生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_レンチウイルスベクターに対する効率的なパッケージング細胞を産生するための選択システム
出願番号:2000582408
年次:2010
IPC分類:C12N 15/09,C12N 7/00


特許情報キャッシュ

マクギネス ライアン ナルディニ, ルイジ JP 4482639 特許公報(B2) 20100402 2000582408 19991112 レンチウイルスベクターに対する効率的なパッケージング細胞を産生するための選択システム ジービーピー アイピー, エルエルシー 510043906 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 マクギネス ライアン ナルディニ, ルイジ US 60/108,169 19981113 20100616 C12N 15/09 20060101AFI20100527BHJP C12N 7/00 20060101ALI20100527BHJP JPC12N15/00 AC12N7/00 C12N 15/00〜15/90 C12N 7/00 特表平04−507196(JP,A) 特表平07−504322(JP,A) J Virol, vol.68, no.5, p.3071-3079 (1994) Hum Gen Ther, vo..12, p.981-997 (2001) 9 US1999024018 19991112 WO2000029421 20000525 2002530057 20020917 9 20060927 光本 美奈子 【0001】(発明の背景)レンチウイルスベクターに対する効率的なパッケージング細胞株の産生は、gag遺伝子およびpol遺伝子のいくつかの産物の細胞傷害性(cytotoxicity)によって妨害される。従って、gagおよびpolの誘導性発現を有し、その結果、必要な場合に、高レベルでgagおよびpolを発現する最適クローンが、gag/pol発現の非存在下で選択され得ることが望ましい。【0002】(発明の要旨)gagおよびpolを発現し、そして従って、パッケージング細胞として有用な細胞を選択する方法は、gag/pol遺伝子の発現は抑制されるが、gag/pol遺伝子の発現を制御する同じプロモーターによってマーカーが発現されるような方法において、選択可能なマーカーを、パッケージングベクターのgag/pol発現カセットに連結することによって得られる。マーカーの効率的な発現は、誘導におけるgag/pol遺伝子の効率的な発現を予測する。【0003】(発明の詳細な説明)本発明は、シス作用性RNAエレメントであるRRE、およびトランス作用性調節タンパク質であるRevによって、後期ウイルス遺伝子であるgag/polおよびenvの発現を調節する、HIVおよび他のレンチウイルスのスプライシング制御メカニズムを利用する。スプライス制御エレメントの戦略的配置によって、gag/pol発現構築物におけるスイッチが、基底状態における下流の選択マーカー遺伝子の発現、および誘導したときのみの上流のgag/pol遺伝子の発現を可能にする。両方の遺伝子が、同じ構成的なプロモーターによって駆動されるため、スイッチの作動が、選択マーカーの発現レベルに関連する発現レベルまでのgag/polの誘導を可能にする。【0004】3つの特徴が、スイッチを作動させる:1)gag/pol遺伝子が、スプライスドナー部位および1つ以上のスプライスアクセプター部位内で含まれ、ここでこのアクセプター部位の配列は、マーカー遺伝子の上流の、最適なコンセンサススプライスアクセプター配列と一致しないこと(Lewin、「Genes」、John Wiley & Sons、NY);2)gag/pol遺伝子が、gag/polの発現を拮抗する配列を含むこと(Schneiderら、J.Virol.71:4892−4903、1997;Schwartzら、J.Virol.66:7176−7182、1992);および3)gag/pol遺伝子が、シスにおいてRREエレメントに連結され、ならびにRevコード配列から隔てられていること。【0005】gag/polおよびマーカー遺伝子の両方の発現を制御するプロモーターが、作動可能にそれらの遺伝子に(一般的にgag/pol配列から上流に)配置される。【0006】RRE/Rev調節システムは、レンチウイルスにおいて見出され、そして従って、HIV−1のRRE/Rev調節システムまたは任意の他のレンチウイルスのRRE/Rev調節システムが、用いられ得る。また、本明細書中で記載される通り、gag/polの発現を制御する選択的スプライシングをもたらす、任意の他のトランス補完制御システムが、本発明の実施において用いられ得る。【0007】最初の2つの特徴は組合わさって、基底状態におけるgag/pol発現を抑制する。3番目の特徴は、スプライシングされていないRNAの輸送のRev依存性刺激(すなわち、誘導)、およびその後のgag/pol遺伝子の発現を可能にする。【0008】スプライス部位に関しては、効率的なスプライスドナー部位(例えば、HIVの5’主要スプライスドナーのスプライスドナー部位)と1つ以上のスプライスアクセプター部位との組み合わせが用いられ、ここで、このスプライスアクセプター部位は、最適なコンセンサスに正確には一致しない。従って、目的のスプライスアクセプターは、当業者が、効率的でも、強力でも良好でもないと認識するものである。それにもかかわらず、最適未満の速度の効率ではあるが、スプライスアクセプター部位は作動可能である。最適未満のスプライス部位が、Rev−RREシステムによる、スプライシングされていない転写物からの、より効率的な発現を可能にするようである。このような最適未満のスプライスアクセプター部位の一例は、HIV−1 tat遺伝子およびHIV−1 rev遺伝子の3番目のエキソンのスプライスアクセプター部位である。【0009】非レンチウイルススプライスドナー部位および非レンチウイルススプライスアクセプター部位もまた、gag/pol遺伝子のスプライシング、従って発現が、トランス作用性因子(例えば、Rev)の存在によって制御される限りは、本発明の実施において用いられ得る。【0010】レンチウイルスgag/polコード配列(特にイントロンに含まれる配列)の内因性の不安定性が、スプライス部位の最適未満の性質に起因して、蓄積し得るスプライシングされていない転写物からの、基底状態における発現を相殺する。転写物の不安定性に関連することが公知である任意の配列が、本発明の実施において用いられ得る。しかし、不安定性配列(例えば、Schneiderら、およびSchwartzら、前出、において記載され、同定される、gag/pol配列における、不安定性配列)は、スイッチの作動を厳密には必要としないかもしれない。【0011】多くの可能性のある選択マーカーのいずれもが、用いられ得る。容易に検出可能なマーカーが、望ましい。例えば、マーカーは、抗原性である細胞表面分子(例えば、CD分子またはリンパ球抗原)、あるいは発光分子(例えば、緑色蛍光タンパク質)であり得る。当業者は、当該分野において公知のものから、目的の選択マーカーを自由に選択できる。【0012】本発明の種々のエレメントを目的のベクターにクローニングするための方法は、当該分野において公知である。【0013】さらに別のレベルの調節を導入する手段として、トランス作用性スプライス調節エレメント(HIV−1の場合はRev)の発現は、同様に誘導性であり得る。別の誘導性のRev発現構築物の存在下においては、gag/pol遺伝子の発現が誘導性になる。例えば、Revの発現は、Oryら(Proc.Natl.Acad.Sci.93:11400−11406、1996)の、テトラサイクリン依存性調節システムを用いて誘導性であり得、ここでRevが、tetオペレーターに隣接してサブクローン化される。tetの存在下において、Revは発現されない。しかし、tetが培地で使用中止とされる場合に、Revの発現が生じる。【0014】他の公知の調節エレメントが、当該分野において公知であるように用いられ得る。従って、適切かつ公知のプロモーターが、構築物において作動可能に配置され得、gag/pol遺伝子およびマーカー遺伝子の発現を調節する。他の調節エレメント(例えば、ポリアデニル化部位)が、所望の通りに用いられ得る。【0015】さらに、種々の改変が、目的のベクターに含まれる任意の1つのエレメントに対してなされ得、所望でない活性を取り除くか、または所望の活性を増強する。当業者は、意図されたエレメントの公知の活性に依存し得、そして公知の技術を実施して、所望の変化(例えば、選択的サブクローニングによる配列欠失、部位特異的変異誘発による遺伝子の不活化など)をもたらし得る。【0016】本発明の利点は、ベクター(例えば、レンチウイルス由来ベクター、特に、HIV由来ベクター)に対して最適なパッケージングクローンの選択である。連鎖選択(linked selection)についての表面マーカーを用いて、安定な、高レベルの発現体(expressor)の集団が、構築物のトランスフェクトによって選別され得、その後性能を維持することが必要とされる毎に選別され得る。以前に記載された連鎖選択システムにおいて、マーカー遺伝子の発現が、所望の遺伝子の発現と対になっており、そして逆方向においては作動され得ない。【0017】本方法はまた、相同調節エレメントが、目的のコード配列に対してトランスに位置するインデューサー分子の存在下において機能的に同等に作動して、gag/pol配列の選択可能なスプライシングが得られる限りは、HIV−1 Rev−RREシステム、または他のレンチウイルスの相同エレメントのいずれかを用いて、HIV−1以外のレンチウイルスベクターのためのパッケージングクローンを選択するために用いられ得る。【0018】さて本発明は、以下の非制限的な実施例において例示される。【0019】(実施例)パッケージングベクターであるpMDH L g/p RRE Spl CD4(図1)を、以下を含むように構築した:ヒトのサイトメガロウイルス(CMV)の前/初期 エンハンサー/プロモーター;HIV主要5’スプライスドナー;Kozakコンセンサス配列に一致する最適化された翻訳開始配列を有する、HIV gag/polコード領域(Dullら、J.Virol.72:8463−8471、1998);HIV RREエレメント;tatおよびrevの3番目のエキソン由来のHIVスプライスアクセプター部位;ヒトCD4コード領域;ならびにラットインスリンポリアデニル化配列。【0020】レンチウイルスパッケージングベクターであるpMDH L g/p RRE Spl CD4が、HIV−1 gag/pol遺伝子の非常に低い発現を伴った、表面マーカーCD4の高レベルの発現の選択を可能にする。gag/pol遺伝子へのCD4マーカーの結合に起因して、CD4の高発現は、gag/polの高い誘導性発現に相関する。HIV Revの非存在下において、HIVスプライスドナーとHIVスプライスアクセプターとの間のgag/pol配列のスプライシングが、gagおよびpolの検出可能な発現を伴わずに、CD4の効率的な発現をもたらす(図2A)。Revの存在下において、スプライシングされていないgag/polメッセージのRRE媒介性輸送が、gag polタンパク質の発現を可能にする(図2B)。【0021】pMDH L g/p RRE Spl CD4プラスミドを、Rev発現プラスミド(Dullら、前出)を用いて、または用いずに、および選択マーカーである緑色蛍光タンパク質(GFP)のレンチウイルスベクター送達を引き起こすために必要とされる他のプラスミドの組み合わせを用いて、293T(Dullら、前出)にトランスフェクトした。【0022】10センチ皿あたり約4×106個の293T細胞を、トランスフェクトの前の夜に、プレーティングした。以下のプラスミドのCaPO4同時トランスフェクションを行った:pMDH L g/p RRE Spl CD4、7μg(HIV由来gag/pol発現プラスミド);pRSV Rev、2.5μg;pCMV tat、1μg;pMD VSVG env、3.5μg;およびpRRLhPGKGFPSIN−18、10μg(PGKプロモーターに連結された緑色蛍光タンパク質コード配列を保有する自己不活化HIV由来移入ベクター)。同一のトランスフェクションをまた、pRSV Revプラスミドを用いずに、およびpMDH L g/p RRE Spl CD4の代わりに親のパッケージングベクターpMD L g/p RREを用いて行った。トランスフェクションから20時間後、新鮮な培地を添加し、そして24時間後、馴化培地を、免疫捕獲(immunocapture)(Dupont)によってHIV gag産物であるp24の含有量を測定するため、および形質導入をアッセイするために、収集した。トランスフェクトされた細胞を収集し、フィコエリトリンで標識された抗CD4抗体とともにインキュベートし、そしてフィコエリトリンおよびGFP蛍光について、FACSによって分析した。【0023】トランスフェクト体を、HIV Revを伴うおよび伴わない、CD4およびGFPの両方の発現について分析した。両方の場合において、細胞の大部分が、CD4およびGFPに対して二重にポジティブであった。期待されるように、CD4の平均発現レベルが、Revを発現しない細胞において、より高かった。Revの存在下における、基底レベルのCD4の発現は、Revは、RRE含有転写物のスプライシングを完全には妨げない、という事実に起因する。【0024】同様のトランスフェクションをまた、pMDH L g/p RRE Spl CD4の代わりに親のパッケージングベクターpMD L g/p RREを用いて行った。ベクターpMD L g/p RREは、βグロビン遺伝子由来の構成的にスプライシングされたイントロンの下流で、Rev依存性様式で、HIVのgag/polを発現する。pMD L g/p RREパッケージングベクターおよびRevを用いて同時トランスフェクトされた細胞は、gag/polを発現したが、一方、Revの非存在下において、gag/polは、検出されなかった。【0025】トランスフェクトされた293T細胞におけるgag/pol遺伝子の発現を、免疫捕獲(immunocapture)(DuPont)によって、馴化培地における、gag遺伝子産物であるp24の含有量を測定することによって分析した。図3は、HIV Revの存在下およびHIV Revの非存在下において、両方のパッケージングベクターを用いてトランスフェクトされた細胞の馴化培地における、p24濃度を示す。両方のプラスミドに対するgag/pol発現のRev依存性が、明らかである。CD4コード配列を含むプラスミドは、Revの存在下において、非常に高レベルのp24タンパク質を発現し、これは、コントロールプラスミドを用いて得られたものと類似する。【0026】機能的ベクターの産生を、293T馴化培地を用いてHeLa細胞へGFP遺伝子を形質導入することにより分析した。HeLa細胞を、pMDH L g/p RRE Spl CD4パッケージングベクターを用いてトランスフェクトされた細胞、またはHIV Revの存在下(a)および非存在下(b)において、pMD L g/p RREパッケージングベクターを用いてトランスフェクトされた細胞によって馴化された、10μlの培地に曝露した。形質導入実験を、感染の前の夜に、6ウェルプレート中に、1ウェルあたり5×104個の細胞をプレーティングすることによって行った。翌日、凍結293T馴化培地を解凍し、そして1:10、1:100、1:1000に希釈し、そして各々の希釈物の1mlを用いて、細胞を感染させた。感染から20時間後、新鮮な培地を添加し、そして24時間後、細胞を、GFP発現について、FACSによって分析した。【0027】形質導入のRev依存性は、両方のプラスミドについて明らかであった。Revが、ベクタープロデューサー細胞において発現される場合においてのみ、標的HeLa細胞は、GFPを発現する。さらに、いずれかのプラスミドによって産生されたベクターの感染性(1ngのp24あたりの形質導入単位)は類似しており、このことは、CD4連結プラスミドが、コントロールプラスミドと同じくらい効率的に作動することを示す。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は、本発明を例示する組換えベクターを示す。gag/pol配列が、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位に隣接する。RRE(Rev応答性エレメント)もまた、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位内に含まれる。【図2】 図2は、図1の例示的な組換えベクターの場合において、RREを含むベクターが、マーカー遺伝子のみの誘導可能な発現を提供するメカニズムを示し、このマーカーはCD4である。Revの非存在下において、スプライシングは、スプライスドナー部位とスプライスアクセプター部位との間で生じ、それによって、gag/pol配列を排除する。CD4のみが発現される。Revが存在する場合、スプライシングは生じず、そしてgag/pol遺伝子が発現される。【図3】 図3は、本発明のベクターを含む細胞が、Revの存在下または非存在下において増殖する場合の、培養培地におけるp24(gag遺伝子の産物)の量を示すグラフである。2つの異なるベクター(MDH spl CD4およびMD L g/p RRE)が用いられた。両方のベクターにおいて、gag/pol遺伝子は、スプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位によって囲まれ、従って、Revが培養物中に存在する場合に、p24が発現される。 核酸構築物であって、5’から3’方向で、作動可能に連結した、以下: (1)プロモーター; (2)スプライスドナー部位; (3)レンチウイルスgag/polコード配列; (4)レンチウイルスRev応答性エレメント; (5)スプライスアクセプター部位; (6)選択可能なマーカーコード配列;および (7)ポリアデニル化部位からなる、核酸構築物。 前記レンチウイルスがHIVである、請求項1に記載の核酸構築物。 前記スプライスアクセプター部位が最適なコンセンサススプライスアクセプター配列と一致しない、請求項1または2に記載の核酸構築物。 前記スプライスアクセプター部位がHIV−1 tat遺伝子およびHIV−1 rev遺伝子の3番目のエキソンのものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸構築物。 前記スプライスドナー部位がHIVの主要5’スプライスドナー部位である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸構築物。 組成物であって、以下: (a)請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸構築物を含む第一の発現カセット;ならびに (b)第二発現カセットであって、5’から3’方向で作動可能な結合において、以下: (1)プロモーター;および (2)該第一発現カセットのエレメント(4)に結合する因子をコードする核酸であって、該因子はこのように結合しているとき、mRNAが該第一発現カセットから転写される場合に、該第一発現カセットの該部位(2)および該部位(5)でのスプライシングを抑制する、核酸、を含む、第二発現カセット、を含む、組成物。 組成物であって、以下: (a)第一発現カセットであって、5’から3’方向で、作動可能に連結した、以下: (1)プロモーター; (2)スプライスドナー部位; (3)レンチウイルスgag/polコード配列; (4)HIV−1 tat遺伝子およびHIV−1 rev遺伝子の3番目のエキソンに由来するスプライスアクセプター部位と連続した、レンチウイルスRev応答性エレメント;および (5)選択可能なマーカーコード配列、を含む、第一発現カセット;ならびに (b)第二発現カセットであって、5’から3’方向で作動可能な結合において、以下: (1)プロモーター;および (2)該第一発現カセットのエレメント(4)に結合する因子をコードする核酸であって、該因子はこのように結合しているとき、mRNAが該第一発現カセットから転写される場合に、該第一発現カセットの該部位(2)および該部位(4)でのスプライシングを抑制する、核酸、を含む、第二発現カセット、を含む、組成物。 前記レンチウイルスがHIVである、請求項7に記載の組成物。 前記スプライスドナー部位がHIVの主要5’スプライスドナー部位である、請求項7または8に記載の組成物。


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