| タイトル: | 特許公報(B2)_タンパク質発現ベクターとその使用 |
| 出願番号: | 2000584093 |
| 年次: | 2010 |
| IPC分類: | C12N 15/09,C12N 5/10,C12P 21/02 |
植村 英俊 奥井 文 小南 勝也 山口 希 三井 真一 JP 4475814 特許公報(B2) 20100319 2000584093 19991119 タンパク質発現ベクターとその使用 扶桑薬品工業株式会社 000238201 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 植村 英俊 奥井 文 小南 勝也 山口 希 三井 真一 JP 1998331515 19981120 20100609 C12N 15/09 20060101AFI20100520BHJP C12N 5/10 20060101ALI20100520BHJP C12P 21/02 20060101ALI20100520BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 102C12P21/02 C C12N 15/09 JSTPlus(JDreamII) Biotechniques,1996年,Vol.20,p.136-41 Biotechnol. Appl. Biochem.,1996年,Vol.23,p.67-75 Biotechniques,1998年 8月,Vol.25,p.306-9 Gene,1995年,Vol.162,p.225-9 10 JP1999006474 19991119 WO2000031284 20000602 27 20061117 松田 芳子 発明の分野本発明は、タンパク質発現ベクターおよびその使用に関する。より詳しくは、目的とするタンパク質をコードする遺伝子を種々の宿主中で発現させて当該タンパク質を産生することができるタンパク質発現ベクターに関するものであって、当該タンパク質を精製の容易な組換え融合タンパク質の状態で発現させ、細胞外に分泌させることができる点および最終的に目的タンパク質のN末端に余分なアミノ酸が付加しない状態で目的タンパク質を得ることができる点に、技術的特徴と利点を有するものである。発明の背景組換えタンパク質産生に用いる発現ベクターは、これまでに数多く開発されており、特に大腸菌や酵母等の微生物を宿主とした発現系では、高い収率を期待できるものが提供されるに至っている。生物活性が糖鎖に依存するタンパク質の場合、動物細胞を宿主としてタンパク質を産生させる必要があるが、この点でも、最近、高発現性能を有するベクターが開発され(特開平10−179169号明細書)、これを使用してヒトマンナン結合タンパク質の発現に成功した例がある。この様に、異種タンパクを産生させるためには、大腸菌、酵母または動物細胞を宿主とする系が多くの研究者によって使用されてきた。大腸菌を宿主とする系では、強力な大腸菌由来のプロモーターを用いることにより発現能力を高めることができるが、発現された異種タンパクは細胞内に封入体として集積する場合がほとんどである。従って、尿素やグアニジンのような変性剤を用いてタンパク質を可溶化した後、活性型のタンパク質への巻き戻しが必要であり、活性型のタンパク質を直接に単離、精製することは極めて困難であって、操作も煩雑になる。また、酵母を宿主とする系では、プロテアーゼによる分解を回避することができないので、可溶性タンパク質の発現の向上を期待できないばかりでなく、発現環境が高等動物の細胞内環境と大きくかけ離れているため、タンパク質の修飾が異なる結果となる。さらに、動物細胞を宿主とする系では、天然型とほぼ同等の組換えタンパク質の産生が可能であるが、培養操作が煩雑であり、生産効率の面で難点がある。近年、宿主として昆虫細胞を使用し、バキュウロウィルスにより宿主を感染させる発現系が注目されている。その理由として、バキュウロウィルスは昆虫細胞に感染することにより、全細胞タンパク質の約25%以上をポリヘドロンタンパク質として生産し、この強力なプロモーターを用いて異種タンパク質の高発現系が開発されたことが挙げられる。そして、バキュウロウィルス−昆虫細胞発現系を用いた異種タンパク質の産生については、次のような利点が認められている:(a)異種タンパク質の発現量が高い;(b)天然型タンパク質と同様のシグナルペプチドのプロセッシング、糖鎖、リン酸、脂質等による修飾、2量体形成、ウィルス粒子の生成およびイントロンの除去等が起こる;(c)昆虫細胞内で天然型と同様の細胞内局在性を示す;(d)昆虫細胞の浮遊培養が可能である。これまで遺伝子操作技術を用いて様々なタンパク質(例えば、インスリン、インターフェロン、エリスロポエチン、マンナン結合タンパク質、コングルチニン等)が昆虫細胞や動物細胞で産生されている。天然型とほぼ同質の組換えタンパク質を得るためには、上記したように、宿主として動物細胞(例えば、哺乳動物細胞または昆虫細胞)を用いる発現系が必須であり、該発現系において有用な発現ベクターの開発が求められている。発現ベクターの開発は、主として組換えタンパク質の発現量を高めることと、発現した組換えタンパク質の精製を簡便にすることの2方面からアプローチされてきた。発現量を高めることを目的としたベクターとしては、例えば特開平10−179169号明細書に開示されたものがあり、精製効率を高めることを目的としたベクターとしては、例えばヒスチジンTagベクター(Invitrogen社製)が知られている。細胞外に分泌した組換えタンパク質の精製を簡便に行うことができるものとして、pSecTagベクター(Invitrogen社製)が市販されている。このベクターは、哺乳動物細胞を宿主とし、分泌シグナル、目的タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができるマルチクローニングサイト、融合タンパク質を認識することができるmycエピトープおよびニッケルキレート樹脂により精製可能なポリヒスチジンTagを含有している。しかしながら、このベクターは、目的タンパク質を昆虫細胞で発現させることはできない。また、動物細胞で発現させることができた場合でも、目的タンパク質のC末端にはmycエピトープ、ヒスチジンTag等のアミノ酸が付加されており、純粋な組換えタンパク質として得ることができない欠点がある。他方、昆虫細胞で発現させることができ、かつ、精製を容易にすることができるベクターとして、pFastBAC HTbベクター(GIBCO社製)が市販されている。このベクターは、昆虫細胞を宿主とし、ヒスチジンTag核酸配列、ヒスチジンTag核酸配列と目的タンパク質をコードする核酸配列間の切断可能核酸配列および目的タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができるマルチクローニングサイトを有している。しかしながら、このベクターは細胞外に目的タンパク質を分泌させることができる分泌シグナルを含有していない。故に、細胞内に発現した目的タンパク質を得るためには、細胞を破壊する必要がある。細胞を破壊すると、細胞内の無数のタンパク質が漏出し、目的のタンパク質の単離、精製が極めて困難となる。また、発現され得る組換えタンパク質は、天然のものとアミノ酸配列が同一であることが望ましく、C末端やN末端に発現ベクター由来のアミノ酸が付加していないことが好ましい。特に、天然または組換えタンパク質の1番目(N末端)のアミノ酸の種類は、当該タンパク質の安定性に大きく影響することが知られている。すなわち、N末端のアミノ酸の性質とイン・ビボにおけるタンパク質の寿命との間には強い相関関係があり、これはN末端則(N−end rule)と呼ばれており、細菌から哺乳類に至る調べられた生物すべてについて、多少の差こそあれ、この関係が存在している。上記したような現状に鑑み、動物細胞、特に哺乳動物細胞または昆虫細胞を宿主とする発現系において、組換えタンパク質を発現し、これを細胞外に分泌することができ、かつ、得られた組換えタンパク質の精製方法が簡便であり、さらには少なくとも天然型と同一であるアミノ酸配列のN末端を有する組換えタンパク質を発現することができる、発現ベクターの開発が求められていた。発明の目的従って、本発明の主な目的は、動物細胞、特に哺乳動物細胞または昆虫細胞のような種々の宿主において、組換えタンパク質を発現し、これを細胞外に分泌することができ、かつ、得られた組換えタンパク質の精製方法が簡便であり、さらには少なくとも天然型と同一であるアミノ酸配列のN末端を有する組換えタンパク質を発現することができる、新規な発現ベクターを提供することである。発明の要旨本発明は、種々の宿主細胞(特に哺乳類細胞や昆虫細胞のような動物細胞)の使用に際して、産生した組換えタンパク質を宿主細胞外に分泌することができ、また産生された組換えタンパク質を容易に精製することができ、更に天然型とほぼ同質である組換えタンパク質を得ることができる、発現ベクターを提供するものである。なお、ここに提供される発現ベクターは、タンパク質に糖鎖の存在が不要である場合や基礎的研究のためにタンパク質の生産が行われる場合のように、微生物等を好んで宿主として用いるときにも使用することができる。本発明にかかるタンパク質発現ベクターは、その基本的構成として、少なくとも(1)分泌シグナル核酸配列と、その3’下流側に(2)Tag核酸配列、(3)切断可能核酸配列および(4)目的タンパク質をコードする核酸配列または(4’)目的タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができるクローニング部位を、この順序に従って含むものである。なお、これら(1)〜(4)または(4’)の必須核酸配列の前後あるいは間に、さらに、エピトープをコードする核酸配列やスペーサー配列をコードする核酸配列のような任意核酸配列を適宜に包含させてもよい。すなわち、本発明は、(1)分泌シグナル核酸配列と、その3’下流側に、Tag核酸配列、切断可能核酸配列および目的タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができるクローニング部位をこの順序に含んでいることを特徴とする、タンパク質発現ベクター、(2)クローニング部位に、目的タンパク質をコードする核酸配列が挿入されている、上記(1)記載のタンパク質発現ベクター、(3)クローニング部位または目的タンパク質をコードする核酸配列が、切断可能核酸配列の3’末端に連続して存在する、上記(1)または(2)記載のタンパク質発現ベクター、(4)分泌シグナル核酸配列の3’下流側であって、切断可能核酸配列の5’上流側に、少なくとも1個のアミノ酸をコードする核酸配列をスペーサー核酸配列として含んでいる、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクター、(5)スペーサー核酸配列が、少なくともLeu−Val−His−Gly−Lys−Leuなるアミノ酸配列をコードする核酸配列である、上記(4)記載のタンパク質発現ベクター、(6)スペーサー核酸配列が、少なくとも切断可能核酸配列から構成されている、上記(4)または(5)記載のタンパク質発現ベクター、(7)切断可能核酸配列がアミノ酸配列に翻訳されたとき、当該アミノ酸配列の上流直近および/または下流直近および/または途中で酵素によって切断される、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクター、(8)切断可能核酸配列が、少なくともAsp−Asp−Asp−Asp−Lysなるアミノ酸配列をコードする核酸配列である、上記(7)記載のタンパク質発現ベクター、(9)酵素がエンテロキナーゼである、上記(7)または(8)記載のタンパク質発現ベクター、(10)分泌シグナル核酸配列が、IgG(κ)シグナルまたはトリプシンシグナルである、上記(1)〜(9)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクター(11)Tag核酸配列がポリヒスチジンである、上記(1)〜(10)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクター、(12)さらに抗体認識エピトープをコードする核酸配列を含んでいる、(1)〜(11)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクター、(13)目的タンパク質をコードする核酸配列がニューロシンをコードするものである、上記(1)〜(12)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクター、(14)上記(1)〜(13)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクターで形質転換された宿主細胞、(15)宿主細胞が動物細胞である上記(14)記載の宿主細胞、(16)動物細胞が哺乳動物細胞である上記(15)記載の宿主細胞、(17)動物細胞が昆虫細胞である上記(15)記載の宿主細胞、(18)上記(1)〜(18)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクターまたは宿主細胞を用いることを特徴とする、目的タンパク質の製造方法、(19)上記(18)記載の方法によって得られた、目的タンパク質、(20)上記(1)〜(18)のいずれかに記載のタンパク質発現ベクターまたは宿主細胞を用いることを特徴とする、目的タンパク質のアミノ酸配列を含む組換え融合タンパク質の製造方法、(21)上記(20)記載の方法によって得られた、目的タンパク質のアミノ酸配列を含む組換え融合タンパク質、(22)上記(21)記載の組換え融合タンパク質を、当該組換え融合タンパク質中のTagおよび/またはエピトープを認識できる物質に保持させてから、脱離させることにより精製し、ここに得られた精製組換え融合タンパク質を、当該組換え融合タンパク質中の切断可能部位を認識することができる酵素を作用させて、目的タンパク質を遊離させ、その後、この遊離した目的タンパク質を採取することを特徴とする、目的タンパク質の製造方法、(23)上記(21)記載の組換え融合タンパク質を、当該組換え融合タンパク質中のTagおよび/またはエピトープを認識できる物質に保持させてから、当該組換え融合タンパク質中の切断可能部位を認識することができる酵素を作用させて、目的タンパク質を遊離させ、その後、この遊離した目的タンパク質を採取することを特徴とする、目的タンパク質の製造方法、ならびに(24)上記(22)または(23)記載の方法によって得られた、目的タンパク質、を提供するものである。発明の詳細な説明本明細書で言う「宿主細胞」は、本発明にかかるタンパク質発現ベクター中の目的タンパク質をコードする核酸配列を発現し、これを当該細胞外に分泌することができるものであるならば、その種類を問わない。従って、宿主細胞は、微生物であってもよいが、好ましくは動物細胞、特に哺乳動物細胞または昆虫細胞である。哺乳動物細胞や昆虫細胞の具体例としては、ヒト由来の細胞、マウス由来の細胞、ハエ由来の細胞、カイコ由来の細胞等を挙げることができ、特にCHO細胞、COS細胞、BHK細胞、Vero細胞、ミエローマ細胞、HEK293細胞、HeLa細胞、Jurkat細胞、マウスL細胞、マウスC127細胞、マウスFM3A細胞、マウス繊維芽細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、S2細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、High Five(商標)細胞等から選択して使用される。また、微生物としては、大腸菌、酵母菌等が使用され得る。本発明の「タンパク質発現ベクター」は、目的タンパク質を単離、精製もしくは認識しやすいように、組換え融合タンパク質として発現させるものであることが好ましい。「組換え融合タンパク質」とは、目的タンパク質のN末端側または/およびC末端側に適当なペプチド鎖が付加したタンパク質を意味する。なお、本明細書では、「組換えタンパク質」なる言葉も使用するが、これは目的タンパク質をコードする核酸配列を本発明のタンパク質ベクターに組込み、発現させて産生した組換え融合タンパク質から、目的タンパク質をコードする核酸配列に由来しないアミノ酸配列を切断、除去したものを言い、実質的に目的タンパク質と同義語である。本発明のタンパク質発現ベクターによって発現され、細胞外に分泌されたタンパク質は、少なくとも目的タンパク質、Tag配列およびTag配列と目的タンパク質との間に切断可能部位を有するアミノ酸配列から成る組換え融合タンパク質である。また、当該組換え融合タンパク質は、更に抗体が認識することのできるエピトープを含んでいるものであってもよいし、あるいはTag配列がエピトープとしての役割を有しているものであってもよい。この様に発現させた組換え融合タンパク質に適当な処理を施すことにより、組換えタンパク質を得ることができる。翻訳後のタンパク質が活性型タンパク質である場合もあるが、そうでない場合でも、これに対して種々のプロセッシングを適用することにより、活性型タンパク質に変換することができる。多くの場合、タンパク質は、まず活性型タンパク質のN末端に15〜60個程度のアミノ酸残基から成る分泌に関与するペプチド(分泌シグナル)を付けた不活性前駆体(プロ体)として、細胞質内のリボソーム上で合成される。この分泌シグナルとしてのペプチド部分は、細胞膜を通過する機構に関連しており、膜を通過する際に特異的なプロテアーゼで切断、除去されて(必ずしも常にとは限らないが)、成熟型タンパク質となる。分泌シグナルとしてのペプチド部分は、中央部に疎水性アミノ酸から成る広い疎水性領域を持ち、N末端近くに塩基性アミノ酸残基を有している。なお、分泌シグナルは、シグナルペプチドと同義語であると理解されてよい。また、ある種のタンパク質では、不活性前駆体(プロ体)のN末端にさらに分泌シグナルとしてのペプチド部分が結合しており、このようなタンパク質をプレプロタンパク質(プレプロ体)という。例えば、トリプシンは、アミノ酸に翻訳された直後はプレプロ体として存在し、細胞外に分泌された後はプロ体として存在し、十二指腸でエンテロペプチダーゼもしくはトリプシン自身により限定分解されて、活性型トリプシンとなる。プロ体から活性型タンパク質部分を削除したものをプロ部分と言い、プレプロ体からプロ体部分を削除したものをプレ部分と言い、プレプロ体から活性型タンパク質部分を削除したものをプレプロ部分と言う。本発明のタンパク質発現ベクターの必須構成分の一つである「分泌シグナル核酸配列」とは、分泌シグナルをコードする核酸配列を言う。また、「分泌シグナル」とは、プロ体として発現されるタンパク質においてはプロ部分を指し、プレプロ体として発現されるタンパク質においては少なくともプレ部分またはプレプロ部分を指すが、細胞内で発現したタンパク質を細胞外に分泌させることができるペプチドであれば特に限定されない。本発明のタンパク質発現ベクター中に構築されている分泌シグナル核酸配列は、分泌シグナルのC末端に切断部位が存在しているものをコードしているのが好ましい。分泌シグナルのC末端に切断部位が存在していないものをコードする場合には、該分泌シグナル核酸配列の3’末端に新たに切断可能部位をコードする核酸配列を挿入するのが好ましい。例えば、配列番号19におけるアミノ酸番号1〜23で示すトリプシンシグナルである。該配列のC末端(アミノ酸番号19〜23)には、Asp−Asp−Asp−Asp−Lysが存在し、エンテロキナーゼが認識することができる。真核細胞の分泌タンパク質の分泌シグナルは、原核細胞のそれと類似しているため、大腸菌等を宿主として利用してもよい。分泌シグナルは、宿主により細胞外分泌活性が異なるため、宿主に適合した分泌シグナルを選択する必要がある。分泌シグナルの具体例として、IgG(κ)(もしくはIgGk)シグナル(もしくはリーダー)またはトリプシンシグナルを挙げることが出来、これらは宿主細胞として昆虫細胞および哺乳動物細胞を使用した場合、特に高い分泌活性を示す。分泌シグナルの他の具体例としては、ハエ(Drosophila)のBiP、ミツバチのメリチン(melittin)、ビチア・パストリス(Pichia pastoris)のα−factor、PHO等を挙げることができる。なお、トリプシンシグナルと言う場合、それは配列番号19におけるアミノ酸番号1〜18または1〜23のいずれで構成されるものであってもよい。更に、分泌シグナルには、上に例示したもの以外に、それらの同族体や変異体であって、細胞外にタンパク質を分泌させることができるものも含まれる。本発明のタンパク質発現ベクターの他の必須構成分である「Tag核酸配列」とは、Tag配列をコードする核酸配列を言う。「Tag配列」は、目的タンパク質をコードする核酸に由来しないアミノ酸配列であって、発現させたとき、目的タンパク質の単離、精製および認識を容易にするために組込むものである。従って、Tag配列は、例えば抗体が認識できる抗原やエピトープであってよい。このようなTag配列を有する組換え融合タンパク質を、当該Tag配列を認識できる物質に保持させることにより、単離、精製を容易に行うことができる。具体的な単離、精製方法として、例えばTag配列を認識できる物質に本発明で得られた組換え融合タンパク質を一旦保持させ、その後脱離させることにより組換え融合タンパク質を得、さらに、これに切断可能配列を認識して切断することができる酵素を作用させることにより、組換えタンパク質を単離、精製することができる。また、Tag配列を認識できる物質に、本発明で得られた組換え融合タンパク質を保持させたまま、脱離行程を経ずに、切断可能配列を認識して切断することができる酵素を作用させることにより、組換えタンパク質を単離、精製することができる。Tag核酸配列の具体例としては、ポリヒスチジン(PHIS;本明細書中ヒスチジンTagまたはHis tagともいう)、好ましくは6個のヒスチジンから成るもの((His)6)をコードする核酸配列が挙げられる。本発明のタンパク質発現ベクターを用いて、PHISをコードする核酸配列を発現させた組換え融合タンパク質中には、Tag配列としてPHISが存在する。PHISは、例えばニッケルキレーティング樹脂(ProBond(商標))により吸着され、pH変動、EDTAもしくはイミダゾール物質添加により当該樹脂から解離することができる。この様な性質を利用することにより、組換え融合タンパク質を単離、精製することができる。他の例として、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)をTag配列として使用し、GSTを認識することができるグルタチオンセファロース4Bカラムを用いてアフィニティークロマトグラフィーを行い、その後グルタチオンを加えることによる競合的結合により組換え融合タンパク質を単離、精製することができる。更に他の例として、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)をTag配列として用い、CBPを認識することができる、カルモジュリンアフィニティー樹脂を用いてアフィニティークロマトグラフィーを行い、その後EGTAを加えることにより組換え融合タンパク質を単離、精製することができる。更に他の例として、プロテインAをTag配列として用い、プロテインAを認識することができるIgGセファロース6FFカラムを使用したアフィニティークロマトグラフィーを行い、その後pH変動等の処理を行うことにより、組換え融合タンパク質を単離、精製することができる。本発明のタンパク質発現ベクターの今一つの必須構成分である「切断可能核酸配列」とは、当該核酸配列がアミノ酸配列に翻訳された後、当該アミノ酸配列をその上流直近および/または下流直近および/または途中で切断することができるような、核酸配列を言う。例えば、酵素特異的切断が可能なアミノ酸配列をコードする核酸配列がこれに該当し、その具体例として、次のようなものを挙げることができる:アミノ酸配列Asp−Asp−Asp−Asp−Lysをコードする核酸配列(当該アミノ酸配列はエンテロキナーゼによって認識され、そのC末端部分において、組換え融合タンパク質が切断される);アミノ酸配列Leu−Val−Pro−Arg−Gly−Serをコードする核酸配列(当該アミノ酸配列はトロンビンによって認識され、そのArg−Gly間において、組換え融合タンパク質が切断される);アミノ酸配列:Ile−Glu−Gly−Argをコードする核酸配列(当該アミノ酸配列はXa因子によって認識され、そのC末端部分において、組換え融合タンパク質が切断される);アミノ酸配列Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Glnをコードする核酸配列(当該アミノ酸配列はTEV(Tabbaco Etch Virus)プロテアーゼによって認識され、そのC末端部分において、組換え融合タンパク質が切断される)など。なお、切断可能核酸配列は、分泌シグナル核酸配列、Tag核酸配列または目的タンパク質をコードする核酸配列の一部または全部を利用し、これに適宜の核酸配列を付加するか、または付加することなく、構成するようにしてもよい。本発明のタンパク質発現ベクターは、上記した三つの必須構成分に加え、目的タンパク質をコードする核酸配列または当該核酸配列を挿入することができるクローニング部位を、それら必須構成分の3’下流側に含むものである。目的タンパク質をコードする核酸配列について、特に制限はなく、インスリン、インターフェロン、エリスロポエチン、マンナン結合タンパク質、コングルチニン、ニューロシンなどのタンパク質をコードする核酸配列が使用されてよい。本発明のタンパク質発現ベクターは、上記必須構成分が存在していれば、バックボーンベクターはいずれを用いてもよいが、宿主細胞に適合するものを用いるのが好ましい。バックボーンベクターとは、本実施例で言うpSecTag2A、pSecTag2B、pFastBAC1など、原材料となるベクターを言う。バックボーンベクターは、例えばInvitrogen社製のpBAD/His、pRSETA、pcDNA2.1、pTrcHis2A、pYES2、pBlueBac4.5、pcDNA3.1およびpSecTag2、Novagen社製のpETおよびpBAC、Promega社製のpGEM、Stratagene社製のpBluescriptII、Pharmacia社製のpGEXおよびpUC18/19、Clontech社製のpRTE、pEBFPおよびpGAD GH等、タンパク質を発現し得るベクターであれば特に限定されない。さらに、プロモーターおよび/またはエンハンサーなどは、バックボーンベクター由来のものを使用してもよいし、宿主に適合するように適宜、置換、付加、削除等を施してもよい。プロモーターまたはエンハンサーとして、例えばT7、CMV、HSV TK、SV40、RSV、trc、BAD、TRE/minCMV、5’LTR、GAL1、AOX1、lac、ADH1、Polyhedrin、Metallothionein、Actin 5C geneなどを使用することができる。本発明のタンパク質発現ベクターは、上記必須構成分に加え、更に「スペーサー核酸配列」を含むことが出来る。スペーサー核酸配列とは、スペーサー配列をコードする核酸配列を言い、本発明のタンパク質発現ベクターのいずれの場所に組み込まれてもよい。スペーサー配列は、分泌シグナル、Tag配列、エピトープ配列および目的タンパク質のいずれとも異なるアミノ酸配列(通常1〜50個程度のアミノ酸で構成されている)であり、結果的に目的タンパク質を分泌させることができる補助的手段としての役割を果たすものである。例えば、分泌シグナル、Tag配列、エピトープ等を酵素などで切断することができる切断可能配列であってよい。特に、目的タンパク質の上流にヒスチジンTagが存在する場合、分泌シグナルにトリプシンのプレプロ部分を組込み、プレプロ部分のC末端に連続してアミノ酸配列Leu−Val−His−Gly−Lys−Leuをスペーサー配列として組込むと、トリプシンシグナルとヒスチジンTagの間の距離が離れ、酵素などによる切断に好都合である。本発明のタンパク質発現ベクターは、また、「抗体認識エピトープ」をコードする核酸配列を含んでいてもよい。抗体認識エピトープとは、抗体によって認識される抗原決定部位のことであり、抗体と結合可能な部位を指す。抗体はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗血清等のいずれでもよい。エピトープを組換え融合タンパク質中に含有するように発現させた場合、当該エピトープに対する抗体を用いることにより組換え融合タンパク質の発現が確認でき、また、抗原−抗体アフィニティーカラムにより容易に単離、精製することができ、更にまた、任意に切断可能部位で切断することにより組換えタンパク質を得ることができる。エピトープとして発現させることができる例として、Xpress、チオレドキシン(Thioredoxin)、c−myc、V5、HA/c−myc等を挙げることができる。上記発現ベクターの宿主細胞に対する導入は、自体常套の方法で行われてよく、例えばリポポリアミン法、DEAE−デキストラン法、ハナハン法、リポフェクチン法、リン酸カルシウム法によるトランスフェクション、マイクロインジェクション、エレクトロホーレーション等の方法を採用することができる。本発明には、上記構成のタンパク質発現ベクターに加え、当該タンパク質発現ベクターによって形質転換された宿主細胞、当該計質転換宿主細胞を培養して組換え融合タンパク質を発現させる組換え融合タンパク質の製造方法、当該製造方法によって得られる組換え融合タンパク質、当該組換え融合タンパク質から組換えタンパク質を生産する組換えタンパク質の製造方法、当該製造方法によって得られた組換えタンパク質も含まれる。実施例以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。ただし、以下の説明において、IgGkリーダーは、IgGの分泌シグナルと同義語であると理解されてよい。また、トリプシンシグナルは、それに近接してDDDDK(Asp−Asp−Asp−Asp−Lys)が存在する場合、当該DDDDKを含めてトリプシンシグナルと呼ぶ場合(配列番号19におけるアミノ酸番号1〜23の配列)もあれば、当該DDDDKを含めずにトリプシンシグナルと呼ぶ場合(配列番号19におけるアミノ酸番号1〜18の配列)もある。そのいずれを示すかは、前後の記載から当業者にとって容易に理解することができよう。ただし、図1、3および5に示すトリプシンシグナルは、配列番号19のアミノ酸番号1〜18である。なお、IgGkシグナルとトリプシンシグナルとは、相互に交換して使用できるものであり、その意味で両者は等価物であるということができ、ここで言うトリプシンシグナルは、DDDDKを含んでいるものまたは含んでいないもののいずれであってもよい。実施例1:プラスミドpTrypTag/ニューロシンの構築と発現プラスミドpSecTag2A(Invitrogen社製)に、新たに組み込むヒスチジンTag(His tag)を含む分泌シグナル(以後、His分泌シグナル)として、配列番号1に示す塩基配列を有するセンスDNAと、配列番号2に示す塩基配列を有するアンチセンスDNAを合成した。このHis分泌シグナル配列の制限酵素切断部位の配列は、5’末端はHindIII−NheIとし、3’末端はBamHI−EcoRIとした。プラスミドpSecTag2Aの1μg(0.1μl)を制限酵素NheIおよびBamHIで処理することにより、IgGkリーダー配列をコードする領域を完全に除去した。この溶液に対して、先のセンスDNAとアンチセンスDNAをそれぞれ100pmoleづつ加え、70℃で10分間熱処理した後室温で30分間放置してアニーリングした。NheIとBamHIで処理したHis分泌シグナル配列とpSecTag2A 1μlづつにDNAライゲーションキットVer.2(宝酒造株式会社)のI液を2.0μl加え、16℃で、30分間反応させた。反応液に大腸菌コンピテントセルXL1−Blue(STRATAGENE社)0.1mlを加え、氷上で30分間反応させた後、42℃で、60秒間熱ショックを与えた。2分間氷上に置いた後、SOC培地(東洋紡績株式会社)を0.9ml加え、37℃で、1時間シェーカーで振とう培養した。5,000rpmで1分間遠心分離して、上清を廃棄した。遠心管内に残った溶液で沈殿したコンピテントセルを懸濁し、1:10の割合で2枚の100μg/mlのアンピシリンを含むアンピシリンLBプレートに播いた。37℃で、1晩培養し、生じたコロニーから得られたプラスミドのうち、His分泌シグナルのDNAが挿入されているものをPCRで選択し、それをpTrypHisとした。Pharmacia Flex Prep kitを用いて昼夜培養した大腸菌よりpTrypHisを回収した。5μgのpTrypHisベクターに対して20単位のBamHIを加え、37℃で4時間かけて切断した後、6単位のMung bean exonuclease(宝酒造)を加えて室温(25℃)で30分間反応させて末端を平滑化した。更に、20単位のEcoRIでクローニングサイトの3’側を切断した後、1単位のbacterial alkaline phosphatase(宝酒造)を加えて65℃で30分反応した。挿入したヒトニューロシンcDNAは既にpSPORT1(Gibco BRL)にクローン化されたcDNAを鋳型に配列番号3及び4で活性体に相当する部分をPCRによって増幅した。この際、配列番号3の5’末端はT4 polynucleotidekinase(宝酒造)によってあらかじめリン酸化しておく。得られたPCR産物は一度エタノール沈殿した後、3’末端をEcoRIで切断する。このcDNAと先ほどのpTrypHisを1.0%アガロースゲル電気泳動によって分離して、目的のバンドを切り出し、Sephaglas BandPrep kit(Pharmacia)によって精製した。これらを前述と同様にライゲートして大腸菌XL1−Blueを導入した。ニューロシンの配列を含むクローンを選別してpTrypHis/ニューロシンとし(図1)、プラスミドDNAを回収した。1μgのpTrypHis/ニューロシンをLipofectAMINE(Gibco BRL)を用いて説明書に従ってCOS−1細胞に導入した。導入後48〜72時間後に培養上清及び細胞抽出液を回収して、定法に従って抗ニューロシン抗体(特願平10−187506号)を用いたウエスターン・ブロット解析を行ったところ、細胞抽出液にのみ組換えニューロシンが存在していた(図2)。なお、ヒト活性型ニューロシンの核酸配列とアミノ酸配列は、配列番号14と15に示すとおりである。実施例2:pSecTag/ニューロシン、pSecHisTag/ニューロシン、pSecTrypHis/ニューロシンの作製と発現検討(1)各プラスミドの構築pSecTag2BクローニングサイトのHindIIIとXhoIサイトに配列番号5及び6でpTrypHis/ニューロシンを鋳型に増幅したニューロシンの活性領域のcDNAを実施例1と同様にして挿入し、pSecTag/ニューロシンとした(図3A)。pSecTag2BのHindIIIとEcoRIサイトに実施例1で構築したpTrypHis/ニューロシンを鋳型に配列番号7及び4を用いて増幅したcDNAを挿入してpSecHisTag/ニューロシンとした(図3B)。実施例1と同様に配列番号8と9をアニールさせてNheIとBamHI消化したフラグメントをpSecTag2Aに挿入し、pSecTrypHisとした。これの平滑末端化したBamHIサイトとXhoIサイトに配列番号3と6とで増幅したニューロシン活性体を実施例1のごとく挿入し、pSecTrypHis/ニューロシンとした(図3C)。なお、図3Bにおけるニューロシンの活性領域のcDNA(human activeneurosin)より上流部分、すなわちIgGkリーダー−スペーサー配列−(His)6−DDDDKの部分の核酸配列とアミノ酸配列を、配列番号16と17に示す。IgGkリーダーはアミノ酸番号1〜21までを示し、スペーサー配列はアミノ酸番号22〜34までを示し、(His)6はアミノ酸番号35〜40までを示し、DDDDKはアミノ酸番号41〜45までを示す。 (2)各プラスミドのCOS−1細胞での発現各プラスミドDNA 1μgを実施例1と同様の方法でCOS−1細胞に導入して48〜72時間後に細胞抽出液と培養上清について、組換えニューロシンタンパク質の存在を抗ニューロシン抗体を用いたウエスターン・ブロット解析で検討した。その結果、いずれも培養上清中に分泌され、少なくともシグナルペプチドとそのC末端側の数アミノ酸があれば細胞より分泌されることが示された。また、IgGkとトリプシノーゲンのシグナル配列を用いた場合とで分泌効率の差は認められなかった(図4)。実施例3:pFBTrypSigTag/ニューロシンの作製配列番号10及び11によりpSecTrypHis/ニューロシンのトリプシンシグナルからエンテロキナーゼ認識サイトまでの部分にLeu−Val−His−GlyのペプチドがC末端にくるように増幅する。これをpSecTag2AのNheIとHindIIIサイトに挿入しプラスミドpTrypSigを作製した。pTrypHisのHis tag領域を含むおよそ200bpを配列番号11及び7によって増幅し、HindIIIとBamHIによる消化で生じたHis tagとエンテロキナーゼ認識部位を含むおよそ40bpの断片をpTrypSigに挿入してpTrypSigTagを作製した(図5A)。pTrypSigTagのトリプシンシグナル配列からエンテロキナーゼ認識部位までを配列番号6と12を用いたPCRによって作製したcDNAをBglIIとBamHI消化によって切り出し、pFastBAC1(Gibco社製)のBamHIサイトに挿入した。挿入方向を配列番号6と13を用いたPCRによって確認し、polyhedrinプロモーターによって転写・翻訳される方向に挿入されたクローンを選択し、pFBTrypSigTagとした。これに実施例1と同様の方法でニューロシンの活性体を挿入して、pFBTrypSigTag/ニューロシンとした(図5B)。この際、蛍光標識した配列番号10を用いて塩基配列を決定することにより、正しくニューロシンが挿入されているかを確認した。なお、図5Bにおけるニューロシンの活性領域のcDNA(human activeneurosin)より上流部分、すなわちトリプシンシグナル−DDDDK−スペーサー配列−(His)6−DDDDKの核酸配列とアミノ酸配列を、配列番号18と19に示す。トリプシンシグナル−DDDDKはアミノ酸番号1〜23までを示し、スペーサー配列はアミノ酸番号24〜29までを示し、(His)6はアミノ酸番号30〜35までを示し、それに続くDDDDKはアミノ酸番号36〜40までを示すpFBTrypSigTag/ニューロシンをGibco BRL BAC−TO−BACバキュウロウイルス発現系のプロトコールに従ってバクミドDNA上にトリプシノーゲンシグナルペプチド、His tag、及びエンテロキナーゼ認識部位を融合したキメラニューロシンを持つ組み換えバクミドを作製した。これをBAC−TO−BACバキュウロウイルス発現系のマニュアルに従いSf−9細胞で発現させたところ、ウィルス感染後2日目より培養上清中に分泌されることが抗ニューロシン抗体を用いたウェスタン法によって確認された(図6)。ウエスタンブロッティングは以下の方法を用いて行うことができる。すなわち、培養上清を回収後、等量の2×SDS loading buffer(第一化学社製)と混合し、沸騰浴中で5分間加熱したものをサンプル溶液とした。該サンプル溶液をSDS電気泳動装置(第一化学社製)およびSDS−tris−glycin buffer(第一化学社製)を用いて10〜20%polyacrylamide gel(第一化学社製)で電気泳動した。一方、泳動中、ブロット用に3MM濾紙(Whattman社製)を陽極液1(第一化学社製)に2枚、陽極液2(第一化学社製)に1枚、陰極液(第一化学社製)に3枚浸した。また、polyvinylidene difluororide membrane(pvdf膜:Millipore社製)をメタノールに浸した後、精製水に浸し、水になじませた。タンパク質のPVDF膜への転写は、電気泳動後、ゲルを装置から取り出し、ブロッター(ファルマシア社製)に陽極側からbuffer Aに浸した2枚の濾紙、buffer Bに浸した1枚の濾紙、PVDF膜、ゲルおよびbuffer Cに浸した3枚の濾紙を、この記載の順に置き、8mVで1.5時間で行った。転写後、PVDF膜をブロックエース(雪印乳業社製)で室温で1時間振とうすることでブロッキングした。その後、該膜を抗ニューロシン抗体を5%牛胎児血清添加PBSで希釈したものと4℃で一晩反応させた。その後、アルカリフォスファターゼ標識マウス1gG抗体を加え、室温で1時間反応後、NBT−BCIP溶液で発色させ、培養上清中、組換体ニューロシンタンパク質の発現を確認した(図6)。更に、この培養上清中に得られた組換融合タンパク質(ニューロシン)をキレートカラムに通して精製し、透析後、酵素活性を測定した。まず、培養上清をPBSバッファーを用いてキレートカラム(Ni−NTA−Agarose、Qiagen社製)に供し、PBSにイミダゾールを溶解した溶液(和光純薬工業社製)で段階的(5、10、100、500mM)に溶出した。各分画を電気泳動し、ウエスタンブロット法およびクーマシー染色で確認した(図7)。ウエスタンブロットは上記方法を用い、クーマシー染色は上記方法によって得られた電気泳動ゲルをクーマシーブリリアントブルー染色液に10分間浸して染色した。その後、脱色液(水:酢酸:メタノール=33:6:21)で脱色した。得られた100mMイミダゾール溶出分画を、更にPD−10カラム(Pharmacia社製)でPBSバッファーに交換した。このサンプル50μlにエンテロキナーゼ(1U/μl、Invitrogen社製)10μlを混和し、室温で60分反応させた。次に合成基質Boc−Gln−Ala−Arg−MCA(ペプチド研究所)をDMSOに溶解し、1M Tris−HCl(pH8.0)で希釈した0.2M基質溶液を50μl加え、更に、37℃で反応させた。経時的(1、2、4、5、15時間後)に励起波長380nm、蛍光波長460nmにおける蛍光を測定した(図8)。なお、図に示した値は、EKのみの蛍光値を差し引いた値を示している。産業上の利用の可能性本発明のタンパク質発現ベクターの特徴と利点は、当該タンパク質発現ベクターを上記した特定の構成となるように構築し、それによって目的タンパク質を成熟体または活性体として、容易に精製、収得できる点にある。当該タンパク質発現ベクターの好ましい構築例を挙げると、分泌シグナル核酸配列、その3’下流に配置したTag核酸配列、その下流に配置したエンテロキナーゼが認識できるアミノ酸配列Asp−Asp−Asp−Asp−Lysをコードする核酸配列から成る切断可能核酸配列、その下流に続けて配置した目的タンパク質をコードする核酸配列およびさらに最下流に配置したストップコドンを含む核酸配列を有するものであって、これを使用することにより、目的タンパク質のN末端およびC末端に余分なアミノ酸が付加しない組換えタンパク質、すなわち成熟型もしくは活性型の目的タンパク質を産生させることが可能である。【配列表】【図面の簡単な説明】図1:実施例1の方法によるプラスミドpTrypHis/ニューロシンの構築図。図2:実施例1で得られた培養上清と細胞抽出液のウエスタンブロット解析図。図3:実施例2のプラスミドpSecTag/ニューロシン、pSecHisTag/ニューロシンおよびpSecTrypHis/ニューロシンの構築図。 図4:実施例2で得られた培養上清のウエスタンブロット解析図。図5:実施例3の方法によるプラスミドpFBTrypSigTag/ニューロシンの構築図。図6:実施例3で得られた培養上清のウエスタンブロット解析図。図7:ニッケルカラムによる組換えヒトニューロシンの精製のゲル電気泳動図。図8:バキュウロウイルス発現系を用いて発現させたヒトニューロシンの酵素活性を表す図。 分泌シグナル核酸配列と、その3’下流側に、Tag核酸配列、切断可能核酸配列および目的タンパク質をコードする核酸配列を挿入することができるクローニング部位をこの順序に含んでなり、 ここに、少なくともLeu-Val-His-Gly-Lys-Leuなるアミノ酸配列をコードする核酸配列が、分泌シグナル核酸配列の3’下流側であって、Tag核酸配列の5'上流側に、スペーサー核酸配列として含まれ、 切断可能核酸配列が、少なくともAsp-Asp-Asp-Asp-Lysなるアミノ酸配列をコードする核酸配列であり、および、 Tag核酸配列がポリヒスチジンであることを特徴とする、タンパク質発現ベクター。 クローニング部位に、目的タンパク質をコードする核酸配列が挿入されている、請求項1記載のタンパク質発現ベクター。 クローニング部位または目的タンパク質をコードする核酸配列が、切断可能核酸配列の3’末端に連続して存在する、請求項1または2記載のタンパク質発現ベクター。 切断可能核酸配列がアミノ酸配列に翻訳されたとき、当該アミノ酸配列の上流直近および/または下流直近および/または途中で酵素によって切断される、請求項1〜3のいずれか1項記載のタンパク質発現ベクター。 酵素がエンテロキナーゼである、請求項4記載のタンパク質発現ベクター。 分泌シグナル核酸配列が、IgG(κ)シグナルまたはトリプシンシグナルである、請求項1〜5のいずれか1項記載のタンパク質発現ベクター。 請求項1〜6のいずれか1項記載のタンパク質発現ベクターで形質転換された、ヒト胚細胞を除く単離された動物宿主細胞。 宿主細胞が哺乳動物細胞である請求項7記載の宿主細胞。 請求項1〜8のいずれか1項記載のタンパク質発現ベクターまたは宿主細胞を用いることを含む、目的タンパク質の製造方法。 請求項1〜8のいずれか1項記載のタンパク質発現ベクターまたは宿主細胞を用いることを含む、目的タンパク質のアミノ酸配列を含む組換え融合タンパク質の製造方法。