロテアーゼであるKex2(Rockwell, N. C., Wang, G. T., Krafft, G. A. and Fuller, R. S. Biochemistry36, 1912-1917 1997)やfurin (Krysan, D. J., Rockwell, N. C. and Fuller, R. S. J. Biol. Chem.274, 23229-23234 1999)においても詳細に検討されている。Kex2およびfurinでは基質のアミノ酸配列の比較により切断部位およびその周辺アミノ酸配列のコンセンサス配列が明らかになっている。しかし、OmpTプロテアーゼに関してこれまでに知られている基質のアミノ酸配列の比較により切断部位のN末端側1番目のアミノ酸としてアルギニンまたはリジンが必須であると考えられているがそれ以外の明確なコンセンサス配列は見出されていない。従って、OmpTプロテアーゼの切断部位認識および切断率も基質側の切断部位のみならずその周辺アミノ酸配列により影響を受けていると考えられるが現状ではこれらを利用してOmpTプロテアーゼの切断を制御することは不可能である。【0010】 ここで本発明において、ポリペプチド中のアミノ酸の位置の表記については、ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸からなる配列部位をOmpTプロテアーゼによる切断部位又は切断を所望する部位とし、当該部位に係るアミノ酸のうち、N端側のアミノ酸を−1位及びC末端側のアミノ酸を+1位とする。そして、当該部位のN末端側1番目、2番目、3番目・・・のアミノ酸をそれぞれ−1位、−2位、−3位・・・のアミノ酸、及びC末端側1番目、2番目、3番目・・・のアミノ酸をそれぞれ+1位、+2位、+3位・・・のアミノ酸とする。さらに当該部位およびその周辺アミノ酸配列にアミノ酸置換を導入して切断を受けなくなった場合および切断を受けるようになった場合においても配列上の対応するアミノ酸の位置としてこれらを用いることとする。例えば、アミノ酸配列−ロイシン−チロシン−リジン−アルギニン−ヒスチジン−において、任意の連続する2つのアミノ酸をリジンとアルギニンとして当該アミノ酸配列部位の間で切断される場合、ロイシンが−3位、チロシンが−2位、リジンが−1位、アルギニンが+1位、ヒスチジンが+2位のアミノ酸となる。【0011】 発明の概要 上述したようにOmpTプロテアーゼの有用性は大きい。しかし現状では、OmpTプロテアーゼを融合タンパク質の切断酵素として用いた場合、切断部位のアミノ酸配列をどのようにデザインしたら特異的に切断が可能なのか明らかでない、得られる目的ペプチドのN末端アミノ酸の種類が限定されるため得ることのできる目的ペプチドの種類が限られる、効率的な切断が行えないという問題点が挙げられる。しかし、OmpTプロテアーゼの切断部位およびその周辺アミノ酸配列をさらに調べ、新たな切断方法や認識・切断配列を見い出せれば、上記のこれらの制限を解決することができ、本酵素が融合タンパク質の切断酵素としてさらに有用となることが期待できる。【0012】 逆に、大腸菌を用いたペプチドまたはタンパク質の生産において、OmpTプロテアーゼにより切断を受けることが問題となることがある。このOmpTプロテアーゼによる切断を回避する方法としてOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株を宿主とする、あるいは培養および精製工程にOmpTプロテアーゼ阻害剤を添加しておくなどの手段が考えられる。しかし、これらの方法は変異株が生産菌株として適さない場合もあり、また、酵素阻害剤添加による製造コストアップおよび酵素阻害剤の製品中への残留などが考えられるために汎用されていない。さらにこの場合にはOmpTプロテアーゼを融合タンパク質の切断酵素として利用することは不可能である。【0013】 しかしながら、不所望のOmpTプロテアーゼ切断部位あるいはその周辺のアミノ酸配列を変換することにより切断を回避する方法があればOmpTプロテアーゼを切断酵素として利用できる。したがってOmpTプロテアーゼの認識・切断配列の特徴を明らかにすればアミノ酸配列の変換を最小限にして、しかも効果的に切断を回避することができるものと考えられる。【0014】 発明の詳細な説明 そこで本発明者らはOmpTプロテアーゼの基質認識および切断には切断部位周辺のアミノ酸配列が重要であることから、既知の切断部位を利用し、切断部位およびその周辺アミノ酸配列を検討することにより新しい基質特異性を見い出し、これを融合タンパク質の切断に応用することを目的として鋭意検討を行い、本発明を完成した。より詳細には、本発明の方法はOmpTプロテアーゼが極めて特異的に作用し、既知の切断部位を含めて特定のアミノ酸配列中に存在するアルギニン-Xまたはリジン-X(Xはグルタミン酸、アスパラギン酸またはプロリン以外のアミノ酸)の間のみを切断し、切断部位の−6位および−4位のアミノ酸の電荷が切断率に影響を及ぼすという性質を利用するものである。【0015】 すなわち、本発明は、上記の性質を利用してポリペプチドに対するOmpTプロテアーゼによる切断を制御する方法であって、当該ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸からなる配列部位及び/又は当該部位の周辺アミノ酸を他のアミノ酸に変換することからなり、(1)当該部位に係る−1位のアミノ酸がリジン又はアルギニンであり、+1位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすること、及び/又は(2)当該部位から−4位及び/又は−6位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすることにより、ポリペプチド中の所望の部分がOmpTプロテアーゼにより切断されること及び/又はポリペプチド中の不所望の部分がOmpTプロテアーゼにより切断されないことを特徴とする当該方法。【0016】 従って、本発明のひとつは目的ポリペプチドを有する融合タンパク質のOmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列中の切断部位の−1位のアミノ酸がアルギニンまたはリジンであり、+1位のアミノ酸がX(Xはグルタミン酸、アスパラギン酸またはプロリン以外のアミノ酸)である当該アミノ酸配列(以下、当該配列)を有するようにしておき、当該目的ポリペプチドをOmpTプロテアーゼで制御する方法である。もうひとつは当該目的ポリペプチドの切り出しをOmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列中の切断部位の−6位または−4位あるいはその両方のアミノ酸を酸性アミノ酸以外のアミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸(特に好ましくはリジン、アルギニン)にして切断率を上げる方法である。【0017】 例えば、遺伝子工学技術で融合タンパク質を発現させ、これを本発明の方法で切断する場合には、融合タンパク質中の少なくとも一部に「当該配列」を含むように発現させ、この融合タンパク質をOmpTプロテアーゼで処理して目的ポリペプチドを遊離させることができる。さらに本発明により切断部位の−6位および−4位のアミノ酸を塩基性アミノ酸にすることにより効率的に目的ポリペプチドを切出すことができる。本明細書において「目的ポリペプチド」とは、融合タンパク質として発現させる任意のポリペプチド又は分泌発現もしくは直接発現等で得られるポリペプチドである。例えば、OmpTプロテアーゼで切断する融合タンパク質の場合、OmpTプロテアーゼで切断後直ちにもしくはその後修飾反応を受けて生理活性を発揮するポリペプチドでもよく、あるいは当該反応後に更に切断反応を受けて生理活性ポリペプチドを生じる製造中間体、いわゆる前駆体ポリペプチドも含まれる。【0018】 OmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列は切断部位の−20位から+20位程度で規定されていると考えられる。従って、本発明の「当該配列」はOmpTプロテアーゼにより切断されることがすでに知られているか、実験的に確認されるアミノ酸配列の切断部位に対して−20位から+20位の配列から選択するとよい。例えば、−20位から−1位、−20位から+1位、−1位から+20位、+1位から+20位の由来であってよい。【0019】 本発明の方法において、OmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列が存在する場合には、その切断部位の+1位のアミノ酸をグルタミン酸、アスパラギン酸またはプロリンに変換しておくと、切断を防止できる。さらに切断部位の+1位のアミノ酸を変換できない場合においても−6位または−4位あるいはその両方を酸性アミノ酸に変換することにより切断率を下げることが可能である。【0020】 以上の方法を組み合わせることによりOmpTプロテアーゼの切断を制御することができる。【0021】 これは目的ポリペプチドを含む融合タンパク質を大腸菌宿主で製造させ、大腸菌が本来持っているOmpTプロテアーゼで融合タンパク質から目的ポリペプチドを切出す場合に特に都合がよい。【0022】 即ち、本発明は以下のものに関する。【0023】 a)ポリペプチドに対するOmpTプロテアーゼによる切断を制御する方法であって、当該ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸からなる配列部位及び/又は当該部位の周辺アミノ酸を他のアミノ酸に変換することからなり、(1)当該部位に係る−1位のアミノ酸がリジン又はアルギニンであり、+1位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすること、及び/又は(2)当該部位から−4位及び/又は−6位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすることにより、ポリペプチド中の所望の部分がOmpTプロテアーゼにより切断されること及び/又はポリペプチド中の不所望の部分がOmpTプロテアーゼにより切断されないことを特徴とする当該方法。【0024】 b)上記a)の方法であって、ポリペプチドに対するOmpTプロテアーゼによる切断を制御する方法であって、当該ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸からなる配列部位及び/又は当該部位の周辺アミノ酸を他のアミノ酸に変換することからなり、(1)当該部位に係る−1位のアミノ酸がリジン又はアルギニンであり、+1位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすること、及び/又は(2)当該部位から−4位及び/又は−6位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすることにより、ポリペプチド中の所望の部分がOmpTプロテアーゼにより切断されることを特徴とする当該方法。【0025】 c)上記b)の方法であって、(1)+1位のアミノ酸がグルタミン酸、アスパラギン酸又はプロリン以外のアミノ酸であり、及び/又は(2)−4位及び/又は−6位のアミノ酸が酸性アミノ酸以外のアミノ酸(塩基性アミノ酸が好ましく、特にリジン又はアルギニンが好ましい)であることを特徴とする方法。【0026】 d)上記a)〜c)の方法であって、ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸からなる配列部位の−1位のアミノ酸がリジン又はアルギニンでない場合、当該アミノ酸をリジン又はアルギニンとし、+1位のアミノ酸をX(Xはグルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、アルギニン、リジン、アラニン、メチオニン又はバリン以外のアミノ酸)とすることからなる、当該ポリペプチド中の所望の部分がOmpTプロテアーゼにより切断されることを特徴とする方法。【0027】 e)上記a)の方法であって、ポリペプチドに対するOmpTプロテアーゼによる切断を制御する方法であって、当該ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸からなる配列部位及び/又は当該部位の周辺アミノ酸を他のアミノ酸に変換することからなり、(1)当該部位に係る−1位のアミノ酸がリジン又はアルギニンであり、+1位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすること、及び/又は(2)当該部位から−4位及び/又は−6位のアミノ酸を特定のアミノ酸とすることにより、ポリペプチド中の不所望の部分がOmpTプロテアーゼにより切断されないことを特徴とする当該方法。【0028】 f)上記e)の方法であって、(1)+1位のアミノ酸がグルタミン酸、アスパラギン酸又はプロリンであり、及び/又は(2)−4位及び/又は−6位のアミノ酸が酸性アミノ酸であることを特徴とする方法。【0029】 g)ポリペプチドをコードする遺伝子を宿主細胞により発現させて当該ポリペプチドが不所望の部位でOmpTプロテアーゼにより切断される場合において上記e)またはf)の方法を用いる方法。【0030】 h)ポリペプチドをコードする遺伝子を宿主細胞により発現させて当該ポリペプチドを生産する方法であって、当該ポリペプチドの不所望の部位でOmpTプロテアーゼにより切断される場合に、上記a)〜f)に係るアミノ酸の変換を行うことを特徴とする当該生産方法。【0031】 i)切断部位(リンカーペプチド内に存在する場合を含む)を介して保護ペプチドと融合した目的ポリペプチドからなり且つ当該切断部位においてOmpTプロテアーゼにより切断される融合タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞により発現させ、当該切断部位においてOmpTプロテアーゼで切断されることにより融合タンパク質から目的ポリペプチドを得る場合における上記a)〜f)の何れかの方法。【0032】 j)上記i)の方法であって、融合タンパク質を構成する保護ペプチド、リンカーペプチド及び/又は目的ポリペプチドのアミノ酸配列中にOmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列が存在する場合である方法。【0033】 k)切断部位(リンカーペプチド内に存在する場合を含む)を介して保護ペプチドと融合した目的ポリペプチドからなり且つ当該切断部位においてOmpTプロテアーゼにより切断される融合タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞により発現させ、当該切断部位においてOmpTプロテアーゼで切断されることにより当該融合タンパク質から目的ポリペプチドを得る方法であって、当該切断部位及び/又は当該部位の周辺アミノ酸について上記a)〜f)の何れかの方法を用いてアミノ酸の変換を行うことを特徴とする目的ポリペプチドを生産する方法。【0034】 l)上記k)の方法であって、融合タンパク質を構成する保護ペプチド、リンカーペプチド及び/又は目的ポリペプチドのアミノ酸配列中にOmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列が存在する場合である方法。【0035】 m)宿主細胞が大腸菌である場合の上記g)〜l)の何れかの方法。【0036】 n)目的ポリペプチドがナトリウム利尿ペプチドである上記g)〜m)の何れかの方法。【0037】 また、本発明に係る方法に適応が可能なタンパク・ペプチドとしては以下のものが挙げられる。Adrenocorticotropic Hormone, Adrenomedullin, Amylin, Angiotensin I, Angiotensin II,Angiotensin III , A-type Natriuretic Peptide, B-type Natriuretic Peptide, Bradykinin, Calcitonin, Calcitonin Gene Related Peptide, Cholecystokinin, Corticotropin Releasing Factor, Cortistatin, C-type Natriuretic Peptide, α-Defesin 1,β-Defesin 1, β-Defesin 2, Delta Sleep-Inducing Peptide, Dynorphin A, Elafin, α-Endorphin, β-Endorphin, γ-Endorphin, Endothelin-1,Endothelin-2, Endothelin-3, Big Endothelin-1, Big Endothelin-2, Big Endothelin-3, Enkephalin, Galanin, Big Gastrin, Gastrin, Gastric Inhibitory Polypeptide, Gastrin Releasing Peptide, Ghrelin, Glucagon, Glucagon-like Peptide 1, Glucagon-like Peptide2, Growth Hormone Releasing Factor, Growth Hormone, Guanylin, Uroguanylin, Histatin 5, Insulin, Joining Peptide, Luteinizing Hormone Releasing Hormone,Melanocyte Stimulating Hormone, Midkine, Motilin, Neurokinin A, Neurokinin B, Neuromedin B, Neuromedin C, Neuropeptide Y, Neurotensin, Oxytocin, Proadrenomedullin N-terminal 20 Peptide, Parathyroid Hormone, Parathyroid Hormone-Related Protein, Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide 38, Platelet Factor -4, Peptide T, Secretin, Serum Thymic Factor, Somatostatin, Substance P, Thyrotropin Releasing Hormone, Urocortin, Vasoactive Intestinal Peptide, Vasopressin等及びこれらの誘導体(例えば、上記のペプチドのうち、ANPについては天然型である28個のアミノ酸からなるANP(1-28)のみならず、当該アミノ酸配列においてアミノ酸が欠失した誘導体であるANP(3−28)やANP(4−28)を挙げることができる)。【0038】 以下本発明を詳説する。【0039】 pG117S4HompRHPRはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1[G])を含む融合タンパク質(PR)を発現する発現プラスミドである。本融合タンパク質の保護タンパク質は大腸菌β-ガラクトシダーゼのN末端117アミノ酸を保護タンパク質とし、アルギニン-アルギニン配列を配した35アミノ酸よりなるリンカー配列およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1[G])より構成されている。大腸菌OmpTプロテアーゼはリンカー配列中のアルギニン-アルギニン配列の中央のペプチド結合を切断し、GLP-1[G]を含む44アミノ酸の目的ペプチドを遊離させることを本発明者は既に見出している。本発明者はPCRによる部位特異的変異により、pG117S4HompRHPRがコードする融合タンパク質のアルギニン-アルギニン配列をアルギニン-X(Xは切断部位の+1位のアミノ酸を示す。)へ置換し、置換を受けた融合タンパク質PRX (Xは20種類のアミノ酸の1文字表記で示す。例えばアラニンに置換した場合はPRAとなる。)がその部位においてOmpTプロテアーゼで切断されるかどうかについて調べた。各融合タンパク質の発現には大腸菌OmpTプロテアーゼ欠損株であるW3110 M25を用いた。これらの融合タンパク質は封入体として菌体内に蓄積するため、菌体を破砕した後、封入体を遠心分離で回収し、尿素で封入体を溶解してOmpTプロテアーゼ反応に供した。反応は4M尿素、50mMリン酸ナトリウム(pH7.0),2 mM EDTA各融合タンパク質封入体を含む反応溶液に20 m unitsのOmpTプロテアーゼを添加し反応を行った。融合タンパク質の切断は16%SDS-PAGEで分析し、さらに切出された目的ペプチドのN末端アミノ酸配列の決定はプロテインシーケンサーにより行った。【0040】 その結果、OmpTプロテアーゼはアルギニン-Xの配列において、Xがアスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリン以外であれば、その中央のペプチド結合を切断する活性を持つことが本発明者らにより初めて示された。すなわち、OmpTプロテアーゼはこれまで報告されていたアルギニン-アルギニン、アルギニン-リジン、リジン-アルギニン、リジン-リジン、アルギニン-アラニン、アルギニン-メチオニン、アルギニン-バリン、の配列のみならず、アルギニン-X(Xはアスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリン以外のアミノ酸)の配列に対して切断活性があることを明らかにした。【0041】 また、この融合タンパク質を用いてリジン−X(Xは切断部位の+1位を示し、アラニン、セリン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸)についても置換された配列が切断されるかどうかについて検討を行い同様な結果を得た。さらに、OmpTプロテアーゼは切断部位周辺領域のアミノ酸配列に非常に影響を受けることが考えられるので+1位からC末端側の目的ペプチドを置換した融合タンパク質(融合タンパク質PRの目的ペプチド領域をα型ヒトナトリウム性利尿ペプチドホルモンのα-hANPおよびヒトカルシトニン前駆体のhCT[G]に置換した融合タンパク質)PRhANPおよびPRhCTについてOmpTプロテアーゼにより切断が可能かどうかについても検討を行った。その結果、PRhANPはOmpTプロテアーゼによりアルギニン−セリン間で切断されα-hANPが切出されることが明らかになった。一方、PRhCTはOmpTプロテアーゼにより切断されなかった。PRhCTのアルギニン−システインの配列がOmpTプロテアーゼにより切断されないことはOmpTプロテアーゼの基質認識・切断が切断部位周辺のアミノ酸配列により影響を受けることを示し、これは本発明者がOmpTプロテアーゼにより切断される既知のアミノ酸配列を用いることの重要性を支持する結果である。【0042】 上記の結果は既知の切断部位のアミノ酸配列をもつ融合タンパク質PRを用いて一連の検討を行った結果であるが、PRとは切断部位周辺のアミノ酸配列が異なるα-hANP融合タンパク質であるRShANPを用いて切断部位の+1位のアミノ酸を置換しても同様な結果が得られるかどうかについて検討を行った。この検討に用いた融合タンパク質RShANPは、大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端97アミノ酸に由来するβ-gal97Sを保護タンパク質とし、グルタミン-フェニルアラニン-アルギニンの3アミノ酸からなるリンカーを介してα-hANPが連結されたものである。この融合タンパク質の+1位のアミノ酸をアルギニン、アラニンおよびシステインに置換した融合タンパク質を用い、OmpTプロテアーゼによる切断を試み、これらの融合タンパク質においても+1位のアミノ酸を置換した場合に本酵素による切断が可能でありα-hANPのN末端誘導体が得られることを示すことができた。【0043】 これらの結果はOmpTプロテアーゼにより切断される既知の切断配列を含む領域を用い、切断部位の−1位と+1位がアルギニン-Xあるいはリジン-Xで表される配列について、そのXをアスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリン以外のアミノ酸に置換しても、置換された融合タンパク質はやはりOmpTプロテアーゼで切断されるということを意味している。従って、保護ペプチド-OmpTプロテアーゼの切断部位アミノ酸配列-目的ペプチドの順に配された融合タンパク質を本酵素で切断する場合、目的ペプチドのN末端に付加されるアミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリン以外のアミノ酸へ選択が可能となる。また、本方法を利用することにより、目的ペプチドのN末端を変化させた誘導体を作製することが可能であり、さらに効率良い分離・精製を図る目的でN末端アミノ酸を置換することも可能である。また、本来切られない配列を切れるようにすることも可能である。【0044】 更に、Xがアスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリンの場合には切断されないという結果を用いることで、OmpTプロテアーゼで分解されない融合タンパク質あるいはタンパク質への変換が可能となる。具体的にはOmpTプロテアーゼは大腸菌で発現させたタンパク質の製造過程において、目的タンパク質を分解し、その単離を困難にする場合があるが、その切断部位を調べ+1位の認識アミノ酸をアスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリンに置換することで、OmpTプロテアーゼで分解を受けない融合タンパク質あるいはタンパク質が作製でき、製造が容易になることは明白である。【0045】 さらに、融合タンパク質PRRのOmpTプロテアーゼ切断部位の−10位から−1位のアミノ酸を置換してこれらの融合タンパク質のOmpTプロテアーゼによる切断についても検討した。その結果、切断部位N末端側アミノ酸配列がOmpTプロテアーゼの切断率に影響を及ぼすことを見いだした。特に−4位のアミノ酸がアルギニン、リジンの塩基性アミノ酸の場合に切断率が上がり、逆にアスパラギン酸、グルタミン酸の酸性アミノ酸の場合に切断率が下がった。−6位のアミノ酸についても同様な結果が得られ、OmpTプロテアーゼはこれらの部位のアミノ酸の電荷を認識しているものと考えられる。また、−1位のアルギニンをアラニンに置換した場合には切断されなくなり、この部位のアミノ酸が切断に対して重要であることが再確認された。【0046】 また、PRRとは切断部位周辺のアミノ酸配列が異なるα-hANP融合タンパク質であるRShANPを用いて切断部位の−6位のチロシンと−4位のアラニンをともにアルギニンに置換した融合タンパク質RShANPRでも切断率の上昇を確認した。【0047】 従って、−6位または−4位あるいはその両方のアミノ酸を塩基性アミノ酸に置換することにより切断率を上げ、逆に酸性アミノ酸に置換することにより切断率を下げることでき、切断部位すなわち−1位もしくは+1位のアミノ酸を置換することなくある程度切断率の制御が可能である。【0048】 なお、後述の実施例において示されていない具体的な実験操作は以下の方法に従った。【0049】 (1)実験材料および操作 具体的に実施例に示さない場合、実験操作は以下の方法に従った。【0050】 DNAプライマーの合成はファルマシア社に委託した。DNA塩基配列はアマシャム社製Thermo Sequenase fluorescent labelled primer cycle sequencing kit with 7-deaza dGTPを用いてファルマシア社製A.L.F.DNA Sequencer により決定した。大腸菌からのプラスミドDNAの単離はクラボウ社製のPI-100Σにより行った。制限酵素によるDNAの切断は500〜2000U/mlで2時間反応させた。プラスミド構造の解析は0.5〜1μgのDNAを用いて10μl反応液中で、DNA断片の調製には5〜10μgのDNAを用いて30μl反応液中で行った。反応温度、反応バッファー等の条件は購入先の指定に従った。【0051】 アガロースゲル電気泳動サンプルは反応液に1/10容量のサンプルバッファーを加えて調製した。アガロースゲル電気泳動用バッファーにはTAEバッファー(40mM Tris-酢酸,1mM EDTA)を用いた。泳動は100ボルトで30分〜1時間行った。ゲルはエチジウムブロミド水溶液で染色した後に紫外線照射してDNAバンドを検出した。アガロースゲル濃度は分画するDNA断片の大きさに合わせて0.8,2.0%(w/v)を用いた。DNA断片の単離は以下のように行った。アガロースゲル電気泳動に供し、目的のDNAバンドを切出し、宝酒造社製のSUPREC-01を用いてゲルからDNAを抽出した。このDNA溶液をフェノール/クロロホルム処理後、エタノール沈殿してTEバッファー(10mM Tris-HCl(pH8.0),1mM EDTA)に溶解した。ライゲーション反応は東洋紡社製のLigation highを用いて指定の反応液組成で16℃、30分または1晩反応を行った。PCRは東洋紡社製のKOD DashあるいはKOD DNA polymeraseを用いて行った。PCRの条件、反応液の組成はそれぞれの指定する方法に従った。【0052】 プラスミドの大腸菌への形質転換は塩化カルシウム法で行い、宝酒造社より購入したJM109株をコンピテントセルとして使用した。形質転換株はテトラサイクリン(10μg/ml)により選択を行った。実施例に特に記載していない場合、大腸菌の形質転換株としてJM109を使用した。【0053】 (2)OmpTプロテアーゼ酵素活性の測定 OmpTプロテアーゼ活性はダイノルフィンA(ペプチド研究所製)を基質として測定した。【0054】 0.1%Triton X-100を含む50mMリン酸ナトリウム(pH6.0)40μlに1mg/mlのダイノルフィンA 5μlを加えて、これにOmpTプロテアーゼ活性測定サンプル5μlを添加して反応を開始した。反応は25℃で10分間行い、1N HCl 5μlを加えて反応を停止した。反応液を10000×g、2分間遠心分離して上澄液を回収し、20μlをHPLCに供し、分析した。HPLC分析はYMC PROTEIN RPカラムを用い、カラム温度40℃、流速1ml/minで行った。3分間0.1%トリフルオロ酢酸を含む10%アセトニトリルで洗浄した後に、10分間0.1%トリフルオロ酢酸を含む10-15%アセトニトリルのリニアグラディエントにより溶出を行った。220nmの吸収をモニターし、分解産物であるペプチドのYGGFLRを検出した。この反応条件下、25℃ 1分間でダイノルフィンA 1μmolを切断した時のOmpTプロテアーゼ活性を1unitとした。【0055】 (3)SDS-ポリアクリルアミド電気泳動 SDS-ポリアクリルアミド電気泳動はゲルにテフコ社製の16%Wide-PAGEmini、泳動バッファーにテフコ社製のTricine泳動バッファー、分子量マーカーにテフコ社製のタンパク質分子量マーカーを用いて行った。サンプルに4M尿素を含む (但し、OmpTプロテアーゼタンパク質を分析する場合は尿素を含まない。) 2×SDS-PAGEサンプルバッファーを等量添加して100℃、2分間加熱した。10μlを電気泳動に供し、テフコ社の指定する泳動条件で電気泳動を行った。泳動後、クマジーブリリアントブルーR-250を含む染色液で染色した。【0056】 (4)封入体の調製 各融合蛋白質PRX,PKX,PRhANP,PRhCT,RShANP,RXhANP,PRRXA,PRR-4X,PRR-6XおよびRShANPRは以下のように封入体として調製した。【0057】 PRX,PKX,PRhANP,PRhCT,RShANP,RXhANP,PRRXA,PRR-4X,PRR-6XおよびRShANPRを発現する大腸菌を2l三角フラスコ中でテトラサイクリン10mg/lを含むLB液体培地(0.5%(w/v)酵母エキス、1%(w/v)トリプトン、0.5%塩化ナトリウム)400mlを用いて37℃、1晩、150rpmで旋回培養した。翌日、4℃、6000×g、10分間遠心分離により菌体を回収し、これを超音波処理して菌体破砕した。この菌体破砕液に脱イオン水を加えて30mlとして、4℃、25000×g、15分間遠心分離し、上清を廃棄して沈殿画分(封入体)を回収した。さらに30mlの50mM Tris-HCl(pH8.0),5mM EDTA,1% Triton X-100に懸濁して4℃、25000×g、15分間遠心分離により沈殿を得た。この沈殿を30mlの脱イオン水で懸濁後、4℃、25000×g、15分間遠心分離して沈殿を回収した。これに脱イオン水を添加して1.5mlとなるようにし、懸濁後4℃、10000×g、30分間遠心分離することにより沈殿を得て、再度同操作を繰り返して、OD660=100またはOD660=200となるように脱イオン水で沈殿を懸濁し、このようにして調製した封入体をOmpTプロテアーゼ反応の基質として使用した。【0058】 (5)OmpTプロテアーゼ反応 PRX,PKX,PRhANP,PRhCT,PRRXA,PRR-4XおよびPRR-6Xを基質としてOmpTプロテアーゼ反応を次のように行った。10M尿素20μlに1Mリン酸ナトリウム(pH7.0) 2.5μl、および50mMEDTA2μlを加え、融合タンパク質封入体(OD660=100)10μlを添加して、封入体を溶解した。これに水を10.5μl加え、4units/ml(ただしPRR-4Xの場合には20units/ml、PRR-6Xの場合には1units/ml)のOmpTプロテアーゼ5μlを添加して反応液量50μlで反応を開始した。反応温度は25℃で30分間または60分間行った。【0059】 PRX,PKX,PRRXA,PRR-4XおよびPRR-6Xを基質としてOmpTプロテアーゼと反応して得られたペプチドの単離および定量は以下の条件でHPLCにより行った。OmpTプロテアーゼ反応液に等量の12%酢酸、4M尿素を添加して反応を停止し、10000×g、2分間遠心分離して上澄液20μlまたは50μlをYMC PROTEIN RPカラムに供した。HPLCはカラム温度40℃、流速1ml/minで行った。16分間0.1%トリフルオロ酢酸を含む30-50%アセトニトリルのリニアグラディエントにより溶出を行い、214nmの吸収をモニターしてペプチドの単離および定量を行った。【0060】 RShANPおよびRXhANPを基質としてOmpTプロテアーゼ反応を次のように行った。10M尿素20μlに1Mリン酸ナトリウム(pH7.0) 2.5μl、および50mMEDTA2μlを加え、融合タンパク質封入体(OD660=200)5μlを添加して、封入体を溶解した。これに水を15.5μl加え、10units/ml OmpT 5μlを添加して反応液量50μlで反応を開始した。反応温度は37℃で120分間行った。【0061】 RShANPおよびRShANPRを基質としてOmpTプロテアーゼ反応を次のように行った。10M尿素8μlに1Mリン酸ナトリウム(pH7.0) 1.0μl、および50mMEDTA 0.8μlを加え、融合タンパク質封入体(OD660=100)4μlを添加して、封入体を溶解した。これに水を4.2μl加え、20units/ml OmpT 2μlを添加して反応液量20μlで反応を開始した。反応温度は25℃で90分間行った。【0062】 PRhANP,RShANP,RXhANPおよびRShANPRを基質としてOmpTプロテアーゼと反応して得られたペプチドの単離および定量を以下の条件でHPLCにより行った。OmpTプロテアーゼ反応液に等量の12%酢酸、4M尿素を添加して反応を停止し、10000×g、2分間遠心分離して上澄液20μlまたは50μlをYMC A-302 ODSカラムに供した。HPLCはカラム温度40℃、流速1ml/minで行った。15分間0.1%トリフルオロ酢酸を含む21.5-32%アセトニトリルのリニアグラディエントにより溶出を行い、214nmの吸収をモニターしてペプチドの単離および定量を行った。【0063】 (6)ペプチドのN末端アミノ酸の解析 得られたペプチドの N末端アミノ酸配列の決定はABI社製プロテインシークエンサー477A-120AまたはPROCISE492を用い5アミノ酸残基行った。【0064】 実施例 以下に実施例を示し、本願発明詳細に説明する。【0065】 実施例1 融合タンパク質PRXの調製 OmpTプロテアーゼは大腸菌外膜に存在するエンドプロテアーゼである。この酵素の基質特異性は高いが基質側の認識されるアミノ酸配列についての性質はよく解っていない。主に塩基性アミノ酸対(アルギニン-アルギニン,アルギニン-リジン,リジン-アルギニンおよびリジン-リジン)の中央で切断することが知られている。また、これら以外にも塩基性アミノ酸のC末端側ペプチド結合を切断する例(アルギニン-メチオニン, アルギニン-アラニンおよびアルギニン-バリン)が報告されている。ところがタンパク質およびペプチドのアミノ酸配列において、本酵素はこれらの部位を必ずしも切断するわけではなく、本酵素の切断において切断部位周辺のアミノ酸配列による影響が非常に大きいと考えられる。むしろ特定部位のみを切断するためにこの酵素の基質特異性は高いと考えられている。本発明者は本酵素の既知の切断部位を利用し、切断部位の+1位のアミノ酸配列を検討することで、本酵素の新しい基質特異性が見出せるのではないかと考え以下に示す実験を行った。【0066】 OmpTプロテアーゼにより切断される構造を持つ図4に示した融合タンパク質PR (リンカーペプチドを介した大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端117アミノ酸に由来する保護タンパク質(β-gal117S4H)とヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1[G])の融合タンパク質)の+1位のアミノ酸へ置換を導入することにより、リンカーペプチド内に存在するOmpTプロテアーゼ切断部位-RLYR↓RHHG-(配列番号:1)を-RLYRXHHG-(配列番号:2)(Xは20種類のアミノ酸の1文字表記を示す。例えばアラニンに置換した場合は-RLYRAHHG-となる。)に変換した融合タンパク質PRX(図6:Xは20種類のアミノ酸の1文字表記で示す。例えばアラニンに置換した場合はPRAとなる。)を作製し、OmpTプロテアーゼによる切断について検討することにした。【0067】 融合タンパク質PRXは以下の5ステップにより調製した。【0068】 (1)ステップ1: pG117S4HR6GLP-1の構築(図1) 大腸菌OmpTプロテアーゼの認識・切断部位としてアルギニン-アルギニン配列が融合タンパク質のリンカー部分に挿入されたpG117S4HR6GLP-1を構築した。構築にあたり、アルギニン-アルギニン配列を有するアミノ酸配列R6(図1参照)をコードするR6合成DNA配列(図1参照)をpG117S4HGP(特開平9-296000参照)のStuI部位に挿入し、pG117S4HR6GLP-1を構築した。なお、図1においてβ-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端117アミノ酸に由来する保護タンパク質であり、GLP-1[G]は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1(7-37))を示している。【0069】 (2)ステップ2: pG117S4HompRHKRの構築(図2) OmpTプロテアーゼによる切断の効率をさらに高めるためにR6部分の配列を以下に示すように改変した。pG117S4HR6GLP-1をNsi IおよびHind IIIで切断して得られる3.2kbpの断片(断片1)、pG117S4HR6GLP-1をBamH IおよびHind IIIで切断して得られる0.2kbpの断片(断片2)、およびOmpTプロテアーゼの認識・切断部位であるアルギニン-アルギニン配列を有するアミノ酸配列L1 (図2参照)をコードするL1合成DNA(図2参照)を連結し、pG117S4HompRHKRを構築した。【0070】 (3)ステップ3: pG117S4HompRHPRの構築(図3) pG117S4HompRHKR により発現する融合タンパク質のGLP-1[G]のN末端側の直前に配されたリジン-アルギニン(KR)配列(図4において152位及び153位に相当)はOmpTプロテアーゼによる切断を受けるためこの融合タンパク質をOmpTプロテアーゼと反応させると2か所で切断されることが予備的な実験によりわかっている。そこで分析を行い易くするためにこの配列をプロリン-アルギニン(PR)に置換し、OmpTプロテアーゼによる切断を受けないようにした。プライマーP1:5'-GACTCAGATCTTCCTGAGGCCGAT-3'(配列番号:3)およびP2:5'-AAAGGTACCTTCCGCATGCCGCGGATGTCGAGAAGG-3'(配列番号:4)を合成し、pG117S4HompRHKR を鋳型としてPCRを行い、0.1 kbpのDNA断片を調製した。得られたDNA断片をBgl IlおよびSph Iで処理した後(断片3)、pG117S4HompRHKRをBgl IlおよびHind IIIで切断して得られる3.2kbpの断片(断片4)とpG117S4HompRHKRをSph IおよびHind IIIで切断して得られる0.2kbpの断片(断片5)に連結しpG117S4HompRHPRを構築した。pG117S4HompRHPRによりコードされる融合タンパク質PRの全アミノ酸配列を図4に示した。【0071】 (4)ステップ4: pG117ompPRXの構築(図5) pG117S4HompRHPRによりコードされる融合タンパク質PRのOmpTプロテアーゼ切断部位-RLYR↓RHHG-を-RLYRXHHG-(Xは20種類のアミノ酸)へ変換した。この変換はpG117S4HompRHPRに変異を導入することにより行った。【0072】 変異の導入にPCRを用いた。鋳型としてpG117S4HompRHPRを用い、プライマーにはP3:5'-ACCCCAGGCTTTACACTTTA-3'とP4X:5'-CCGGATCCGTGATGNNNGCGATACAGGCG-3'(Xは20種類のアミノ酸の1文字表記で示し、NNNはアラニン変換時にはAGC、バリンではAAC、ロイシンではCAG、イソロイシンではGAT、プロリンではCGG、フェニルアラニンではGAA、トリプトファンではCCA、メチオニンではCAT、グリシンではGCC、セリンではAGA、スレオニンではGGT、システインではGCA、チロシンではGTA、アスパラギンではGTT、グルタミンではCTG、アスパラギン酸ではGTC、グルタミン酸ではTTC、リジンではTTT、アルギニンではACG、ヒスチジンではATG)を用いた。得られたPCR産物をPvuIおよびBamHIで消化して0.3kbpの断片(断片6)を得た。さらに、鋳型としてpG117S4HompRHPRをプライマーにはP5:5'-ACGGATCCGGTTCCCCTTATCGACATCCG-3'とP6:5'-TTGCGCATTCACAGTTCTCC-3'を用いてPCRを行い、得られたPCR産物をBamHIおよびHindIIIにより消化し0.2kbpの断片(断片7)を得た。これら断片6、断片7およびpG117S4HompRHPRをPvuIおよびHindIIIで消化して得られた3.0kbpの断片(断片8)をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離し、制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定により目的の融合タンパク質PRXの発現プラスミドであることを確認した。これらのプラスミドをpG117ompPRX(Xは20種類のアミノ酸の1文字表記に対応する。例えばアラニンに変換したものはpG117ompPRAとなる。)とした(図5)。【0073】 (5)ステップ5:融合タンパク質PRXの調製 大腸菌でpG117ompPRXを発現させると融合タンパク質PRX (図6)は封入体として発現され、大腸菌がOmpTプロテアーゼを発現している場合には得られた封入体を尿素で溶解しただけでOmpTプロテアーゼによる切断を受ける。そこで切断を避けるためにpG117ompPRXをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換して、融合タンパク質PRXを封入体として調製した。【0074】 実施例2 精製OmpTプロテアーゼ標品の調製 精製OmpTプロテアーゼを調製するためにOmpTプロテアーゼ発現プラスミドを大腸菌W3110株に導入し、OmpTプロテアーゼ高発現大腸菌株を作製した。この大腸菌の膜画分からOmpTプロテアーゼを以下の5段階のステップを経て精製した。【0075】 (1)ステップ1: pOmpTTcの構築(図7) OmpTプロテアーゼの発現量を上げるために、OmpTプロテアーゼ発現プラスミドpOmpTTcの構築を行った。OmpTプロテアーゼ遺伝子を含むプラスミドpGP501(Sugimura, K. Biochem. Biophys. Res. Commun.153: 753-759, 1988 参照)由来のOmpT遺伝子の翻訳開始部位直前にEcoRI、および3'末端にSalIの制限酵素部位をそれぞれ部位特異的変異により導入して、これらの制限酵素で消化後、1.3kbpの断片(断片9)を得た。【0076】 次にlacプロモーター下流にEcoRI制限酵素部位を導入するためにpG117S4HompRHPRを鋳型としてプライマーにP7:5'-GCGGGTGTTGGCGGGTGTCG-3', P8:5'-TGAATTCTTCCTGTGTGAAATTGTTAT-3'を用いてPCRを行った。得られたPCR産物をEcoRIおよびAlwNIで消化して0.5kbpの断片(断片10)を得た。これら断片9、断片10およびpG117S4HompRHPRをAlwNIおよびSalIで消化して得られた2.3kbpの断片(断片11)をライゲーションして、pOmpTTcを構築した。【0077】 (2)ステップ2: pOmpTTcBの構築(図8) 大腸菌でタンパク質を高発現するプラスミドの構築方法(名取俊二,中西義信続医薬品の開発第7巻 29-61, 1991廣川書店)のうち以下に挙げる2点の改良をpOmpTTcに行うことにした。1.SD配列からOmpTプロテアーゼ翻訳開始部位までの距離を9塩基にする。2.転写開始部位からOmpTプロテアーゼ翻訳開始後5番目のアミノ酸のコドンまでのmRNAの2次構造において可能なかぎりステムおよびループを形成しないように塩基を改変する。1の改良によりpOmpTTcB(図8)を、2の改良によりpOmpTTcC(図9)を構築した後に1および2の改良を行ったpOmpTTcE(図10)を構築した。【0078】 1の改良をしたpOmpTTcBの構築(図8)は以下のように行った。【0079】 pOmpTTcをHincIIおよびMfeIで消化して1.0kbpの断片(断片12)とpOmpTTcをEcoRIおよびMfeIで消化して2.9kbpの断片(断片13)を得た。【0080】 1の改良をするためにpOmpTTcを鋳型としてプライマーにP9:5'-TGAATTCAAAATGCGGGCGAAACTGCTGGG-3', P10:5'-TGCCGAGGATGACGATGAGC-3'を用いてPCRを行い、得られたPCR産物をEcoRIおよびHincIIで消化した後、得られた0.2kbpの断片(断片14)と断片12および断片13をライゲーションして、pOmpTTcBを構築した。【0081】 (3)ステップ3: pOmpTTcCの構築(図9) 2の改良をしたpOmpTTcCの構築を以下のように行った。【0082】 pOmpTTcをEcoRIおよびSalIで消化して1.3kbpの断片(断片15)とAlwNIおよびSalIで消化して2.3kbpの断片(断片16)を得た。【0083】 2の改良をするためにpOmpTTcを鋳型としてプライマーにP11:5'-CTATCGTCGCCGCACTTATG-3', P12:5'-TGAATTCTTCCTGTCTGTAATTTTTATCCGCTCACAATT-3'を用いてPCRを行い、得られたPCR産物をEcoRIおよびAlwNIで消化し、得られた0.5kbpの断片(断片17)と断片15および断片16をライゲーションして、pOmpTTcCを構築した。【0084】 (4)ステップ4: pOmpTTcEの構築(図10) OmpTプロテアーゼの発現量を高めるために1および2の改良をしたpOmpTTcEの構築を以下のように行った。【0085】 pOmpTTcBをEcoRIおよびSalIで消化して得られた1.3kbpの断片(断片18)とpOmpTTcCをEcoRIおよびSalIで消化して得られた2.8kbpの断片(断片19)をライゲーションして、pOmpTTcEを構築した。【0086】 (5)ステップ:5精製OmpTプロテアーゼ標品の調製 精製OmpTプロテアーゼ標品を得るためにpOmpTTcEを大腸菌W3110に導入して、OmpTプロテアーゼ高発現大腸菌株を作製した。次に以下に示した方法によりOmpTプロテアーゼ高発現大腸菌を培養して、OmpTプロテアーゼの精製を行った。【0087】 W3110/pOmpTTcE菌を500ml三角フラスコ中でテトラサイクリン10mg/lを含むLB液体培地100mlを用いて37℃、1晩旋回培養した。翌日、これを4g/l K2HPO4, 4g/l KH2PO4, 2.7g/l Na2HPO4, 0.2g/l NH4Cl, 1.2g/l (NH4)2SO4, 4g/l酵母エキス, 2g/l MgSO4・7H2O, 40mg/l CaCl2・2H2O, 40mg/l FeSO4・7H2O, 10mg/l MnSO4・nH2O, 10mg/l AlCl3・6H2O, 4mg/l CoCl2・6H2O, 2mg/l ZnSO4・7H2O, 2mg/l Na2MoO4・2H2O, 1mg/l CuCl2・2H2O, 0.5mg/l H3BO4, 1g/lグルコース, 10g/l グリセロール, 10mg/lテトラサイクリンを含む培地2lの入った攪拌培養器に移して37℃、12時間培養を行った。培養終了後、4℃、6000×g、10分間遠心分離により菌体80gを得た。この菌体を600mlの50mMTris-HCl(pH7.5)で懸濁、4℃、6000×g、10分間遠心分離により菌体を回収した。再度この操作を繰り返した後、600mlの50mMTris-HCl(pH7.5)に懸濁してマントンゴーリンにより菌体破砕した。この菌体破砕液を4℃、1000×g、10分間遠心分離して沈殿を廃棄して破砕液を回収した。さらにこの破砕液を4℃、36000×g、40分間遠心分離して沈殿を回収し、150mlの50mMTris-HCl(pH7.5)で懸濁、再度4℃、36000×g、40分間遠心分離した。得られた沈殿のうちの6分の1に0.1%salcosylを含む50mMTris-HCl(pH7.5)を120ml添加、懸濁して10℃、1時間振蕩した。1時間後、これを4℃、36000×g、40分間遠心分離して沈殿を回収し、さらに0.1%Triton X-100,5mMEDTAを含む50mMTris-HCl(pH7.5)120mlで懸濁、室温で1時間振蕩した。これを4℃、36000×g、40分間遠心分離して上澄液を回収し、粗酵素標品とした。【0088】 この粗酵素標品120mlを0.1%Triton X-100含有50mMTris-HCl(pH7.5)(以後これをバッファー Aとする。)で平衡化したベンザミジンセファロース6Bカラム(Φ12mm×70mm,8ml)に流速4ml/minでアプライした後に80mlのバッファー Aで洗浄した。溶出は0.3MNaClを含むバッファー Aで行い、1画分10mlずつ分取し、全8画分を得た。【0089】 16%SDS-PAGEを行い、均一であることが確認された第5画分を精製OmpTプロテアーゼ標品とした。Coomassie Plus Protein Assay Reagent(PIERCE社製)を用いて牛血清アルブミンをスタンダードとして精製OmpTプロテアーゼ標品のタンパク質濃度を測定した結果、120μg/mlであった。また、ダイノルフィンAを基質としてOmpTプロテアーゼ活性を測定した結果、40units/mlであった。【0090】 実施例3 OmpTプロテアーゼによるPRXの切断 OmpTプロテアーゼにより切断される構造を持つ図4に示した融合タンパク質PRの+1位(N末端から141位)のアミノ酸へ置換を導入したPRX(図6)を用いて、OmpTプロテアーゼにより切断されるかどうかを検討した。PRXをpH7.0で精製OmpTプロテアーゼ標品を用いて25℃、30分間反応させた。酵素反応後、SDS-PAGEにより分析した結果を図11に示す。図11においてOmpTプロテアーゼ無添加は-で OmpTプロテアーゼ添加は+で示した。【0091】 PRDおよびPREではOmpTプロテアーゼによる切断がみられなかった(図11レーンDおよびE)。しかし、PRDおよびPRE以外ではOmpTプロテアーゼによる切断が確認された。【0092】 さらに、切断部位の同定をするためにHPLCによりOmpTプロテアーゼ反応後のペプチド分解産物を単離し、そのN末端アミノ酸配列を決定した。その結果から同定したOmpTプロテアーゼ切断部位を表1に示す。【0093】【表1】 PRPでは-RX-での切断は確認されず、-ELR↓LYRPHHG-での切断のみがみられた。しかしPRD,PREおよびPRP以外の全てで-R↓X-の切断が認められた(表1)。以上の結果から+1位のアミノ酸が酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸およびイミノ酸であるプロリン以外の17種類のアミノ酸の場合にOmpTプロテアーゼにより切断されると考えられる。【0094】 実施例4 融合タンパク質PKXの調製 OmpTプロテアーゼ切断部位の−1位の塩基性アミノ酸がリジンの場合にも+1位のアミノ酸を酸性アミノ酸であるアスパラギン酸、グルタミン酸およびプロリン以外のアミノ酸に置換してもOmpTプロテアーゼにより切断されるかどうかを検討するために融合タンパク質PRXの-RLYRXHHG-を-RLYKXHHG-へ変換したPKXを作製した(図13)。以下の実施例では、Xとしてアラニン,セリン,リジン,アルギニン,アスパラギン酸,グルタミン酸を用いた(アミノ酸の1文字表記として示す)。このうち、リジン,アルギニンは塩基性アミノ酸対となるため陽性対照としてこれらを選んだ。アラニン,セリンは実施例3で比較的高い切断率であったのでこれらを選んだ。また、アスパラギン酸,グルタミン酸はPRDおよびPREにおいて切断がみられなかったためPKDおよびPKEでも同様に切断されないかどうかを検討するためにこれらを選んだ。【0095】 融合タンパク質PKXの調製は以下の2ステップにより行った。【0096】 (1)ステップ1: pG117ompPKXの構築(図12) 融合タンパク質PKX(XはA,S,K,R,DおよびE)(図13)をコードするプラスミドpG117ompPKX(XはA,S,K,R,DおよびE)(図12)は以下に示す方法で作製した。-RLYRXHHG-から-RLYKXHHG-(XはA,S,K,R,DおよびE)への変換はPCRにより行った。【0097】 鋳型としてpG117ompPRA、pG117ompPRS、pG117ompPRK、pG117ompPRR、pG117ompPRDおよび pG117ompPREを使用した。また、プライマーとしてP3:5'-ACCCCAGGCTTTACACTTTA-3'とP13X:5'-CCGGATCCGTGATGNNNTTTATACAGGCG-3'(NNN:鋳型がpG117ompPRAの場合には AGC、pG117ompPRS の場合にはAGA、pG117ompPRKの場合にはTTT、pG117ompPRRの場合にはACG、 pG117ompPRDの場合にはGTC、pG117ompPREの場合にはTTC)を用いてPCRを行った。得られたPCR産物をPvuIおよびBamHIで消化して得られた0.3kbpの断片(断片20)とpG117ompPRRをBamHIおよびSalIで消化して得られた0.1kbpの断片(断片21)そしてpG117ompPRRをPvuIおよびSalIで消化後得られた3.1kbpの断片(断片22)をライゲーションして形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離し、制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定により目的の融合タンパク質発現プラスミドであることを確認した。これらのプラスミドをpG117ompPKX(Xは変換したアミノ酸1文字に対応する。例えばアラニンに変換したものはpG117ompPKAとなる。)とした(図12)。【0098】 (2)ステップ2:融合タンパク質PKXの調製 大腸菌でpG117ompPKXを発現させると融合タンパク質PKX(図13) は封入体として発現され、大腸菌がOmpTプロテアーゼを発現している場合には得られた封入体を尿素で溶解しただけでOmpTプロテアーゼによる切断を受ける。そこでこれを避けるためにpG117ompPKXをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換して、融合タンパク質PKXを封入体として調製した。【0099】 実施例5 OmpTプロテアーゼによるPKXの切断 融合タンパク質PKX(図13)がOmpTプロテアーゼにより切断されるかどうかについて検討した。【0100】 PKXをpH7.0で精製OmpTプロテアーゼ標品を用いて25℃、30分間反応させた。これをSDS-PAGEにより分析した結果を図14に示す。なお、図14においてOmpTプロテアーゼ無添加は-で OmpTプロテアーゼ添加は+で示した。【0101】 陽性対照であるPKKおよびPKRではOmpTプロテアーゼによる切断が確認され(図14レーンKKおよびKR)、塩基性アミノ酸対を形成しないPKAおよびPKSでもOmpTプロテアーゼによる切断がみられた(図14レーンKAおよびKS)。一方、PKDおよびPKEではOmpTプロテアーゼによる切断が認められなかった(図14レーンKDおよびKE)。【0102】 さらに、切断部位の同定をするためにHPLCによりOmpTプロテアーゼ反応後のペプチド分解産物を単離し、そのN末端アミノ酸配列を決定した。その結果から同定したOmpTプロテアーゼ切断部位を表2に示す。【0103】 OmpTプロテアーゼによる切断が確認されたPKK,PKR,PKAおよびPKSで-K↓X-の切断が認められた(表2)。【0104】【表2】 従って、実施例3および5の結果から、OmpTプロテアーゼの切断部位は塩基性アミノ酸対の場合(-RR-,-RK-,-KR-および-KK-)のみならず、1塩基性アミノ酸からなる場合(-RX-,-KX-)も存在することを見いだした。ただしXが酸性アミノ酸であるアスパラギン酸,グルタミン酸およびイミノ酸であるプロリンの場合にはこの部位での切断は起こらない。【0105】 実施例6 融合タンパク質PRhANPおよび融合タンパク質PRhCTの調製 実施例3の結果からOmpTプロテアーゼは実施例3で示した本酵素の切断部位周辺のアミノ酸配列において-R↓X- (Xは酸性アミノ酸であるアスパラギン酸,グルタミン酸およびプロリン以外の17アミノ酸)を切断できることが示された。さらに、実施例5の-K↓X-の切断においても同様な結果が得られた。【0106】 しかし、本酵素はその基質認識において今まで報告されているアミノ酸配列だけでは不十分であり、切断部位周辺すなわち、切断部位のNおよびC末端側のアミノ酸配列が重要であると考えれられる。本発明者は前述の実施例で本酵素の切断部位の+1位のアミノ酸の置換を行ったが、本発明者は切断部位周辺のアミノ酸配列が基質認識と切断に重要であると考えることから、実施例3および5に用いた融合タンパク質の目的ペプチド部分を他のペプチドに置換した場合、すなわち、切断部位に対して+1位のアミノ酸からC末端側のアミノ酸配列が異なる場合に本酵素による切断はどうなるのかについて検討した。【0107】 融合タンパク質PR (図4)のN末端から140番目のアルギニンに続けてα-hANP(α型ヒトナトリウム性利尿ペプチド)を配した融合タンパク質PRhANP(図16)およびhCT[G](ヒトカルシトニン前駆体)を配した融合タンパク質PRhCT(図18)を作製し、OmpTプロテアーゼと反応させてα-hANPおよびhCT[G]が切出せるかどうかを検討した。【0108】 融合タンパク質PRhANPの発現プラスミドpG117ompPRhANPおよび融合タンパク質PRhCTの発現プラスミドpG117ompPRhCTはpG117ompPRR(図5)を用いて構築した。融合タンパク質PRhANPおよび融合タンパク質PRhCTの調製は以下の3ステップにより行った。【0109】 (1)ステップ1:pG117ompPRhANPの構築(図15) 融合タンパク質PR (図4)のN末端から140番目のアルギニンに続けてα-hANPを配した融合タンパク質PRhANP(図16)の発現プラスミドpG117ompPRhANPを構築した。pGHα97SII(孫田浩二: 大腸菌を宿主とした生理活性ペプチド生産系に関する研究, 博士論文九州大学, 1991参照)を鋳型として、プライマーにP14:5'-GCGGAGCTCCGCCTGTATCGCAGCCTGCGGAGATCCAGCTG-3'とP15:5'-CTGAGTCGACTCAGTACCGG-3'を用いてPCRを行った。得られたPCR産物を単離し、SacIおよびSalIで消化して得られた0.1kbpの断片(断片23)とpG117ompPRRをSacIおよびSalIで消化して得られた3.4kbpの断片(断片24)をライゲーションして、形質転換した。得られた各クローンよりプラスミドを単離し、制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定により目的の融合タンパク質発現プラスミドであることを確認した。これらのプラスミドをpG117ompPRhANPとした。【0110】 (2)ステップ2:pG117ompPRhCTの構築(図17) 融合タンパク質PR (図4)のN末端から140番目のアルギニンに続けてhCT[G]を配した融合タンパク質PRhCT(図18)の発現プラスミドpG117ompPRhCTを構築した。pG97S4DhCT[G]R4(Yabuta, M., Suzuki, Y. and Ohsuye, K. Appl. Microbiol. Biotechnol.42: 703-708, 1995参照)を鋳型として、プライマーにP16:5'-GCGGAGCTCCGCCTGTATCGCTGTGGTAACCTGAGCACCTG-3'とP17:5'-CTGAGTCGACTTAGCCCGGG-3'を用いてPCRを行った。得られたPCR産物を単離し、SacIおよびSalIで消化して得られた0.1kbpの断片(断片25)とpG117ompPRRをSacIおよびSalIで消化して得られた3.4kbpの断片(断片26)をライゲーションして、形質転換した。得られた各クローンよりプラスミドを単離し、制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定により目的の融合タンパク質発現プラスミドであることを確認した。これらのプラスミドをpG117ompPRhCTとした。【0111】 (3)ステップ3:融合タンパク質PRhANPおよび融合タンパク質PRhCTの調製 作製したpG117ompPRhANPおよびpG117ompPRhCTをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換し、融合タンパク質生産菌を作製した。これらの菌株を培養後、融合タンパク質PRhANP(図16)および融合タンパク質PRhCT (図18)を封入体として調製した。【0112】 実施例7 OmpTプロテアーゼによるPRhANPおよびPRhCTの切断 融合タンパク質PRhANP(図16)および融合タンパク質PRhCT(図18)がOmpTプロテアーゼにより切断されるかどうかについて検討した。【0113】 PRhANPおよびPRhCTをpH7.0で精製OmpTプロテアーゼ標品を用いて25℃、30分間反応させた。これをSDS-PAGEにより分析した結果を図19に示す。なお、それぞれの場合においてOmpTプロテアーゼ無添加は-で OmpTプロテアーゼ添加は+で示した。PRhANPはOmpTプロテアーゼにより切断された(図19レーンα-hANP)が、PRhCTはOmpTプロテアーゼにより切断されなかった(図19レーンhCT) 。【0114】 さらに、PRhANPの切断部位の同定をするためにHPLCによりOmpTプロテアーゼ反応後のペプチド分解産物を単離し、そのN末端アミノ酸配列を決定した結果、α-hANPが切出されていたことを確認した。【0115】 この実施例の結果より、用いた融合タンパク質からN末端アミノ酸がセリンであるα-hANP は本酵素により切り出されるが、一方N末端アミノ酸がシステインであるhCT[G]は切り出されないことが明らかになった。実施例3の結果では+1位がシステインであるPRCは本酵素による切断が可能であったが、hCT[G]の場合には切断されなかった。従って、本酵素による切断には切断部位の−1位および+1位のアミノ酸配列だけでは不十分であり、切断部位の周辺のアミノ酸配列が重要であることが確認された。【0116】 実施例8 融合タンパク質RShANPの調製 pGRShANP発現プラスミド(図20)のコードする融合タンパク質RShANP(図21)は大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端97アミノ酸に由来するβ-gal97Sを保護タンパク質とし、グルタミン-フェニルアラニン-アルギニンの3アミノ酸からなるリンカーを介してα-hANPが連結された融合タンパク質である。本発明者はOmpTプロテアーゼの研究を行う過程で融合タンパク質RShANPがOmpTプロテアーゼによりリンカー配列のアルギニンとα-hANPのN末端アミノ酸セリンの間、すなわちアルギニンーセリン間で切断されることを見出した。融合タンパク質RShANPを以下の2ステップにより調製した。【0117】 (1)ステップ1:pGRShANPの構築(図20) pGHα97SIIはβ-gal97S とα-hANPの融合タンパク質発現プラスミドとして作製されたプラスミドである。pGHα97SIIにより発現される融合タンパク質のα-hANPのN末端のセリン直前のアミノ酸をリジンからアルギニンに置換した融合タンパク質(RShANP)を発現するプラスミドpGRShANPを以下のように構築した。【0118】 pGHα97SIIを鋳型に、プライマーP18:5'-TACGATGCGCAATTCCGTAGCCTGCGG-3'およびP19:5'-TGCCTGACTGCGTTAGCAATTTAACTGTGAT-3'を用いたPCRを行い、α-hANPのN末端のセリン直前のアミノ酸コドンがリジンからアルギニンに置換された0.2kbpのPCR産物(P20)を得た。【0119】 次にプライマーに得られたPCR産物(P20)およびP21:5'-TTATCGCCACTGGCAGCAGC-3'を用いて、再びpGHα97SIIを鋳型にしてPCRを行い、アルギニンに置換されたリンカーのDNA配列を含む1.0kbpのPCR産物を得た。この1.0kbp PCR産物をBgl IIおよびEcoR Iで消化し、0.2kbpのDNA断片(断片27)を単離した。そしてα-hANP発現プラスミドpGHα97SIIをBgl IIおよびEcoR Iで消化して得られた3.0kbpの断片(断片28)と断片27をライゲーションし、pGRShANPを構築した。【0120】 (2)ステップ2:融合タンパク質RShANPの調製 大腸菌でpGRShANPを発現させると融合タンパク質RShANP(図21) は封入体として発現され、大腸菌がOmpTプロテアーゼを発現している場合には得られた封入体を尿素で溶解しただけでOmpTプロテアーゼによる切断を受ける。そこでこれを避けるためにpGRShANPをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換して、融合タンパク質RShANPを封入体として調製した。【0121】 実施例9 OmpTプロテアーゼによるRShANPの切断 融合タンパク質RShANP(図21)から生理活性ペプチドα-hANPの切断を以下のように実施した。RShANPをpH7.0で37℃、2時間 OmpTプロテアーゼと反応させ、これをSDS-PAGEにより分析した。その結果を図24のレーンRSに示した。OmpTプロテアーゼ無添加の場合は-で添加の場合は+で示した。この結果からOmpTプロテアーゼによるRShANPの切断が確認された。さらに切断部位の同定をするためにHPLCによりOmpTプロテアーゼ反応後のペプチド分解産物を単離し、そのN末端アミノ酸配列を決定した。その結果から同定したOmpTプロテアーゼ切断部位を表3に示した(RShANPの行)。表3で示したようにRShANPは-AQFR↓SLRR-でOmpTプロテアーゼにより切断され、生理活性ペプチドα-hANPが直接切出されたことがわかったが、一部で-AQFRSLR↓R-の切断も検出されてα-hANP(3-28)の切出しも確認された。【0122】【表3】 実施例10 融合タンパク質RXhANPの調製 融合タンパク質PRXを基質とした時にアミノ酸配列-RLYRXHHG-(Xは20種類のアミノ酸)においてXが酸性アミノ酸であるアスパラギン酸,グルタミン酸およびイミノ酸であるプロリン以外のアミノ酸の場合においてOmpTプロテアーゼによる切断が確認されたため、これ以外のアミノ酸配列のOmpTプロテアーゼ切断部位でもPRXと同様な切断がみられるかどうかを検討することにした。まずOmpTプロテアーゼにより切断される融合タンパク質の発現プラスミドであるpGRShANP(図20)へ変異を導入することにより、OmpTプロテアーゼ切断部位-AQFR↓SLRR-を-AQFRXLRR-(Xはアルギニン,アラニン,システイン)に変換した融合タンパク質RXhANP(XはR,AおよびC)(図23) の発現プラスミドpGRXhANP(XはR,AおよびC)の構築を行った(図22)。Xについてアルギニンを塩基性アミノ酸対となる陽性対照として選んだ。またアラニン,システインは実施例3で比較的高い切断率であったのでこれらを選んだ。RXhANP(図23)の調製は以下の2段階のステップを経て行った。【0123】 (1)ステップ1:pGRXhANPの構築(図22) pGRShANPに変異を導入することによりpGRXhANPの構築を行った。鋳型としてpGRShANPを用い、プライマーとしてP3:5'-ACCCCAGGCTTTACACTTTA-3'とP22X:5'-TCTCCGCAGNNNACGGAATTGCGCATCGTA-3'(NNN:アラニン変換時にはAGC、システインではGCA、アルギニンではACG)を用いた。得られたPCR産物から目的PCR産物を単離した(PCR産物29)。同様に鋳型としてpGRShANPをプライマーにはP23X:5'-CAATTCCGTNNNCTGCGGAGATCCAGCTGC-3'(NNN:アラニン変換時にはGCT、システインではTGC、アルギニンではCGTとP24:5'-GCCTGACTGCGTTAGCAATTTAACTGTGAT-3'を用いてPCRを行い、目的PCR産物(PCR産物30)を単離した。以上により得られたPCR産物29および30を鋳型としてプライマーにP3:5'-ACCCCAGGCTTTACACTTTA-3'とP24:5'-GCCTGACTGCGTTAGCAATTTAACTGTGAT-3を用いてPCRを行い、PCR産物を回収し、EcoRIおよびBglIIで消化して0.2kbpのDNA断片(断片31)を単離した。この断片31とpGRShANPをEcoRIおよびBglIIで消化して得られた3.0kbpの断片(断片32)をライゲーションして、形質転換した。得られた各クローンよりプラスミドを単離し、制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定により目的の融合タンパク質発現プラスミドであることを確認した。これらのプラスミドをpGRXhANP(Xは変換したアミノ酸1文字表記に対応する。例えばアラニンに変換したものはpGRAhANPとなる。)とした。【0124】 (2)ステップ2:融合タンパク質RXhANPの調製 大腸菌でpGRXhANPを発現させると融合タンパク質RXhANP (図23)は封入体として発現され、大腸菌がOmpTプロテアーゼを発現している場合には得られた封入体を尿素で溶解しただけでOmpTプロテアーゼによる切断を受ける。そこでこれを避けるためにpGRXhANPをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換して、融合タンパク質RXhANPを封入体として調製した。【0125】 実施例11 OmpTプロテアーゼによるRXhANPの切断 融合タンパク質RShANP(図21)のOmpTプロテアーゼ切断部位-AQFR↓SLRR-を-AQFRXLRR-(Xはアルギニン,アラニン,システイン)に変換した融合タンパク質RXhANP(図23)をOmpTプロテアーゼとpH7.0で37℃、2時間反応させた。これをSDS-PAGEにより分析した結果を図24に示す。【0126】 PRR,PRAおよびPRCを基質とした時と同様にRRhANP,RAhANPおよびRChANPのいずれの場合にもOmpTプロテアーゼによる切断が確認された。さらに切断部位の同定をするためにHPLCによりOmpTプロテアーゼ反応後のペプチド分解産物を単離し、そのN末端アミノ酸配列を決定した。その結果から同定したOmpTプロテアーゼ切断部位を表3に示した。表3で示したようにRRhANP,RAhANPおよびRChANPはいずれも-AQFR↓XLRR-でOmpTプロテアーゼにより切断されたことがわかり、融合タンパク質PRXでの結果もあわせて、OmpTプロテアーゼ切断部位の周辺アミノ酸配列が異なる場合においても1塩基性アミノ酸からなるOmpTプロテアーゼ切断部位の存在が示された。【0127】 この実施例において、28個のアミノ酸からなるペプチドのα-hANP分子中に4個所存在するアルギニン-アルギニン, アルギニン-メチオニン, アルギニン-イソロイシン,およびアルギニン-チロシンのうち、アルギニン-アルギニンのみがわずかに切断されたが、その他はほとんど切断されなかった。このことからも、本酵素の切断部位認識は単に今まで報告されている切断配列および本発明者が示したアルギニン-Xもしくはリジン-X (Xは酸性アミノ酸であるアスパラギン酸,グルタミン酸およびイミノ酸であるプロリン以外の17種類のアミノ酸)の配列だけでは本酵素により切断されないということを示唆し、本発明者が実施した既知の本酵素の切断部位を含む領域を利用して、新たな切断部位を創製する方法が産業上有用であることが示されたと言える。【0128】 実施例12 融合タンパク質PRRXAの調製 上述したようにOmpTプロテアーゼはアルギニン-Xもしくはリジン-X (Xは酸性アミノ酸であるアスパラギン酸,グルタミン酸およびイミノ酸であるプロリン以外の17種類のアミノ酸)の中央を切断することが示された。ところがタンパク質およびペプチドのこれら全てを必ずしも切断するわけではなく、本酵素の切断に対して切断部位周辺のアミノ酸配列による影響が非常に大きいと考えられる。むしろ特定部位のみを切断することからこの酵素の基質特異性は高いと考えられている。本発明者は本酵素の既知の切断部位を利用し、切断部位N末端側のアミノ酸配列の切断に対する影響を検討することで、本酵素の基質特異性をさらに明らかにできるのではないかと考え以下に示す実験を行った。【0129】 OmpTプロテアーゼにより切断される構造を持つ図25に示した融合タンパク質PRR はリンカーペプチドを介して大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端117アミノ酸に由来する保護タンパク質(β-gal117S4H)とヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1[G])から構成されている。図25に示すように融合タンパク質PRRのリンカーペプチド内に存在するOmpTプロテアーゼ切断部位-QMHGYDAELRLYR↓RHHG-の-10位から-1位のアミノ酸配列すなわち、GYDAELRLYRに対して1アミノ酸ずつアラニンへ変換した融合タンパク質PRRXA(Xは切断部位に対するアミノ酸の位置に対応し、-1, -2, …,-10で表される。ただし、-7は除く。)を作製して、これらのOmpTプロテアーゼによる切断を検討することにした。【0130】 融合タンパク質PRRXAは以下の2ステップにより調製した。(ステップ1) pG117ompPRRXAの構築(図26, 27, 28, 29) 融合タンパク質PRRXAの発現プラスミドはpG117ompPRRXA(融合タンパク質PRRXAに対応する。)とした。ただし、-7位のアラニンについては置換を行わなかった。これらの変換はpG117ompPRRにDNA変異を導入することにより行った。【0131】 変異の導入にはPCRを用いた。図26に示すように発現プラスミドpG117ompPRR-2A, pG117ompPRR-3AおよびpG117ompPRR-4Aを作製した。鋳型としてpG117ompPRRを用い、プライマーにはP10: 5'-TGCCGAGGATGACGATGAGC-3', P25: 5'-GCGGAGCTCCGCCTGGCTCGCCGTCATCAC-3', P26: 5'-GCGGAGCTCCGCGCTTATCGCCGTCATCAC-3'およびP27: 5'-GCGGAGCTCGCTCTGTATCGCCGTCATCAC-3'を用いた。P10とP25、P10とP26およびP10とP27のプライマーの組み合わせで得られたPCR産物をSacIとKpnIで消化して0.1kbpの断片(断片33)を得た。さらに、pG117ompPRRをBglIIとSacIにより消化し0.2kbpの断片(断片34)を得た。これら断片33、断片34およびpG117ompPRRをBglIIとKpnIで消化して得られた3.2kbpの断片(断片35)をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離した。【0132】 次に図27に示すように発現プラスミドpG117ompPRR-5Aおよび pG117ompPRR-6Aを作製した。鋳型としてpG117ompPRRを用い、プライマーにはP10, P28: 5'-CAGATGCATGGTTATGACGCGGAGGCTCGC-3', およびP29: 5'-CAGATGCATGGTTATGACGCGGCTCTCCGC-3'を用いた。P10とP28およびP10とP29のプライマーの組み合わせで得られたPCR産物をNsiIとKpnIで消化して0.1kbpの断片(断片36)を得た。さらに、pG117ompPRRをNsiIとKpnIにより消化し3.4kbpの断片(断片37)を得た。これら断片36、断片37をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離した。【0133】 さらに図28に示すように発現プラスミドpG117ompPRR-8A, pG117ompPRR-9AおよびpG117ompPRR-10A を作製した。鋳型としてpG117ompPRRを用い、プライマーにはP3: 5'-ACCCCAGGCTTTACACTTTA-3' P30: 5'-GCGGAGCTCCGCAGCATAACCATGCATCTG-3', P31: 5'-GCGGAGCTCCGCGTCAGCACCATGCATCTG-3'およびP32: 5'-GCGGAGCTCCGCGTCATAAGCATGCATCTG-3'を用いた。P3とP30、P3とP31およびP3とP32のプライマーの組み合わせで得られたPCR産物をSacIとBglIIで消化して0.2kbpの断片(断片38)を得た。そして、pG117ompPRRをKpnIとSacIにより消化し0.1kbpの断片(断片39)を得た。これら断片38、断片39およびpG117ompPRRをBglIIとKpnIで消化して得られた3.2kbpの断片(断片40)をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離した。【0134】 図29に示すようにpG117ompPRR-1Aを作製した。鋳型としてpG117ompPRRを用い、プライマーにはP10とP33: 5'-GCGGAGCTCCGCCTGTATGCTCGTCATCAC-3'を用いた。P10とP33のプライマーの組み合わせで得られたPCR産物をSacIで消化して0.1kbpの断片(断片41)を得た。さらに、pG117ompPRRをSacIにより消化し3.4kbpの断片(断片42)を得た。これら断片41、断片42をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離した。【0135】 以上により作製した発現プラスミドpG117ompPRRXA全てについて制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定を行い、目的の融合タンパク質PRRXAの発現プラスミドであることを確認した。【0136】 (ステップ2)融合タンパク質PRRおよびPRRXAの調製 大腸菌でpG117ompPRRおよびpG117ompPRRXAを発現させると融合タンパク質PRRおよびPRRXAは封入体として発現され、大腸菌がOmpTプロテアーゼを発現している場合には得られた封入体を尿素で溶解しただけでOmpTプロテアーゼによる切断を受ける。そこで切断を避けるためにpG117ompPRRおよびpG117ompPRRXAをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換して、融合タンパク質PRRおよびPRRXAを封入体として調製した。【0137】 実施例13 OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PRRおよびPRRXAの切断 PRRおよびPRRXAをpH7.0で精製OmpTプロテアーゼ標品を用いて25℃、60分間反応させた。酵素反応後、SDS-PAGEにより分析した結果を図30に示す。【0138】 PRR-1AはOmpTプロテアーゼにより切断されなかった(図30レーン-1A)。PRR-1A以外ではOmpTプロテアーゼによる切断が確認されたが切断により生じる4.9kDaのペプチド断片の量に違いがあった。【0139】 そこで4.9kDaのペプチド断片を定量するために上述したOmpTプロテアーゼ反応の反応液をHPLCに供した。PRR-1A以外でOmpTプロテアーゼ酵素反応を行った場合においてretention time 8.8 minのピークが検出された。PRRで検出されたこの8.8 minのピークはN末端アミノ酸配列が決定されており、-QMHGYDAELRLYR↓RHHG-の切断により生じた4.9kDaのペプチド断片であることがわかっている(表4)。各融合タンパク質をOmpTプロテアーゼと反応させた場合に検出される8.8 minのピークも4.9kDaのペプチド断片に相当するものと考えられる。【0140】 Retention time 8.8 minの相対ピーク面積は切断により生じる4.9kDaのペプチド断片の量を反映しており、PRRを100として算出した結果を4.9kDaペプチド断片相対量として表4に示す。4.9kDaペプチド断片相対量はPRR-1Aを除くとPRR-4Aで最小であり、PRR-6Aで最大であった。この結果から-1位を除くと-4位と-6位がOmpTプロテアーゼ切断に対して非常に影響を及ぼすものと考えられる。【0141】【表4】 実施例14 融合タンパク質PRR-4XとPRR-6Xの調製 OmpTプロテアーゼは主に塩基性アミノ酸対を認識切断するエンドプロテアーゼである。同じく塩基性アミノ酸対を認識切断するエンドプロテアーゼである哺乳類のfurin(塩基性アミノ酸対のC末端側を切断する。)の基質特異性については詳細に研究がなされており、切断部位に対して-1位のアルギニン、-2位、-4位および-6位の塩基性アミノ酸をfurinは認識する。【0142】 実施例13の結果より-4位の塩基性アミノ酸であるアルギニンをアラニンへ置換するとOmpTプロテアーゼは切断しにくくなり、-6位の酸性アミノ酸であるグルタミン酸をアラニンへ置換するとOmpTプロテアーゼは切断しやすくなる。【0143】 以上のことからOmpTプロテアーゼ切断において切断部位に対して-4位、-6位のアミノ酸残基の電荷が影響していると考えられた。そこでこれらの部位を塩基性アミノ酸であるアルギニンとリジン、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸とグルタミン酸、そして酸性アミノ酸と構造が類似している中性アミノ酸であるアスパラギンとグルタミンに置換した融合タンパク質を作製して、OmpTプロテアーゼによる切断について検討することにした。【0144】 -4位を置換した融合タンパク質をPRR-4X(図31)、-6位を置換した融合タンパク質をPRR-6X(図32)とした(Xはそれぞれ-4位、-6位のアミノ酸1文字表記に対応する。)。融合タンパク質PRR-4XおよびPRR-6Xは以下の2ステップにより調製した。【0145】 (ステップ1) pG117ompPRR-4XおよびpG117ompPRR-6Xの構築(図33, 34) 融合タンパク質PRRのOmpTプロテアーゼ切断部位-QMHGYDAELRLYR↓RHHG-の-4位のアルギニンを塩基性アミノ酸であるリジン、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸とグルタミン酸、そして酸性アミノ酸と構造が類似している中性アミノ酸であるアスパラギンとグルタミンに置換した融合タンパク質PRR-4Xの発現プラスミドをpG117ompPRR-4X(融合タンパク質PRR-4Xに対応する。)とした。また、-6位のグルタミン酸を同様に置換した融合タンパク質PRR-6Xの発現プラスミドをpG117ompPRR-6X(融合タンパク質PRR-6Xに対応する。)とした。これらの変換はpG117ompPRRにDNA変異を導入することにより行った。【0146】 変異の導入にはPCRを用いた。図33に示すような手順で発現プラスミドpG117ompPRR-4K, pG117ompPRR-4D, pG117ompPRR-4E, pG117ompPRR-4NおよびpG117ompPRR-4Qを作製した。鋳型としてpG117ompPRRを用い、プライマーにはP10, P34: 5'-GCGGAGCTCAAACTGTATCGCCGTCATCAC-3', P35: 5'- GCGGAGCTCGACCTGTATCGCCGTCATCAC-3' P36: 5'- GCGGAGCTCGAACTGTATCGCCGTCATCAC -3', P37: 5'- GCGGAGCTCAACCTGTATCGCCGTCATCAC -3'およびP38: 5'- GCGGAGCTCCAGCTGTATCGCCGTCATCAC -3'を用いた。P10とP34、P10とP35、P10とP36、P10とP37およびP10とP38のプライマーの組み合わせで得られたPCR産物として0.3kbpの断片(断片43)を得た。さらに、鋳型としてpG117ompPRRを用い、プライマーにはP3と断片43を用いて再度PCRを行い、0.8kbpの断片(断片44)を得た。断片44およびpG117ompPRRをNsiIとKpnIで消化して得られた0.1kbpの断片(断片45)と3.4kbpの断片(断片46)をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離した。【0147】 次に図34に示すように発現プラスミドpG117ompPRR-6R, pG117ompPRR-6K, pG117ompPRR-6D, pG117ompPRR-6NおよびpG117ompPRR-6Qを作製した。鋳型としてpG117ompPRRを用い、プライマーにはP10, P39: 5'-CAGATGCATGGTTATGACGCGCGTCTCCGC-3', P40: 5'- CAGATGCATGGTTATGACGCGAAACTCCGC-3', P41: 5'- CAGATGCATGGTTATGACGCGGACCTCCGC-3', P42: 5'- CAGATGCATGGTTATGACGCGAACCTCCGC-3'およびP43: 5'- CAGATGCATGGTTATGACGCGCAGCTCCGC-3'を用いた。P10とP39、P10とP40、P10とP41、P10とP42およびP10とP43のプライマーの組み合わせで得られたPCR産物をNsiIとKpnIで消化して0.1kbpの断片(断片46)を得た。さらにpG117ompPRRをNsiIとKpnIにより消化し3.4kbpの断片(断片47)を得た。これら断片46、断片47をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離した。制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定により目的の融合タンパク質PRR-4XおよびPRR-6Xの発現プラスミドpG117ompPRR-4XおよびpG117ompPRR-6Xであることを確認した。【0148】 (ステップ2)融合タンパク質PRR-4XおよびPRR-6Xの調製 大腸菌でpG117ompPRR-4XおよびpG117ompPRR-6Xを発現させると融合タンパク質PRR-4XおよびPRR-6X (図31, 32)は封入体として発現され、大腸菌がOmpTプロテアーゼを発現している場合には得られた封入体を尿素で溶解しただけでOmpTプロテアーゼによる切断を受ける。そこで切断を避けるためにpG117ompPRR-4XおよびpG117ompPRR-6XをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換して、融合タンパク質PRR-4XおよびPRR-6Xを封入体として調製した。【0149】 実施例15 OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PRR-4XおよびPRR-6Xの切断 PRR-4XをpH7.0で精製OmpTプロテアーゼ標品を用いて25℃、60分間反応させた。酵素反応後、SDS-PAGEにより分析した結果を図35Aに示す。OmpTプロテアーゼ無添加は-で OmpTプロテアーゼ添加(2.0units/ml)は+で示した。【0150】 全ての融合タンパク質においてOmpTプロテアーゼによる切断が確認されたが切断により生じる4.9kDaのペプチド断片の量に違いがあった。【0151】 そこで4.9kDaのペプチド断片をHPLCを用いて定量した。OmpTプロテアーゼ添加を行った場合においてretention time 8.8 minのピークが検出され、実施例13で述べたようにこのピークは4.9kDaのペプチド断片に相当すると考えられる。【0152】 Retention time 8.8 minの相対ピーク面積をPRRを100として算出した結果を表5に4.9kDaペプチド相対量として示す。切断により生じたペプチド断片相対量はPRR-4DおよびPRR-4EでPRRの2から3%、PRR-4A, PRR-4Nおよび PRR-4QでPRRの20から50%、PRR-4KはPRRとほぼ同じであった。この結果から-4位のアミノ酸残基の電荷をOmpTプロテアーゼは認識していると考えられる。【0153】【表5】 さらに、図32に示したように融合タンパク質PRRの-6位グルタミン酸を置換した融合タンパク質PRR-6Xを用いて、OmpTプロテアーゼによる切断を検討した。PRR-6XをpH7.0で精製OmpTプロテアーゼ標品を用いて25℃、60分間反応させた。酵素反応後、SDS-PAGEにより分析した結果を図35Bに示す。OmpTプロテアーゼ無添加は-で OmpTプロテアーゼ添加(0.1units/ml)は+で示した。【0154】 全ての融合タンパク質においてOmpTプロテアーゼによる切断が確認されたがPRR-4Xの場合と同様に切断により生じる4.9kDaのペプチド断片の量に違いがあった。【0155】 そこで4.9kDaのペプチド断片をHPLCにより定量した。4.9kDaのペプチド断片に相当するretention time 8.8 minの相対ピーク面積を表6に示す。切断により生じたペプチド断片相対量はPRR-6DでPRRとほぼ同じ、PRR-6A, PRR-6Nおよび PRR-6QでPRRの3から4倍程度、PRR-6RおよびPRR-6KではPRRのほぼ10倍程度であった。この結果から-6位のアミノ酸残基の電荷もOmpTプロテアーゼは認識していると考えられる。【0156】【表6】 以上の結果からOmpTプロテアーゼは基質の切断部位-4位および-6位のアミノ酸を認識しており、これらの部位のアミノ酸が塩基性アミノ酸であると切断率が上がり、酸性アミノ酸であると切断率が下がるということが示唆された。【0157】 実施例16 OmpTプロテアーゼにより切断される配列への応用例 実施例15の結果から既知のOmpTプロテアーゼ切断部位の-6位および-4位のアミノ酸を塩基性アミノ酸に置換することによりOmpTプロテアーゼの切断効率を上げることが可能であると考えられる。そこで、OmpTプロテアーゼにより切断されてα-hANPを遊離する構造を持つ融合タンパク質RShANP(図21)のOmpTプロテアーゼ切断部位の-6位および-4位のアミノ酸を塩基性アミノ酸であるアルギニンに置換した融合タンパク質RShANPR(図36)を作製して、両融合タンパク質のOmpTプロテアーゼによる切断に差があるかどうかを以下の3ステップにより検討することにした。【0158】 (ステップ1) pGRShANPRの構築(図37) 融合タンパク質RShANPのOmpTプロテアーゼ切断部位-QMHGYDAQFR↓SLRR-の-4位のアラニンをアルギニンに、また-6位のチロシンもアルギニンに置換した融合タンパク質RShANPRの発現プラスミドをpGRShANPRとした。これらの変換はpGRShANPにDNA変異を導入することにより行った。【0159】 変異の導入にはPCRを用いた。図37に示すように鋳型としてpGRShANPを用い、プライマーにはP10および P44: 5'-ATGCACGGTCGTGATCGTCAATTCCGTAGC-3'を用いた。P10とP44のプライマーの組み合わせで得られたPCR産物として0.3kbpの断片(断片48)を得た。さらに、鋳型としてpGRShANPを用い、プライマーにはP3と断片48を用いて再度PCRを行い、0.6kbpの断片(断片49)を得た。断片49およびpGRShANPをBglIIとEcoRIで消化して得られた0.2kbpの断片(断片50)と3.0kbpの断片(断片51)をライゲーションし、形質転換を行った。得られた各クローンよりプラスミドを単離した。制限酵素解析および変異導入部の塩基配列決定により目的の融合タンパク質RShANPRの発現プラスミドpGRShANPRであることを確認した。【0160】 (ステップ2)融合タンパク質RShANPおよび RShANPRの調製 大腸菌でpGRShANPおよびpGRShANPRを発現させると融合タンパク質RShANPおよび RShANPR (図36)は封入体として発現され、大腸菌がOmpTプロテアーゼを発現している場合には得られた封入体を尿素で溶解しただけでOmpTプロテアーゼによる切断を受ける。そこで切断を避けるためにpGRShANPおよびpGRShANPRをOmpTプロテアーゼ欠損大腸菌株であるW3110 M25へ形質転換して、融合タンパク質RShANPおよび RShANPRを封入体として調製した。【0161】 (ステップ 3) OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質RShANPおよび RShANPRの切断 RShANPおよび RShANPRをpH7.0で精製OmpTプロテアーゼ標品を用いて25℃、90分間反応させた。酵素反応後、切断により遊離するペプチド断片を定量するためにHPLCにより分析した。OmpTプロテアーゼ添加(2.0units/ml)を行った場合においてretention time 4.7 minのピークが検出された。この4.7 minのピークを単離してN末端アミノ酸配列を決定したところα-hANPであることが確認された。【0162】 Retention time 4.7 minの相対ピーク面積すなわち遊離されたα-hANPの相対量はRShANPに比べてRShANPRでは2.2倍であった。この結果から既知のOmpTプロテアーゼ切断部位の-6位および-4位のアミノ酸を塩基性アミノ酸(この場合はアルギニン)に置換することによりOmpTプロテアーゼによる切断効率を上げることが可能であると考えられる。【0163】 発明の効果 本発明の方法のひとつはOmpTプロテアーゼが極めて特異的に作用し、特定のアミノ酸配列中に存在するアルギニン-X、リジン-X(Xはグルタミン酸、アスパラギン酸またはプロリン以外のアミノ酸)の間のみを切断するという性質を利用する。そのため、例えば遺伝子工学により発現させた融合タンパク質から目的のペプチドを切出す場合に目的ペプチドとしてN末端アミノ酸がグルタミン酸、アスパラギン酸またはプロリン以外のアミノ酸であるペプチドを選択することができ、かつ不所望のペプチド結合の切断を+1位のアミノ酸をグルタミン酸、アスパラギン酸またはプロリンに変換することにより回避することができる。【0164】 本発明のもうひとつはOmpTプロテアーゼが切断部位に対して−6位および−4位のアミノ酸の電荷を認識しているという性質を利用する。従って、上述と同様に例えば遺伝子工学により発現させた融合タンパク質から目的のペプチドを切出す場合に−6位および−4位のアミノ酸を塩基性アミノ酸に変換することにより切断率を高めることができ、かつ不所望のペプチド結合の切断を−4位および−6位のアミノ酸を酸性アミノ酸に変換することにより最小限に抑えることができる。融合タンパク質を封入体中に発現させる場合、OmpTプロテアーゼも封入体とともに回収されることから宿主として大腸菌を用いる時には本発明は特に効果がある。【配列表】【図面の簡単な説明】【0165】【図1】図1は、pG117S4HR6GLP-1の構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、PSRHKRはアミノ酸配列PSRHKR(配列番号:60)、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、R6はアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHRWGRSGS(配列番号:61)、Tcrはテトラサイクリン耐性、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。pG117S4HGPについては特開平9-296000参照。【0166】【図2】図2は、pG117S4HompRHKRの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、PSRHKRはアミノ酸配列PSRHKR、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、R6はアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHRWGRSGS、Tcrはテトラサイクリン耐性、L1合成DNAはアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHGSGS(配列番号:62)、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0167】【図3】図3は、pG117S4HompRHPRの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、PSRHKRはアミノ酸配列PSRHKR、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、R6はアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHRWGRSGS、Tcrはテトラサイクリン耐性遺伝子、L1合成DNAはアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHGSGS、PSRHPRはアミノ酸配列PSRHPR(配列番号:63)、Linker peptideはL1とPSRHPRを連結したアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHGSGSPSRHPR(配列番号:64)、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0168】【図4】図4は、pG117S4HompRHPRによりコードされる融合タンパク質PRの全アミノ酸配列を示す。図中、下線部はヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1[G])のアミノ酸配列、2重下線部は他のアミノ酸への置換を行ったアルギニン、矢印はOmpTプロテアーゼ切断部位を示す。数字はN末端からのアミノ酸番号を示し、大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN 末端117アミノ酸に由来する保護タンパク質(β-gal117S4H)はアミノ酸番号1のメチオニンからアミノ酸番号127のアルギニンまでのアミノ酸配列からなる。リンカーペプチドはアミノ酸番号128のグルタミンからアミノ酸番号153のアルギニンまでのアミノ酸配列からなる。また、プレGLP-1[G]はOmpTプロテアーゼ切断部位に対して+1位のアミノ酸番号141のアルギニンからアミノ酸番号184のグリシンまでのアミノ酸配列からなる。【0169】【図5】図5は、pG117ompPRX の構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideはアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0170】【図6】図6は、pG117ompPRX によりコードされる融合タンパク質PRXの構造を示す。図中、数字は融合タンパク質PRXのN末端からのアミノ酸配列番号を示す。β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Pre GLP-1[G]はアミノ酸配列番号141番目から184番目までのGLP-1[G]を含む目的ペプチド、Linker peptideはアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質PRでのOmpTプロテアーゼ切断部位に対応する部位(アルギニン140-X141)を図示した。【0171】【図7】図7は、pOmpTTcの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Aprはアンピシリン耐性、Linker peptideはアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHGSGSPSRHPR、OmpTはOmpTプロテアーゼ、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーター、trpPは大腸菌のトリプトファンプロモーターの遺伝子を示す。【0172】 転写開始部位からOmpTプロテアーゼ翻訳開始後5番目のアミノ酸のコドンまでのDNA塩基配列は5'AATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAGAATTCATGCGGGCGAAACTT3'(配列番号:65)である。(下線部はEcoR Iの認識部位) pGP501についてはK. Sugimura, Biochem. Biophys. Res. Commun. 153: 753-759, 1988参照。【0173】【図8】図8は、pOmpTTcBの構築を説明する図である。図中、OmpTはOmpTプロテアーゼ、Tcrはテトラサイクリン耐性、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0174】 転写開始部位からOmpTプロテアーゼ翻訳開始後5番目のアミノ酸のコドンまでのDNA塩基配列は5'AATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAGAATTCAAAATGCGGGCGAAACTG3'(配列番号:66)である。(下線部はEcoR Iの認識部位)【図9】図9は、pOmpTTcCの構築を説明する図である。図中、OmpTはOmpTプロテアーゼ、Tcrはテトラサイクリン耐性、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0175】 転写開始部位からOmpTプロテアーゼ翻訳開始後5番目のアミノ酸のコドンまでのDNA塩基配列は5'AATTGTGAGCGGATAAAAATTACAGACAGGAAGAATTCATGCGGGCGAAACTT3'(配列番号:67)である。(下線部はEcoR Iの認識部位)【図10】図10は、pOmpTTcEの構築を説明する図である。図中、OmpTはOmpTプロテアーゼ、Tcrはテトラサイクリン耐性、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0176】 転写開始部位からOmpTプロテアーゼ翻訳開始後5番目のアミノ酸のコドンまでのDNA塩基配列は5'AATTGTGAGCGGATAAAAATTACAGACAGGAAGAATTCAAAATGCGGGCGAAACTG3'(配列番号:68)である。(下線部はEcoR Iの認識部位)【図11】図11は、OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PRXの切断に係るSDS-PAGE(16%)を示す写真である。【0177】 図中、Mrはタンパク質分子量マーカー、Oは精製OmpTプロテアーゼ、-はOmpTプロテアーゼ無添加、及び+はOmpTプロテアーゼ添加を示す。A : PRA, V : PRV, L : PRL, I : PRI, P : PRP, F : PRF, W : PRW, M : PRM,G : PRG, S : PRS,T : PRT, C : PRC, Y : PRY, N : PRN, Q : PRQ, D : PRD, E : PRE, K : PRK,R : PRR, H : PRH4.9kDaペプチド断片はOmpTプロテアーゼにより切出されたGLP-1[G]を含むペプチド断片である。【0178】【図12】図12は、pG117ompPKXの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideはアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0179】【図13】図13は、pG117ompPKXによりコードされる融合タンパク質PKXの構造を示す図である。図中、数字は融合タンパク質PKXのN末端からのアミノ酸配列番号を示す。β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Pre GLP-1[G]はアミノ酸配列番号141番目から184番目までのGLP-1[G]を含む目的ペプチド、Linker peptideはアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質PRRでのOmpTプロテアーゼ切断部位に対応する部位(リジン140-X141)を図示した。【0180】【図14】図14は、OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PKXの切断に係るSDS-PAGE(16%)を示す写真である。図中、Mrはタンパク質分子量マーカー、Oは精製OmpTプロテアーゼ、-はOmpTプロテアーゼ無添加、+はOmpTプロテアーゼ添加を示す。【0181】 また、KAはPKA、KSはPKS、KKはPKK、KRはPKR、KDはPKD、KEはPKEを示す。【0182】 4.9kDaペプチド断片はOmpTプロテアーゼにより切出されたGLP-1[G]を含むペプチド断片である。【0183】【図15】図15は、pG117ompPRhANPの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、β-gal97Sは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から97アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、α-hANPはα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptide 1はアミノ酸配列QFK(配列番号:69)、Linker peptide 2はアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHGSGSPYRHPR(配列番号:70)、Linker peptide 3はQMHGYDAELRLYR(配列番号:71)、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。pGHα97SIIについては孫田浩二: 大腸菌を宿主とした生理活性ペプチド生産系に関する研究, 博士論文九州大学, 1991参照。【0184】【図16】図16は、pG117ompPRhANPによりコードされる融合タンパク質PRhANPの構造を示す図である。図中、数字は融合タンパク質PRhANPのN末端からのアミノ酸配列番号を示す。β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、α-hANPはα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド、Linker peptideはアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから140番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質PRRでのOmpTプロテアーゼ切断部位に対応する部位(アルギニン140-セリン141)を図示した。【0185】【図17】図17は、pG117ompPRhCTの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、β-gal97S4Dは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から97アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、hCT[G]はヒトカルシトニン前駆体、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptide 1はアミノ酸配列EFRHHRRHRLE(配列番号:72)、Linker peptide 2はアミノ酸配列QMHGYDAELRLYRRHHGSGSPYRHPR、Linker peptide 3はQMHGYDAELRLYR、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。pG97S4DhCT[G]R4についてはYabuta, M., Suzuki, Y. and Ohsuye, K. Appl. Microbiol. Biotechnol.42: 703-708, 1995参照。【0186】【図18】図18は、pG117ompPRhCTによりコードされる融合タンパク質PRhCTの構造を示す図である。図中、数字は融合タンパク質PRhCTのN末端からのアミノ酸配列番号を示す。β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、 hCT[G]はヒトカルシトニン前駆体、Linker peptideはアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから140番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質PRRでのOmpTプロテアーゼ切断部位に対応する部位(アルギニン140-システイン141)を図示した。【0187】【図19】図19は、OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PRhANPおよびPRhCTの切断に係るSDS-PAGE(16%)を示す写真である。図中、Mrはタンパク質分子量マーカー、OはOmpTプロテアーゼ、-はOmpTプロテアーゼ無添加、+はOmpTプロテアーゼ添加を示す。【0188】 また、hANPはPRhANP、hCTはPRhCTを示す。【0189】【図20】図20は、pGRShANPの構築を説明する図である。図中、β-gal97Sは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から97アミノ酸に由来する保護タンパク質、α-hANP はα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptide 1はアミノ酸配列QFK、Linker peptide 2はアミノ酸配列QFR(配列番号:73)、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0190】【図21】図21は、pGRShANPによりコードされる融合タンパク質RShANPの全アミノ酸配列を示す図である。図中、下線部はα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(α-hANP)のアミノ酸配列、また2重下線部は他のアミノ酸への置換を行ったセリン、矢印はOmpTプロテアーゼ切断部位を示す。数字はN末端からのアミノ酸番号を示し、大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端97アミノ酸に由来する保護タンパク質(β-gal97S)はアミノ酸番号1のメチオニンからアミノ酸番号98のアラニンまでのアミノ酸配列からなる。また、リンカーペプチドはアミノ酸番号99のグルタミンからアミノ酸番号101のアルギニンまでのアミノ酸配列からなる。【0191】【図22】図22は、pGRXhANPの構築を説明する図である。図中、β-gal97Sは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から97アミノ酸に由来する保護タンパク質、Modifiedα-hANP はα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドのN末端アミノ酸がアルギニン、アラニンあるいはシステインに置換された誘導体、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideはアミノ酸配列QFR、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0192】【図23】図23は、融合タンパク質RXhANPの構造を示す図である。図中、数字はN末端からのアミノ酸配列番号を示す。β-gal97Sは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から97アミノ酸に由来する保護タンパク質、Modifiedα-hANP はα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(α-hANP)のN末端アミノ酸がアルギニン、アラニンあるいはシステインに置換された誘導体、Linker peptideはアミノ酸配列番号99番目のグルタミンから101番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質RShANPでのOmpTプロテアーゼ切断部位に対応する部位(アルギニン101-X102)を図示した。【0193】【図24】図24は、OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質RShANPおよびRXhANPの切断に係るSDS-PAGE(16%)を示す写真である。【0194】 図中、Mrはタンパク質分子量マーカー、−はOmpTプロテアーゼ無添加、及び+はOmpTプロテアーゼ添加を示す。また、RSはRShANP、RRはRRhANP、RAはRAhANP及びRCはRChANPを示す。【0195】【図25】図25は、pG117ompPRRXAによりコードされる融合タンパク質PRRXAの構造を示す図である。図中、-10、-5、-1、+1および+4は融合タンパク質PRR のOmpTプロテアーゼ切断部位に対してそれぞれ-10位、-5位、-1位、+1位および+4位を示す。融合タンパク質PRRおよびPRRXAの-10位から+4位までのアミノ酸配列を図示した。β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質PRRでのOmpTプロテアーゼ切断部位を図示した。融合タンパク質名は太字で示し、置換したアラニンには下線を付けた。【0196】【図26】図26は、pG117ompPRR-2A, -3Aおよび-4Aの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0197】【図27】図27は、pG117ompPRR-5Aおよび-6Aの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0198】【図28】図28は、pG117ompPRR-8A, -9Aおよび-10Aの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0199】【図29】図29は、pG117ompPRR-1Aの構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0200】【図30】図30は、OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PRRおよびPRRXAの切断に係るSDS-PAGE(16%)を示す写真である。図中、Mrはタンパク質分子量マーカー、-はOmpTプロテアーゼ無添加、及び+はOmpTプロテアーゼ添加を示す。【0201】 -1A: PRR-1A, -2A: PRR-2A, -3A: PRR-3A, -4A: PRR-4A, -5A: PRR-5A -6A: PRR-6A, -8A: PRR-8A, -9A: PRR-9A, -10A: PRR-10A4.9kDaペプチド断片はOmpTプロテアーゼにより切出されたGLP-1[G]を含むペプチド断片である。【0202】【図31】図31は、pG117ompPRR-4Xによりコードされる融合タンパク質PRR-4Xの構造を示す図である。図中、-10、-5、-1、+1および+4は融合タンパク質PRR のOmpTプロテアーゼ切断部位に対してそれぞれ-10位、-5位、-1位、+1位および+4位を示す。融合タンパク質PRRの-10位から+4位までのアミノ酸配列および融合タンパク質PRR-4Xの置換した-4位のアミノ酸を図示した。β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質PRRでのOmpTプロテアーゼ切断部位を図示した。融合タンパク質名は太字で示した。【0203】【図32】図32は、pG117ompPRR-6Xによりコードされる融合タンパク質PRR-6Xの構造を示す図である。図中、-10、-5、-1、+1および+4は融合タンパク質PRR のOmpTプロテアーゼ切断部位に対してそれぞれ-10位、-5位、-1位、+1位および+4位を示す。融合タンパク質PRRの-10位から+4位までのアミノ酸配列および融合タンパク質PRR-6Xの置換した-6位のアミノ酸を図示した。β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質PRRでのOmpTプロテアーゼ切断部位を図示した。融合タンパク質名は太字で示した。【0204】【図33】図33は、pG117ompPRR-4X (XはK, D, E, NまたはQ)の構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0205】【図34】図34は、pG117ompPRR-6X (XはK, D, E, NまたはQ)の構築を説明する図である。図中、β-gal117S4Hは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から117アミノ酸に由来する保護タンパク質、GLP-1[G]はヒトグルカゴン様ペプチド-1、Tcrはテトラサイクリン耐性、Linker peptideは図6のアミノ酸配列番号128番目のグルタミンから153番目のアルギニンまでと対応する領域、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。【0206】【図35】図35は、A, OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PRRおよびPRR-4Xの切断に係るSDS-PAGE(16%)を示す写真である。図中、Mrはタンパク質分子量マーカー、-はOmpTプロテアーゼ無添加、+はOmpTプロテアーゼ添加を示す。-4K: PRR-4K, -4A: PRR-4A, -4N: PRR-4N, -4Q: PRR-4Q, -4D: PRR-4D, -4E: PRR-4E4.9kDaペプチド断片はOmpTプロテアーゼにより切出されたGLP-1[G]を含むペプチド断片である。【0207】 B, OmpTプロテアーゼによる融合タンパク質PRRおよびPRR-4Xの切断に係るSDS-PAGE(16%)を示す図である。図中、Mrはタンパク質分子量マーカー、-はOmpTプロテアーゼ無添加、+はOmpTプロテアーゼ添加を示す。-6R: PRR-6R, -6K: PRR-6K, -6A: PRR-6A, -6N: PRR-6N, -6Q: PRR-6Q, -6D: PRR-6D4.9kDaペプチド断片はOmpTプロテアーゼにより切出されたGLP-1[G]を含むペプチド断片である。【0208】【図36】図36は、pRShANPRによりコードされる融合タンパク質RShANPRの構造を示す図である。図中、-10、-5、-1、+1および+4は融合タンパク質RShANPのOmpTプロテアーゼ切断部位に対してそれぞれ-10位、-5位、-1位、+1位および+4位を示す。融合タンパク質RShANPおよびRShANPRの-10位から+4位までのアミノ酸配列を図示した。β-gal97Sは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から97アミノ酸に由来する保護タンパク質、α-hANP はα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(α-hANP)、Linker peptideは図23のアミノ酸配列番号99番目のグルタミンから101番目のアルギニンまでと対応する領域を示す。融合タンパク質RShANPでのOmpTプロテアーゼ切断部位を図示した。融合タンパク質名は太字で示し、置換した-6位および-4位のアルギニンには下線を付けた。【0209】【図37】図37は、pGRShANPRの構築を説明する図である。図中、β-gal97Sは大腸菌のβ-ガラクトシダーゼのN末端から97アミノ酸に由来する保護タンパク質、α-hANP はα型ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド、Tcr はテトラサイクリン耐性、Linker peptideはアミノ酸配列QFR(配列番号:73)、lacPOは大腸菌のラクトースプロモーターオペレーターの遺伝子を示す。 ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸である−1位及び+1位のアミノ酸からなる配列部位におけるOmpTプロテアーゼの切断率を上げるための方法であって、当該配列部位の周辺アミノ酸を、(1)前記配列部位の−1位のアミノ酸がリジン又はアルギニンであり、+1位のアミノ酸を、グルタミン酸、アスパラギン酸又はプロリン以外のアミノ酸とすること、及び(2)当該配列部位から−4位及び/又は−6位のアミノ酸を、酸性アミノ酸以外のアミノ酸とすることにより、他のアミノ酸に変換することを含む方法。 ポリペプチド中の任意の連続する2つのアミノ酸である−1位及び+1位のアミノ酸からなる配列部位におけるOmpTプロテアーゼの切断率を上げるための方法であって、当該配列部位及び当該配列部位の周辺アミノ酸を、(1)当該配列部位の−1位がリジン又はアルギニンであり、+1位をグルタミン酸、アスパラギン酸又はプロリン以外のアミノ酸とすること、及び(2)当該配列部位から−4位及び/又は−6位を酸性アミノ酸以外のアミノ酸とすることにより、他のアミノ酸に変換することを含む方法。 −4位及び/又は−6位を塩基性アミノ酸とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。 塩基性アミノ酸がリジン又はアルギニンであることを特徴とする請求項3記載の方法。 任意の連続する2つのアミノ酸である−1位及び+1位のアミノ酸からなる配列部位においてOmpTプロテアーゼにより切断されるポリペプチドの当該配列部位におけるOmpTプロテアーゼの切断率を下げるための方法であって、当該配列部位を、(1)当該配列部位の−1位がリジン又はアルギニンであり、+1位をグルタミン酸、アスパラギン酸又はプロリンとすることによって他のアミノ酸に変換することを含む方法。 任意の連続する2つのアミノ酸である−1位及び+1位のアミノ酸からなる配列部位においてOmpTプロテアーゼにより切断されるポリペプチドの当該配列部位におけるOmpTプロテアーゼの切断率を下げるための方法であって、当該配列部位の周辺アミノ酸を、(1)当該配列部位の−1位がリジン又はアルギニンであり、+1位をグルタミン酸、アスパラギン酸又はプロリン以外のアミノ酸とすること、及び(2)当該配列部位から−4位及び/又は−6位のアミノ酸を、中性アミノ酸又は酸性アミノ酸とすることにより、他のアミノ酸に変換することを含む方法。 −4位及び/又は−6位を酸性アミノ酸とすることを特徴とする、請求項6に記載の方法。 切断部位(リンカーペプチド内に存在する場合を含む)を介して保護ペプチドと融合した目的ポリペプチドからなり且つ当該切断部位においてOmpTプロテアーゼにより切断される融合タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞により発現させ、当該切断部位においてOmpTプロテアーゼで切断されることにより融合タンパク質から目的ポリペプチドを得る場合における請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。 融合タンパク質を構成する保護ペプチド、リンカーペプチド及び/又は目的ポリペプチドのアミノ酸配列中にOmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列が存在する場合である請求項8記載の方法。 切断部位(リンカーペプチド内に存在する場合を含む)を介して保護ペプチドと融合した目的ポリペプチドからなり且つ当該切断部位においてOmpTプロテアーゼにより切断される融合タンパク質をコードする遺伝子を宿主細胞により発現させ、当該切断部位においてOmpTプロテアーゼで切断されることにより当該融合タンパク質から目的ポリペプチドを得る方法であって、当該切断部位及び/又は当該部位の周辺アミノ酸について請求項1乃至7のいずれか1項に係るアミノ酸の変換を行うことを特徴とする目的ポリペプチドを生産する方法。 融合タンパク質を構成する保護ペプチド、リンカーペプチド及び/又は目的ポリペプチドのアミノ酸配列中にOmpTプロテアーゼにより切断されるアミノ酸配列が存在する場合である請求項10記載の方法。 ポリペプチドをコードする遺伝子を宿主細胞により発現させて当該ポリペプチドが不所望の部位でOmpTプロテアーゼにより切断される場合における請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。 ポリペプチドをコードする遺伝子を宿主細胞により発現させて当該ポリペプチドを生産する方法であって、当該ポリペプチドの不所望の部位でOmpTプロテアーゼにより切断される場合に、請求項1乃至7のいずれか1項に係るアミノ酸の変換を行うことを特徴とする当該生産方法。 宿主細胞が大腸菌である請求項8乃至13のいずれか1項に記載の方法。 目的ポリペプチドがナトリウム利尿ペプチドである請求項8乃至14のいずれか1項に記載の方法。


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