生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_新種の微生物およびその利用法
出願番号:2000593726
年次:2006
IPC分類:C12N 1/20,A23K 1/16,A23L 1/015,A23L 1/20,A23L 3/3571,C05F 11/08


特許情報キャッシュ

青沼 武三 JP 3789303 特許公報(B2) 20060407 2000593726 19990114 新種の微生物およびその利用法 ゴールド興産株式会社 000105822 青沼 武三 500581076 平木 祐輔 100091096 間山 世津子 100098121 青沼 武三 20060621 C12N 1/20 20060101AFI20060601BHJP A23K 1/16 20060101ALI20060601BHJP A23L 1/015 20060101ALI20060601BHJP A23L 1/20 20060101ALI20060601BHJP A23L 3/3571 20060101ALI20060601BHJP C05F 11/08 20060101ALI20060601BHJP JPC12N1/20 AA23K1/16 304BA23L1/015A23L1/20 EA23L3/3571C05F11/08 C12N 1/20 A23K 1/16 A23L 1/015 A23L 1/20 A23L 3/3571 C05F 11/08 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JICSTファイル(JOIS) 特開平8−80189(JP,A) 特開平9−9903(JP,A) Annu. Rev. Microbiol.,米国,1998年,Vol.52,165-190 15 FERM BP-6589 JP1999000117 19990114 WO2000042169 20000720 15 20020531 森井 隆信 技術分野本発明は、新種の微生物およびその利用法、より詳細には、バチルス属に属する新種の微生物およびその利用法に関する。背景技術人類は、これまで、種々の微生物を利用してきた。例えば、微生物のはたらきを利用して、酒類、みそ、しょうゆなどの発酵調味料、チーズ、ヨーグルトなどの発酵乳製品、パンなど様々な食品を製造している。この他、医薬および農薬の製造、アルコール、メタンなどのエネルギー資源の生産、金属の精錬、廃棄物処理、廃水処理などにも、微生物は利用されている。微生物をはじめとする生物の機能を産業に利用する技術はバイオテクノロジーと呼ばれているが、この技術は今日目覚ましい発展を遂げている。新たな有用微生物の発見は、バイオテクノロジーの進歩に貢献する。従って、本発明は、新規な有用微生物を提供することを目的とする。また、本発明は、その微生物の利用法を提供することも目的とする。発明の開示本発明者らは、土壌からコーヒー臭のある新種の微生物を分離して、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、硝酸塩を還元することができ、細胞壁にキチンおよび/またはキトサンを含むことを特徴とする、バチルス属の微生物を提供する。本発明の微生物は、コーヒー臭を有しうる。本発明の微生物は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)に属するものであるとよく、その一例として、バチルス・サブチルス・タケミ(Bacillus subtilis takemi:FERM BP−6589)を挙げることができる。また、本発明は、上記の微生物を用いて土壌を改良する方法および上記の微生物を含む土壌を改良するための組成物を提供する。さらに、本発明は、上記の微生物を用いて有機性廃棄物を発酵処理する方法および上記の微生物を含む有機性廃棄物を発酵処理するための組成物を提供する。さらにまた、本発明は、上記の微生物を用いて大豆を発酵させる方法および上記の微生物を用いて発酵させた大豆を提供する。本発明は、また、上記の微生物を飼料添加物として使用する方法および上記の微生物を含む飼料添加物を提供する。本発明は、上記の微生物を苦味の低減化のために使用する方法および上記の微生物を含む苦味の低減化のための組成物を提供する。本発明は、上記の微生物を食品添加物として使用する方法および上記の微生物を含む食品添加物を提供する。本発明は、上記の微生物を用いて、細菌の増殖を抑制する方法および上記の微生物を含む抗菌性組成物を提供する。本発明の微生物のより増殖を抑制することができる細菌としては、ブドウ球菌、病原性大腸菌O157、O147、白癬菌、ミクロコッカス科の苔類などを挙げることができる。本発明の微生物は、硝酸塩を還元することができ、細胞壁にキチンおよび/またはキトサンを含むことを特徴とする、バチルス属の微生物である。また、コーヒー臭を有することもある。その一例として、バチルス・サブチルス・タケミ(Bacillus subtilis takemi:FERM BP−6589)を挙げることができる。この微生物は、シベリアにて採取した土壌から以下のようにして分離された。シベリア土壌50mgに滅菌蒸留水500μlを加えて30分振とうし、懸濁液(液は褐色を呈する)とした。これを原液とし、10倍希釈シリーズにより10−2〜10−7希釈液を作製した。PDAYC培地(Potato Dextrose Agar medium containing Yeast Extract and Casion)上へ希釈液100μlを播種し、コンラージ棒で一様に展開した。20℃、All day Light条件下で静置培養を行った。その結果、10−2〜10−4希釈液で白色のコロニー形成が認められ、これは顕微鏡観察の結果糸状菌ではなかった。またコロニーは白色のみであり、単一種と推定される。10−4以下の希釈液からはコロニーの形成は一切認められなかった。分離された菌の性状は以下の通りである。また、菌体内DNAのGC含量(HPLC法による)は46mol%であった。以上の形態観察、生理的性状試験および菌体内DNAのGC含量の測定の結果をもとに、Gordon,R.E.,Haynes,W.C.and Pang,C.H.:“The Genus Bacillus”(1973)U.S.Department of AgricultureおよびSneath,P.H.A.,Mair,N.S.,Sharpe,M.E.and Holt,J.G.:“Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology”Vol.2,(1986)Williams & Wilkinsを参考にして同定した結果、上記の土壌細菌はバチルス・サブチルスに属する菌種であると同定された。この菌はバチルス・サブチルス・タケミと命名され、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号)に平成10年12月1日付けで受託番号FERM BP−6589として寄託された。バチルスは耐熱性の胞子を形成するグラム陽性桿菌で、土壌等の一般環境に広く分布している。また、バチルス・サブチルスは枯草菌として知られている。バチルス・サブチルス・タケミは、上記の性質を有する他、上記方法で培養したシャーレーをそのまま約5℃に調節した冷蔵庫に保存したところ、顕著なコーヒー臭を発散していることが確認された。更に、バチルス・サブチルス・タケミは、細胞壁にキチンおよび/またはキトサンを含有することが確認されている。バチルス・サブチルス・タケミの自然的および人工的変異体はもちろんのこと、硝酸塩を還元することができ、細胞壁にキチンおよび/またはキトサンを含む、バチルス属の微生物はすべて本発明に包含される。本発明の微生物は土壌微生物として好ましい特性を有する。すなわち、硝酸塩を還元することができる。また、細胞壁に含有されているキチン質は、キトサン・キトサンオリゴ糖に低分子化される。有害微生物が代謝する毒素系とキトサン・キトサンオリゴ糖が反応して、DNAからRNAへ転写を阻害することによって有害微生物の増殖を阻止し、植物の連作障害を改善する。また、本発明の微生物は、コーヒーの臭気によって密度が判明するので便利である。従って、本発明の微生物を用いて、土壌を改良することができる。本発明の微生物の増殖に適した栄養素を含む水溶液に、本発明の微生物、所望により、土壌改良に有効な他の微生物を入れ、さらに、担体を入れて、攪拌する。この操作により、本発明の微生物が担体に担持される。この分散混合液を、上記の微生物の増殖に好適な温度(例えば、25〜45℃)に保ち、微生物を成育・増殖させる。本発明の微生物の増殖に適した栄養素としては、澱粉、デキストリン、グリセリン、グルコース、シュークロース、ガラクトース、トノシトール、マンニトールなどの炭素源、ペプトン、大豆粉、肉エキス、米糠、麸、尿素、コーンスティプリカー、アンモニウム塩、硝酸塩、その他の有機または無機の窒素化合物などの窒素源を挙げることができるが、これらに限定されることはない。その他、無機塩類、例えば、食塩、燐酸塩類、カリウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、鉄などの金属塩類などを適宜添加してもよい。必要に応じて、消泡剤として、動物油、植物油、鉱物油などを添加してもよい。ポテトデキストロース寒天培地(商品名日水05707)などの培地を利用してもよい。土壌改良に有効な他の微生物としては、バチルス属、ラクトバチルス属などの加水分解酵素生産菌、サッカロミセス属、トルラ属などの酵母菌、アスペルギルス属、リゾブス属などの糸状菌などを挙げることができる。本発明の微生物を担持させる担体としては、多孔質のセラミックス、木片、木炭、ワラ片、その他本菌が生息しうる多孔性素材などを挙げることができる。担体1g当たりの本発明の微生物の菌数は、102〜1010個が適当であり、好ましくは、103〜106個である。本発明の微生物を担持させた担体あるいはそれを粉末にしたものは、単独でも、土壌改良材としての機能を持つが、通例は、有機肥料原料と混合してから発酵させ、肥料効果と土壌改良効果を合わせ持たせる。有機肥料原料1kg当たり、本発明の微生物を担持させた担体またはその粉末2〜10gを混合するとよい。例えば、本発明の微生物を増殖させた多孔質セラミックスの粉末をパークや鶏糞その他の有機肥料原料と混合し、約30日発酵させる。そうすると、有機物の発酵が進むと共に、土壌改良に有効な微生物を含んだ、しかも土壌改良材として有効なキチン・キトサンを豊富に含む、肥効性に富む土壌改良材が得られる。上記の土壌改良材を土壌に投入するにあたっては、作土10a当たりの本発明による微生物を含む土壌改良材を150Kg〜600Kg、好ましくは220Kg〜520Kgを投入するとよい。投入の時期は、農作物の生育初期から後期の収穫期のいずれの時期であってもよく、投入の頻度も特に限定されることはなく、土壌の状態、農作物の種類などに応じて、適宜選択すればよい。本発明の微生物を用いて、有機性廃棄物を発酵処理することもできる。有機性廃棄物とは有機物からなる廃棄物をいい、これは、家庭廃棄物、産業廃棄物あるいは他のいかなる廃棄物であってもよい。また、畜糞、鶏糞及び食品汚泥なども含まれる。有機物の発酵分解には微生物が関与し、分解による悪臭、腐敗菌による悪臭が発生する。殊に、家庭から出る有機性廃棄物、畜糞、鶏糞及び食品汚泥における好気性菌の発酵において、酸素の供給のアンバランスで腐敗菌の増殖により生じる臭気は全国的に大きな社会問題になっている。本発明の微生物を用いて有機性廃棄物を発酵処理すれば、悪臭を防止することができるので大いに環境を改善する。また、本発明の微生物を用いて発酵処理した有機性廃棄物は、高品質な有機肥料として使用することができる。本発明の微生物を通常の廃棄物処理用菌(主に好気性の桿菌類)と併用するとよい。上記のように、本発明の微生物を担持させた担体(例えば、木片、多孔質セラミック玉や粒・顆粒など)を用意し、これを有機性廃棄物と混合して発酵処理させる。本発明の微生物を担持させた担体は、有機性廃棄物1kg当たり2g〜10gの量で使用するとよい。本発明の微生物と併用することのできる廃棄物処理用菌としては、廃棄物に含まれている糖分解の細菌や糸状菌、ヘミセルロースを分解する好気性の放線菌、セルロースを分解する嫌気性細菌、リグニンを分解する好気性担子菌などを挙げることができる。発酵処理にあたっては、有機性廃棄物1Lに対して、毎分100〜200mLの通気を行うとよい。また、通気の代わりに、攪拌により空気の供給を行ってもよい。温度は、周囲温度でもよいし、あるいは12℃〜51℃、好ましくは25℃〜45℃に調整してもよい。水分調整や通気性を改善するために、木質チップやもみがらなどの副資材を添加してもよい。発酵処理時間は、発酵処理物の組成により異なるが、通例1日〜30日が適当であるが、好ましくは6日〜20日である。発酵培地を投与することにより発酵を活発にすれば、有機性廃棄物の消滅処理も可能である。有機性廃棄物を資源と考え、バランスの取れた肥料として回収するためには、有機性廃棄物に家畜の糞や動物や魚の加工残さなども加えて組成の調整をするとよい。菌体に含まれるキチン・キトサンが処理物に含まれるので、発酵処理した有機性廃棄物は高品質の有機肥料となる。バチルス・サブチルス・タケミの16S ribosomal RNA(16SrRNA)の相同性解析の結果、バチルス・サブチルス・ナットー(Bacillus subtilis nattoh)と約93%の相同性があることがわかった(第1図)。バチルス・サブチルス・ナットーは納豆の製造に使用されている。納豆は、凝固血液の溶解作用を有することが知られており、健康食として高く評価されている。また、バチルス・サブチルス・ナットーの代謝産物であるキチン・キトサン・キトサンオリゴ糖は、毒素系の微生物をセーブし、免疫力を高める重要な働きを持つことが知られている。しかし、バチルス・サブチルス・ナットーは硝酸塩の臭気を放つので、この臭いのために納豆を嫌う人が多い。また、硝酸塩の生成はタンパク質の劣化にもつながる。バチルス・サブチルス・タケミを始めとする本発明の微生物は硝酸塩の還元作用を持っているので、本発明の微生物を用いて大豆を発酵させれば、臭気の発生及びタンパク質の劣化が阻止される。また、従来の納豆はご飯などの副食として食されていたが、本発明の微生物を用いて製造した納豆はコーヒー臭があるので、パン、サンドイッチ、その他の西洋料理に大いに活用できる。その結果、栄養価が高く、健康維持のみならず健康の促進にも通じる機能性食品としての納豆を、日本人だけでなく世界中の人々に食してもらうことが可能となろう。本発明の微生物を通常の納豆菌の代わりに使用して、納豆を作ることができる。すなわち、大豆を煮沸し、これに本発明の微生物を添加し、培養して繁殖させ、発酵作用を営ませた後、熟成させる。納豆の製造方法は、よく知られており、例えば、「改訂 食品加工技術ハンドブック」、p.138−143、辻薦、建帛社、昭和46年発行に記載されている。応用として、本発明の微生物で納豆を製造する際に、カテキンとイチョウの葉エキスを加える。ナトウキナーゼは凝固血液の溶解作用を有し血栓などの生成を防ぐ作用を有し、カテキンは抗菌性を持ちウイルスの増殖を抑える作用を有し、イチョウの葉エキスはSOD様の抗酸化物質で活性酸素の発生を阻止し毛細血管の血流を改善する作用を有する。本発明の微生物は硝酸塩還元菌なので、アンモニア臭などに由来するいわゆる納豆臭が軽微で、且つコーヒー臭でカムフラージュされるため、食べやすく、かつ、上記各種効能により、血管を丈夫にし、血管中のコレステロールのバランスを取る作用を付加することが出来るので、成人病や老人痴呆症予防ができる全く新規の納豆をつくることができる。カテキン、イチョウの葉エキスなどは苦みを有しているが、本発明の微生物のまろやかな旨味が苦みを和らげ、さらに、コーヒー臭を発する菌が苦みといわゆる納豆特有の臭いをカムフラージュすると考えられる。さらに、本発明の微生物は、飼料添加物として使用することもできる。本発明の微生物の添加の対象となる飼料は、畜産飼料、魚餌、家畜の餌、魚餌、その他ペット類の餌のいずれであってもよい。例えば、本発明の微生物を畜産飼料に添加すると、硝酸塩の還元酵素のはたらきにより家畜の生理障害が緩和される。また、家畜の飼料要求率が高まって、畜糞の排出タンパク質カロリーが低くなり、悪臭が改善される。飼料1g当たり、菌数が103〜106個程度になるように添加するとよい。また、本発明の微生物は、食品、医薬品、化粧品などの苦味を低減化するために使用することもできる。苦味を有する食品としては、グレープフルーツ、レモン等の柑橘類及びその果汁;トマト、ピーマン、セロリ等の野菜、それを含む野菜汁及び野菜ジュース;納豆、豆乳などの大豆食品;魚肉、すり身などの水産加工食品肉類及び食肉加工品などを、苦味を有する医薬品としては、カテキン、イチョウ葉エキスなどを、苦味を有する化粧品としては、顔面に適用する化粧品、口腔に適用する化粧品などを挙げることができる。本発明の微生物については、食品添加物としての各種の応用が考えられる。本明細書で、「食品」とは、すべての飲食品をいう。本発明の微生物の添加の対象となる食品は、特に限定されることはないが、畜肉、牛乳、魚介類およびその加工品、並びに穀類、豆類、いも類、野菜類、果実類およびその加工品を含む。例えば、本発明の微生物をコーヒー臭のするアイスクリーム、コーヒー臭のするヨーグルトなどを作るための食品添加物として利用できる。本発明の微生物からなる食品添加物は、コーヒー臭はするが、カフェインが含まれないので習慣性が無いという長所を有する。食品1g当たり、菌数が103〜106個程度になるように添加するとよいが、この範囲は、食品の種類などにより変動しうる。また、ラップやタッパーなどの内面に本発明の微生物を塗布して使用すると、食品への有害性も無く、且つキチン・キトサンの抗菌性により腐敗、雑菌の繁殖を防ぎ、より長期の食品の保存が可能となる。ラップやタッパーの1cm2当たりのキチン・キトサンの量は、菌数に換算して101〜105個に相当する量を塗布するとよい。ラップやタッパーなどの内面に本発明の微生物を塗布するには、本微生物の生菌あるいは死菌を純水に分散させ、超音波破砕し、その水分散液をラッピングシートやタッパーなどに薄く塗布する。ところで、アトピー性皮膚炎の患者の炎症部にはブドウ球菌が繁殖している。この患部に納豆菌を含むペーストを塗布すると、納豆菌がブドウ球菌を食べ、化膿の進行やアトピーの進行を抑える事が知られている。納豆菌の代わりに本発明の微生物を使用すると、従来の納豆菌の効果に加え、キチン・キトサンの効果で、ブドウ球菌の増殖が抑制されるため、アトピー治療効果が一層増進される。本発明の微生物を軟膏、ローション、クリーム、ペースト、ジェル、乳液、パックなどの剤型に製剤化することができる。製剤中の本発明の微生物の含有率は、特に限定されないが、0.0001〜0.1重量%とするとよい。本発明の微生物を含む製剤を10−6〜10−3gの量(活性成分である微生物の量に換算して)で、1日1〜数回、アトピー性皮膚炎の患者の炎症部に適用するとよい。製剤を製造するにあたっては、構成成分として、スクワラン、パラフィン、ワセリンなどの炭水化物、オリーブ油、アーモンド油などの油脂、ミツロウ、ラノリンなどのロウ、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール、グリセリントリエステルなどの合成エステル、シリコン油などの油相成分、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、ポリエチレングリコールなどの保湿剤、クインスシードガム、ペクチン、セルロース誘導体などの粘液質、エタノール、イソロピルアルコールなどのアルコール、イオン交換水などの精製水、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸石けん、アルキル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどのアルカリ、香料、色素、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、バッファー剤、ビタミン類、紫外線吸収剤、アミノ酸などを配合することができる。発明を実施するための最良の形態以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。〔実施例1〕キチン・キトサンの定量1.検体1) Bacillus subtilis takemi2) Bacillus subtilis nattoh2.試験概要検体について、下記のアルカリ処理により得られた不溶物を酸加水分解した後、高速液体クロマトグラフ法によりグルコサミンを定量し、キチン(又はキトサン)に換算した。3.試験結果結果を表6に示す。4.試験方法1)アルカリ処理検体約5gを精密に量りとり、8W/V%水酸化ナトリウム溶液5mlを加えて沸騰水浴中で2時間加熱した。室温になるまで冷却後、メンブランフィルター(0.45μm)で吸引ろ過し、ろ液が中性になるまで残留物を水洗した。2)酸加水分解残留物をメンブランフィルターごと60℃で1夜乾燥した後、封管用試験管に移した。これに6mol/l塩酸5mlを加えて減圧封管し、100℃の乾燥器中で16時間加水分解した。室温になるまで冷却後、加水分解液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、塩酸を除去した。残留物を少量の水に溶解後、水酸化ナトリウム溶液で中和し、水で全量を10mlとした。メンブランフィルター(0.45μm)でろ過した液を試験溶液とし、適宜希釈して高速液体クロマトグラフ法に供した。3)グルコサミンの定量高速液体クロマトグラフ(絶対検量線法、ピーク高さ測定)により試験溶液のグルコサミンを定量した。4)計算▲1▼ 測定されたグルコサミンをキチン(N−アセチルグルコサミンのポリマー)に換算した場合キチン(%)=G×V/W×10−4×1.1341G:検量線から求めた試験溶液のグルコサミン濃度(μg/ml)V:試験溶液の定容量(ml)W:検体採取量(g)1.1341:グルコサミンからキチンへの重量換算係数▲2▼ 測定されたグルコサミンをキトサン(グルコサミンのポリマー)に換算した場合キトサン(%)=G×V/W×10−4×0.8995G:検量線から求めた試験溶液のグルコサミン濃度(μg/ml)V:試験溶液の定容量(ml)W:検体採取量(g)0.8995:グルコサミンからキチンへの重量換算係数〔実施例2〕土壌改良材の製造陰・陽イオン88種を放出する粒状の無機多孔質のセラミックス(ゴールド興産株式会社商品:商品名ゼットゴールド)を用意した。ブドウ糖120g、酵母エキス60gを含む水溶液1、200mlに当該無機多孔質セラミックス粒3Kgを加えよく攪拌した。この混合物に、バチルス・サブチルス・タケミ菌が1×108個/ml含む液体300mlを加え攪拌した。この分散混合液を、25〜45℃に保ち、多孔質セラミックスの細孔内に菌を成育増殖させた。これらのセラミックスを粉末にした後、ナタネ粕200Kg、骨粉200Kg、魚粕150Kg、米糠150Kg、大豆粉100Kg、鶏糞100kg、海藻堆肥100Kgからなる有機肥料原料と混合し、約30日発酵させた。その結果、有機物の発酵が進むと共に、土壌改良に有効な微生物を含んだ、しかも土壌改良材として有効なキチン・キトサンを豊富に含む、肥効性に富む土壌改良材が得られた。〔実施例3〕本土壌改良材を使用したトマト栽培トマトは連作を嫌う代表的な野菜である。連作障害は、農薬・化学肥料の多用により、根の根毛が焼けリンやミネラルの吸収ができなくなること、また、土壌有効微生物が死滅して有効微生物と植物との食物連鎖が阻害されること、有害微生物が繁殖して病気の原因となることなどが原因と言われる。トマト栽培畑10a当たり土壌改良材(実施例2)15Kg入りを30〜35袋投与した。そうすると、背丈の伸びは適度で、節間が短くがっしりと育ち、また、通例3〜4段で花芽の成長が不順になる場合が多いが、そのような障害は認められず、一般の収穫よりも20〜30%多い収穫ができた。さらに、通例連作2年目には病気の発生や収量の大幅な低下が見られる場合が多いが、本実施例の場合、4年以上に渡り連作障害が認められず、良好な収量を確保できた。トマトを引き抜いて見ると根が充分に張り、根毛が良く成長しているのが認められた。〔実施例4〕有機性廃棄物を発酵処理するための発酵材の製造陰・陽イオン88種を放出する粒状の無機多孔質のセラミックス(ゴールド興産株式会社商品:商品名ゼットゴールド)を用意した。ブドウ糖120g、酵母エキス60gを含む水溶液1、200mlに当該無機多孔質セラミックス粒3Kgを加えよく攪拌した。この混合物に、バチルス・サブチルス・タケミ菌を1×108個/ml含む液体300mlを加え攪拌した。この分散混合液を、25〜45℃に保ち、多孔質セラミックスの細孔内に菌を成育増殖させた。〔実施例5〕有機性廃棄物の発酵処理縦型生ゴミ発酵装置(ゴールド興産株式会社商品:商品名タケミ式生ゴミ発酵装置6型)を使用して、有機性廃棄物を発酵処理した。本処理装置は、縦型で、内径600ミリ、高さ600ミリの発酵槽が3段に積み重ねられている。最上段は生ゴミ投入口、2〜3段は発酵槽である。一日当たり50〜100Kgの生ゴミが連続して処理できる。各段の槽は独立して回転できるようになっており、且つ各段には攪拌と生ゴミの破砕を兼ねた回転刃が取り付けて有る。各槽は独立して空気の吸排気ができるようになっており、また、発酵槽は断熱材で覆われ、温度コントロールが独立してできるようになっている。一段目の槽には、実施例4で製造した発酵材を予め投入しておいた。発酵材の投入量は概ね50Kgであり、摩耗等で若干減耗するが、1年から5年間は補充なしで連続使用可能である。上部投入口から業務用あるいは家庭から出た生ゴミを投入し、槽を回転させながら空気を送り、35〜45℃に加温することで、発酵材中の発酵菌が成育し、生ゴミの発酵が開始した。生ゴミに家畜の糞や動物や魚の加工残さなども加えて組成の調整をした。時間の経過と共に、生ゴミは、2段目、3段目と移動しながら発酵が進み、最後に3段目の下部から、良質の肥料として取り出された。バチルス・サブチルス・タケミは硝酸塩還元菌なのでアンモニアに起因する異臭を発生せず、且つコーヒー臭を発するので異臭の発生がない。また、排出物はキチン・キトサンを含有する良質の土壌改良材を兼ねた肥料となる。〔実施例6〕大豆(1kg)を洗って、十分な量の水に半日浸した。十分に吸水した大豆を、大豆が親指と人指し指で簡単に押しつぶせる様になるまで、蒸した。蒸し上がった大豆に、大さじ2杯のお湯に溶いた耳かき2杯のバチルス・サブチルス・タケミ菌をかけた。大豆が熱いうちに、均等に全体に行き渡るように手早くかけた。大豆を、空気に接することができるように、浅く(2cm位の高さで)容器に盛った。この容器を42℃前後に調節された恒温室に入れ1〜2日保温すると、大豆の表面に白い膜が見え、納豆が出来上がった。冷蔵庫に入れて冷やすと、更に熟成して美味しくなった。出来上がった納豆は、歯触りは従来品と同等であるが、バチルス・サブチルス・タケミ菌は硝酸塩還元菌なので、納豆特有のアンモニア臭が無く、かつ菌特有のコーヒー臭がする。この結果、納豆が嫌いな人も食べやすい、またご飯以外の副食としても適する食品となっていた。〔実施例7〕飼料添加物の製造成分ヒューマス 30%酵母エキス 18%ゼットゴールド 15%天然抗菌材料 (ヒノキチオール,ブラジル純正プロポリス) 10%天然有機酸 (リンゴ酸,酢酸,クエン酸,コウジ酸混合液) 7%乳化オリゴ糖 5%天然ビタミンC類 5%有用菌*分散液 (総数108個/L) 10%*:エンテロコッカスフェジューム、ラクトバチルスアシドフィルス、ビフィドバクテリュムビフィダム製造法P−17ゼットゴールド(主成分が天然カルシウムのセラミックス、ゴールド興産株式会社商品)は多孔質のセラミックスであり、実施例4と同様の処理をし、バチルス・サブチルス・タケミ菌を培養させた。これを家畜が食するのに支障のない1mm以下の粉末に粉砕した。この粉末に上記他の成分を所定の割合で混合攪拌し、35〜45℃に保ち発酵させた。このとき、飼料1g当たり菌数が103〜106個になるように発酵条件を調整した。〔実施例8〕飼料添加物の給餌実施例7で製造した飼料添加物を、下記の比率で家畜の餌に添加給餌した。牛−0.4%、豚−0.6%、鶏−0.3〜0.4%同一養豚場でほぼ同時に生まれた子豚の一群から、健康に生まれた豚15頭と虚弱に生まれた豚15頭を抽出した。75日齢から本飼料添加物を0.6%添加し給餌開始した。75日齢で虚弱群は平均体重で3Kg低かった。175日齢で試験区と対照区の体重差が無くなった。出荷時の200日齢で、虚弱グループの試験区は平均体重で対照区より2.8Kg多くなった。試験区の豚の内臓は黄疸症状が無く心臓肥大も無かった。脂肪の融点が3.2℃高く、活性酸素の原因となる不飽和脂肪酸の少ない良質の脂肪となっていた。糞便の異臭発生も軽減された。〔実施例9〕1Kgの乾燥大豆を蒸し、蒸し上がった大豆に、カテキン(15g〜30g、株式会社伊藤園製)とイチョウの葉エキス(15g〜30g、タマ生化学株式会社製)を添加し、以下実施例6と同じ方法で納豆を製造した。その結果、市販の納豆にカテキンとイチョウの葉エキスを添加したものと比較して、実施例6で製造した納豆にカテキンとイチョウの葉エキスを添加したものは、納豆臭が激減したばかりでなく、カテキンとイチョウの葉エキスの苦味も低減した。〔実施例10〕下記の処方で、バチルス・サブチルス・タケミ菌を含有する製剤を作製した。クリームバチルス・サブチルス・タケミ菌 109〜1012個ステアリルアルコール 6.0gステアリン酸 2.0g水添ラノリン 4.0gスクワラン 9.0gオクチルドデカノール 10.0g1,3ブチレングリコール 6.0gPEG 1500 4.0gPOE(25)セチルアルコールエーテル 3.0gモノステアリン酸グリセリン 2.0g精製水* 54.0g*:ミネラル《88》(ゴールド興産株式会社製)で製造した、陰・陽ミネラルイオン88種含有液〔実施例11〕牛乳1000mlにヨーグルトの素15ml、さらに、実施例4で調製した平均粒径1〜10μm無機多孔質セラミックスにバチルス・サブチルス・タケミ菌を増殖させたもの1gを添加し、よくかき混ぜた。温度を約30℃に保ち3〜6時間保温すると、ヨーグルトができあがった。このようにして作ったヨーグルトは、バチルス・サブチルス・タケミ菌の効果で酸っぱさが和らぎ、キチン・キトサンオリゴ糖が含まれ栄養価が高まり、且つコーヒーの香りのする健康によく食べやすいヨーグルトであった。〔実施例12〕バチルス・サブチルス・タケミ菌を含有する増殖液を遠心分離器にかけ、上澄みを捨てた。沈降物に純水を加え再分散洗浄し、再度遠心分離器にかけた。これを5回繰り返し、最終遠心沈降物を取り出した。この沈降物を純水に分散させた。この時、菌数が1×109〜1×1011/mlになるようにした。この分散液を超音波破砕機にかけ、菌を微粉砕した。このようにして作成した菌微粉砕液を霧吹き機にいれ、塩化ビニールなどからなるラッピングシートに吹き付け塗布し、十分乾燥させ巻き取った。分散液1mlで1m2塗布した。なお、この一連の操作は、雑菌の入らない無菌室で実施した。このようにして作成したラッピングシートと市販の開封直後のラッピングシートに、大腸菌が106個/ml含まれる培養液を0.1ml滴下し、30℃で8時間放置した。その結果、市販品は大腸菌の増殖が進み、コロニーの生成が認められたが、本菌を塗布したラッピングシートはコロニーの生成は認められず、抗菌性があることが確認できた。なお、微粉砕バチルス・サブチルス・タケミ菌分散液として、抗菌性のチタンイオン、銀イオン、ゲルマニウムイオン、コバルトイオン、ネオジュームイオン等を含有するイオン水を使用すると、抗菌性は一層強化される。本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。産業上の利用可能性本発明の微生物は、土壌の改良、有機性廃棄物の発酵処理、大豆の発酵、苦味の低減化のために使用することができるので、有用である。また、本発明の微生物は、飼料添加物、食品添加物としても使用することができる。さらに、本発明の微生物は抗菌作用も有する。【図面の簡単な説明】第1図は、バチルス・サブチルス・タケミとバチルス・サブチルス・ナットーの16S rRNAの相同性解析の結果を示す。図中、並列している2つの列の上の列はバチルス・サブチルス・タケミの16S rRNAの1037−1406部位のヌクレオチド配列を示し、下の列はバチルス・サブチルス・ナットーの16S rRNAの相当部位のヌクレオチド配列を示す。 バチルス・サブチルス・タケミ(Bacillus subtilis takemi:FERM BP−6589)、あるいはその自然的または人工的変異体であって、硝酸塩を還元することができ、細胞壁にキチンおよび/またはキトサンを含むことを特徴とする、バチルス属の微生物。 請求項1記載の微生物を用いて、土壌を改良する方法。 請求項1記載の微生物を含む、土壌を改良するための組成物。 請求項1記載の微生物を用いて、有機性廃棄物を発酵処理する方法。 請求項1記載の微生物を含む、有機性廃棄物を発酵処理するための組成物。 請求項1記載の微生物を用いて、大豆を発酵させる方法。 請求項1記載の微生物を用いて発酵させた大豆。 請求項1記載の微生物を飼料添加物として使用する方法。 請求項1記載の微生物を含む飼料添加物。 請求項1記載の微生物を苦味の低減化のために使用する方法。 請求項1記載の微生物を含む、苦味の低減化のための組成物。 請求項1記載の微生物を食品添加物として使用する方法。 請求項1記載の微生物を含む食品添加物。 請求項1記載の微生物を用いて、細菌の増殖を抑制する方法。 請求項1記載の微生物を含む抗菌性組成物。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る